JP4128865B2 - アルミニウム電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は負極にアルミニウムを含むアルミニウム電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、携帯して用いる電子機器が非常に多用されるようになっている。携帯電子機器に必須な電力供給源である電池も高容量化が要望されている。現在主流の負極に亜鉛を用いる電池に対して高容量であるにもかかわらず、実用化されていないのが、負極にアルミニウムを用いる電池である。特開2002-110183号には負極にアルミニウムを備えたアルミニウム電池が記載されている。
【0003】
しかし、このアルミニウムを負極に用いた電池に関して、放電中に漏液を起こす可能性が高い。その原因として、漏液現象がアルミニウムの酸化により発生する生成物に起因していることが考えられる。これは、負極付近で生成されるアルミニウムの放電生成物が拡散しにくいため非常に高濃度になり、その他の場所にある電解液(例えばセパレータの逆側に配置される正極付近の電解液やセパレータに保持されている電解液)が浸透圧効果により負極付近に移動し、セパレータと負極の間に保持できる量をこえたものが、電池外に放出されるものと考えられる。この様な問題は放電中に顕著であり、漏液が頻繁に起こり、実用化するには問題となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002-110183号公報(特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のアルミニウム電池は、アルミニウムと電解液と化学反応によって生成物ができこれに起因した漏液が発生し、放電容量が低下すると言う問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたもので、負極にアルミニウムを用いる電池において、漏液を防ぎ放電容量を向上させたアルミニウム電池を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアルミニウム電池は、正極と、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む負極と、前記正極及び負極の間に介在された電解液とを有するアルミニウム電池において、
前記電解液は、水単独又は水と有機溶媒からなる溶媒と、硫酸イオン及び硝酸イオンから選ばれる少なくとも1つを含有する電解質とを含み、かつ
前記負極はバリウムを含むか、または前記電解液はバリウムイオンを含むことを特徴とするものである。
ここで、バリウムを含むとはバリウムがイオン化可能な状態、例えばバリウムの化合物、バリウムを含む合金として存在する状態をいう。
【0010】
前記アルミニウム電池は、前記電解液中のバリウムイオン濃度が0.0001モル/L〜5モル/Lの範囲であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
(a)正極
正極は、正極活物質、導電剤などに必要に応じバインダーを加えた正極合剤と、この正極合剤を表面に形成する集電体とから構成される。
【0012】
正極活物質としては、金属酸化物、金属硫化物、導電性ポリマ−などが挙げられる。前記金属酸化物としては、二酸化マンガン(MnO2)の他に、二酸化鉛(PbO2)、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル{NiOOHまたはNi(OH)2}、酸化銀(Ag2O)、例えばFeO、Fe2O3、FeOX(但しxは、x>1.5)、MXFeO4(但しMは、Li、K、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種、xはx≧1)などの酸化鉄等を挙げることができる。前記導電性ポリマ−としては、ポリアニリン、ポリピロ−ル、例えばジスルフィド化合物、硫黄などの有機硫黄化合物等が挙げられる。中でもコスト面と性能面のバランスからみて二酸化マンガンが好ましい。
【0013】
正極合剤には正極活物質のほかに導電剤を含むことが望ましい。この導電剤としては、例えば、黒鉛、アセチレンブラック、グラファイト、カ−ボンブラックを挙げることができる。特に、アセチレンブラック、グラファイトは電解液に対して安定であり望ましい。
【0014】
正極合剤中に導電剤を含有させることで、正極合剤と集電体との間の電子伝導性を向上させることができる。正極合剤中の導電剤の含有量は、1〜20重量%の範囲にすることが好ましい。すなわち1重量%よりも少ないと正極合剤中の電子伝導性を十分に高めることができず、20重量%を超えると正極活物質の含有量が低下し、正極反応を十分なものとすることができなくなる恐れがある。
【0015】
