JP4121163B2 - 射出成形方法および装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形方法及び装置に関し、特に比較的薄肉の製品の射出成形に際し、該成形品の形状の安定化を図ることのできる射出成形方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より射出成形には周知のごとくその各種分野において種々の方式が採用されている。そして、例えば射出成形において生じるランナ損を削減したり、生産性を上げたりするために、ランナレス(ホットランナ)方式の成形用金型が広く採用されている。
このホットランナ方式の金型には各種のものがあり、その中に、ニードルピンをゲートに対して進退させ、機械的にゲートを開閉することのできるバルブゲート方式がある。
【0003】
このバルブゲート方式は、ゲート糸引き等のゲート部の故障防止やゲート径を大きくできるため、金型内への樹脂の流入をスムーズにする効果があるほか、機械的にゲートを閉塞するため、成形サイクルを短縮することができる。通常、バルブゲート方式におけるゲートの開閉制御は、金型内にエアシリンダや油圧シリンダを組み込み、成形工程にタイミングを合わせてこれらのアクチュエータを制御している。このタイミングの合わせ方としては、一般的に型締信号でバルブを開き、同時にタイマーをスタートさせ、タイマーが予め定めておいた時間経過を示した時にゲートを閉じるという方法が採用されている。
【0004】
また他の例では、射出成形装置の型締完了信号でゲートを開き、保圧完了信号でゲートを閉じている。また、別のバルブゲートの制御方式として、特公昭63−49605号、特公昭53−4319号、特開昭50−158654号等の公報に開示されているように、射出成形材料(樹脂)にかかる射出圧によりゲートを開閉する方式のバルブゲートも知られており、これらの方式では、いずれも樹脂圧力とバランスするばね等の付勢力によってニードルピンを駆動する方法がとられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バルブゲート方式の金型は、他の方式の金型に比較し、成形のショット毎のバラツキが大きいという欠点があった。そのバラツキの原因の一つに、成形工程中のバルブの閉じるタイミングの変動がある。
通常、バルブが閉じるタイミングは、成形工程のある時点からタイマーをスタートさせ、タイマーが計測した時間経過が予め定められた時間となった時にバルブを閉じるようにしている。この方式は成形の各ショット(サイクル)毎に、金型の設計及び設定通りに常に一定した成形条件が保障されるならば、経時間的には正確なためバラツキは生じないはずであるが、現実には一定の成形条件とはならないのが通例であり、バラツキが生じてしまう。したがって、特に、高い成形精度が要求される成形品においては、歩留りが非常に悪い等の問題があった。
【0006】
一方、前記各公報に開示された方式においては、射出成形材料(樹脂)にかかる射出圧により開閉する方式のバルブゲートであり、樹脂圧力とバランスするばね等の付勢力によってニードルピンを駆動するものである。しかし、このような付勢力を付与するバネはノズルユニットに組み込まれているため、その付勢力を増減する調節は事実上不可能であり、結局のところ同一の付勢力を有するバネが組み込まれた、同一の樹脂圧力でニードルピンが閉塞作動するバルブゲートということになる。したがって、金型及びその周辺機器はその使用初期とある程度使用した状態では諸条件が異なったり、特に例えば磁気ディスクカートリッジのプラスチックチャッタ等ごとく樹脂圧力調整により成形品の微妙な形状調整(例えば樹脂圧による反り形状等の形状調整)を行う成形や、樹脂圧力の影響が出やすい肉厚の薄い成形品の場合には、その微調整がほとんど出来ないため、所望の品質の成形品が得られないのが現状であった。
【0007】
