JP4124844B2 - 磁気薄膜メモリ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁性薄膜を用いた不揮発固体ランダムアクセスメモリに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータなどのデジタル機器に於いて、デジタル化された情報の任意のビットをランダムに高速にアクセスし、情報の記録再生を行うメモリとして半導体DRAMが広く知られている。しかしながら従来の半導体DRAMは半導体微細集積回路内のコンデンサに蓄積された電荷によって記憶保持を行い、この蓄積された電荷が時間と共に減少するためリフレッシュ動作を必要とし、電源を切断すると記録が消滅する揮発性のメモリである。更に、読み出し時に蓄積した電荷を移動させるため読み出し時に再書き込みを必要とし、これらの動作を行うために回路動作が複雑で、集積化、低消費電力、アクセスの高速性を制限するものとなっていた。このような揮発性のメモリは動作時に書き込み/読み出し以外に記憶内容保持のためのリフレッシュ動作を必要とし、また電源切断時に全ての記録が消去してしまうため、あくまでデジタル機器の一時的な記録手段であり、電子機器においては通常はこれ以外の不揮発性の記憶手段との併用が必要であった。これに対し磁気記録装置が不揮発性の記録装置として、テープ、ディスクなどの媒体にヘッドを用いて記録再生する形態で広く用いられているが、このような装置ではアクセスに時間がかかり、このアクセス時間はコンピュータ等の演算装置の処理速度に対して遅く、任意のビットをランダムに書き込み/読み出しする記憶手段として使用することは難しく、主として2次記憶手段として用いられていた。
【0003】
これらの欠点を補うものとして半導体集積回路上に作成された強磁性薄膜に記録を行いこれを再生する不揮発性の磁性薄膜ランダムアクセスメモリが知られている。磁性薄膜ランダムアクセスメモリとしては当該技術分野では種々の形態のものが知られているが、公知な開示例としては特開平4−44352号公報に記載されている「磁気抵抗検出強磁性薄膜を基にしたデジタル記憶装置」などがあげられる。このようなメモリは、マトリックス状に配列された磁性薄膜セルの任意の1つに縦横に配列された電線より発生する磁界で記録を行い、ホール効果、磁気抵抗効果を用いて任意の磁性薄膜セルの磁化方向を検出することで記録の再生を行う。強磁性薄膜への磁気記録であるため不揮発記録であり、かつ電流による記録及び電気的再生ができることで高速なランダムアクセスが達成され上記の従来記録装置の欠点を克服できる。特に1種類のメモリ装置で演算装置の処理速度に対応して任意のビットをランダムに記録再生し、かつ記録を電源の入切に関わらず半永久的に保存できる、デジタル機器に好適な記録手段を実現できる。
【0004】
このような磁性薄膜メモリのなかで特に再生に磁気抵抗効果を用いた従来例について更に説明を加える。図2は従来の磁性薄膜メモリの1例を説明する図である。図2(a)はメモリアレイを上方から見た平面図、図2(b)、図2(c)は側面から見た断面図である。図2(a)中22a、22b、22cは語線を、23a,23b、23cは桁線を兼ねたセンス線を表す。センス線は、強磁性薄膜セル21と、隣り合う強磁性薄膜セル21を接続する導体線により構成されている。図中語線22aの破断線より右側は語線22aに対する透過図を表す。各センス線は語線が上を交差する部分で強磁性薄膜セル21により構成されている。語線、センス線の交差部分を断面図にて表したものが、図2(b)である。基板25上にセンス線23c、語線22aが形成されている。センス線23cの強磁性薄膜セル部分21を覆う絶縁材24を介して語線22aが展伸している。
【0005】
各語線22、センス線23は不図示の選択スイッチング手段を介して電源に接続されている。強磁性薄膜セルは各1情報ビットに対応する記録を磁化の方向で保持する。強磁性薄膜セルのマトリックスにおける位置が情報アドレスに対応する。希望のアドレスへの情報の記録は、対応する位置の磁性薄膜セルを含む語線とセンス線に電流を流し、これにより発生する磁界を強磁性薄膜セルにかけることにより行われる。
【0006】
例えば図中に示された強磁性薄膜セル21に記録を行う際には、語線22aとセンス線23cに前述不図示の選択スイッチング手段を用いて電流を選択的に流す。語線22a、センス線23cの周囲には通電により磁界が発生するが、この磁界は各々単独では強磁性体薄膜セル21の磁化を反転させ所望の方向に向けることができないように、且つ、語線22a、センス線23cの交差部に於いて2電流により合成された磁界では強磁性体薄膜セル21の磁化を反転させ所望の方向に向けられるように、語線22a、センス線23cを流す電流が制御されている。これにより希望の位置の強磁性薄膜セルに記録がなされる。
【0007】
