JP4125976B2 - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、FH(Frequency Hopping)方式を採用した無線通信装置および無線通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)変調方式は、マルチパス干渉に強い高速伝送技術として注目されている。特に、使用するOFDMサブキャリア(搬送波)周波数を時々刻々と周波数軸上でホッピングさせるFH−OFDM方式は、周波数ダイバーシチ効果が得られるアクセス方式として検討が重ねられている(例えば、非特許文献1参照)。また、FH−OFDM方式は、セルラ方式の通信システムにおいて使用する場合は、隣接する他セルからの干渉を平均化する効果も期待でき、将来の高速無線伝送技術として注目されている(例えば、非特許文献2参照)。このFH−OFDM方式は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)においても導入が検討されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0003】
具体的な周波数ホッピング(FH)の手法としては、周波数インターリーブを用いる方法(例えば、非特許文献3参照)、およびPN系列等のランダムな系列により生成されるFHパタンを用いる方法が考えられている。
【0004】
FH−OFDM方式の通信システムにおいては、各基地局はそれぞれのFHパタンに従ってデータを送信する。FHパタンは、搬送波であるサブキャリアが使用する周波数帯域(サブキャリアの中心周波数)の時間的推移を示したパタンであり、各基地局には独自のFHパタンが割り当てられている。
【0005】
図12は、FH−OFDM方式を採用した基地局装置が送信するサブキャリア信号の構成の一列を示した図である。ここで、横軸は周波数、縦軸は時間、Pはパイロット信号が乗っているサブキャリア、Dはデータが乗っているサブキャリアを示している。ここでは、N個のサブキャリアが1ブロックのデータとして送信され、また、FHの頻度は1OFDMシンボルごとである場合を例にとって説明している。
【0006】
この図より、送信タイミング(OFDMシンボル)によって、パイロット信号またはデータの配置される周波数がホッピングしていることがわかる。よって、このFHの効果として、広い範囲に渡って周波数を使うため、周波数ダイバーシチ効果が得られること、および他セルからの干渉に対して時間的な平均化効果を得られることが期待される。
【0007】
また、3GPPで規定されているHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)等の通信システムでは、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)と呼ばれるデータ再送方式が使用されている。このHARQ方式は、再送されるデータ(パケット)を受信するときに、前回受信した誤りの含まれるパケットと合成することにより、受信側の受信品質を高める方式であり、この方式を用いた通信システムにおいては、高スループットなデータ伝送が期待される。データの再送方法としては、同じビット列を送信する場合(Chase Combining)と、異なる符号化のパリティビットを送信する場合(Incremental Redundancy)がある。
【0008】
【非特許文献1】
"Broadband Wireless Access Solutions based on OFDM Access in IEEE 802.16", p.96 - 103, IEEE Communication Magazine, April, 2002
【非特許文献2】
http://www.flarion.com/technology/tech_intro.html
【非特許文献3】
3GPP TSG RAN WG1 meeting #28bis, R1-02-1222
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のFH−OFDM方式において、隣接セルとの境界付近に位置するユーザ(移動局)には、以下の問題点が発生する。
【0010】
自局が収容されているセルの基地局と、隣接セルの基地局は互いに独立にFHを行っている。よって、あるサブキャリアの使用している周波数が、偶然隣接セルと一致することが起こり得る。このとき、このサブキャリアは隣接セルからの強い干渉を受けることになる。例えば、データの初回送信時に、図13に示すように、3OFDMシンボル目と4OFDMシンボル目のデータ伝送時において、データの乗っているサブキャリアの周波数が、隣接セルのFHパタン(使用サブキャリア)と重なったとする。このとき、これらのシンボルの受信品質は悪化することが想定される。一方、これら以外のシンボルは、隣接セルの干渉をほとんど受けないため、受信品質は良い。すなわち、受信側が受信したサブキャリアの中には、隣接セルからの干渉を強く受けたサブキャリアと、隣接セルからの干渉をほとんど受けていないサブキャリアとの2種類が存在することになる。
【0011】
かかる状況下では、3OFDMシンボル目と4OFDMシンボル目の受信品質を改善する必要が生じるが、ここで同じシンボルを再送しても、3OFDMシンボル目または4OFDMシンボル目の使用する周波数が、再び隣接セルと重なる状況になれば、データ再送処理による受信品質の改善効果は少なく、再び誤ってしまう可能性も高い。すなわち、HARQの再送を行っても、初回送信時に受信誤りとなったシンボルは受信品質が低いままであり、初回送信時に受信誤りではなかったシンボルは受信品質が高いと考えられる。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、FH方式を採用した無線通信システムにおいて、データ再送処理の効果を高めることにより、受信側の受信性能を改善することができる無線通信装置および無線通信方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線送信装置は、所定の周波数ホッピングのパタンに従って周波数が切り替えられた複数の搬送波に送信データをマッピングして送信し、受信側から再送要求があった場合、前記複数の搬送波を再送する無線送信装置であって、前記受信側が受信した前記複数の搬送波のうち、干渉を受けた搬送波を示す干渉搬送波情報を、前記受信側から取得する干渉搬送波情報取得手段と、再送時に、前記干渉搬送波情報に基づいて、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データを優先して再送する優先再送手段と、前記送信データを適応変調する際に使用された適応変調パラメータに関する情報を生成する適応変調パラメータ情報生成手段と、前記送信データのレートマッチングに使用されたレートマッチングパラメータに関する情報を生成するレートマッチングパラメータ情報生成手段と、前記受信側に送信する制御情報として、前記送信データの初回送信時には、前記適応変調パラメータに関する情報を選択し、前記送信データの再送時には、前記レートマッチングパラメータに関する情報を選択する選択手段と、を具備する構成を採る。
