JP4128486B2 - 光センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を測定する光センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
光伝播角度を測定する光センサとしては、複数のフォトダイオードが互いに向きを変えられて設けられた日射センサ部がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この日射センサ部では、フォトダイオードへの日射の入射方向の垂直面へのフォトダイオードの投影面積(フォトダイオードの日射入射面の垂直方向に対する日射の入射方向の角度をαとすると日射入射面の面積にcosαを乗じたもの)に応じてフォトダイオードの出力が変化すると共に、フォトダイオードへ入射する日射の強度に応じてフォトダイオードの出力が変化することを用いて、日射方向を検出する構成である。
【0004】
しかしながら、この日射センサ部では、フォトダイオードの出力が前記フォトダイオードの投影面積に比例することが前提とされている。さらに、複数のフォトダイオード間で、入射する日射の強度と出力との関係(入射強度−出力特性)が等しい必要がある。しかも、フォトダイオードの出力がフォトダイオードの温度に影響されないことが前提とされている。
【0005】
ところが、この日射センサ部に現在広く市販されかつ安価に供給されているフォトダイオードを使用しようとしても、ほとんどのフォトダイオードにおいて、フォトダイオードの出力が前記フォトダイオードの投影面積に比例しないという問題がある。これは、フォトダイオードへの日射の入射角度とフォトダイオードの出力との関係(入射角度−出力特性)から判る。
【0006】
さらに、特にフォトトランジスタやフォトダーリントン等の増幅段を含むフォトダイオードにおいては、増幅段のばらつきのため、複数のフォトダイオード間で上記入射強度−出力特性が等しくならないことが多く、フォトダイオードの選別等を行わなくてはならないという問題もある。
【0007】
また、一般に、フォトダイオードの出力は、フォトダイオードの温度に影響されることが多い。
【0008】
しかも、特許文献1には、これらの問題に起因する日射方向の検出における誤差を補正する方法が開示されていない。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−141816号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、光の入射方向の垂直面への受光面の投影面積に出力が比例しない受光部材を使用しても光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を精度よく測定できる光センサ、強度出力関数が互いに異なる複数の受光部材を使用しても光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を精度よく測定できる光センサ、または、温度に応じて出力が変化する受光部材を使用しても光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を精度よく測定できる光センサを得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光センサは、光が入射する受光面を有し、前記受光面へ入射する光の入射角度及び強度に応じて出力が変化する複数の受光部材と、前記受光部材における光の入射角度と出力との関係が表現されかつ光の入射方向の垂直面への前記受光面の投影面積に出力が比例しない角度出力関数及び前記受光部材における光の強度と出力との関係が表現された強度出力関数に基づいて前記複数の受光部材の出力から光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を算出する算出手段と、を備え、前記受光面へ入射する光の入射角度をφとし、前記角度出力関数をg(φ)とし、前記受光面へ入射する光の強度を変数として含まない関数または定数をbとし、前記受光面へ入射する光の入射角度及び強度を変数として含まない関数または実数定数をqとするとき、g(φ)=exp(−b×φq)として、φ=0の場合にg(φ)が1になる。
【0012】
請求項1に記載の光センサでは、受光部材の受光面へ入射する光の入射角度及び強度に応じて、受光部材の出力が変化する。また、算出手段は、受光部材における光の入射角度と出力との関係が表現された角度出力関数及び受光部材における光の強度と出力との関係が表現された強度出力関数に基づいて、複数の受光部材の出力から、光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を算出する。
【0013】