正極合剤は、例えば、粉末状の正極活物質および導電剤を混合した後、ペレット状に加圧成形することにより作成することもできる。また、必要に応じ正極合剤中にバインダ−を混合することで、集電体表面に正極活物質を固定しても良い。
【0016】
正極合剤中に含有させるバインダ−としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを挙げることができる。
【0017】
正極合剤を支持する正極集電体は、正極合剤と、正極端子との間の電子伝導性を向上させるためのものである。
【0018】
正極集電体に使用する材料として、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)及び窒化チタン(TiN)から選ばれる1種類以上か、または炭素質物などの導電材料を含有するものを使用することが好ましい。
【0019】
この正極集電体は、多孔質か、あるいは無孔質にすることができる。前記正極集電体において、タングステン(W)、モリブデン(Mo)及び鉛(Pb)は単体の状態で存在していてもいいが、タングステン、モリブデン及び鉛から選ばれる2種以上からなる合金として含まれても良い。また、窒化チタン(TiN)を含む正極集電体としては、窒化チタンからなる正極集電体か、ニッケル板等の金属板の表面が窒化チタンで被覆(メッキ)されたものを挙げることができる。特にタングステン(W)及びモリブデン(Mo)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属か、若しくは炭素質物が好ましい。
【0020】
正極集電体としてタングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)及び窒化チタン(TiN)から選ばれる一種類以上からなる導電材料含有量は、99重量%以上にすることが好ましい。さらに好ましい範囲は、99.9重量%以上である。
【0021】
炭素質物を導電剤として使用する正極集電体は、例えば、炭素質物粉末及びバインダ−を混合した後、加圧成型することにより作成される。
【0022】
前記炭素質物粉末としては、例えば、黒鉛粉末、炭素繊維を挙げることができる。
【0023】
前記正極集電体中の炭素質物含有量は、80重量%以上にすることが好ましい。さらに好ましくは90重量%以上である。
【0024】
この正極もあらかじめ後述する電解液と混合して用いても良い。また、正極集電体は、多孔質体でも、無孔質体でも使用でき、必要に応じ適宜選択することができる。
(b) 負極
集電体を使用する場合は、その表面に負極活物質を塗布して負極電極を形成する。この負極活物質はアルミニウムを含むものを使用する。たとえば99.9%アルミニウムや、97.5%アルミニウムー2.5%亜鉛合金などが使える。また形態は粉状、粒状からボビン型、有底内部中空構造などどれでも可能である。粉上の場合には導電剤やゲル電解質が含まれてもよい。この負極活物質は集電体に塗布される。
【0025】
また、負極は、直接アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用することができる。
【0026】
負極としてアルミニウムを使用する場合、アルミニウムの純度は99.5wt%以上、すなわち不純物が0.5wt%以下のアルミニウムを使用することが好ましい。不純物が0.5wt%を超えて含有されていると、電解液により腐食されやすくなるため、激しい自己放電、又はガス発生を生じる恐れがある。純度のさらに好ましい範囲は、99.9wt%以上である。
【0027】
負極活物質あるいは負極に使用するアルミニウム合金の具体例としては、たとえばMn、Cr、Sn、Ca、Mg、Pb、Si、In及びZnから選ばれる少なくとも1種の金属とAlとからなる合金を挙げることができる。中でも、AlにMg及びCrを含有する合金とすることが望ましい。アルミニウム合金としては、例えば94.5wt%Al−2wt%Mg−3.5wt%Cr、95%Al−5wt%Mg、99.5%Al−0.3wt%Mn−0.2wt%Znなどを挙げることができる。
【0028】
この負極は後述する電解液とあらかじめ混合して用いても良い。 また、この負極の表面に電解液の添加剤の項にて後述する有機酸、有機酸の塩、有機酸の無水物、有機酸のエステル、有機酸のイオン及びこれらの誘導体、カルボン酸基(COOH)、スルホン酸基(SO3H)、水酸基(OH)およびニトロ基(NO2)及びこれらの誘導体の群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む化合物若しくは高分子化合物で被覆を行っても良い。
【0029】
また、アルミニウムあるいはアルミニウム合金表面に存在する添加物からなる物質については後述の(d−2)添加剤の欄で説明する。
【0030】