希望のアドレスから情報を再生する際には、前述した不図示の選択スイッチング手段を用いて希望する強磁性薄膜セルを含むセンス線に電流を流すと同時に、このセンス線両端の電圧を検出する。この時、電流はセンス線を構成する直列接続された複数の強磁性薄膜セルとこのセル間の導電線を流れ、センス線両端にはこれらの合成抵抗と流れる電流によって決まる電圧差が発生する。次に、希望する強磁性薄膜セル上を横切る語線に前述不図示の選択スイッチング手段を用いて電流を流すと、交差する語線とセンス線による合成磁界によって磁性薄膜セルの磁化方向が所望の方向になろうとするが、この磁化方向が予め記録されている向きと同一である場合にはセンス線両端の電圧は変化しない。一方、この磁化方向が予め記録されている向きの逆方向である場合には磁化方向が反転し、磁気抵抗効果によってこの磁性薄膜セルの抵抗値が変化し、センス線両端の電圧が変動する。このセンス線両端電圧変動の有無により記録磁化方向が検出される。
【0008】
特に、センス電流を時分割で両方向に流し、どちらの電流方向の時にセンス線両端電圧変動が生じたかを検出することにより希望セルに記録されている値のより一層確実な再生が可能となる。
【0009】
以上の再生方式では記録した磁化を反転させるため再生直後の再書き込みが必要であるが、後に説明するようにGMR薄膜を用いた磁気抵抗効果を用いることにより再書き込み不要の再生も可能である。
【0010】
更に、このようなメモリにおいて、センス線と記録用の桁線を別途に持つ構成も可能である。このような構成を採ったメモリの語線、桁線の交差部分を断面図により表したものを図2(c)に示す。基板25上にセンス線とは別に記録用桁線26がセンス線と平行に形成され、その上にセンス線を構成する強磁性薄膜セル21、上層に絶縁材24を介して語線22aが展伸している。このような構成では、記録時に桁線と語線の選択を、再生時にセンス線と語線の選択を行うことにより、上記説明のような希望磁性セルへの記録/再生が可能である。特にこのような構成では記録時に桁線に大きな電流が流せるため、記録の磁化変転が容易に行えるという利点がある。
【0011】
更に、別の磁気抵抗効果磁性薄膜メモリの従来例について図3を用いて説明する。
【0012】
図3にマトリクス状に配列されたメモリアレイの1つの磁性薄膜付近の断面図(a)と平面図(b)及び等価回路(c)を示す。図を参照すると、左右に走るセンス線33及びアース線34と上下に走るゲート線36、語線32とで作られた格子状配線マトリクスの1つの記録セルの中に、強磁性薄膜セル31とFETスイッチング部分35が形成されている。図3ではこの1つの記録セル付近のみを図示している。
【0013】
FETスイッチング部分35は基板となる半導体部分に既知の半導体製造プロセスを用いて形成され、この上に強磁性薄膜セル31と各種配線が形成される。通常、ポリシリコン等で作成されるゲート線36は通常の半導体作成プロセスではFETスイッチング部分35と同時にこれに近接して作成されるため、他のセンス線33、アース線34、接続線38、語線32の配線より下層に位置する。センス線33、アース線34、接続線38、強磁性薄膜セル31はほぼ同一平面に形成され、語線32は絶縁膜37を介してこれらの配線の上方、最上層に作成される。
【0014】
図3(b)は絶縁膜37上下の2つの高さの平面を図示しており、破断線が両平面の境界である。センス線33は複数の記録セル内のFETスイッチング部分35に接続され、不図示の選択スイッチング手段を介してFETスイッチング部分35を電源に接続させる。この不図示の選択スイッチング手段は希望する特定のセンス線を電源に接続させる。アース線34は複数の記録セル内の強磁性薄膜セル31に接続され、最終的に強磁性薄膜セル31をメモリアレイ全体の共通アースに接続する。
【0015】
選択スイッチング手段で特定のセンス線33に電源を接続後、特定のゲート線36に規定以上(あるいは以下)の電圧を印加すると、選択したセンス線33とゲート線36の交点に当たる配線セルのFETスイッチング部分35のみがスイッチONになる。FETスイッチング部分35は既知のFET素子と同様に所定のゲート電圧以上でスイッチON(あるいは規定の電圧以下でスイッチON)となりセンス線33から接続線38を通じ強磁性薄膜セル31へ電流を流す。
【0016】
再生時にはこのときセンス線33、アース線34間の電圧を測定することで強磁性薄膜セル31の抵抗が検出できる。強磁性薄膜セル31の磁化の方向により抵抗値が変化する磁気抵抗効果を利用することで、強磁性薄膜セル31の磁化方向により記録した値の再生が出来る。再生する強磁性薄膜セル31の選択は上記のようにゲート線36とセンス線33の選択により可能である。
【0017】
記録時にはゲート線36と同列の記録用語線32に電流を流す。この語線32を流れる電流によって発生する磁界と、ゲート線36によりスイッチONされ接続線38、強磁性薄膜セル31を通る電流で発生する磁界との合成により、希望の強磁性薄膜セル31に値を記録することができる。
【0018】
このような構成では、各セル毎にスイッチング手段を持ち、前述の従来例のように再生時にアドレスする以外の多くの強磁性薄膜セルに通電することがなく、アドレスする強磁性薄膜セルのみの抵抗変化を検出できるため、再生S/Nに優れ、センス線方向に多数のセルを配置できるため高集積化が可能である。更に、本構成では再生時に磁界を印加し磁性薄膜の磁化を反転させることがないため、再生時に再記録の必要がない。
