JP4128871B2 - 遺伝子担体表面展示方法{MethodforSurfaceDisplayofProteinsonGeneticCarriers} - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質の表面展示方法に関するものであって、より詳細には、胞子などの表面にタンパク質を展示する方法、これを用いたタンパク質の改良方法、特定物質の分離方法及び生物転換方法に関するものである。
単一有機体表面に所望のペプチド、ポリペプチドなどのタンパク質類を表面に付着して発現する表面展示技術は、発現されたタンパク質類の性質により、または表面展示される宿主単一有機体の性質により多様な生物工学分野に応用可能である(Georgiou et al., 1993, 1997; Fischetti et al., 1993; and Schreuder et al., 1996)。このような表面展示技術は、バクテリオファージ、バクテリア、酵母または哺乳動物細胞など、様々な単一細胞有機体を宿主細胞として利用し開発された。
表面展示技術は、表面に展示されたタンパク質の遺伝子が宿主有機体内に含まれているため、表面発現された宿主有機体を表面発現されたタンパク質の性質を用いて選択的に選別することができ、選別された宿主有機体から所望の遺伝子を容易に確保することができるため、タンパク質の分子的進化のための強力な手段を提供するという特徴がある(WO 9849286、米国特許第5837500号)。
超高速スクリーニング
例えば、所望の結合力を有する抗体が表面発現されたファージを固定化された抗原と結合させて、溶出してファージを再び増殖させると、ターゲット抗体をコーディングする遺伝子をファージから確保することができる(米国特許第5837500号)。このようなパニング法は、抗体のライブラリーを大量にファージに表面発現することによりターゲット抗体を選別する手段を提供することができて、次のような段階を含む連続過程からなる:(1)ライブラリーを製造する段階;(2)ライブラリーの表面発現段階;(3)固定化された抗原と結合する段階;(4)結合されたファージを溶出する段階;最終的に(5)選別されたクローンを増殖する段階。
前述のファージ表面展示技術は、多量のライブラリー(10−10変異体)から最も速く所望の単一クローン変異体を獲得するのに有利であって、抗体の超高速スクリーニング分野に応用されることになり非常に重要となった。抗体は、最近、治療、診断及びその他の分析作業で需要が格段に増加されている重要な生理活性タンパク質である。そのため、新しい物質に対する結合力を有する、または生化学的反応を触媒することのできる抗体を確保することが重要となり、このために伝統的にはハイブリドマ技術を用いて単一クローン抗体を生産してきた。しかし、前記方法は、高価で、たくさんの所要時間がかかると共に、最終的に得られる抗体の量も少量であるという短所がある。さらに、新しい抗体を探索するためには1010以上の抗体ライブラリーから探し出さなければならないため、ハイブリドマ技術は新しい結合を有する抗体を探索するのに不適である。
一方、前述のファージ表面発現技術を用いたパニング法よりもっと簡単且つ効果的な方法を提供するために、バクテリアや酵母の表面にライブラリーを発現して、フローサイトメトリーを活用し迅速に所望のターゲットタンパク質の発現された細胞を純粋分離する技術も開発された。この技術によると、蛍光物質により標識された抗原を表面発現された細胞と接触させて結合させ、時間当たり10個以上の細胞を分析することのできるフローサイトメトリーを使用して所望の結合力を有する抗体を純粋分離する。フランシスコらは、フローサイトメトリーにより、表面発現された単一クローン抗体が10以上の比として濃縮できることと、最終的に79%以上の細胞が所望の細胞であることを確認し、微生物表面発現技術の有用性を見せつけた(Daugherty et al., 1998)。
生ワクチン
前述の表面展示技術は、抗原またはその一部を細胞表面に展示して再組み合わせ生ワクチンの伝達手段を提供するようになる。現在までのワクチンは、弱毒化された病原性細菌やウイルスを主に使用して、特に、バクテリアの場合は、抗原を細胞内、細胞膜または細胞外に分泌発現して宿主細胞に伝達した。一方、表面展示された生ワクチンは、非常に強力な免疫反応を示し、且つ宿主細胞内に増殖しながら持続的に抗原を発現することができるため、新しいワクチン伝達手段として注目を浴びている。特に、非病原性大腸菌やサルモネラ菌の表面に病原性由来の抗原エピトープを発現し、生きている状態のまま経口投与する場合は、さらに持続的且つ強力な免疫反応を示すと知られている(Georgiou et al., 1997; and Lee et al., 2000)。
全細胞生物転換
化学的反応に使用できる酵素が表面に展示された全細胞を生物触媒として使用する場合は、酵素の直接発現、分離及び安定化などの過程が要らないという長所がある。生物転換に使用される酵素を細胞内に発現させる場合は、細胞を培養して回収した後、トルエンのような化学物質を使用して基質が透過できるようにする過程が必須的である。また、持続的に使用する場合、酵素が活性を失うか、基質と産物の物質伝達に問題が生じて、工程全体の生産性が低下される問題点がある。
一方、前述した問題は、酵素を持続的に細胞表面に展示させることにより解決することができる(Jung et al, 1998a: 1998b)。ホスホジエステラーゼが表面に展示された全細胞を用いて、毒性がかなり強い有機リン系列のパラチオン(parathion)とパラオキソン(paraoxon)を分解した例は、酵素の表面展示された細胞が環境浄化工程に用いられることを証明した典型的な例である(Richins et al., 1997)。
抗ペプチド抗体
Martineauらは、大腸菌の表面展示技術を用いて抗ペプチド抗体を生産する、非常に簡単な方法を報告した(Martineau et al., 1991)。この文献に開示された内容をみると、MalEと細胞外膜タンパク質であるLamBの表面突出部位に所望のペプチドを発現した後、全細胞または粉砕された細胞を動物に投与して抗ペプチド抗体の生成を誘導して、このような方法による場合は、化学的にペプチドを合成するか、またはこれを伝達タンパク質に付着せずとも、抗体を生産することができるようになる。
全細胞吸着剤
吸着クロマトグラフィーに使用される抗体やタンパク質を適当な担体に固定化するためには、醗酵によるタンパク質の生産、純粋な状態としての分離及び精製、そして担体への固定化過程を経なければならない。しかしながら、大抵の場合、このようなバイオ吸着剤は、その生産工程が単純ではない。
一方、吸着タンパク質を微生物の表面に展示させて、細胞全体が一種の吸着剤として開発された。最もよく公知された全細胞吸着剤は、哺乳類抗体のFcドメインと高い親和性を有するタンパク質Aが表面に自然的に発現されたStaphylococcus aureusである。また、最近は、微生物表面展示技術を利用してメタロチオネイン(metallothionein)、または幾個のヒスチジン残基のような金属吸着タンパク質を細胞表面に大量発現展示して、重金属を除去及び回収する新しい方法が発表された(Sousa et al., 1996, 1998; and Samuelson et al., 2000)。前記方法によると、従来の金属吸着微生物を用いた方法より格段に積極的且つ効果的な方法であって、汚染源から重金属を除去または回収することができる。
前述のように、ある有機体の表面タンパク質を用いて外来タンパク質を細胞表面に発現して付着及び展示させるためには、適当な表面タンパク質と外来タンパク質とを遺伝子水準でお互い連結し融合タンパク質が生合成されるようにして、これらが安定に細胞内膜を通過して細胞表面に付着されて維持されるようにしなければならない。このためには、次のような性質を有する表面タンパク質を選定して表面発現の母体として使用しなければならない:1)細胞内膜を通過することのできる分泌シグナルを有し、2)細胞表面に安定に付着される標的シグナルを有して、3)細胞表面に多量に発現されて付着展示されつつ、4)タンパク質の大きさに関わらず安定的に発現されなければならない(Georgiou et al., 1993)。
一方、前述した従来の表面展示方法によると、表面展示母体は、遺伝子担体により遺伝子担体表面に存在する適当な表面タンパク質を選択して、表面タンパク質のN−末端やC−末端、またはタンパク質の中央に挿入されるように遺伝的な操作が必要である。表面に発現展示された全てのタンパク質は、表面展示母体と連結された融合タンパク質の形態として展示される。従って、野生形タンパク質ではない、変形された目的タンパク質が表面に付着展示されるのである。
現在まで遺伝子担体の表面タンパク質を表面展示母体として使用し目的タンパク質を表面展示できる表面展示システムは、ファージの表面展示システム(Chiswell and McCarferty, 1992)、バクテリア表面展示システム(Georgiou et al., 1993; Little et al., 1993; and Georgiou et al., 1997)、グラム陰性細菌の表面展示システム(Francisco et al., 1992; Fuchs et al., 1991; Klauser et al., 1990, 1992; and Hedegaard et al., 1989)、グラム陽性細菌の表面展示システム(Samuelson et al., 1995; Palva et al., 1994; and Sleytr and Sara, 1997)、酵母の表面展示システム(Ferguson, 1988; and Schreuder et al., 1996)などが公知である。また微生物胞子表面コートタンパク質と融合して目的タンパク質を胞子の表面に露出して展示しようとした試みがあった。前記胞子表面展示の例として、米国特許第5766914号は、Bacillus subtilisの外皮コートタンパク質であるCotCまたは内皮コートタンパク質であるCotDにレポーター酵素であるLacZを融合して実施した酵素の分離精製方法を開示している。また、米国特許第5837500号及び米国特許第5800821号もCotCまたはCotDが表面展示母体として適合であると記載しているが、実験的証明はできなかった。
また、グラム陰性細菌の表面展示システムは、外来ポリペプチドを挿入すると構造的制限をもたらし、安定した膜タンパク質を形成することができなく(Charbit et al., J. Immunol, 139:1644-1658(1987); and Agterberg et al., Gene, 88:37-45(1990))、宿主細胞の細胞外膜の安定性と生存力が減少された。表面展示技術が最も活発に研究された大腸菌宿主の場合、大部分が細胞外膜タンパク質を表面発現母体として開発されたが、細胞外膜タンパク質が外来タンパク質と融合して過発現されると細胞外膜が構造的に不安定になり、結果的に宿主細胞の生存力が落ちる短所がある(Georgiou et al., 1996)。
