JP4128278B2 - 単結晶製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は浮遊溶融帯法(Floating Zone:FZ法)または溶媒移動浮遊溶融帯法(Travelling Solvent FloatingZone:TSFZ法)を使用して単結晶を製造する単結晶製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
FZ法は図3に示すように結晶原料棒(Feed)11及び種結晶(Seed)12を両端で鉛直に保持し、その一部を加熱溶融して溶融帯(Zone)13を作り、それを一端から他端に移動させることによって単結晶を育成する方法である。TSFZ法も基本的に構成は同じであるが、溶融帯13に溶媒(フラックス)を用いる点で異なる。
【0003】
図4はFZ法を使用する従来の単結晶製造装置の一例を示したものであり、上主軸14の支持具15に結晶原料棒11が保持され、下主軸16の支持具17に種結晶12が保持されており、これら保持した結晶原料棒11及び種結晶12を一定速度で下に送ることにより、種結晶12側に単結晶を得ることができるものとなっている。
【0004】
加熱方法としては、高周波加熱、レーザー、アーク・イメージ、ハロゲンランプ集中加熱等、種々の方法があるが、この例ではハロゲンランプ18と回転楕円面鏡19とを用いた赤外線集中加熱型のものとなっている。これらハロゲンランプ18及び回転楕円面鏡19以外の機構は、育成雰囲気制御のため、石英ガラス管21の内側に収容されている。なお、図4中、22は回転楕円面鏡19の焦点を示し、23は光路、24はCCDカメラを示す。また、25,26はそれぞれ雰囲気ガス入口、雰囲気ガス出口を示す。
【0005】
FZ法及びTSFZ法は、溶融帯13が表面張力で保持されているため、ルツボを必要とせず、このため高融点材料の単結晶育成を行うことができるといったことに加え、ルツボからの不純物の混入がなく、高品質な結晶を育成しやすいものとなっている。そのため、現在では例えば口径6インチクラスのSi単結晶や、Y3 Fe5 12(YIG)等の磁性体単結晶、TiC等の高融点金属の単結晶育成に用いられている。
【0006】
FZ法及びTSFZ法による単結晶育成においては、溶融帯13を一定状態に保持するということが高品質な結晶を得るための重要なポイントとなる。単純に考えれば、ハロゲンランプ18等の加熱源の熱量と結晶育成速度(下側への送り速度)とを一定に維持することによって、溶融帯13の状態を一定にできるはずであるが、実際にはこれらを一定に維持制御しても、育成が進むに従い、主に種結晶12、支持具17側からの熱の逃げ方が変化して、溶融帯13を一定状態に保持することができないという状況が発生する。
【0007】
これは成長した単結晶が長くなるに従い、その熱抵抗が大きくなって熱が逃げにくくなり、溶融帯13の長さや位置、温度が変化するためで、このことにより溶融帯13自身の表面張力や密度、TSFZ法の場合には溶液の溶解度が変化し、成長する結晶の特性が変化してしまう。また、最悪の場合には、溶融帯13を表面張力のみで保持することができなくなり、垂れてしまうことで育成不能になったりする。
【0008】
このような状況を回避するため、従来においてはハロゲンランプ18の電力を調整することが行われている。即ち、育成が進行し、熱抵抗が大きくなるにつれてハロゲンランプ18の電力を少なくし、溶融帯13の長さが長くなりすぎないようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来においてはハロゲンランプ18の電力を調整することによって溶融帯13の長さの変化を抑えるようにしているが、この方法では結晶育成の条件自身が変化してしまうため、一定品質の単結晶を得ることは極めて困難なものとなっていた。
【0010】
この発明の目的は従来の欠点を解消し、より均質、高品質な単結晶を得ることができる単結晶製造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、浮遊溶融帯法または溶媒移動浮遊溶融帯法により単結晶を製造する装置において、単結晶育成のための種結晶を支持する主軸にアフタヒータが配設され、単結晶育成に伴う送りによる下主軸の移動位置を検出するエンコーダが下主軸に取り付けられ、下主軸の位置とその位置のときの最良のアフタヒータの発熱量とをデータベースとして有し、そのデータベースに基づき、エンコーダが検出した下主軸の位置に対し、アフタヒータの発熱量が最良となるように制御される構とされる。
【0012】
請求項2の発明では、浮遊溶融帯法または溶媒移動浮遊溶融帯法により単結晶を製造する装置において、単結晶育成のための種結晶を支持する主軸にアフタヒータが配設され、下主軸の温度を測定する赤外線温度計が設けられ、下主軸の温度とその温度のときの最良のアフタヒ−タの発熱量とをデータベースとして有し、そのデータベースに基づき、赤外線温度計が検出した下主軸の温度に対し、アフタヒータの発熱量が最良となるように制御される構とされる。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照して実施例により説明する。なお、図4と対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図1は請求項1の発明の実施例を示したものである。この例では図に示したように単結晶育成のための種結晶12が支持されている下主軸16側に、下主軸16からの熱の逃げ方を一定にするものとして、アフタヒータ31が配設される。アフタヒータ31は電源32に接続されており、電源32によって駆動される。