【0014】
この構成によれば、初回送信時と再送時で、通信される信号の内容を変更することにより、データ伝送量を削減し、通信システムのスループットの低下を防止することができる。
【0017】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記優先再送手段は、前記複数の搬送波のうち、前記干渉を受けた搬送波以外の搬送波にマッピングされていた送信データをパンクチャして再送する構成を採る。
【0018】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記優先再送手段は、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データをリピティションして再送する構成を採る。
【0019】
これらの構成によれば、初回送信時に受信品質の悪かったビットが再送時にも干渉を受けて悪い品質で受信される確率を減少させることができるので、再送時に受信が成功する確率を高めることができる。
【0020】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記優先再送手段は、前記送信データがターボ符号化されている場合、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データであってシステマチックビットを含む送信データをリピティションして再送する構成を採る。
【0021】
この構成によれば、干渉を受けたシンボルに含まれるビットのうち、システマチックビットのみをリピティションするため、例えば、干渉を受けたシンボルの数が多い場合においても、受信信号の復号性能を維持しつつ、再送時に受信が成功する確率を高めることができる。
【0022】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記優先再送手段は、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データの送信電力を、前記複数の搬送波のうち、前記干渉を受けた搬送波以外の搬送波にマッピングされていた送信データの送信電力より大きく設定し、再送する構成を採る。
【0023】
この構成によれば、干渉を受けたシンボルが、再送時において同様の干渉を受けても、ある程度の受信品質を維持することができる。
【0024】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記優先再送手段は、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データを、前記複数の搬送波のうち、前記干渉を受けた搬送波以外の搬送波にマッピングし、再送する構成を採る。
【0025】
この構成によれば、干渉を受けたシンボルが、再送時には、干渉を受けないことが期待されるので、再送時の受信品質を向上させることができる。
【0028】
本発明の基地局装置は、上記いずれかに記載の無線送信装置を具備する構成を採る。
【0029】
この構成によれば、上記と同様の作用効果を有する基地局装置を提供することができる。
【0030】
本発明の基地局装置は、上記いずれかに記載の無線送信装置を具備するセルラ方式の基地局装置であって、前記干渉搬送波情報は、自セルにおいて使用される前記所定の周波数ホッピングのパタンと、自セルに干渉を及ぼす他セルにおいて使用される所定の周波数ホッピングのパタンとの比較により取得される構成を採る。
【0031】
本発明の基地局装置は、上記の構成において、前記自セルに干渉を及ぼす他セルにおいて使用される所定の周波数ホッピングのパタンは、前記受信側から報告される、前記受信側が受信する周辺セルからの信号の受信状況と、自局の上位局から通知される、周辺セルが使用している所定の周波数ホッピングのパタンとに基づいて取得される構成を採る。
【0032】
これらの構成によれば、移動局において干渉シンボルの判定をする必要がなくなるので、移動局の回路規模を削減することができ、バッテリの持ちを良くすることもできる。
【0033】
本発明の無線受信装置は、所定の周波数ホッピングのパタンに従って周波数が切り替えられ、送信データがマッピングされた複数の搬送波を受信する受信手段と、受信された前記複数の搬送波のうち、干渉を受けた搬送波を特定する干渉搬送波特定手段と、特定された前記干渉を受けた搬送波に関する情報を前記複数の搬送波の送信側に報告する干渉搬送波情報報告手段と、受信された前記複数の搬送波の受信品質に関する情報を生成する受信品質情報生成手段を具備し、前記干渉搬送波報告手段は、前記送信側に前記送信データの再送を要求する場合、前記干渉を受けた搬送波に関する情報を前記送信側に報告し、前記送信側に前記送信データの受信成功を報告する場合、生成された前記受信品質に関する情報を報告する、構成を採る。
【0034】
本発明の無線受信装置は、上記の構成において、前記干渉搬送波特定手段は、前記干渉を受けた搬送波の特定を、受信された前記複数の搬送波の受信品質に基づいて行う構成を採る。
【0037】
これらの構成によれば、データの再送を要求する場合としない場合で、通信される信号の内容を変更することにより、データ伝送量を削減し、通信システムのスループットの低下を防止することができる。
【0038】
