JP4122823B2 - マスクパターン補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィ工程で用いられるマスクのパターンを補正する方法に関し、特に、マスクに孔を形成したときの応力解放によるパターン歪みを高速で計算し、補正できるマスクパターン補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスがますます微細化され、光によるパターニングが困難になりつつある。そこで、X線、電子線、イオンビーム等によるリソグラフィ技術が提案され、研究開発されてきている。これらの新しい手法の中には、従来の光リソグラフィで使用してきたマスク構造とは異なるステンシル様のマスク(ステンシルマスク)を用いるものがある。
【0003】
ステンシルマスクは、リソグラフィ用のビームを透過しない薄膜のプレート(メンブレン)に、ビームが通過するための孔が設けられたものであり、孔は所望のパターン形状で形成される。ステンシルマスクにおいては、孔を通過するビームが孔の側壁で反射して、パターン精度が損なわれたりするのを防止する目的で、非常に薄いメンブレンが用いられる。また、メンブレンを厚くすると、エッチングにより孔を高精度で加工するのが困難となる。このことからも、微細パターン形成用のステンシルマスクでは、非常に薄いメンブレンが用いられる。
【0004】
ステンシルマスクの作製工程において、パターン形成前すなわち孔の形成前のメンブレンは、その結晶成長時に生じた初期応力や、応力調整のためになされるドーピングによる変化や、マスク構造に起因する応力等の内部応力が残留した状態で平衡している。なお、この内部応力はメンブレンの重力によるたわみを抑制するために必要なものである。
【0005】
ここに、ステンシル様のパターンを形成すると、孔部分の内部応力が解放されるため、そのパターン自身が歪むとともに、他のパターンにも歪みが生じる。特に、メンブレンが薄いステンシルマスクの場合、材質によっては歪みが大きく、孔の形成によるパターンの歪みを無視できない。
【0006】
ステンシルマスクはパターン形状の孔を有するため、パターン形状やメンブレンの材質、厚さ等の条件によっては、パターンの形成が不可能となる。例えばドーナツ状のパターンは、中央部が支持されないため、形成できない。また、長い片持ち梁構造等は局所的に応力が集中するため、パターンの歪みが大きくなったり、メンブレンの破損が起こりやすくなったりする。このようなパターンの形成は困難であり、メンブレンの材質や厚さ等によっては、パターンの形成が実質的に不可能となる。
【0007】
このような制約から、ステンシルマスクを用いるリソグラフィでは、相補マスクあるいはコンプリメンタリマスクと呼ばれる複数のマスクを用いる方式(相補分割)が採用される。この方式によれば、所望のパターンを複数のマスクに分割して形成し、それぞれのマスクでウェーハ上に露光を行うことにより、所望のパターンを相補的に転写する。
【0008】
孔での内部応力の解放によるパターン歪みは、パターン形状やメンブレン上でのパターン位置等に応じて変化する。したがって、相補マスクのそれぞれで独立に歪みが発生し、デバイスを構成する1つのレイヤーを形成するための相補マスク間で、パターンの繋ぎ合わせを正確に行うことができなくなる。また、歪みがパターンに依存して変化することから、レイヤー内での繋ぎ合わせ精度だけでなく、レイヤー間の重ね合わせ精度も不足する。
【0009】
このような問題を解決する方法として、歪みをあらかじめ計算しておき、この計算結果を用いて補正されたパターンをマスクに形成する方法が考えられる。例えば、図7(a)の点線を目的のパターンとすると、孔での内部応力の解放により、実際のステンシルマスク上のパターンは図7(a)の実線で示すように歪む。
【0010】
図7(b)の点線は、図7(a)の点線で示すパターンに対し、歪みの分の補正が加えられたパターンを示す。この補正量は歪みの計算に基づいて決定する。図7(b)の点線のパターンでステンシルマスクに孔を形成すると、図7(b)の実線で示すように、目的のパターン(図7(a)の点線のパターン)となる。
【0011】
パターンの歪みの計算は、有限要素法で行われる。有限要素法は、物体を細分化することにより、複雑な形状の物体においても応力等の計算を可能とするものである。変形に伴う変位等を有限要素法により解析した例としては、特開平10−320452号公報記載の線状体の解析方法が挙げられる。この公報記載の発明では、有限要素法をワイヤ・ロープ等の線状体の解析に適用しており、解析の対象がステンシルマスクと全く異なる。この公報に記載された方法は、ステンシルマスクに適用できない。
