JP4129777B2 - 光学装置及びそれを用いた液晶プロジェクタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ショートアークランプと凹面状反射鏡とを組み合わせた光学装置および該光学装置を組み込んだ液晶プロジェクタ装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アクティブマトリクスタイプの液晶と光学系とを組み合わせて、データプロジェクタやビデオプロジェクタとして利用する液晶プロジェクタ装置が開発されている。従来、液晶プロジェクタ用のショートアークランプは、メタルハライドランプが使用されていた。前記メタルハライドランプは、水銀、希ガスとともに添加された金属ハロゲン化物が点灯中、発光管管壁付近に液体として存在する一方、一部蒸発した金属ハロゲン化物蒸気がアーク中心部で金属原子とハロゲン原子に解離し、前記金属蒸気がアークで励起されその金属特有のスペクトルを放射している。
【0003】
一般にこの種のメタルハライドランプにおいては、ランプの発光特性は封入金属ハロゲン化物の蒸気圧によって決定される。つまり、封入金属特有の発光スペクトルを得るには発光管最冷部の温度を高温にし、金属ハロゲン化物の蒸気圧を高める必要がある。ところが、メタルハライドランプでは演色性を改善する目的で、最冷点温度を高め、添加金属ハロゲン化物の蒸気圧を高くすると、添加金属と発光管構成材料が急速に反応し、光束の低下や発光管の破裂を生じ、短寿命になってしまうという問題がある。
【0004】
また、液晶プロジェクタ等の投射型液晶ディスプレイでは光源から放射された光を一度赤(R)、緑(G)、青(B)に色分離し、ホワイトバランスを調整して再び3色を調整する方法を採用しているため、メタルハライドランプを液晶プロジェクタ用光源とした場合、光源の発光スペクトルはRGBのバランスがとれていなければならない。しかし、メタルハライドランプでは発光管の中心の発光は、主に水銀の発光となっていて、発光管管壁付近に液体として存在する金属ハロゲン化物が色ムラや、照度バランスやRGBのバランスを悪くするといった問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
最近、前記メタルハライドランプに代わって、ショートアーク形の超高圧水銀ランプが液晶プロジェクタ等の投射型液晶ディスプレイの光源として使用されてきている。その理由としては、メタルハライドランプよりも超高圧水銀ランプの方が、点光源に近く、添加金属による色ムラや発光管構成材料との反応の発生がなく、かつ、より高い水銀蒸気圧で光出力が増加することが挙げられる。
【0006】
しかしながら、前記超高圧水銀ランプでは、水銀蒸気のみの発光特性しか持たないため、液晶プロジェクタ装置の光源として必要とされるRGBの発光波長域のうち、Rの波長域が不足する。そのため、可視域のRGBにバランスの良い発光スペクトルがとれないという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、可視域のRGBにバランスの良い発光スペクトルがとれ、ホワイトバランスが調整しやすい光学装置及びそれを用いた液晶プロジェクタ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1記載の発明は、一対の電極を具備した透光性容器内に、添加物を封入したショートアークランプと、放物面または楕円面よりなる反射面を有する凹面状反射鏡と、前記凹面状反射鏡の光軸上に前記ランプのアーク軸を位置させた光学装置において、該光学装置の照射方向の前方に紫外域の光を赤色域へと変換する可視波長変換ガラスを配置したことを特徴とする光学装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学装置を組み込んだことを特徴とする液晶プロジェクタ装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図を用いて説明する。図1は本発明に係わる一実施例の光学装置の概略断面図である。透光性容器としての石英ガラス製発光管1の両端に電極2が封着されている。3は電極心棒、4は電極に接続されたモリブデン箔であり、5は電極封止部、6は口金となっている。そして内部には、アルゴンガスと共に水銀が封入されている。
【0011】
発光管1の口金6は、コールドミラー付反射鏡7の底部にセメントを介して固定されいる。この際反射鏡7の光軸と発光管のアーク軸とは、ほぼ同一軸となるように固定されている。そして、コールドミラー付反射鏡7の照射方向の前方に肉厚2mmの可視波長変換ガラス8を配置して光学装置が構成される。なお、前記可視波長変換ガラス8は、大きな蛍光強度が得られる特殊なガラスを母体とし、このガラスに蛍光活性イオンとなる希土類イオンを多量に含有させた蛍光ガラスである。
【0012】
可視波長変換ガラス8を有する本発明に係る光学装置と、可視波長変換ガラス8を有しない従来の光学装置とを、レンズ等の光学系と専用の電子安定器と組み合わせて、40インチのスクリーンに照射光を投影させたときの平均照度、中心色度、および中心色温度をそれぞれ測定した結果を、表1に示す。
【0013】
【表1】
Figure 0004129777
【0014】
表1より、可視波長変換ガラス8を照射方向の前に配置させることで、平均照度は多少低下するものの、中心色度は赤側の発光にシフトできていることがわかる。
【0015】
次に、可視波長変換ガラス8を有する本発明に係る光学装置の分光分布図を図2に、可視波長変換ガラス8を有しない従来の光学装置の分光分布図を図3に示す。図2は図3に比べ、紫外域である365nm付近の発光が、赤色域となる610nm付近への発光へと変換され、ホワイトバランスが調整しやすい発光スペクトルになることがわかる。
【0016】
しかも、このような赤色域の発光スペクトルを有する光学装置を液晶プロジェクタ装置内に組み込むと、ホワイトバランスが調整しやすい発光スペクトルであるため、ホワイトバランスを調整するための光学系の構成が簡素化でき、液晶プロジェクタ装置をコンパクトにすることができる。
【0017】
また本発明は図4に示すように、コールドミラー付反射鏡7の前面に可視波長変換ガラスを一体化させて配置しても良く、この場合、発光管1が破裂した際の危険を減少させる安全対策としての機能も持ち合わせる。なお、超高圧水銀ランプをメタルハライドランプとしても前記のような同様な効果が得られる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、可視域のRGBにバランスの良い発光スペクトルがとれ、ホワイトバランスが調整しやすい光学装置及びそれを用いた液晶プロジェクタ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる一実施例の光学装置の概略断面図。
【図2】可視波長変換ガラスを配置した光学装置の分光分布図。
【図3】可視波長変換ガラスを配置していない場合の光学装置の分光分布図。
【図4】本発明の他の実施例である可視波長変換ガラスを反射鏡と一体化させて配置した光学装置の概略断面図。
【符号の説明】
1 石英製発光管
2 電極
3 電極心棒
4 モリブデン箔
5 電極封止部
6 口金
7 コールドミラー付反射鏡
8 可視波長変換ガラス

Claims (2)

  1. 一対の電極を具備した透光性容器内に、添加物を封入したショートアークランプと、放物面または楕円面よりなる反射面を有する凹面状反射鏡と、前記凹面状反射鏡の光軸上に前記ランプのアーク軸を位置させた光学装置において、該光学装置の照射方向の前方に紫外域の光を赤色域へと変換する可視波長変換ガラスを配置させたことを特徴とする光学装置。
  2. 請求項1記載の光学装置を組み込んだことを特徴とする液晶プロジェクタ装置。
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