さらにまた、成形品を1回のショットで複数個同時に成形するときには、従来のゲートの閉塞方法では各射出成形空間(以下、単に「キャビティ」ともいう)相互のバランス、特に成形品の反り等の形状調整に関するキャビティ間のバランス取りができないため、キャビティ間の成形品の品質にバラツキを生じ、歩留まりが悪いという致命的欠点を有していた。
【0008】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであって、プラスチックシャッタのような薄肉製品の射出成形においても、バルブゲート方式を採用することでランナレスの高精度な成形品を得、且つ多数個取りの場合でも同様にキャビティ間の差の少ない成形品を得る成形方法及び装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、射出成形空間に面したゲート先端領域を機械的に開閉するバルブゲートを具備した射出成形用金型を用い、該金型から取り出す薄肉の樹脂成形品の反り量を調整する射出成形方法において、前記射出成形空間へ溶融樹脂を充填した後の保圧工程中に、前記射出成形空間内の溶融樹脂圧力を測定し、前記薄肉の樹脂成形品に生じる反り量と前記射出成形空間内の溶融樹脂圧力との関係を予め求めたグラフから、前記樹脂成形品が所望の反り量となる溶融樹脂圧力を求め、これを設定樹脂圧力とし、前記保圧工程開始後に前記測定する溶融樹脂圧力が前記設定樹脂圧力に達したときに前記バルブゲートを閉じることを特徴とする射出成形方法により達成することができる。
また本発明の上記目的は、上記射出成形方法において、前記射出成形用金型が複数の射出成形空間を有しており、前記複数の射出成形空間毎に前記設定樹脂圧力を独立して決定することを特徴とする射出成形方法によっても達成できる。
本発明の上記目的は、射出成形空間に面したゲート先端領域を機械的に開閉するバルブゲートを具備した射出成形用金型を用い、該金型から取り出す薄肉の樹脂成形品の反り量を調整する射出成形方法において、前記薄肉の樹脂成形品に対する保圧時間と樹脂成形品に生じる反り量との関係を、射出成形機の最高射出圧力に対する保圧力の比に応じて予め求めたグラフに基づき、前記樹脂成形品が所望の反り量となる設定保圧時間を前記保圧力の比に対応させて求め、前記射出成形空間へ溶融樹脂を充填した後の保圧工程で、該保圧工程開始からの時間が前記設定保圧時間に達したときに前記バルブゲートを閉じることを特徴とする射出成形方法によっても達成することができる。また本発明の上記目的は、上記射出成形方法において、前記射出成形用金型が複数の射出成形空間を有しており、前記複数の射出成形空間の各々に具備する前記バルブゲートを閉じるタイミングを互いに独立して制御することを特徴とする射出成形方法によっても達成できる。なお、前記各バルブゲートを閉じるタイミングの範囲は、保圧開始後、0.2秒からゲートシールに至るまでの間とされる。プラスチックシャッタの成形の場合には保圧時の樹脂圧力を成形機の最高射出圧力の5%〜20%の範囲とされる。この場合射出成形に使用される樹脂がポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンのうち少なくとも一種から選ばれた樹脂を用いるのが好ましい。
【0010】
【実施態様】
以下、本発明を図面を参照して説明する。
バルブゲートを用いる場合の一般的な射出成形装置の射出成形プロセスは、順に(1)型締め工程、(2)ゲートを開く工程、(3)射出成形空間へ溶融樹脂を射出充填する工程、(4)保圧工程、(5)ゲートを閉じる工程、(6)射出成形空間内の溶融樹脂を冷却する工程(なお、射出成形空間内の溶融樹脂の冷却は実際には(3)の射出充填工程から始まっているので、この工程(6)での冷却工程は(5)のゲートを閉じる工程の後の冷却工程を意味するものとする。)、(7)型開き工程、および(8)射出成形空間内の樹脂成形品の取り出し工程、を1ショット(または1サイクル)とするものであり、この1ショットを何回も繰り返すことにより、所望の数の射出成形品を得ることができる。