ここで、算出手段は、光の入射方向の垂直面への受光面の投影面積に出力が比例しない角度出力関数に基づいて、光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を算出する。これにより、前記受光面の投影面積に出力が比例しない受光部材を使用しても、光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を精度よく測定できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の光センサが適用されて構成された第1の実施の形態に係る測光センサ10の主要部が側面図にて示されており、図2には、測光センサ10のブロック図が示されている。なお、本実施の形態では、図1の左側を「一側」とし、図1の右側を「他側」とする。
【0033】
本実施の形態に係る測光センサ10は、屈曲板状の支持体12を備えており、支持体12の屈曲部位より一側は、一側へ向かうに従い下方へ向かう方向へ角度αだけ傾斜されると共に、支持体12の屈曲部位より他側は、他側へ向かうに従い下方へ向かう方向へ角度αだけ傾斜されている。
【0034】
支持体12上には、屈曲部位の一側及び他側において、それぞれ受光部材としての直方体状の受光素子14、16が固定(保持)されている。受光素子14、16の上面は、平面状の受光面14A、16Aとされており、受光面14Aの素子中心軸P(受光面14Aに垂直な軸)は、上方向が垂直軸H上方向に対して一側へ角度αだけ傾斜されると共に、受光面16Aの素子中心軸Q(受光面16Aに垂直な軸)は、上方向が垂直軸H上方向に対して他側へ角度αだけ傾斜されている。
【0035】
受光素子14、16は、受光面14A、16Aへ光が入射することで、受光面14A、16Aへ入射する光の入射角度及び強度に応じた出力信号(例えば電流値)を出力する。なお、本実施の形態では、光は素子中心軸P及び素子中心軸Qに平行な面に平行に伝播するものとする。
【0036】
受光素子14、16は、算出手段を構成する前段処理回路18に接続されており、受光素子14、16から出力された出力信号は、前段処理回路18へ入力されることで、前段処理回路18によって、後記演算装置20で扱い易い信号値(電圧値が望ましい)に変換される。
【0037】
前段処理回路18は、算出手段を構成する演算装置20に接続されており、前段処理回路18から出力された信号は、演算装置20へ入力される。演算装置20は、A/Dコンバータ22を有しており、演算装置20へ入力された信号は、A/Dコンバータ22へ入力されることで、A/Dコンバータ22によって離散値に変換される。演算装置20は、演算プロセッサ24を有しており、A/Dコンバータ22から出力された信号は、演算プロセッサ24へ入力される。
【0038】
ここで、図3には、受光素子14、16の受光面14A、16Aへ入射する光の入射角度が一定である場合における光の強度Lと受光素子14、16の出力Iとの関係(入射強度−出力特性)の一例が示されており、図4には、受光素子14、16の受光面14A、16Aへ入射する光の強度が一定である場合における光の入射角度φ(素子中心軸P、Q下方向と光伝播方向との角度)と受光素子14、16の出力Iとの関係(入射角度−出力特性)の一例が示されている。
【0039】
例えば図4に示す如く、有効に使用できる出力信号を受光素子14、16が出力できる光の入射角度φが角度β以内の範囲であるとすると、0≦α≦βとされている。これにより、垂直軸Hに平行に光が伝播する場合でも、受光素子14、16が有効に使用できる出力信号を出力することができる。
【0040】
受光素子14、16の入射角度−出力特性は、受光面14A、16Aへ上方から素子中心軸P、Qに平行に光が入射する場合(φ=0の場合)に受光素子14、16の出力が最大になり、かつ、この最大の出力が1となるように規格化されている。これにより、受光素子14の入射強度−出力特性を強度出力関数I=f(L)で近似表現(代表)し、受光素子16の入射強度−出力特性を強度出力関数I=k×f(L)で近似表現し、受光素子14、16の入射角度−出力特性を角度出力関数I=g(φ)で近似表現し、受光素子14の出力をI1とし、受光素子16の出力をI2とし、受光素子14の受光面14Aへ入射する光の入射角度をφ1とし、受光素子16の受光面16Aへ入射する光の入射角度をφ2とすると、
I1=f(L)×g(φ1)・・・(1)
I2=k×f(L)×g(φ2)・・・(2)
となる。また、kは、強度L及び入射角度φを変数として含まない関数または定数とされた補正係数であり、受光素子14と受光素子16との間での入射強度−出力特性の相違を考慮したものである。
【0041】
