JP4121802B2 - 即席食品用湯切り蓋材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば即席焼きそばなどのように、注湯後に湯切りして喫食される即席食品のパッケージに使用される即席食品用湯切り蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、即席食品用湯切り蓋材としては、一縁部に片寄った領域に湯切り孔を形成した基材と、この基材上を覆う表面材とを積層すると共に、基材の湯切り孔上を覆う表面材の一縁部である第1領域を表面材のその他の部分である第2領域と切り離して剥離可能としたものが知られている(実公昭57−55175号公報)。
【0003】
上記従来の即席食品用湯切り蓋材は、基材側の周縁部を容器の開口部周縁にヒートシールして取り付けられ、湯切り孔形成側とは反対側から蓋材の一部を剥離して容器内に注湯した後、基材の湯切り孔上を覆う表面材の第1領域を第2領域から切り離すと共に基材から剥離することで、湯切り孔を露出させて容器内の湯を注ぎ出すことができるものとなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の即席食品用湯切り蓋材における基材と表面材間の剥離は、両者間の接着強度を剥離剤の塗布などによって引き剥がし可能に調整しておくことによる界面剥離によって行われるものとなっている。
【0005】
しかしながら、上記界面剥離は、接着強度を好都合な状態に調整しにくい問題がある。例えば接着強度が強すぎる場合、表面材の剥離作業が行いにくくなったり、表面材の剥がし残りを生じて、表面材を剥離しても完全に湯切り孔が露出されないことを生じる。また、接着強度が弱すぎると、輸送や保管途中での不用意な表面材の剥離を生じ、商品価値が失われやすくなる。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、表面材と基材間の適度な接着強度が確実に得られ、不用意な剥離を生じることなく、必要なときに表面材を剥離して湯切り孔を確実に露出させることができる即席食品用湯切り蓋材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、一縁部に片寄った領域に湯切り孔が形成された基材と、この基材上を覆う表面材とが積層されていると共に、基材の湯切り孔上を覆う表面材の一縁部である第1領域を表面材のその他の部分である第2領域と切り離して剥離可能な即席食品用湯切り蓋材において、表面材の第2領域は、全面接着部により基材と全面接着されている一方、表面材の第1領域は、全面接着部との間に湯切り孔を囲み込むライン状接着部により基材と部分接着されていることを特徴とする即席食品用湯切り蓋材を提供するものである。
【0008】
また、上記本発明は、表面材が、一軸延伸フィルムの単層又は積層材料であり、全面接着部の湯切り孔側の端縁の方向に延伸方向を合わせて基材に層されていること、
表面材が、全面接着部の湯切り孔側の端縁の端部にノッチを有すること、
表面材と基材の接着が、表面材と基材の対向面の少なくとも一方の全面に設けられた接着層を介して行われており、しかも全面接着部とライン状接着部以外の範囲の接着層上に非接着性材料が介在されていること、
表面材と基材の接着が、表面材と基材の対向面の少なくとも一方の全面に設けられた接着層を介して行われており、しかも全面接着部とライン状接着部以外の範囲の表面材又は基材が、エンボス加工により、対向する基材又は表面材から離間されていること、
をその好ましい態様として含むものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、図1〜図4に基づいて本発明の一例を説明する。
【0010】
図1は本発明の第1の例に係る湯切り蓋材を有する即席食品パッケージの平面図、図2は図1におけるA−A断面図、図3は図1におけるB−B断面図、図4は図1に示される即席食品パッケージにおいて、表面材の第1領域を剥離した状態の平面図である。
【0011】
図1〜図3に示されるように、本例の湯切り蓋材1は、基材2と表面材3を積層したもので、基材2側の周縁部を容器4の開口部周縁にヒートシールすることで、即席食品(図示されていない)が入った容器4内を密封している。
【0012】
湯切り蓋材1の一縁部は容器4よりも外方に延出しており、湯切り蓋材1を容器4から引き剥がすための開封用タブ5を構成している。また、開封用タブ5とは反対側の縁部に片寄った領域に湯切り孔6が形成されている。この湯切り孔6は、基材2のみを貫通しており、基材2上に積層された表面材3によって覆われている。
【0013】
