JP4129387B2 - 電気掃除機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動送風機とコードリールを内蔵した掃除機本体に上下動可能にハンドルを設けた電気掃除機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から図20に示すコードリール200を備えた電気掃除機が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる電気掃除機にあっては、掃除機本体201の上面にハンドル202が上下動可能に設けられている。このハンドル202の把手部202Aは掃除機本体200の上面に形成した収納凹部に収納されている。ハンドル202の把手部202Aの下面の中間位置には操作ボタン203が当接しており、この操作ボタン203の下部に操作突起203Aが設けられている。204は軸205に一体的に設けられたアームであり、軸205は本体201に回動可能に設けられている。また、軸205には一体的にブラケット206が設けられており、このブラケットの下部にはブレーキローラ207が取り付けられている。そして、アーム203と軸205とブラケット206は一体となって軸205を中心にして回動するようになっている。このアーム203およびブラケット206は図示しないスプリングにより反時計回りに付勢されている。
【0004】
また、208は電動送風機であり、この電動送風機208の外周囲にコードリール200の円筒形の巻取ドラム209が同心状に回転可能に配置されている。巻取ドラム209の周面にはブレーキローラ207がスプリングの付勢力により圧接して、巻取ドラム209をロックさせている。巻取ドラム209は電源コード(図示せず)を巻き取る方向に図示しないゼンマイにより付勢されている。
【0005】
ハンドル202を図20に示す位置から下方に押すと、図21に示すように、アーム203およびブラケット206が時計回りに回動して、ブレーキローラ207が巻取ドラム209の周面から離間し、ブレーキローラ207によるロックが解除されて、巻取ドラム209がゼンマイの付勢力により回動して電源コードを巻き取っていく。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−157654号公報(段落32、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような電気掃除機にあっては、電動送風機28の外周囲に巻取ドラム209を配置しているので、掃除機本体1の高さが高くなってしまう。さらに、ハンドル202の把手部202Aと巻取ドラム209との間にブレーキ機構を配置しなければならないので、ハンドル202の把手部202Aと巻取ドラム209との間を狭くすることができず、このため、掃除機本体1の高さが一層高くなってしまい、掃除機本体1が大型化してしまうという問題があった。
【0008】
また、ハンドル202のバランスを保つために、操作ボタン203を把手部202Aの中間位置に設けなければならないので、軸205と操作突起203Aとの間の左右方向に対する距離を十分にとることができず、このため、ブレーキローラ207のロックを解除する際、ハンドル202を強く押さなければならず、ハンドル操作が重いという問題があった。
【0009】
この発明の目的は、掃除機本体の小型化を図ることができるとともに、コードリールのブレーキ解除の際のハンドルの操作を軽くすることのできる電気掃除機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明は、掃除機本体と、前記掃除機本体に収容され、集塵室が設けられた集塵容器と、を備え、前記掃除機本体は、前記集塵室に吸込負圧を作用させる電動送風機と、前記電動送風機に電力を供給する電源コードと、前記電源コードを巻き取る方向に回転付勢されたコードリールと、前記集塵室と前記電動送風機のエア吸込口との間の風路に配設されたフィルタと、前記フィルタに接触して前記フィルタに捕捉された塵埃を落下させる除塵手段と、前記コードリールの回転を前記除塵手段に伝達する回転力伝達手段と、上下動可能に設けられたハンドルと、を備え、前記コードリールは、その回転軸がほぼ垂直となるように配置され、かつ、前記ハンドルの押し下げ操作によってロックの解除操作が行われて前記電源コードを巻き取り、前記回転力伝達手段は、前記ハンドルの押し下げ操作によって前記コードリールに前記電源コードが巻き取られる際には前記コードリールの回転を前記除塵手段に伝達可能にすることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1(a),図2において、1は電気掃除機の掃除機本体である。この掃除機本体1は、図2に示したように下ケース2と、下ケース2の上に取り付けられた中ケース3と、中ケース3の後部を覆うように下ケース2及び中ケース3上に取り付けられた上ケース4と、中ケース3の前端部に上下回動可能に取り付けられたカバー5を有する。
