JP4124955B2 - コンビネーションスイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に配設された操作レバーの動作に応じて所望の電気的切換を行うためのコンビネーションスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車のステアリング近傍に取り付けられた操作レバー、例えばワイパーコントロールレバーは、ステアリングの回動と略同一方向に回動させるとワイパーのON・OFF、及びワイパーの揺動速さを設定するとともに、手前側に引くとウォッシャ液をフロントガラスに噴出させるよう切換可能に構成されている。尚、同様に自動車のステアリング近傍に取り付けられたライトコントロールレバーにおいても、ステアリングの回動と略同一方向に回動させると所望方向のウィンカーを点滅させるとともに、手前側に引くとヘッドランプのハイビームを点灯させるよう切換可能に構成されており、このような複数の機能を切り換えるためのスイッチをコンビネーションスイッチという。
【0003】
上記コンビネーションスイッチは、操作レバー(上記ワイパーコントロールレバー及びライトコントロールレバー等)の動作に応じて電気的切換を行うための固定接点及び配線を有する端子板を具備し、この端子板に接触板が取り付けられた構成とされている。かかる接触板は、銅板等の板状部材から成り、基端側が接触板に固定されるとともに、先端側が端子板から離間された状態とされていた。
【0004】
そして、操作レバーを手前に引く動作により、当該操作レバーの基端部が接触板の先端側を押圧して接触板を撓ませ、当該先端に形成された接点を端子板に形成された固定接点に接続させている。ここで、接触板の基端は、従来、スポット溶接、リベットカシメ、又はネジ止め等により端子板に固定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のコンビネーションスイッチにおいては、接触板が溶接等で端子板に固定されていたので以下のような問題があった。
即ち、接触板をスポット溶接又はリベットカシメにて端子板に固定するものは、組立工程中に溶接又はカシメの為の設備が別途必要であり、その設備の費用が高いという問題があり、ネジ止めにて固定するものは、ネジの締付工程が別途必要となり、作業性が悪化するという問題がある。
【0006】
特に、リベットカシメ又はネジ止めによるものにおいては、リベット又はネジ部品が別途必要となり、リベットやネジの分だけ製造コストが上昇してしまい、部品点数の増大による作業性の悪化も問題となる。更に、ネジ止めの場合、ネジの締付けボスが必要となり、コンビネーションスイッチ全体が大型化してしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単且つ正確に接触板を端子板に固定することができ、製造コストを低下させるとともに作業性を向上させ得るコンビネーションスイッチを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、自動車に配設された操作レバーの動作に応じて電気的切換を行うための固定接点を有する端子板と、可撓性の板状部材から成り、その基端側が前記端子板に固定され、先端側に形成された接点が前記端子板から離間した状態で取り付けられ、前記操作レバーの動作により前記先端側が前記端子板における第1固定接点に接続可能な接触板とを有するコンビネーションスイッチにおいて、前記接触板の基端側は、前記端子板側に折り曲げられて形成された第1基端部と、該第1基端部から前記端子板と反対側に折り曲げられて形成された第2基端部とを有して当該第1基端部と第2基端部とでU字形状を成すとともに、前記端子板は、前記第1基端部と接触する第2固定接点と、前記第2基端部を係止する凸条部とを有し、前記第2基端部が前記凸条部に係止された状態で、前記第1基端部と第2基端部とが成すU字形状の弾性にて当該第1基端部を前記第2固定接点に押しつける構成とされ、前記第1固定接点と第2固定接点とがスイッチングのための電気回路を構成することを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、接触板に対し端子板から離間させる方向に力を付加した場合、第2基端部が凸条部で係止されているため、接触板の基端側は端子板から外れない。即ち、操作レバーの動作によって接触板の先端側が押圧された際には、当該接触板の基端側には端子板から外れる方向の反力が生じるが、凸条部によって第2基端部が係止されており、接触板の端子板に対する固定は維持される。また、第2基端部が凸条部から外れない限り、第1基端部は第2固定接点に接触し続け、第1固定接点とで構成するスイッチングのための電気回路が閉じた状態となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記接触板の基端側が、その側面から前記端子板側に延びるリブを有するとともに、該リブを収容するための凹部が前記端子板に形成されたことを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、接触板に対し側面方向へ力が付加された場合、リブの凹部との当接面がその力に抗して接触板の端子板に対する固定を維持する。