【0012】
有限要素法をステンシルマスクの解析に適用する場合、メンブレンをメッシュと呼ばれる要素に分割して、各要素で応力やひずみ等の解析を行う。この解析には弾性マトリクスが用いられる。要素が細かいほど解析の精度は高くなるが、計算時間も長くなる。そこで、通常の有限要素法では、形状の変化が少ない部分では要素を粗くして、応力が集中するコーナー部や切り欠き部分では要素を細かくして計算が行われる。
【0013】
図8および図9に一例を示す。図8はステンシルマスクに形成されるパターンの例であり、斜線部分がメンブレン101を示す。メンブレン101に所定のパターンで孔102が形成される。図9は、図8のメンブレン101を通常の有限要素法により要素に分割した例である。図9の太枠は図8の孔102に対応する。図9に示すように、要素の粗さはメンブレン内で一様とならない。
【0014】
しかしながら、パターンの図形数が極端に多いLSI用のステンシルマスクでは、図9に示すように要素を部分的に粗くしても、計算時間の長さが問題となる。これを解決する方法として、図10に示すように、ステンシルマスクを均等に要素に分割する方法も考えられる。図10の太枠は、図9と同様に図8の孔102に対応する。この方法では、各要素内にあるパターンの開口面積率(パターン面積密度)を、要素の厚さに反映させる。
【0015】
図9に示すような要素を用いる通常の有限要素法によれば、孔102に要素はなく、メンブレン101上の要素全ては均一の厚さで計算が行われる。それに対し、図10に示す計算方法では、パターン面積密度の大きい要素ほど薄いとみなす。例えば、図10の要素I〜IIIを比較すると、要素Iのパターン面積密度が最大であり、44%である。このパターン面積密度に応じて要素Iの厚さを本来のメンブレン厚の56%とみなす。より具体的な手順としては、要素の厚さに対して、要素内に開口すべきパターン以外の部分の面積率を掛けることにより求める。すなわち、要素内に開口パターンが無い場合は、その要素は本来のメンブレンの厚さであり、要素全体を開口する場合は、その要素の厚さは0になる。
【0016】
要素IIのパターン面積密度は要素Iのパターン面積密度より小さく、7%であり、要素IIIのパターン面積密度より大きい。このパターン面積密度に応じて要素IIの厚さを本来のメンブレン厚の93%とみなす。同様に、要素IIIの厚さを本来のメンブレン厚の99%とみなす。このように、平面要素を体積に反映させ、近似的に有限要素法による計算を行うと、パターン歪みの計算速度を高くすることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように均等に要素分割する方法(図10参照)では、例えば、各図形のアスペクト比が小さい、あるいは要素内の図形の分布が一様である等のように、各要素それぞれが、その要素全体の弾性に大きい異方性を持たない状態であることと、パターンが要素に対して充分小さいことを前提としている。この方法は、パターン自身の形状変化は無視できるが、多数のパターンのそれぞれにおける形状変化が累積すると、パターンに無視できない変位が発生するような場合に適している。
【0018】
LSIのパターンは非常に小さいため、上記のような前提で通常は問題がない。例えば、コンタクト層用マスクは、同じ形状の微細な矩形のみでパターンが構成されるため、上記の前提が成立する。したがって、均等に要素分割し、要素のパターン面積密度を要素の厚さに反映させる近似的な有限要素法により、ほぼ正確にパターンの歪みを計算できる。
【0019】
しかしながら、例えば配線層用マスクの場合、マスク面をx-y平面とすると、設計の都合上、x軸方向のラインが極端に多いマスクや、y軸方向のラインが極端に多いマスクも作製される。このように要素内のパターンが強い方向性を持つ場合、パターンが一様であることを前提とする計算方法では、誤差が大きくなる。その結果、パターンの歪みを正確に補正することが出来なくなり、相補分割パターンの繋ぎ合わせ精度や、配線層間での位置合わせ精度等が不足する。