【0012】
また、図1(a)において、6はカバー5の前端部に設けられた接続パイプ部、7は一端部が接続パイプ部6に接続された可撓性で蛇腹状の集塵ホース、8は集塵ホース7の他端部に取り付けられた手元操作パイプである。この手元操作パイプ8には、延長パイプ9を介して吸込口体10が接続されている。8aは手元操作パイプ8に設けられた操作パネルである。
【0013】
更に、下ケース2と上ケース4との間は、図2に示したように中ケース3の仕切壁部3aにより上部の送風機室11と下部のコードリール室12とに区画されている。この送風機室11の前端は、前側に開放していると共に、この開放端に取り付けられた端壁(前壁)である格子板(隔壁)13により閉成されている。しかも、送風機室11は、図1に示したように上ケース4の側壁4aに形成した多数の排気孔14を介して大気と連通している。
【0014】
この格子板13の上部には、図2に示したように送風機室11内に突出するファン支持用の筒部15が設けられていると共に、筒部15に連通する格子部16が設けられている(図9〜図11参照)。この筒部15の両側部には図11に示したように上下に延びる平坦なガイド側壁15a,15aが設けられていて、筒部15は小判形状に形成されている。16aは格子部15に設けられた連通風路(吸込風路)である。また、格子板13の下部には、後方に突出する小径の筒部13aが一体に形成されていると共に、筒部13aに同心に開口する軸挿通孔13bが形成されている。
【0015】
そして、送風機室11内には図2に示したように電動送風機17が配設されている。この電動送風機17は、前側の遠心ファン部18と、遠心ファン部18を駆動するモータ部19を有する。18aは遠心ファン部18のエア吸込口、19aはモータ部19の排気口である。この遠心ファン部18は環状の弾性部材(緩衝部材)20を介して中ケース3内に支持され、弾性部材20は筒部15の端面に当接支持させられている。これにより遠心ファン部18は、エア吸込口18aが筒部15内に開口して、格子部16との間に吸込風路としての負圧室21を形成している。
【0016】
また、図2に示したように、コードリール室12内にはコードリール25の支持軸(軸)22が上下に向けてほぼ垂直状態に配設され、支持軸22の上端部には図示しないターミナルリング用の取付板23及びそのカバー24が固定されている(図13参照)。この取付板23及びカバー24は仕切壁3aに取り付けられて、支持軸22の上端部を仕切壁3aに保持している。また、支持軸22の下端部は下ケース2の底壁2aに取り付けられている。
【0017】
この支持軸22には、図10〜図13に示したように後述するコードリール25の巻取ドラム26が図2の如く水平回転自在に取り付けられている。この巻取ドラム26は、図示を省略した渦巻バネ等の回転付勢手段で一方向(コード巻取方向)に回転付勢されている。
【0018】
このコードリール25は、ブレーキ装置31と、コード巻き取り用の巻取ドラム26と、巻取ドラム26の両端部(上下端部)に設けられた上フランジ(巻取ドラムの周面)27及び下フランジ28を有する。この上フランジ27の上面の周縁部には周方向に多数の歯を環状に配列した大径の駆動ギヤ29が設けられている。このコードリール25の巻取ドラム26には、電動送風機17に駆動電力を供給する電源コード30が上述した回転付勢手段の回転付勢力により巻き取り捲回されている。この電源コード30は図1(b)に示したように下ケース2の後部に設けられたコード引出口2bから外部に引き出し可能に設けられている。
【0019】
また、取付板23には、図11に示したようなブレーキ装置31が取り付けられている。このブレーキ装置31は、取付板23の支持軸23aに水平回動可能に保持されたブレーキアーム32と、このブレーキアーム32の自由端部に取り付けられたブレーキローラ120(図19参照)と、ブレーキアーム32を回動付勢してブレーキローラ120を上フランジ27の周面に圧接させるスプリング(図示せず)を有する。