前述した従来の表面展示システムの問題点は、目的タンパク質の表面展示のために表面展示母体との融合タンパク質を作らなければならないことにその原因がある。一方、前記融合タンパク質の発現量が少ない場合は、全細胞生物転換、タンパク質アレイ及び抗体生成などのような反応の効率が劣り、過発現される場合は、前述のような問題点がある。また、表面展示母体と融合タンパク質による目的タンパク質の表面発現は、目的タンパク質の融合パートナーである表面展示母体が細胞、胞子またはファージの表面に挿入される程度によるため、表面に展示される量に限界がある。
前述のように、従来の表面展示技術は、目的タンパク質と表面展示母体との融合タンパク質を構成するということに基づく。これに、従来の表面展示システムによる場合は、(1)表面展示母体の遺伝子序列が分からなければならなく、(2)表面展示母体遺伝子がクローニングされなければならなく、(3)目的タンパク質の3次構造の融合された表面展示母体により影響を受ける虞もあって、(4)目的タンパク質がマルチマーにならないと活性を示さない場合は、融合タンパク質が独立的に表面展示されると、目的タンパク質が活性を喪失し、(5)目的タンパク質の表面展示は、表面展示母体が宿主細胞の表面に挿入される程度に依存するため、表面展示される量に限界があり、(6)タンパク質を表面に過量展示する場合は、宿主細胞の表面に構造的な問題が発生し、最終的には宿主細胞の生存力または環境に対しての耐性が格段に低下される問題点がある。
従って、前述した従来の表面展示技術の問題点を解決するためには、(1)表面展示母体の遺伝子序列が分からなくても表面展示システムを構築することができるか、(2)表面展示母体遺伝子がクローニングされていなくても表面展示システムを構築することができるか、(3)目的タンパク質が展示され固有の構造を成した後に、宿主細胞の表面に展示されることができるか、(4)表面に非選択的に結合することにより表面に展示された目的タンパク質の量が増加できるか、(5)表面展示された目的タンパク質の量が増加しても、宿主の生存力や環境に対しての耐性は減少しない、新しい表面展示システムが要求される。
本明細書全体に掛けて多数の論文及び特許文献が参照されその引用は括弧内に表示した。引用された論文及び特許文献の開示内容はその全体として本明細書に参照に挿入されて本発明が属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
本発明者らは、前述した従来の表面展示技術の問題点を解決するために鋭意研究した結果、表面展示母体を必要としない、全く新しい概念の表面展示方法を開発して、本発明による場合は、いかなるタンパク質であっても自分の固有な構造を維持したまま表面展示ができ、過量に表面展示された場合でも、遺伝子担体の生存力及び環境に対しての耐性には変化がないということを確認して、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、遺伝子担体表面に結合された目的タンパク質の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、遺伝子担体表面展示方法を用いた目的タンパク質の改良方法を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、遺伝子担体表面展示方法を用いて混合物内の特定物質を分離する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、遺伝子担体表面展示方法を用いた生物転換方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、脊椎動物において、遺伝子担体表面展示方法を用いた、抗原に対する抗体の生産方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、目的タンパク質の遺伝子担体表面展示用ベクターを提供することにある。
本発明の他の目的は、遺伝子担体表面展示用形質転換体を提供することにある。
本発明の他の目的は、遺伝子担体−目的タンパク質の複合体を提供することにある。
本発明の他の目的は、目的タンパク質の多様な変異体が表面展示された遺伝子担体ライブラリーを提供することにある。
本発明の他の目的は、遺伝子担体表面展示方法を用いて製造されるタンパク質アレイを提供することにある。
前述のように、本発明の遺伝子担体表面に結合された目的タンパク質の製造方法は、発現母体がない場合でも多様なタンパク質を表面展示することができると共に、目的タンパク質が発現され固有の構造を成した後、遺伝子担体の表面に展示されるため、完全な活性を有することができて、且つ、発現及び展示される目的タンパク質の量が大いに増加しても、遺伝子担体の生存力や環境に対しての耐性は減少しない、優れた効果を提供する。
本明細書で初めて採択している用語、‘遺伝子担体(genetic carrier)’とは目的タンパク質を表面に展示する有機体を意味し、次のような特徴を有することを意味する:(1)胞子及びウイルスからなる群から選択されて、(2)遺伝子担体を含む宿主細胞から発現された目的タンパク質と、望ましい解離常数を有しながら非共有結合できる能力を有していて;(3)必要に応じて、その表面特性が変化されるよう、遺伝的に変形が可能である。
さらに、本明細書では、タンパク質の表面展示に係わる従来文献に開示された用語‘宿主細胞’とは違う意味として宿主細胞を記載している。本明細書での用語‘宿主細胞’は、目的タンパク質を発現する細胞として次のような特徴を有することを意味する: (1)目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子により形質転換されて、(2)遺伝子担体が胞子またはウイルスである場合は、このような遺伝子担体を含んでいながら遺伝子担体の増殖を可能にして、(3)必要に応じて、遺伝的に変形可能である。
前述したように、本明細書では、目的タンパク質を発現する宿主細胞と目的タンパク質を表面展示する遺伝子担体とを厳しく区別している。
本発明は、(a)胞子及びウイルスからなる群から選択される遺伝子担体を含む宿主細胞を、目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子を含むベクターにより形質転換する段階、(b)前記形質転換された宿主細胞を培養して目的タンパク質を宿主細胞内に発現する段階、及び(c)前記発現された目的タンパク質が前記遺伝子担体表面との非共有結合を形成し、遺伝子担体表面に展示されるようにする段階を含む、遺伝子担体表面に結合された目的タンパク質の製造方法を提供する。
本発明の他の様態は、(a)目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子を突然変異させて、目的タンパク質変異体をエンコーディングする遺伝子ライブラリーを構築する段階、(b)前記構築された遺伝子ライブラリーを含むベクターライブラリーを製作する段階、(c)遺伝子担体としての胞子及びウイルスを含む宿主細胞を前記ベクターライブラリーにより形質転換する段階、(d)前記形質転換された宿主細胞を培養して目的タンパク質変異体を発現する段階、(e)前記発現された目的タンパク質変異体を前記遺伝子担体表面との非共有結合により遺伝子担体表面に展示されるようにして、遺伝子担体ライブラリーを得る段階、及び(f)前記遺伝子担体ライブラリーから、所望の特性を有する目的タンパク質変異体の表面展示された遺伝子担体をスクリーニングする段階を含むタンパク質の改良方法を提供する。
本発明のまた他の様態は、(a) 目的タンパク質としての結合タンパク質またはその結合ドメインをエンコーディングする遺伝子を突然変異させて、結合タンパク質またはその結合ドメイン変異体をエンコーディングする遺伝子ライブラリーを構築する段階、(b)前記構築された遺伝子ライブラリーを含むベクターライブラリーを製作する段階、(c)遺伝子担体としての胞子及びウイルスを含む宿主細胞を前記ベクターライブラリーにより形質転換する段階、(d)前記形質転換された宿主細胞を培養して、結合タンパク質またはその結合ドメイン変異体を発現する段階、(e)前記発現された結合タンパク質または結合ドメイン変異体を前記遺伝子担体表面との非共有結合を通じて遺伝子担体表面に展示されるようにして、遺伝子担体ライブラリーを得る段階、(f)前記遺伝子担体ライブラリーを予定目的物質と接触させて、前記予定目的物質の結合された結合タンパク質変異体またはその結合ドメイン変異体を選択して実施されるスクリーニングする段階;及び(g)スクリーニングされた改良結合タンパク質またはその結合ドメインの表面展示された遺伝子担体を混合物と接触させて、前記結合タンパク質またはその結合ドメインに結合する混合物内の特定物質を分離する段階を含む、混合物内の特定物質を分離する方法を提供する。
本発明の方法は、現在まで構築された表面展示方法とはその概念が全く相異なるものであって、遺伝子担体の表面に存する成分、特にタンパク質と目的タンパク質の非共有結合に基づく。本発明の基本的戦略を、例えば、遺伝子担体として胞子を利用した場合を挙げて説明すると、図1のようである。図1を参照して説明すると、目的タンパク質をエンコーディングする序列を有するベクターにより宿主細胞を形質転換して、次いで胞子が細胞内で形成される時期またはその以前に目的タンパク質を細胞内または細胞外に発現して、最終的には、細胞内で形成された微生物胞子の表面と目的タンパク質とが非共有結合方法により自然に結合展示される。
前述のように、本発明の最も大きい特徴は、従来のタンパク質表面展示に必ず必要であった表面展示母体が、本発明では使用されていないということである。本発明の方法は、表面展示のために使用される表面展示母体が必要ないため、細胞膜の通過が難しいタンパク質も、宿主細胞内で生合成されると自然に遺伝子担体の表面に結合されて表面に露出展示されて、宿主細胞が分解されて遺伝子担体が宿主細胞から露出されると、目的タンパク質が表面に付着展示された遺伝子担体を回収することができ、結局、最終的に形成された目的タンパク質−遺伝子担体の複合体は、多様な用途に使用することができるようになる。
前述の本発明の方法において、遺伝子担体として利用できるものは、胞子またはウイルスである。前記遺伝子担体の中で胞子が最も望ましいが、これは、胞子が次のような特性を有するためである(Driks、1999):(1)熱に対して非常に安定し、(2)放射線に対して比較的安定して、(3)毒性に対して安定し、(4)酸、塩基に対して非常に安定して、(5)リゾチームに安定し、(6)乾燥に耐性を有していて、(7)有機溶媒に対して安定し、(8)代謝的活性がなくて、(9)数時間内に容易に胞子を形成することができる。
本発明の方法において、遺伝子担体がウイルスである場合は特に、バクテリオファージを利用することが望ましく、原核宿主細胞から発現された目的タンパク質は、バクテリオファージのコートタンパク質に非共有結合されて表面展示される。また、バクテリオファージが宿主細胞のペリプラズム(periplasm)に位置している場合は、目的タンパク質にシグナルペプチドを融合させてペリプラズムに分泌されるようにして表面展示を可能にする。一方、ファージコートタンパク質と自然状態で結合できない目的タンパク質は、ファージコートタンパク質と結合できるモーチフと融合されるとファージ表面展示が可能になる。