【0020】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、孔部分での内部応力の解放に起因するパターン歪みを高速で正確に計算して補正できるマスクパターン補正方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクパターン補正方法は、荷電粒子線を遮断する実質的に均一な所定厚の薄膜と、前記薄膜に形成された荷電粒子線を透過させる孔とを有するマスクにおいて、前記孔の形成による前記薄膜の応力解放で前記孔のパターンが歪むのを補正するためのマスクパターン補正方法であって、前記薄膜を複数の要素に均等に分割する工程と、パターン面積密度が大きい要素ほど前記所定厚より薄いとみなし、各要素のパターン面積密度から各要素の仮想厚を設定する工程と、要素内のパターン形状が互いに異なるときの複数の擬似弾性マトリクスを、予め用意する工程と、要素内のパターン形状の特徴を示す指標値として、要素内のパターンを構成する図形の第1の方向に延びる辺の長さの合計と、前記図形の第1の方向と直交する第2の方向に延びる辺の長さの合計との比、前記要素内のパターンを構成する図形が第1の方向に延びる第1の直線に投影される長さと、要素が前記第1の直線に投影される長さとの比である第1の比と、前記図形が第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2の直線に投影される長さと、要素が前記第2の直線に投影される長さとの比である第2の比との比である第3の比、及び、前記要素の面積と要素内のパターン面積の合計との比のいずれか、あるいは複数または全部を設定する工程と、孔を含みかつ前記所定厚の各要素の弾性マトリクスを、孔を含まずかつ前記仮想厚の各要素の擬似弾性マトリクスに近似して求める工程であって、前記指標値に基づき、前記弾性マトリクスの近似に用いる前記擬似弾性マトリクスを選択して用いる工程と、有限要素法により、応力と歪みの関係を示す値である前記弾性マトリクスから歪み後のパターンを計算する工程と、歪み後のパターンと目的のパターンとの差分を計算し、差分に応じてパターンを補正する工程とを有することを特徴とする。
【0022】
好適には、前記弾性マトリクスを求める工程は、孔を含みかつ各要素が前記仮想厚を有する前記薄膜の等価モデルを作成する工程と、有限要素法により前記等価モデルを解析し、前記弾性マトリクスを計算する工程とを含む。
【0023】
これにより、パターンあるいはパターンとの相対的な位置等に応じて要素の粗さを変化させる通常の有限要素法に比較して、高速でパターン歪みを計算することが可能となる。また、有限要素法で近似的にパターン歪みを行う際に、パターンの特徴(方向性等)を考慮しているため、要素内のパターンの形状が一様でなくても、パターン歪みを正確に計算できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマスクパターン補正方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は本実施形態のマスクパターン補正方法の概略を示すフローチャートである。図1のフローは、マスクのパターンデータに対し、図10を参照して説明した近似的な有限要素法により歪みの計算を行うものである。図1の各ステップは図2を参照して説明する。
【0025】
本実施形態のマスクパターン補正方法によれば、各要素でのパターン歪みの計算において、図1のフローに、パターンの特徴(方向性や分布等)を考慮するための手順を追加する。要素内のパターンの特徴が考慮された補正方法のフローチャートを図2に示す。
【0026】
図2に示すように、ステップ1(ST1)ではマスクを均等に要素(メッシュ)に分割する。ステップ2(ST2)では、パターン面積密度(開口面積率)から各要素の仮想の厚さを設定する。このとき、パターン面積密度が大きい要素ほど薄いと仮定する。
【0027】
ステップ3(ST3)では、要素内パターンの特徴を代表する値ψを、各要素で算出する。ステップ4(ST4)では、予め用意されたψを参照して、各要素の弾性マトリクスを近似的に求める。ステップ5(ST5)では、ステップ4で求められた弾性マトリクスを用いて、歪み後のパターンを計算する。ステップ6(ST6)では、目的のパターンと歪み後のパターンとの差分を計算する。
【0028】
ステップ7(ST7)で、差分が充分に小さいか判定し、差分が充分に小さければ、補正を加えずにパターンデータを出力する。差分が充分に小さくなければ、ステップ8(ST8)で差分に応じた補正をパターンに加える。ステップ8で補正されたパターンについては、再度、ステップ1以降が実施され、パターン歪みが計算される。
【0029】
ステップ4で参照するψは、典型的パターン群から得られる。ステップ4−1(ST4−1)で典型的パターン群でψを算出する。ステップ4−2(ST4−2)で典型的パターン群についての詳細な解析または実験を行う。ステップ4−3(ST4−3)で擬似弾性マトリクスを算出する。典型的パターン群について得られた擬似弾性マトリクスは、例えばテーブルや関数で表される。
【0030】