負極活物質にバリウムを入れる場合には、バリウムを負極内に合金化して用いる方法、負極活物質表面の酸化皮膜中に、バリウムを含ませる方法などが考えられる。
【0031】
バリウムを合金化する場合の量は10ppm〜50重量%の範囲にあることが望ましい。10ppm未満であると効果が現れにくくなり、50重量%を超えると放電容量が低下する恐れがある。特に望ましくは0.1%〜5%の範囲である。
バリウムを酸化皮膜に含む場合の量は酸化皮膜に対する重量比で1ppm〜80重量%の範囲にあることが望ましい。1ppm未満であると効果が現れにくくなり、50重量%を超えると自己放電が助長される恐れがある。特に望ましくは0.1%〜50%の範囲である。
(c) セパレータ
セパレータは、正極および負極間に於いて電子の移動を妨げるものであり、絶縁材料で構成される。但し、セパレータ中に電解液を保持し、且つ電解液中をイオン化した電解質が移動可能な形状である必要があるため、通常多孔質体が使用される。
【0032】
セパレータは電解質によって適したものがあるが、セルロースでできたものからポリオレフィン不織布などイオンが透過できるものを用いることができる。
【0033】
セパレータに使用される材料としては、例えばクラフト紙、合成繊維製シ−ト、天然繊維製シ−ト、不織布、ガラス繊維製シ−ト、ポリオレフィン製の多孔質膜を挙げることができる。
【0034】
セパレータのかわりに固体電解質やゲル電解質などのイオン伝導性が確保され、電子導電性は殆どない物質を用いることもできる。
【0035】
また、セパレ−タの厚さは10〜200μmの範囲内にすることが好ましい。10μmよりも薄いと正極および負極の間で短絡する恐れがあり、1000μmよりも厚いと、イオン化した電解質の移動距離が長くなりイオン伝導効率が低下する。
【0036】
なお、正極及び負極とが接触しないように配置され、かつ正極及び負極との間に電解液を保持できる電池構造であれば必ずしもセパレータは必要とされるものではない。
【0037】
また、電解液に増粘剤を添加して、これにゲル化処理を施し、いわゆる固体電解質として用いることもできる。その場合は増粘剤相がセパレータとして機能し、この増粘剤相中に電解液相が保持される形態になる。
(d)電解液
本発明で用いられる電解液は電解質と、電解質を溶解する溶媒と、電解液と負極との腐食反応を抑制するための添加剤を含有している。電解液の溶媒には水を用いることができる。水以外の溶媒としては、γ―ブチロラクトンやアセトニトリル等の有機溶媒を、単独であるいは複数種類のこれら有機溶媒を水と混合して使用することができる。また、これらの電解液を含浸させたセパレータを用いても良い。
【0038】
電解液にバリウムイオンを含む場合には、放電反応の際、上述した水などの溶媒とアルミニウムの反応にバリウムイオンが関与して、アルミニウムとバリウムの複合酸化物あるいは複合水酸化物たとえば酸化アルミニウムバリウムや酸化アルミニウムバリウム水和物、水酸化アルミニウムバリウム、水酸化アルミニウムバリウム水和物などが生成される。これらの化合物はバリウムイオンが存在しない従来のアルミニウム電池で放電反応中に通常生成されるアルミニウム酸化物、アルミニウム水酸化物に比べ、溶解度が高く拡散しやすいため、漏液が抑制される。電解液中のバリウムイオン濃度が0.0001モル/l〜5モル/lの範囲にあることが望ましい。0.0001モル/lより小さい場合には効果が出にくくなる可能性があり、5モル/lより多い場合には他の電解質の溶解を妨げる恐れがある。特に望ましくは0.01モル/l〜2モル/lの範囲である。
(d−1)電解質
電解質は、溶媒中に溶解した硫酸イオン(SO42−)及び硝酸イオン(NO3−)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類のイオンを供給するものを使用する。
【0039】
このように電解液中に硫酸イオン(SO42−)あるいは硝酸イオン(NO3−)などの反応性の高いイオンを供給することで得られる電池の高出力化を可能にする。
【0040】
電解質の例としては、塩化アルミニウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マンガン、硫酸、硫酸マンガン、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硝酸、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、硝酸リチウムなどが考えられる。電解質の濃度としては0.001モル以上が望ましい。0.001モル/lより
少ない場合には、電解質としての機能がうまく出ない場合がある。
【0041】
電解液には自己放電を抑制するインヒビタ−を加えても良い。
【0042】
硫酸イオンを提供する電解質としては、例えば硫酸、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸リチウムなどが特に望ましい。
