JP4126090B2 - プリフォームの口頸部を結晶化する方法 - Google Patents

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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形により中空容器を製造するためのプリフォームを加熱処理して結晶化する方法に係わり、更に詳しくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて製造する中空容器の口頸部を結晶化処理して強化する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を2軸延伸ブロー成形した中空容器は、軽量で、透明性、耐衝撃性、ガスバリヤー性等に優れていることから、近年、種々の内容物を充填収納する容器として広く用いられるようになった。
一般用いられているPET樹脂製の中空容器は、高温充填が可能な耐熱用容器と高温充填が不可能な非耐熱用容器とに大別される。
しかし、耐熱用の容器であっても、単に通常の2軸延伸ブロー成形方法により成形しただけの中空容器では、口頸部は胴部のように二軸分子配向がなされていないために強度が低いので、高温の内容物を充填したり、充填した容器を高温殺菌したりする際に、容器の口頸部またはネジ山等に変形が生じて、密封性が損なわれたり、外観を著しく低下させることがあった。
【0003】
そこで、PET樹脂を2軸延伸ブロー成形した容器の口頸部に剛性及び耐熱性を持たせるために、口頸部を加熱処理により白化させて結晶化度を高めることにより強化した中空容器が用いられるようになった。(実開昭59−172113号参照)
このような中空容器の口頸部を強化するには、射出成形したプリフォームを、ブロー成形する前にプリフォームの口頸部分のみを結晶化温度に加熱して結晶化させてから、中空容器にブロー成形する方法(特開昭58−185227号参照)、及び、射出成形したプリフォームを中空容器にブロー成形した後で、該容器の口頸部分を加熱処理して結晶化させる方法(特開平2−67119号参照)の二つの方法が一般的には用いられている。
【0004】
しかし、ブロー成形した後で容器の口頸部を加熱処理して結晶化させる後者の方法は、電熱ヒーターや赤外線ヒーター等を用いた加熱装置により加熱して、口頸部の開口端からかぶら部までを白化させる場合には、かぶら部の下にも熱線が照射されて、白化させたい部分と白化させたくない部分との境界がぼやけたものとなって、外観が損なわれることなる。
従って、このようにブロー成形する容器に於いて、結晶化した口頸部の白化部分と非結晶化した本体部の未白化部分との境界部分がはっきりしたものとするには、加熱白化処理する装置部分に、白化させたくない容器の本体部分を熱線から防護するための遮蔽手段を設けることが必要となるので、必然的に成形装置は複雑化して大型なものとなる。(特公平7−80236号公報参照)
【0005】
これに対して、ブロー成形する前にプリフォームの口頸部を加熱処理して結晶化させる前者の方法は、プリフォームはブロー成形した容器に比べれば小さな形状をしているので、プリフォームの胴部を熱線から防護するための遮蔽手段は小型で済み、白化処理装置を従来の成形装置にインラインで容易に組み込むことが可能である(特公平5−9261号公報参照)ことから、一般的にはこの方法が多用されている。
【0006】
そして、プリフォームの段階で口頸部を加熱処理して結晶化するには、従来は図4に示すように、射出成形により予備形成したプリフォーム1を、口頸部2を露出させた状態で保持治具3により支持して加熱処理装置6内に導入してから、加熱ヒーター4A及び反射板5Aからの熱線によりプリフォームの口頸部2を加熱して白化せしめる方法が一般的に行われているが、このような従来の加熱ヒーターには、石英ガラス製の電気ヒーターを用いた近赤外線もしくは遠赤外線加熱装置が用いられている。
【0007】