本発明の無線通信方法は、所定の周波数ホッピングのパタンに従って周波数が切り替えられた複数の搬送波に送信データをマッピングして送信する送信ステップと、送信された前記複数の搬送波を受信する受信ステップと、受信された前記複数の搬送波のうち、干渉を受けた搬送波を報告する報告ステップと、前記報告ステップにおいて報告された、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データを優先して再送する優先再送ステップと、前記送信データを適応変調する際に使用された適応変調パラメータに関する情報を生成する適応変調パラメータ情報生成ステップと、前記送信データのレートマッチングに使用されたレートマッチングパラメータに関する情報を生成するレートマッチングパラメータ情報生成ステップと、前記受信側に送信する制御情報として、前記送信データの初回送信時には、前記適応変調パラメータに関する情報を選択し、前記送信データの再送時には、前記レートマッチングパラメータに関する情報を選択する選択ステップと、を具備するようにした。
【0039】
この方法によれば、初回送信時と再送時で、通信される信号の内容を変更することにより、データ伝送量を削減し、通信システムのスループットの低下を防止することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
データの再送を行うときには、受信品質が高いシンボルの受信品質をさらに高めるよりも、受信品質が低いシンボルの受信品質を改善することが重要である。
【0041】
例えば、初回送信時の受信でSIRが5dBのシンボル1と−5dBのシンボル2があったとする。シンボル1およびシンボル2を再送したときに、シンボル1が隣接セルの干渉を受けず、シンボル2が隣接セルの干渉を受けた場合、HARQの合成後のSIRは、例えば、シンボル1は8dB、シンボル2は−2dBとなる。ここで、シンボル1は再送せずに、シンボル2を3シンボル分再送した場合には、HARQ合成後のSIRは、例えば、シンボル1は5dB、シンボル2は6dBとなる。ターボ符号等を用いた誤り訂正であれば、前者の場合は再び受信誤りとなる可能性が高いのに対し、後者の場合は誤りが訂正される可能性が高く、データ再送の効果が大きく現れていると言える。本発明者は、この点に着目し、本発明をするに至った。
【0042】
本発明の骨子は、FH方式を採用した無線通信システムにおいて、受信側が、隣接セル等の干渉を受けたシンボル(受信品質が悪いと予想されるシンボル)がマッピングされていた搬送波を特定した情報を送信側に報告することにより、送信側がこの搬送波にマッピングされていた受信品質の悪いシンボルを他のシンボルに優先して再送することを可能とすることである。
【0043】
なお、隣接セル等の干渉を受けたシンボル(干渉シンボル)を優先して再送する実施の形態としては、再送時には、干渉を受けていないシンボル(非干渉シンボル)をパンクチャ(間引き送信)する形態、再送時には干渉シンボルのみを再送する形態、再送する干渉シンボルの送信電力を非干渉シンボルより大きくする形態等がある。
【0044】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの概要を説明する図である。ここでは、FH方式を採用した無線通信システムの一例として、FH−OFDM方式の無線通信システムを例にとって説明する。また、FHの方法としては、PN系列等のランダムな系列により生成されるFHパタンを用いる場合を例にとって説明する。FHの頻度は、OFDMシンボル毎の場合、スロット(またはフレーム)毎の場合、等が考えられるが、ここではOFDMシンボル毎のFHを考える。
【0046】
この無線通信システムにおいて、基地局装置100は、移動局装置150宛ての送信データ(パケット)を送信する。移動局装置150は、1つのパケット内に誤りがあった場合には、NACK信号を基地局装置100に送信し、パケットの再送を要求する。また、各受信シンボルの受信品質を測定し、品質が悪く干渉を受けたと判定されたシンボルの情報(干渉シンボル情報)を基地局装置100に報告する。基地局装置100は、NACK信号を受け取った場合、この干渉シンボル情報に基づいて、バッファに保存してあるビット列のうち、干渉を受けたシンボルを優先して再送する。この再送の方法としては、干渉を受けたシンボルをリピティション(繰り返し送信)し、その他の干渉を受けていないと判定されたシンボルはパンクチャ(間引き送信)して送信する方法がある。また、干渉を受けたシンボルのみを再送し、干渉を受けていないと判定されたシンボルは再送対象から外すようにしても良い。
【0047】
例えば、図13に示したように、3OFDMシンボル目および4OFDMシンボル目が隣接セルのFHパタン(使用サブキャリア)と重なったとする。このとき、これらのシンボルの受信品質は悪くなっていることが想定される。一方、これら以外のシンボルは、隣接セルの干渉を受けていないため、受信品質は比して良くなっていると考えられる。このような状況では、3OFDMシンボル目および4OFDMシンボル目の受信品質を改善する必要がある。しかし、ここで同じシンボルを再送しても、3OFDMシンボル目または4OFDMシンボル目の使用する周波数が、再び隣接セルが使用する周波数と重なれば、受信品質の改善効果は少なく、再び誤る可能性が高い。
【0048】
そこで、本発明では、再送時に同一シンボルが隣接セルからの干渉を受けて再び受信誤りを起こす確率を低減するために、送信側は、受信側から通知された干渉シンボル情報を用いてデータの再送制御を行う。
【0049】
次いで、上記動作を実現する基地局装置100および移動局装置150の具体的な構成を、図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図2は、基地局装置100の内部構成を示すブロック図である。この基地局装置は、スケジューラ101、符号化部102、送信HARQ部103、変調部104、制御用データ処理部105、符号化部106、変調部107、多重器108、サブキャリアマッピング部109、S/P変換部110、IFFT部111、GI挿入部112、無線処理部113、送信アンテナ114、およびMCS選択部115を有する。
【0051】
この図において、各ユーザ(ここでは、ユーザ1、ユーザ2、ユーザ3)に対し送信される送信データが、スケジューラ101に入力される。
【0052】
スケジューラ101は、各ユーザ(各移動局装置)から通知された受信品質情報であるCQI(Channel Quality Indicator)を用いて、どのユーザに対しどのタイミングでデータを送信するかを決めるスケジューリングを行う。このスケジューリングのアルゴリズムは、MaxC/I法でもRound Robin法でも、また他のアルゴリズムでも良い。
【0053】
MCS選択部115は、スケジューラ101から通知された送信ユーザのCQIに基づいて、送信データに対し使用するMCS(Modulation and Coding Scheme)パラメータ、すなわち具体的には、符号化方法および変調方式を選択する。そして、選択された符号化方法(符号化率)は、符号化部102に出力され、同様に、選択された変調方式は、変調部104に出力される。