【0043】
硝酸イオンを提供するものとしては、硝酸、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸リチウムなどが特に望ましい。
【0044】
電解液中の電解質の量は、硝酸イオンあるいは硫酸イオン濃度が0.2〜16M/Lの範囲内となるようにすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。硝酸イオンあるいは硫酸イオンの濃度が0.2M/L未満であると、イオン伝導度が小さく、さらに後述する負極の表面への添加物による皮膜形成が不十分になり、負極の腐食反応を十分に抑制できなくなる恐れがある。一方硝酸イオンあるいは硫酸イオンの濃度が16M/Lを超えると、負極表面の皮膜成長が顕著となり負極の界面抵抗が大きくなり、高電圧を得られなくなる可能性がある。より好ましい範囲は0.5〜10M/Lである。
(d−2)添加剤
添加剤は有機酸及びその塩、エステル、無水物、イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類からなる。
【0045】
この添加剤は、添加剤の持つ官能基によってアルミニウムあるいはアルミニウム合金などからなる負極表面に存在し、H2SO4などの電解質とアルミニウムなどの負極との間で、腐食反応を抑制するものと考えられる。これらの中には負極に吸着するものもある。また、付着して皮膜のようなものを作るものもある。また、特定の層を形成するものもある。また、負極近傍に存在するものもある。それぞれの状態にてその性能を発揮する。
【0047】
負極表面に存在する添加剤成分の被膜は、電子伝導率が低いために、硫酸とアルミニウムとの間で電子の授受が速やかに行われず、その結果負極の腐食反応が抑制されているものと思われる。
【0048】
電解液中に含有される前記添加剤としては、具体的には、カルボン酸(COOH)、スルホン酸(SO3H)、水酸基(OH)、ニトロ基(NO2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の官能基を含む酸(有機酸)及びその塩、、無水物、エステル、イオンおよびこれらの誘導体が挙げられる。
【0049】
より具体的にはメチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、ブチルアルコ−ル、フェノ−ル、グリセリン、グリコ−ル酸、エチレングリコ−ル、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸、クエン酸、マレイン酸、乳酸、酪酸、ピルビン酸、安息香酸、スルホ安息香酸、ニトロメタン、スルホアニリン、ニトロベンゼンスルホニル、ポリビニルアルコ−ル、酢酸ビニル、スルホン酸ビニル、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(酢酸ビニル)、酢酸メチル、無水酢酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、マロン酸ジエチル、安息香酸ナトリウム、スルホ安息香酸ナトリウム、スルホアニリンクロリド、クロル酢酸エチル、ジクロル酢酸メチル、ポリ(酢酸ビニルカリウム塩)、ポリ(スチレンスルホン酸リチウム)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸リチウムなどが挙げられる。また高分子に対してはこれらのうち一種を含むような共重合体でも良い。
【0050】
電解液中における添加剤の濃度は、0.0001〜40重量%の範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。添加剤の濃度が0.0001重量%未満であると負極表面への添加剤の効果が十分に得られず、腐食反応を十分に抑制することができない恐れがある。一方、添加剤の濃度が40重量%を超えると電解質・電解液のイオン伝導度が低下し、高電圧が得られなくなる恐れがある。濃度のより好ましい範囲は0.001〜30重量%である。
【0051】
また、添加剤の濃度をこのような範囲に調整することで、電極表面に存在する添加剤成分は、1.0×10−20g/cm2〜1.0g/cm2程度とすることが望ましい。存在量が1.0×10−20g/cm2よりも小さいと負極の腐食を十分に抑制することが困難になり、1.0g/cm2よりも大きくすると、イオン伝導性が低下する恐れがある。
【0052】
なお、被膜を形成する添加物の量は、電気化学水晶振動子マイクロバランス法により測定できる。
【0053】
また赤外分光法や核磁気共鳴スペクトル、紫外・可視吸収スペクトルなど、各種分光学的な測定にて添加剤の存在が確認できるような量であれば本発明の効果は十分に発揮される。
【0054】