【0011】
図1乃至図6は本発明に係る一実施態様を示す図である。なお、本実施態様はフロッピィーディスク部品であるプラスチックシャッタ(以下、シャッタと略称)を例として、その射出成形に関して説明する。
図1は射出成形プロセスにおける保圧工程での保圧力及び保圧時間と成形品であるシャッタの反りの関係を示したグラフであり、図2は成形品として取り出されたシャッタの反りを説明する斜視図である。図3は本実施態様の成形装置の概要図である。
【0012】
先ず、図3に示した装置の概要図について説明する。
金型1は固定側金型1Bと可動側金型1Aとセンターコア1bおよび該コア1bの両側に位置する一対のスライドコア1aによりキャビティ3が形成されている。金型1は可動金型1Aが移動(矢印Xにおける左方向へ移動)することにより、固定側金型1Bとパーティングライン1c(太線)から別れるように構成されている。このときスライドコア1aはそれぞれ上下方向に開き、また突き出しピン8がセンターコア1bから突出して、成形されたシャッタ20(図2を参照)を金型から適宜突き出すように構成されている。
【0013】
図3は、金型が型締めされた状態を示しており、射出シリンダ2において加熱溶融された樹脂がバルブゲートのノズルユニット13を通してキャビティー3内へ射出充填された状態が示されている。このとき、ノズルユニット13内で樹脂が固化しない様に、ノズルユニット全体がヒーター4で加熱されている。このような図3に示した状態に至るプロセスの一例を示せば、以下の通りである。
先ず、可動側金型1Aを矢印Xの右方向に移動して型締めする。この型締めが完了すると、ノズルユニット13のニードルピン6を後退させてゲート7を開き、直ちに射出シリンダー2を前進させて溶融樹脂をキャビティー3内へ射出充填する。
【0014】
かくして射出成形空間(キャビティー)内に溶融樹脂が充填されたのち、射出シリンダー2の充填圧力を所定の値をもって所定の時間に亘り維持する保圧工程が施される。この保圧工程において、キャビティー内の溶融樹脂の圧力が測定される。この圧力の測定は、図3に示す様に突き出しピン8のキャビティー側とは反対側の端部に設置した圧力検知器9により測定するのがキャビティー内の溶融樹脂の正確な圧力値を示すので最も好ましい。
【0015】
かくして検出された圧力の測定値が予め定められた値になった時、ノズルユニット13のニードルピンを前進させてゲートが閉じられる。より具体的には、圧力検知器9としてのロードセルによりキャビティー内の溶融樹脂の圧力を電気信号として検出し、この電気信号をアンプ10で増幅してから、ゲート開閉制御装置11内の比較回路11bに入力する。この比較回路11bでは、入力された電気信号と予め設定された圧力値に相当する電気信号とが比較され、両者の値が等しくなるとゲート開閉指示装置11aへ信号を出力し、この信号を受けたゲート開閉指示装置11aは電磁弁12を作動させて、エアー源14からのエアー供給と排気とを切り換えてエアシリンダー5を作動させ、もってニードルピン6を前進させてゲート7が閉じられる。なお、このゲートを閉じる時期はゲート7での溶融樹脂が固化するよりも早くされるのは言うまでもない。
この様にしてゲート7を閉じた後、前述の冷却工程(6)および型開き工程(7)を経て、突き出しピン8を突き出し、成形品が取り出される。
【0016】
このような一連の動作により図2に示すようなシャッタ20が成形される。前記シャッタ20は天面部21と該天面部21に対してほぼ直角に同方向へ張り出した表裏面部22、23とからなる断面略コ字状で、窓部24を具備した構成である。そして、前記シャッタ20の肉厚Tはほぼ0.35mmであり、前記天面部21の幅W1は3.60mm、前記表裏面部間の間隔W2は前記天面部の幅に対して0mmを目標にし、反り寸法tはプラス0.35mm〜マイナス0.20mmの範囲、さらに望ましくはプラス0.20mm〜マイナス0.10mmの範囲の構成である。