【0020】
このブレーキ装置31では、通常、ブレーキアーム32を回動付勢しているスプリングのバネ力と巻取ドラム26を回転付勢している回転付勢手段のバネ力とにより、ブレーキローラ120がブレーキアーム32と上フランジ27との間に楔状に食い込むことで、巻取ドラム26の回転がロックされるようになっている。そして、このブレーキ装置31では、下ケース2から後方に引き出し可能に設けられた電源コード30を引いて、巻取ドラム26をその回動付勢手段のバネ力に抗して回転させることにより、ブレーキローラ120が巻取ドラム26の回転方向に僅かに移動させられて、ブレーキローラ120がブレーキアーム32と上フランジ27との間に楔状に食い込んだ状態が解除されることにより、ブレーキローラ120の上フランジ27への圧接状態が解除される様になっている。尚、電源コード30から引き出し力を解除すると、巻取ドラム26が回転付勢手段により電源コード30を巻き取る方向に僅かに回転して、ブレーキローラ120がブレーキアーム32と上フランジ27との間に楔状に食い込んでロックし、巻取ドラム26の回転を停止させ、電源コード30を引き出した状態にするようになっている。このブレーキ装置31の構成としては周知のもの例えば特開平6−46974号公報に開示された様なものが採用できる。
【0021】
また、ブレーキアーム32の先端部(自由端)の上面には、ブレーキアーム32の延びる方向に延びた一対のリブ121,122が形成されている。
【0022】
更に、掃除機本体1には、上ケース4の前端部に所定範囲内で上下動自在に装着されて、上ケース4の上面から上方に所定量だけ引き出し自在なハンドル33が設けられている。このハンドル33は、掃除機本体1の重心の真上に設けられているとともに、上部の円弧状の握り部(把手部)34と、握り部34の両端部に下方に向けて一体に連設したガイド部(脚部)35,35から逆U字状に形成されている。尚、このガイド部35,35は、格子板13の筒部15に設けたガイド側壁15a,15aの両側に配設されて、上下動可能に設けられている。
【0023】
また、上ケース4の上面には収納凹部150が形成され、この収納凹部150にハンドル33の握り部34が収納され、その上面から握り部34が突出しないようになっている。
【0024】
そして、一方のガイド部35の下端部には、下端部が先細りするプレート130が設けられており、このプレート130には前側上方に向けて傾斜する傾斜カム面35bが形成されている。この傾斜カム面35bは、ブレーキアーム32のリブ121に上方から係合しており、ハンドル33を下方に押し下げる押し下げ操作により、ハンドル33とともに傾斜カム面35bが下方に押し下がることにより、ブレーキアーム32を矢印Q1の方向へ回動させるようになっている。このブレーキアーム32の矢印Q1方向への回動によりブレーキローラ120が上フランジ27の周面から離間してロックの解除操作が行われ、巻取ドラム26が回転して電源コード30を巻き取っていく。また、傾斜カム面35bは矢印Q1方向、すなわちブレーキローラ120の離間方向に向いている。
【0025】
ハンドル33の各ガイド部35の外側面の両側端部には上下方向に延びた一対のリブ100,100が形成され、そのガイド部35の下端部には外方に突出した台座部(第1下当接部)102が形成されている。台座部102の前端には上下が開放された凹部102Aが形成されている。また、ハンドル33には台座部102の上方であって且つリブ100,100間に上下方向に延びたリブ(第1上当接部)103が形成されており、このリブ103と台座部102との間にはスプリング104が配置されている。スプリング104の上端はリブ103の下端部103Aに当接している。スプリング104の付勢力は、ブレーキアーム32のスプリング(ブレーキアーム32を回動させるスプリング)の付勢力より小さく設定されている。
【0026】
ハンドル33の台座部102の凹部102Aには上下に延びた板状のバネ受部(第2下当接部)105が入っており、このバネ受部105が凹部102Aから上方に突出していて、図14および図15に示すようにバネ受部105の上部105Aにスプリング104の下端が当接してスプリング104がバネ受部105に保持されている。このバネ受部105は中ケース3の底壁部3Aに形成されている。この底壁部3Aには、ハンドル33のガイド部35の傾斜カム面35bが挿入する孔3Bが形成され、この孔3Bの下方にコードリール25のブレーキアーム32が配置されている。
【0027】
