JP4125856B2 - 溝加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溝加工方法に関し、詳細には、切削加工により高精度にV溝を形成する溝加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学部品、光学部品用金型、プリズム及び精密部品の切削加工においては、V溝を精密に加工することが要求される。
【0003】
このようなV溝加工においては、従来、一般に、作製したい溝と同じ角度の工具を用いて切削加工を行うことで、工具の形状を加工物に転写させて、加工物に必要とする溝形状を加工する方法が用いられている。
【0004】
このような溝加工方法においては、形成される溝の角度誤差の要求水準が低い場合には、工具が加工面に作用する角度の調整を行う必要はないが、溝の角度誤差の要求精度が数分から数秒程度であると、工具が加工面に作用する角度の調整を行う必要がある。
【0005】
このような工具が加工面に作用する角度の調整方法としては、本出願人が先に提案した溝加工方法がある(特開平11−10428号号公報参照)。この溝加工方法は、被加工物の加工溝の角度θに対応する刃先角α、横逃げ角β、すくい角γ、逃げ角δとを形成する加工具をZ軸を回転軸とする回転体の外周に配設し、前記回転体を回転させながら前記被加工物の加工溝方向に走査して、前記加工具の工具形状を転写させる切削加工を行うことによって溝加工を行う溝加工方法であって、前記加工具が前記被加工物に作用する角度ψを前記加工溝角度θに一致させるべく、前記加工具をXY面において傾斜又は移動させると共にYZ面において傾斜させて溝加工を行うことを特徴としている。また、請求項4には、前記加工具をXY面上においてそのすくい面の高さを前記回転体の中心からずらすことを特徴とする溝加工方法が開示されている。
【0006】
すなわち、この溝加工方法は、加工具の角度調整を加工具のすくい面高さを変えることで行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の溝加工方法は、加工具の角度調整を加工具のすくい面高さを変えることで行っているため、0.5分から数分レベルの角度調整は行うことができるが、数秒単位の角度調整を行うは困難であり、さらなる改良が必要であった。
【0008】
そこで、請求項1記載の発明は、回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離である高さ調整板が挿入された状態で回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、回転体とともに回転駆動される工具で加工物の加工面にV溝形状を形成するに際して、回転体の回転中心を通りY軸と直交する線をX軸として、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのX軸から工具先端までの刃先距離を段階的に変化させて、当該工具が加工面に作用する刃先角度を調整することにより、工具の加工面に作用する刃先角度を数秒レベルまで調整し、数秒レベルの角度精度のV溝を形成する溝加工方法を提供することを目的としている。
【0009】
請求項2記載の発明は、回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離である高さ調整板が挿入された状態で回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、回転体とともに回転駆動される工具で加工物の加工面にV溝形状を形成するに際して、回転体の回転中心を通りY軸と直交する線をX軸として、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのX軸から工具先端までの刃先距離と、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのY軸から工具先端までのすくい面高さと、を組み合わせて変化させて、工具が加工面に作用する刃先角度を調整するときに、すくい面高さの変化で刃先角度の調整された工具を用いて行うV溝の加工を、当該加工で形成されるV溝の角度誤差が刃先距離の段階的な変化による刃先角度の調整の範囲内となるまで行い、その後、刃先距離の変化で刃先角度の調整を行って、V溝の加工を行うことにより、工具の加工面に作用する刃先角度を広範囲にわたって、かつ、数秒レベルまで効率的に調整し、より一層効率的にかつ高い角度精度のV溝を形成する溝加工方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の溝加工方法は、回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の前記