【0012】
請求項3の発明は、前記接触板の第1基端部に、前記第2固定接点側に突出した凸部が形成されたことを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、凸部は常に第2固定接点に接触することになり、接触板における第1基端部の寸法誤差や接触板の端子板に対する取付誤差が生じた場合であっても、その誤差を凸部で吸収する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るコンビネーションスイッチは、図11で示すように、ライトコントロールスイッチ19とともに自動車のステアリングコラム(不図示)に固定されたワイパーコントロールスイッチ18であり、図10に示すように、コンビネーションスイッチ本体4、及びコンビネーションスイッチ本体4内に配設された端子板5から主に構成され、コンビネーションスイッチ本体4が有するスプリングピン2を支点として操作レバー1が回動自在に配設されている。尚、符号3は、端子板5と一体成形されたコネクタ嵌合部である。
【0015】
かかる操作レバー1を動作させ、スプリングピン2を軸として手前側に引く(図10おいて、実線の状態から二点鎖線で示す状態へ回動させる)と、ウォッシャ液をフロントガラスに噴射させることができる一方、同図紙面に対し略垂直方向へ回動させると(回動軸は不図示)、自動車のワイパーの揺動速さを調節できるよう構成されている。尚、ワイパーの揺動速さを調整すべく操作レバー1を回動させた際のスイッチについては、従来のコンビネーションスイッチと同一のものであるため、詳細な説明及び図示を省略している。
【0016】
コンビネーションスイッチ本体4内には、図2で示すような端子板5が配設されており、かかる端子板5は、自動車に配設された操作レバーの動作に応じて電気的切換を行うための固定接点(第1固定接点6及び第2固定接点7)が形成されている。尚、第1固定接点6及び第2固定接点7は、銅板から成り、端子板5表面に対しインサート成形により固定されている。
【0017】
第1固定接点6は、図示の如く、表面から見て略L字状に形成され、後述する接触板12の端子が接触し得る幅広部6aと、コネクタ嵌合部3に延設されたコネクタ部6bと(図3参照)、幅広部6aとコネクタ部6bとを結ぶ中間部6cとから成る。尚、中間部6cの一部は、分断孔8内に臨むよう形成されている。
【0018】
第2固定接点7は、表面から見て略直線状に形成され、一端側が分断孔8内に臨むよう形成されるとともに、他端側にはコネクタ嵌合部3に延設されたコネクタ部7a(図4参照)を有して構成されている。かかるコネクタ部7aは、接触板12を組み付けるための組付孔9の一面(図4中下面)に形成されており、この面と対峙する面には凸条部10が形成されている。
【0019】
従って、コネクタ嵌合部3内には、第1固定接点6のコネクタ部6b及び第2固定接点7のコネクタ部7aが延設されることとなり、相手側コネクタ(不図示)をコネクタ嵌合部3に接続することで、スイッチングのための電気回路を構成している。また、第2固定接点7の組付孔9側両側部には、所定形状の凹部11が形成されており、後述する接触板12に形成されたリブを収容することを可能にしている。
【0020】
上記組付孔9には、図1で示すような接触板12の基端側が挿入される。かかる接触板12は、可撓性の銅板(板状部材)から成り、その基端側は、端子板5側に折り曲げられて形成された第1基端部12aと、該第1基端部12aから端子板5と反対側に折り曲げられて形成された第2基端部12bとを有するとともに、先端側は第1固定接点6における幅広部6aと接触し得る接点12cを有する。
【0021】
上記第1基端部12aと第2基端部12bとでU形状を成し、第1基端部12aは、接触板12が端子板5に組み付けられた際、第2固定接点7におけるコネクタ部7a側に突出するよう形成された凸部13を有する。本実施形態では、凸部13を接触板12の幅方向に対し2つ有するよう形成されているが、幅方向に対し中央に1つ或いは3つ以上の凸部としてもよい。
【0022】