また、ハンドル33のリブ103の下端部103Aより上方の位置に板状の一対の当接部(第2上当接部)106,106が設けられており、この当接部106,106間にリブ103が入り込んでいる。この当接部106,106は上下方向に延びた支持部材107を介して中ケース3の底壁部3Aに固定されている。
【0028】
そして、ハンドル33はスプリング104を介してバネ受部105に載置された状態になっており、図14および図15に示す位置にガイド部35が位置しているとき、図1および図2に示すようにハンドル33の握り部34は収納凹部150に収納されている。
【0029】
この状態から、ハンドル33を下方に押し下げると図16に示すようにスプリング104が圧縮されるとともに、中ケース3の底壁部3Aの孔3Bにハンドル33の傾斜カム面35bが挿入されてコードリール25のロックを解除する。このスプリング104の圧縮によりハンドル33が上方に付勢されるようになっている。
【0030】
また、ハンドル33を図14および図15に示す位置から上方へ引き出すと、ハンドル33の台座部102にスプリング104の下端部が当接してバネ受部105から外れて台座部102にスプリング104が保持されるようになっている。
【0031】
そして、図17および図18に示すように、その引き出しとともにスプリング104の上端が当接部106に当接してスプリング104が圧縮してハンドル33を下方に付勢するようになっている。なお、図14および図17において傾斜カム面35bは省略してある。
【0032】
また、図2において、中ケース3の前側への延設部3bには凹部36が形成されている(図1(b)参照)。この凹部36には図2に示したように集塵容器37が嵌合載置されている。この集塵容器37はケース本体38を有する。このケース本体38の下部には下方に開放する集塵室38aが設けられ、ケース本体38の上部には後端に開放する負圧室38bが設けられ、ケース本体38の上部前端には負圧室38bに連通する吸込口38cが設けられている。この吸込口38cは接続パイプ部6に連通している。
【0033】
また、集塵容器37は、ケース本体38と一体の把手39と、集塵室38aの下方への開口端を開閉する底蓋40と、負圧室38b内に配設された塵埃分離手段41を塵埃分離部として有する。この塵埃分離手段41は、後方に向けて円錐状に縮径し且つ負圧室38bへの開口42aを有する筒部42と、筒部42の内面に固着されて開口42aを覆っているネットフィルタ43と、筒部42の後端に連設されて集塵室38aに連通する筒部44を有する。また、集塵室38aの上壁45には集塵室38aと負圧室38bを連通させる排気口46が形成され、排気口46にはネットフィルタ47が取り付けられている。
【0034】
更に、負圧室38bの後端部内には、図6に示したような波形状のプリーツフィルタ48が着脱可能に嵌着されている。このプリーツフィルタ48の下端部と集塵室38aを形成している壁部38dとの間には、プリーツフィルタ48から掻き落とされる塵埃を捕集させる集塵空間38eが形成されている。このプリーツフィルタ48の後方(エア流の下流側)には、図2に示したようにプリーツフィルタ48に付着した塵埃を落とすための除塵手段としての振動付与手段49が配設されている(図9,図10,図12,図13参照)。この振動付与手段49は、格子板13とプリーツフィルタ48との間に配設した大径のギヤ50を有する。このギヤ50は、格子板13に支持軸51aで回転自在に支持されたボス51と、ボス51と一体に且つ放射状に設けられた複数のアーム52と、複数のアーム52と一体に設けられた環状ギヤ部53と、ボス51と環状ギヤ部53との間の中間に位置してアーム52と一体に設けられた環状支持部54と、アーム52と環状支持部54の交差部に図8の如く突設された突起55を有する。
【0035】
また、振動付与手段49は、図8に示したように突起55に外周面に基端部が圧入嵌着されたコイルスプリング56と、コイルスプリング56の自由端部に嵌着された係合子57を有する(図2,図7,図9,図10,図12,図13参照)。この係合子57は、先端に向かうに従って徐々に縮径するテーパ状に形成され、先端部が球状に形成されている。また、係合子57は、プリーツフィルタ48の波形部の山部48a,48a間に浅く係合している。
【0036】