演算装置20は、予め判明している異なる強度Lを有する複数の校正基準光(基準光)が、受光素子14、16へ上方からそれぞれの素子中心軸P、Qに平行に入射されることで、f(L)(例えばf(L)の種類)及びkを自動的に決定する。さらに、演算装置20は、予め判明している強度L及び予め判明している異なる入射角度φ1、φ2を有する1つまたは複数の校正基準光(基準光)が、受光素子14、16へ入射されることで、g(φ)(例えばg(φ)の種類)を自動的に決定する。
【0042】
また、垂直軸H下方向に対して角度θ(一側を正とする)の方向へ光が伝播する際には、受光素子14の受光面14Aへ入射する光の入射角度φ1がθ+αとなり、受光素子16の受光面16Aへ入射する光の入射角度φ2がθ−αとなる。このため、例えば図5に示す如く、
I1=f(L)×g(θ+α)・・・(3)
I2=k×f(L)×g(θ−α)・・・(4)
となる。ここで、
f(L)=a×L・・・(5)
g(φ)=exp(−b×φ2)・・・(6)
とすると、
I1=a×L×exp{−b×(θ+α)2}・・・(7)
I2=k×a×L×exp{−b×(θ−α)2}・・・(8)
であるため、
となる。これにより、光伝播角度θは、
θ=−{1/(4×b×α)}×ln{k×(I1/I2)}・・・(10)
によって容易に求めることができる。さらに、光強度Lは、式(7)または式(8)と、式(10)により求められた光伝播角度θと、によって、容易に求めることができる。
【0043】
このように、光伝播角度θ及び光強度Lを表現する各関数(例えば式(10))が単純であり、かつ、この各関数の導出が容易な場合には、光伝播角度θ及び光強度Lを算出する各関数に基づいて作成された電気回路で演算装置20を構成して演算装置20からA/Dコンバータ22を省略することができ、また、演算プロセッサ24と光伝播角度θ及び光強度Lを算出する各関数に基づいて作成されて実装された演算手順とから、光伝播角度θ及び光強度Lを算出することができる。
【0044】
なお、演算装置20は、光伝播角度θ及び光強度Lを求めると、これらを所定の装置へ出力する構成である。
【0045】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0046】
以上の構成の測光センサ10では、受光素子14、16の受光面14A、16Aへ入射する光の入射角度φ及び強度Lに応じて、受光素子14、16の出力Iが変化する。また、演算装置20は、受光素子14、16における光の入射角度φと出力Iとの関係(入射角度−出力特性)が近似表現された角度出力関数I=g(φ)、及び、受光素子14、16における光の強度Lと出力Iとの関係(入射強度−出力特性)が近似表現された強度出力関数I=f(L)、I=k×f(L)に基づいて、受光素子14、16の出力から、光伝播角度θ及び光強度Lを算出する。
【0047】
ここで、演算装置20は、光の入射方向の垂直面への受光面14A、16Aの投影面積(受光面14A、16Aの面積にcosφを乗じたもの)に出力Iが比例しない角度出力関数I=g(φ)=exp(−b×φ2)に基づいて、光伝播角度θ及び光強度Lを算出する。これにより、前記受光面14A、16Aの投影面積に出力Iが比例しない受光素子14、16を使用しても、光伝播角度θ及び光強度Lを精度よく測定できる。このため、現在広く市販されかつ安価に供給されて容易に入手できる受光素子14、16を使用しても、光伝播角度θ及び光強度Lを精度よく測定できる。
【0048】
さらに、演算装置20は、受光素子14、16間で互いに異なる強度出力関数I=f(L)、I=k×f(L)に基づいて、光伝播角度θ及び光強度Lを算出する。これにより、強度出力関数が互いに異なる受光素子14、16を使用しても、光伝播角度θ及び光強度Lを精度よく測定できる。このため、受光素子14、16の選別等を行う必要をなくすことができる。
【0049】
また、受光面14A、16Aへの光の入射角度φが互いに異なる(α=0とされない)ように、受光素子14、16が配置されているため、本実施の形態の如く、受光素子14の角度出力関数が光の入射角度φ及び強度Lを変数として含まない関数または定数と受光素子16の角度出力関数との積で表現され(本実施の形態では受光素子14と受光素子16とにおける角度出力関数が同一(I=g(φ))とされている)、かつ、受光素子14の強度出力関数が光の入射角度φ及び強度Lを変数として含まない関数または定数と受光素子16の強度出力関数との積で表現される(本実施の形態では受光素子16の強度出力関数(I=k×f(L))が受光素子14の強度出力関数(I=f(L))のk倍にされている)場合でも、演算装置20が光伝播角度θ及び光強度Lを算出することができる。すなわち、本実施の形態では、I1=f(L)×g(θ+α)とI2=k×f(L)×g(θ−α)との2つの式から、2つの変数である光伝播角度θ及び光強度Lを算出することができる。
【0050】
