JP4188193B2 - 医療検査用カセット - Google Patents

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Description

本発明は、医療検査用顕微鏡標本の作成に使用する医療検査用カセットに関し、更に詳しくは、大小、単数複数等の様々な検体に対応できる可動パーティションを備えた医療検査用カセットに関する。
従来の医療検査用カセットとしては、例えば図、図10に示すようなものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図は医療検査用カセットの構成を示す断面図であり、図10は前記カセットから蓋を取り外した状態のカセット本体の上面図である。図図10に示したように、従来の医療検査用カセットは、耐薬品性合成樹脂からなるカセット本体1と蓋2とを具備してなる。
カセット本体1は、上面を開放した方形の容器で、底部に多数の透孔3を有し、短辺側の一側壁の外側に底部に向かって末広がり状に傾斜した板状の記録部4を有し、その内側に係止溝5を有し、他の側壁の外側に係止部6を有する。
一方、カセット本体1の上面に被着される蓋2は、着脱可能な板状体で、板面に多数の透孔7を有し、裏面の外周面に沿ってカセット本体1内に嵌合するリブ8と、後述する仕切壁19を両側から挟着するリブ8とを有し、短辺側の一方側には係止溝5の記録部4の裏面に沿って嵌入係合する傾斜状係止片9を有し、短辺側の他方側にはカセット本体1よりも僅かに大きめの突縁部10を有し、係止部6と係合する係止片11を有している。
そして、カセット本体1の内部は、全く区画されてないものを基本容器とし、一体的に成形された仕切壁25で区画される複数の小室(図では9室の例を示している)26を備えている。実際の医療現場においては、仕切壁25の無い基本容器のものから仕切壁25によって区画された小室2を有する医療検査用カセットの中から検体のサイズに適合したものを選択して利用される。
すなわち、カセット本体1に検体(図示せず)を入れるに際しては、大きい検体で個数が1個の場合には、カセット本体1に仕切壁25の無い基本容器としてのカセットに入れられ、あるいは複数個の場合には仕切壁25の比較的少ない大き目の小室を有するカセットに入れられ、また、小さい検体で個数が1個の場合には、仕切壁25の無い基本容器としてのカセットに入れられ、あるいは複数個の場合には、仕切壁25が比較的多く、小さ目の小室26を備えたカセットに入れられる。
特開2001−324428公報
しかしながら、上記の如く、カセット本体を仕切壁で仕切って小室を形成するという仕切壁固定方式の医療検査用カセットにおいては、検体の個数やサイズに対応した大小さまざまな小室を1個又は複数個有する数種類のカセットを準備しておく必要があり、また、カセットの供給メーカーやユーザーにとっては、その生産や在庫の管理が面倒であるばかりでなく、運搬や保管のためのスペースも必要で、これらは全てコストアップの要因になっている。
また、パラフィンブロックを作製する工程において、検体を収容したトレイの段部にカセット本体を載せ、カセット本体が液状パラフィンに浸るまで液状パラフィンをカセット本体の上方から検体上に注ぎ足すが、この場合に、仕切壁が邪魔となって液状パラフィンの透過を妨げ、液状パラフィンの注ぎ足しの作業効率を低下させる。
更にまた、液状パラフィンが固化した後トレイを取り去ることにより、検体を包埋したパラフィンがカセット本体の底部に付着したパラフィンブロックが得られるが、このパラフィンブロックを収納ケース内に横向きに並べる場合に、やはり仕切壁が邪魔になってパラフィンブロックの頂部が仕切壁に当たり、収納効率を低下させることになる。
本発明は、上記諸課題に鑑み、検体の個数やサイズが変わっても、カセットは一種類か極めて少ない種類で対応することを可能とし、該カセットの生産や在庫管理を容易にするとともに、運搬や保管のためのスペースを最小にして、トータルコストの低減を図り、更に、パラフィン注ぎ足しの作業効率を向上させるとともにパラフィンブロックの収納効率を向上せしめることを主目的する。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1は、カセット本体と蓋とを具備してなり、前記カセット本体が上面を開放し、多数の透孔を有し、少なくとも1個のパーティションで仕切られた、検体を収容し得る小室を有する方形の容器からなり、前記蓋がカセット本体に着脱自在に取り付けられ、多数の透孔を有してなる医療検査用カセットにおいて、前記パーティションが仕切壁本体と少なくともその一端に設けられた支持部とからなり、該支持部が波形状の板状体であることを特徴とする医療検査用カセットを内容とする。