更に、ギヤ50は、図3に示したように回転力伝達手段58でコードリール25に連動している。この回転力伝達手段58は、格子板13の筒部13a及び軸挿通孔13bを貫通して一端部が前記集塵室側の風路に突出し且つ他端部が送風機室11(電動送風機17側)に突出する回転軸59と、回転軸59の一端部に固定され且つギヤ50の環状ギヤ部53に噛合するピニオン(連動手段である小径のギヤ)60と、回転軸59の他端部に回転可能に保持され且つ軸線方向に移動不能保持された駆動回転体としてのピニオン(小径のギヤ)61を有する。このピニオン61は、コードリール25の駆動ギヤ29に噛合して、コードリール25に連動するようになっている。図3,図4において、59aは、回転軸59の周面に形成された軸線と平行な方向に延びるガイド凸部である。尚、ピニオン60は、軸挿通孔60に嵌合するボス60aを有する(図3,図5参照)。
【0037】
また、回転力伝達手段58は、ピニオン60と格子板13との間に位置させて回転軸59のガイド凸部59aが設けられた部分に嵌合された筒状の従動回転体62を有する。これにより、従動回転体62は、軸線方向に移動可能に且つ相対回転不能に回転軸59に保持されている。更に、回転力伝達手段58は、ピニオン61と従動回転体62の対向部に設けられたワンウエイクラッチ63を有する。このワンウエイクラッチ63は、ピニオン61に設けられたラチェット爪64と、従動回転体62に設けられ且つラチェット爪64に係合するラチェット爪65と、ラチェット爪65をラチェット爪64に押し付けているコイルスプリング66を備えている。
【0038】
しかも、このワンウエイクラッチ63は、電源コード30を引き出す方向にコードリール25を回転させるとき、コイルスプリング66のバネ力に抗して従動回転体62がピニオン61から離反する方向に回転軸59上を移動させられて、ラチェット爪64がラチェット爪65を乗り越えることにより、ラチェット爪64,65同士が相対回転するようになっている。また、ワンウエイクラッチ63は、コードリール25が電源コード30を巻き取る方向に回転する際、ラチェット爪64,65同士が互いに係止されてピニオン61と従動回転体62が一体に回転する様になっている。
【0039】
更に、回転力伝達手段58は、回転軸59の外周に嵌合され且つ格子板13に当接させられて軸挿通孔13bと回転軸59との間をシールしている環状シール部材67を有する。この環状シール部材67と従動回転体62との間には上述したコイルスプリング66が介装されていて、このコイルスプリング66は環状シール部材67を格子板13に押し付けていると共に、従動回転体62のラチェット爪65をピニオン61のラチェット爪64に押し付けている。この際、環状シール部材67は、軸挿通孔13bとピニオン60のボス部60aとの間に跨って押し付けられることにより、回転軸59と軸挿通孔13aとの間を間接的にシールしている。
[作用]
次に、この様な構成の電気掃除機の作用を説明する。
【0040】
この様な構成においては、ブレーキアーム32を回動付勢しているスプリングのバネ力と巻取ドラム26を回転付勢している回転付勢手段のバネ力とにより、ブレーキローラ120がブレーキアーム32と上フランジ27との間に楔状に食い込むことで、巻取ドラム26の回転がロックされている。
【0041】
また、電源コード30を掴んで引っ張ることにより、下ケース2から後方に引き出し可能に設けられた電源コード30を引いて、コードリール25の巻取ドラム26をその回動付勢手段のバネ力に抗して回転させることにより、ブレーキローラ120が巻取ドラム26の回転方向に僅かに移動させられて、ブレーキローラ120がブレーキアーム32と上フランジ27との間に楔状に食い込んだ状態が解除され、ブレーキローラ120の上フランジ27への圧接状態が解除される。
【0042】
この状態で更に電源コード30を引っ張ることにより、電源コード30を引き出す方向に巻取ドラム26を回転させると、この回転に伴い駆動ギヤ29がピニオン61を回転させる。この回転に伴い、ピニオン61のラチェット爪64が従動回転体62のラチェット爪65を乗り越えるように作用して、従動回転体62がコイルスプリング66のバネ力に抗してピニオン61から離反する方向に回転軸59上を移動させられ、ラチェット爪64,65同士が相対回転する。
【0043】
これにより、電源コード30の引き出しに際しては、電源コード30を巻き取る方向に巻取ドラム26を回転付勢している渦巻バネ等の回転付勢手段によるバネ力のみが抗力として電源コード30に作用している状態となる。従って、電源コード30の引き出し操作は軽い力で行うことができる。
【0044】