【0019】
以上、磁気抵抗効果による再生を行う磁性薄膜メモリの従来例を説明してきたが、磁性薄膜メモリの記録の再生検出方法としては、磁気抵抗効果を用いる方法以外にホール効果を用いる方法等が知られている。
【0020】
しかしながら、磁気抵抗効果を用いる場合には、記録を保持する手段そのものの抵抗値の変化を電圧などの形で検出すれば良く、またホール効果のように電流と垂直方向の電圧の検出を行わなけらばならないという制約もないため、セル構造が簡略で高集積化に適している。
【0021】
更に、近年知られるようになった。巨大磁気抵抗効果、即ちGMR効果を利用することで再生S/Nに優れたメモリが提供される。以下、GMR効果について説明を加える。
【0022】
従来の磁気抵抗効果、特に強磁性体での異方性磁気抵抗効果は、例えば、朝倉書店出版の「磁性体ハンドブック」(1975)946〜950ペーシに記載のように、強磁性体内を流れる電流と磁化の方向によりその抵抗値が変化するもので、あらかじめ決められた異なる磁化の2方向にそれぞれ“1”、“0”を対応させ、外部磁界により磁化を反転、記録し、この2状態の抵抗値差を検出することで前述の磁性薄膜メモリの再生に利用できる。
【0023】
これに対し、近年発見された巨大磁気抵抗効果(通称、GMR効果)は(例えば、フィジカルレビューレター(Phys.Rev.Lett)61巻第21号、1988年、2472〜2475参照)、強磁性体と非磁性金属の薄膜多層構成で従来の磁気抵抗効果の数倍〜数十倍の抵抗変化の比(抵抗変化値/抵抗値)を与える。また、GMR効果では抵抗値は電流の方向に関わらず、非金属層を挟んで隣接する強磁性層の磁化の相対方向によって変化する。
【0024】
図4に基づきGMR効果を持つ強磁性多層薄膜による記録の説明を行う。ここでは、GMR効果を生じる最小層数の構成をとるものとする。41は保磁力の大きい強磁性薄膜、42は非磁性金属膜、43は保磁力の小さい強磁性薄膜である。GMR効果を高めるためにこの3層を非磁性金属層を介して繰り返し積層した構成をとることも可能である。このような構成の強磁性多層薄膜に電流を流すと強磁性層と非磁性金属層の境界で伝導電子のスピン依存性散乱に起因する電気抵抗を生じる。即ち、磁性層の磁化と順方向のスピンを持つ伝導電子と磁化と逆方向のスピンを持つ伝導電子との境界での散乱断面積の差が電気抵抗の差となって現れる。伝導電子のスピンの向きはランダムであるが、中間層となる非磁性金属層の両側強磁性層の磁化の相対方向が揃って平行のときには、このスピンによる抵抗の差が両側境界で強調されるのに対し、両側強磁性層の強化の相対方向が異なり例えば反平行の方向を向くときには、スピンによる抵抗の差が全体で相殺、平均化される。このため強磁性多層薄膜全体の抵抗値も両側の強磁性層薄膜の磁化の相対方向によって変化し、磁化が反平行状態の時は平行状態の時よりも抵抗が変化する。
【0025】
図4(a)は2つの強磁性層の磁化が反平行の状態、図4(b)は2つの強磁性層の磁化が平行の状態を表し、両者に抵抗値の差が生じ図4(a)の状態では図4(b)の状態より抵抗値が高く、或いは、低くなる。
【0026】
強磁性層41,43は前述したように保磁力が異なるため強磁性層43のみの磁化方向を反転し強磁性層41の磁化方向を反転しない外部印加磁界の強度が存在する。このような強度の磁界を記録磁界として図中右向きに印加することで図4(a)の状態から図4(b)の状態へ、また図中左向きに印加することで図4(b)の状態から図4(a)の状態に遷移させることが可能である。この2つの状態を情報ビットの“1”、“0”に対応させることにより、この強磁性多層薄膜を図3に示した構成の磁性メモリ用磁性層に使用できる。
【0027】
更に、異なるプロセスで本構成の強磁性多層薄膜を磁性薄膜メモリに適用することも可能である。この場合には上述の強磁性層43のみを反転し強磁性層41を反転しない外部印加磁界を再生時に印加する。このとき、例えば、まず図4中左向きの磁界を印加し、次に図中右向きの磁界を印加すると、強磁性多層薄膜は図4(a)の状態から図4(b)の状態に遷移し、このように印加磁界の方向を逆転することにより磁性多層薄膜の抵抗は減少、或いは、増加する。強磁性層41の方向が図4とは逆に左向きにあるときには、上記と同様に左から右へ逆転する印加磁界の変化に対して抵抗値は増加、或いは、減少する。
【0028】
このように逆転する磁界を印加し、抵抗値の増加・減少を見ることにより強磁性層41の磁化の方向が検出できる。このため強磁性層41の磁化方向を情報ビットの“1”、“0”に対応させることにより情報の再生が行える。
【0029】
記録時には再生時より大きく強磁性層41の磁化を反転できる大きさの印加磁界をかけることで強磁性層41に磁化方向の形で情報ビットの書き込みを行えばよい。
【0030】
このようなプロセスを用いて強磁性多層薄膜を図3に示した構成の磁性メモリの磁性膜として利用できる。
【0031】