取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離であるすくい面の高さ調整板が挿入された状態で前記回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、前記回転体とともに回転駆動される前記工具で前記加工物の前記加工面にV溝形状を形成する溝加工方法であって、前記回転体の前記回転中心を通り前記Y軸と直交する線をX軸として、前記工具取付治具の前記取付面が前記Y軸と平行な状態のときの前記X軸から前記工具先端までの刃先距離を段階的に変化させて、当該工具が前記加工面に作用する刃先角度を調整することにより、上記目的を達成している。
【0014】
上記構成によれば、回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離であるすくい面の高さ調整板が挿入された状態で回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、回転体とともに回転駆動される工具で加工物の加工面にV溝形状を形成するに際して、回転体の回転中心を通りY軸と直交する線をX軸として、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのX軸から工具先端までの刃先距離を段階的に変化させて、当該工具が加工面に作用する刃先角度を調整しているので、工具の加工面に作用する刃先角度を数秒レベルまで調整することができ、数秒レベルの角度精度のV溝を形成することができる。
【0015】
請求項2記載の発明の溝加工方法は、回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の前記取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離であるすくい面の高さ調整板が挿入された状態で前記回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、前記回転体とともに回転駆動される前記工具で前記加工物の前記加工面にV溝形状を形成する溝加工方法であって、前記回転体の前記回転中心を通り前記Y軸と直交する線をX軸として、前記工具取付治具の前記取付面が前記Y軸と平行な状態のときの前記X軸から前記工具先端までの刃先距離と、前記工具取付治具の前記取付面が前記Y軸と平行な状態のときの前記Y軸から前記工具先端までのすくい面高さと、を組み合わせて変化させて、前記工具が前記加工面に作用する刃先角度を調整するときに、前記すくい面高さの変化で前記刃先角度の調整された前記工具を用いて行う前記V溝の加工を、当該加工で形成されるV溝の角度誤差が前記刃先距離の段階的な変化による前記刃先角度の調整の範囲内となるまで行い、その後、前記刃先距離の変化で前記刃先角度の調整を行って、前記V溝の加工を行うことにより、上記目的を達成している。
【0016】
上記構成によれば、回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離であるすくい面の高さ調整板が挿入された状態で回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、回転体とともに回転駆動される工具で加工物の加工面にV溝形状を形成するに際して、回転体の回転中心を通りY軸と直交する線をX軸として、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのX軸から工具先端までの刃先距離と、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのY軸から工具先端までのすくい面高さと、を組み合わせて変化させて、工具が加工面に作用する刃先角度を調整するときに、すくい面高さの変化で刃先角度の調整された工具を用いて行うV溝の加工を、当該加工で形成されるV溝の角度誤差が刃先距離の段階的な変化による刃先角度の調整の範囲内となるまで行い、その後、刃先距離の変化で刃先角度の調整を行って、V溝の加工を行っているので、工具の加工面に作用する刃先角度を広範囲にわたって、かつ、数秒レベルまで効率的に調整することができ、より一層効率的にかつ高い角度精度のV溝を形成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
図1〜図6は、本発明の溝加工方法、V溝形状品及び光学部品の一実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の溝加工方法、V溝形状品及び光学部品の一実施の形態を適用した切削装置1と加工物10の要部斜視図、図2は、当該切削装置1と加工物10の正面図、図3は、当該切削装置1と加工物10の右側面図である。