【0054】
符号化部102は、スケジューラ101から出力された送信データに対し、MCS選択部115から指示された符号化率を用いて、ターボ符号等の符号化を施す。また、必要に応じ、インターリーブ等の処理も行う。そして、送信HARQ部103にこの符号化データを出力する。
【0055】
送信HARQ部103は、送信データのビット列に対し、RM(Rate Matching)パラメータによって決められる所定のレートマッチングを行い、レートを調整した後の送信ビットを変調部104に出力する。このRMパラメータは、送信回数によって異なる値をとる場合がある。レートマッチングの具体的な処理は、送信データのパンクチャおよびリピティションである。また、データ再送時には、移動局装置150から通知された干渉シンボル情報に基づいた再送制御を行う。データの再送方法として代表的なものに、同じビット列を送信するCC(Chase Combining)法と、異なる符号化のパリティビットを送信するIR(Incremental Redundancy)法があるが、ここでは簡単のため、CC法を用いているとする。なお、この再送制御の詳細については後述する。
【0056】
変調部104は、MCS選択部115から指示されたQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の変調方式を用いて、送信HARQ部103から出力された送信ビットを変調し、多重器108に出力する。
【0057】
一方、制御用データ処理部105は、符号化部106および変調部107を有し、入力された制御用データ(送信時に使用されるMCSパラメータ、ビット数、再送時のRMパラメータ等)に対し、所定の符号化および変調の処理を施し、多重器108に出力する。
【0058】
多重器108は、変調部104から出力された変調後の信号と、制御用データ処理部105から出力された符号化および変調の処理が施された制御信号とを多重(ここでは時間多重)し、サブキャリアマッピング部109に出力する。
【0059】
サブキャリアマッピング部109は、予め決められたFHパタンに従って、多重器108から出力された送信ビットを各サブキャリアに割り当てる(マッピング)。また、パイロット信号も全周波数帯域に分散されるようにマッピングされる。マッピング後のサブキャリア信号は、S/P変換部110に出力される。
【0060】
S/P変換部110は、サブキャリアマッピング部109から出力された信号に対し、S/P(serial/parallel)変換を施し、IFFT部111に出力する。IFFT部111は、S/P変換後の信号に対し、逆高速フーリエ変換(IFFT)を施し、GI挿入部112に出力する。GI挿入部112は、マルチパス耐性を強めるため、IFFT後の信号にGI(Guard Interval)を挿入し、無線処理部113に出力する。無線処理部113は、GI挿入部112から出力された信号に対し、アップコンバート等の所定の無線送信処理を施し、送信アンテナ114を介し送信する。
【0061】
図3は、移動局装置150の内部構成を示すブロック図である。この移動局装置は、受信アンテナ151、無線処理部152、GI除去部153、FFT部154、サブキャリアデマッピング部155、チャネル分離部156、復調部157、復号部158、復調部159、受信HARQ部160、復号部161、CIR測定部162、CQI生成部163、干渉シンボル判定部164、およびACK/NACK生成部165を有する。
【0062】
この図において、無線処理部152は、受信アンテナ151を介し受信された信号に対し、ダウンコンバート等の所定の無線受信処理を施し、得られたベースバンド信号をGI除去部153に出力する。GI除去部153は、無線処理部152から出力された信号に挿入されているGIを除去し、FFT部154に出力する。FFT部154は、GI除去部153から出力された信号に対し高速フーリエ変換(FFT)処理を行うことにより各サブキャリアから信号を取り出し、サブキャリアデマッピング部155に出力する。サブキャリアデマッピング部155は、FFT部154から出力された信号を所定のFHパタンに従ってデマッピングし、自局宛ての信号を取り出し、チャネル分離部156に出力する。
【0063】
チャネル分離部156は、サブキャリアデマッピング部155から出力された信号を、制御信号(制御用データ)、ユーザ信号(ユーザデータ)、およびパイロット信号に分離し、制御信号を復調部157に、ユーザ信号を復調部159に出力する。また、パイロット信号は、CIR測定部162および干渉シンボル判定部164に出力される。
【0064】
復調部157は、チャネル分離部156から出力された制御信号に所定の復調処理を施し、復号部158に出力する。復号部158は、この信号に復号処理を施し、制御用データを得る。
【0065】
復調部159は、チャネル分離部156から出力されたユーザ信号に所定の復調処理を施し、受信HARQ部160および干渉シンボル判定部164に出力する。この復調処理には、パイロット信号を用いて計算したチャネル推定値を用いる。受信HARQ部160は、復調部159から出力された信号のうち、所定量のビット(ここでは軟判定ビット)を保存し、データの再送時には、保存されている初回送信時の受信ビットを再送時の受信ビットに加算し、受信ビットの合成を行う。復号部161は、合成後のビット列に対し、ターボ符号等の所定の復号処理を施し、ユーザデータを得ると同時に、このユーザデータをACK/NACK生成部165に出力する。
【0066】
ACK/NACK生成部165は、復号されたユーザデータのCRC(Cyclic Redundancy Check)の結果等に基づいて、復号データに誤りが含まれるか否かを判断し、ACK信号またはNACK信号を送信部(図示せず)を介し、基地局装置100に対し上り回線で送信する。
【0067】
一方、CIR測定部162は、チャネル分離部156から出力されたパイロット信号を用いて全サブキャリアの平均受信CIR(Carrier to Interference Ratio)を計算し、CQI生成部163に出力する。CQI生成部163は、このCIRに基づいて、再送時の伝送レート要求であるCQI(Channel Quality Indicator)を生成し、送信部(図示せず)を介し、基地局装置100に上り回線で送信する。
【0068】