更に、このような情報再生プロセスは図2に示した構成のメモリに使用するのに好適である。このような再生プロセスでは再生時に強磁性層41の記録磁化方向を変えることなく印加した磁界により強磁性層43のみの磁化方向を反転し抵抗変化を検出するので、図2に示したセンス線23cのうち所望の磁性膜セル21を通る語線22aに逆転する電流を流し、発生する磁界が丁度強磁性層43のみを反転させるようにすればセンス線23cに直列にした他のセルに影響を与えず所望の磁性膜セル21の情報が検出できる。このようにして前述の特定強磁性膜セルの再生アクセスが強磁性層41の記録磁化方向を変えることなく行えるので、再生時に記録の再書き込みが不要となる。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
このような強磁性薄膜メモリでは記録時あるいは再生時に語線、桁線により発生する磁界により磁化を反転する必要がある。この時発生する磁界に対し磁化が反転しやすいように、強磁性薄膜の周囲に語線を巻き付けるように構成することが望ましいと考えられる。しかしながらこのような構成では記録再生用の磁界を発生させるための電流に対し再生信号がばらつき易いことが判明した。このようなばらつきは各メモリセルの再生信頼性を低下させ、ひいてはメモリの大容量化を阻害するものである。
【0033】
そこで本発明は、再生信号がばらつきにくい強磁性薄膜メモリを提供することを目的とする。
【0045】
【課題を解決するための手段】
本発明による磁気薄膜メモリは、記録ビットを磁化の方向として記録保持する磁気薄膜と、該磁気薄膜に磁界を印加し磁化させるための電流を流せる少なくとも2系統の導体線を具備し、情報記録時に前記記録ビットの二値は前記少なくとも2系統の導体線のうち少なくとも一系統に流す電流の方向で決定される磁気薄膜メモリにおいて、前記記録ビットの値を決定する導体線に第1の方向に電流を流す際に、前記2系統の導体線のうち他方の導体線に第2の方向に電流を流し、前記記録ビットの値を決定する導体線に、前記第1の方向とは逆方向である第3の方向に電流を流す際に、前記2系統の導体線のうち他方の導体線に前記第2の方向とは逆方向である第4の方向に電流を流す両極電流発生手段を有し、前記磁気薄膜上に、前記記録ビットに応じた磁化反転可能磁界領域が形成されるように、アパーチャを有する磁気シールドを具備し、前記導体線の一方が磁性体で構成されていることを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
検討の結果、上記の再生ばらつきは以下のような原因で発生することが分かった。図5に強磁性薄膜メモリの1つのセルの周辺の斜視図を示す。この構成は図2(c)を用いて説明した強磁性薄膜メモリの1つであるが、特に強磁性薄膜の磁化が反転し易いように語線22が強磁性薄膜セル(以下、磁性膜とも称する)21の側面に巻き付ける構成をとっている。語線22に電流を流すと、これより発生する磁界が磁性膜21付近に集められ、磁性膜21付近での磁界の強度が増加し、磁化反転が生じやすくなる。しかしながら、語線22が磁性膜21側面を沿って這わせられ、磁性膜面と垂直方向の語線電流成分を持っているため、選択的に磁性膜21を反転する目的で同時に桁線26に電流を流すと、磁性膜21での合成磁界は磁性膜面内で非対称な分布を持つことになる。
【0047】
図6を用いてこれについて説明を加える。図6は磁性膜面での断面図であり、図中上下に走る桁線26と図中左側で紙面を貫いて垂直に上にのび、紙面上側で左右に走り図中右側で紙面を貫いて垂直下へ向う語線22が示されている。このように磁性膜面での断面では語線22を通る電流は磁性膜面と垂直に電流成分を持ち、しかも図中右と左では電流方向が正反対である。ここでは、例えば、語線22に対し図中左から右に向かう方向の電流を流した場合を考えると、磁性膜面の断面では図中左の語線22aでは紙面下から上へ、図中右の語線22bでは紙面上から下へ語線電流が流れる。この磁性膜面と垂直な電流成分は図中左では語線22aを中心に反時計回りの磁界61を図中右では時計回りの磁界62を発生する。このとき桁線26に例えば図中下から上へ電流を流すと、桁線26の上方にある磁性膜面での断面では図に破線63で示すように左から右に磁界が発生する。磁界61と同系統の語線電流Hwと磁界63と同系統の桁線電流HLとは図中磁性薄膜セルの左上方ではお互いに向きが逆で相殺するのに対し、図中磁性薄膜セルの右上方では同方向に揃い強めあう。図中には示さないが同様にして磁性膜セル左下方では磁界の強調が右下方では磁界の相殺が起こる。このようにして合成磁界は磁性膜セルの上下、左右に対して非対称なものとなる。実際には図6紙面上方に左右に走る語線部分からの磁界も合成されるがこの磁界は磁性膜セルに対し左右上下対称にほぼ図中上下方向にかかるため以上の説明と同様に合成磁界は磁性膜セルの上下、左右に対して非対称なものとなる。更に、ここでは簡単のため磁界に関しては磁性膜面での断面内での成分に関して説明を加えたが、磁性薄膜はその厚みが薄く磁性薄膜内の磁化は磁性膜面にほぼ拘束されていて磁化反転に磁性薄膜垂直方向は寄与しない。即ち、磁化の反転に関する磁界は磁性膜面成分を考えればほぼ十分である。