この様にして電源コード30をある程度引き出した後、電源コード30から引き出し力を解除すると、巻取ドラム26が回転付勢手段により電源コード30を巻き取る方向に僅かに回転して、ブレーキローラ120がブレーキアーム32と上フランジ27との間に楔状に食い込んでロックし、巻取ドラム26の回転を停止させ、電源コード30を引き出した状態にする。この電源コード30のプラグ30aを図示しない商用電源のコンセントに差し込むことで、電動送風機17に駆動電力を供給可能な状態となる。
【0045】
この状態で、手元操作パイプ8の操作パネル8aを操作して、電動送風機17を駆動させると、電動送風機17の吸込負圧が負圧室21,連通風路16a,ギヤ50のアーム52間及びプリーツフィルタ48を介して負圧室38bに作用する。そして、この負圧室38bに作用する吸込負圧は、ネットフィルタ43を介して吸込口38cに作用すると共に、ネットフィルタ47,集塵室38aを介して吸込口38cに作用する。この吸込口38cに作用する吸込負圧は、集塵ホース7,手元操作パイプ8及び延長パイプ9を介して吸込口体10に作用する。
【0046】
これにより、吸込口体10に塵埃を含むエア(空気)が吸い込まれて、この吸い込まれたエア及び塵埃は、延長パイプ9,手元操作パイプ8及び集塵ホース7を介して吸込口38cに吸い込まれた後、筒部42内に流入する。
【0047】
この吸い込まれるエアの一部はネットフィルタ43を透過して負圧室38bに流入する。この際、エアに含まれる軽い塵埃はネットフィルタ43に捕捉される。一方、筒部42内に流入するエアに含まれる塵埃は、大半が慣性力により残りのエアと共に直進した後、筒部44を介して集塵室38a内に流下させられる。そして、集塵室内38a内に流入したエアは、旋回流となり集塵室38aに流入する塵埃を遠心力(慣性力)により分離すると共に集塵室38aの底部側に圧縮させる。この塵埃を圧縮したエアは、ネットフィルタ47を透過して負圧室38b内に流入する。
【0048】
この様な状態で、ネットフィルタ43にある程度の塵埃が捕捉され、ネットフィルタ43を透過して負圧室38b内に流入するエアの量が減少すると、筒部44を介して集塵室38a内に流入するエアの量が増大する。このエア流れは、ネットフィルタ43に付着してある程度塊となった塵埃をネットフィルタ43から剥離し、ネットフィルタ43の目詰まり状態を解消する。この剥離された塵埃は集塵室38a内に捕集される。
【0049】
この負圧室38b内に流入したエアは、プリーツフィルタ48をギヤ50側に透過した後,ギヤ50のアーム52間,連通風路16a及び負圧室21を介して電動送風機17の遠心ファン部18に設けたエア吸込口18aに吸い込まれる。このエアがプリーツフィルタ48を透過する際、プリーツフィルタ48には微細な塵埃及びこれより大きい塵埃が多少捕捉されることになる。そして、遠心ファン部18に吸い込まれたエアは、モータ部19内を流れて内部を冷却し、排気口19aから送風機室11内に排気され、上ケース3の側壁3aに設けた多数の排気孔14から掃除機本体1外の大気に排気される。
【0050】
この様にして清掃が終了後は、操作パネル8aを操作して電動送風機17を停止させると共に、電源コード30を図示しないコンセントから取り外して、ハンドル33を下方に押し下げると、ハンドル33に設けた傾斜カム面15bがブレーキアーム32を支持軸23aを中心にスプリング(図示せず)のバネ力に抗して格子壁13側に回動させて、図示しないブレーキローラを上フランジ27から離反させ、コードリール25のロック状態を解除する。
【0051】
これにより、巻取ドラム26は、回動付勢手段により回転して電源コード30を巻き取っていく。この際、ラチェット爪64,65同士が互いに係止されてピニオン61と従動回転体62が一体に回転する。
【0052】
この従動回転体62の回転は、回転軸59,ピニオン60を介してギヤ53に伝達され、ギヤ53が支持軸51aを中心に回転させられる。このギヤ53の回転に伴い、係合子57がコイルスプリング56を撓めるようにしてプリーツフィルタ48の山部48aを乗り越えながら移動し、プリーツフィルタ48に振動が発生させられる。この振動により、プリーツフィルタ48の前面側に捕捉され付着した塵埃が掻き落とされ様に下方に落下して集塵空間38eに捕集される。
【0053】
尚、この発明の実施の形態では、フィルタ(プリーツフィルタ48)に捕捉された塵埃を落下させる除塵手段として回転によりフィルタ(プリーツフィルタ48)に振動を付与する振動付与手段49を用いた例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0054】
