JP4125996B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体、更に詳しくはクロスイレース、クロスライト、クロストークを低減した光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、情報記録媒体としてはコンパクトディスクに代表されるディスク状情報記録媒体が良く知られている。情報記録媒体には、読み出し専用、追記型、書き換え型の3種類があるが、読み出し専用としてはCD−ROMやDVD−ROMが、追記型としてCD−Rなどが、書き換え型としてCD−RWのような相変化記録方式、またはMOのような光磁気記録方式のものがあり、それぞれ実用化されている。従来の情報記録媒体もかなりの容量であるが、マルチメディア、情報ネットワークの時代になり、さらなる大容量の記録システムが必要とされてきている。特に近年は情報技術の進歩に伴って情報量が飛躍的増加しており、情報記録媒体の高密度化および大容量化に対する要求が一層高まっている。
【0003】
上記情報記録媒体の高密度化の方法として、同じ情報量が記録される面積を小さくする方法、つまり記録ピットを小さくする方法がある。記録ピットを小さくするには、光をレンズで絞り、光のスポットをより小さくする必要がある。光のスポット径は光の波長をλ、レンズの開口率をNAとするとλ/NAに比例するため、スポット径を小さくするには、波長を短くするか、レンズの開口率を大きくすることが行われている。最近では波長0.65μmの光を利用したDVDが実用化を迎え、更に波長0.4μm程度の短い光を用いて高密度化を目指す開発も盛んに行われている。
ところで、記録ピットを小さくする方法では、隣の記録ピットとの間隔を小さくし、線記録密度、トラック密度を大きくすることも同時に行う必要がある。しかし、トラック方向の密度を大きくすることにより、隣りのトラックに記録されている情報を消してしまったり(クロスイレース)、隣りのトラックにまで情報を書きこんでしまったり(クロスライト)することが起こり、再生信号に隣接トラックの信号が混入(クロストーク)することが問題となっている。
【0004】
クロストークを低減する方法としては、トラックの溝形状や溝深さなどを最適化する方法がある(特許文献1参照。)。また、クロスイレースを防ぐために隣接トラックの記録マークの光吸収・発熱を押さえる層構成にする方法が提案されている(特許文献2参照。)。
【0005】
しかし、これらの方法では、層の構造や構成が複雑になり、高密度記録特性とクロストーク抑制とを両立させることが難しくなることや、光の性質を利用したものであるのでトラックピッチをより狭くしたときには溝形状の制御が難しくなるなどの点で限界がある。このように従来の技術では、光記録媒体の高密度化技術開発で起きるクロスイレースとクロスライト、またそれによって引き起こされるクロストークの問題を解決することは困難であり、その解決方法の一つとして材料の各種特性を応用した新たな解決方法が待たれている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−101413号公報
【特許文献2】
特開2000−90491号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の光記録媒体に比べてクロスイレース、クロスライトを有効に防ぐことができ、結果としてクロストークを著しく低減した光記録媒体、特に高性能の高密度光記録媒体を提供することをその課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するための研究を重ねた際に、トラックピッチを狭くした高密度光記録媒体では、記録トラックに発生した熱が面方向へ拡がり、隣接トラックにまでこの記録マークが拡がるとともに、隣接トラック間で記録マークが重なり合うこともあることを確認した。本発明者は引き続き、熱の面方向への拡がりを防止できる技術について研究し、特定のミクロ構造の熱障壁材料が上述の光記録媒体の問題点を解決できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0009】