本発明の請求項は、パーティションが、仕切壁本体に少なくとも1個の係合凹部を設けた2個のパーティションを、前記係合凹部を上下方向から十字状に係合させてなる請求項1に記載の医療検査用カセットである。
本発明の請求項は、仕切壁本体の両端に支持部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の医療検査用カセットである。
本発明の請求項は、蓋及び/又はカセット本体が耐薬品性の透明材料からなる請求項1〜のいずれか1項に記載の医療検査用カセットである。
本発明の請求項は、透明材料がポリプロピレン樹脂である請求項に記載の医療検査用カセットである。
本発明の請求項は、透明材料がポリエステル樹脂である請求項に記載の医療検査用カセットである。
本発明の医療検査用カセットは、内部に仕切りの無いカセット本体を容積最大の基本容器とし、この状態から検体の大きさや個数に応じて、複数の小室を形成するには、仕切壁本体と少なくともその一端に設けられた支持部とからなる少なくとも1個のパーティションを基本容器に圧入装着するだけで可能になる。
また、パーティションは着脱自在に形成されているので、適宜取り外して組み替えれば、小室の数やその大きさを変更することができる
また、支持部はパーティションを安定的にカセット本体内に取り付けるために、波形状の板状体とする。これらにより、これらの形状に由来する弾性変形及び復元力を利用して、パーティションをカセット本体内に圧入し、パーティションの不用意な移動を阻止することができる。
また、支持部は、パーティションをカセット本体内に一層安定的に取り付けるという観点からは、仕切壁本体の両端に設けるのが好ましい。
また、パーティションの仕切壁本体には少なくとも1個の係合凹部を設け、少なくとも2個のパーティションを、係合凹部を上下方向から十字状に係合させた状態で基本容器に圧入装着すれば、検体の大きさに応じて着脱可能に所望の数の小室を容易に形成することができる。
また、パラフィンブロック作製の工程において、パラフィンの透過を妨げるパーティションを取り外して実施できるので、パラフィンの注ぎ足しの作業効率が高められる。更に、得られたパラフィンブロックを収納ケース内に並べる場合に、パーティションを取り外すことにより、カセットブロックの一部がカセット本体内に重なり合うのでパーティションの厚みだけスペースを小さくでき、その結果、パラフィンブロックの収納効率が大巾に高められる。
また、カセット本体、蓋のいずれかが、又はその両方が透明材料で作成されることにより、カセット内部に収容した検体の状況(大きさ、個数、形状、色、カセット本体内での存在位置、濾紙とともに検体を収容した場合は、濾紙の位置、濾紙上の検体の方向等)を明確に視認することを可能となり、顕微鏡標本作成の効率化、確実化を図るとともに、精度の高い検査結果を得ることができる。
本発明の医療検査用カセット及びパーティションの材質は、耐薬品性の合成樹脂や金属が好ましく、合成樹脂としては例えばポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等が挙げられ、また金属としてはステンレス等が挙げられる。更に、カセット本体を合成樹脂製とし、蓋を金属製とすることもでき、その逆も可能である。
また、カセット本体、蓋のいずれかが、又はその両方が透明材料で作成されることにより、蓋のみが透明材料からなる場合は蓋の外側から、また、カセット本体のみが透明材料からなる場合はカセット本体(側壁又は底部)の外側から、更に、カセット本体と蓋の両方が透明材料からなる場合は、カセット本体及び蓋の両方の外側から、内部の検体の状況を視認することができる。即ち、カセット内部に収容した検体の状況(大きさ、個数、形状、色、カセット本体内での存在位置、濾紙とともに検体を収容した場合は、濾紙の位置、濾紙上の検体の方向等)を明確に視認することを可能とし、もって、顕微鏡標本作成の効率化、確実化を図るとともに、精度の高い検査結果を得ることができる。勿論、パーティションも透明樹脂製とすることができる。