例えばフィルタ(プリーツフィルタ48)の前面に接触して回転するブラシ(塵埃掻き落とし部材)を除塵手段として設けて、このブラシにコードリール25からの回転を回転力伝達手段58により伝達させて、このブラシを回転させることにより、ブラシによりフィルタ(プリーツフィルタ48)の前面に付着した塵埃を回転するブラシするブラシにより直接掻き落とすようにしても良い。
【0055】
また、このブラシは上下動してフィルタ前面の塵埃を掻き落とすように構成しても良い。このフィルタが波形状のプリーツフィルタである場合には、ブラシがプリーツフィルタの波形状の山や谷まで接触して塵埃を掻き落とすことができる。
【0056】
ところで、掃除機本体1を持ち運ぶ際、ハンドル33を収納凹部150から引き出すが、この引き出しのとき、ハンドル33の台座部102にスプリング104の下端部が当接してバネ受部105から外れて台座部102にスプリング104が保持される。そして、図17および図18に示すように、その引き出しとともにスプリング104の上端が当接部106に当接してスプリング104が圧縮していく。このスプリング104の圧縮によりハンドル33は下方に付勢される。
【0057】
ハンドル33の握り部34から手を離すと、スプリング104の付勢力によりハンドル33は下方に移動し、ハンドル33の握り部34が収納凹部150に強制的に収納されていく。
【0058】
ハンドル33の握り部34が収納凹部150に収納されると、図14および図15に示すように、スプリング104の下端部がバネ受部105に当接してハンドル33の台座部102から外れて、スプリング104がバネ受部105に保持される。また、ハンドル33のリブ103の下端部103Aがスプリング104の上端に当接し、ハンドル33がスプリング104を介してバネ受部105に載置される。
【0059】
この際、ハンドル33の慣性力によりハンドル33は図14および図15に示す位置より下に下がる。このとき、ハンドル33のリブ103の下端部103Aがスプリング104の上端を下方に押していくので、スプリング104が圧縮されていく。このスプリング104の圧縮により、ハンドル33の握り部34が収納凹部150に強制的に収納される際の衝撃を吸収し、その収納時の衝撃音の発生や、その衝撃によるハンドル33の握り部34やガイド部35や中ケース3の底壁部(本体)3Aの破損を未然に防止することができる。
【0060】
掃除機本体1から引き出された電源コード30を巻き取るには、図1および図2に示すハンドル33の握り部34を下方に押す。ハンドル33は、図14および図15に示す位置から所定量だけ下方に移動すると、図16に示すようにスプリング104が圧縮されるとともに、中ケース3の底壁部3Aの孔3Bにハンドル33の傾斜カム面35bが挿入されてコードリール25のブレーキが解除され、電源コード30がコードリール25に巻き取られていく。
【0061】
そして、ハンドル33の握り部34から指を離せば、圧縮されたスプリング104の付勢力により、ハンドル33が上方に移動して図1および図2(図14および図15)に示す元の位置へ戻る。すなわち、スプリング104が元の長さに伸長してハンドル33を支えることになる。
【0062】
このように、ハンドル33を引き出した際や押し下げた際に、スプリング104が圧縮されていくので、すなわちスプリング104が引き延ばされることがないので、スプリング104がヘタってしまうことがなく、このためスプリング104の寿命を延ばすことができる。
【0063】
また、コードリール25をほぼ水平に配置したものであるから、掃除機本体1を大きくせずにブレーキアーム32の長さを長くとることができ、このため、ブレーキアーム32が図19に示す位置からロックが解除される鎖線位置へ移動しても、リブ121と傾斜カム面35bの接触点P1の位置はほとんどずれない。つまり、軸23aから接触点P1までの長さと、軸23aから接触点P1′までの長さはほとんど同じとなり一定に保たれる。
【0064】
このため、ハンドル33を押し下げてロックを解除する際、そのハンドル33の下降する距離に拘わらずその押圧力は一定となり、ハンドル33が下がるにつれてハンドル33の操作が重くなってしまうことがない。さらに、ブレーキアーム32の長さを長くとることができることにより、ブレーキアーム32を回動させる力を小さくすることができ、ロックを解除する際のハンドル33の操作を軽くすることができる。
【0065】