以上の図2のフローは、実行時期の異なる二つのフローより構成されている。右側のステップ1、2、5〜8は、図1に相当する補正作業を実施するフローである。図2の右側のフローでは、図1のフローに対して、要素内のパターンの特徴を代表する数値ψを計算する作業(ステップ3)と、得られたψからその要素の擬似弾性マトリクス[D]を設定する作業(ステップ4)が追加されている。
【0031】
弾性マトリクスは、有限要素法での計算の際に用いられるものであり、応力と歪みとの関係を示す値である。ステンシルマスクのように平面問題を取り扱う場合、弾性マトリクスは3×3の行列である。パターンに異方性の歪みが生じないような等方性の材質であれば、弾性マトリクスは次式(1)で表される。
【0032】
【数1】
【0033】
式(1)でEはヤング率、νはポアソン比と呼ばれ、これらは要素の材質によって決まる値である。なお、式(1)の行列はマックスウェルの相反定理により対称行列であり、6つの数値で表現できるものである。
ここでは、各要素に包含されたパターンによる影響を含めて、その要素の擬似的な弾性として表現する。この擬似的弾性は異方性を示すため、式(1)では表現できず、より一般的な次式(2)で表現される。本実施形態では、これを擬似弾性マトリクスと呼ぶ。
【0034】
【数2】
【0035】
各要素の擬似弾性マトリクスの値は、その内部に含まれるパターンにより決定できるが、要素形状とパターンの情報に応じた正確な解析が必要である。しかしながら、これには膨大な時間を要する。そこで、要素毎に要素内のパターン形状から、その形状の特徴を示す値ψを計算する。
【0036】
この値ψに最も適切な擬似弾性マトリクスを決定する仕組みを準備しておく。歪み計算の段階では、この仕組みを用いてそれぞれの弾性マトリクスを設定し、歪みの計算を実行するようにする。これにより、配線層パターンのように強い方向性のあるパターンであっても、より正確な歪みの計算ができる。
【0037】
1.パターンの特徴から擬似弾性マトリクスを得る手順
本発明のマスクパターン補正方法では、要素内パターンの形状の特徴を示す値ψから、最適な擬似弾性マトリクスを求める仕組みが必要である。この仕組みは、図2の左側に示した手順である。この手順は、歪み計算とは別に事前に実行しておき、ψから剛性マトリクスを求めることができる仕組みを準備するためのものである。以下に、この手順を説明する。
【0038】
LSIのステンシルマスクについて典型的なパターンを準備し、それらについて実験あるいは詳細な有限要素解析による計算により、2方向の引っ張りおよび剪断の3種類の荷重を解析する。ここでの有限要素解析は、処理の高速化のためにパターン面積密度を要素の厚さに反映させた近似的な有限要素法ではなく、各要素の厚さを均一とする通常の有限要素法とし、要素を細かくして詳細な計算を行う。実験あるいは有限要素解析により得られた3種類の荷重を解析することで、全体の総合的な弾性マトリクスが得られる。これを擬似弾性マトリクスとする。
【0039】
このときのパターンのψの値と、求められた擬似弾性マトリクスとを関連付けておく。多くのパターン事例を実験あるいは計算することで、ψと擬似弾性マトリクスの組み合わせを多数準備しておけば、より正確に歪みの計算を行うことが可能となる。
【0040】
ψから擬似弾性マトリクスを得る第1の手段によれば、多くのψと擬似弾性マトリクスの組み合わせの実例を集めたら、ψの順に並べたテーブルを準備する。歪み計算の際、各要素のψを計算したら、これに最も近いψの値を持つ擬似弾性マトリクスを選択する。
【0041】
ψから擬似弾性マトリクスを得る第2の手段によれば、多くのψと擬似弾性マトリクスの組み合わせの実例を集めたら、ψの順に並べたテーブルを準備する。歪み計算の際、各要素のψを計算し、これに一致するψがあればその擬似弾性マトリクスを採用する。一致するψがなければ、要素のψの値の周囲のψの値を持つ複数の擬似弾性マトリクスからの補間で目的のψの擬似弾性マトリクスを得る。
【0042】
ψから擬似弾性マトリクスを得る第3の手段によれば、擬似弾性マトリクスを構成する6つの値それぞれを、次式(3)に示すようなψの多項式として与える。式(3)でそれぞれの係数a11、b11、c11、・・・a33、b33、c33を先に求めた実例より、最小自乗法等で求めておく。歪み計算の際は、ψより直接的に式(3)で擬似弾性マトリクスを計算する。
【0043】
【数3】
【0044】
2.要素内パターンの特徴を代表するψの具体例
本発明では、要素内のパターンの特徴を代表する数値ψを用いる。この値ψはパターンの特徴、特にx方向とy方向のパターンの特徴の方向性を示すことが可能なものであれば、特に限定されない。例としては、以下の(A)〜(C)のいずれか、あるいは複数または全部を用いることができる。
【0045】
