JP4128119B2 - 医療検査用カセット - Google Patents

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Description

本発明は、医療検査用顕微鏡標本の作製に使用する医療検査用カセットに関し、更に詳しくは、蓋の表面に空間部形成用突起を設け、カセットを積み重ねて、又は並接して薬液処理を施す際の薬液の透過性を改良した医療検査用カセットに関する。
従来のこの種のカセットは、例えば、図1に示すように、耐薬品性合成樹脂からなるカセット本体1と蓋2とを具備してなる。カセット本体1は、上面を開放した方形の容器で、底部に多数の透孔3を有し、短辺側の一側壁の外側に底部に向かって末広がり状に傾斜した板状の記録部4を設け、その内側に係止溝5を有し、他の側壁の外側に係止部6を有する。
蓋2は、着脱可能な板状体で、板面に多数の透孔7を有し、裏面の外周面に沿ってカセット本体内に嵌合するリブ8を有し、短辺側の一方側には前記係止溝5の記録部4の裏面に沿って嵌入係合する傾斜状係止片9を有し、短辺側の他方側にはカセット本体1よりも僅かに大き目の突縁部10を有し、係合部6と係合する係止片11を有している(例えば、特許文献1参照)。
上記カセットを使用して顕微鏡標本を作製するには、まず、採取した検体12をカセット本体1内に収容して蓋2を取り付け、記録部4に被検者の氏名等を記録しておく。蓋2の傾斜状係止片9は、カセット本体1の係止溝5 に係合し、また係止片11はカセット本体1の係止部6に係合して蓋2を固定する。
続いて、透孔7、3を通じて、検体12を水洗し、次いでアルコールにより検体12の水分を除去し、キシレンにより後述する液状パラフィンとの親和性を付与する。
次に、図示しないが、検体12を包埋したパラフィンがカセット本体1の底部に付着してなるカセットブロックを得、ミクロトームでパラフィンの検体12を包埋した部分をスライスし、スライスした薄片に染色、その他の所定の処理を施すことにより顕微鏡標本を得るのである。
特開2002−5800号公報(図29、図1参照)
しかしながら、カセットは、通常、複数個を積み重ねたり並接して上記した薬液処理がなされるが、図1に示したような従来のカセットの場合は、上部又は隣のカセットの底面と下部又は隣のカセットの蓋の表面とが密着するため、上部又は隣のカセットの蓋2の透孔7及びカセット本体1の透孔3を透過した薬液がそのまま下部又は隣のカセットの蓋2の透孔7からカセット本体1内に流入して検体12を処理した後、カセット本体1の透孔3から更に下部又は隣のカセットの蓋2の透孔7よりカセット本体1内に流入するという操作を繰り返すことになり、薬液の透過は略一方方向のみとなり、薬液処理は必ずしも十分に効率的であるとは云い難い。
上記問題を解決するために、図1に示すように、蓋の表面の外側(図1では四角)に識別表示13を突設し、カセットを積み重ねた場合や並接した場合に、該識別表示13によりカセット間に空間部(スペース)を形成させ、この空間部からも薬液をカセット内に流入させることにより、薬液の透過性を改善したカセットが報告されているが、上記の如く、蓋2の外側のみに識別表示13のような突起を設けた場合は、図1〜1に示すように、積み重ねたカセットが少しずれただけで、上位カセットの上下又は左右のいずれかの側が下位カセットの突起上から脱落し、空間部形成の機能を果たすことができず、従って、薬液透過性は低下することが避けられない。また、脱落している側と脱落していない側とで空間部Sの大きさが異なるために薬液透過量に不均一が生じ、その結果、均一な薬液処理が不可能となるという問題をはらんでいる。さらに、これらの問題は、カセットを並接して薬液処理を施す場合にも生じる。