本発明の望ましい具現例によると、前記遺伝子担体は、目的タンパク質との非共有結合を増加させるために、その表面タンパク質が変形されたものである。前記遺伝子担体を変形させる方法は、(i)遺伝子担体と目的タンパク質との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドを遺伝子担体の表面タンパク質と融合させる方法、(ii)遺伝子担体表面タンパク質を位置特異的に突然変異させる方法、及び(iii)遺伝子担体表面タンパク質を無作為突然変異させる方法などを含むが、これに限定されるものではない。
本発明の方法において、目的タンパク質は、いかなるタンパク質またはペプチドも含み、例えば、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達タンパク質またはその一部、抗体またはその一部、単鎖抗体、結合タンパク質またはその結合ドメイン、ペプチド、抗原、付着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及び植物生体防御誘導タンパク質などを含むが、これに限定されるものではない。
一方、本発明の方法において利用される結合タンパク質またはその結合ドメインは、予定の特定物質と結合できるいかなるタンパク質またはそのドメインを含み、例えば、特定抗原性物質を分離しようとする場合は、抗体または抗体ドメインが利用できる。また、結合タンパク質またはその結合ドメインは、タンパク質分解酵素阻害剤、クラムビン(crambin)、エンテロトキシン、コノトキシン、アパミン、リゾチーム、リボヌクレアーゼ、チャリブドトキシン(charybdotoxin)、シスタチン、エグリン、オボムコイド、アズリン(azurin)、腫瘍壊死因子及びCD4などを含むが、これに限定されるものではない。
本発明の方法による場合は、モノマー及びマルチマー(ホモマルチマー及びヘテロマルチマー含み)いずれも表面展示できる。特に、マルチマーの場合は、これを構成するモノマーがすべて結合してこそ、完全な活性を示す場合が一般的であるが、従来の表面展示方法では、モノマーがお互い独立的に表面展示されるため、活性を示す目的タンパク質を得ることが難しい。しかし、本発明の方法によると、マルチマー性タンパク質が完全な構造を形成しつつ遺伝子担体の表面に展示できる。
本発明の望ましい具現例によると、表面展示される目的タンパク質は、遺伝子担体との非共有結合を改善するために変形される。 目的タンパク質を改善できる方法は、(i)目的タンパク質のアミノ酸序列一部を除去する方法、(ii)目的タンパク質または前記(i)の方法によりアミノ酸序列の一部が除去された目的タンパク質と遺伝子担体表面タンパク質との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドと融合させる方法、(iii)目的タンパク質を位置特異的に突然変異させる方法、及び(iv)目的タンパク質を無作為突然変異させる方法などを含むが、これに限定されるものではない。一方、前記目的タンパク質のアミノ酸序列の一部を除去する方法は、例えば、目的タンパク質のN−末端、例えばシグナルペプチドの中でイオン性アミノ酸序列を除去して実施されて、このように変形された目的タンパク質は、遺伝子担体との疎水性相互作用が強化されて、より低い解離常数を有しながら表面展示されることができる。また、胞子の表面は、アニオンを帯びると知られているため、カチオン性オリゴペプチドを目的タンパク質に融合することが、目的タンパク質の表面展示のために望ましい。
本発明の方法において、形質転換に利用される目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子は、二回以上反復された序列も利用することができる。また、前記反復序列は、お互い同一でも、異なってもよい。また、本発明の方法で形質転換に利用される遺伝子は、宿主細胞内でプラスミド内に独立的に、または宿主の染色体に入り込んで存在することができる。
目的タンパク質の発現は、宿主細胞で発現の誘導できるプロモーターにより発現される、または目的タンパク質遺伝子のプロモーターにより発現される、または宿主バクテリアで発現可能な他の適切なプロモーターにより発現されることができるということは、当業者に自明なことである。
本発明において、目的タンパク質と遺伝子担体との間の相互作用は、原則的には非共有結合、より詳細には疎水性結合、イオン結合、水素結合及びファンデルワールス(van der Waals)結合の中、一つの結合またはこれらの複合的な結合を通じて行われる。
本発明の望ましい具現例によると、前記胞子を含む宿主細胞は、Myxococcusを含む胞子形成グラム陰性菌;クロストリジウム(Clostridium)属、パエニバシラス(Paenibacillus)属及びバシラス(Bacillus)属を含む胞子形成グラム陽性菌;胞子形成放線菌;Saccharomyces cerevisiae, Candida属とHansenulla属を含む胞子形成酵母、胞子形成カビなどから由来したものであるが、これに限定されるものではない。より望ましくは、宿主細胞は、胞子形成グラム陽性菌から由来したものであり、最も望ましくは、Bacillus subtilis、Bacillus thuringiensis、Bacillus megateriumを含むバシラス属の微生物から由来したものである。特に、Bacillus subtilisは、遺伝学的知識及び実験方法がよく知られていて、且つ培養方法がよく知られているため、本発明に有利である。
本発明の望ましい具現例によると、宿主細胞は、表面展示のために発現された目的タンパク質の分解に係わる細胞内タンパク質分解酵素または細胞外タンパク質分解酵素を生産できないように変形されたものである。
本発明の方法は、目的タンパク質と遺伝子担体との非共有結合による表面展示を基本とするが、より安定した結合を所望する場合は、非共有結合を通じて目的タンパク質を遺伝子担体表面に展示した後、物理的方法、化学的方法及び生化学的方法からなる群から選択される1種以上の方法により、目的タンパク質と遺伝子担体との結合または目的タンパク質間の結合を共有結合に変化させることができる。前記共有結合を形成させるために処理する方法の中で、化学的方法はグルタルアルデヒドの処理(DeSantis G. and Jones J. B. Curr. Opin. Biotechnol. 10:324-330(1999))が望ましく、物理的方法は紫外線の処理(Graham L., and Gallop P.M. Anal. Biochem. 217:298-305(1994))が望ましく、そして生化学的方法は共有結合の形成を手伝う酵素の処理(Gao Y., and Mehta K., J. Biochem. 129:179-183(2001))が望ましい。
本発明の遺伝子担体表面に結合された目的タンパク質の製造方法は、望ましくは、目的タンパク質の表面展示された遺伝子担体をスクリーニングする段階を追加的に含む。
本発明のタンパク質改良方法において、遺伝子ライブラリーを構築する段階は、DNAシャフリング法(Stemmer, Nature, 370: 389-391(1994))、StEP法 (Zhao, H., et al., Nat. Biotechnol., 16: 258-261 (1998))、 RPR法(Shao, Z., et al., Nucleic acids Res., 26: 681-683 (1998))、分子育種法(Ness, J. E., et al., Nat. Biotechnol., 17: 893-896 (1999))、ITCHY法(Lutz S. and Benkovic S., Current Opinion in Biotechnology, 11: 319-324 (2000))、エラー誘発PCR(Cadwell, R. C. and Joyce, G. F., PCR Methods Appl., 2: 28-33 (1992))、ポイント突然変異法(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N. Y., 1989)を用いて野生形目的タンパク質の遺伝子を変異させることにより得ることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の望ましいタンパク質改良方法の一具現例によると、遺伝子担体は胞子であり、前記スクリーニング段階は、胞子ライブラリーを有機溶媒、熱、酸、塩基、酸化剤、乾燥、界面活性剤及びタンパク質分解酵素からなる群から選択される一つ以上の方法により処理した後、前記処理に対して耐性を有する目的タンパク質変異体の表面展示された胞子を選択して実施される。
本発明の望ましいタンパク質改良方法の他の具現例によると、スクリーニング段階は、胞子ライブラリーを有機溶媒、熱、酸、塩基、酸化剤、乾燥及び界面活性剤からなる群から選択される一つ以上の方法により1次処理して、タンパク質分解酵素により2次処理した後、タンパク質分解酵素に対して耐性を有する目的タンパク質変異体の表面展示された胞子を選択して実施される。
本発明の遺伝子担体表面に結合された目的タンパク質の製造方法及びタンパク質改良方法において、採択される前記スクリーニング段階は、(i)遺伝子担体表面に展示された目的タンパク質の活性、(ii)目的タンパク質に標識された物質を認識するタンパク質、(iii)目的タンパク質に結合する標識されたリガンド、及び(iv)目的タンパク質に特異的に結合する抗体などを用いて実施することができるが、これに限定されるものではない。前記目的タンパク質に結合する標識されたリガンドまたは目的タンパク質に特異的に結合する抗体を用いて実施されるスクリーニング段階は、フローサイトメトリーを用いて実施することが望ましい。例えば、胞子表面展示されたタンパク質に一次抗体を付着させて、蛍光を帯びる化合物により標識された二次抗体を反応させて胞子を染色した後、蛍光顕微鏡で観察するか、またはフローサイトメトリーで分析することができる。勿論、二次抗体が金により標識された場合は、電子顕微鏡により観察することができる。目的タンパク質の活性を用いてスクリーニングする場合は、タンパク質により触媒される発色反応を測定してスクリーニングすることができる。
本発明の遺伝子担体表面に結合された目的タンパク質の製造方法及びタンパク質改良方法において、望ましくは、スクリーニングされた遺伝子担体を増殖させて所望の特性を有する目的タンパク質変異体または前記目的タンパク質変異体をエンコーディングする遺伝子を回収する段階を追加的に含む。