(A)ψとして、要素内図形の周囲長のx軸方向成分の合計値とy軸方向成分の合計値との比を求める。例えば、図3に示すように、要素1内に複数の図形2が配置されているとする。図形2は孔部分に対応し、パターンを構成する。図3で斜線部が要素1、斜線部以外が図形2を示す。
【0046】
図4は、図3の図形部分のみ拡大して示したものである。図4に示すように、各図形のx軸方向の辺の長さをA〜Lとし、各図形のy軸方向の辺の長さをa〜lとする。この場合、ψは次式(4)で表される。ψは要素内のパターン全体のアスペクト比と考えることができる。
【0047】
【数4】
【0048】
(B)ψとして、要素内図形がx軸に投影される長さに基づいて決定される比であるψxと、要素内図形がy軸に投影される長さに基づいて決定される比であるψyとの比(ψx/ψy)を求める。図3に示す要素を例として説明する。図5に示すように、要素1がx軸に投影される部分(射影FX)の長さをLfxとする。要素内図形2の少なくとも一つが投影される部分(射影PX)の長さをLpxとする。
【0049】
また、要素1がy軸に投影される部分(射影FY)の長さをLfyとする。要素内図形2の少なくとも一つが投影される部分(射影PY1〜PY4)の長さをLpy1〜Lpy4とする。ここでは、要素1の射影の長さと図形2の射影の長さとの比をψxおよびψyとする。したがって、ψxとψyは次式(5a)、(5b)で表される。これらからψが求められる。
【0050】
【数5】
【0051】
(C)ψとして、要素内図形の合計面積と、要素面積との比を求める。これは、既に要素の厚さに反映させている面積密度に相当する。したがって、このψを単独で用いると、前述したようにパターンの異方性の歪みを効果的に補正できないが、上記の(A)または(B)等の他のψと組み合わせることにより、他のψのアスペクト比等が要素全体に与える影響の度合いを調整できる。
【0052】
上記の本実施形態のマスクパターン補正方法によれば、パターンに方向性があり、異方性の歪みが生じるようなステンシルマスクに対しても、高速で正確なパターン補正を行うことが可能となる。したがって、相補マスクを用いてリソグラフィを行う場合、同一レイヤー内でのパターンの繋ぎ合わせ精度が向上する。また、デバイスを構成する異なるレイヤー間でのパターンの重ね合わせ精度も向上する。
【0053】
(実施形態2)
図6は本実施形態のマスクパターン補正方法の概略を示すフローチャートである。図2のフローチャートで表される実施形態1の補正方法によれば、予め別に実施した解析結果を保存しておき、対象要素とパターン的特徴の指標ψが近い解析結果から、対象要素の弾性マトリクスが求められる。
【0054】
それに対し本実施形態のマスクパターン補正方法は、基本的流れは実施形態1と共通するが、ステップ3(ST3)およびステップ4(ST4)で、ψを求めて既存の情報から弾性マトリクスを求めるかわりに、要素および要素内図形から等価モデルを作成し、その擬似弾性マトリクスを各要素で計算するものである。
【0055】
各要素の等価モデルを得る手段としては、要素のパターンイメージをビットマップで表現し、このビットマップから等価モデルを作成する方法が挙げられる。このビットマップの解像度を変化させることにより、処理速度と解析精度との均衡を調整できる。等価モデルが得られたら、実施形態1の「1.パターンの特徴から擬似弾性マトリクスを得る手順」で言及した、3種類の荷重を用いる解析により、擬似弾性マトリクスの計算を行う。
【0056】
ビットマップは2値とグレイスケールのいずれでもよい。2値のビットマップを用いた場合、ビットマップの各ビットのON/OFFを、それぞれステンシルマスクの材料が充填されている要素と、剛性がゼロの要素としてモデルを作成する。
【0057】
グレイスケール表現のビットマップを用いた場合、各ビットの値を材料の剛性に対応させたモデルを作成する。本実施形態のマスクパターン補正方法によっても、パターン形状の特徴を考慮して、高速で各要素のパターン歪みを計算することが可能となる。
【0058】
本発明のマスクパターン補正方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、実施形態1のステップ4−3で擬似弾性マトリクスを算出する際、計算結果と実験結果の両方を併用して擬似弾性マトリクスを算出してもよい。また、本発明のマスクパターン補正方法は、電子線転写型リソグラフィやイオンビームリソグラフィ等のリソグラフィに用いられるステンシルマスクだけでなく、イオン注入等、リソグラフィ以外のプロセスに用いられるステンシルマスクにも適用できる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0059】