このようにして発生磁界により磁化反転の起こる範囲を図示すると例えば図7のようになる。図7左は図中上向き桁線電流及び図中右向き語線電流を流した場合あるいは図中下向き桁線電流及び図中左向き語線電流を流した場合の磁化反転できる磁界の領域を、右は図中上向き桁線電流及び図中左向き語線電流を流した場合あるいは図中下向き桁線電流及び図中右向き語線電流を流した場合の磁化反転できる磁界の領域を示す。左図では磁性膜セル21の右上と左下に、右図では磁性膜セル21の左上と右下に記録できない不記録領域が残っている。記録磁化の方向を逆にするため語線または桁線のみの電流を変えると、この不記録領域の出来方が図7左図と右図の間で変化する。なお、語線又は桁線のみの電流を変えるだけで、変化させた電流に応じた方向に記録するのに充分な強度の磁界が発生する。このためこの不記録部分の磁化は目的の記録方向に向けられないのみならず事前に記録した磁化方向に依存し、情報を記録したメモリセルとしては記録以前の情報に依存する。一方、再生時には磁性薄膜全面に対してのGMR効果を利用するため再生信号に(以前の情報ビットの値に依存する)ばらつきが生じることとなる。
【0048】
この不記録領域は語線、桁線の電流強度を増すことでなくすことができるが、このときにはメモリ装置の消費電力を高めるだけではなく磁化反転可能な磁界の領域が上記の非対称性を持つために隣接磁性膜セルへの不必要な記録(クロストーク)が生じ易くなる。
【0049】
例えば電流強度を増すことにより図7左図で磁性膜セル21をはみ出して図上方や左上方に張り出した磁化反転可能磁界領域が隣接磁性膜セルにかかると隣接セルの情報を破壊してしまう。これを防ぐためにセル間の間を大きくし、セルを離して配置すると記録密度が低下して好ましくない。このため語線電流桁線電流には上限値が存在する。このような磁化反転可能磁界領域の非対称性はこの上限を減少させる。更に、前述の再生信号ばらつきをなくすために語線桁線の駆動電流を高くすると駆動電流の範囲が著しく規制され、セル間のばらつき等に対応することができなくなる。
【0050】
上記の検討結果に基づく再生信号ばらつきを低減させる第一の形態は図7に示した磁化反転可能磁界領域の変形を防ぐことである。即ち記録ビット情報に関わらず磁化反転可能磁界領域が図7左図のみ、あるいは右図のみに限定されるように語線桁線電流を加える。これにより磁性膜セル内に未記録部分があっても再生時にビット情報“1”、“0”の信号の差にはばらつきが生じない。更に、本手段は初期着磁によってメモリ内の全ての磁性膜セルの磁化をあらかじめビット情報“1”、“0”の何れかに対応する方向にしておくことにより、動作時の磁性膜セル未記録部分の磁化が各磁性膜セルで揃っていることとなり再生信号のばらつきはより押さえられる。
【0051】
検討結果に基づく再生信号ばらつきを低減させる第二の形態は磁化反転可能磁界領域が磁性膜セル内で変化を生じないように磁性膜セルの形状を限定することである。これは例えば磁化反転可能磁界領域にあわせ磁性膜セルの四隅を欠いた形状にすることで実現できる。これにより磁化反転可能磁界領域が図7右図から右図に変動しても磁性膜セルに記録される領域は変わらず再生信号ばらつきは生じない。
【0052】
[実施形態1]
本発明の実施形態1を説明する。セルアレイの構成は図2に示した構成あるいは図3に示した構成である。更に、記録用の語線と桁線のみの回路の配線を記載したものを図1に示す。22は図中横方向に走る語線、26は図中縦方向を走る桁線である。1は情報信号線、2は語アドレス信号線、3は桁アドレス信号線、5は語線側デコーダ、6は桁線側デコーダ、7は語線側FETスイッチ、8は桁線側FETスイッチである。情報信号線1には“1”、“0”の情報信号に対応した電圧が印加される。語アドレス信号線2、桁アドレス信号線3には情報信号線上の電圧に同期してその情報ビットのアドレス信号がそれぞれ語アドレス、桁アドレスに分かれて印加される。4は両極電流発生手段であり、本実施形態の構成では両極電流発生手段4が語線側と桁線側両方に配置されることを特徴とする。両極電流発生手段4は情報信号線1に印加された“1”、“0”の情報信号に対応した電圧により語線幹線9a,9b及び桁線幹線10a,10b間に電圧を生じそれぞれ語線22、記録用桁線26に電流を供給できる。更に、この電流は“1”、“0”の情報信号によってその極性がかわる。例えば情報信号線1に“1”の情報信号に対応する電圧が印加されると語線では語線幹線9aが高電位側となり9aから9b方向へ、図中左から右への電流が供給され、桁線では桁線幹線10aから10b方向へ、図中上から下への電流が供給される。一方情報信号線1に“0”の情報信号に対応する電圧が印加されるとこれとは逆に語線では図中右から左への電流が供給され、桁線では桁線幹線図中下から上への電流が供給される。語アドレス信号線2に印加された語線アドレス信号は語線側デコーダ5によりデコードされ、対応する位置の語線に接続した語線側FETスイッチ7をONにする。これにより語線幹線9a,9b間に接続された語線22のうちアドレス信号に対応したもののみに、情報信号に対応した極性の電流が流れる。同様に桁アドレス信号線3に印加された桁線アドレス信号は桁線側デコーダ6によりデコードされ対応する位置の桁線に接続した桁線側FETスイッチ8をONにした桁線幹線10a,10b間に接続された桁線26のうちアドレス信号に対応したもののみに、情報信号に対応した極性の電流が流れる。