前記間隔W2の設定は前記天面部21と前記表裏面部22、23との角度θにより決定されるが、この角度θも射出成形時の保圧工程の制御により調節することができる。
【0017】
この装置により、ゲート7を閉じるキャビティー内の溶融樹脂の圧力値を具体的に設定する方法は、例えば次のようである。
先ず、ゲート7を閉塞する圧力値を適当な値に設定して射出成形を行い、得られたシャッタの反りを測定する。この手順を、上記圧力値を変えて繰り返し、反りと圧力値との関係のグラフを得る。このグラフに基づいて、所望の反りの範囲内となる様に、ゲート7を閉塞する圧力値を決定し、比較回路に入力する。
前述のごとく、キャビティー内の溶融樹脂の圧力は金型内の樹脂の状態を直接反映するが、上記のように、その樹脂の圧力をキャビティ内にて直接検出して前記ゲート7を閉じるタイミングを制御することにより、成形装置の射出バラツキ等に影響されずに均一な成形品を得ることができる。さらにまた、射出成形を何ショットも繰り返すことにより金型が劣化し、成形精度に狂いが発生してきても、その兆候が現われて来たときに上記と同様の手段で調整することが可能である。
【0018】
この様に、保圧時のキャビティー内の溶融樹脂の圧力をモニターし、その値に基づいてゲートを閉塞する時期を制御する方法を採用すると、多数個取りの射出成形用金型を用いて射出成形を行う場合、極めて有利である。例えば、1つの射出シリンダーに対して8個のキャビティーを有する金型を使用して射出成形を行う場合、各キャビティーに前述のノズルユニットを1個ずつ設置し、また各キャビティー毎にその中の溶融樹脂の圧力をモニターするセンサーを一つずつ設置しておけば、個々のキャビティー毎に最適の成形品が得られる圧力値をそれぞれ独立に決定、制御することができ、この決定値に基づいて、各々のキャビティーに設置されたゲートの閉塞時期をコントロールすることができる。従って、8個のキャビティーの製作精度が互いに微妙に異なっていても、各々のキャビティーに合った射出成形条件が設定でき、8個のキャビティーの全てから互いに品質の等しい射出成形品を得ることができる。従来、このような場合には8個のキャビティーを感に頼って少しずつ修正加工して、同一品質の射出成形品が得られるまで、この修正加工を繰り返し、あるいは最初から金型を全面的に作りなおすことが避けられなかったが、本発明によれば、このような金型の修正加工、作り直しは省略することができるか、又は少なくとも簡略化することができる。
【0019】
上記の態様はキャビティー内の溶融樹脂圧力をモニターし、その値によってゲートを閉塞する時期を決定するものであるが、保圧開始からの時間に応じてバルブゲートを閉じるタイミングを制御する方法によっても、本発明の目的が達成される。ここで、本発明における「保圧開始」とは射出シリンダーによりキャビティーへ溶融樹脂を射出、充填する際の成形機の射出制御が、射出シリンダー内のスクリューの位置および速度に基づく制御から射出シリンダー内の溶融樹脂の圧力および時間経過に基づく制御に切り替わる時点を意味する。
一般に、保圧工程において加えられる射出シリンダーによる溶融樹脂圧力(保圧力)は成形品の形状に依存して多少の変動はあるが、おおよそ成形機の最高射出力の5%〜20%の範囲から選択される。このような保圧力の範囲において、シャッタの反りの量と保圧時間との関係の一例を示したのが図1のグラフである。図1から、保圧力が決定されれば、保圧時間によって反りの量が定まることが分かる。図1のグラフは、ある特定のキャビティーに関するグラフであり、キャビティーが変わってしまえば、反りの量と保圧時間との関係の絶対値は変わるが、グラフの曲線そのものは同じ傾向となる。
上記の事実は、製作された金型のキャビティーの1つ1つに対して、図1のグラフを作成すれば、保圧時間によってシャッタの反りの量をコントロールできることを意味している。従って、保圧開始からの時間に応じてバルブゲートを閉じるタイミングを制御すれは、常に一定の反りの量を有するシャッタが得られる。
【0020】