即ち、本発明によれば、以下に示す光記録媒体が提供される。
(1)基板上に記録層と熱制御層を積層した光記録媒体であって、該熱制御層は面方向に連続領域と非連続領域の2つの領域が繰り返し規則的に存在し、連続領域は隣り合う非連続領域の境界に熱障壁機能をもって偏在する熱障壁材料からなり、かつ該熱制御層が保護層で挟まれるように形成されていることを特徴とする光記録媒体。
(2)該連続領域の構成物質の熱伝導率が、該非連続領域の構成物質の熱伝導率よりも低いことを特徴とする前記(1)に記載の光記録媒体。
(3)該連続領域と該非連続領域の構成物質が、それぞれ異なる無機酸化物からなることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の光記録媒体。
(4)該連続領域の構成物質が、珪素、チタン、亜鉛、鉛、ビスマスから選ばれる金属の酸化物もしくはこれらの金属の複合酸化物の少なくとも1種からなると共に、該非連続領域の構成物質が、コバルト、バナジウム、マンガン、鉄、銅から選ばれる金属の酸化物もしくはこれらの金属の複合酸化物の少なくとも1種からなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の光記録媒体。
(5)該非連続領域の構成物質が、Co及び/又はCoOであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の光記録媒体。
(6)該Coと該CoOの間の相変化を光記録材料として利用することを特徴とする前記(5)に記載の光記録媒体。
(7)該熱制御層が、該記録層と接するように形成されていることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の光記録媒体。
(8)該記録層の記録に用いる材料としてアンチモンとテルルを含み、アンチモンとテルルの総和に対するアンチモンの質量割合が65%〜85%である相変化材料を用いたことを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の光記録媒体。
)光の入射側から保護層、記録層、保護層、熱制御層、保護層、金属層の順に形成された層構成を持つことを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の光記録媒体。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明する。
本発明(1)は、基板上に記録層と熱制御層を積層した光記録媒体であって、該熱制御層は面方向に連続領域と非連続領域の2つの領域が繰り返し規則的に存在し、連続領域は隣り合う非連続領域の境界に熱障壁機能をもって偏在する熱障壁材料からなり、かつ該熱制御層が保護層で挟まれるように形成されていることを特徴とする光記録媒体に関する。
光記録媒体は、円周状に形成されたトラックに沿って記録を行うものであるが、そのトラックの幅よりも光のスポット径が大きくなると記録時に隣接トラックにも光が照射されることになり、また、隣接トラックも温度上昇することにより隣接トラックの情報が消去されてしまったり(クロスイレース)、隣接トラックにも記録されてしまったり(クロクライト)という影響を及ぼすようになる。そこで、少なくとも隣接トラックとの境目に沿って該熱障壁材料からなる熱制御層を配置し、記録される部分の熱が隣接トラックに影響を及ぼしにくくすることにより、クロスイレース、クロスライトを防ぐことができるものである。また該熱制御層をトラック全面に配置することにより、トラック方向においても熱の影響を及ぼしにくくすることができ、高性能の記録が可能となるものである。
該熱障壁材料は、面方向に連続領域と非連続領域の2つの領域が繰り返し規則的に存在し、かつ連続領域は隣り合う非連続領域の境界に熱障壁機能をもって偏在している構造を有している。該熱制御層は、トラックで熱障壁機能を発揮するものであるので、少なくとも隣接トラックとの境目位置に連続領域が連なって配置されなければならない。またトラックはカーブしているので、連続領域はトラックの境目の狭い幅に沿って連なるものでなければならない。すなわち、連続領域は、いずれの方向にも連なることができる構造のものである必要がある。本発明は、網状の連続領域と網目状の非連続領域の規則的な繰り返しによって、この点を解決するものである。本発明における規則的な繰り返しの間隔は、5〜20nmである。本発明においては、ほぼ正六角形の規則的な繰り返し構造を有する網状の非連続領域が特に好ましい態様である。
