JP4128702B2 - 電気接続箱 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の電気接続箱に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の電気配線では、接続箱本体に電子ユニットをプラグイン接続して装着するタイプの電気接続箱が用いられてきたが、近年、部品点数削減の観点から、図3及び図4に示すような、接続箱本体10に回路基板12(電子ユニット)を組み込むタイプの電気接続箱が用いられるようになっている。なお図3及び図4において、14は接続箱本体10に組み付けられるリレー、16は同じくヒューズ、18はバスバーの端子、20は端子18に接続される回路基板12側のコネクタ、22は回路基板12に搭載された制御素子、24はアッパーケースである。
【0003】
一方、近年の小型化技術、半導体技術の進歩により、従来電気接続箱上に設けられていたリレーも半導体化され、回路基板に搭載されつつある。リレー等のパワー素子が回路基板に搭載された場合、そこから発生する大量の熱が、熱に対して敏感なマイコン等の制御素子に悪影響を与えるため、何らかの熱対策をとる必要がある。
【0004】
熱対策としては、パワー回路部と制御回路部を別基板として熱の影響を受けにくい配置とすることや、図5に示すように、回路基板12のパワー回路部26と制御回路部28の間に遮熱壁30を設けること等が考えられている。なお図5において、32は半導体スイッチング素子、34はヒートシンク、36は放熱口、38はバスバー等を収納したロアーケース、その他の符号は図3と同等物である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パワー回路部と制御回路部を別基板とする方法では、制御回路部からパワー回路部に信号を送るために、パワー回路部と制御回路部とを電気的に接続する必要があり、このため構成が複雑になり、大型化、コストアップを招くという問題がある。
また図5のように遮熱壁30を設ける方法では、遮熱壁30自体が加熱されて高温になるため、遮熱壁30から制御回路部28への熱輻射を防ぐことができず、遮熱効果に限界がある。
【0006】
本発明の目的は、以上のような問題点に鑑み、パワー回路部と制御回路部を別基板にすることなく、パワー回路部と制御回路部間の遮熱効果を高めた電気接続箱を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は、アッパーケースとロアーケースの間に、パワー回路部と制御回路部を有する回路基板が組み込まれた電気接続箱において、前記回路基板のパワー回路部と制御回路部の間に貫通穴が形成され、前記アッパーケース及びロアーケースには、前記回路基板のパワー回路部と貫通穴形成部を仕切る第一の隔壁と、制御回路部と貫通穴形成部を仕切る第二の隔壁とが形成され、さらに前記アッパーケース及びロアーケースには、前記第一の隔壁と第二の隔壁の間の空間をケース外に連通させる開口が形成され、これにより前記空間が外気が流通する通気路となっており、さらに前記第一の隔壁の一部又は全部が、パワー回路部に搭載された発熱部品のヒートシンクで構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔関連技術〕
図1(a)、(b)は本発明の関連技術を示す。図1において、先に説明した図5と同一部分には同一符号を付してある。この電気接続箱は、アッパーケース24とロアーケース38の間に回路基板12を組み込んだものであるが、ここで使用する回路基板12はパワー回路部26と制御回路部28に分けて形成され、パワー回路部26と制御回路部28の間に複数の貫通穴40が形成されているものである。またアッパーケース24及びロアーケース38には、回路基板12のパワー回路部26と貫通穴40を形成した部分とを仕切る第一の隔壁42と、制御回路部28と貫通穴40を形成した部分とを仕切る第二の隔壁44とが形成されている。さらにアッパーケース24及びロアーケース38には、第一の隔壁42と第二の隔壁44の間の空間Sをケース外に連通させる開口46、48が形成されており、これにより空間Sは矢印Aのように外気が流通する通気路となっている。
【0010】
