JP4129230B2 - 安定剤としてのリン化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、加工過程における熱と機械的応力への暴露に関するポリマーの安定剤としてのリン化合物に関する。
加工過程において高分子化合物を安定化させるのに使用することができる多くのリン化合物が、従来技術において記述されている(例えば、以下の文献を参照されたい:“Kunststoff−Additive” [Plastics additives]−Gachter 及び Muller, 3rd Edn., 1990)。ここで、特に、ホスフィト類及びホスホニト類の化合物を挙げることができるが、これらは、工業規模に至るまで広く使用されている。これらの安定剤により、加工過程における熱と機械的応力への暴露によるポリマーの損傷が減じられる。
これらの化合物の欠点は、加水分解を比較的受けやすいことであり、充分な安定化作用を示すためには500ppmを超える範囲の量を使用する必要がある。使用する正確な量は、当然のことながら、目的とする適用分野や当該ポリマーのタイプに依存し、常に、適切な試行を行って決定しなくてはならない。
基本的に適切である別の化合物群はホスファン類の化合物であり、これらの化合物は、ホスフィト類及びホスホニト類の化合物とは異なって、加水分解されるP−O結合を有さない。従って、これらの化合物では加水分解反応は生起しない。それにもかかわらず、このクラスの化合物は、実際には、商業的には全く使用されていない。しかしながら、特許文献は、前記化合物の安定剤としての適合性に関連している(例えば、米国特許第3,637,907号及び米国特許第2,981,716号)。これら参照文献の実施例から、当該参照文献に記載されている化合物の使用濃度範囲が慣習的な安定剤の使用濃度範囲と同じであることを理解することができる。前記参照文献に記載されている構造物はその効果において従来から使用されている安定剤よりも実質的に有利な点はないと結論することができる。
米国特許第5,852,138号には、ホスフィンとケイ素化合物の組合せからなる安定剤混合物とそのポリカーボネートにおける使用が開示されている。その実施例において、1,2-ビス-(ジフェニルホスフィノ)エタンと1,4-ビス-(ジフェニルホスフィノ)ブタンがシランとの1:4混合物として、0.2重量%の濃度でポリカーボネート中に適用されている。
米国特許第5,627,256号には、アリールホスフィンを含有するポリカーボネートが開示されている。その実施例において、1,2-ビス-(ジフェニルホスフィノ)エタンと1,4-ビス-(ジフェニルホスフィノ)ブタンが、0.1重量%の濃度でポリカーボネート中に適用されている。
米国特許第3,637,907号には、ジホスフィンで安定化されているポリオレフィンが開示されている。第2カラムの第8〜11行には、効果的な安定化を達成するために必要なアルキレンジホスフィンの量は、当該ホスフィンを添加するポリオレフィン100ポンド当たり0.1〜3ポンドのホスフィンであると記載されている。D3の実施例1において、ポリプロピレンに0.13重量%の量のエチレンビス(ジフェニルホスフィン)が適用されており、D3の実施例2では、ポリプロピレンに0.1重量%の量のエチレンビス(ジフェニルホスフィン)が適用されている。
米国特許第5,488,079号には、ホスフィンを用いたポリオレフィンの安定化が開示されており、その際、当該ホスフィンは、好ましくは、0.02〜1重量%の量で適用される。実施例6では、PPにトリス-(4-メチル-フェニル)ホスフィンが0.04重量%の量で適用されており、実施例7では、PPにトリス-(4-メチル-フェニル)ホスフィンが0.07重量%の量で適用されている。
驚くべきことに、1種以上のポリマー、特に、ポリオレフィン(成分(a))と、式(I)〜式(IV)の1種以上の化合物(成分(b))を含有する組成物が、たとえ成分(b)の濃度範囲が極めて低くても、非常に高い安定性を有するということが見いだされた。安定化効果の基準は、当該ポリマーが加工処理された後、溶融状態でその最初の分子量を保っていること、及び、それぞれ、メルトフローインデックス(MFI)の測定及び/又は加工処理に起因して起こる変色の測定による当該ポリマーの技術的な定量である。
実施した実験に基づいて、いずれの場合にも成分(a)を基準として、5〜500ppmの範囲であっても、好ましくは10〜400ppmの範囲で、特に、25〜350ppmの範囲で、充分な安定化効果が得られると推定される。
従って、本発明は、成分(a)として1種以上のポリマーを含有し、成分(b)として、式(I):
Figure 0004129230
[式中、互いに独立して、
及びRは、直鎖若しくは分枝鎖のC1−18−アルキル;C5−8−シクロアルキル;C6−24−アリール/ヘテロアリール;又は、適切な場合には直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルコキシ、C5−8−シクロアルキル又はフェニルで一置換〜五置換されているC7−25−アリール/ヘテロアリールであり、
、R及びRは、H、直鎖若しくは分枝鎖のC1−18−アルキル;C5−8−シクロアルキル;C6−24−アリール;C7−25−アルキルアリール;−P(R)(R)基、−CH−P(R)(R)基、−CH−OH基、−CH−Cl基若しくは−CH−Br基;又は、適切な場合には直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルコキシ、C5−8−シクロアルキル又はフェニルで一置換〜五置換されているC7−24−アリールである]
で表される1種以上の化合物を含有する組成物を提供する。
好ましい式(I)の化合物においては、式中、
'及びR'が、直鎖若しくは分枝鎖のC6−18−アルキル;C6−8−シクロアルキル;C6−18−アリール、又は、適切な場合には直鎖若しくは分枝鎖のC1−8アルキル、直鎖若しくは分枝鎖のC1−8アルコキシ、C6−8−シクロアルキル又はフェニルで一置換〜三置換されているC7−25−アリールであり、