表面材3は、上記基材2の湯切り孔6上を覆う一縁部である第1領域3aと、その他の領域である第2領域3bとからなり、両者間には、例えばミシン目、断続的なスリットなどの切り離しライン7が形成されている。また、この切り離しライン7に隣接する第1領域3aの縁部が外方に延出して剥離用タブ8を形成している。本例の湯切り蓋材1は、この剥離用タブ8を持って引っ張ることにより、基材2の湯切り孔6上を覆う表面材3の第1領域3aを第2領域3bから切り離しライン7に沿って切り離しつつ基材2から剥離し、基材2に設けられた湯切り孔6を露出させることができるようになっている。
【0014】
表面材3の第2領域3bは、全面接着部9bによって基材2に全面接着されている一方、表面材3の第1領域3aは、全面接着部9bとの間に湯切り孔6を囲み込むライン状接着部9aによって基材2に部分的に接着されたものとなっている。即ち、本発明の湯切り蓋材1は、上記ライン状接着部9a及び全面接着部9b以外の範囲においては、表面材3と基材1は接着されておらず、湯切り孔6はこの接着されていない領域に位置していることから、第1領域3aをライン状接着部9aから引き剥がしつつ前記切り離しライン7を介して分離すれば、図4に示されるように、剥がし残りによる湯切り孔6の閉塞を生じさせることなく、確実に湯切り孔6を露出させることができる。また、上記ライン状接着部9aは、全面接着部9bとの間に湯切り孔6を囲み込んで設けられていることから、第1領域3aを剥離する前は湯切り孔6を密封することができ、しかもライン状であることから、その幅を調整することにより、不用意な剥離を防止できる接着強度と剥離性とを同時に満たす適度な接着強度を得ることができる。
【0015】
ところで、基材2と表面材3の積層は、通常、両者の対向面のいずれか一方の全面又は両方の全面にヒートシール性樹脂などの接着層(図示されていない)を設けておき、加熱圧着などによって行われる。この場合、ライン状接着部9aと全面接着部9b以外の範囲の接着層上に非接着性材料を介在させておくことにより、基材2と表面材3の積層後、ライン状接着部9aと全面接着部9b以外の範囲を非接着状態とすることができる。この非接着材料としては、例えば離型剤を用いることができ、特にシリコンを添加した硝化綿系樹脂を好ましく用いることができる。また、この非接着材料の付設は、例えばグラビア、オフセット、フレキソ印刷などの印刷手法によって行えば、精度よく行うことができる。
【0016】
本例におけるライン状接着部9aは、湯切り孔6の外側に、第1領域3aの縁部に沿って円弧状に設けられ、その両端がそれぞれ切り離しライン7部分で全面接着部9bに連なったものとなっている。このようにすると、剥離用タブ8を摘んで切り離しライン7に沿って第1領域3aを切り離すと同時に、ライン状接着部9aを末端部から引き剥がすことができ、第1領域3aの剥離が容易となるので好ましい。また、切り離しライン7の剥離用タブ8側端部には、切り離しラインに沿った切断をしやすくするために、ノッチ(図示されていない)を設けておくことが好ましい。
【0017】
本例においては、表面材3の第1領域3aに、切り離しライン7との間に湯切り孔6を挟みかつ切り離しライン7と平行に、補助切り離しライン10が設けられている。特に補助切り離しライン10を、ライン状接着部9aを横切る位置に設けておくと、第1領域3aを引き剥がすライン状接着部9aの長さを短くすることができ、第1領域3aの剥離が行いやすくなる。この補助切り離しライン10も、切り離しライン7と同様に、ミシン目や断続的なスリットとして設けることができる。また、上記と同様の理由から、補助切り離しライン10の剥離用タブ8側端部にもノッチ(図示されていない)を設けておくことが好ましい。
【0018】
本発明に用いる基材2と表面材3は、それぞれ単層材料でも積層材料でもよいが、特に表面材3として、一軸延伸された直線カット性のあるフィルムの単層材料又はその積層材料を用いることが好ましい。即ち、一軸延伸フィルムは、その延伸方向に直線カット性を有することから、単層材料の場合はその延伸方向に直線的に切断しやすく、積層材料においては、介在される一軸延伸フィルムの直線カット性により切断方向が案内されることにより、延伸方向に直線的に切断しやすくすることができる。このため、上記一軸延伸フィルムの単層又は積層材料の表面材3を、全面接着部3bの湯切り孔6側の端縁の方向にその延伸方向を合わせて基材2に積層しておくと、切り離しライン7を設けることなく、第1領域3aの剥離時に応力が集中しやすい、全面接着部3bの湯切り孔6側の端縁に沿って第1領域を第2領域から容易に切断して切り離すことができる。
【0019】
一軸延伸フィルムの単層又は積層材料の表面材3とする場合、一定位置から切断を開始しやすくするために、全面接着部3bの湯切り孔6側の端縁の端部、特に本例においては剥離用タブ8側の端部にノッチ(図示されていない)を設けておくことが好ましい。また、一軸延伸フィルムの単層又は積層材料の表面材3とする場合、前記補助切り離しライン10の剥離用タブ8側の端部に相当する位置にノッチ(図示されていない)を設けるだけで、前記補助切り離しライン10を設ける代わりとすることができる。