遺伝子担体として胞子を用いる本発明の望ましい具現例によると、胞子の回収は、宿主細胞の培養時間を調節して、目的タンパク質が胞子表面に最適に展示される時点で培養を停止させて回収して実施される。適合な培養時間は、使用される菌主の種類により決定されて、Bacillus subtilisを宿主として利用する場合は、16〜25時間培養することが望ましい。胞子の回収は、通常的な方法により実施できるが、より望ましくは、レノグラフィン密度勾配(renografin gradients)方法(C. R. Harwood, et al., "Molecular Biological Methods for Bacillus." John Wiley & Sons, New York, p.416(1990))を利用する。
前述した本発明のタンパク質改良方法を利用する場合は、従来の方法では容易に得られない、(1)生物学的に発生しない化学反応を触媒する酵素(例:Diels-Alder縮合反応)、(2)非自然的な立体選択性またはレジオ選択性(regioselectivity)活性を有する酵素、(3)有機溶媒または有機溶媒−水溶液以上の溶液で反応を触媒できる酵素、そして(4)高温高圧のような極限条件で反応を触媒する酵素などを、野生形酵素から迅速に得ることができる。また、結合力の増加した抗体の変異体を選別する際、通常的にpHの急激な変化や塩基濃度を調節して溶出するようになるが、このような場合、ファージやバクテリアを培養培地に再接種すると生存率が落ちてしまう問題が発生する。本発明のタンパク質過量方法はこのような問題点を解決することができる。
本発明の他の様態は、複製原点、抗生剤耐性遺伝子、制限酵素位置、及び目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子を含む目的タンパク質の遺伝子担体表面展示用ベクターにおいて、前記目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子は、宿主細胞内で発現される場合、胞子及びウイルスからなる群から選択される遺伝子担体の表面と非共有結合できるタンパク質をエンコーディングする遺伝子であることを特徴とする目的タンパク質の遺伝子担体表面展示用ベクターを提供する。
本発明の望ましいベクターによる場合は、前記目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子は、それにより発現される目的タンパク質が遺伝子担体と非共有結合することを改善するために変形されたものである。前記変形された目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子は、(i)目的タンパク質のアミノ酸序列の一部を除去する方法、(ii)目的タンパク質または前記(i)の方法によりアミノ酸序列の一部が除去された目的タンパク質と遺伝子担体表面タンパク質との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドと融合させる方法、(iii)目的タンパク質を位置特異的に突然変異させる方法、及び(iv)目的タンパク質を無作為突然変異させる方法などにより変形されたものであるが、これに限定されるものではない。
本発明の他の様態は、胞子を含む微生物、及びウイルスを含む細胞からなる群から選択された宿主細胞を、本発明のベクターにより形質転換して製造される形質転換微生物を提供する。本発明の望ましい具現例で前記宿主細胞は、前記目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子から発現された目的タンパク質の分解に係わる細胞内タンパク質分解酵素または細胞外タンパク質分解酵素を生産できないように変形されたものである。
本発明の他の様態は、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達タンパク質またはその一部、抗体またはその一部、単鎖抗体、結合タンパク質、結合ドメイン、ペプチド、抗原、付着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及び植物生体防御誘導タンパク質からなる群から選択される目的タンパク質が、胞子及びウイルスからなる群から選択される遺伝子担体の表面に、前述した本発明の表面展示方法により非共有結合を通じて展示されている遺伝子担体−目的タンパク質の複合体を提供する。
本発明の望ましい具現例によると、前記目的タンパク質は遺伝子担体との結合を改善するために、(i)目的タンパク質のアミノ酸序列の一部を除去する方法、(ii)目的タンパク質または前記(i)の方法によりアミノ酸序列の一部が除去された目的タンパク質と遺伝子担体表面タンパク質との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドと融合させる方法、(iii)目的タンパク質を位置特異的に突然変異させる方法、及び(iv)目的タンパク質を無作為突然変異させる方法などにより変形されるが、これに限定されるものではない。
また、前記遺伝子担体−目的タンパク質複合体は、その結合力を改善するために、目的タンパク質を遺伝子担体表面に非共有結合により展示した後、物理的方法、化学的方法及び生化学的方法からなる群から選択される1種以上の方法により、目的タンパク質と遺伝子担体との結合または目的タンパク質間の結合を共有結合に変化させることができる。
本発明の遺伝子担体−目的タンパク質の複合体において、前記遺伝子担体は、望ましくは胞子である。遺伝子担体として胞子を利用する場合、望ましくは、遺伝学的方法(Popham D. L., et al., J. Bacteriol., 181: 6205-6209 (1999))、化学的方法(Setlow T. R., et al., J. Appl. Microbiol., 89: 330-338 (2000))及び物理的方法(Munakata N, et al., Photochem. Photobiol., 54: 761-768 (1991))からなる群から選択される一つ以上の方法により生殖不可能に変形させた胞子である。その理由は、本発明のように胞子を目的タンパク質の単純展示手段として使用する場合は、胞子を再生する必要がないからである。特に遺伝的に操作された有機体として扱われる場合は、使用規制をされることがあるため、再生不可能な変異主を使用することが望ましい。前記胞子生殖を不可能にする遺伝学的方法は、宿主細胞の胞子生殖に係わる遺伝子の欠乏を通じて実施される。例えば、Bacillus subtilisの場合は、cwlD遺伝子の欠乏された再生不可能な変異主が本発明に使用される。また、望ましくは、前記胞子は、物理的方法(Wienc K. M., et al., Appl. Environ. Microbiol., 56: 2600-2605 (1990))、化学的方法及び遺伝学的方法からなる群から選択される一つ以上の方法により、凝集性が増加されるように変形させることができる。凝集性を増加させる理由は、産業的スケールでの生物転換反応の際、反応産物と胞子が容易に分離されるからである。
本発明の望ましい遺伝子担体−目的タンパク質複合体において、前記遺伝子担体は、バクテリオファージである。
本発明の他の様態は、(a)目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子を突然変異させて、目的タンパク質変異体をエンコーディングする遺伝子ライブラリーを構築する段階、(b)前記構築された遺伝子ライブラリーを含むベクターライブラリーを製作する段階、(c)遺伝子担体としての胞子及びウイルスを含む宿主細胞を前記ベクターライブラリーにより形質転換する段階、(d)前記形質転換された宿主細胞を培養して目的タンパク質変異体を発現する段階、(e)前記発現された目的タンパク質変異体を前記遺伝子担体表面との非共有結合により遺伝子担体表面に展示されるようにして、遺伝子担体ライブラリーを得る段階;及び(f)前記遺伝子担体ライブラリーから、所望の特性を有する目的タンパク質変異体の表面展示された遺伝子担体をスクリーニングする段階を含む過程により製造された、目的タンパク質変異体の表面展示された遺伝子担体ライブラリーを提供する。
本発明の遺伝子担体ライブラリーにおいて、遺伝子担体は、望ましくは胞子またはバクテリオファージである。
本発明の他の様態は、転換活性を有するタンパク質が遺伝子担体表面に展示されている、前述した本発明の遺伝子担体―目的タンパク質の複合体を利用して実施されることを特徴とする、転換活性を有するタンパク質を利用した生物転換方法を提供する。前記転換活性を有するタンパク質は、酵素または触媒抗体など化学反応を触媒することのできる、いかなるタンパク質であっても利用可能である。
一方、表面展示された酵素を生物転換工程に使用する際には、高温及び/または有機溶媒内で反応が起こるため、表面展示遺伝子担体が極限条件で物理化学的に安定しなければならない。最近、産業的に重要な化学合成反応は、主に有機溶媒内での反応が多くて、特にキラル化合物の合成やラセミック(racemic)混合物からの分解も、非常に酷い物理化学的環境で行わなければならない。従って、表面展示された酵素がこのような極限条件で安定しなければならなく、これを表面に展示している有機体も安定しなければならない。このような側面から、酵素などを表面展示する胞子またはウイルスを利用する本発明の生物転換方法は、特に有利である。
一方、表面展示された触媒による化学反応工程が提案されてはいるが(Georgiou et al., 1993)、表面展示された触媒を利用する場合、表面展示された宿主細胞が反応工程の間に安定できなく、架橋結合化学物質を用いて細胞表面を固定する必要があった(Freeman et al., 1996)。本発明の生物転換方法は、前記のような問題を解決する。本発明の方法は、胞子またはウイルス表面に展示された触媒を利用するため、表面展示された触媒だけではなく胞子自体が安定して、別に固定化する必要がない。
本発明の生物転換方法に利用される酵素は、β−ガラクトシダーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、糖転移酵素、酸化還元酵素及びアルドラーゼなど、遺伝子担体に表面展示されるいかなる酵素でも利用することができ、生物転換反応が単一段階または多段階である場合にも適用できて、生物転換反応が水溶液上または非水溶液上で起こる場合にも適用でき、遺伝子担体は固定または非固定化された状態で利用することができて、また生物転換の異なる微生物または酵素と混合して使用することができる。
本発明の他の様態は、抗原性目的タンパク質を有する、前述の本発明の遺伝子担体−目的タンパク質複合体を脊椎動物に投与する段階を含む、脊椎動物で特定抗原に対しての抗体の生成方法を提供する。本発明の抗体生成方法に利用される遺伝子担体−目的タンパク質複合体の免疫学的有効量を含む組成物は、望ましくは不完全フロイントのアジュバント及び完全フロイントのアジュバントのようなアジュバントを含む。一方、投与は、口腔投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与などにより実施される。一方、充分な量の抗体を収得するためには、1次投与後、適合な時期内にブースター(booster)投与をすることが望ましい。