かかる凸部13により、接触板12における第1基端部12aの寸法誤差や接触板12の端子板5に対する取付誤差が生じた場合であっても、その誤差を凸部13で吸収することができ、接触板12が第2固定接点7に接触しないことによる接触不良を回避することができる。
【0023】
また、接触板12の基端側両側部からは、第1基端部12aが延びる方向と略同一方向にリブ14が延設されている。かかるリブ14は、接触板12が端子板5に組み付けられた際、凹部11に挿入され、接触板12の端子板5に対する固定を強化するものである。
【0024】
上記接触板12を端子板5に組み付けると、図5に示すように、第2基端部12bの先端が凸条部10に係止されるとともに、第1基端部12aの凸部13が第2固定接点7におけるコネクタ部7aと接触した状態とされる。これにより、接触板12は、同図上下方向に対し凸条部10で固定される一方、同図紙面垂直方向(接触板12の幅方向)に対してリブ14が凹部11で規制されることにより固定される。
【0025】
一方、操作レバー1の回動軸側は、図7で示すように、コンビネーションスイッチ本体4内に収容され、スプリング15により付勢されたボール16を有するとともに、該ボール16を収容し得る凹形状4aがコンビネーションスイッチ本体4の内周面に形成されている。また、操作レバー1の回動軸側には、接触板12の先端側を押圧するための押圧部17が形成されている。
【0026】
かかる構成により、操作レバー1をスプリングピン2を軸にa方向に回動させると、図8に示す状態となり、押圧部17が接触板12の先端を押圧し、端子12cを第1固定接点6(具体的には第1固定接点6の幅広部6a)に接触させる。然るに、第1固定接点6と第2固定接点7とを接続せしめ、スイッチングのための電気回路が閉となって、ウォッシャ液を噴射させる。
【0027】
尚、コンビネーションスイッチ本体4に形成されたストッパ面4bにより、操作レバー1の更なる回動が規制されており、接触板12に対し過大な押圧力が加わらないよう構成されている。そして、操作者が操作レバー1から手を離すと、スプリング15の弾力によりボール16が凹形状4aの斜面を滑動し、元の状態(即ち、図7に示す状態)に戻る。
【0028】
ここで、接触板12には、図9で示すように、操作レバー1からの押圧力pが加わるとともに、基端側ではその反力qが生じるのであるが、かかる反力qによる移動は凸条部10により規制されている。即ち、凸条部10による第2基端部12bの係止は、接触板12に付与されるべき力(押圧力p)に対し有効に抗し得るものであり、ウォッシャ液を噴射するため操作レバー1の動作が繰り返し行われても、接触板12の端子板5に対する固定は強固に維持される。
【0029】
また、製造工程中の不具合や修理のため、接触板12を端子板5から取り外す必要もある。この場合には、図6に示すように、マイナスドライバーDを接触板12と端子板5との間にあてがった後、b方向に押し上げると、リブ14が凹部11から抜け出るとともに、第2基端部12bの凸条部10に対する係止が解除されるので、その状態から接触板12を容易に取り外すことができる。
【0030】
本実施形態に係るコンビネーションスイッチによれば、接触板12は、その第2基端部12b先端が凸条部10に係止されることにより固定されているので、固定のための別途の手段(例えば、ネジやリベットカシメのためのリベット等)を不要とすることができ、簡単な構成で接触板12を端子板5に取り付けることができる。尚、第1基端部12a及び第2基端部12bは、接触板12の成形時に、プレス成形等で一括して形成するのが製造コスト上好ましい。
【0031】
また、第1基端部12a及び第2基端部12bがU字形状を成し、接触板12の長手方向において弾性を有するため、凸条部10に第2基端部12bを確実に係止させつつ凸部13を第2固定接点7に強く押しつけることができ、第2基端部12bにおける第2固定接点7に対する接触不良を回避することができる。
【0032】
また、スポット溶接による固定では、その溶接熱によりコンビネーションスイッチ自体に不具合を生じさせるおそれがあり、溶接部の冷却工程が必要となる等不都合な点があるが、本実施形態によれば、熱を加えずワンタッチにて接触板12を端子板5に固定できるので、製品の歩留まりを向上させることができ、作業性を向上させ、リードタイムを短縮することができる。
【0033】
更に、修理等のためコンビネーションスイッチを分解すべく、接触板12を端子板5から取り外した後においても、接触板12は破壊又は変形されていないため、そのまま更なる取り付けが可能である。従って、取り付け時の作業性の向上に加え、分解後の各部品のリサイクル化も図ることができる。