さらに該熱制御層は保護層で挟まれるように形成されている。熱制御層を保護層で挟み込むことにより、他の層の材料との拡散などを防ぐ効果があり、良好な記録が可能となる。また、熱制御層自体の膜の結晶粒径の成長を防ぐ効果もある。
該熱制御層については、後述の実施例、作用において更に詳しく説明する。
【0011】
本発明(2)は、更に該連続領域の構成物質の熱伝導率が、該非連続領域の構成物質の熱伝導率よりも低いことを特徴とするものである。該連続領域の熱伝導率が、該非連続領域のそれよりも低い素材を用いることよって、より熱の広がりを抑制することが可能となるものである。本発明における好ましい熱伝導率は、連続領域が1〜10W/m・K、非連続領域が0.2〜1W/m・Kである。
【0012】
本発明(3)は、さらに該連続領域と該非連続領域の構成物質をそれぞれ異なる無機酸化物とした光記録媒体に関する。面方向に連続領域と非連続領域の2つの領域が繰り返し規則的に存在する素材を構成するには、無機酸化物が優れている。本発明に用いられる無機酸化物としては、該非連続領域の構成物質が、コバルト、バナジウム、マンガン、鉄、銅から選ばれる金属の酸化物もしくはこれらの金属の複合酸化物の少なくとも1種、該連続領域の構成物質が、珪素、チタン、亜鉛、鉛、ビスマスから選ばれる金属の酸化物もしくはこれらの金属の複合酸化物の少なくとも1種を挙げることができる。特には、コバルトや珪素の酸化物の混合体が好ましい。面方向に該2つの領域が繰り返し規則的に存在する素材を製造方法としては、スパッタリング法を採用することができる。2種類の酸化物を混合したターゲットを用いてスパッタリング法により、2種類の酸化物が規則的に存在している膜を作製することが可能である。例えば、コバルト酸化物と珪素酸化物の混合焼結ターゲットを用いて製膜した膜は、コバルト酸化物の結晶粒界に珪素酸化物が偏析し、珪素酸化物が連続する構造となることが知られている。コバルト酸化物と珪素酸化物とでは熱伝導率が異なり、且つ珪素酸化物の方が熱伝導度が低い。そのため珪素結晶粒界は、熱障壁の機能を発揮し、これにより記録時の所望記録部分以外への熱伝導が抑制され、効率よくクロスイレース、クロスライトを防ぐことが可能となるものである。
【0013】
本発明(4)は、更に該連続領域の構成物質が、珪素、チタン、亜鉛、鉛、ビスマスから選ばれる金属の酸化物もしくはこれらの金属の複合酸化物の少なくとも1種からなると共に、該非連続領域の構成物質が、コバルト、バナジウム、マンガン、鉄、銅から選ばれる金属の酸化物もしくはこれらの金属の複合酸化物の少なくとも1種からなる熱障壁材料を用いた光記録媒体に関する。Co、V、Mn、γ−Fe、CuOなどを一方の酸化物として用いることができる。これらの酸化物の粒界に偏析させるように形成する酸化物としては、SiO、TiO、ZnO、SiO−PbO複合酸化物、SiO−Bi複合酸化物などを例示することが可能である。Coは六角柱状の構造を有しており、その結晶粒界にSiOが偏析するような膜が形成される。これらの酸化物を混合したターゲットを用いてスパッタリング法により製膜するか、別々のターゲットを用いて同時スパッタリングによって酸化物が規則的に配置された膜が形成され、光記録媒体のクロストークなどを低減することができる。
【0014】
本発明(5)は、更に該非連続領域の構成物質が、Co及び/又はCoOである光記録媒体に関する。スパッタリング法を用い、Co酸化物のターゲットを用いて製膜をすることにより、Coまたは、CoOの膜を製膜することができる。通常Coが安定であり、この構造が大部分となるが、CoOが混合することもあるが問題はない。Co酸化物ともう一方のSiOなどでは大きく熱伝導率が異なるため、境界であるSiOを越えて熱が広がりにくくなる。そのため、記録マークはこの領域で制限され隣接トラックへの影響を特に効果的に抑えることが可能となる。
【0015】