【発明の効果】
本発明のマスクパターン補正方法によれば、孔部分での応力解放によるパターン歪みを高速で正確に補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係るマスクパターン補正方法の概略を示すフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の実施形態1に係るマスクパターン補正方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施形態1に係るマスクパターン補正方法を説明するための図であり、要素およびパターンの例を示す。
【図4】図4は、図3のパターンを示す図である。
【図5】図5は、図3のパターンからパターンの特徴を代表する値を求める方法を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態2に係るマスクパターン補正方法を示すフローチャートである。
【図7】図7(a)は、孔の形成によりステンシルマスクのパターンが歪む様子を示す図であり、図7(b)は、パターンの補正により目的のパターンが得られる様子を示す図である。
【図8】図8は、マスクパターンの例を示す図である。
【図9】図9は、図8のパターンを通常の有限要素法により要素に分割した例を示す。
【図10】図10は、図8のパターンを均等に要素に分割した例を示す。
【符号の説明】
1…要素、2…図形、101…メンブレン、102…孔。
Claims (6)
- 荷電粒子線を遮断する実質的に均一な所定厚の薄膜と、前記薄膜に形成された荷電粒子線を透過させる孔とを有するマスクにおいて、前記孔の形成による前記薄膜の応力解放で前記孔のパターンが歪むのを補正するためのマスクパターン補正方法であって、
前記薄膜を複数の要素に均等に分割する工程と、
パターン面積密度が大きい要素ほど前記所定厚より薄いとみなし、各要素のパターン面積密度から各要素の仮想厚を設定する工程と、
要素内のパターン形状が互いに異なるときの複数の擬似弾性マトリクスを、予め用意する工程と、
要素内のパターン形状の特徴を示す指標値として、要素内のパターンを構成する図形の第1の方向に延びる辺の長さの合計と、前記図形の第1の方向と直交する第2の方向に延びる辺の長さの合計との比、前記要素内のパターンを構成する図形が第1の方向に延びる第1の直線に投影される長さと、要素が前記第1の直線に投影される長さとの比である第1の比と、前記図形が第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2の直線に投影される長さと、要素が前記第2の直線に投影される長さとの比である第2の比との比である第3の比、及び、前記要素の面積と要素内のパターン面積の合計との比のいずれか、あるいは複数または全部を設定する工程と、
孔を含みかつ前記所定厚の各要素の弾性マトリクスを、孔を含まずかつ前記仮想厚の各要素の擬似弾性マトリクスに近似して求める工程であって、前記指標値に基づき、前記弾性マトリクスの近似に用いる前記擬似弾性マトリクスを選択して用いる工程と、
有限要素法により、応力と歪みの関係を示す値である前記弾性マトリクスから歪み後のパターンを計算する工程と、
歪み後のパターンと目的のパターンとの差分を計算し、差分に応じてパターンを補正する工程とを有する
マスクパターン補正方法。 - 複数の擬似弾性マトリクスを予め用意する工程は、実験により擬似弾性マトリクスを求める工程を含む
請求項1記載のマスクパターン補正方法。 - 複数の擬似弾性マトリクスを予め用意する工程は、孔を含みかつ前記所定厚の要素の弾性マトリクスを、前記仮想厚を用いる近似を行わずに、有限要素法により計算する工程を含む
請求項1記載のマスクパターン補正方法。 - 前記弾性マトリクスを前記擬似弾性マトリクスに近似して求める工程において、前記指標値が最も近い擬似弾性マトリクスに近似する
請求項1記載のマスクパターン補正方法。 - 前記弾性マトリクスを前記擬似弾性マトリクスに近似して求める工程において、前記指標値が最も近い擬似弾性マトリクスと、該擬似弾性マトリクスと前記指標値が近い少なくとも一つの擬似弾性マトリクスとの補間により、前記弾性マトリクスを近似する
請求項1記載のマスクパターン補正方法。 - 前記弾性マトリクスを求める工程は、孔を含みかつ各要素が前記仮想厚を有する前記薄膜の等価モデルを作成する工程と、
有限要素法により前記等価モデルを解析し、前記弾性マトリクスを計算する工程とを含む
請求項1記載のマスクパターン補正方法。
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