JP4123892B2 - イオン発生装置付き車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンを含んだ空気を車室内に送風するイオン発生装置付き車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば浴室用のイオン発生装置が知られている(例えば特許文献1参照)。これによると空気の送風通路にマイナス電極を配置してマイナス電極からマイナス電子を発生させ、マイナスイオンを含んだ空気を浴室に送風する。これにより浴室の使用者をリラックスさせたり、健康回復させる等のマイナスイオンの効能が付与される。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−48932号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用空調装置にイオン発生装置を設ける場合、イオン発生装置を空調装置の上流側に配置するほどイオン発生装置から吹出口までの経路が長くなり、発生したイオンがダクトの壁面等に衝突して消滅する確率が高くなる。したがって、イオン発生装置を空調装置の下流側、例えば吹出口近傍に配置する方がイオンの車室内への吹出効率が高くなる。
【0005】
しかしながら、イオン発生装置を吹出口近傍に配置するとイオン発生装置の作動音が車室内に漏れやすくなる。一般の家庭用空調装置に比べ車両用空調装置では吹出口と乗員との距離が短いため、作動音が乗員に伝わりやすく、乗員の居住快適性が損なわれる。
【0006】
本発明の目的は、車室内へのイオンの吹出効率を高めるとともに、作動音を乗員に伝わりにくくしたイオン発生装置付き車両用空調装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によるイオン発生装置付き車両用空調装置は、空調風を生成する空調ユニットと、空調ユニットで生成された空調風を吹出口に導く空調ダクトと、空調ダクトの内壁面に沿って配設された電極の表面であるイオン発生面からイオンを発生させるとともに、イオン発生面から併せて作動音が発生するイオン発生装置とを備え、イオン発生面を空調風の流れ方向上流側に向けて配置するとともに、空調ダクトを屈曲形状とし、イオン発生面をその屈曲部の外径側に配置することにより上述した目的を達成する
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、イオン発生装置の作動音が吹出口の反対側に向かって伝播し、吹出口からの作動音の漏れを低減することができる。これによりイオン発生装置のイオン発生面を吹出口の近傍に配置することができ、車室内へのイオンの吹出効率も高めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
−第1の実施の形態−
以下、図1,2を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わるイオン発生装置付き車両用空調装置の概略構成を示す図である。空調ユニット100はエバポレータ1とヒータコア2を有し、車室内前方のインストルメントパネル内の下方空間に設置される。
【0010】
空調ユニット100のダクト3の入口にはブロアファン4が配設され、ブロアファン4はブロアモータ5の駆動により回転する。ブロアファン4が回転すると、内外気切換ドア6を介してダクト3内に内気または外気が吸い込まれ、エバポレータ1を通過して冷却される。この冷却空気はエアミックスドア7の開度に応じた割合でヒータコア2を通過して加熱され、または冷却空気のままヒータコア2をバイパスする。ヒータコア2を通過およびバイパスした空気は、ヒータコア2の下流のエアミックスチャンバ8で混合され、所定温度の空調風とされる。この空調風はそれぞれダクト9〜11を介し、インストルメントパネルに設けられたベント吹出口(センターベント吹出口,サイドベント吹出口)、下部に設けられたフット吹出口、フロントウインド近傍に設けられたデフロスト吹出口などから車室内に吹き出される。なお、ブロアモータ5,内外気切換ドア6,エアミックスドア7の駆動は周知の空調コントローラによって制御される。
【0011】
図2は、ベント吹出口に通じるダクト9の拡大図である。図2に示すように、ベント吹出口近傍のダクト9にはイオン発生装置20が付設されている。イオン発生装置20は例えばダクト9内の通路9aに面して配置されたイオン発生面を備え、このイオン発生面には放電によりイオンを発生する電極21が設けられている。イオン発生装置20は電源から電極21に高電圧を印加して電極21からマイナス電子を放電し、これによりダクト9内の空気中にマイナスイオンを発生する。この場合、電極表面の放電面(イオン発生面)に接触する空気量が増えるとイオン発生量も増加する。イオン発生装置20は例えばオートエアコンスイッチのオンにより作動し、その作動音は主にイオン発生面から発生する。イオン発生装置20の作動音(音波)は指向性を有する。
【0012】
電極21は、イオン発生面が少なくとも空調風の流れ方向(実線矢印)の上流側を向くように、ダクト通路9に対し斜めに配置されている。すなわち電極表面の下流側端部は上流側端部よりもダクト通路9a内にδ1だけ突出している。これによりイオン発生面で発生した作動音は、図示点線矢印で示すようにダクト9の内壁に反射しながら空調風の上流側、すなわちエアミックスチャンバ8側に向かって伝播する。
【0013】
以上の第1の実施の形態によれば以下のような効果を奏する。
(1) イオン発生装置20のイオン発生面をダクト通路9a内に空調風の上流側に向けて配置したので、イオン発生装置20の作動音がベント吹出口とは逆方向に伝播し、吹出口からの作動音の漏れを低減することができる。その結果、イオン発生装置20をベント吹出口の近傍に配置することができ、イオンの吹出効率を高めることができる。
(2) イオン発生面をダクト通路9a内に斜めに配置したので、ダクト通路9aと平行に配置した場合に比べて、イオン発生面の空調風流れ方向上流側への投影面積が大きくなり、より多くの空気がイオン発生面に接触する。これによりイオン発生量を増加させることができる。
【0014】
−第2の実施の形態−
図3を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、イオン発生装置20を付設するダクト9の形状である。以下、第の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0015】