本発明(6)は、該Coと該CoOの間の相変化を光記録材料として利用する光記録媒体に関する。通常Co酸化物は、Coが安定であるが、900℃以上では、CoOに相転移し、これを急冷することにより常温でCoOを得ることができる。また、熱を加えることでCoに戻すことが可能である。これらの相変化を利用して部分的に光学特性を変化させることなどが可能となり、より高密度の記録が可能となる。また、スパッタリングなどの気相成長法では、常温に近い温度での製膜においても急冷と同じ効果を得ることが可能であり、CoOを形成することも可能である。
【0016】
本発明(7)は、該熱制御層が、該記録層と接するように形成されていることを特徴とする光記録媒体に関する。熱制御層を記録層の下面に接するように形成することで、熱制御層膜の構造が直接上面の記録層の熱の拡がりを防ぎ、良好な記録マークが形成される。
【0018】
述した本発明において、光記録媒体の記録層の記録材料として相変化材料を用いた光記録媒体に関する。相変化記録においては、到達温度、冷却速度などが記録特性に大きく影響を及ぼす。急冷状態を作ることでアモルファス構造を実現している。そのため、記録領域の中で熱伝導率が異なる部分があるとその部分では、記録状態が異なることになり、記録状態が変化する。この効果を利用して記録マークが広がらないように制御することで、隣接トラックへの影響を抑制することが比較的容易に可能である。
【0019】
本発明()は、前記の相変化材料としてアンチモンとテルルを含み、アンチモンとテルルの総和に対するアンチモンの質量割合が65%〜85%である光記録媒体に関する。アンチモンおよびテルルを含む相変化材料は、記録マークの大きさを制御しやすく、高密度記録に適した材料であり、本発明に効果的に利用できる。アンチモンの割合が65%以下になると温度勾配を利用した記録が困難になるため、小さなマークを記録しにくくなり高密度記録に適さない。また、85%以上になると記録マークが消滅しやすくなるため保存特性が劣化することになる。
【0020】
本発明()は、光の入射側から保護層、記録層、保護層、熱制御層、保護層、金属層の順に形成された層構成を持つ光記録媒体に関する。記録を行う場合、記録層で光を吸収し発熱することにより記録を行う。相変化記録などでは熱の放熱速度も重要である。そこで記録層を最適な保護層で挟みこむことにより記録特性が向上し、制御しやすくなる。また、熱制御層の上下の面を保護層で挟みこむことにより接する層への拡散などの影響を抑制できる。このような層構成とすることで、隣接トラックへの影響を抑え良好に記録が可能な光記録媒体が実現できる。
【0021】
【実施例】
以下に実験例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
実験例1〕
実験例は、本発明(1)〜(7)に対応するものである。ただし、ここでは「該熱制御層が保護層で挟まれるように形成されている」という構成要件は除かれている。
図1及び図4は、説明に用いる添付図面である。
【0023】
図1は、本実験例の光記録媒体の層構成の断面図を示す。光記録媒体は、積層体であって、基板1、金属層2、熱制御層3及び記録層4からなり、熱制御層3は記録層4に接する構成である。
本光記録媒体は、基板1上に金属層2、熱制御層3を形成し、その上面に記録層4を形成し製造した。基板1は、トラックピッチが300nmのトラック溝を形成したポリカーボネート樹脂製の基板を用いた。金属層2は、Ag層を厚さ140nmに形成した。熱制御層3は、Co酸化物とSi酸化物の混合膜を30nmの膜厚で製膜した。記録層4は、SbTe膜を15nmの膜厚で形成したものを用いた。いずれもスパッタリング法で形成した。本熱制御層のスパッタリング法による製造条件は次の通りである。
ターゲット:Co酸化物:Si酸化物=9:1
スパッタガス:アルゴン、流量20sccm
印加電力:400W
熱制御層3は、膜の上面から見ると六角形状の結晶が規則的に並んだ形状をしている。その粒界にSiOが偏析している形状・構造になっている。粒界形状は網様(亀甲型様)であり、膜の平面方向に連続領域を形成し、Co酸化物からなる非連続領域を取り囲む構造からなっている。図4はその模式図であり、連続領域を3a、非連続領域を3bで表している。本熱制御層の組成、構造、物性は次の通りである。