さらに、演算装置20は、予め判明している異なる強度Lを有する複数の校正基準光が、受光素子14、16へ上方からそれぞれの素子中心軸P、Qに平行に入射されることで、強度出力関数f(L)、k×f(L)を自動的に決定する。しかも、演算装置20は、予め判明している強度L及び予め判明している異なる入射角度φ1、φ2を有する1つまたは複数の校正基準光が、受光素子14、16へ入射されることで、角度出力関数g(φ)を自動的に決定する。特に、f(L)=a×L及びg(φ)=exp(−b×φ2)にすることが決定されている場合には、演算装置20は、校正基準光が受光素子14、16へ入射されることで、a、b及びkを自動的に決定する。これにより、角度出力関数g(φ)及び強度出力関数f(L)、k×f(L)を容易に算出することができる。
【0051】
また、測光センサ10(演算装置20の演算プロセッサ24)から出力される光伝播角度θ及び光強度Lは、数値として出力されるため、測光センサ10が制御対象(例えば車両のサンバイザ)の向きの制御のために使用されて、制御対象の細かな向きの制御を必要とされる場合(例えば運転席用のサンバイザと助手席用のサンバイザとで向きを異ならせる場合等)でも、測光センサ10が制御対象の向きを良好に制御することができる。
【0052】
[第2の実施の形態]
図6には、本発明の光センサが適用されて構成された第2の実施の形態に係る測光センサ30のブロック図が示されている。
【0053】
本実施の形態に係る測光センサ30は、上記第1の実施の形態に係る測光センサ10とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0054】
本実施の形態に係る測光センサ30は、測温手段としての測温素子32を備えており、測温素子32は、支持体12の屈曲部位に固定されて、受光素子14と受光素子16との中央に配置されている。測温素子32は、受光素子14、16の近傍に配置されて、受光素子14、16と温度が同一である前提とされており、測温素子32が、測温素子32自体の温度を測定することで、測定された温度が受光素子14、16の温度として推測される。
【0055】
受光素子14、16は、受光面14A、16Aへ光が入射することで、受光面14A、16Aへ入射する光の入射角度及び強度のみならず受光素子14、16の温度に応じた出力信号(例えば電流値)を出力する。
【0056】
測温素子32は、前段処理回路18に接続されており、測温素子32から出力された出力信号は、受光素子14、16から出力された出力信号と同様に、前段処理回路18、更には、演算装置20のA/Dコンバータ22へ入力されて、受光素子14、16から出力された出力信号と同様に処理される。さらに、測温素子32から前段処理回路18を経て演算装置20のA/Dコンバータ22から出力された信号は、演算装置20の演算プロセッサ24へ入力される。
【0057】
ここで、受光素子14、16の受光面14A、16Aへ入射する光の入射角度及び強度が一定である場合における受光素子14、16の温度tと受光素子14、16の出力Iとの関係(温度−出力特性)を温度出力関数(温度補正関数)I=j(t)で近似表現(代表)すると、上記第1の実施の形態における式(1)及び式(2)は、
I1=j(t)×f(L)×g(φ1)・・・(11)
I2=j(t)×k×f(L)×g(φ2)・・・(12)
に変更される。
【0058】
ところで、温度出力関数I=j(t)は予め判明しており、j(t)の数値は受光素子14、16の温度t(測温素子32により測定された温度)から求めることができる。このため、例えば、I1及びI2を、j(t)により補正して、
I1´=I1/j(t)=f(L)×g(φ1)・・・(1)´
I2´=I2/j(t)=k×f(L)×g(φ2)・・・(2)´
とすると、上記第1の実施の形態と同様に、演算装置20の演算プロセッサ24が、光伝播角度θ及び光強度Lを求めることができて、これらを所定の装置へ出力できる構成である。
【0059】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0060】
以上の構成の測光センサ30では、受光素子14、16における温度t、受光面14A、16Aへ入射する光の入射角度φ及び強度Lに応じて、受光素子14、16の出力Iが変化する。また、測温素子32が受光素子14、16の温度tを推測する。さらに、演算装置20は、受光素子14、16における温度tと出力Iとの関係(温度−出力特性)が近似表現された温度出力関数I=j(t)、受光素子14、16における光の入射角度φと出力Iとの関係(入射角度−出力特性)が近似表現された角度出力関数I=g(φ)、及び、受光素子14、16における光の強度Lと出力Iとの関係(入射強度−出力特性)が近似表現された強度出力関数I=f(L)、I=k×f(L)に基づいて、測温素子32により推測された受光素子14、16の温度t及び受光素子14、16の出力から、光伝播角度θ及び光強度Lを算出する。