【0034】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、リブを接触板12の片方の側面のみに形成し、該リブを保持する凹部11のみを形成するようにしてもよい。更に、本実施形態においてはワイパーコントロールレバーに適用したものについて説明したが、ライトコントロールレバー(特にパッシングスイッチ)等他のコンビネーションスイッチに適用したものとしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、接触板を折り曲げて第1基端部及び第2基端部を形成し、第1基端部と接触する第2固定接点及び第2基端部を係止する凸条部を端子板に形成しているので、簡単且つ正確に接触板を端子板に固定することができ、製造コストを低下させるとともに作業性を向上させることができる。
【0036】
請求項2の発明によれば、端子板から取り外す方向への力の付加に抗して接触板の基端側が固定されるのに加え、接触板の側面方向への力が付与された場合であっても接触板の端子板に対する固定を維持することができる。
【0037】
請求項3の発明によれば、接触板における第1基端部の寸法誤差や接触板の端子板に対する取付誤差が生じた場合であっても、その誤差を凸部で吸収することができ、接触板が第2固定接点に接触しないことによる接触不良を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るコンビネーションスイッチにおける接触板を示す正面図及び右側面図
【図2】本発明の実施形態に係るコンビネーションスイッチにおける端子板を示す正面図
【図3】図2におけるIII−III線断面図
【図4】図2におけるIV−IV線断面図
【図5】本発明の実施形態に係るコンビネーションスイッチにおける接触板を端子板に取り付けた状態を示す一部断面図
【図6】本発明の実施形態に係るコンビネーションスイッチにおける接触板を端子板から取り外す状態を示す一部断面図
【図7】本発明の実施形態に係るコンビネーションスイッチの動作を説明するためのものであって、操作レバーを動作させていない状態を示す断面模式図
【図8】本発明の実施形態に係るコンビネーションスイッチの動作を説明するためのものであって、操作レバーを動作させた状態を示す断面模式図
【図9】図8におけるIX−IX線断面図
【図10】本発明の実施形態に係るコンビネーションスイッチの外観を示す模式図
【図11】本発明の実施形態に係るコンビネーションスイッチがステアリングコラムに固定された状態を示す模式図
【符号の説明】
1…操作レバー
2…スプリングピン
3…コネクタ嵌合部
4…コンビネーションスイッチ本体
4a…凹形状
4b…ストッパ面
5…端子板
6…第1固定接点
6a…幅広部
6b…コネクタ部
6c…中間部
7…第2固定接点
7a…コネクタ部
8…分断孔
9…組付孔
10…凸条部
11…凹部
12…接触板
12a…第1基端部
12b…第2基端部
12c…接点
13…凸部
14…リブ
15…スプリング
16…ボール
17…押圧部
18…ワイパーコントロールスイッチ
19…ライトコントロールスイッチ
Claims (3)
- 自動車に配設された操作レバーの動作に応じて電気的切換を行うための固定接点を有する端子板と、
可撓性の板状部材から成り、その基端側が前記端子板に固定され、先端側に形成された接点が前記端子板から離間した状態で取り付けられ、前記操作レバーの動作により前記先端側が前記端子板における第1固定接点に接続可能な接触板と、
を有するコンビネーションスイッチにおいて、
前記接触板の基端側は、前記端子板側に折り曲げられて形成された第1基端部と、該第1基端部から前記端子板と反対側に折り曲げられて形成された第2基端部とを有して当該第1基端部と第2基端部とでU字形状を成すとともに、
前記端子板は、前記第1基端部と接触する第2固定接点と、前記第2基端部を係止する凸条部とを有し、
前記第2基端部が前記凸条部に係止された状態で、前記第1基端部と第2基端部とが成すU字形状の弾性にて当該第1基端部を前記第2固定接点に押しつける構成とされ、
前記第1固定接点と第2固定接点とがスイッチングのための電気回路を構成することを特徴とするコンビネーションスイッチ。 - 前記接触板の基端側は、その側面から前記端子板側に延びるリブを有するとともに、該リブを収容するための凹部が前記端子板に形成されたことを特徴とする請求項1記載のコンビネーションスイッチ。
- 前記接触板の第1基端部には、前記第2固定接点側に突出した凸部が形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンビネーションスイッチ。
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