組成:Co酸化物:Si酸化物=9:1
粒界間距離(六角形の平行線間距離):10nm
この光記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm、NA0.85のピックアップを用いて記録を行った。記録の光のパワーは4mW、消去パワーは2mWとした。いわゆる8/16変調で一つのトラックのみ記録を行ったところ、変調度62%であった。隣接トラックにも記録を行った場合の変調度の変化はなく、隣接トラックに影響を及ぼすことなく記録を行うことができた。従来は、隣接トラックの影響がないトラックピッチは、320nm程度までが限界であったが、本実験例のような構成によると300nm以下のトラックピッチにおいても隣接トラックの影響を抑制可能である。
【0024】
実験例2〕
実験例は、本発明(1)〜(7)、(9)及び(10)に対応するものである。ただし、ここでは「該熱制御層が保護層で挟まれるように形成されている」という構成要件は除かれている。図2は、本実験例の光記録媒体の層構成の断面図を示す。
光記録媒体は、基板1、金属層2、熱制御層3、記録層4及び最上層の保護層5からなり、熱制御層3は記録層4に接する構成である。本記録媒体は、トラックピッチ280nmのトラック溝を形成したポリカーボネート樹脂製の基板1上に、金属層2としてAg層を120nmの厚さに形成し、熱制御層3としてCo酸化物とZn酸化物の混合層を30nmの厚さに形成した。その上面にAg3In1Sb72Te25からなる記録層4を12nm、ZnS・SiOからなる保護層5を20nm形成した。いずれもスパッタリング法で形成した。熱制御層のスパッタリング条件は次の通りである。
ターゲット:組成:Co酸化物:Zn酸化物=9:1
スパッタガス:Ar
ガス圧:10−3Torr台
印加電力:400W
熱制御層3は、膜の上面から見ると六角形形状の結晶が規則的に並んだ形状をしている。その粒界にZnOが偏析している形状・構造になっている。膜の平面方向に連続領域を形成し、コバルト酸化物からなる非連続領域を取り囲む構造からなっている。本熱制御層の組成、構造は次の通りである。
組成:Co:Zn=9:1
粒界幅1nm、結晶粒径10nm
本光記録媒体について実験例1と同様の条件で記録を行った。その結果、実験例1の結果と同様に、隣接トラックへ影響を与えないで記録を行うことができた。
【0025】
実験例3〕
実験例は、本発明()及び()に対応するものである。図3は、本実験例の光記録媒体の層構成の断面図を示す。
光記録媒体は、基板1、金属層2、保護層5a、熱制御層3、保護層5b記録層4及び最上層の保護層5cからなり、熱制御層3と記録層4の間に保護層5bがある構成である。本記録媒体は、トラックピッチ280nmのトラック溝(ランドトラック幅180nm、グループトラック幅100nm)を形成したポリカーボネート樹脂製の基板1上に、金属層2としてAg層を120nmの厚さに形成し、ZnS・SiOからなる保護層5aを12nmの厚さに、熱制御層3としてCo酸化物とSi酸化物の混合層を30nmの厚さに形成した。その上面にZnS・SiOからなる保護層5bを12nm、AgInSbTeからなる記録層4を12nm、ZnS・SiOからなる保護層5cを20nmの各厚さに形成した。いずれもスパッタリング法で形成した。熱制御層のスパッタリング条件は次の通りである。
ターゲット:Co酸化物:Si酸化物=9:1
スパッタガス:Ar
印加電力:400W
熱制御層3は、膜の上面から見ると六角形形状のコバルト酸化物が規則的に並んだ形状をしている。その粒界に酸化シリコンが偏析している形状・構造になっている。本熱制御層の組成、構造は次の通りである。
組成:Co:Si=9:1
粒界幅2nm、結晶粒径15nm程度
この光記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm、NA0.85のピックアップを用いて記録を行った。記録の光のパワーは5mW、消去パワーは2.5mWとした。いわゆる8/16変調で一つのトラックのみ記録を行ったところ、変調度55%であった。隣接トラックにも記録を行った場合の変調度の変化はなく、実験例1と同様に隣接トラックに影響を及ぼすことなく記録を行うことができた。