本発明は、上記の如き欠点を解消し、積み重ねたカセットや並接したカセットがずれてもカセットとカセットとの問に空間部が形成され、一方方向からのみならず、積み重ねた又は並接したカセットとカセットとの間からも薬液を流入させることにより、薬液処理が均一で且つ処理効率が改善された医療検査用カセットを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、耐薬品性材料からなるカセット本体と蓋とを具備してなり、前記カセット本体が上面を開放し、検体を収容し得る方形の容器で、多数の透孔を有し、前記蓋がカセット本体に着脱自在に取り付けられ、多数の透孔を有してなる医療検査用カセットにおいて、前記蓋の表面の縦、横の外からそれぞれ1/5の範囲を除いた真中の3/5の範囲を占める大矩形の外側の線と、同じくそれぞれ1/3の範囲を除いた真中の1/3の範囲を占める小矩形の外側の線とにより画成される矩形枠状の範囲内に少なくとも3個の空間部形成用突起を、カセットを積み重ねたり並接した場合に薬液を透過させるための空間部を形成するように設けたことを特徴とする医療検査用カセットを内容とする。
本発明の請求項2に係る発明は、矩形枠状の範囲内の一つの枠辺内の略中央に1個の空間部形状用突起を設け、対向する他の枠辺の両端部付近に各1個の空間部形成用突起を設けた請求項1記載の医療検査用カセットを内容とする。
本発明の請求項3に係る発明は、なくとも4個の空間部形成用突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の医療検査用カセットである。
本発明の請求項4に係る発明は、矩形枠状の範囲内の四つの角部付近に各1個の空間部形状用突起を設けた請求項3記載の医療検査用カセットである。
本発明の請求項5に係る発明は、更に、蓋の外側の少なくとも四角付近に空間部形成用突起を各1個設けた請求項1又は2記載の医療検査用カセットである。
本究明の請求項6に係る発明は、カセット本体が仕切璧により複数個の小室に区画されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療検査用カセットである。
本究明の請求項7に係る発明は、蓋及び/又はカセット本体が耐薬品性の透明材料からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療検査用カセットである。
本究明の請求項8に係る発明は、透明材料がポリプロピレン樹脂である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療検査用カセットである。
本究明の請求項9に係る発明は、透明材料がポリエステル樹脂である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療検査用カセットである。
本発明の医療検査用カセットによれば、積み重ねた場合や並接した場合において、上下のカセットに相当大きなずれが生じても、蓋に設けた空間部形成用突起によりカセットとカセットとの間に空間部が形成されるので、薬液処理の際の薬液の透過性、拡散性、及び検体との接触性が飛躍的に高められ、均一、且つ効率的な薬液処理が可能となる。
本発明は、耐薬品性材料からなるカセット本体と蓋とを具備してなり、カセット本体が上面を開放し、検体を収容し得る方形の容器で、多数の透孔を有し、前記蓋がカセット本体に着脱自在に取り付けられ、多数の透孔を有してなる医療検査用カセットにおいて、前記蓋の表面の縦、横の外からそれぞれ1/5の範囲を除いた真中の3/5の範囲を占める大矩形の外側の線と、同じくそれぞれ1/3の範囲を除いた真中の1/3の範囲を占める小矩形の外側の線とにより画成される矩形枠状の範囲内に少なくとも3個の空間部形成用突起を、カセットを積み重ねたり並接した場合に薬液を透過させるための空間部を形成するように設けたことを特徴とするものである。
尚、本発明において、「縦、横の外側」とは、カセット本体との係合するための突出部や突縁部を除いた実質的に矩形の部分を指す。
空間部形成用突起は、蓋の表面の縦、横の外からそれぞれ1/5の範囲を除いた真中の3/5の範囲を占める大矩形の外側の線と、同じくそれぞれ1/3の範囲を除いた真中の1/3の範囲を占める小矩形の外側の線とにより画成される矩形枠状の範囲内(以下、単に1/5〜1/3の矩形枠状の範囲内と称する)に設けられる。少なくとも3個の空間部形成用突起を設ける場合は、図1(a)に示すように、上記範囲で規定される矩形枠状の範囲内(図中の斜線の範囲)において、いずれか1つの枠辺内の略中央に1個の突起を設け、対向する他の枠辺の両端部付近にそれぞれ1個の突起を設け、実質的に2等辺三角形状に設けるのが好ましい。
