JP4127902B2 - 粘着テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着テープに関する。さらに詳しくは、手で容易に切ることができ、かつテープカッターでも簡単に切断することのできるポリプロピレンフィルムを基材とする粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
書類の貼付けなど粘着テープを頻繁に切断して貼り付ける用途では、粘着テープを切断する方法として、手による切断あるいはテープカッターによる切断が行われている。従来、前記用途に用いる粘着テープの基材には、主としてセロハンフィルムが用いられてきた。セロハンフィルムを基材とした粘着テープは手およびテープカッターで容易に切断することができるが、吸湿しやすく、それによりテープの強度が低下するという問題がある。
【0003】
それに対して、ポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルムを基材とする粘着テープは吸湿による強度の低下を防止することができる。しかしながら、従来のポリプロピレンフィルムを基材とした粘着テープは、セロハンフィルムを基材とした粘着テープとは異なり、テープカッターでの良好な切断性と手切れ性とを併せ持つことができない。したがって、上記用途には適さないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的はテープカッターでの切断性及び手切れ性の良好なポリプロピレンフィルムを基材とする粘着テープを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、粘着テープの基材として使用されるポリプロピレンフィルムに関して鋭意研究を重ねた結果、特定範囲のメルトフローレートを有するポリプロピレンを使用してフィルムを作製するとともに、該フィルムの長手方向の引張り破断時の強度及び伸びを特定範囲に調整し、さらに、該フィルムの片面に微細な未貫通孔を形成することにより、テープカッターでの切断性と手切れ性の何れの特性にも優れた粘着テープが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、基材と該基材の少なくとも片面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープであって、該基材が下記の条件の全てを充足する粘着テープを提供する。
(1)基材が、メルトフローレートが0.7〜50g/10minの範囲内にあるポリプロピレンで構成されていること
(2)基材の23℃における長手方向の引張り破断時の強度が4.7〜15kgf/mm2、伸びが27〜200%の範囲内にあること
(3)基材の少なくとも片面に深さが基材全厚の1/20〜1/3、直径が5〜30μmの未貫通孔が5〜20個/mm2の範囲内で形成されていること。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープは基材及び粘着剤層を含むものであり、その第1の特徴は、該基材がメルトフローレート(以下、単にMFRともいう)が0.7〜50g/10minのポリプロピレンで構成されている点にある。ポリプロピレンのメルトフローレートは、好ましくは1.0〜45g/10min、さらに好ましくは2.0〜45g/10minである。ポリプロピレンのメルトフローレートが50g/10minを越えると基材の強度が弱くなる。また、0.7g/10min未満であると基材の強度が強くなり、テープカッターで切断するのが困難となる。本発明におけるメルトフローレートとは、JIS K 6758に基づき測定される値である。
【0008】
ポリプロピレンとしては、そのメルトフローレートが上記範囲内であれば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン(エチレン−プロピレンブロックコポリマーなど)、ランダムポリプロピレン(エチレン−プロピレンランダムコポリマーなど)等のいずれのポリプロピレンも使用することができる。またポリプロピレンは、単独で使用する他、異なる種類のポリプロピレンをブレンドして使用することができる。さらに、ポリプロピレン以外の樹脂を少量ブレンドして使用することもできる。基材を構成する樹脂全体に対するポリプロピレンの割合は、例えば80重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上であり、基材を構成する樹脂は実質的にポリプロピレンのみからなる場合が多い。
【0009】
基材の層構成は単層であってもよく、また、例えば共押出し法にて形成された多層構造であってもよい。
【0010】
ポリプロピレンのメルトフローレートは、重合条件、例えば、重合触媒の種類や量、重合温度などにより調整できる。
【0011】
本発明の粘着テープの第2の特徴は、基材の23℃における長手方向の引張り破断時の強度が4.7〜15kgf/mm2(例えば5〜15kgf/mm2)、伸びが27〜200%(例えば30〜200%)の範囲内にある点にある。前記破断時の強度は、好ましくは4.8〜12kgf/mm2、さらに好ましくは6〜10kgf/mm2程度であり、破断時の伸びは、好ましくは28〜150%、さらに好ましくは30〜130%の範囲である。なお、上記引張り破断時の強度及び伸びは、JIS Z 1521に準拠して測定された値を意味する。