【0026】
実験例4〕
実験例は、本発明()、()及び()に対応するものである。図3は、本実験例の光記録媒体の層構成の断面図を示す。
光記録媒体は、実験例3の光記録媒体と同様に、基板1、金属層2、保護層5a、熱制御層3、保護層5b記録層4及び保護層5cからなる。本記録媒体は、トラックピッチ280nmのトラック溝(ランドトラック幅200nm、グループトラック幅80nm)を形成したポリカーボネート樹脂製の基板1上に、金属層2としてAg層を140nm、ZnS・SiOからなる保護層5aを12nm、熱制御層3としてCo酸化物とSiO−PbO酸化物の混合層を50nmの各厚さに形成した。その上面にZnS・SiOからなる保護層5bを12nm、AgInSbTeからなる記録層4を12nm、ZnS・SiOからなる保護層5を20nmの各厚さに形成した。いずれもスパッタリング法で形成した。熱制御層のスパッタリング条件は次の通りである。
ターゲット:ターゲット:Co酸化物:Si酸化物:Pb酸化物=6:2:2
スパッタガス:Ar:40sccm
印加電力:200W
熱制御層3は、膜の上面から見ると六角形形状のCo酸化物が規則的に並んだ形状をしている。その粒界にSi、Pbの酸化物が偏析している形状・構造になっている。粒界を形成するSi、Pbの酸化物がCo酸化物からなる非連続領域を取り囲む構造からなっている。本熱制御層の組成、構造は次の通りである。
組成:Co:Si:Pb=6:2:2
Co酸化物の結晶粒径20nm、粒界の幅2nm
この光記録媒体を線速3.5m/sで回転させ、波長405nm、NA0.85のピックアップを用いて記録を行った。記録の光のパワーは6mW、消去パワーは3mWとした。いわゆる8/16変調で一つのトラックのみ記録を行ったところ、変調度54%であった。隣接トラックにも記録を行った場合の変調度の変化はなく、実験例1と同様に隣接トラックに影響を及ぼすことなく記録を行うことができた。
【0027】
[作用]
本発明の実験例1に基づいて、本発明の作用を説明する。
図5は、実験例1の光記録媒体上の記録マークの面方向の模式図である。図6は、従来の光記録媒体上の記録マークの面方向の模式図である。
図5に示すように、実験例1の光記録媒体は、記録層4とそれに接する熱制御層3を有する。熱制御層3は、連続領域3aと非連続領域3bで表示してある。連続領域3aと非連続領域3bは、記録層4のトラックの全面に配置されている。かつ連続領域3aは、網目間隔が十分に小さいので、グループトラックに沿って連続して存在するように配置されている。
この構成の光記録媒体に光記録を行うと、記録層のランドトラックで発生した熱がグループトラックに位置する連続領域3aの熱障壁によって隣接トラックへの移動を妨げられる。すなわち実験例1では、非連続領域3bのCo酸化物の結晶周辺に偏析した連続領域3aのSiOにより、隣接トラックに熱が拡がらず、記録マークが隣接トラックに拡大せず、有効に光記録を行うことができたものと考えられる。また、ランドトラックのトラック方向前後の隣り合う記録マーク間においても、連続領域3aが熱障壁となって熱が拡がらず、期待する大きさの記録マークとなる。その結果、クロストークの問題を低減した高性能の高密度光記録媒体を作製できたものと考えられる。
これに対し、図6に示すように、従来の光記録媒体では高密度化のためにトラックピッチを狭くすると、熱の拡がりにより隣接トラックに記録されたマーク同士が影響を及ぼしあって、クロストークの問題を起こしているものと考えられる。
【0028】
【発明の効果】
本発明(1)によれば、クロスイレース、クロスライトを防ぎ、クロストークを低減する基本構造の熱制御層、保護層の積層構造を有する光記録媒体が提供できた。
また本発明(2)によれば、クロスイレース等を防ぎクロストークを低減する特定熱伝導率素材の熱制御層を有する光記録媒体が提供できた。
また本発明(3)によれば、クロスイレース等を防ぎクロストークを低減する酸化物素材の熱制御層を有する光記録媒体が提供できた。
また本発明(4)によれば、クロスイレース等を防ぎクロストークを低減する特定酸化物素材併用の熱制御層を有する光記録媒体が提供できた。