'、R'及びR'が、H、直鎖若しくは分枝鎖のC1−12−アルキル;C6−8−シクロアルキル;C6−18−アリール;C7−25−アルキルアリール;−P(R')(R')基、−CH−P(R')(R')基、−CH−OH基、−CH−Cl基若しくは−CH−Br基;又は、適切な場合には直鎖若しくは分枝鎖のC1−8−アルキル、直鎖若しくは分枝鎖のC1−8−アルコキシ、C6−8−シクロアルキル又はフェニルで一置換〜三置換されているC7−24−アリールである。
特に好ましい式(I)の化合物においては、式中、
''及びR''は、C6−8−シクロアルキル;フェニル;又は、適切な場合には直鎖若しくは分枝鎖のC1−8−アルキル又は直鎖若しくは分枝鎖のC1−8−アルコキシで一置換〜三置換されているフェニルであり、
''、R''及びR''は、直鎖若しくは分枝鎖のC1−8−アルキル;フェニル;C7−19−アルキルアリール;−CH−P(R'')(R'')基、−CH−OH基若しくはCH−Cl基;又は、適切な場合には直鎖若しくは分枝鎖のC1−8−アルキル又は直鎖若しくは分枝鎖のC1−8−アルコキシで一置換〜三置換されているフェニルである。
下記化合物:
Figure 0004129230
Figure 0004129230
は、特に重要である。
式(I)〜式(IV)の化合物は、既知の調製方法により、既知の化合物から調製することができる。そのような調製方法の概略は、例えば、以下の文献に記載されている: G.M. Kosolapoff, Organic Phosphorus Compounds, Volume 1−7, Wiley, New York, 1972 又は Houben/Weyl, Methoden der Organischen Chemie [Methods of organic chemistry], Volume 12, 4th Edition, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1963 及び適切な補遺編。前記文献の内容は、参照により本明細書に組み入れる。
上記化合物は、特徴的には、塩素化アルキル若しくは塩素化アリール又は臭素化アルキル若しくは臭素化アリールなどの有機ハロゲン化合物及びPClから、グリニャール反応若しくは修正ウルツ反応を使用し、フリーデル−クラフツ反応を使用し、P−H含有化合物を多重結合に付加し、P−H化合物をアルキル化若しくはアリール化し、二有機ホスホニトと有機ハロゲン化物のアルブーゾフ反応を使用し、次いで、還元するか、又は、先に形成されたホスファンを誘導体化することにより調製する。
本発明の組成物中に存在させる成分(b)の量は、いずれの場合にもポリマー(a)の重量を基準として、好ましくは、5〜500ppm、好ましくは、10〜400ppm、特に、25〜350ppmである。
本発明のポリマー配合物に添加し得る別の添加剤としては、酸化防止剤、例えば、立体障害フェノール、第二級芳香族アミン又はチオエーテルなど(“Kunststoff−Additive” [Plastics additives] Gachter and Muller, 3rd Edn., 1990, p. 42−50 に記載されている。前記文献の内容は、参照により本明細書に組み入れる);酸捕捉剤、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸マグネシウム、乳酸亜鉛、乳酸カルシウム、ヒドロタルサイト又はアルコキシル化アミンなど;紫外線安定剤、並びに、さらに別の立体障害アミン(例えば、N−非置換2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物、N−アルキル置換2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物、N−O−アルキル置換2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物又はN−アシル置換2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物など)[ヒンダードアミン光安定剤(HALS)としても知られている]及び紫外線吸収剤(例えば、2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール, 2−ヒドロキシベンゾフェノン, (2−ヒドロキシフェニル)トリアジン, 1,3−ビス(2'−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾサリチレート、1,3−ビス(2'−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾシンナメート及びオキサミドなど)、紫外線消光剤(UV quenchers)、例えば、ニッケル錯体、ベンゾエート及び置換ベンゾエートなど、静電気防止剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、核化剤、金属不活性化剤、殺生物剤、衝撃改質剤、充填剤、顔料及び殺菌剤などがある。.
成分(b)は、調製プロセスに先立って、調製プロセスの最中、又は、調製プロセスの後で、ポリマー材料(a)に添加し得る。前記添加は、固体若しくは溶融形態を用いて行うか、又は、溶液若しくは懸濁液、好ましくは、10〜80重量%の成分(b)と90〜20重量%の溶媒を含む液体濃厚物を用いて行うか、又は、10〜80重量%(特に、40〜70重量%)の成分(b)と90〜20重量%(特に、60〜30重量%)の固体ポリマー材料(これは、安定化させるポリマー材料と同一であるか又は相溶性である)を含む固体濃厚組成物(マスターバッチ)を用いて行う。
さらに、別の添加物(例えば、上記した添加物)を上記したように当該ポリマーに組み入れる場合は、成分(b)は、そのような添加物との混合物の形態であってもよい。それらの混合物(ブレンドとも称される)は、粉末の混合、圧密成形、押出若しくは溶融造粒、又は、同様の方法で調製し得る。