【0053】
図8に両極電流発生手段4の具体的構成例を示す。81,83,86はpチャネルのMOS−FETで、82,84,87はnチャネルのMOS−FETである。81と82、83と84、86と87は組として良く知られたCMOS−FETのインバータとして集積化回路中に作成される。1は情報信号線で“1”、“0”の情報に応じた電圧が印加される。9a,9bは前述の語線幹線(または10a,10bは桁線幹線)である。ここでは説明のため“1”信号の電圧をVdd、“0”信号の電圧をグランド電位のVccとする。情報信号線1はFET81と82で作られるインバータとFET86と87で作られるインバータの入力側に接続される。FET86のソースには電圧Vddが印加されFET87のソースはグランドに接続されている。両FETのゲートは接続され情報信号線1の電圧が印加されている。情報信号線1が電圧Vddの時にはこのインバータ出力89に電圧Vccが、情報信号線1が電圧Vccの時にはこのインバータ出力89に電圧Vddが反転して現れる。FET81と82、FET83と84はほぼ相似のCMOS−FETのインバータを形成しているが入力が他が互いに相補的な関係になるように配される。
【0054】
例えばFET81と82のゲートに電圧VddがかかるときにはFET83と84のゲートにはVddが、FET81と82のゲートに電圧VddがかかるときにはFET83と84のゲートにはVccが印加される。FET81と83のソースは85を通し電流供給源に接続され、FET84,86のソースはグランドに接続される。上記のゲート接続により、情報信号線1が電圧Vddの時はFET81とFET84がON状態、FET82とFET83がOFF状態になり、9a(10a)側が高電位、9b(10b)側が低電位となる。また情報信号線1が電圧Vccの時にFET81とFET84がOFF状態、FET82とFET83がON状態になり9a(10a)側が低電位、9b(10b)側が高電位となる。
【0055】
本実施形態の特徴は以上のように、両極電流発生手段4が語線側と桁線側両方に配置され情報信号によって語線、桁線の両方を流れる電流の方向を同時に変えることで図7に示した磁化反転可能磁界領域の変形を防ぐことである。図7に於いて図中上向き桁線電流、図中右向き語線電流を流した場合あるいは図中下向き桁線電流、図中左向き語線電流を流した場合の磁化反転できる磁界の領域は図7左の図となり、語線と桁線の両線の電流の方向を同時に変えても磁化反転可能磁界領域の形は変わらない。同様に図中上向き桁線電流、図中左向き語線電流を流した場合あるいは図中下向き桁線電流、図中右向き語線電流を流した場合の磁化反転できる磁界の領域は図7の右図のようになり、語線と桁線の両線の電流の方向を同時に変えても磁化反転可能磁界領域の形は変わらない。これによりセルに記録される領域が情報ビットによらず一定である。
【0056】
磁性膜セル作成時に外部磁界により全ての強磁性薄膜セルの磁化方向を揃えておく(初期着磁)ことで、磁化反転可能磁界領域が磁性膜より小さい場合であっても書き込む情報ビットの如何に関わらず不記録部分が一定であるため、この部分の磁化は初期着磁の時の方向のまま不変であるため、再生信号のばらつきは生じにくいものとなる。以上のように本実施形態の構成により磁化反転可能磁界領域の変形を防ぐ語線電流、桁線電流の駆動ができ、その結果、再生信号のばらつきが押さえられる。
【0057】
本実施形態は図9に示すようにより簡略化した構成をとることも可能である。図9では両極電流発生手段4を1つとし、この出力を語線幹線9a,9b及び桁線幹線10a,10b両方に接続することで全体回路構成を簡略化している。
【0058】
本実施形態は縦横に交差した記録用語線、桁線によって記録を行う構成であれば再生用の構成は図2に示した磁性膜セルを直列にした構成であっても、図3に示したセル毎にスイッチング素子を持つ構成であっても適応可能である。
【0059】
また本実施形態は図2に示した磁性膜セルを直列にした構成であって且つ記録用の語線と桁線をかねたセンス線により記録を行う構成に於いても適応可能である。
【0060】
[実施形態2]
本発明の実施形態2を説明する。本実施形態では磁化反転可能磁界領域が磁性膜セル内で変化を生じないように磁性膜セルの形状を限定する。図10に本実施形態による強磁性薄膜セル101と磁化反転可能磁界領域102を示す。図10は従来例の図7との比較図である。図10に示す本実施形態による強磁性薄膜セル101の磁性膜表面に平行な断面形状は図7の従来例の強磁性薄膜セル21と比べ、4隅が切り欠けを有しているため、語線、桁線の電流方向の種々の組み合わせに対して磁性膜セル101の全ての部分が、磁化反転可能磁界領域102内にある。実施形態1に示したように語線、桁線の駆動電流に新規の条件を加えないために、磁化反転可能磁界領域102が変化しても、強磁性薄膜セル101の全ての部分に記録が行われるため、前述の再生信号ばらつきが生じない。