ところで、多数個取りの射出成形用金型を用いて射出成形を行う場合、保圧力を一定にしても、各キャビティーでの溶融樹脂圧力は互いに相違することが避けられない。これは射出シリンダーでの圧力が各キャビティーへ到達するまでに圧力損失を受けるという事実と各キャビティーの製作寸法が厳格に同一にすることができないという事実とに基づくものである。従って、多数個取りの射出成形用金型を用いて射出成形を行う場合に、保圧力(即ち、射出シリンダーによる溶融樹脂に対する圧力)に基づいて、各キャビティーのゲートを閉じる時期を全て一定に定めても、キャビティー毎に反りの量の異なるシャッタしか得られない。しかし、保圧力が定まれば各キャビティー内の溶融樹脂圧力は常に一義的に定まる(但し、各キャビティー間の溶融樹脂圧力の値は、互いに異なる。)ので、保圧力に基づいて保圧時間を各キャビティ毎に設定すれば、全てのキャビティーから同じ反りの量を有するシャッタが得られる。図4は、上記の様な保圧開始からの時間に応じてバルブゲートを閉じるタイミングを制御する方法による、多数個取りの射出成形用金型を用いた射出成形装置の概略図であり、図3と同じ番号のものは、図3と同じものを示す。
【0021】
ゲート開閉制御装置41は、前記電磁弁12の動作を制御し、前記金型1内の前記各エアシリンダ5を駆動してそれぞれの前記ゲート7の開閉タイミングの制御を行う。前記ゲート開閉制御装置41には、前記エアシリンダ5が前記ニードルピン6をゲート開方向に駆動するタイミングを制御する1個のゲート開制御タイマー41aと、前記エアシリンダ5が前記ニードルピン6をゲート閉方向に駆動するタイミングを制御する個々のエアシリンダに対応した8個のゲート閉制御タイマー41bが装備されている。
【0022】
前記ゲート開制御タイマー41aは、成形装置の型締完了信号30によってスタートするよう設定されている。前記ゲート開制御タイマー41aの出力は8個の前記電磁弁12に同時に出力され、8個の前記ゲート7が同時に開く。8個の前記ゲート閉制御タイマー41bは成形機の射出/保圧切換え信号(即ち、保圧開始信号)40によって同時にスタートし、成形装置の保圧工程中にタイミング信号を出力するよう設定する。個々の前記ゲート閉制御タイマー41bの出力は対応する前記各電磁弁12に出力されて、これに対応する前記ゲート7が閉じる。
【0023】
本態様の成形装置による射出成形においては、成形の際の樹脂の圧力と射出後の圧力をかけた時間が成形品の反りに密接に関係することをふまえて、この保圧時間を各キャビティー毎に設定し、これによって、各キャビティー毎の前記ゲート7を閉じるタイミングを各々独立に定めることにより、前記キャビティ3の特有の成形品の反りを一定にすることができる。なお、上記の例においては8個のゲート閉塞制御タイマーを使用しているが、1個のタイマーを使い、このタイマーが示す時間経過に基づいて、各ゲートを閉塞するタイミングを個々独立に制御することも可能である。
【0024】
以下、前記多数個取りの成形方法を図4に示す装置を用いて実施した一例について述べる。ここでは、具体的に成形して前記シャッタ20の反りを設定するために、各8個の前記キャビティ3のバランスの取り方を以下の手順で行った。使用した樹脂はポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンの三種類にて行った。
(1)試し成形したシャッタの反りを測定する。
(2)測定した反りデータを図1のグラフを用いて、各キャビティの適正なゲート閉じタイミングを読み取る。図1は保圧力及び保圧時間とシャッタの反り(寸法t)との関係を示したグラフである。
(3)読み取った各キャビティ3のゲート閉じタイミングをゲート閉制御タイマー11bに設定し、確認成形を行う。
【0025】