ポリマー材料には、重合、重縮合又は重付加によりモノマー単位から調製することができる生成物が包含される。そのようなポリマー(a)の例は、ポリオレフィン(ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE、VLDPEなど)、ポリプロピレン、ポリブチレン、COCなど、及びそれらのコポリマー)、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、PET、PBT、PBNなど)、ポリアミド及びポリアセタールである。前記した個々のポリマーのコポリマーも包含されるし、同様に、種々のポリマーのブレンドも包含される(例えば、ABS、SANなど)。
以下に示す実施例により、本発明を例示する。
実施例1
100.0部のポリプロピレン
0.05部のHostanox O 10(登録商標)
0.1部のステアリン酸カルシウム
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパン(化合物(II))
からなるポリマー組成物を乾式混合し、210℃で予備押出しすることにより混合する。前記組成物を、次いで、Gottfert単軸押出機(270℃,d=20mm,l:d=20,50min−1,圧縮 1:3)を通して繰り返し押出し、得られた溶融ポリマーを、冷却後、水浴中で造粒する。1回目、3回目及び5回目のパスの後で、メルトフローインデックス(MFI,ASTM D−1238−70,230℃,2.16kg)及びイエローインデックス(Yellowness Index)(YI,ASTM D1925−70,ペレット)を測定する。
実施例2
0.005部の代わりに0.01部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例1の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例3
0.005部の代わりに0.02部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例1の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例4
0.005部の代わりに0.04部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例1の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例5
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.005部の1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)プロパン(化合物(III))を用いる以外は実施例1の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例6
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.01部の1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)プロパン(化合物(III))を用いる以外は実施例1の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例7
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.02部の1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)プロパン(化合物(III))を用いる以外は実施例1の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例8
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.04部の1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)プロパン(化合物(III))を用いる以外は実施例1の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例9
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.005部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例1の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例10
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.01部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例1の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例11
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.02部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例1の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例12
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.04部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例1の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例13
ホスファンもSandostab P−EPQ(登録商標)も使用しないこと以外は実施例1の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
Figure 0004129230
Figure 0004129230
実施例1〜13の上記結果から、以下に示す結論を引き出すことができる。