【0061】
図2で説明したセルアレイ構成に適応した実施形態に関して図11を用いて説明する。
【0062】
図11−Aは強磁性薄膜セル21を含むセンス線23を上方から見た平面図であり、図11−Bはその側面図である。25は基板、23はセンス線、21は強磁性薄膜セルである。図2に示す構成と同様に、基板25の上のセンス線23の一部を強磁性薄膜セル21がなす構成であるが、強磁性薄膜セル21の形状が、強磁性薄膜表面に平行な面内で八角形をとることにより語線、桁線の電流方向の種々の組み合わせに対して強磁性薄膜セル21の全ての部分が、磁化反転可能磁界領域内にあるように構成されている。このような構成では、特に強磁性薄膜セル21内に磁化反転可能な強度以下の磁界がかかることがないため、再生時に強磁性薄膜セル21全域が磁気抵抗効果による検出の対象となるため再生信号の効率が良く、再生信号ばらつきを一層抑えられる。強磁性膜セル21の平面形状は磁化反転可能磁界領域にセルが完全に含まれるならば八角形でなくてもよい。図12に強磁性膜セル21の平面形状の他の例を示す。特に、これらの形状は、強磁性膜セル表面の上下左右に線対称であり、且つ、磁界の非対称性の生じ易い四隅の部分を欠いている。このような形状を持つことで、語線桁線電流の方向によって非対称に形成される磁化反転可能磁界領域102の変化を再生信号に反映させない作用を持つ。強磁性薄膜セル21の形状が図11、12に示すものと同一でなくても磁化反転可能磁界領域102にセルが完全に含まれるような形状であればよい。但し、図12に示すような形状は作成が簡便である。また、磁化反転可能磁界領域102全域に強磁性薄膜セル21が広がる形状が再生信号強度の点から好ましい。
【0063】
このようなセンス線23の作成は図2に示した従来例のセンス線とほぼ同様に行われる。即ち、基板上の全面に磁気抵抗効果を有する強磁性薄膜をスパッタ等により作成してから、フォトレジストをマスクとしたドライエッチング等により強磁性薄膜セル21を形成する。フォトレジストのマスクを形成する際に、強磁性薄膜上に塗布したフォトレジストにセルの平面形状に合わせた光用マスクを被せ露光し現像することでエッチング用のフォトレジストのマスクを作成する。この露光用マスクを従来のセンス線に合わせた長方形形状ではなく図11、図12に示した強磁性薄膜セルの形状としてエッチング用フォトレジストマスクを作成しこの形状を作成する。強磁性薄膜セル21を作成後、アルミニウムなどの導電性の高い金属をスパッタなどで成膜し導体層を形成し、この導体層を、同様のフォトレジストを用いてエッチングすることでセンス線23が作成できる。
【0064】
[実施形態3]
また、実施形態2の発展した形態として、磁性セルの形状を制約するのではなく、磁性セルへ到達する磁界の領域を制限することで磁性膜セル内で磁化反転可能磁界領域102が変化を生じないようにすることも可能である。すなわち、強磁性薄膜セルへ到達する磁界の領域を制限することで強磁性薄膜セル内で変化を生じないようにする。
【0065】
図13−Aは本実施形態を図2で説明したセルアレイ構成に適応した場合のセンス線23の断面図である。25は基板、23はセンス線、21は強磁性薄膜セル、24は絶縁層、111は磁界マスク、112は磁界アパーチャーである。図2に示す従来例と同様に基板25の上のセンス線23の一部を強磁性薄膜セル21がなす。強磁性薄膜セル21の形状は図2で説明したものと同様であり、磁化反転可能磁界領域に合わせた形状をとる必要はない。センス線23用の導電層成膜作成までは従来例と同様の行程で行える。本実施形態の特徴は磁界マスク111を具備する点にある。磁界マスク111は高透磁率の磁気履歴特性を持たない軟磁性体で作成され、たとえばパーマロイ材などが好適である。磁界マスク111には図11−Aの平面図に示す形のアパーチャーが具備されている。センス線23の作成後、絶縁層24をスパッタ等で成膜する。絶縁層24は絶縁性が高くスパッタなどにより量産性に富み簡便に作成できること、また隣接する磁性膜の劣化を引き起こさないものであれば使用可能であるが、例えばSiN等を用いることができる。その後、フォトレジストでアパーチャー形に合わせたマスクが作成され、その後スパッタなどにより磁界マスクとなる軟磁性体層を成膜し、表面をエッチングにより平坦化し、フォトレジストを除去しアパーチャー部分112が形成される。
【0066】