以上のごとく、成形工程中の前記各ゲート7を閉じるタイミングは各ゲート毎に個別に制御されるが、各ゲートを閉じるタイミングの範囲として本実験ではキャビティへの樹脂充填完了からゲートシールまでの間とする。実際、シャッタ成形の際のゲートシールは充填完了から約0.7秒後であり、この時間が保圧時間の調節範囲の上限時間となり、図1における縦線C2である。そして、シャッタとして実用的であるか否かの判断基準から、反り量の上限はプラス0.35mmで図1において横線B2であり、反り量の下限はマイナス0.2mmで図1における横線B1である。更に、保圧の最短時間に関しては、保圧力として最大値で成形機の最高射出圧力の20%のときの曲線と前記横線B1との交差した位置の縦線C1で時間0.2秒とした。この4線にて囲まれた範囲(線の内側を斜線にて示す)が制御範囲である。
【0026】
図5には前記シャッタ20の8個取りの金型において、保圧力が成形機の最高射出圧力の13%の条件で、前記各ゲート7の閉じタイミングを0.5secにしたときの反り量を示す。図を見ると、キャビティN0.3以外はプラス寄りの反り傾向を示した。
図6には、本発明の方法により前記各ゲート7の閉じ時間を調整(反りを零にするような調整)をしたときの結果である。この結果、最小時間が0.32秒から最大時間0.60秒の間の調整であった。図6からわかるように、本発明の方法によれば、各キャビティごとのバラ付きを容易に調節することができる。
【0027】
このように、前記シャッタ20を成形するときに、前記各ゲート7毎のバルブを閉じる制御を、該各ゲート7に対応したタイマーによって行う場合、或は前記圧力検知器9の信号に基づいて行う場合のいずれにおいても、前記各ゲート7を閉じるタイミングの範囲は、保圧開始後0.2秒からゲートシール(ゲートが開状態であってもゲート部分の樹脂が冷却により固化して、該ゲート部分における実質的な樹脂の出入りが出来なくなる状態をいうもので、約0.7秒程度であった)に至るまでの間である。又、成形機の最高射出圧力が約3000kgf/cm2 程度のときに、保圧時の樹脂圧力を射出時の樹脂圧力の5%〜20%(約140kgf/cm2 〜600kgf/cm2 )の範囲とすることにより安定した成形が可能である。
【0028】
なお、保圧力は時間の経過とともに滑らかな曲線になるようにする場合と、時間の経過に伴って段階的に変化させる制御方法とがあり、ここで云う保圧力の大きさは最終的なものであって前記ゲート7を閉じる時点のものである。又、保圧時間と反り量の関係は、シャッタの厚みが薄くなるほど保圧時間に対して反りの変化率が大きくなり、保圧力の大きさが大きくなるほど保圧時間に対して反りの変化率が大きくなるものである。
又、ここで使用した樹脂はポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンの単独のものや適宜混合したものでである。そして、これらの樹脂のメルトフローインデックス(MI)〔ASTMD1238(ISO1133)規格〕の範囲は40〜65が望ましい。
【0029】
又、図2に示した前記シャッタ20射出成形方法、前記射出成形空間より取り出される製品形状が天面部と、該天面部に対してほぼ直角に同方向へ張り出した表裏面部とからなる断面略コ字状であり、該製品形状における前記表裏面部の先端間の間隔を、前記天面部の幅に対してプラス0.35mm〜マイナス0.20mmの範囲とするように制御する。
前記キャビティ3の形状は図2に示すシャッタのごとき形状としてその肉厚T(0.3〜0.4mm)とし、前記ゲート7からキャビティ内の最終充填位置までの距離Lを最大で68mmまで変化させたとき、このときのL/Tの値は170以下の範囲において上記とほぼ同様な結果が得られた。
なお、図3に示す前記成形装置において、ニードルピンの駆動手段はエアシリンダ、油圧シリンダ、カム機構あるいはその他の機械的手段が使用できる。