しかし、このような赤外線ヒーターで加熱する装置を用いた場合には、本来ならば温めたくない装置内のプリフォームを囲む周辺の空気、更には、プリフォーム支持用の治具や装置部材等も一緒に加熱されてしまい、また、加熱する温度の調節がむずかしくて、口頸部付近の胴体部の上部をも結晶化してしまうので、ブロー成形の際に破断し易くなったり、また、電気ヒーターは寿命があって、加熱効率が徐々に悪くなるので、品質にばらつきが出たり、不良になったヒーターの交換、保守点検等による作業性の低下、その他さまざまな問題を生ずる要因ともなっている。
【0008】
そこで、赤外線ヒーターによる輻射加熱法または熱風吹付け加熱法等によりプリフォームの口頸部のみを局部的に所定温度に加熱して結晶化することは困難であるので、これに代わるものとして、特開平58−217326号公報に示されるような高周波誘電加熱によりプリフォームの口頸部を加熱処理する方法が考えられている。
即ち、半割り型のプリフォーム保持体に保持されたプリフォームの熱処理すべき口頸部内に、電極ホルダーに固着した正電極を僅かな間隙を設けて挿入して固定すると共に、該口頸部の外側には前記保持体を間に挟んで負電極を対向して設けておいて、プリフォームの底部を支承体により支持した状態で高周波発振器より正電極に高周波電流を通電して、誘電加熱によりプリフォームの口頸部のみを白化処理する方法である。
【0009】
しかしながら、上記のような加熱処理装置を用いる方法は、プリフォームの保持体及び電極の保持構造が複雑で高精度が要求されて高価なものとなるとともに、電流および周波数、その他の加熱条件の厳密な制御が必要であり、特に高周波の電流を通電したり、遮断したりする制御と同時に、正電極部の冷却および加熱部の急冷を行わなくてはならず、このような制御が完全に行えなかった場合には、結晶化にばらつきが出る不良品の発生要因ともなることが予想される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PET樹脂を用いて成形したプリフォームまたは中空容器の口頸部のみを局部的に加熱するのに、加熱源として電気ヒーターや誘電加熱等を用いる代わりに、マイクロ波を用いて口頸部を直接加熱して均一に結晶化させる方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
プリフォーム用治具で保持したプリフォームを、プリフォーム保持治具で保持したままマイクロ波加熱装置内に移送して、該プリフォームの口頸部の鍔部より下部の前記プリフォーム保持治具内にある部分にマイクロ波が照射されないように電波吸収材で遮蔽して、プリフォームの口頸部のみをマイクロ波により加熱処理して結晶化させる。
【0012】
【発明の実施の形態】
通常使用している公知の成形装置により、口頸部を除いては容器の最終形状及び寸法に適合する形状のプリフォームにPET樹脂を射出成形して予備成形されたプリフォームは、成形金型からプリフォーム供給装置により搬送チェーンに連結されたプリフォーム保持治具に供給して、プリフォームの口頸部を加熱可能に露出させて保持すされる。
プリフォーム保持治具に保持された前記プリフォームは、搬送チェーンにより加熱装置へ移送される。
【0013】
前記加熱装置内に導入された前記保持治具の筒体内に胴部を保持されたプリフォームは、該胴部は電磁遮蔽体により保護された遮蔽室内を、口頸部は加熱室内に存するようにして搬送チェーンにより搬送される。
そして、加熱室内を搬送される口頸部を、天井部に設けられたマイクロ波発生装置から照射して反射、散乱されるマイクロ波により均一に加熱処理して、前記保持治具の外に露出されたプリフォームの口頸部のみが局部的に結晶化される。
【0014】
【実施例】
公知の射出ブロー成形装置に於いて、プリフォーム成形位置でPET樹脂を射出成形して所定形状をした有底のプリフォームに成形した後、成形型から開放されたプリフォーム1はプリフォーム供給装置によりプリフォーム保持治具3に供給される。
前記プリフォーム保持治具3に供給されたプリフォーム1は、保持治具の円筒体の開口端から口頸部のみを加熱可能に露出せしめて胴部を治具円筒内に移送可能に保持する。
前記保持治具3に保持されたプリフォーム1は、保持治具の底部に連結された搬送用チェーン4を介してトンネル式の加熱装置6へ移送して、加熱室6Aの入口6eに搬送用チェーン4の移動に同期して開閉する扉6gを開いて、プリフォーム1の口頸部2は保持治具3の外部に露出させたままの状態で加熱装置6内に導入する。