その後、センス線23の線状形状をフォトレジストを用いたエッチングで形成する。このようにして磁界マスク111が磁性膜セル21と磁界を発生する電線(語線または桁線)の間に形成される。電線から発生する磁界のうちアパーチャー112以外は磁性マスク111の高い透磁率によってシールドされ磁性膜セル21上にはアパーチャー112形状に対応した磁化反転可能磁界領域が形成される。特にアパーチャー112の形状は図12に例示したものを取ることにより、磁性膜セル21上にはアパーチャー112形状に対応した磁化反転可能磁界領域が語線桁線電流の向きによらず強磁性薄膜セル表面上で上下左右に線対称性を持つこととなる。これにより再生信号ばらつきを押さえることが可能である。図13−Aに示した実施形態では、記録用語線と桁線を兼ねたセンス線により記録する構成であるが、13−B図に示したようなセンス線とは別に記録用桁線を持つ構成にも適用可能である。図13−Bにおいて、25は基板、23はセンス線、22は語線、26は桁線、21は磁性膜セル、24は絶縁層、111は磁界マスク、112は磁界アパーチャーである。本構成では磁性膜マスク111は磁性膜セル21と記録用電線である語線22との間、及び、磁性膜セル21と桁線26との間に各々形成されることが望ましい。このような磁界マスクを使用する形態では実施形態2の強磁性薄膜セルの形状自身を制限する方法に比べ、特に図2に示した強磁性薄膜セルを直列にした構成に適用する場合に於いて、記録用磁性膜をエッチングなどでセル化する必要がなく、マスクによるアパーチャー部分をそのままセル化することが可能であるという製造上のメリットがある。
【0067】
特にこれを図13−Aに適用したものを図13−Cに示す。図13−Cでは、センス線23自身が磁性体で構成され、特にセルの形状に形成しなくても良い。記録マスク111上のアパーチャー112によって区切られた下部に印加磁界によりピットが形成される。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、記録用導電線の発生する磁界による強磁性薄膜内の磁化反転可能磁化領域が記録ビットの値により変形せず、記録情報の履歴によって再生信号がばらつくことがなくなるので、良好な再生信号が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1における記録用回路の1例を示す図である。
【図2】本発明及び従来例における磁性薄膜メモリの1形態を示す図である。
【図3】本発明及び従来例における磁性薄膜メモリの別の形態を示す図である。
【図4】本発明及び従来例におけるGMR効果を持つ強磁性多層薄膜の概念的断面図である。
【図5】本発明及び従来例における強磁性薄膜メモリセルの構造を示す斜視図である。
【図6】図5に示す強磁性薄膜メモリセルの従来例における周辺の磁界を示す図である。
【図7】図5に示す強磁性薄膜メモリセルの磁化反転可能磁界領域を示す図である。
【図8】本発明の実施形態1における両極電流発生手段の構成例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態1における記録用回路の他の1例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態2における記録セル形状の1例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態2における強磁性薄膜セルの構造の1例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態2における記録セル形状の他の例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態3における強磁性薄膜セルの構造の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 情報信号線
2 語アドレス信号線
3 桁アドレス信号線
4 両極電流発生手段
5 語線側デコーダ

7 語線側FETスイッチ
8 桁線側FETスイッチ
9a、9b 語線幹線
10a、10b 桁線幹線
21、31、101 強磁性薄膜セル
22、22a、22b、22c、32 語線
23 桁線
23a、23b、23c センス線兼桁線
24 絶縁材
25 基板
26 記録用桁線
33 センス線
34 アース線
35 FETスイッチング部分
36 ゲート線
37 絶縁膜
38 接続線
41 保磁力の大きい強磁性薄膜
42 非磁性金属膜
43 保磁力の小さい強磁性薄膜
61、62、63 磁界
102 磁化反転可能磁界領域
111 磁界マスク
112 磁界アパーチャー

Claims (1)

  1. 記録ビットを磁化の方向として記録保持する磁気薄膜と、該磁気薄膜に磁界を印加し磁化させるための電流を流せる少なくとも2系統の導体線を具備し、情報記録時に前記記録ビットの二値は前記少なくとも2系統の導体線のうち少なくとも一系統に流す電流の方向で決定される磁気薄膜メモリにおいて、
    前記記録ビットの値を決定する導体線に第1の方向に電流を流す際に、前記2系統の導体線のうち他方の導体線に第2の方向に電流を流し、前記記録ビットの値を決定する導体線に、前記第1の方向とは逆方向である第3の方向に電流を流す際に、前記2系統の導体線のうち他方の導体線に前記第2の方向とは逆方向である第4の方向に電流を流す両極電流発生手段とを有し、
    前記磁気薄膜上に、前記記録ビットに応じた磁化反転可能磁界領域が形成されるように、アパーチャを有する磁気シールドを具備する磁気薄膜メモリであって、
    前記導体線の一方が磁性体で構成されていることを特徴とする磁気薄膜メモリ
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