以上のような構成にすると、パワー回路部26で発生した熱は、アッパーケース24に形成された放熱口36からケース外へ放熱されるが、一部はアッパーケース24の第一の隔壁42を加熱して制御回路部28の方へ伝導しようとする。しかし第一の隔壁42と第二の隔壁44の間には空間Sがあるため、第二の隔壁44へは熱が伝わり難い。また空間Sは通気路となっているため、その中を流通する空気が第一の隔壁42の熱を吸収し、ケース外へ放熱することから、第二の隔壁44にはさらに熱が伝わり難くなる。したがって良好な遮熱性が得られる。
【0011】
一方、制御回路部28とパワー回路部26は、貫通穴40のない部位に配線パターンを形成することにより、電気的に接続することができるので、別基板にした場合のように基板間の接続を考える必要がなく、設計が容易で、小型化、低コスト化が可能である。
【0012】
〔実施形態1〕
図2は本発明の一実施形態を示す。図2において、図1と同一部分には同一符号を付してある。この電気接続箱は、回路基板12のパワー回路部26と貫通穴40を形成した部分とを仕切る第一の隔壁42の一部(全部でも可)を、半導体スイッチング素子32(発熱部品)のヒートシンク34で構成したものである。従来、ヒートシンクは他の部品への熱的な影響を避けるため、回路基板の端縁部に設置されていたが、空間Sを通気路としたことにより、ヒートシンク34を回路基板12の貫通穴40の縁に沿って設置することが可能となる。その結果、回路基板12の端縁部にはワイヤーハーネスと接続するコネクタ50を設置することが可能となり、電源線との接続が容易になるなど、さらに設計の自由度を高めることができる。
【0013】
なお以上の実施形態では、回路基板に貫通穴を複数設ける場合を説明したが、配線パターンが成立する範囲で、複数の貫通穴を一つにまとめてスリット状にしてもよい。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、パワー回路部で発生した熱の伝導が第一の隔壁と第二の隔壁の間に設けられた空間で遮断され、かつその空間内で加熱された空気はケース外に排出されるようになっているため、パワー回路部で発生した熱が制御回路部へ伝わるのをより確実に防止することができる。また1枚の回路基板にパワー回路部と制御回路部を形成できるので、設計の自由度が高く、小型化、低コスト化が可能である。
【0015】
また第一の隔壁の一部又は全部をヒートシンクで構成すれば、従来、ヒートシンクの設置位置とされていた回路基板の端縁部にコネクタ等を設置することが可能となり、さらに設計の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電気接続箱の関連技術を示す、(a)は断面図、(b)は(a)における回路基板の平面図。
【図2】 本発明に係る電気接続箱の一実施形態を示す断面図。
【図3】 従来の電気接続箱の分解斜視図。
【図4】 図3の電気接続箱の断面図。
【図5】 従来の電気接続箱の遮熱対策の一例を示す断面図。
【符号の説明】
10:接続箱本体
12:回路基板
14:リレー
24:アッパーケース
26:パワー回路部
28:制御回路部
34:ヒートシンク
38:ロアーケース
40:貫通穴
42:第一の隔壁
44:第二の隔壁
46、48:開口
50:コネクタ
Claims (1)
- アッパーケース(24)とロアーケース(38)の間に、パワー回路部(26)と制御回路部(28)を有する回路基板(12)が組み込まれた電気接続箱において、前記回路基板(12)のパワー回路部(26)と制御回路部(28)の間に貫通穴(40)が形成され、前記アッパーケース(24)及びロアーケース(38)には、前記回路基板(12)のパワー回路部(26)と貫通穴(40)形成部を仕切る第一の隔壁(42)と、制御回路部(28)と貫通穴(40)形成部を仕切る第二の隔壁(44)とが形成され、さらに前記アッパーケース(24)及びロアーケース(38)には、前記第一の隔壁(42)と第二の隔壁(44)の間の空間(S)をケース外に連通させる開口(46、48)が形成され、これにより前記空間(S)が外気が流通する通気路となっており、さらに前記第一の隔壁 (42) の一部又は全部が、パワー回路部 (26) に搭載された発熱部品 (32) のヒートシンク (34) で構成されていることを特徴とする電気接続箱。
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