干渉シンボル判定部164は、チャネル分離部156から出力されたパイロット信号および復調部159から出力された復調後のユーザデータの受信電力を用いて、後述の干渉シンボル判定を行い、生成された干渉シンボル情報を、送信部(図示せず)を介し、基地局装置100に上り回線で送信する。
【0069】
上記の構成により、基地局装置100は、移動局装置150が生成した干渉シンボル情報を利用することができるようになり、高スループットな伝送が可能となる。
【0070】
移動局装置150から、CQI、干渉シンボル情報、およびACK/NACK信号を受信した基地局装置100は、送信HARQ部103において、データの再送制御を行う。
【0071】
次いで、上記構成を有する無線通信システムのデータ送信処理の手順について、図4に示すフロー図を用いて説明する。
【0072】
基地局装置100は、移動局装置150宛ての送信データに上記の所定の各処理を施し、送信アンテナ114を介し、このデータを送信する(ST1010)。移動局装置150は、受信アンテナ151を介し、このデータを受信し(ST1020)、上記の所定の各処理を施し、復号後のデータを得る。移動局装置150内のACK/NACK生成部165は、この復号後のデータのCRCにより、受信信号の誤り判定を行う(ST1030)。そして、受信誤りと判定された場合、干渉シンボル判定部164は、干渉シンボルの判定を行う(ST1040)。
【0073】
干渉シンボル判定は、次のように行われる。例えば、パイロット信号から求められた平均受信電力と復調後の各シンボルの信号電力の比が求められ、この比が所定の閾値(例えば±5dB)より大きければ、そのシンボルは干渉を受けていると判定する。
【0074】
なお、FH頻度がタイムスロット毎である場合には、1タイムスロット内では同一のサブキャリアが干渉を受け続けることとなるので、1タイムスロット内で電力を平均して、上記のシンボル判定を行う。これにより、判定精度を向上させることができる。また、平均値を使わずに、1タイムスロットの中間値を使う等の別の方法でも良い。
【0075】
干渉シンボル判定部164は、干渉シンボル判定の結果に基づいて、受信した全シンボルの中からどのシンボルが干渉を受けたかを特定した干渉シンボル情報を生成する(ST1050)。この干渉シンボル情報は、1OFDMシンボルごとにどのサブキャリアが干渉を受けたかを示す情報でも良いし、また、FHパタンの中でどの位置が干渉を受けたかを示す情報でも良い。また、ACK/NACK生成部165は、基地局装置100にデータの再送を要求するNACK信号を生成する。これらの信号は、送信部(図示せず)を介し、基地局装置100に送信される(ST1060)。
【0076】
NACK信号および干渉シンボル情報を受信(ST1070)した基地局装置100は、受信部等(図示せず)においてそれぞれの信号を抽出し(ST1080、ST1090)、送信HARQ部103において後述のデータの再送制御を行う(ST1100)。送信HARQ部103から出力された再送データは、初回送信時と同様の処理が施され、送信アンテナ114を介し再送される(ST1110)。
【0077】
送信HARQ部103におけるデータの再送制御は次のように行われる。図5は、基地局装置100の送信HARQ部103の内部構成を示したブロック図である。送信HARQ部103は、バッファ131、RMパラメータ生成部132、およびレートマッチング部133−1、133−2を有する。
【0078】
バッファ131には、符号化部102から出力された送信データのビット列が一時保存されている。そして、移動局装置150から通知された干渉シンボル情報を用いて、この送信データを、干渉を受けたビット(干渉ビット)のデータ列と干渉を受けなかったビット(非干渉ビット)のデータ列とに分離して、干渉ビット列をレートマッチング部133−1に出力し、非干渉ビット列をレートマッチング部133−2に出力する。
【0079】
RMパラメータ生成部132は、物理チャネルにマッピングできるビット数と、干渉シンボル情報から得られる隣接セルの干渉を受けたビット数とを考慮し、干渉ビットに対してはリピティションを施し、非干渉ビットに対してはパンクチャを施すようなRMパラメータを生成し、レートマッチング部133−1、133−2に出力する。なお、RMパラメータとしては、非干渉ビットを完全にパンクチャし、干渉ビットのみを再送するようなパラメータでも良い。
【0080】
レートマッチング部133−1は、バッファ131から出力された干渉ビットのデータ列に対し、RMパラメータ生成部132から出力されるRMパラメータに基づくレートマッチング処理、すなわちリピティションを施し、変調部104に出力する。また、レートマッチング部133−2は、バッファ131から出力された非干渉ビットのデータ列に対し、RMパラメータ生成部132から出力されるRMパラメータに基づくレートマッチング処理、すなわちパンクチャを施し、変調部104に出力する。
【0081】
このように、移動局装置150から送信された干渉シンボル情報に基づいて、送信HARQ部103で干渉ビットはリピティションし、非干渉ビットはパンクチャするので、送信データ総量を増加させることなく、リピティションされた全ての干渉ビットが再送時にも干渉を受けるという確率を減少させることができる。これにより、初回送信時に干渉を受けて受信品質の悪かったビットが再送時にも干渉を受けて悪い品質で受信される確率を減少させることができるので、再送時に受信が成功する確率を高めることができる。
【0082】
また、上記のリピティションまたはパンクチャの一方の処理のみを行う形態でも良い。かかる場合、送信データ総量は変化するが、上記と同様に、初回送信時に受信品質が悪かったビットが再送時にも干渉により悪い品質で受信される確率を減少させることができる。
【0083】
このように、本実施の形態によれば、FH方式を採用した無線通信システムにおいて、受信側が、干渉を受けたシンボル(受信品質の悪いシンボル)を特定した干渉シンボル情報を送信側に報告することにより、送信側がこの受信品質の悪いシンボルを他のシンボルに優先して再送することが可能となるため、初回送信時に干渉を受けたシンボルが再送時にも干渉を受けるという確率を減少させることができ、データ再送処理の効果を高めることができる。また、これにより、受信側の受信性能は向上し、無線通信システムのスループットを向上させることができる。
【0084】
(実施の形態2)