また、電解液中には前記添加剤や電解質のほかに、ハロゲンイオンを含有させることが好ましい。ハロゲンイオンを含有させることで、電解液のイオン伝導度性を向上させることが可能になる。また、ハロゲンイオンを含有させることで電解液中の前記添加剤の溶解量が増える。その結果、負極表面に形成される前記添加剤の被膜を薄く形成することが可能になり、ひいては電池の電圧を向上させることが可能になる。
【0055】
電解液中のハロゲンイオンの濃度は、0.01〜6M/Lの範囲内にすることが好ましい。0.01M/Lに満たないと、前述したハロゲンイオンを入れることによる効果を十分に得ることができず、一方、ハロゲンイオンの濃度が6M/Lを超えると、負極の腐蝕により自己放電の進行が大きくなる恐れがある。より好ましい範囲は、0.05〜4M/Lである。
【0056】
また電解液において、電解質などを溶解する溶媒は、例えば水、メチルエチルカーボネート、などを使用すればよい。
【0057】
このようなアルミニウムを負極に用いた電池によれば、自己放電、ガス発生の抑制された一次電池を提供することができる。
【0058】
また、アルミニウムを負極に用いた電池に関して、放電中に漏液を起こすことが確認されている。漏液現象がアルミニウムの酸化により発生する生成物に起因している。これは、負極付近で生成されるアルミニウムの放電生成物が拡散しにくいため非常に高濃度になり、その他の場所にある電解液(例えばセパレータの逆側に配置される正極付近の電解液やセパレータに保持されている電解液)が浸透圧効果により負極付近に移動し、セパレータと負極の間に保持できる量をこえたものが、電池外に放出されるものと考えられる。
【0059】
発明者の鋭意研究の結果、上記の現象が電解液にバリウムイオンを加える、若しくは負極にバリウムを加えることで抑制できることを見出した。これは、アルミニウムの酸化により発生する生成物がバリウムイオンの存在によって漏洩に起因する生成物とは異なる別種の生成物を生じ、この別種の生成物が拡散しやすいためと考えられる。
【0060】
【実施例】
以上の発明の実施の形態で説明した電池の構成部分を使用した電池を作成し、その特性を評価したのが以下の実施例である。
参考例1
使用する電池の断面図を図1に示した。図1中で、1は外装体(テフロン(R)製の熱収縮チューブ)、2はつば紙(クラフト紙)、4は正極、5はセパレータ(クラフト紙)、6は負極、7は負極端子(ステンレス製)、8は封口板(ポリプロピレン製)、9は正極集電体(グラファイト製)である。
【0061】
電解液の溶媒は水を使用し、溶媒中に塩化アルミニウム0.5モル/l、塩化バリウムを1モル/l含まれている。正極活物質に二酸化マンガンを用い、正極導電剤にアセチレンブラックを10%重量部用い、これに40%重量部の電解液をかき混ぜ正極とした。一方、負極には99.999%アルミニウムを有底円筒状に加工したものを用いた。円筒の内周は直径2cmで、高さは5cmとした。負極内にポリプロピレン製の不織布を敷き、その中に正極を詰め、黒鉛でできた棒を集電体として正極に差し込んだ。正極に蓋をするように紙、ポリプロピレン製のキャップをしたが、隙間があるために外気と完全には遮断されていない。
【0062】
放電は1Aの定電流で行い、0.3Vまでの放電を行った。
正極の利用率を二酸化マンガンの反応が1電子反応として、308mAh/gを利用率100%とした。放電時の漏液を10個中の数で示した。結果は後述する表1に示す。漏液発生頻度という評価項目を以下のように規定した。漏液した個数が実験数に対して0〜5%以内のときは特A、5%〜10%以内のときはA、10%〜25%のときはB、25%〜40%のときはC、40%以上のときはDと表記することとした。
(実施例1〜3、参考例2〜4、比較例1)
参考例1と同様の試験を正極活物質、正極導電剤、負極金属、電解質、溶媒を変更して行った。結果は後述する表1、表2、及び表5に示す。
(実施例
実施例は、図2に示した断面構造の電池を使用した。図2中の21は正極集電体(タングステン製)、22は負極つば紙(ポリプロピレン製)、23は正極つば紙(クラフト氏)、24は正極、25はセパレータ(ナイロン製)、26は負極、27は負極端子(ステンレス製)、28は負極集電体(タングステン製)、29は正極端子(タングステン製)である。
【0063】
正極はグラファイト10%重量部と正極活物質を混合し、混合物をプレスで中空円筒状に成型し使用した。負極は負極活物質を1%重量部のポリビニルアルコールと混合した後、電解液を50%重量部混合しゲル化させ作成した。電解液の溶媒は水を使用し、溶媒中に塩化アルミニウム0.5モル/l、塩化バリウムを1モル/l含まれている。負極には95%アルミニウム―5%バリウム合金を用いた。
【0064】
放電実験条件は参考例1と同様とした。電池全体の大きさは直径2cm、高さ5cmの円筒となっている。
(実施例5〜7、参考例5〜7、比較例2)