【0025】
図1及び図2において、切削装置1は、回転体2の外周部の一部に形成された工具取付部2aに、工具3が高さ調整板4を介して工具取付治具5により取り付けられており、回転体2は、図示しない回転駆動部により、図1に円弧状の矢印で示す方向に、回転駆動される回転軸6の先端部に取り付けられている。
【0026】
切削装置1は、回転軸6を介して回転体2を回転させて、回転体2の外周部に取り付けられた工具3を図1の円弧状矢印方向に回転させるとともに、図1に直線矢印で示す方向に移動させて、加工物10を切削して、V溝11を加工物10の加工面10aに形成する。
【0027】
工具3は、図2に示すように、加工物10に形成するV溝11に対応する工具角度Aを有している。
【0028】
また、図3に示すように、工具取付治具5は、回転体2の回転中心Oから加工物10の加工面10a方向に向かう径方向をY軸とすると、当該Y軸に対して平行な取付面5aを有しており、工具3は、所定厚さを有する高さ調整板4が挿入された状態で、工具取付治具5の加工面10aに取り付けられている。すなわち、工具3は、工具取付治具5を介して、当該工具取付治具5の取付面5aとの間に,高さ調整板4が挿入された状態で固定されている。そして、回転体2の回転中心Oを通りY軸と直交する線をX軸とすると、工具取付治具5の取付面5aがY軸と平行な状態のときのX軸から工具先端までの距離が刃先距離Lであり、工具取付治具5の取付面5aがY軸と平行となっているときにY軸と工具3の先端までの距離がすくい面高さdである。
【0029】
いま、工具3が、加工物10の加工面10aに作用する切削角度ψは、工具角度A、刃先距離L及びすくい面高さdより、次式で与えられる。
【0030】
【数1】
そして、上記工具取付治具5は、図2に示すように、ネジ7により回転体2に固定されるとともに、Y軸に沿った方向に所定量移動調整可能に固定されており、工具取付治具5のY軸方向の固定位置を変化させることで、刃先距離Lが変化する。また、高さ調整板4は、その厚さ(X軸方向の厚さ)の異なる高さ調整板4に適宜交換可能に工具取付治具5に固定されており、この高さ調整板4の厚さを変えることで、すくい面高さdが変化する。
【0031】
次に、本実施の形態の作用を説明する。本実施の形態の切削装置1を用いた加工物10へのV溝11の加工においては、加工対象のV溝11の形状に対応した工具角度Aの工具3を工具取付治具5により回転体2の取付面5aに取り付けて固定する。このとき、工具取付治具5と工具3との間に適宜の厚さを有する高さ調整板4を挿入固定し、すくい面高さdを適宜な高さとする。
【0032】
この状態で、切削装置1は、回転体2を回転中心を中心として回転駆動させるとともに、図1に示したように、加工物10の加工面10aに対して移動させて、図4に示すように、溝加工を行い(ステップS101)、溝加工を行うと、加工したV溝11の角度測定を行って(ステップS102)、形成されたV溝11の角度誤差が30秒以下であるかチェックする(ステップS103)。
【0033】
ステップS103で、形成されたV溝11の角度誤差が30秒を越えていると、刃先距離Lを変化させることによる角度調整を行う前に、すくい面高さdを変化させることにより角度調整(切削角度ψの調整)を行う(ステップS104)。このすくい面高さdを変化させるには、工具取付治具5と工具3との間に挿入されている高さ調整板4の厚さを変えることにより、すなわち、厚さの異なる高さ調整板4と交換することにより行う。
【0034】
すくい面高さdの調整により工具3の刃先の角度調整を行うと、ステップS101に戻って、角度調整した工具3により再度溝加工を行った後(ステップS101)、角度測定を行って(ステップS102)、形成されたV溝11の角度誤差が距離Lによる角度調整の範囲内であるか、例えば、30秒以下であるかチェックする(ステップS103)。ステップS103で、形成されたV溝11が範囲外であると、例えば、30秒を超えていると、再度、すくい面高さdを調整して、上記同様に、V溝11の加工を行い、形成されたV溝11の角度の測定を行って、形成されたV溝11の角度誤差が距離Lによる角度調整の範囲内かの測定処理を、形成されたV溝11の角度誤差が距離Lによる角度調整の範囲内になるまで、繰り返し行う。
【0035】
ステップS103で、形成されたV溝11の角度誤差が、距離Lによる角度調整の範囲内になると、例えば、30秒以下になると、当該形成された溝11の角度に応じてネジ7により回転体2に対する工具取付治具5の位置、すなわち、工具3の位置をY軸に沿って移動させて、X軸との刃先距離Lを変化させて工具3の刃先の角度調整(切削角度ψの調整)を行い(ステップS105)、溝加工を行う(ステップS106)。
【0036】