図6および図7は、本発明の実施の形態2に係る無線通信システムの基地局装置200および移動局装置250の内部構成を示すブロック図である。なお、この基地局装置および移動局装置は、図2および図3に示した基地局装置および移動局装置と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
本実施の形態の特徴は、基地局装置200が制御情報選択部201を、移動局装置250が報告情報選択部251をさらに有し、初回送信時と再送時では、上り回線および下り回線で通信される信号の内容を変更することである。
【0086】
図6に示した制御情報選択部201は、MCS情報と送信HARQ部103から出力されるRMパラメータとの2本の入力を持つ。そして、初回送信時には、MCS情報を選択し、符号化部106に出力する。また、データ再送時には、送信HARQ部103から出力されるRMパラメータを選択し、符号化部106に出力する。他の動作は、実施の形態1と同様である。
【0087】
下り回線では、基地局装置200は、送信時に使用するMCSパラメータを、制御情報(MCS情報)として移動局装置250にデータと共に送信する。しかし、再送時には、基地局装置200は、送信HARQ部103内のバッファに既に一時保存されている信号(既にMCS情報を通知した信号)を送信対象とするため、再度MCS情報を移動局装置250に通知する必要はない。
【0088】
従って、上記のように、制御情報選択部201が、データ再送時にはMCS情報の代わりにRMパラメータを送信することにより、下り回線の制御情報のデータ伝送量を削減することができる。
【0089】
一方、図7に示した報告情報選択部251は、CQI生成部163から出力されるCQI、干渉シンボル判定部164から出力される干渉シンボル情報、およびACK/NACK生成部165から出力されるACK/NACK信号の3本の入力を持つ。そして、ACK/NACK生成部165からACK信号が出力された時(受信成功時)には、CQI生成部163から出力されるCQIを選択し、送信部(図示せず)に出力する。また、ACK/NACK生成部165からNACK信号が出力された時(受信誤り時)には、干渉シンボル判定部164から出力される干渉シンボル情報を選択し、送信部(図示せず)に出力する。他の動作は、実施の形態1と同様である。
【0090】
上り回線では、移動局装置250は、初回データの受信時に、受信データに基づいてCQIを生成し、このCQIを基地局装置200に返送する。しかし、再送データの受信時には、上述の通り、MCSパラメータは既に決定されているため、再度CQIを基地局装置200に返送する必要はない。なお、CQIの他の用途として、MaxC/I等のスケジューリングも挙げられるが、送信データにMCSパラメータを割り当てる処理と比べるとCQIの使用頻度は少なく、また、前後のバケットに使用されていたCQIを補正することにより、上記のスケジューリングに使用されるCQIを求めることも可能である。
【0091】
従って、上記のように、受信成功時にはCQIを、受信誤り時には干渉シンボル情報を基地局装置200に出力することにより、上り回線の制御情報のデータ伝送量を削減することができる。
【0092】
このように、本実施の形態によれば、初回送信時と再送時で、上り回線および下り回線で通信される信号の内容を変更することにより、データ伝送量を削減し、通信システムのスループットの低下を防止することができる。
【0093】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3に係る無線通信システムの基地局装置が有する送信HARQ部103aの内部構成を示すブロック図である。なお、送信HARQ部103aは、図5に示した送信HARQ部103と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
本実施の形態の特徴は、ターボ符号技術を採用した無線通信システムに本発明を適用することである。
【0095】
送信HARQ部103aに入力される送信データは、既にターボ符号化部(図示せず)において、ターボ符号化処理が施されている。分離部301は、バッファ131から出力される干渉ビット(ターボ符号化データ)をシステマチックビット(Sビット)とパリティビット(Pビット)とに分離し、Sビットをレートマッチング部133−1に出力し、Pビットをレートマッチング部133−2に出力する。よって、Sビットは、レートマッチング部133−1において、リピティションされ、Pビットは、レートマッチング部133−2において、パンクチャされる。
【0096】
送信データのターボ符号化時には、システマチックビットおよびパリティビットが生成されるが、システマチックビットの方がより重要度が高いと言える。受信したシステマチックビットの信頼性が受信信号の復号性能に大きく影響するからである。よって、本実施の形態では、干渉を受けたシンボルに含まれるビットのうち、システマチックビットのみをリピティションする。
【0097】
このように、本実施の形態によれば、干渉を受けたシンボルに含まれるビットのうち、システマチックビットのみをリピティションするため、例えば、干渉を受けたシンボルの数が多い場合においても、受信信号の復号性能を維持しつつ、再送時に受信が成功する確率を高めることができる。
【0098】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4に係る無線通信システムの基地局装置400の内部構成を示すブロック図である。なお、基地局装置400は、図2に示した基地局装置100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
本実施の形態の特徴は、サブキャリアマッピング部109の後段に送信電力設定部401を有し、移動局から報告される干渉シンボル情報がサブキャリアマッピング部109aおよび送信電力設定部401に入力されることである。
【0100】
サブキャリアマッピング部109aは、データ再送時には、移動局から報告される干渉シンボル情報に基づいて、多重器108から出力される送信ビットを各サブキャリアに割り当てる。具体的には、初回送信時に干渉ビットとなったビットを、初回送信時に非干渉ビットとなったビットがマッピングされていたサブキャリアにマッピングする。
【0101】