【0015】
このようにして加熱装置6内に導入された前記プリフォーム1は、口頸部2の鍔部より下部の前記保持治具3の円筒部内に保持された胴部1aは電波吸収材からなる門型のマイクロ波遮蔽体7により保護された遮蔽室6B内を、鍔部より上部の前記保持治具3の円筒部の開口端から露出した口頸部2は加熱室6A内を通過するように、前記保持治具3のフランジ3aで案内レール7a上を滑動しながらトンネル状の加熱装置6内を搬送する。
そして、上部加熱室6Aに於いて、前記保持治具3から露出したプリフォーム口頸部2は、加熱室6Aの天井部に設けたマイクロ波発生装置9からマイクロ波を照射されて、搬送される間に口頸部2のみが加熱処理されて結晶化する。
この時、下部遮蔽室6B内に於いては、前記保持治具3の円筒部内に保持された胴部1aは、フェライトその他の磁性材料からなる門型状をしたマイクロ波遮蔽体7により覆われて保護されているので、マイクロ波により加熱されるのが防止されている。
【0016】
尚、加熱装置内を搬送チェーンで支持して移送する際に、前記保持治具3の底部に設けた支持部3bのピニオンギア3cを介してラックその他の周知の回動手段により回転させられながら搬送すれば、プリフォームの口頸部2は一層均一に加熱することができる。
また、プリフォームを移送する搬送チェーンの送り速度を調節することにより、加熱時間を結晶化度に合わせて最適なものに制御することができる。
更には、プリフォーム保持具3の筒状本体部を磁性材料からなる電磁波吸収材により構成しておけば、プリフォームの胴部はマイクロ波からより一層確実に保護することができる。
【0017】
上記のようにして加熱室内で加熱処理が行われて結晶化したプリフォーム1は、前記搬送用チェーン4に同期して開閉する出口6fの遮蔽扉6hを開いて加熱室6Aの外に搬出される。
このようにして口頸部を加熱処理したプリフォームは、口頸部は結晶化するのに伴って密度が増加するのにつれて体積が減少するので、口径の寸法が当初のプリフォームの寸法よりも縮小したものとなって、閉蓋時に蓋と口頸部との間の密封性が損なわれる要因になるので、特開昭62−284723号に見るように、加熱装置外に搬出されたプリフォームは、直ちにその口頸内に支持体または中子等のコア型をしてなる整形体を嵌入してから急冷操作を行うことにより、結晶化に伴って口頸部の寸法が変形するのを矯正すると共に口頸部の剛性および耐熱性を向上せしめたプリフォームに形成する。
このようにして口頸部が結晶化されて剛性および耐熱性を具備したプリフォームは、次の加熱工程に送られてブロー成形可能な温度に再加熱されてから、ブロー成形工程へと移送されて耐熱性と強度を備えた中空容器に成形される。
【0018】
本発明は、上記したようにマイクロ波を用いて加熱するものであるから、人体その他に悪影響を及ぼすマイクロ波が漏洩するのを防止することが必要となる。
そこで、本発明に於いては、加熱装置の壁面全体を電磁波を反射するステンレス等の金属板により囲繞すると共に、加熱室の出入り口にマイクロ波を遮蔽する扉をプリフォーム保持治具を搬送するチェーンに同期させて開閉するように設けた構成することにより安全性を保つことができる。
また、上記遮蔽扉は金属板に代えて、フェライト等の磁性材料の粉末を配合した電磁波を吸収可能なゴム板に変形可能なスリットを設けて、プリフォーム保持治具を通過可能にした遮蔽体を用いることによっても、マイクロ波が漏洩するのを防ぐようにすることも可能である。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、搬送チェーンに連結した筒状のプリフォーム保持治具に、口径部を露出した状態でプリフォームを保持して加熱装置に導入して、プリフォームの口頸部は加熱室内を、胴部は遮蔽室内を移送するようにしたことにより、プリフォームの胴部は電磁波を吸収する遮蔽体により保護されているので、プリフォームの胴部は結晶化されることなく、プリフォームの口頸部のみをマイクロ波により加熱して結晶化させることができる。
そして、プリフォームの口頸部のみを露出させたプリフォーム保持治具を加熱装置内を回転させながら搬送することができ、また、搬送チェーンの移送速度を調節することにより加熱時間を容易に制御することもできるので、散乱反射するマイクロ波により口頸部を均一に加熱して、ばらつきがないように結晶化させることができる。