【0061】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
さらに、演算装置20は、温度出力関数I=j(t)及び受光素子14、16の温度tをも使用して、光伝播角度θ及び光強度Lを算出する。これにより、温度tに応じて出力Iが変化する受光素子14、16を使用しても、光伝播角度θ及び光強度Lを精度よく測定できる。
【0063】
なお、本実施の形態では、前段処理回路18が、演算装置20(A/Dコンバータ22または演算プロセッサ24)へ、I1及びI2に対応する信号値を出力する構成としたが、前段処理回路18が、I1´=I1/j(t)及びI2´=I2/j(t)を求めることで、演算装置20(A/Dコンバータ22または演算プロセッサ24)へ、I1´及びI2´に対応する信号値を出力する構成としてもよい。
【0064】
さらに、本実施の形態では、測温素子32が受光素子14、16の温度tを推測する構成としたが、例えば測温素子(測温手段)が受光素子(受光部材)に設けられることで、測温素子が受光素子の温度を測定する構成としてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、2つの受光素子14、16の温度出力関数I=j(t)が同一である構成としたが、複数の受光素子(受光部材)の温度出力関数が互いに異なる構成としてもよい。
【0066】
さらに、本実施の形態では、2つの受光素子14、16の温度tが同一であることが前提とされた構成としたが、複数の受光素子(受光部材)の温度が互いに異なる場合があることが前提とされた構成としてもよい。
【0067】
さらにまた、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、式(5)及び式(6)の如く、f(L)=a×L及びg(φ)=exp(−b×φ2)とした構成としたが、f(L)及びg(φ)は、必要な精度の範囲で入射強度−出力特性及び入射角度−出力特性を近似表現できるものであればどのようなものでもよい。例えば、より高い精度で入射強度−出力特性及び入射角度−出力特性を近似表現する必要がある場合には、p及びqを、強度L及び入射角度φを変数として含まない関数または実数定数として、
f(L)=a×Lp・・・(13)
g(φ)=exp(−b×φq)・・・(14)
とした構成としてもよい。
【0068】
この場合には、式(3)及び式(4)により、
第1の実施の形態では、
I1=a×Lp×exp{−b×(θ+α)q}・・・(15)
I2=k×a×Lp×exp{−b×(θ−α)q}・・・(16)
であり、
第2の実施の形態では、
I1´=I1/j(t)=a×Lp×exp{−b×(θ+α)q}・・・(15)´
I2´=I2/j(t)=k×a×Lp×exp{−b×(θ−α)q}・・・(16)´
であるため、
k×(I1/I2)=exp[−b×{(θ+α)q−(θ−α)q}]・・・(17)
となる。
【0069】
このように、f(L)やg(φ)により複雑な近似関数を採用した場合には、演算装置20の電子回路を構成することや、光伝播角度θや光強度Lを表現する関数を導出することが、非常に困難あるいは不可能となる場合が多い。このため、このような場合には、式(17)から、k×(I1/I2)の数値(受光素子14、16の出力I1、I2の他に必要に応じて光伝播角度θ及び光強度Lを変数として含まない関数または定数のみを用いて得られる数値)と光伝播角度θの数値との対応関係を示す出力角度関係としての第1数値テーブルが作成(導出)されると共に、式(15)及び式(16)または式(15)´及び式(16)´から、所定の数値(受光素子14、16の出力I1、I2の他に必要に応じて光伝播角度θ及び光強度Lを変数として含まない関数または定数のみを用いて得られる数値)と光強度Lの数値との対応関係を示す出力強度関係としての第2数値テーブルが作成されると、演算装置20の記憶領域に保存される。これにより、演算装置20の演算プロセッサ24と実装された検索手順及び演算手順とによって、第1数値テーブル及び第2数値テーブルを用いて、k×(I1/I2)の数値及び所定の数値から、光伝播角度θの数値及び光強度Lの数値を導出する(光伝播角度θ及び光強度Lを算出する)ことができる。
【0070】
さらに、上述の如く、第1数値テーブルは、強度出力関数である式(15)または式(15)´及び角度出力関数である式(16)または式(16)´から導出される式(17)に基づいて作成することができるため、第1数値テーブルを容易に作成することができると共に、第2数値テーブルを式(15)及び式(16)または式(15)´及び式(16)´に基づいて作成できれば、第2数値テーブルを容易に作成することができる。