また、少なくとも4個の空間部形成用突起を設ける場合は、図1(b)に示すように、上記範囲で規定される矩形枠状の範囲内(図中の斜線の範囲)において、四つの角部付近にそれぞれ1個ずつ設けるのが好ましい。
尚、空間部形成用突起は上記範囲内に少なくとも突起の一部が入っておればよく、残りの部分が該領域外に食み出していても差し支えない。
上記の範囲内に上記の如く空間部形成用突起を設けることにより、蓋2の縦、横、斜に外側端から1/5〜1/3の距離においてずれが生じても、図1〜1に示したように、空間部が不均一となり、その結果、薬液透過量が不均一となり均一な薬液処理ができなくなるといったトラブルが防止される。
上記空間部形成用突起は、上記のように、カセットを積み重ねたり並接した場合において、カセットとカセットとの間に薬液を透過させるための空間部を形成させるためのものであり、その数の上限は特に制限されない。該空間部形成用突起は多い程良いが、金型が複雑となり、樹脂量が増加したり、また空間部形成用突起によって形成される空間部の流路抵抗が増大する等の不利益面があるので、これらを勘案して決定することが望ましい。
空間部形成用突起を少なくとも3個設ける場合は、必要に応じて、更に蓋の外側の少なくとも四角付近にも該突起を追加して設けるのが好ましい。
なお、本発明において、蓋の外側とは、透孔群の外側及びその近辺の部分を指し、残りの透孔群の部分を内側と称する。
空間部形成用突起は、好ましくは、少なくとも0.3mmの高さ、より好ましくは、少なくとも0.5mmの高さで設けられる。空間部形成用突起が0.3mmよりも低くなると、カセットとカセットとの間に形成される空間部が小さくなり薬液の透過性の改善効果が不十分となる。尚、空間部形成用突起の高さの上限は、カセットの大きさにより一概には規定できないが、余り高くなると積み重ねたり並接した場合に場所をとり、処理効率が低下するとともに、取り扱い性も悪くなる。従って、10mm程度が好ましい。
空間部形成用突起の形状は特に制限されず、例えば、円形、楕円形、矩形、多角形等のいずれでもよい。
本発明のカセットの材料は、標本作成に使用する化学薬品に対して耐性を有する合成樹脂や金属が好ましく、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ステンレス等が挙げられる。また、カセット本体を樹脂で、蓋を金属で作ることもでき、更に、その逆も可能である。
また、カセット本体、蓋のいずれかが、又はその両方が透明材料で作成されることにより、蓋のみが透明材料からなる場合は蓋の外側から、また、カセット本体のみが透明材料からなる場合は、カセット本体(側壁又は底部)の外側から、更に、カセット本体と蓋の両方が透明材料からなる場合は、カセット本体及び蓋の両方の外側から、内部の検体の状況を視認することができる。即ち、カセット内部に収容した検体の状況(大きさ、個数、形状、色、カセット本体内での存在位置、濾紙とともに検体を収容した場合は、濾紙の位置、濾紙上の検体の方向等)を明確に視認することができ、顕微鏡標本作成の効率化、確実化を図るとともに、精度の高い検査結果を得ることができる。
透明材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル(特にPET)樹脂が好適であり、とりわけ耐薬品性に優れ低コストという点からポリプロピレン樹脂が好適である。
また、カセット本体を仕切壁で区画して複数個の小室にすることにより、同時に複数個の検体が処理されるので極めて効率的である。しかし、前記したように、既存のミクロトーム等の装置を使用する場合には、カセットの大きさに自ら制約があり、従って、複数個の小室を設ける場合は、2〜9個程度が好ましい。9個を越えると、小室のサイズが小さくなり過ぎ、収容、処理する検体のサイズも制限され不都合な場合がある。
以下、本発明の実施例を示す図面に基づいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことは云うまでもない。
実施例1