更に、マイクロ波により加熱するようにしたことにより、加熱装置を小型化することができると共に加熱温度の調節が簡単になり、従来の射出ブロー成形機にインラインとして容易に組み込むことか可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱装置を縦方向に切断した断面図である。
【図2】図1に於けるX−X断面を示すものである。
【図3】本発明で用いるプリフォーム保持治具の縦断面図を示すものである。
【図4】従来の加熱装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 プリフォーム
2 プリフォームの口頸部
3 プリフォーム保持治具
4 搬送チェーン
5 スプロケット
6 加熱装置
6A 加熱室
6B 遮蔽室
6g 入口扉
8 機台
9 マイクロ波発生装置

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂から予備成形されてなるプリフォームを、口頸部より下の胴部を筒状のプリフォーム保持治具内に収容して口頸部のみを露出させた状態に保持して、上部加熱室と下部電磁波遮蔽室とに区画してトンネル形式に形成された加熱処理装置に導入して、
    前記露出した口頸部は上部加熱室内へ、前記プリフォーム保持治具に収容した胴部は下部電磁波遮蔽室内へと上下が隔離された状態にしてプリフォーム移送して、前記上部加熱室内を移送されるプリフォームの露出した口頸部のみをマイクロ波を照射して加熱すると共に、前記下部電磁波遮蔽室内を移送されるプリフォーム保持治具をフランジ部で案内レール面に滑動可能に支持した状態で移送して、前記プリフォームの口頸部のみを均一に加熱して結晶化させることを特徴とするプリフォームの口頸部を結晶化させる方法。
  2. 熱可塑性樹脂から予備成形されてなるプリフォームを、口頸部より下の胴部を筒状のプリフォーム保持治具内に収容して口頸部のみを露出させた状態に保持して、上部加熱室と下部電磁波遮蔽室とに区画してトンネル形式に形成された加熱処理装置に導入して、前記露出した口頸部は上部加熱室へ、前記筒状のプリフォーム保持治具に収容した胴部は下部電磁波遮蔽室へと上下が隔離された状態でプリフォームを移送して、前記上部加熱室内を移送されるプリフォームの露出した口頸部のみをマイクロ波を反射、散乱しつつ照射して加熱すると共に、前記下部電磁波遮蔽室内を移送されるプリフォーム保持治具をフランジ部で案内レール面に滑動可能に支持した状態で移送しつつ回転せしめて、同時に前記移送されるプリフォーム保持治具を電磁遮蔽体により遮蔽してプリフォームの胴部を保護することにより、前記プリフォームの口頸部のみを均一に加熱して結晶化させることを特徴とするプリフォームの口頸部を結晶化させる方法。
  3. 前記プリフォームは、内部にプリフォームの胴部を収容した筒状のプリフォーム保持治具が下部電磁波遮蔽室内に設けた電磁波吸収材から形してなる門型状の電磁遮蔽体の内腔部に保護された状態で回転移送すると共に、上部加熱室でプリフォームの口頸部のみをマイクロ波を反射、散乱しつつ照射して加熱することによりプリフォームの口頸部のみを均一に加熱して結晶化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載するプリフォームの口頸部を結晶化させる方法。
  4. 前記プリフォームは、筒状のプリフォーム保持治具に保持された状態で、加熱装置の上部加熱室と下部電磁波遮蔽室とに区画する隔壁面の中央部を縦断するように形成した門型状の電磁波遮蔽体の天面部の開口端に設けた平行な案内レール面に、プリフォーム保持治具のフランジ部を滑動可能に支持した状態で前記電磁波遮蔽体の内腔部に移送可能に収容して、プリフォームの胴部を保護しつつ、上部加熱室でプリフォームの口頸部のみをマイクロ波を反射、散乱しつつ照射して加熱することによりプリフォームの口頸部のみを均一に加熱して結晶化させることを特徴とする請求項1または2に記載するプリフォームの口頸部を結晶化させる方法。
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