【0014】
下主軸16に取り付けられたエンコーダ33は下主軸16の位置、つまり結晶育成に伴う送りによる移動位置を検出するもので、このエンコーダ33の出力はパーソナルコンピュータ(以下、PCと言う。)34に取り込まれており、PC34はエンコーダ33の出力から下主軸16の位置を検出できるものとなっている。また、PC34はアフタヒータ31の電源32に対し、制御信号を出力することができ、つまり任意の発熱量になるようにアフタヒータ31を制御することができるものとなっている。
【0015】
PC34は予め測定して求められた下主軸16の位置と、その位置のときの最良のアフタヒータ31の発熱量とをデータベースとして有しており、PC34はそのデータベースに基づき、検出した下主軸16の位置に対し、アフタヒータ31の発熱量を最良となるように制御する。
ここで、アフタヒータ31の発熱量の変化がなるべく連続的になるように、上記の事前の測定は細かいステップ(位置間隔)で行うことが望ましい。なお、一般的には各ステップ間を直線補完することにより、アフタヒータ31の発熱量を連続的に変化させることができる。
【0016】
上述した構成によれば、下主軸16の位置に応じてアフタヒータ31の発熱量が制御され、つまりハロゲンランプ18の電力を調整しなくても溶融帯13の状態を一定に保つことができるため、結晶育成の条件を一定に保つことができ、よって従来よりも均質、高品質な単結晶を得ることができる。
図2は請求項2の発明の実施例を示したものである。この例では下主軸16の温度を測定する赤外線温度計35が設けられ、その赤外線温度計35の出力をPC34に取り込むものとなっている。つまり、この例では前述した下主軸16の位置検出に替えて温度検出を行うものとなっている。
【0017】
PC34は予め測定して求められた下主軸16の温度と、その温度のときの最良のアフタヒータ31の発熱量とをデータベースとして有しており、PC34はそのデータベースに基づき、検出した下主軸16の温度に対し、アフタヒータ31の発熱量を最良となるように制御する。
これによって、図1に示した構成と同様に、ハロゲンランプ18の電力を調整しなくても溶融帯13の状態を一定に保つことができる。
【0018】
なお、図1及び図2に示した例では、いずれもPC34を用いて制御を行うものとしているが、これに限るものではない。また、アフタヒータ31の設置を下主軸16側のみとしているが、これに限るものではなく、上主軸14側にも設置するようにすれば、より一層の効果が期待できる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は単結晶育成材料を支持する主軸からの熱の逃げ方を一定にするために、新たにアフタヒータを設置し、その発熱量を主軸の位置もしくは温度に応じて最良の熱量となるように制御するようにしたものである。
【0020】
これによって、従来のように結晶育成の条件を変化させることなく、単結晶の育成を行うことができるようになるため、従来よりも均質、高品質な単結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の実施例を説明するための図。
【図2】請求項2の発明の実施例を説明するための図。
【図3】浮遊溶融帯法による単結晶の育成を説明するための図。
【図4】従来の単結晶製造装置を説明するための図。

Claims (2)

  1. 浮遊溶融帯法または溶媒移動浮遊溶融帯法により単結晶を製造する装置において、
    単結晶育成のための種結晶を支持する主軸にアフタヒータが配設され、
    単結晶育成に伴う送りによる上記下主軸の移動位置を検出するエンコーダが上記下主軸に取り付けられ、
    上記下主軸の位置と、その位置のときの最良の上記アフタヒータの発熱量とをデータベースとして有し、
    そのデータベースに基づき、上記エンコーダが検出した上記下主軸の位置に対し、上記アフタヒータの発熱量が最良となるように制御される構とされていることを特徴とする単結晶製造装置。
  2. 浮遊溶融帯法または溶媒移動浮遊溶融帯法により単結晶を製造する装置において、
    単結晶育成のための種結晶を支持する主軸にアフタヒータが配設され、
    上記下主軸の温度を測定する赤外線温度計が設けられ、
    上記下主軸の温度と、その温度のときの最良の上記アフタヒ−タの発熱量とをデータベースとして有し、
    そのデータベースに基づき、上記赤外線温度計が検出した上記下主軸の温度に対し、上記アフタヒータの発熱量が最良となるように制御される構とされていることを特徴とする単結晶製造装置。
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