タンパク質アレイは、DNAアレイのような多様なタンパク質、特に抗体を固体表面にアレイして、特定細胞での所望のターゲットタンパク質の発現程度などを分析することのできる手段を提供する。タンパク質アレイを製造するためには、アレイするタンパク質を確保して、固体表面にタンパク質を固定化しなければならない。タンパク質アレイを利用した分析過程では、固定化されたタンパク質と結合させて、結合しないタンパク質を洗滌させるために、高温、塩濃度及びpHの変化など多様な処理が行われて、そのため、このような悪環境に耐えられる安定化されたタンパク質の固定化が必要である。また、数千個〜数万個のタンパク質遺伝子を発現ベクターにクローニングして、発現して分離した後、これを固体表面に固定化することは、非常に多い作業を繰り返して行わなければならない。従って、前記作業をより単純且つ迅速にする必要がある。
本発明のタンパク質アレイは、前記従来のタンパク質アレイの製造方法をより容易にしたものであって、前述の本発明の遺伝子担体−目的タンパク質複合体または前述の本発明の遺伝子担体ライブラリーが固体基板に付着されているタンパク質アレイを提供する。本発明のタンパク質アレイは、所望のタンパク質が表面に展示された遺伝子担体を、固体基板に固定化して製造される。本発明のタンパク質アレイの製造過程には、通常的に当業界で利用されるタンパク質アレイの製造過程が適用される(参照:WO 0061806、 WO 0054046、 US 5807754、EP 0818467、 WO 9742507、US 5114674及びWO 9635953)。本発明の方法により製造されたタンパク質アレイは、診断用キット、遺伝子発現分析、タンパク質間またはタンパク質とリガンドとの間の相互反応分析、代謝過程分析、新規酵素探索または改良された酵素の探索、組み合わせ生化学合成及びバイオセンサーなどに利用できる。
本発明で利用できる固体基板は、ガラス(例:作用基が露出されたガラス)、Si、Ge、GaAs、GaP、SiO、SiN4、変形されたシリコンニトロセルロース、ポリビニリデンフルオリド、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、繊維またはこれらの組み合わせである。前記基板には、タンパク質の固定化のためにリンカー分子が付着されてもよく、スポッティングされない残りの部分はブロッキングされることが望ましい。一方、各々のスポット(またはアドレス)に適用される本発明の遺伝子担体の量は、アレイ形態により決定される。固体基板に固定化された表面展示されたタンパク質と試料との相互作用は、タンパク質の固有特性(例:免疫反応性)を用いて検出することもでき、または表面展示されたタンパク質に適合な標識物質(例:蛍光物質、発光物質、放射能物質、エピトープ)を結合させて標識物質の信号変化を検出することもできる。本発明のタンパク質アレイによる最終的な結果の分析は、当業界で‘リーダー(reader)’または‘スキャナー(scanner)’として公知されている自動化された装置を利用して実施することができる。
本明細書の全体的な記載事項から把握できるように、本発明が採択している多数の基本的な遺伝子担体展示方法は、(1)表面発現母体の必要性を除去して、(2)目的タンパク質が発現されて固有の構造を成してから、担体の表面に展示されるため、完全な活性を有するようにして、(3)非共有結合、即ち、非選択的に目的タンパク質を結合させて表面に展示するため、展示される目的タンパク質の量を増加させて、(4)表面展示された目的タンパク質の量が増加しても、遺伝子担体の生存力や環境に対しての耐性を減少させない、格別な長所がある。
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
実施例1:純粋分離されたリパーゼの胞子表面展示の可能性確認
バシラス胞子を構成しているコートタンパク質または構造タンパク質(morphogen)以外に、細胞内で発現されるタンパク質が胞子の表面に結合して展示されることができるという事実はいまだに報告されていない。本発明者らは、バシラス胞子の表面が疎水性を帯びているため(Wiencek, K.M. et al., Appl. Environ. Microbiol., 56:2600-2605(1990))、リパーゼのように疎水性ドメインを有するタンパク質は(Brockerhoff H., Chem. Phys. Lipids, 10:215(1973))、胞子表面に疎水性結合により表面展示が可能になるという仮説を定立した。前記仮説を立証するために、精製されたPseudomonas fluorescensのリパーゼを純粋分離されたBacillus subtilis胞子と結合させた後、酵素活性を測定した。
まず、Bacillus subtilis DB104(Kawamura F. and Doi R. H., J. Bacteriol., 160:442-444(1984))をGYS培地((NH4)2SO4 2 g/l, 酵母エキス粉末 2 g/l, K2HPO4 0.5 g/l, ブドウ糖 1 g/l, MgSO4・ H2O 0.41 g/l, CaCl2・ 2H2O 0.08 g/l, MnSO4・ 5H2O 0.07 g/l)で約24時間振とう培養(37℃, 250 rpm)して、その後、レノグラフィン密度勾配方法(C. R. Harwood, et al., “Molecular Biological Methods for Bacillus.” John Wiley & Sons, New York, p.416(1990))により純粋胞子だけを分離した。分離された胞子は顕微鏡(1000 x, ALPHAPHOT-2, Nikon)により観察して、胞子だけが純粋に分離されたことを確認した。
前記分離されたバシラス胞子2mgと部分精製されたPseudomonas fluorescensのリパーゼ(Ahn, J.H. et al., J. Bacteriol., 181:1847-1852(1999))94μgを50mM Tris(pH 8.0)緩衝溶液200lに入れて混合した後、4℃で12時間定置して遠心分離し、胞子と溶液を分離した。次いで、分離した胞子を50mM Tris(pH 8.0)緩衝溶液0.5mlで3回洗浄した後、リパーゼが吸着された胞子を回収した。胞子に吸着されたリパーゼの活性を測定するために、リパーゼが吸着された前記胞子をPBS溶液に懸濁した後、10%のオリーブオイルを混合して48時間反応させた後、上清液に銅酸0.2mlを処理し715nmの波長で吸光度を測定した。その結果、胞子表面に吸着されていたものの、オリーブオイルにより上清液として分離されたリパーゼによる活性が観察された(参照:図2)。図2の(1)番ラインは、胞子表面にリパーゼを吸着させた試料に関するものであり、(2)番ラインは、対照区として使用した、リパーゼを吸着させていない胞子に関するものであって、横軸の時間は、活性測定のための反応時間である。
従って、リパーゼが疎水性相互作用による単純な吸着を通じて胞子表面に結合されることを確認することができた。
前記実験結果から、疎水性を帯びた、いかなるタンパク質であっても胞子表面展示が可能であるということが分かり、これにより、疎水性タンパク質が細胞内で発現されるか、または細胞外に分泌されても、胞子表面展示が可能になるということは、当業者であれば充分予測できることである。
実施例2:野生形リパーゼの胞子表面展示
宿主細胞から発現された野生形リパーゼが胞子表面に展示できるかどうかを次のように調査した:胞子表面展示のための野生形リパーゼ遺伝子を含むプラスミドpBS:lipA (Bell P.J.L. et al, Biotechnol. Lett., 21:1003-1006(1999))はオーストラリアのBergquist博士から得た。前記プラスミドを鋳型として序列1のプライマーlip1と序列2のプライマーlip2を使用してPCRを行った。重合酵素はBoehringer Mannheim社から購入したTaq重合酵素を使用して、アニーリングは55℃で30秒、延長反応は72℃で1分、変性は94℃で30秒間行って、総35サイクルを行った。
PCR産物をBamHI及びKpnIで切断して、下記実施例3のプラスミドpCry1P-CMCaseの同一部位にカルボキシルメチルセルラーゼを置換、挿入した後、Bacillus subtilis DB104に自然導入法(C.R.Harwood, et al., “Molecular Biological methods for Bacillus.” John Wiley & Sons, New York, p.416(1990))により形質転換した。形質転換されたバシラス菌は、前記実施例1と同様な方法により胞子を分離してリパーゼ活性を測定した結果、純粋分離された胞子からリパーゼ活性が検出された(参照:図3)。図3の(1)番ラインは、野生形リパーゼが表面展示された胞子に関するものであり、(2)番ラインは、対照区として使用された胞子に関するものであって、横軸の時間は、活性測定のための反応時間である。従って、本発明の胞子表面展示システムを利用すると、疎水性タンパク質を表面展示することができるということが分かる。
一方、本実施例で発現されたリパーゼは、N−末端に自体分泌信号を有しているため、細胞外への分泌が起こる。細胞外に分泌された酵素は、胞子形成過程が終わった後、胞子が培養液に露出されると、胞子と結合することができる。一方、酵素が自体分泌信号を有していても分泌されなかった酵素が細胞内に存在するようになるが(Bron S., J. Biotechnol., 64:3-13(1998))、細胞内に残っている酵素は疎水性により胞子表面に結合することができる。
従って、いかなる疎水性タンパク質が細胞内で発現されるか、または細胞外に分泌されても、胞子表面に展示可能であるということは充分予測できる。
実施例3:野生形カルボキシルメチルセルラーゼの胞子表面展示
カルボキシルメチルセルラーゼの胞子表面展示のために、Bacillus thurigiensis 毒素タンパク質遺伝子cry1Aaのプロモーターの後にBacillus substilis BSE616菌から分離されたカルボキシルメチルセルラーゼ遺伝子(Park S.H. et al., Agric. Biol. Chem., 55:441-448(1991))をクローニングした。
まずcry1AaプロモーターをクローニングするためにアメリカのBGSC (Bacillus Genetic Stock Center, Ohio)から得たBacillus thurigiensis kurstaki HD1菌主のDNAをカルマンらの方法(Kalman S. et al. method (Appl. Environ. Microbiol., 59:1131-1137(1993))により分離し鋳型として、序列3のプライマー1AP1と序列4のプライマー1AP2を使用して、前記実施例2と同様にPCRを行った。PCR産物は、アメリカのプロメガ社(Promega Co.)から購入したpGemT-easyベクターにクローニングして、次いでクローニング産物をSphIとSalIで切断しプラスミドpUC19(GenBank X02514)の同一部位に挿入した後、HindIIIとBamHIで切断してプラスミドpCPaC3 (KCTC 0831BP)の同一部位に置換、挿入して、プラスミドpCry1P-CMCaseを完成した。前記プラスミドpCry1P-CMCaseは、大腸菌でも、バシラス属の菌主でも、複製可能なシャットルベクターである。