− 安定化の基準レベル(実施例13)と比較して、慣用の安定剤であるSandostab P−EPQ(登録商標)(ホスホニト)は、400ppm未満の濃度では最低限の安定化作用を示すにすぎない。このことは、いずれのパスにおいてもMFIの値が実施例13の値よりも僅かに小さいだけであることから分かる。ポリプロピレンが分解して鎖長が短くなことにより粘度が低下し、その結果、MFI値が増大している。
− 上記とは対照的に、一連の実施例1〜4と実施例5〜8は、それぞれ、50ppmという低い濃度での使用においても有効性が認められることを明瞭に示している。試験品1と試験品13の差及び試験品5と試験品13の差が、それぞれ著しかったので、50ppm未満の濃度でも有効であると推定することができる。
− 色値(colour value)(YI)についても同様の結論に達し得る。この場合も先と同様に、本明細書の特許請求の範囲に記載されている化合物(実施例1〜8)は、慣用の加工用安定剤(実施例9〜12及び実施例13のそれぞれ)に比較して極めて良好な効果を示している。
実施例14
100.0部の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)
0.03部のHostanox O 16(登録商標)
0.05部のステアリン酸カルシウム
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパン(化合物(II))
からなるポリマー組成物を乾式混合し、210℃で予備押出しすることにより混合する。前記組成物を、次いで、Gottfert単軸押出機(230℃,d=20mm,l:d=20,70min−1,圧縮 1:3)を通して繰り返し押出し、得られた溶融ポリマーを、冷却後、水浴中で造粒する。1回目、3回目及び5回目のパスの後で、メルトフローインデックス(MFI,ASTM D−1238−70,190℃,2.16kg)及びイエローインデックス(Yellowness Index)(YI,ASTM D1925−70,ペレット)を測定する。
実施例15
0.005部の代わりに0.01部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例14の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例16
0.005部の代わりに0.02部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例14の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例17
0.005部の代わりに0.04部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例14の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例18
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.005部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例14の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例19
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.01部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例14の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例20
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.02部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例14の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例21
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.04部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例14の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例22
ホスファンもSandostab P−EPQ(登録商標)も使用しないこと以外は実施例14の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
Figure 0004129230
実施例14〜22の上記結果から、以下に示す結論を引き出すことができる。
− 50ppmの濃度においてさえ、本発明の安定剤(実施例14〜17)は、慣用のホスホニトを主成分とするSandostab P−EPQ(登録商標)に比較して著しく良好な作用を示している。当該安定化作用は、基準レベルの安定化を示す配合物(実施例22)と比較することにより明白である。LLDPEは、通常、架橋しながら分解するので、粘度が上昇し、その結果、MFI値は低下する。
− 本発明の化合物に関して、実施例17においては、MFI値が5回の押出し工程を通して同じままであり、得られた溶融流動安定化作用は実質的に理想的である。
− 色値(colour value)(YI)につても同様の結論に達し得る。この場合も先と同様に、本明細書の特許請求の範囲に記載されている化合物(実施例14〜17)は、慣用の加工用安定剤(実施例18〜21及び実施例22のそれぞれ)に比較して極めて良好な効果を示している。
実施例23
100.0部の高密度ポリエチレン(HDPE)
0.05部のHostanox O 10(登録商標)
0.10部のステアリン酸カルシウム
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパン(化合物(II))