本実施例1の医療検査用カセットは、図2、図3に示すように、耐薬品性材料からなるカセット本体1と蓋2とを具備してなり、カセット本体1が、上面を開放した、検体を収容し得る方形の容器で、多数の透孔3を有し、短辺側の一側壁の外側に底部に向かって末広がり状に傾斜した板状の記録部4を備えるとともに、その内側に係止溝5を有し、他の側壁の外側に係止部6を有してなる。
一方、蓋2が多数の透孔7を有し、裏面の外周面に沿ってカセット本体1内に嵌合するリブ8を有し、短辺側の一方側には前記係止溝5に記録部4の裏面に沿って嵌入係合する傾斜状係止片9を、他方側にはカセット本体1よりも僅かに大き目の突縁部10を有し、前記係止部6と係合する係止片11を有してなる。
また、蓋2の表面の外側には、カセット本体1の底面に設けられた透孔3よりは大きく略直方体形状に形成されたリブ状の空間部形成用突起14が、2個その突起長手側をカセットの短辺側と平行となるように、また、同一形状の空間部形成用突起15が、1個その突起長手側をカセットの長辺側と平行になるように、且つ、前記蓋2の表面の縦、横の外側から、これら縦、横それぞれの長さの1/5〜1/3の矩形枠状の範囲内に納まるように計3個を三角形の頂点を形成するように設けられている。尚、「蓋2の表面の外側」とは、図2、図3に示すように、カセット本体1との係合のための係止片11を有する突縁部10や傾斜状係止片9を有する突出部等は除いた実質的に矩形の部分を指す。
また、図3に示したように、カセット本体1の内部には採取した検体が区分して入れられるように、仕切壁16が立設されている。この場合、仕切壁16によって形成される小室をさらに増加すのために、図3に示した2条の仕切壁16と直交するように、カセット本体1を2等分して中央に1条、又は3等分して2条の横仕切壁17を設けて小室を6個又は9個にすることもできる。
このように蓋2の表面の外側に三角形の頂点を形成する如く空間部形成用突起14、15を3カ所に設けるだけで、図4〜図6に示すように、積み重ねた又は並接したカセットが長辺方向、短辺方向に約1/5〜1/3の距離ずれたとしても、カセットとカセットとの間には空間部形成用突起14、15の高さに相当する均一な空間部Sが形成されるため、従来のカセットのように縦方向からのみの一方方向の流れや不均一な流れにはならず、横方向からの均一な薬液の流入・透過が可能となり、検体の薬液処理効果を均一且つ効率的にすることが可能となる。
また、本実施例においては、空間部形成用突起14の形状を略直方体形状としたが、該突起の形状は特に制限されず、半楕円状や半円状、多角形状等としてもよく、また突起14の上部先端部を透孔3の大きさよりは小さ目にして、突起14の上部先端部が透孔3に係合するようにすることも可能であり、このような形態にすることにより上下に積載された際の容器同士の相互のずれがその摩擦力によりずれにくくなり、空間部形成の信頼性がさらに高くなるという効果がある。
以上、前述の実施例1では空間部形成用突起14、15を、蓋2の表面の縦、横の外側から1/5〜1/3の矩形枠状の範囲内に納まるように計3個設けた形態についてを説明した。以下、蓋2に設けられる空間部形成用突起の各種のパターンについて模式図を使って説明する。
実施例2
図7(a)の模式図に示したように、矩形ABCDは実施例1の図2に示した蓋2(矩形の部分)を上方から視た場合の輪郭を示している。そして、三角形の頂点に配置された白ヌキの円が、前述の実施例1で説明した空間部形成用突起14、15に相当するものであり、また、該空間部形成用突起14、15は、蓋2の縦、横それぞれの外側端からの距離としての設定量が1/5〜1/3の矩形枠状の範囲内(図7では突起の中心部が1/5の位置)に少なくとも3個設けられている。
空間部形成用突起14、15は、これらの突起の中心が外側端から1/5の位置に相当し、突起の半分が外側端から1/5〜1/3の矩形枠状の範囲内にあり、残りの半分は範囲外であるが、少なくとも突起の一部が1/5〜1/3の矩形枠状の範囲内に入っておればよい。
また、図7(b)に示すように、図7(a)で示した位置以外に、中心線X−Xの線対称の位置に空間部形成用突起を形成してよいことは勿論である。
また、図7(a)では3個の空間部形成用突起の中、2個の空間部形成用突起14が蓋2の縦側面に平行に配置されているが、図8(a)、(b)に示したように、2個の空間部形成用突起14を蓋2の横側面に平行に配置してもよい。