【0012】
引張り破断時の強度が4.7kgf/mm2未満であると粘着テープの基材としての強度が弱すぎ、15kgf/mm2を越えるとテープカッターで切断しづらくなる。また、引張り破断時の伸びが27%未満の場合、及び200%を越える場合には、取扱性、操作性が低下する。
【0013】
引張り破断時の強度及び伸びは、例えばフィルム作製時の延伸倍率、表面加工法(基材表面に形成される未貫通孔の数や大きさ等)などにより調整することができる。基材を延伸加工する場合、延伸方法としては特に制限されるものではなく、例えば、一軸延伸機、二軸延伸機などの公知の延伸手段を使用できる。本発明では、基材の長手方向と幅方向の物性バランスの点から二軸延伸された基材が好ましい。
【0014】
本発明の第3の特徴は、基材の少なくとも片面に、深さが基材全厚の1/20〜1/3、直径が5〜30μmの未貫通孔が5〜20個/mm2形成されている点にある。前記未貫通孔の深さは、好ましくは基材全厚の1/10〜1/5であり、直径は、好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは10〜17μm(特に10〜15μm)程度であり、個数は、好ましくは8〜15個/mm2、さらに好ましくは10〜15個/mm2程度である。前記孔は未貫通でしかも微小であるため、基材の透明性を損なわない。
【0015】
未貫通孔の深さが基材全厚の1/20未満の場合や、直径が5μm未満の場合又は個数が5個/mm2未満の場合には、手切れ性が著しく低下する。また、未貫通孔の深さが基材全厚の1/3を越えたり、直径が30μmを越えたり、個数が20個/mm2を越える場合には、粘着テープの基材としての強度が不十分となる。
【0016】
前記未貫通孔の深さ及び直径は表面形状粗さ計により測定される。より具体的には、表面形状粗さ計による測定で得られる表面形状スキャンチャートから未貫通孔の深さ及び直径を測定する。図1は本発明の粘着テープの基材の表面形状を測定した表面形状スキャンチャートの一例である。また、単位面積(1mm2)当たりの未貫通孔の個数は、走査型電子顕微鏡により基材表面を撮影して得られる電子顕微鏡写真から目視にて計測できる。図2は本発明の粘着テープの基材表面の電子顕微鏡写真の一例である(倍率:25倍)。写真の中の黒点が未貫通孔である。
【0017】
基材表面に未貫通孔を形成する方法としては特に制限されるものではなく、公知の方法を使用できる。例えば、基材を、常温又は加熱下、表面に微細な凹凸形状の彫刻を有するロールに通すことにより基材表面に未貫通孔を形成できる。
【0018】
上記基材の厚みは、粘着テープとして使用する場合の取扱性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常20〜100μm程度、好ましくは25〜60μm程度である。
【0019】
前記基材には顔料、安定化剤、充填剤、架橋剤、帯電防止剤などの公知の添加剤が配合されていてもよい。また、基材には必要に応じて背面処理や、下塗り、印刷、帯電防止などの各種処理が施されていてもよい。
【0020】
本発明の粘着テープでは、上記基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成されている。この粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されるものではなく、粘着テープに使用され得る公知乃至慣用の粘着剤、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。
【0021】
粘着剤層の厚みは、粘着性や取扱性を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常5〜50μm程度、好ましくは10〜30μm程度である。
【0022】
粘着剤層には架橋剤、タッキファイア、軟化剤、充填剤、安定剤、顔料などの公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリプロピレンフィルムを基材とするので吸湿による強度低下が極めて小さい上、該ポリプロピレンフィルムが特定の物性及び構造を有するため、テープカッターでの切断性及び手切れ性に優れる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、基材フィルムの引張り破断時の強度及び伸びはJIS Z 1521に準拠して測定した。
【0025】
実施例1
メルトフローレートが15g/10minのポリプロピレン樹脂をTダイにて押し出し、二軸延伸により厚み30μmのフィルムを得た。次いで、該フィルムを常温で表面に凹凸のあるロールに通すことで片面に未貫通孔(孔の深さ5μm、直径15μm、10個/mm2)を形成させた。このフィルムの23℃における長手方向の引張り破断時の強度は6.3kgf/mm2であり、その時の伸びは30%であった。このフィルムの加工面にゴム系粘着剤を15μmの厚さ(乾燥後厚み)に塗工して粘着テープを得た。
【0026】
実施例2