からなるポリマー組成物を乾式混合し、210℃で予備押出しすることにより混合する。前記組成物を、次いで、Gottfert単軸押出機(240℃,d=20mm,l:d=20,70min−1,圧縮 1:3)を通して繰り返し押出し、得られた溶融ポリマーを、冷却後、水浴中で造粒する。1回目、3回目及び5回目のパスの後で、メルトフローインデックス(MFI,ASTM D−1238−70,190℃,2.16kg)を測定する。
実施例24
0.005部の代わりに0.01部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例23の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例25
0.005部の代わりに0.02部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例23の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
実施例26
0.005部の代わりに0.04部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンを用いる以外は実施例23の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例27
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.005部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例23の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例28
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.01部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例23の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例29
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.02部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例23の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例30
0.005部のビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2−ジメチルプロパンの代わりに0.04部のSandostab P−EPQ(登録商標)(製造元:Clariant AG)を用いる以外は実施例23の方法を用いて、ポリマー組成物を調製する。
比較実施例31
ホスファンもSandostab P−EPQ(登録商標)も使用しないこと以外は実施例23の方法によって、ポリマー組成物を調製する。
Figure 0004129230
実施例23〜31の上記結果から、以下に示す結論を引き出すことができる。
− 極めて低濃度である約100ppmの濃度においてさえ、本発明の安定剤(実施例24〜26)では、加工過程における分解反応に起因するMFIの変化が効果的に抑制されている。それに対して、比較の物質(実施例27〜30)は、試験を行った最も高濃度の400ppm(実施例30)においてのみ同様の効果を示すことができる。
− 本発明の物質(II)では、試験した最も低濃度であるわずか50ppm(実施例23)でも極めて良好な安定化作用を示す。このことは、第1回目のパスから第5回目のパスまでMFI値がほんの僅かしか低下していないことから分かるし、さらに、実施例31と比較することで分かる。従って、50ppm未満の濃度でも安定化作用を示すと推定される。

Claims (6)

  1. 成分(a)として、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及びポリアセタール並びに前記個々のポリマーのコポリマー及びブレンドから選択される1種以上のポリマーを含有し、
    成分(b)として、式(II)、式(III)及び式(IV):
    Figure 0004129230
    Figure 0004129230
    で表される化合物から選択される1種以上の化合物を、前記ポリマーを基準として10〜400ppmの量で含有する、組成物。
  2. 前記組成物中の前記ポリマーを基準にして、25〜350ppmの成分(b)を含有する、請求項1に記載の組成物。
  3. 化防止剤;酸捕捉剤;紫外線安定剤並びに立体障害アミン(HALS)及び紫外線吸収剤、紫外線消光剤、静電気防止剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、核化剤、金属不活性化剤、殺生物剤、衝撃改質剤、充填剤、顔料及び殺菌剤をさらに含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 加工過程における熱と機械的応力への暴露に関してポリマーを安定化させる方法であって、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及びポリアセタール並びに前記個々のポリマーのコポリマー及びブレンドから選択される安定化させようとするポリマーを基準にして、10〜400ppmの請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(II)〜式(IV)の化合物を添加することを特徴とする前記方法。
  5. 用いる前記化合物の量が25〜350ppmであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記ポリマーが1種以上のポリオレフィンを含んでいることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
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