図10は、上記のマッピング処理が施された場合の初回送信時および再送時の送信信号のデータ構造の一例を示す図である。この図において、D1、D2、D3は、送信ビットB1、B2、B3がマッピングされるサブキャリアを示している。ここで、D1が、隣接セルの干渉を受けるサブキャリア、D2、D3が隣接セルの干渉を受けないサブキャリアだとする。上記のマッピング処理により、初回送信時にD1にマッピングされた送信ビットB1は、再送時にはD2にマッピングされることになる。これにより、送信ビットB1は、隣接セルの干渉を受けないことが期待され、再送時の受信品質を向上させることができる。また、ここでは、送信ビットB2が、再送時には、逆に隣接セルの干渉を受けるサブキャリアD1にマッピングされる例を示しているが、送信ビットB2は初回送信時には良好な受信品質であったことが予想されるので、実施の形態1に示したように、再送時にはパンクチャして、再送対象から外しても良い。
【0102】
送信電力設定部401は、移動局から報告される干渉シンボル情報に基づいて、サブキャリアマッピング部109aから出力されるシンボルの送信電力を設定し、S/P変換部110に出力する。具体的には、干渉を受けたシンボルは、干渉を受けなかったシンボルに比べ大きな送信電力に設定される。これにより、隣接セルの干渉を受けたシンボルが、再送時において同様の干渉を受けても、ある程度の受信品質を維持することができる。送信電力は予め決められた所定のオフセットを加えても良いし、干渉シンボル情報の中に干渉シンボルの受信品質を表す情報を含めておき、それに従ってオフセットを決めても良い。
【0103】
なお、ここでは、サブキャリアマッピング部109aおよび送信電力設定部401の両方を併設する例を示したが、どちらか一方のみを設置する形態でも良い。
【0104】
このように、本実施の形態によれば、干渉を受けたシンボルの再送時には、マッピングされるシンボルを干渉を受けないシンボルに変更したり、シンボルの送信電力を初回送信時より大きく設定するため、受信側の受信品質を向上させることができる。
【0105】
なお、実施の形態1から実施の形態4を通じ、移動局から干渉シンボル情報が通知される場合を例にとって説明したが、図11に示すように、基地局自身が干渉シンボル情報を生成しても良い。この図に示す基地局装置100aは、図2に示した基地局装置100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0106】
移動局は、基地局装置100aから自局に対し送信されてくる信号を受信し、誤り判定を行い、これに対するACK/NACK信号を基地局装置100aに通知する。同時に、移動局は、隣接した複数の周辺セルから到達する信号の受信レベルをそれぞれ測定し、この受信状況(具体的には、受信レベルが強い信号を送信したセルのID番号)を、上記のACK/NACK信号と共に基地局装置100aに通知する。
【0107】
基地局装置100aは、上位局である制御局から、自局の周辺セルでそれぞれ使用されているFHパタンに関する情報を取得する。この周辺セルのFHパタンおよび上記の移動局の受信状況は、干渉FHパタン判定部141に入力される。干渉FHパタン判定部141は、制御局から取得した全ての周辺セルのFHパタンから、移動局が通知したセルのIDに対応するFHパタンを選択し、これを移動局に実際に干渉を及ぼしているセルのFHパタン(干渉FHパタン)とみなして、FHパタン比較部142に出力する。FHパタン比較部142は、基地局装置100aが使用するFHパタンと、干渉FHパタン判定部141から出力される干渉FHパタンとを比較し、両パタンにおいて一致するシンボル、すなわち干渉シンボルを特定する。そして、この比較結果に基づいて干渉シンボル情報を生成し、送信HARQ部103に出力する。以降の処理は、既に述べた通りである。
【0108】
これにより、移動局において干渉シンボルの判定をする必要がなくなるので、移動局の回路規模を削減することができ、バッテリの持ちを良くすることができる。
【0109】
本発明に係る無線通信システムは、FH−OFDM方式に限定されず、一般のFHシステムを用いた移動体通信システムにおいても利用可能である。
【0110】
また、ここでは、データを基地局装置から移動局装置に送信する下り回線において本発明を適用する場合を例にとって説明したが、データを移動局装置から基地局装置に送信する上り回線にも適用可能である。
【0111】
さらに、干渉シンボルの判定において、干渉レベルが小さく、干渉を受けたシンボルが無いと判定される場合には、通常の再送を行う(初回送信時と同じシンボルを再送する)ようにしても良い。
【0112】
また、移動局が干渉シンボル情報として、干渉シンボルと共にその干渉レベルをも通知し、基地局では、その干渉レベルに従って優先再送の度合い(例えば、パンクチャ率等)を制御しても良い。
【0113】
なお、ここでは、本発明に係る無線通信システムが、FH方法として、PN系列等のランダムな系列により生成されるFHパタンを用いる場合を例にとって説明したが、周波数インターリーブを用いても良い。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、FH方式を採用した無線通信システムにおいて、データ再送処理の効果を高めることにより、受信側の受信性能を改善することができ、無線通信システムのスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの概要を説明する図
【図2】本発明の実施の形態1に係る基地局装置の内部構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係る移動局装置の内部構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1に係る無線通信システムのデータ送信処理の手順について示すフロー図
【図5】本発明の実施の形態1に係る送信HARQ部の内部構成を示したブロック図
【図6】本発明の実施の形態2に係る基地局装置の内部構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態2に係る移動局装置の内部構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態3に係る送信HARQ部の内部構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態4に係る基地局装置の内部構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態4に係るマッピング処理が施された場合の初回送信時および再送時の送信信号のデータ構造の一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態に係る基地局装置のバリエーションを示すブロック図