実施例3
図9に示したように、空間部形成用突起14は、蓋2の表面の縦、横の外側からの設定量が1/5〜1/3の矩形枠状の範囲内(図では突起の中心部が1/5の位置)に少なくとも4個設けた形態であり、この場合には、4個の各空間部形成用突起14は矩形枠状の範囲内の四つの角部に設けられている。この形態によっても、実施例1、2で説明した3個の場合と同様に、積み重ねた又は並接したカセットが長辺方向、短辺方向に1/5〜1/3(図では1/5)の距離ずれたとしても、カセットとカセットとの間には空間部形成用突起14の高さに相当する空間部Sが形成され、これによって薬液の流入・透過が横方向からも可能となるので、検体の薬液処理効果が一層効率的になるという効果が得られる。
実施例4
図10及び図11に示した形態は、前述の実施例2で説明した図7(a)及び図8(a)の蓋2の外側の四角の付近に、さらに空間部形成用突起19を設けた形態である。この四角以外にもさらに必要に応じて増設してもかまわない。
このような形態にすれば、ずれ量の許容値をさらに増大することが可能であり、図10の場合には、例えば縦方向にずれると想定すると、空間部形成用突起15から外れるまで許容できるので、そのずれ量の最大値は略1/2(50%)又はそれ以上となり、また、図11の場合には、例えば横方向にずれると想定すると空間部形成用突起15から外れるまで許容され、そのずれ量は前記同様に最大で略1/2(50%)又はそれ以上となる。
以上のように、蓋2の表面の外側に三角形の頂点を形成する如く空間部形成用突起14、15を3カ所に設け、さらに蓋2の外側の四角の付近に空間部形成用突起14を設けたことによってずれ量の許容値は大巾に拡大し、且つ設けられた空間部形成用突起の数が比較的少ないことにより、形成される空間部Sの間の流路抵抗が小さいので、横方向からの薬液の流入・透過が極めてスムーズな流れとなり、したがって、検体の薬液処理効果に優れた効果を発揮することができる。
実施例5
図12に示したものは、前述の実施例3で説明した図9の形態において、蓋2の中心にさらに空間部形成用突起19を1個設けた形態であり、これによっても前述同様にずれの許容値を略1/2に増大することが可能となる。
実施例6
図13に示したように、空間部形成用突起14は、蓋2の表面の縦、横の外側からの設定量が1/3の矩形枠状の範囲内(図では突起の中心部が1/3の位置)に少なくとも4個設けるとともに、縦の外周に6個の空間部形成用突起19を設けた形態である。この形態によれば、積み重ねた又は並接したカセットが長辺方向、短辺方向に最大で1/2(50%)又はそれ以上の距離ずれたとしても、カセットとカセットとの間には空間部形成用突起14の高さに相当する空間部Sが形成され、これによって薬液の流入・透過が横方向からも可能となるので、検体の薬液処理効果が一層効率的になるという効果が得られる。
なお、本発明は蓋の表面の縦、横の外側からその長さの1/5〜1/3の矩形枠状の範囲内に少なくとも3個または4個の空間部形成用突起を設けたことを特徴とする医療検査用カセットであるが、上記実施例で示した如き形状のカセットに限られず、蓋とカセット本体とからなる全てのカセットに適用可能であることは云うまでもない。
本発明に係る医療検査用カセットは、積層、並接したカセットに相当大きなずれが生じても、蓋の上面に設けた空間部形成用突起からずれ落ちることがなく、従って、積み重ねられた上下のカセット間に又は並接された隣り同士のカセット間に均一な空間部を形成・維持することができ、薬液の透過性、拡散性、及び検体との接触性が飛躍的に高められ、均一且つ効率的な薬液処理が可能となり、検査精度を向上させることができる。