前記最終的に製作されたプラスミドpCry1P-CMCaseをBacillus subtilis DB104に自然導入法により形質転換した。一方、バシラス菌主内に再組み合わせベクターを導入する方法として、細胞接合法(conjugation)、形質導入法(transduction)などを使用することができる。次いで、プラスミドpCry1P-CMCaseにより形質転換されたバシラス菌主をGYS培地で約24時間振とう培養(37℃, 250 rpm)して、その後、レノグラフィン密度勾配方法により純粋胞子だけを分離した。
分離された胞子に対してのカルボキシルメチルセルラーゼの活性測定は、次のように実施した:まず、0.1Mポタシウムリン酸塩(pH 6.0)に胞子が吸光度(600nm)1.4程度に懸濁された胞子溶液100μlに、1%カルボキシメチルセルロースが溶解されている溶液(0.1Mポタシウムリン酸塩、pH 6.0)200μlを添加して、50℃で40分間反応した。反応が終了された後、反応溶液にDNS(ポタシウムソジウムタルタレート20%, NaOH 1%, NaHSO3 0.05%,フェノル0.2%, 3,5−ジニトロサリシクル酸(3,5-dinitrosalicyclic acid )1%)溶液900μlを添加し5分間加熱した後、冷水で冷却させた。再び遠心分離により得られた上清液を、575nmの波長で吸光度を測定した。カルボキシルメチルセルラーゼの活性は、対照区では0mUであったが、酵素が表面展示された胞子では1.96mUとして酵素活性があらわれた。
一方、カルボキシルメチルセルラーゼに特異的に結合する抗体(Kim et al.,Appl. Environ, Microbiol., 66:788-793(2000))を用いて、金らの方法(Kim et al.,Appl. Environ, Microbiol., 66:788-793(2000))によりフローサイトメトリー(FACSort, アメリカBecton Dickinson社)を用いて分析した結果、pCry1P-CMCaseにより形質転換されたバシラス宿主の胞子の表面からカルボキシルメチルセルラーゼが検出された(参照:図4)。図4で1番曲線は対象区として使用された胞子試料であり、2番曲線はpCry1P-CMCaseにより形質転換されたバシラス宿主の胞子試料であって、縦軸は胞子数であり、横軸は蛍光の強度である。図4から、カルボキシルメチルセルラーゼの表面展示された胞子のグラフのピークが、対照区に比べて、右側に移動したことを観察することができるが、これは、pCry1P-CMCaseにより形質転換されたバシラス宿主の胞子表面に、カルボキシルメチルセルラーゼに特異的に結合する抗体がたくさん結合したことを意味する。従って、pCry1P-CMCaseにより形質転換されたバシラス宿主の胞子の表面に、カルボキシルメチルセルラーゼが結合されていることを確認することができる。
前記実施例で発現されたカルボキシルメチルセルラーゼは、N-末端に自体分泌信号を有していて細胞外への分泌が起こる。細胞外に分泌された酵素は、胞子形成過程が終わった後、胞子が培養液に露出されると、胞子と結合することができるが、酵素が自体分泌信号を有していても分泌されなかった酵素は細胞内に存在するようになって(Bron S., J. Biotechnol., 64:3-13(1998))、これは分泌信号の疎水性により胞子表面に結合することができるようになる。従って、本発明の胞子表面展示システムを利用する場合は、分泌信号を有している、いかなるタンパク質であっても胞子表面に展示することが可能であるということは、充分予測できる。
実施例4:変形された分泌信号を有するカルボキシルメチルセルラーゼの胞子表面展示
一般に、タンパク質のN-末端分泌信号は、N-末端の端が2〜3個のカチオンを帯びるアミノ残基と後続の疎水性ドメインから構成されているが、前記カチオンアミノ酸は、細胞膜の陰イオン性燐脂質と結合することにより、タンパク質の分泌を手伝うと知られている(Tjalsma H., Microbiol. Mol. Biol. Rev.,64:515-547(2000))。さらに、前記カチオンアミノ酸を中性に置換させるとタンパク質の分泌が多少減少すると知られている(Chen M. and Nagarajan V., J. Bacteriol., 176:5796-5801(1994))。従って、本発明者らは、タンパク質の分泌を減少させる場合は、細胞内に存在する該当タンパク質の量が増加して、増加されたタンパク質は、N-末端の疎水性ドメインによる胞子表面との疎水性結合を通じて胞子表面展示がさらに容易にできるという仮説を定立した。このような仮説を証明するために、次のような実施例を行った。
カチオンを帯びたアミノ酸残基が除去されて、疎水性ドメインだけを有するカルボキシルメチルセルラーゼをクローニングするためにフランスのパステル(Pasteur)研究所のF.Kunst博士から分譲してもらったBacillus subtilis 168菌主(Nature, 390:249-256(1997))のDNAを前記カルマンら(Kalman et al.)の方法により分離した。次いで、分離されたDNAを鋳型として、序列5のプライマーCMC-hpと序列6のプライマーを使用し、前記実施例2と同様にPCRを行った。
その後、PCR産物をBamHI及びSacIにより切断して、前記実施例3のプラスミドpCry1P-CMCaseのCMCase遺伝子と置換、挿入した。このように製作されたプラスミドpCry1P-CMCase-hp(参照:図5)をBacillus subtilis DB104に自然導入法により形質転換して、形質転換体をBacillus subtilis BSK209と命名し、これを国際寄託機関である生命工学研究所遺伝子銀行に2000年12月2日付に寄託して、寄託番号KCTC 0902BPが付与された。添付序列7は、シグナルペプチドからカチオン性アミノ酸が除去されたCMCaseをエンコーディングする遺伝子の塩基序列であり、添付序列8は、これによりエンコーディングされるCMCaseのアミノ酸序列である。
次いで、形質転換されたバシラス菌主BSK209をGYS培地で約24時間振とう培養(37℃、250rpm)して、その後、レノグラフィン密度勾配方法により純粋胞子だけを分離した。
分離された胞子に対して前記実施例3と同様な方法によりカルボキシルメチルセルラーゼの活性を測定した結果、対照区では0mUであったが、酵素が表面展示された胞子では4.74mUとして酵素活性があらわれた。これは、野生形カルボキシルメチルセルラーゼ比べ、2.4倍程度高いものであって、野生形より胞子表面展示された酵素の量がさらに多くなったことを示す。一方、カルボキシルメチルセルラーゼに特異的に結合する抗体を用いて、前記実施例3と同様な方法によりフローサイトメトリーで分析した結果、pCry1P-CMCase-hpにより形質転換された胞子の表面からカルボキシルメチルセルラーゼが検出された(参照:図6)。
添付図6で1番曲線は対照区として使用された胞子試料であり、2番曲線はpCry1P-CMCase-hpにより形質転換されたバシラス宿主の胞子試料である。図6から、カルボキシルメチルセルラーゼの表面展示された胞子のグラフのピークが、対照区に比べて、右側に移動したことが観察できるが、これは、pCry1P-CMCase-hpにより形質転換されたバシラス宿主の胞子表面にカルボキシルメチルセルラーゼに特異的に結合する抗体がたくさん結合したことを意味する。従って、pCry1P-CMCase-hpにより形質転換されたバシラス宿主の胞子の表面に、変形された分泌信号を有するカルボキシルメチルセルラーゼが結合されていることを確認することができる。また、図6のグラフで、ピークが図4に示された野生形カルボキシルメチルセルラーゼのグラフよりさらに右側に移動したことが確認できるが、右側に移動が大きいほど胞子の表面に展示されている酵素が多いということを示す。従って、N-末端のカチオン性アミノ酸残基が除去され疎水性ドメインだけを有するカルボキシルメチルセルラーゼが野生形より胞子表面展示にさらに有利であることが分かる。
前記実験結果から、自体分泌信号を有している、いかなるタンパク質であっても、分泌信号N-末端のカチオン性アミノ酸を除去または中性に置換すると、胞子表面展示にさらに有利に利用できるということが予測できる。また、分泌信号を有していないいかなるタンパク質であっても、分泌信号の疎水性ドメインまたは他の疎水性ドメインと融合されるか、目的タンパク質を位置特異的に突然変異させるか、または無作為突然変異法により目的タンパク質の疎水性が増加すると、胞子表面展示が充分可能になるということも予測できる。さらに、遺伝子担体表面タンパク質と目的タンパク質との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドと融合させるか、遺伝子担体表面タンパク質を選択的突然変異させるか、または遺伝子担体表面タンパク質を無作為突然変異させる方法により、遺伝子担体表面の疎水性を増加させると、疎水性ドメインを有する目的タンパク質の表面展示が有利になるということは、充分予測できる。
実施例5:イオン性ドメインを用いたカルボキメチルシセルラーゼの胞子表面展示
バシラス胞子の表面は、実施例1に記載のように疎水性を帯びるが、アニオン性も帯びるものとして知られている(Nishihara T., et al., Microbiol. Immunol., 25:763-771(1981))。従って、本発明者らは、カチオンを帯びる目的タンパク質はイオン結合により胞子表面展示が起こり、目的タンパク質がカチオン性を有しなくても、カチオン性を帯びるモチーフと融合されることにより、胞子表面展示が可能になるという仮説を定立した。前記仮説を立証するために、次のような実施例を行った。
カチオンを帯びたドメインをカルボキシルメチルセルラーゼと融合するために、酵素の成熟形(mature form)のN-末端にヒスチジン残基6個を次のようなプライマーを用いて融合した。まず、Bacillus subtilis 168菌主のDNAを鋳型として、序列9のプライマーCMC-hisと序列10のプライマーcmc-terとを使用し、前記実施例2と同様にPCRを行った。
次いで、PCR産物をBamHI及びSacIにより切断して、前記実施例3のプラスミドpCry1P-CMCaseのCMCase遺伝子と置換、挿入した。このように製作されたプラスミドpCry1P-CMCase-his(参照:図7)をBacillus subtilis DB104に自然導入法により形質転換した。添付序列11は、N-末端にヒスチジン残基6個が追加されたCMCaseをエンコーディングする遺伝子の塩基序列であり、添付序列12は、これによりエンコーディングされるCMCaseのアミノ酸序列である。