溝加工を行うと、加工したV溝11の角度測定を行って(ステップS107)、形成されたV溝11の角度誤差が公差内か否かチェックし(ステップS108)、公差外であると、ステップS105に戻って、形成された溝11の角度に応じて工具3の位置をY軸に沿って移動させて、X軸との刃先距離Lを変化させて工具3の刃先の角度調整を行う(ステップS105)。
【0037】
刃先距離Lによる工具3の刃先の角度調整を行うと、溝加工を行い(ステップS106)、加工したV溝11の角度測定を行って(ステップS107)、形成されたV溝11の角度誤差が公差内か否かチェックする(ステップS108)。ステップS108で、形成されたV溝11の角度誤差が公差外であると、ステップS105に戻って、上記同様に、刃先距離Lの調整による刃先角度の調整を行って、溝加工を行い、形成したV溝11の角度測定を行って、形成されたV溝11の角度が公差内か否かチェックする(ステップS105〜S108)。
【0038】
ステップS108で、形成されたV溝11の角度誤差が公差内であると、V溝11の形成処理を終了する(ステップS109)。
【0039】
すなわち、図5は、工具角度Aが90度、すくい面高さが1mmの条件で、刃先距離L(X軸から工具3の先端までの距離)を30〜50mmまで変化させた場合、刃先距離Lが35mmのときを基準として、切削角度ψの変化量を示したものである。図5から分かるように、刃先距離Lを調整することにより、秒レベルの角度調整ψを行うことができる。
【0040】
これに対して、図6は、工具角度Aが90度の工具3を用いて、0mmから2mmのすくい面高さdに対して、刃先距離Lを30mmから50mmまで変化させた際に加工面に10aに作用する切削角度ψがどれだけ変化するかを示したものである。図6で、例えば、すくい面高さが0.5mmの場合の角度変化量を見てみると、20秒程度であるため、刃先距離Lの調整範囲が30mmから50mmまでの20mmである場合、刃先距離Lによる角度調整は、20秒までしか行うことができない。すなわち、刃先距離Lによる角度調整は、角度の微調整には適しているが、すくい面高さが小さい場合は、角度誤差の調整範囲は極めて限られる。
【0041】
そこで、本実施の形態では、上記図4に示したように、すくい面高さdによる切削角度ψの調整を行って、溝加工を行い、形成したV溝11の角度誤差が刃先距離Lによる角度調整の範囲内になった後、刃先距離Lによる切削角度ψの調整を行って、V溝11の加工を行い、V溝11の角度誤差が公差内に入るようにしている。
【0042】
このように、本実施の形態においては、Y軸に対して平行な取付面5aを有する工具取付治具5を介して、当該工具取付治具5の取付面5aとの間に所定厚さを有する高さ調整板4が挿入された状態で回転体2に所定の工具角度Aを有する工具3が取り付けられ、回転体2とともに回転駆動される工具3で加工物10の加工面10aにV溝11を形成するに際して、工具取付治具5の取付面5aがY軸と平行な状態のときのX軸から工具先端までの刃先距離Lを変化させて、当該工具3が加工面10aに作用する刃先角度である切削角度ψを調整している。
【0043】
したがって、工具3の加工面10aに作用する刃先角度を数秒レベルまで調整することができ、数秒レベルの角度精度のV溝11を形成することができる。
【0044】
また、本実施の形態においては、刃先距離Lと、工具取付治具5の取付面5aがY軸と平行な状態のときのY軸から工具先端までのすくい面高さdと、を組み合わせて変化させて、工具3が加工面10aに作用する切削角度ψを調整している。
【0045】
したがって、工具3の加工面10aに作用する切削角度ψを広範囲にわたって、かつ、数秒レベルまで調整することができ、より一層効率的にかつ高い角度精度のV溝11を形成することができる。
【0046】
さらに、本実施の形態においては、すくい面高さdの変化で切削角度ψの調整された工具3を用いて行うV溝11の加工を、当該加工で形成されるV溝11の角度誤差が刃先距離Lの変化による切削角度ψの調整の範囲内となるまで行い、その後、刃先距離Lの変化で切削角度ψの調整を行って、V溝11の加工を行っている。
【0047】
したがって、工具3の加工面10aに作用する切削角度ψを広範囲にわたって、かつ、数秒レベルまで効率的に調整することができ、より一層効率的にかつ高い角度精度のV溝11を形成することができる。
【0048】