また、上記実施態様においては、樹脂圧力を検出する部材の一部に突き出しピンを利用したが、本発明においてはこれに限らず、他の圧力検出用に手段を適宜配置する構成であってもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は成形工程における保圧工程中のキャビティー内の溶融樹脂圧力を測定して、その測定値が予め定められた値になった時、又は保圧工程の開始からの時間に応じて、バルブゲートを閉じるものである。そして、本発明によれば、バルブゲートを閉じる為のキャビティー内の溶融樹脂圧力の設定値、または保圧工程の開始からの時間の設定を変えることにより、成形品の形状、例えば薄肉の成形品の反りの量、を微妙に調整することができ、金型製造時のバラツキや金型の使用時間による変化があっても、常に一定の形状の成型品を得ることができる。また、成型品多数個取りの金型にあっては、金型の製作精度の影響あるいはその他の理由でキャビティー間に誤差があっても、各キャビティーから得られる成型品が所望の形状となるように前記の樹脂圧力の設定値または保圧工程の開始からの時間の設定を各キャビティー毎に独立に設定することにより、キャビティー間差のない同一品質の成型品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様における保圧力及び保圧時間と成形品の反りとの関係を示すグラフである。
【図2】本発明を適用するシャッタの斜視図である。
【図3】本発明の一実施態様の成形装置の概略図である。
【図4】本発明の別の実施態様の成形装置の概略図である。
【図5】ゲートの閉タイミング調整前の各キャビティーの成形品の反り量を示すグラフである。
【図6】本発明によるゲート閉タイミング調整後の各キャビティーの成形品の反り量を示すグラフである。
【符号の説明】
1 金型
2 射出シリンダ
3 キャビティ
4 ヒーター
5 エアシリンダ
6 ニードルピン
7 ゲート
8 突出しピン
9 圧力検知器
10 圧力監視比較装置
11 ゲート開閉制御装置(圧力検出)
11a ゲート開閉指示装置
11b 比較回路
12 電磁弁
13 ノズルユニット
41 ゲート開閉制御装置(タイマー)
41a ゲート開タイマー
41b ゲート閉タイマー
Claims (4)
- 射出成形空間に面したゲート先端領域を機械的に開閉するバルブゲートを具備した射出成形用金型を用い、該金型から取り出す薄肉の樹脂成形品の反り量を調整する射出成形方法において、
前記射出成形空間へ溶融樹脂を充填した後の保圧工程中に、前記射出成形空間内の溶融樹脂圧力を測定し、
前記薄肉の樹脂成形品に生じる反り量と前記射出成形空間内の溶融樹脂圧力との関係を予め求めたグラフから、前記樹脂成形品が所望の反り量となる溶融樹脂圧力を求め、これを設定樹脂圧力とし、
前記保圧工程開始後に前記測定する溶融樹脂圧力が前記設定樹脂圧力に達したときに前記バルブゲートを閉じることを特徴とする射出成形方法。 - 前記射出成形用金型が複数の射出成形空間を有しており、前記複数の射出成形空間毎に前記設定樹脂圧力を独立して決定することを特徴とする請求項1記載の射出成形方法。
- 射出成形空間に面したゲート先端領域を機械的に開閉するバルブゲートを具備した射出成形用金型を用い、該金型から取り出す薄肉の樹脂成形品の反り量を調整する射出成形方法において、
前記薄肉の樹脂成形品に対する保圧時間と樹脂成形品に生じる反り量との関係を、射出成形機の最高射出圧力に対する保圧力の比に応じて予め求めたグラフに基づき、前記樹脂成形品が所望の反り量となる設定保圧時間を前記保圧力の比に対応させて求め、
前記射出成形空間へ溶融樹脂を充填した後の保圧工程で、該保圧工程開始からの時間が前記設定保圧時間に達したときに前記バルブゲートを閉じることを特徴とする射出成形方法。 - 前記射出成形用金型が複数の射出成形空間を有しており、前記複数の射出成形空間の各々に具備する前記バルブゲートを閉じるタイミングを互いに独立して制御することを特徴とする請求項3記載の射出成形方法。
Priority Applications (1)
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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