次いで、プラスミドpCry1P-CMCase-hisにより形質転換されたバシラス菌主をGYS培地で約24時間振とう培養(37℃、250rpm)して、その後、レノグラフィン密度勾配方法により純粋胞子だけを分離した。分離された胞子に対して前記実施例3と同様な方法によりカルボキシルメチルセルラーゼの活性を測定した結果、対照区では0mUであったが、酵素が表面展示された胞子では1.90mUとして酵素活性があらわれた。一方、カルボキシルメチルセルラーゼに特異的に結合する抗体を用いて、前記実施例3と同様な方法によりフローサイトメトリーで分析した結果、pCry1P-CMCase-hisにより形質転換された胞子の表面からカルボキシルメチルセルラーゼが検出された(参照:図8)。
添付図8で1番曲線は対照区として使用された胞子試料であり、2番曲線はpCry1P-CMCase-hisにより形質転換されたバシラス宿主の胞子試料である。図8からカルボキシルメチルセルラーゼの表面展示された胞子のグラフのピークが、対照区に比べて、右側に移動したことが観察されるが、これは、pCry1P-CMCase-hisにより形質転換されたバシラス宿主の胞子表面に、カルボキシルメチルセルラーゼに特異的に結合する抗体がたくさん結合したことを意味する。従って、N-末端にカチオン性ドメインの追加されたカルボキシセルラーゼが、pCry1P-CMCase-hisにより形質転換されたバシラス宿主の胞子の表面に結合されていることを確認することができる。
前記実験結果から、いかなるタンパク質であっても、カチオンを帯びるドメインと融合されるか、目的タンパク質を位置特異的に突然変異させるか、または無作為突然変異法により目的タンパク質のカチオン性が増加すると、胞子表面展示が充分可能になるということが予測できる。さらに、遺伝子担体表面タンパク質と目的タンパク質との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドと融合させるか、または遺伝子担体表面タンパク質を選択的突然変異させるか、遺伝子担体表面タンパク質を無作為突然変異させる方法により、遺伝子担体表面のアニオン性を増加させると、カチオン性ドメインを有する目的タンパク質の表面展示が有利になるということは、充分予測できる。
また、他の序列を追加的に融合させることにより表面展示効果を増加させた本実施例の結果から、抗原−抗体及びリガンド−受容体など、お互い結合可能な二つのモチーフを各々目的タンパク質及び遺伝子担体の表面タンパク質と融合させる場合は、目的タンパク質が遺伝子担体の表面に展示可能になるということも充分予測できる。
一方、目的タンパク質が遺伝子担体表面に非共有結合により展示された後、前述のグルタルアルデヒド処理法、紫外線処理法及び共有結合を手伝う酵素処理などにより、非共有結合を共有結合に変形させて、目的タンパク質の展示をさらに安定にできるということも充分予測可能なことである。
実施例6:目的タンパク質のファージ表面展示
ファージコートタンパク質と結合できる目的タンパク質はファージ表面展示が可能であるということは、前記実施例から充分予測でき、このような事実は、下記のようにして確認できる。一方、ファージコートタンパク質と自然状態で結合できない目的タンパク質は、ファージコートタンパク質と結合できるモチーフと融合されると、ファージ表面展示が可能になる。
まず、ファージコートタンパク質に疎水性ドメインを融合して、目的タンパク質にも疎水性ドメインを融合する。また、目的タンパク質がペリプラズムに分泌されるための分泌信号も融合させる。これらを宿主細胞から発現させると、ペリプラズムに分泌された目的タンパク質は、ペリプラズムに位置しているファージコートタンパク質との疎水性結合を通じてファージ表面に展示される。
このようなファージ表面展示が疎水性結合以外の他の結合によっても起こられるように変形することは、当業者には容易である。
実施例7:本発明の遺伝子担体表面展示方法を用いた目的タンパク質の方向性進化
本発明から構築されたシステム、即ち、遺伝子担体の表面との相互作用により、発現された目的タンパク質の表面展示を可能にしたシステムを用いて、目的タンパク質の方向性進化ができる。まず、カルボキシルメチルセルラーゼをコーディングする遺伝子に対してのエラー誘発PCRをCadwell, R.C. and Joyce, G.F., PCR Methods Appl., 2:28-33(1992)に開示された方法により行う。PCR反応は、目的タンパク質遺伝子が含まれた前記実施例3のpCPaC3を鋳型として、カルボキシルメチルセルラーゼ遺伝子に特異的に結合するプライマーを使用する。これらプライマー0.3μMと鋳型 DNA5ngを反応溶液(10mM Tris(pH 8.3), 50 mM KCl, 7 mM MgCl2, 0.01% (w/v) ゼラチン)に入れて、これに0.2 mM dGTP, 0.2 mM dATP, 1 mM dTTP, 1 mM dCTP, 0.15 mM MnCl2, Taq重合酵素5Uを入れて総100μlの反応液を用意する。反応条件は、変性は94℃で30秒、アニーリングは50℃で30秒、延長反応は72℃で1分として、総13サイクルを行う。
次いで、前記PCR産物をBacillus substilis DB104で複製可能なプラスミドに発現可能な形態に挿入した後、バシラス宿主細胞に自然導入法により形質転換する。その後、形質転換されたバシラス菌主をGYS培地で約24時間振とう培養して、胞子の表面にカルボキシルメチルセルラーゼのライブラリーを展示した後、レノグラフィン密度勾配方法により純粋胞子だけを分離する。その後、前記実施例3と同様に、遺伝子担体である胞子の表面に展示されたカルボキシルメチルセルラーゼの活性の変化を利用するか、またはカルボキシルメチルセルラーゼに特異的に結合する抗体との結合力の変化をフローサイトメトリーにより測定して、改善された特性を有するカルボキシルメチルセルラーゼ変異体を選別する。
実施例8:目的タンパク質が表面展示された遺伝子担体を用いた生物転換
有機溶媒上でリパーゼを用いた生物転換反応は、過去数年間報告されてきた(Zaks, A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82:3192(1985); and Klibanow, A.M., CHEMTECH, 16:354(1986))。このような反応界では、酵素の不活性化無しに反応を行うことが必須的である。このために一般的にリパーゼの固定化を行った(Mustranta, A. Forssell et al., Enz. Microb. Technol.,15: 133(1993); and Reetz, M.T. et al., J. Biotechnol. Biogen., 49:527(1996))。前記報告によると、リパーゼを固定化した場合、遊離されたリパーゼに比べ有機溶媒上での酵素の安定性が増加されて、且つ合成反応も増加されたことを報告している。
まず、前記実施例1または実施例2と同様な方法により、リパーゼを胞子表面展示して、Zaks, A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82:3192(1985);及びKlibanow, A.M., CHEMTECH, 16;354(1986)に開示された方法と同様な方法により生物転換反応をする。
本発明の生物転換反応は、有機溶媒に耐性を有するウイルスを用いて、目的タンパク質を前記担体に表面展示することにより実施してもよい。
実施例9:目的タンパク質が表面展示された遺伝子担体を用いたタンパク質アレイ
スライドグラス表面にアルデヒド活性基がコーティングされているタンパク質アレイ用固体表面(BMS社、ドイツ)に、特定抗原に対しての単一クローン抗体が表面展示された遺伝子担体106〜109個を、自動化アレイ装置を用いて付着する。これは、遺伝子担体表面のタンパク質に存在するアミノ基とすライドグラス表面のアルデヒド基とが反応して、シッフ塩基(Schiff base)を形成することにより、固体表面に共有結合形態して付着されるのである。例え、付着された面では表面展示された目的タンパク質が固体表面に付着されて活性を喪失しても、表面に露出された遺伝子担体の表面に展示された目的タンパク質は一定な方向性を有することができる。
本発明の方法により製造されたタンパク質アレイは、診断用キット、遺伝子発現分析、タンパク質間またはタンパク質とリガンドとの間の相互反応分析、代謝過程分析、新規酵素探索または改良された酵素の探索、組み合わせ生化学性及びバイオセンサーなどに利用できる。
実施例10:目的タンパク質が表面展示された遺伝子担体を用いた抗体生成
生体内で免疫反応を誘導できる抗原を遺伝子担体に表面展示させる場合には、これを用いて抗体生成を誘導することができる。
まず、抗原であるカルボキシルメチルセルラーゼを含む前記実施例3のpCry1P-CMCaseをBacillus subtilis DB104に自然導入法により形質転換する。次いで、形質転換されたバシラス菌主をGYS培地で約24時間振とう培養して、胞子の表面にカルボキシルメチルセルラーゼを展示した後、レノグラフィン密度勾配方法により純粋胞子だけを分離する。その後、抗原が表面展示された胞子をPBSに懸濁して、同一嵩の完全フロイントのアジュバントを添加する。次いで、前記混合液を攪拌して乳濁液状態にした後、注射器を用いて6乃至8週齢のBALB/cマウスに静脈内投与する。投与した後、4週になる日に2次投与をする。その後、さらに2〜3回ブースター投与をして抗体生成を誘導する。
実施例11:目的タンパク質が表面展示された遺伝子担体を用いた特定物質の分離
結合ドメインが表面展示された遺伝子担体を用いて混合物から特定物質を分離することができる。まず、結合ドメインをコーディングする遺伝子に対してのエラー誘発PCRをCadwell, R.C. and Joyce, G.F., PCR Methods Appl., 2:28-33(1992)に開示された方法により行う。PCR反応は、目的タンパク質遺伝子が含まれたプラスミド或いは染色体を鋳型として、目的タンパク質遺伝子に特異的に結合するプライマーを使用する。これらプライマー0.3μMと鋳型DNA 5ngを反応溶液(10mM Tris(pH 8.3), 50 mM KCl, 7 mM MgCl2, 0.01% (w/v) ゼラチン)に入れて、これに0.2 mM dGTP, 0.2 mM dATP, 1 mM dTTP, 1 mM dCTP, 0.15 mM MnCl2, Taq重合酵素5Uを入れて総100μlの反応液を用意する。反応条件は、変性は94℃で30秒、アニーリングは50℃で30秒、延長反応は72℃で1分として、総13サイクルを行う。
次いで、各宿主細胞で複製可能なプラスミドに前記PCR産物を発現可能な形態として挿入した後、宿主細胞にライブラリーを構築する。前記表面展示用ベクターライブラリーにより宿主細胞を形質転換させて、前記結合ドメイン変異体を宿主細胞内で発現し、前記遺伝子担体表面に展示させた遺伝子担体ライブラリーを得た後、所望の特性を有する結合ドメインの変異体が表面展示された遺伝子担体をスクリーニングする。スクリーニングされた遺伝子担体を分離し増殖して、結合ドメインが展示された遺伝子担体を生産した後、前記結合ドメインが展示された遺伝子担体を混合物と接触させて、特定物質を分離する。