透明樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル(特にPET)樹脂が好適であり、とりわけ耐薬品性に優れ低コストという点からポリプロピレン樹脂が好適である。
本発明におけるパーティションは、仕切壁本体と少なくともその長手方向の一端にカセット本体の内周壁面と接してパーティションを安定的に支持するための支持部とからなる。本発明における支持部によれば、カセット本体内周壁面に溝部を設ける必要がない。更に、パーティションを安定的にカセット本体内に取り付けられるという点では、支持部を仕切壁本体の両端に設けるのが好ましい
支持部は、波板状の板状体とすることにより、支持部の弾性変形及び復元力を利用して、パーティションをカセット本体内に圧入して取り付けることが可能となり、パーティションの不用意な移動を防ぐことができる。支持部の大きさはカセット本体のサイズにより、即ち、パーティションのサイズにより一概には決定されないが、例えば上記サイズのカセットの場合は、2〜5mm程度で目的は達成される。
パーティションは、仕切壁本体がカセット本体内を縦、横、斜等のいずれの方向にも仕切るように取り付けることができ、これにより略同サイズ又は異サイズの小室を形成させることができる。
また、パーティションの仕切壁本体には少なくとも1個の、略1/2の深さの係合凹部を設け、少なくとも2個のパーティションを、係合凹部を上下方向から十字状に係合させた状態で基本容器に圧入装着すれば、検体の大きさに応じて着脱可能に所望の数の小室を容易に形成することができる。
以下、本発明の医療検査用カセットの実施例を図面に基づいて説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
実施例1
図1(a)、(b)は、本発明の医療検査用カセットの上面図及び側面図、図2及び図3は、図1におけるそれぞれのA−A断面図及びB−B断面図である。また、図4はカセットから蓋の部分を取り外して上から視たときのカセット本体の上面図、図5は、カセット本体内部に着脱自在に装着する仕切壁の正面図及びその側面図である。
図1(a)、(b)〜図5に示したように、本発明の医療検査用カセットは、カセット本体1と蓋2とを具備してなり、カセット本体1は、上面を開放した方形の容器で、底部に多数の透孔3を有し、短辺側の一側壁の外側に底部に向かって末広がり状に傾斜した板状の記録部4を有し、その内側に係止溝5を有し、他の側壁の外側に係止部6を有する。
また、カセット本体1の上面に嵌合される蓋2は、着脱可能な板状体で、板面に多数の蓋透孔7を有し、短辺側の一方側には前記係止溝5の記録部4の裏面に沿って嵌入係合する傾斜状係止片9を有し、短辺側の他方側にはカセット本体1よりも僅かに大きめの突縁部10を有し、係止部6と係合する係止片11を有している。
さらに、カセット本体1が全く区画されていない状態の容積最大の基本容器を分割して小室を2室形成するために、仕切壁本体13と両端の波板状の支持部18とからなるパーティション15が、該波形状支持部18の弾性変形を利用して圧入装着される。圧入装着されたパーティション15は、検体(図示せず)が左右の小室16に入れられた後カセット本体1に被着する蓋2の下面に当接して固定される。
このように、本実施例による医療検査用カセットによれば、検体が大きい場合には、容積最大の基本容器のまま利用することができると共に、検体が小さい場合には、パーティション15をカセット本体1に圧入装着させて区画するように仕切り、同サイズの小室を2個形成したうえ、2個の検体(図示せず)を別々に収納することができる。
なお、以下の実施例においては、医療検査用カセットを構成する各要素のうちで、同一の構成要素についてはその説明を割愛し、それ以外の異なる内容について説明するものとする。
実施例
は、本実施例のカセット本体の上面図、図(a)、(b)は、係合凹部を有しカセット本体の長辺方向に着脱自在に装着される第2パーティションの上面図及び側面図、図(a)、(b)は、第2パーティションに係合する係合凹部を有しカセット本体の短辺方向に着脱自在に装着する第1のパーティションの上面図及び側面図である。
パーティションとしての上記実施例の場合と相違する点は、第2パーティション21には、端からその全長の1/3、2/3の位置の2箇所に係合凹部19が設けられ、また、第1パーティション20には、その中央の1箇所に係合凹部19が設けられている点である。そして、これ以外の形状や作用の点については同一である。