本発明の空間部形成用突起が設けられる矩形枠状の範囲を示す説明図で、(a)は3個の空間部形成用突起を設けた例を、(b)は4個の空間部形成用突起を設けた例をそれぞれ示す。 本発明の実施例1におけるカセットを示す斜視図である。 同カセットの長さ方向の断面図である。 同カセットが長さ方向にずれた状態を示す側面図である。 同カセットが長さ方向に逆にずれた状態を示す側面図である。 同カセットが巾方向にずれた状態を示す側面図である。 (a)本発明の実施例2におけるカセットの蓋の矩形枠状の範囲内に空間部形成用突起を3個設けた場合を示す模式図である。(b)同カセットの図7(a)と線対称に設けられた空間部形成用突起を示す模式図である。 (a)同カセットの蓋の矩形枠状の範囲内に空間部形成用突起を3個設けた場合の他の例を示す模式図である。(b)同カセットの図8(a)と線対称に設けられた空間部形成用突起を示す模式図である。 本発明の実施例3におけるカセットの蓋の矩形枠状の範囲内に空間部形成用突起を4個設けた場合を示す模式図である。 本発明の実施例4におけるカセットの蓋の矩形枠状の範囲内に3個、更に外側の四角付近に4個の空間部形成用突起を設けた場合を示す模式図である。 同カセットの蓋の矩形枠状の範囲内に設けた3個の空間部形成用突起の位置を変えた場合を示す模式図である。 本発明の実施例5におけるカセットの蓋の矩形枠状の範囲内に空間部形成用突起を4個設け、更にその中央付近に空間部形成用突起を1個設けた場合を示す模式図である。 本発明の実施例6におけるカセットの蓋の矩形枠状の範囲内に空間部形成用突起を4個設け、更にその中央付近に空間部形成用突起を6個設けた場合を示す模式図である。 従来のカセットの一例を示す断面図である。 従来のカセットの他の例を示す斜視図である。 同カセットが長さ方向にずれた状態を示す側面図である。 同カセットが逆の長さ方向にずれた状態を示す側面図である。 同カセットが巾方向にずれた状態を示す側面図である。
符号の説明
1 カセット本体
2 蓋
3 透孔
4 記録部
5 係止溝
6 係止部
7 透孔
8 リブ
9 傾斜状係止片
10 突縁部
11 係止片
12 検体
13 識別表示
14 空間部形成用突起
15 空間部形成用突起
15A 空間部形成用突起
16 仕切壁
17 横仕切壁
19 空間部形成用突起

Claims (9)

  1. 耐薬品性材料からなるカセット本体と蓋とを具備してなり、前記カセット本体が上面を開放し、検体を収容し得る方形の容器で、多数の透孔を有し、前記蓋がカセット本体に着脱自在に取り付けられ、多数の透孔を有してなる医療検査用カセットにおいて、前記蓋の表面の縦、横の外からそれぞれ1/5の範囲を除いた真中の3/5の範囲を占める大矩形の外側の線と、同じくそれぞれ1/3の範囲を除いた真中の1/3の範囲を占める小矩形の外側の線とにより画成される矩形枠状の範囲内に少なくとも3個の空間部形成用突起を、カセットを積み重ねたり並接した場合に薬液を透過させるための空間部を形成するように設けたことを特徴とする医療検査用カセット。
  2. 矩形枠状の範囲内の一つの枠辺内の略中央に1個の空間部形状用突起を設け、対向する他の枠辺の両端部付近に各1個の空間部形成用突起を設けた請求項1記載の医療検査用カセット。
  3. なくとも4個の空間部形成用突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の医療検査用カセット。
  4. 矩形枠状の範囲内の四つの角部付近に各1個の空間部形状用突起を設けた請求項3記載の医療検査用カセット。
  5. 更に、蓋の外側の少なくとも四角付近に空間部形成用突起を各1個設けた請求項1又は2記載の医療検査用カセット。
  6. カセット本体が仕切璧により複数個の小室に区画されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療検査用カセット。
  7. 蓋及び/又はカセット本体が耐薬品性の透明材料からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療検査用カセット。
  8. 透明材料がポリプロピレン樹脂である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療検査用カセット。
  9. 透明材料がポリエステル樹脂である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療検査用カセット。
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