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本発明の基本原理を説明する概念図である。 胞子表面展示されたPseudomonas fluorescensリパーゼの活性を示したグラフである。 宿主細胞で発現された野生形リパーゼの胞子表面展示程度を確認したリパーゼ活性検定グラフである。 野生形カルボキシルメチルセルラーゼの胞子表面展示程度を確認するための、フローサイトメトリーによる分析結果を示したグラフである。 本発明の胞子表面展示用pCry1P-CMCase-hpベクターの遺伝子地図である。 変形された分泌信号を有するカルボキシルメチルセルラーゼの胞子表面展示程度を確認するためのフローサイトメトリーを通じた分析結果を示したグラフである。 本発明の胞子表面展示用pCry1P-CMCase-hisベクターの遺伝子地図である。 カチオン性ドメインと融合されたカルボキシルメチルセルラーゼの胞子表面展示程度を確認するための、フローサイトメトリーによる分析結果を示したグラフである。

Claims (29)

  1. (a)胞子を含む宿主細胞を、疎水性であって、前記宿主細胞に由来するタンパク質分解酵素に対して耐性を有する目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子と、宿主細胞内で活性なプラスミド pCry1-CMCase から得られるプロモーターとから製造される組み換えベクターにより形質転換する段階、
    (b)前記形質転換された宿主細胞を培養して、胞子が宿主細胞内で形成される時期に目的タンパク質を発現する段階、及び
    (c)前記発現された目的タンパク質が前記胞子表面との非共有結合を形成し、胞子表面に展示されるようにする段階を含むことを特徴とする、胞子の外表面に結合された目的タンパク質の製造方法。
  2. 目的タンパク質は、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達タンパク質またはその一部、抗体またはその一部、単鎖抗体、結合タンパク質またはその一部、ペプチド、抗原、付着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及び植物生体防御誘導タンパク質からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記結合タンパク質またはその結合ドメインは、抗体または抗体ドメインであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記結合タンパク質またはその結合ドメインは、タンパク質分解酵素阻害剤、クラムビン(crambin)、エンテロトキシン、コノトキシン、アパミン、リゾチーム、リボヌクレアーゼ、チャリブドトキシン(charybdotoxin)、シスタチン、エグリン、オボムコイド、アズリン(azurin)、腫瘍壊死因子及びCD4からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 前記結合タンパク質は、モノマーまたはマルチマーであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  6. 前記目的タンパク質は、胞子との非共有結合を改善するために変形されたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記目的タンパク質は、(i)目的タンパク質のアミノ酸序列の一部を除去する方法、(ii)目的タンパク質または前記(i)の方法によりアミノ酸序列の一部が除去された目的タンパク質と胞子との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドと融合させる方法、(iii)目的タンパク質を位置特異的に突然変異させる方法、及び(iv)目的タンパク質を無作為突然変異させる方法により変形されたものであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記目的タンパク質のアミノ酸序列の一部を除去する方法は、目的タンパク質のN−末端部位の序列の中でイオン性アミノ酸序列を除去して実施されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記融合されるオリゴペプチドは、陽イオン性ペプチドであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 前記胞子は、目的タンパク質との非共有結合を増加させるために、その表面タンパク質が変形されたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記胞子は、(i)胞子と目的タンパク質との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドを胞子の表面タンパク質と融合させる方法、(ii) 胞子表面タンパク質を位置特異的に突然変異させる方法、及び(iii)胞子表面タンパク質を無作為突然変異させる方法により変形されたものであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記胞子を含む宿主細胞は、胞子を形成するグラム陰性菌、胞子を形成するグラム陽性菌、胞子を形成する放線菌、胞子を形成する酵母及び胞子を形成するカビからなる群から選択されることを特徴する請求項1に記載の方法。
  13. 前記胞子を形成するグラム陽性菌は、クロストリジウム(Clostridium)属、パエニバシラス(Paenibacillus)属及びバシラス(Bacillus)属からなる群から選択される微生物であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記バシラス(Bacillus)属の微生物は、Bacillus subtilis、Bacillus thuringiensis及びBacillus megateriumからなる群から選択される微生物であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記プラスミドpCry1p-CMCaseは図5又は図7の配列地図を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 前記宿主細胞は、表面展示のために発現された目的タンパク質の分解に係わる細胞内タンパク質分解酵素または細胞外タンパク質分解酵素を生産できないように変形されたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  17. 前記方法は、非共有結合を通じて目的タンパク質の胞子表面展示が成された後、物理的方法、化学的方法及び生化学的方法により、目的タンパク質と胞子表面間との間に共有結合を形成して、目的タンパク質が胞子表面により安定に結合されるように処理する段階を追加的に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. 前記共有結合を形成するために処理する方法の中で、化学的方法はグルタルアルデヒドの処理であり、物理的方法は紫外線の処理であり、生化学的方法は共有結合の形成を手伝う酵素の処理であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 胞子を含む宿主細胞を、目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子、プラスミドpCry1p-CMCaseから得られるプロモーターから製造される組み換えベクターとにより形質転換して製造されることを特徴とする形質転換微生物。
  20. 前記宿主細胞は、前記目的タンパク質をエンコーディングする遺伝子から発現された目的タンパク質の分解に係わる細胞内タンパク質分解酵素または細胞外タンパク質分解酵素を生産できないように変形されたものであることを特徴とする請求項19に記載の形質転換微生物。
  21. ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達タンパク質またはその一部、抗体またはその一部、単鎖抗体、結合タンパク質またはその一部、ペプチド、抗原、付着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及び植物生体防御誘導タンパク質が、胞子の表面に、請求項1に記載の方法により展示されていることを特徴とする胞子−目的タンパク質の複合体。
  22. 前記目的タンパク質は、(i)目的タンパク質のアミノ酸序列の一部を除去する方法、(ii)目的タンパク質または前記(i)の方法によりアミノ酸序列の一部が除去された目的タンパク質と胞子との非共有結合を手伝う他のオリゴペプチドまたはポリペプチドと融合させる方法、(iii)目的タンパク質を位置特異的に突然変異させる方法、及び(iv)目的タンパク質を無作為突然変異させる方法により変形されたものであることを特徴とする請求項21に記載の胞子−目的タンパク質の複合体。
  23. 前記胞子−目的タンパク質複合体は、非共有結合を通じて目的タンパク質の胞子表面展示が成された後、物理的方法、化学的方法及び生化学的方法により、目的タンパク質と遺伝子担体表面との間の結合を安定させる追加的な共有結合を有することを特徴とする請求項21に記載の遺伝子担体−目的タンパク質の複合体。
  24. 前記プラスミドpCry1p-CMCaseが図5又は図7の配列地図を有することを特徴とする請求項21に記載の複合体。
  25. 前記胞子は、遺伝学的方法、化学的方法及び物理的方法からなる群から選択される一つ以上の方法により生殖不可能に変形されたものであることを特徴とする請求項21乃至23のいずれか一つの項に記載の胞子−目的タンパク質の複合体。
  26. 前記胞子生殖を不可能にする遺伝学的方法は、宿主細胞の胞子生殖に関与する遺伝子の欠乏により実施されることを特徴とする請求項25に記載の胞子−目的タンパク質の複合体。
  27. 前記胞子は、物理的方法、化学的方法及び遺伝学的方法からなる群から選択される一つ以上の方法により、凝集性が増加されるように変形されたことを特徴とする請求項24に記載の胞子−目的タンパク質の複合体。
  28. 前記目的タンパク質は、モノマーまたはマルチマーであることを特徴とする請求項21に記載の胞子−目的タンパク質の複合体。
  29. 非ヒト脊椎動物内での抗原に対しての抗体の生成方法において、前記方法は、前記請求項21乃至23のいずれか一つの項に記載の胞子−目的タンパク質複合体の免疫学的有効量を含む組成物を脊椎動物に投与する段階を含むことを特徴とする抗体の生成方法。
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