また、ハンドル33は掃除機本体1の重心の真上に設けられているので、ハンドル33を強い力で押し下げても掃除機本体1が転倒したり本体1の前側や後部側が持ち上がったりすることがなく、掃除機本体1を安定させた状態でハンドル33を押圧操作することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、掃除機本体の小型化を図ることができるとともに、コードリールのブレーキ解除の際のハンドルの操作を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明に係る電気掃除機の概略斜視図、(b)は(a)の掃除機本体の集塵容器及びカバーを取り外した状態の拡大斜視図である。
【図2】図1(a)の掃除機本体の断面図である。
【図3】図2の回転力伝達手段の拡大説明図である。
【図4】図3のA1−A1線に沿う断面図である。
【図5】図3のA2−A2線に沿う断面図である。
【図6】図2のプリーツフィルタの斜視図である。
【図7】図2のプリーツフィルタと振動付与手段(除塵手段)の係合子との関係を示す部分拡大斜視図である。
【図8】図2のプリーツフィルタと振動付与手段の係合子との関係を示す部分拡大断面図である。
【図9】図2のプリーツフィルタへの振動付与手段を斜め前側から見た斜視図である。
【図10】図2の振動付与手段とコードリールの関係を示す斜視図である。
【図11】図10の振動付与手段とコードリールの関係を後側から見た斜視図である。
【図12】図10の振動付与手段とコードリールの関係を斜め後側から見た斜視図である。
【図13】図10の振動付与手段とコードリール等の分解斜視図である。
【図14】ハンドルがスプリングを介してバネ受部に載置されている状態を示した説明図である。
【図15】一部を省略した図14の右側面図である。
【図16】ハンドルが押し下げられた状態を示した説明図である。
【図17】ハンドルが引き出された状態を示した説明図である。
【図18】一部を省略した図17の右側面図である。
【図19】ブレーキアームと巻取ドラムとブレーキローラの関係を示した説明図である。
【図20】従来の電気掃除機本体に設けたコードリールを示した説明図である。
【図21】ハンドルを押し下げてコードリールのロックを解除した状態を示した説明図である。
【符号の説明】
1 掃除機本体
17 電動送風機
22 支持軸(軸)
25 コードリール
30 電源コード
33 ハンドル

Claims (3)

  1. 掃除機本体と、
    前記掃除機本体に収容され、集塵室が設けられた集塵容器と、を備え、
    前記掃除機本体は、
    前記集塵室に吸込負圧を作用させる電動送風機と、
    前記電動送風機に電力を供給する電源コードと、
    前記電源コードを巻き取る方向に回転付勢されたコードリールと、
    前記集塵室と前記電動送風機のエア吸込口との間の風路に配設されたフィルタと、
    前記フィルタに接触して前記フィルタに捕捉された塵埃を落下させる除塵手段と、
    前記コードリールの回転を前記除塵手段に伝達する回転力伝達手段と、
    上下動可能に設けられたハンドルと、を備え、
    前記コードリールは、
    その回転軸がほぼ垂直となるように配置され、かつ、前記ハンドルの押し下げ操作によってロックの解除操作が行われて前記電源コードを巻き取り、
    前記回転力伝達手段は、
    前記ハンドルの押し下げ操作によって前記コードリールに前記電源コードが巻き取られる際には前記コードリールの回転を前記除塵手段に伝達可能にすることを特徴とする電気掃除機。
  2. 前記コードリールは、電源コードを巻き取る巻取ドラムと、この巻取ドラムの周面に当接してその巻取ドラムをロックするブレーキローラとを有し、
    前記ハンドルの押し下げ操作によって前記ブレーキローラを水平方向に移動させて巻取ドラムの周面から離間させることにより前記コードリールのロックの解除操作が行われることを特徴とする請求項に記載の電気掃除機。
  3. 前記ハンドルは下端にテーパ面を形成した脚部を有し、
    前記コードリールは、前記ブレーキローラを水平方向に移動させるブレーキアームを有し、
    前記ハンドルの押し下げ操作の際に、前記テーパ面によって前記ブレーキアームが水平に回動してブレーキローラが巻取ドラムの周面から離間することを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機。
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