また本発明(5)によれば、クロスイレース等を防ぎクロストークを低減する特に選ばれたCo及び/又はCoOであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに特定酸化物素材併用の熱制御層を有する光記録媒体が提供できた。
また本発明(6)によれば、特定酸化物素材併用の熱制御層を相変化光記録材料として利用することにより、より高密度な記録が可能となる光記録媒体が提供できた。
また本発明(7)によれば、クロスイレース等を防ぎクロストークを低減するのに有効な熱制御層積層構造を有する光記録媒体が提供できた。
また本発明()によれば、熱制御層を有し、記録層材料としてアンチモンとテルルを特定の量的範囲とした相変化材料を用いることにより、クロスイレース等を防ぎクロストークを低減するとともに、特に優れた記録特性が得られる記録特性が得られる光記録媒体が提供できた。
さらにまた本発明()によれば、光の入射側から保護層、記録層、保護層、熱制御層、保護層、金属層の順に形成された層構成を持つことにより記録特性の向上と記録マークの広がりを特に押さえられる光記録媒体が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1の光記録媒体の層構成を表す断面図。
【図2】実験例2の光記録媒体の層構成を表す断面図。
【図3】実験例3および実験例4の光記録媒体の層構成を表す断面図。
【図4】実験例1の記録層側4から見た、熱制御層3面方向の模式図。
【図5】実験例1の光記録媒体上の記録マークの面方向の模式図。
【図6】従来の光記録媒体上の記録マークの面方向の模式図。

Claims (9)

  1. 基板上に記録層と熱制御層を積層した光記録媒体であって、該熱制御層は面方向に連続領域と非連続領域の2つの領域が繰り返し規則的に存在し、連続領域は隣り合う非連続領域の境界に熱障壁機能をもって偏在する熱障壁材料からなり、かつ該熱制御層が保護層で挟まれるように形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  2. 該連続領域の構成物質の熱伝導率が、該非連続領域の構成物質の熱伝導率よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 該連続領域と該非連続領域の構成物質が、それぞれ異なる無機酸化物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
  4. 該連続領域の構成物質が、珪素、チタン、亜鉛、鉛、ビスマスから選ばれる金属の酸化物もしくはこれらの金属の複合酸化物の少なくとも1種からなると共に、該非連続領域の構成物質が、コバルト、バナジウム、マンガン、鉄、銅から選ばれる金属の酸化物もしくはこれらの金属の複合酸化物の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
  5. 該非連続領域の構成物質が、Co及び/又はCoOであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体。
  6. 該Coと該CoOの間の相変化を光記録材料として利用することを特徴とする請求項5に記載の光記録媒体。
  7. 該熱制御層が、該記録層と接するように形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光記録媒体。
  8. 該記録層の記録に用いる材料としてアンチモンとテルルを含み、アンチモンとテルルの総和に対するアンチモンの質量割合が65%〜85%である相変化材料を用いたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光記録媒体。
  9. 光の入射側から保護層、記録層、保護層、熱制御層、保護層、金属層の順に形成された層構成を持つことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光記録媒体。
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