〜図に示すように、最初に、第2のパーティション21をカセット本体1に嵌合装着させた後、係合凹部19が相互に係合するように第1パーティション20を係合装着すれば、略同サイズの6個の小室が形成される。図、図では仕切壁本体13に設けられる係合凹部19の数がそれぞれ2個、1個の場合を示したが、この係合凹部の設ける位置を変えたり、数を増減すれば小室の大きさ・形状を調節したり、小室の数を増減することも可能である
上記実施例は、例えば蓋の短辺側に傾斜状係止片9を有するカセットについて説明したが、かかる構造のカセットに限定されず、カセット本体内にパーティションを有するカセット全てに適用されることは勿論である。
叙上のように、本発明の医療検査用カセットによれば下記の如き多くの特徴及び利点を有する。
本発明の医療検査用カセットは、内部に仕切りの無い状態を基本容器とし、ここに仕切壁本体とその端部に延設された支持部とからなり、該支持部が波形状の板状体であるパーティションを装着することによって、形・大きさ及び個数の異なる種々の検体に対応して小室を着脱自在に形成することができるばかりでなく、これらの形状の弾性変形及び復元力を利用してパーティションの不用意な移動を阻止することができ、且つカセットは一種類で対応できるので、その生産や在庫管理を容易にするとともに、運搬や保管のためのスペースを最小限にして、コストを低減することが可能となる。
本発明の医療検査用カセットはパラフィンブロック作製の工程において、パラフィンの透過を妨げるパーティションを取り外して実施できるので、注ぎ足しの作業効率が高められる。更に、得られたパラフィンブロックを収納ケース内に並べる場合に、パーティションを取り外すことにより、カセットブロックの一部がカセット本体内に重なり合うのでパーティションの厚みだけスペースを小さくでき、その結果、パラフィンブロックの収納効率が高められる。
(a)本発明の実施例1における医療検査用カセットの上面図である。(b)同カセットの側面図である。 同カセットの図1におけるA−A断面図である。 同カセットの図1におけるB−B断面図である。 同カセットから蓋の部分を取り外し、上から視たときのカセット本体と仕切壁との関係を示す上面図である。 同カセットの本体内部に着脱自在に装着する仕切壁の正面図及び側面図である。 本発明の実施例2における医療検査用カセットの蓋の部分を取り外し、上から視たときのカセット本体とパーティションの関係を示す上面図である。 同カセットの本体内部に着脱自在に装着する第2パーティションを示し、(a)は上面図、(b)は側面図である。 同カセットの本体内部に着脱自在に装着する第1パーティションを示し、(a)は上面図、(b)は側面図である。 従来の医療検査用カセットの構成を示す断面図である。 同カセットから蓋を取り外した状態のカセット本体の上面図である。
符号の説明
1 カセット本体
2 蓋
3 透孔
4 記録部
5 係止溝
6 係止部
7 蓋透孔
8 リブ
9 傾斜状係止片
10 突縁部
11 係止片
13 仕切壁本体
15 パーティション
16 小室
18 支持部
19 係合凹部
20 第1パーティション
21 第2パーティション
25 仕切壁
26 小室

Claims (6)

  1. カセット本体と蓋とを具備してなり、前記カセット本体が上面を開放し、多数の透孔を有し、少なくとも1個のパーティションで仕切られた、検体を収容し得る小室を有する方形の容器からなり、前記蓋がカセット本体に着脱自在に取り付けられ、多数の透孔を有してなる医療検査用カセットにおいて、前記パーティションが仕切壁本体と少なくともその一端に設けられた支持部とからなり、該支持部が波形状の板状体であることを特徴とする医療検査用カセット。
  2. パーティションが、仕切壁本体に少なくとも1個の係合凹部を設けた2個のパーティションを、前記係合凹部を上下方向から十字状に係合させてなる請求項1に記載の医療検査用カセット。
  3. 仕切壁本体の両端に支持部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の医療検査用カセット。
  4. 蓋及び/又はカセット本体が耐薬品性の透明材料からなる請求項1〜のいずれか1項に記載の医療検査用カセット。
  5. 透明材料がポリプロピレン樹脂である請求項に記載の医療検査用カセット。
  6. 透明材料がポリエステル樹脂である請求項に記載の医療検査用カセット。
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