【0020】
基材2と表面材3は、遮光性を持たせるために、少なくともいずれか一方にアルミニウムなどの金属層を有することが好ましい。特に表面材3に金属層を設けると、湯切り孔6を形成することによる透光部の発生を防止することができる。
【0021】
次に、図5に基づいて本発明の他の例について説明する。
【0022】
図5は本発明の第2の例に係る湯切り蓋材を有する即席食品パッケージの断面図である。尚、図5において、図1〜図4と同じ符号は同じ部材又は部位を示す。
【0023】
本例における表面材3は、ライン状接着部9a及び全面接着部9b位外の範囲が上方に凸状にエンボス加工されており、基材2と離間されている点を除いて、上述した第1の例と同様である。
【0024】
本例のように、ライン状接着部9a及び全面接着部9b位外の範囲をエンボス加工によって基材2から離間させておくと、基材2と表面材3の対向面のいずれか一方の全面又は両方の全面にヒートシール性樹脂などの接着層(図示されていない)を設けて加熱圧着などで両者の積層を行う場合において、前述した非接着性材料の付設を行うことなく、ライン状接着部9aと全面接着部9b以外の範囲を非接着状態とすることができる。
【0025】
本例においては、上記表面材3と基材2を部分的に離間させるためのエンボス加工を表面材3に施してあるが、同様のエンボス加工を基材2に施したり、基材2と表面材の両者に施すこともできる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりのものであり、次の効果を奏するものである。
【0027】
(1)湯切り孔を覆っている表面材の第1領域の剥離は、ライン状接着部を剥離することで行われるので、このライン状接着部の幅を調整することで適度な接着強度を得ることができ、適当な剥離性と不用意な剥離防止とを図りやすい。
【0028】
(2)湯切り孔が形成された領域の基材とその上を覆う表面材の第1領域は非接着状態であるので、湯切り孔を覆っている表面材の第1領域の剥離時に剥がし残りを生じることがなく、上記第1の領域の剥離により確実に湯切り孔を露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の例に係る湯切り蓋材を有する即席食品パッケージの平面図である。
【図2】図1におけるA−A概略断面図である。
【図3】図1におけるB−B概略断面図である。
【図4】図1に示される即席食品パッケージにおいて、表面材の第1領域を剥離した状態の平面図である。
【図5】本発明の第2の例に係る湯切り蓋材を有する即席食品パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1 湯切り蓋材
2 基材
3 表面材
3a 第1領域
3b 第2領域
4 容器
5 開封用タブ
6 湯切り孔
7 切り離しライン
8 剥離用タブ
9a ライン状接着部
9b 全面接着部
10 補助切り離しライン
Claims (5)
- 一縁部に片寄った領域に湯切り孔が形成された基材と、この基材上を覆う表面材とが積層されていると共に、基材の湯切り孔上を覆う表面材の一縁部である第1領域を表面材のその他の部分である第2領域と切り離して剥離可能な即席食品用湯切り蓋材において、
表面材の第2領域は、全面接着部により基材と全面接着されている一方、表面材の第1領域は、全面接着部との間に湯切り孔を囲み込むライン状接着部により基材と部分接着されていることを特徴とする即席食品用湯切り蓋材。 - 表面材が、一軸延伸フィルムの単層又は積層材料であり、全面接着部の湯切り孔側の端縁の方向に延伸方向を合わせて基材に層されていることを特徴とする請求項1に記載の即席食品用湯切り蓋材。
- 表面材が、全面接着部の湯切り孔側の端縁の端部にノッチを有することを特徴とする請求項2に記載の即席食品用湯切り蓋材。
- 表面材と基材の接着が、表面材と基材の対向面の少なくとも一方の全面に設けられた接着層を介して行われており、しかも全面接着部とライン状接着部以外の範囲の接着層上に非接着性材料が介在されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の即席食品用湯切り蓋材。
- 表面材と基材の接着が、表面材と基材の対向面の少なくとも一方の全面に設けられた接着層を介して行われており、しかも全面接着部とライン状接着部以外の範囲の表面材又は基材が、エンボス加工により、対向する基材又は表面材から離間されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の即席食品用湯切り蓋材。
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