メルトフローレートが2.5g/10minのポリプロピレン樹脂をTダイにて押し出し、二軸延伸により厚み30μmのフィルムを得た。次いで、該フィルムを常温で表面に凹凸のあるロールに通すことで片面に未貫通孔(孔の深さ5μm、直径15μm、10個/mm2)を形成させた。このフィルムの23℃における長手方向の引張り破断時の強度は10kgf/mm2であり、その時の伸びは35%であった。このフィルムの加工面にゴム系粘着剤を15μmの厚さ(乾燥後厚み)に塗工して粘着テープを得た。
【0027】
実施例3
メルトフローレートが40g/10minのポリプロピレン樹脂をTダイにて押し出し、二軸延伸により厚み30μmのフィルムを得た。次いで、該フィルムを常温で表面に凹凸のあるロールに通すことで片面に未貫通孔(孔の深さ5μm、直径15μm、10個/mm2)を形成させた。このフィルムの23℃における長手方向の引張り破断時の強度は5.0kgf/mm2であり、その時の伸びは30%であった。このフィルムの加工面にゴム系粘着剤を15μmの厚さ(乾燥後厚み)に塗工して粘着テープを得た。
【0028】
比較例1
メルトフローレートが15g/10minのポリプロピレン樹脂をTダイにて押し出し、二軸延伸により厚み30μmのフィルムを得た。このフィルムの23℃における長手方向の引張り破断時の強度は8.3kgf/mm2であり、その時の伸びは80%であった。該フィルムに、未貫通孔を設けることなく、ゴム系粘着剤を15μmの厚さ(乾燥後厚み)に塗工して粘着テープを得た。
【0029】
比較例2
メルトフローレートが15g/10minのポリプロピレン樹脂をTダイにて押し出し、二軸延伸により厚み30μmのフィルムを得た。次いで、該フィルムを常温で表面に凹凸のあるロールに通すことで片面に未貫通孔(孔の深さ1μm、直径7μm、20個/mm2)を形成させた。このフィルムの23℃における長手方向の引張り破断時の強度は7.3kgf/mm2であり、その時の伸びは60%であった。このフィルムの加工面にゴム系粘着剤を15μmの厚さ(乾燥後厚み)に塗工して粘着テープを得た。
【0030】
比較例3
メルトフローレートが55g/10minのポリプロピレン樹脂をTダイにて押し出し、二軸延伸により厚み30μmのフィルムを得た。次いで、該フィルムを常温で表面に凹凸のあるロールに通すことで片面に未貫通孔(孔の深さ5μm、直径15μm、10個/mm2)を形成させた。このフィルムの23℃における長手方向の引張り破断時の強度は4.5kgf/mm2であり、その時の伸びは25%であった。このフィルムの加工面にゴム系粘着剤を15μmの厚さ(乾燥後厚み)に塗工して粘着テープを得た。
【0031】
比較例4
メルトフローレートが0.5g/10minのポリプロピレン樹脂をTダイにて押し出し、二軸延伸により厚み30μmのフィルムを得た。次いで、該フィルムを常温で表面に凹凸のあるロールに通すことで片面に未貫通孔(孔の深さ5μm、直径15μm、10個/mm2)を形成させた。このフィルムの23℃における長手方向の引張り破断時の強度は16kgf/mm2であり、その時の伸びは100%であった。このフィルムの加工面にゴム系粘着剤を15μmの厚さ(乾燥後厚み)に塗工して粘着テープを得た。
【0032】
評価試験
上記の実施例及び比較例で得られた粘着テープのテープカット性及び手切れ性を以下の方法により評価した。結果を表1に示す。表中、孔の深さは基材の全厚に対する孔の深さの割合を示す。
テープカット性:粘着テープを5cm位巻き戻し、手動で市販のテープカッターの刃に対して垂直におろして切断した
○:テープ基材が伸びることなく容易に切断できる
×:テープ基材を切断するのが困難である
手切れ性:粘着テープの端を幅方向に30m/分の速度で手で引き裂いた
○:テープ基材が伸びることなく容易に切ることができる
×:テープ基材を切ることが困難である。
【0033】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着テープの基材の表面形状を表面形状粗さ計で測定して得られた表面形状スキャンチャートである。
【図2】本発明の粘着テープの基材表面の電子顕微鏡写真である。
Claims (1)
- 基材と該基材の少なくとも片面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープであって、該基材が下記の条件の全てを充足する粘着テープ。
(1)基材が、メルトフローレートが0.7〜50g/10minの範囲内にあるポリプロピレンで構成されていること
(2)基材の23℃における長手方向の引張り破断時の強度が4.7〜15kgf/mm2、伸びが27〜200%の範囲内にあること
(3)基材の少なくとも片面に深さが基材全厚の1/20〜1/3、直径が5〜30μmの未貫通孔が5〜20個/mm2の範囲内で形成されていること
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- 1998-07-15 JP JP21863198A patent/JP4127902B2/ja not_active Expired - Fee Related
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