実施例5〜7、参考例5〜7、比較例2は参考例1と同様の実験を負極活物質、同様の試験を正極活物質、正極導電剤、負極金属、電解質、溶媒を変更して行った。結果は後述する表2、表3、及び表5に示す。
【0065】
負極酸化物皮膜内のバリウムイオン濃度はICP発光分析により電池作成時の負極と同様の素材を用いて別途測定した値。具体的にバリウムを酸化物内に蔵乳するには塩化バリウム溶液にて作用極酸化を行った。
(実施例
実施例は、図3に示した断面構造の電池を使用した。図3中の31は封口体(ポリプロピレン製)、33は絶縁体(スチレンブタジエンゴム製)、34は正極、35はセパレータ(ポリエチレン多孔体)、36は負極、37は負極集電体を兼ねる負極端子(モリブデン製)、39は正極集電体を兼ねる正極端子(タングステン製)である。
【0066】
正極はグラファイト10%重量部と正極活物質を混合し、プレスし成型を行った。負極はメタクリル酸メチル1%と負極活物質の99.99%アルミニウム0.01%バリウム合金を混合し、電解液40%重量部を混合しゲル化させて用いた。
【0067】
放電実験条件は参考例1と同様とした。電池全体の大きさは直径2cm、高さ0.5cmの円盤状となっている。結果は、表4に示した。
(実施例9、参考例8〜12、比較例3)
実施例9、参考例8〜12、比較例3は参考例1と同様の実験を負極活物質、同様の試験を正極活物質、正極導電剤、負極金属、電解質、溶媒を変更して行った。結果は後述する表4、及び表5に示す。
【0068】
負極酸化物皮膜内のバリウムイオン濃度はICP発光分析により電池作成時の負極と同様の素材を用いて別途測定した値。具体的にバリウムを酸化物内に蔵乳するには塩化バリウム溶液にて作用極酸化を行った。
【0069】
【表1】
Figure 0004128865
【0070】
【表2】
Figure 0004128865
【0071】
【表3】
Figure 0004128865
【0072】
【表4】
Figure 0004128865
【0073】
【表5】
Figure 0004128865
【0074】
この表1〜表5から明らかなように、本実施例は高容量のアルミニウム電池を提供することができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、漏液を防ぎ放電容量を向上させたアルミニウム電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1〜実施例3、参考例1〜参考例4および比較例1、2に関わるアルミニウム電池の断面図。
【図2】 本発明の実施例〜実施例7、参考例5〜参考例7および比較例3、4に関わるアルミニウム電池の断面図。
【図3】 本発明の実施例〜実施例9、参考例8〜参考例12および比較例5、6に関わるアルミニウム電池の断面図。
【符号の説明】
1・・・外装体、
2・・・つば紙、
4・・・正極、
5・・・セパレータ、
6・・・負極、
7・・・負極端子、
8・・・封口板、
9・・・正極集電体、
21・・・正極集電体、
22・・・負極つば紙、
23・・・正極つば紙、
24・・・正極、
25・・・セパレータ、
26・・・負極、
27・・・負極端子、
28・・・負極集電体、
29・・・正極端子、
31・・・封口体、
33・・・絶縁体、
34・・・正極、
35・・・セパレータ、
36・・・負極、
37・・・負極集電体を兼ねる負極端子、
39・・・正極集電体を兼ねる正極端子。

Claims (4)

  1. 正極と、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む負極と、前記正極及び負極の間に介在された電解液とを有するアルミニウム電池において、
    前記電解液は、水単独又は水と有機溶媒からなる溶媒と、硫酸イオン及び硝酸イオンから選ばれる少なくとも1つを含有する電解質とを含み、かつ
    前記負極はバリウムを含むか、または前記電解液はバリウムイオンを含むことを特徴とするアルミニウム電池。
  2. 前記電解液中のバリウムイオン濃度は、0.0001モル/L〜5モル/Lの範囲であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム電池。
  3. 前記バリウムは、前記負極の酸化皮膜にイオン化可能なバリウムの化合物の状態で含まれ、そのバリウム量が酸化皮膜に対して重量比で1ppm〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム電池。
  4. 前記バリウムは、前記負極の活物質に合金として含まれ、そのバリウム量が10ppm〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム電池。
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