また、上記加工物10を、光学部品を成形するための金型とすることで、高精度なV溝11を金型に形成することができ、高精度な光学部品を成形することができる。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の溝加工方法によれば、回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離であるすくい面の高さ調整板が挿入された状態で回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、回転体とともに回転駆動される工具で加工物の加工面にV溝形状を形成するに際して、回転体の回転中心を通りY軸と直交する線をX軸として、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのX軸から工具先端までの刃先距離を段階的に変化させて、当該工具が加工面に作用する刃先角度を調整しているので、工具の加工面に作用する刃先角度を数秒レベルまで調整することができ、数秒レベルの角度精度のV溝を形成することができる。
【0051】
請求項2記載の発明の溝加工方法によれば、回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離であるすくい面の高さ調整板が挿入された状態で回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、回転体とともに回転駆動される工具で加工物の加工面にV溝形状を形成するに際して、回転体の回転中心を通りY軸と直交する線をX軸として、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのX軸から工具先端までの刃先距離と、工具取付治具の取付面がY軸と平行な状態のときのY軸から工具先端までのすくい面高さと、を組み合わせて変化させて、工具が加工面に作用する刃先角度を調整するときに、すくい面高さの変化で刃先角度の調整された工具を用いて行うV溝の加工を、当該加工で形成されるV溝の角度誤差が刃先距離の変化による刃先角度の調整の範囲内となるまで行い、その後、刃先距離の変化で刃先角度の調整を行って、V溝の加工を行っているので、工具の加工面に作用する刃先角度を広範囲にわたって、かつ、数秒レベルまで効率的に調整することができ、より一層効率的にかつ高い角度精度のV溝を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溝加工方法、V溝形状品及び光学部品の一実施の形態を適用した切削装置及び加工物の要部斜視図。
【図2】図1の切削装置及び加工物の正面図。
【図3】図1の切削装置及び加工物の左側面図。
【図4】図1の切削装置による加工処理を示すフローチャート。
【図5】図1の切削装置の刃先距離と工具の切削角度との関係を示す図。
【図6】図の切削装置のすくい面高さと切削角度との関係を示す図。
【符号の説明】
1 切削装置
2 回転体
2a 工具取付部
3 工具
4 高さ調整板
5 工具取付治具
5a 取付面
6 回転軸
7 ネジ
10 加工物
10a 加工面
11 V溝
Claims (2)
- 回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の前記取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離であるすくい面の高さ調整板が挿入された状態で前記回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、前記回転体とともに回転駆動される前記工具で前記加工物の前記加工面にV溝形状を形成する溝加工方法であって、前記回転体の前記回転中心を通り前記Y軸と直交する線をX軸として、前記工具取付治具の前記取付面が前記Y軸と平行な状態のときの前記X軸から前記工具先端までの刃先距離を段階的に変化させて、当該工具が前記加工面に作用する刃先角度を調整することを特徴とする溝加工方法。
- 回転体の回転中心から加工物の加工面方向に向かう径方向をY軸として、当該Y軸に対して平行な取付面を有する工具取付治具を介して、当該工具取付治具の前記取付面との間に所定厚さを有するY軸と工具先端までの距離であるすくい面の高さ調整板が挿入された状態で前記回転体に所定の工具角度を有する工具が取り付けられ、前記回転体とともに回転駆動される前記工具で前記加工物の前記加工面にV溝形状を形成する溝加工方法であって、前記回転体の前記回転中心を通り前記Y軸と直交する線をX軸として、前記工具取付治具の前記取付面が前記Y軸と平行な状態のときの前記X軸から前記工具先端までの刃先距離と、前記工具取付治具の前記取付面が前記Y軸と平行な状態のときの前記Y軸から前記工具先端までのすくい面高さと、を組み合わせて変化させて、前記工具が前記加工面に作用する刃先角度を調整するときに、前記すくい面高さの変化で前記刃先角度の調整された前記工具を用いて行う前記V溝の加工を、当該加工で形成されるV溝の角度誤差が前記刃先距離の段階的な変化による前記刃先角度の調整の範囲内となるまで行い、その後、前記刃先距離の変化で前記刃先角度の調整を行って、前記V溝の加工を行うことを特徴とする溝加工方法。
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