【図12】FH−OFDM方式を採用した基地局装置が送信するサブキャリア信号の構成の一列を示した図
【図13】隣接セルのサブキャリア信号への影響を示す図
【符号の説明】
100 基地局装置
103 送信HARQ部
109 サブキャリアマッピング部
113、151 無線処理部
132 RMパラメータ生成部
133−1、133−2 レートマッチング部
141 干渉FHパタン判定部
142 FHパタン比較部
150 移動局装置
155 サブキャリアデマッピング部
162 CIR測定部
163 CQI生成部
164 干渉シンボル判定部
165 ACK/NACK生成部
201 制御情報選択部
251 報告情報選択部
301 分離部
401 送信電力設定部
Claims (12)
- 所定の周波数ホッピングのパタンに従って周波数が切り替えられた複数の搬送波に送信データをマッピングして送信し、受信側から再送要求があった場合、前記複数の搬送波を再送する無線送信装置であって、
前記受信側が受信した前記複数の搬送波のうち、干渉を受けた搬送波を示す干渉搬送波情報を、前記受信側から取得する干渉搬送波情報取得手段と、
再送時に、前記干渉搬送波情報に基づいて、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データを優先して再送する優先再送手段と、
前記送信データを適応変調する際に使用された適応変調パラメータに関する情報を生成する適応変調パラメータ情報生成手段と、
前記送信データのレートマッチングに使用されたレートマッチングパラメータに関する情報を生成するレートマッチングパラメータ情報生成手段と、
前記受信側に送信する制御情報として、前記送信データの初回送信時には、前記適応変調パラメータに関する情報を選択し、前記送信データの再送時には、前記レートマッチングパラメータに関する情報を選択する選択手段と、
を具備することを特徴とする無線送信装置。 - 前記優先再送手段は、
前記複数の搬送波のうち、前記干渉を受けた搬送波以外の搬送波にマッピングされていた送信データをパンクチャして再送することを特徴とする請求項1記載の無線送信装置。 - 前記優先再送手段は、
前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データをリピティションして再送することを特徴とする請求項1記載の無線送信装置。 - 前記優先再送手段は、
前記送信データがターボ符号化されている場合、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データであってシステマチックビットを含む送信データをリピティションして再送することを特徴とする請求項1記載の無線送信装置。 - 前記優先再送手段は、
前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データの送信電力を、前記複数の搬送波のうち、前記干渉を受けた搬送波以外の搬送波にマッピングされていた送信データの送信電力より大きく設定し、再送することを特徴とする請求項1記載の無線送信装置。 - 前記優先再送手段は、
前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データを、前記複数の搬送波のうち、前記干渉を受けた搬送波以外の搬送波にマッピングし、再送することを特徴とする請求項1記載の無線送信装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の無線送信装置を具備することを特徴とする基地局装置。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載の無線送信装置を具備するセルラ方式の基地局装置であって、
前記干渉搬送波情報は、
自セルにおいて使用される前記所定の周波数ホッピングのパタンと、自セルに干渉を及ぼす他セルにおいて使用される所定の周波数ホッピングのパタンとの比較により取得されることを特徴とする基地局装置。 - 前記自セルに干渉を及ぼす他セルにおいて使用される所定の周波数ホッピングのパタンは、
前記受信側から報告される、前記受信側が受信する周辺セルからの信号の受信状況と、自局の上位局から通知される、周辺セルが使用している所定の周波数ホッピングのパタンとに基づいて取得されることを特徴とする請求項8記載の基地局装置。 - 所定の周波数ホッピングのパタンに従って周波数が切り替えられ、送信データがマッピングされた複数の搬送波を受信する受信手段と、
受信された前記複数の搬送波のうち、干渉を受けた搬送波を特定する干渉搬送波特定手段と、
特定された前記干渉を受けた搬送波に関する情報を前記複数の搬送波の送信側に報告する干渉搬送波情報報告手段と、
受信された前記複数の搬送波の受信品質に関する情報を生成する受信品質情報生成手段を具備し、
前記干渉搬送波報告手段は、
前記送信側に前記送信データの再送を要求する場合、前記干渉を受けた搬送波に関する情報を前記送信側に報告し、前記送信側に前記送信データの受信成功を報告する場合、生成された前記受信品質に関する情報を報告する、
ことを特徴とする無線受信装置。 - 前記干渉搬送波特定手段は、
前記干渉を受けた搬送波の特定を、受信された前記複数の搬送波の受信品質に基づいて行うことを特徴とする請求項10記載の無線受信装置。 - 所定の周波数ホッピングのパタンに従って周波数が切り替えられた複数の搬送波に送信データをマッピングして送信する送信ステップと、
送信された前記複数の搬送波を受信する受信ステップと、
受信された前記複数の搬送波のうち、干渉を受けた搬送波を報告する報告ステップと、
前記報告ステップにおいて報告された、前記干渉を受けた搬送波にマッピングされていた送信データを優先して再送する優先再送ステップと、
前記送信データを適応変調する際に使用された適応変調パラメータに関する情報を生成する適応変調パラメータ情報生成ステップと、
前記送信データのレートマッチングに使用されたレートマッチングパラメータに関する情報を生成するレートマッチングパラメータ情報生成ステップと、
前記受信側に送信する制御情報として、前記送信データの初回送信時には、前記適応変調パラメータに関する情報を選択し、前記送信データの再送時には、前記レートマッチングパラメータに関する情報を選択する選択ステップと、
を具備することを特徴とする無線通信方法。
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