【0071】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、受光素子14の角度出力関数と受光素子16の角度出力関数とを同一(I=g(φ))とした構成としたが、受光素子14の角度出力関数を光の入射角度φ及び強度Lを変数として含まない関数または定数と受光素子16の角度出力関数との積で表現しない構成としてもよい。この場合、例えば受光素子14の角度出力関数をI=g(φ)とし、受光素子16の角度出力関数をI=h(φ)とすると、
g(φ)=exp(−b×φ)・・・(18)
h(φ)={1+cosφ}/2・・・(19)
とする。これにより、受光面14A、16Aへの光の入射角度φが互いに異なるように受光素子14、16が配置されず(α=0とされ)かつ受光素子14の強度出力関数が光の入射角度φ及び強度Lを変数として含まない関数または定数と受光素子16の強度出力関数との積で表現される場合でも、演算装置20が光伝播角度θ及び光強度Lを算出することができる。すなわち、例えばα=0としても、第1の実施の形態ではI1=f(L)×g(θ)及びI2=k×f(L)×h(θ)の2つの式から、第2の実施の形態ではI1´=I1/j(t)=f(L)×g(θ)及びI2´=I2/j(t)=k×f(L)×h(θ)の2つの式から、2つの変数である光伝播角度θ及び光強度Lを算出することができる。
【0072】
さらに、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、受光素子16の強度出力関数(I=k×f(L))を受光素子14の強度出力関数(I=f(L))のk倍にした構成としたが、受光素子14の強度出力関数が光の入射角度φ及び強度Lを変数として含まない関数または定数と受光素子16の強度出力関数との積で表現されない構成としてもよい。これにより、光の入射角度φが互いに異なるように受光素子14、16が配置されず(α=0とされ)かつ受光素子14の角度出力関数が光の入射角度φ及び強度Lを変数として含まない関数または定数と受光素子16の角度出力関数との積で表現される場合でも、演算装置20が光伝播角度θ及び光強度Lを算出することができる。
【0073】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、2つの受光素子14、16を使用すると共に、光が素子中心軸P及び素子中心軸Qに平行な面に平行に伝播するものとして、2次元平面における光伝播角度θ及び光強度Lを算出する構成としたが、3つ以上の受光素子(受光部材)を使用すると共に、この3つ以上の受光素子を各素子中心軸が互いに平行にならないように配置することで、3次元空間における光伝播角度及び光強度を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る測光センサの主要部を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る測光センサのブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る測光センサにおける受光素子の入射強度−出力特性を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る測光センサにおける受光素子の入射角度−出力特性を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る測光センサにおける光伝播角度と2つの受光素子の出力との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る測光センサのブロック図である。
【符号の説明】
10 測光センサ(光センサ)、14 受光素子(受光部材)、14A 受光面、16 受光素子(受光部材)、16A 受光面、18 前段処理回路(算出手段)、20 演算装置(算出手段)、30 測光センサ(光センサ)、32 測温素子(測温手段)
Claims (1)
- 光が入射する受光面を有し、前記受光面へ入射する光の入射角度及び強度に応じて出力が変化する複数の受光部材と、
前記受光部材における光の入射角度と出力との関係が表現されかつ光の入射方向の垂直面への前記受光面の投影面積に出力が比例しない角度出力関数及び前記受光部材における光の強度と出力との関係が表現された強度出力関数に基づいて前記複数の受光部材の出力から光伝播角度及び光強度の少なくとも一方を算出する算出手段と、
を備え、
前記受光面へ入射する光の入射角度をφとし、前記角度出力関数をg(φ)とし、前記受光面へ入射する光の強度を変数として含まない関数または定数をbとし、前記受光面へ入射する光の入射角度及び強度を変数として含まない関数または実数定数をqとするとき、
g(φ)=exp(−b×φq)
として、φ=0の場合にg(φ)が1になる光センサ。
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