図3(a)は、第2の実施の形態に係わるダクト9の拡大図である。図3(a)に示すように、イオン発生装置20はダクト9の屈曲部91の外径側、かつ、屈曲部の中間点aよりも下流側に付設され、電極表面はダクト通路9aに面している。これにより図3(b)に示すようにイオン発生面の空調風流れ方向上流側への投影面積S1は下流側への投影面積S2よりも大きくなる。
【0016】
電極21はイオン発生面を空調風の上流側に向けて傾けて配置されている。すなわち、電極表面の下流側端部は上流側端部よりもダクト通路9a内にδ2だけ突出している。これによりイオン発生面で発生した作動音は、図示点線矢印で示すように反射しながら空調風の上流側に向かって伝播し、第1の実施の形態と同様、吹出口からの作動音の漏れを低減することができる。この場合、投影面積はS1>S2であるため、作動音は上流側に放出されやすく、ダクト通路9a内への突出量δ2を図2のδ1より小さくすることができる。
【0017】
ダクト9の所定断面における空調風の流速は、屈曲部91においては外径側が速く、内径側が遅い。そして第2の実施の形態では、流速の速い屈曲部91の外径側にイオン発生装置20のイオン発生面を設けたので、単位時間当たり、より多くの空気がイオン発生面に接触し、イオンの発生量を一層増加させることができる。
【0018】
このように第2の実施の形態によれば、イオン発生装置20を屈曲部91の外径側に設け、イオン発生面を空調風の上流側に向けて配置したので、イオン発生装置20の作動音がベント吹出口とは逆方向に伝播し、吹出口からの漏れを低減することができる。また、イオン発生面に接触する空気の流速が速いので、イオン発生量をより増加させることができる。この場合、ダクト通路9a内に流速分布を設けるために通路面積を減少する等、ダクト自体の大幅な形状変更が不要であり、安価に構成することができる。イオン発生装置20を屈曲部91の中間点aよりも下流側に配置したので、イオン発生面の投影面積はS1>S2となり、ダクト通路9a内への突出量δ2を小さくすることができる。その結果、空調風の通気抵抗が減少し、流速が増加して、さらにイオン発生量が増加する。
【0019】
−第3の実施の形態−
図4を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。
の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、イオン発生装置20を付設するダクト9の形状である。以下、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0020】
図4は、第3の実施の形態に係わるダクト9の拡大図である。図4に示すように、ダクト9は空調風の上流側から下流側にかけて通路面積を徐々に減少させる絞り部92を有している。絞り部92では、ダクト内壁面の周方向一部が流れの上流側に向けて傾斜して形成され、この傾斜部の周方向反対側壁面は平坦(流れに対して平行)に形成されている。イオン発生装置20は、絞り部92の平坦側壁面に付設されている。イオン発生面は、空調風の流れに対し平行に配置されている。すなわち、第1の実施の形態のように電極表面の下流側端部をダクト通路9a内に突出させてはいない。
【0021】
イオン発生面で発生した作動音は、図示点線矢印で示すように絞り部92のダクト内壁面に反射し、空調風の上流側に向かう。これにより吹出口からの作動音の漏れを低減することができる。また、絞り部92では流路面積が減少するので流速が増加する。これにより単位時間当たりより多くの空気がイオン発生面に接触し、イオンの発生量を一層増加させることができる。
【0022】
このように第3の実施の形態によれば、イオン発生装置20のイオン発生面をダクト9の絞り部92に設けたので、イオン発生装置20の作動音は絞り部92の壁面に反射してベント吹出口とは逆方向に伝播し、吹出口からの漏れを低減することができる。また、イオン発生面に接触する空気の流速が速いので、イオン発生量をより増加させることができる。イオン発生面を空調風の流れに対して平行に配置するので、通路9a内の空気抵抗が減少する。その結果、空調風の流速が増加し、イオン発生量をますます増加させることができる。ダクト壁面の周方向一部を空調風の上流側に向けて傾斜させて絞り部92を形成し、その周方向反対側の平坦面にイオン発生装置20を付設するので、イオン発生装置20の取り付けが容易である。
【0023】
なお、上記実施の形態では、イオン発生装置20をベント吹出口に通じるダクト9に配置したが、他の箇所に配置してもよい。イオン発生装置20は、マイナスイオンのみを発生するのでなく、マイナスイオンとプラスイオンを発生するものであってもよい。
【0024】
第2の実施の形態では、イオン発生面を屈曲部91に配置するようにしたが、ダクト9の所定断面に速度分布がある場合に、その所定断面上で流速が速い箇所に配置するのであれば屈曲部92以外に配置してもよい。第3の実施の形態では、絞り部92の周方向一部を平坦面にしたが、絞り部92の全周を傾斜面としてもよい。絞り部92により通路面積を減少させた後、通路面積を元に戻してもよい。オートエアコンスイッチに連動してイオン発生装置20を作動させるのではなく、専用のオンオフスイッチにより作動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるイオン発生装置付き車両用空調装置の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施の形態に係わるイオン発生装置付き車両用空調装置のダクトの拡大図。
【図3】第2の実施の形態に係わるイオン発生装置付き車両用空調装置のダクトの拡大図。
【図4】第3の実施の形態に係わるイオン発生装置付き車両用空調装置のダクトの拡大図。
【符号の説明】
9 空調ダクト 20 イオン発生装置
21 電極 91 屈曲部
92 絞り部 100 空調ユニット

Claims (1)

  1. 空調風を生成する空調ユニットと、
    前記空調ユニットで生成された空調風を吹出口に導く空調ダクトと、
    前記空調ダクトの内壁面に沿って配設された電極の表面であるイオン発生面からイオンを発生させるとともに、前記イオン発生面から併せて作動音が発生するイオン発生装置とを備え、
    前記イオン発生面は、空調風流れ方向上流側に向けて配置され、前記空調ダクトは屈曲形状をなし、前記イオン発生面はその屈曲部の外径側に配置されることを特徴とするイオン発生装置付き車両用空調装置。
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