JP4120973B2 - 移動する表面の温度を測定する装置及び方法 - Google Patents
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Description
本発明は、移動する表面の温度を測定する装置及び方法に関する。本発明は、特に、鋳造中のアルミニウムインゴットなど金属スラブの移動表面の温度を測定する装置及び方法に関する。
背景技術
アルミニウムインゴットの直接冷硬(DC)鋳造中に、インゴット表面の温度は、インゴットがモールドから下方に下がる際にインゴットの凝固した表面上に冷却水を散水する(2次冷却という。)ことにより制御される。この冷却を適切に制御するには、種々の鋳造の問題やインゴットの欠陥を防止することが必要とされる。過度のまたは不十分な冷却は、端部での過度のカールなどのインゴットの欠陥を発生させる原因となり、その結果、長方形断面形状を有するインゴットにおける短辺上のひどいブリーディングや、熱間圧延の前に余分なスキャルピングを必要とする冷間折り曲げ(cold folding)や、過度の熱的・機械的な応力によるクラッキングが生じる。
この問題は、上記DC鋳造工程の初期段階で特に顕著で、米国特許第3、441、079号に開示された「パルス散水」や、米国特許第4、693、298号に開示されたガス注入など、2次冷却の冷却効果を加減するための種々の技術が知られている。しかしながら、これらの技術は、一般的に、予め決められた冷却方法を与えるために前以ってプログラミングされており、冷却効果を加減するためにインゴットの状態をフィードバックするものではない。したがって、冷却水の性質やモールド冷却特性などの変化に応答することができない。
連続キャスターから鋳造中のストリップ上の温度測定、ホットミルから出てくるスラブ上の温度測定、あるいは押し出しプレスから生産された成形物上の温度測定を行う種々の分野においても、同様の問題が生じている。これらの工程が特に急冷を伴う場合、温度は短い距離で急激に変化する。
ドイツ特許DE1、941、816号(VAWに譲渡)は、冷却水供給を制御するために温度を直接フィードバックする手段として、インゴット表面に接触する温度測定センサの利用を提案している。この装置及び方法はまた、押し出しなどの分野でも利用できると説明されている。センサは、ホイール装置に取付けられており、この装置は、インゴットが下方に下がる間にインゴットに沿って種々の位置でセンサと表面の間で繰り返し接触が行われるように構成されている。装置は、冷却水の流れを制御して熱流入変化及び冷却水の性質の変化を相殺するために用いられることが開示されている。このような温度測定センサは、インゴット表面と接触する際に特定の場所での表面温度として解釈される熱起電力(emf)を発生させる、一対の異なる金属接触部からなる。しかしながら、これは、本測定技術が各場所で一様に表面接触する(これは全ての場合に得られることではない。)ことを当てにしていること、及び温度測定の有効性を確認する直接的な手段がないことを意味する。鋳造されたインゴットに沿って温度が急激に変わる状況(例えば鋳造の開始時)では、上記先行技術を利用して表面温度を適切に制御することができない。
さらに、ホイールの大きさにより、装置は、温度測定が行える位置に関して制限を受け(例えば、温度測定が最も重要なモールド表面の近くでは、ホイール付き装置を作動するための空間がほとんどない。)、装置はまた、隣接する温度測定場所同士の間隔に関して制限を受ける。
したがって、特に、例えば冷却水が表面に散水される位置など温度が大きく変化する場所において、移動するスラブ、インゴット、ストリップなどの表面温度を測定するための、高信頼性で迅速な手段が必要とされている。
発明の開示
本発明の目的は、移動する表面の温度の測定の信頼性を向上させることである。
本発明の別の目的は、素早く正確な温度測定が行える、移動する表面の温度を測定する装置及び方法を提供することである。
本発明の別の目的は、信用できない温度表示を避けることのできる上記タイプの装置及び方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、少なくとも好適な形態において、利用できる空間がほとんどない場所でも使用できる、移動する表面の温度を高い信頼性で測定する装置を提供することである。
本発明の一実施形態は、金属スラブの移動する表面の温度を測定し、これにより上記表面上のある場所での実際の温度に対応した測定温度を表示する装置を提供する。この装置は、
スラブ表面と非接触にある第1の位置と、上記表面と上記場所で接触する第2の位置との間で移動するように設けられ、上記表面と接触する場合に、検出した温度に対応する出力値を発生する第1の温度測定センサと、
上記センサを上記第1及び第2の位置の間で移動する駆動機構と、
上記第1のセンサに近接して設けられ、スラブの上記表面と非接触にある第1の位置と、上記表面と上記場所で接触する第2の位置との間で移動し、上記表面と接触する場合に、検出した温度に対応する出力値を発生する少なくとも1つの別の温度測定センサと、
上記少なくとも1つの別のセンサを該センサの上記第1及び第2の位置の間で移動する駆動機構と、
上記第1及び少なくとも1つの別の測定センサの上記出力値同士を比較し、上記第1及び少なくとも1つの別のセンサによる上記場所での検出温度同士の差が、予め決められた量以下であるかどうかを決定するとともに、
上記検出温度同士の差が上記予め決められた量以下である場合のみに、1つ又はそれ以上の上記出力値に基づいて、上記場所での上記表面の上記実際の温度を表わす測定温度を表示する比較器とを有する。
第1のセンサ用の駆動装置及び少なくとも1つの別のセンサ用の駆動装置は、これらセンサを移動して上記表面の上記場所に同時に接触させるように同時に作動する。
本発明の別の実施形態は、金属スラブの移動する表面の温度を測定し、該表面上のある場所での実際の温度に対応する測定温度表示を行う装置において、
上記場所において上記表面と接触・非接触するように選択的に移動可能であり、上記表面と接触する場合、検出される温度に対応した出力値を発生する第1の温度測定センサと、
上記第1のセンサに近接し、上記場所において上記表面と接触・非接触するように選択的に移動可能であり、上記表面と接触する場合、検出される温度に対応した出力値を発生する少なくとも1つの別のセンサと、
上記第1及び少なくとも1つの別の測定センサの上記出力値同士を比較し、これら出力値同士の差が予め決められた量以下であるかどうかを比較する比較器と、
上記センサの上記出力値同士の差が上記予め決められた量以下である場合に、上記センサの1つ又はそれ以上の出力値に基づいて、上記場所での上記表面の実際の温度に対応する出力値を発生する測定温度表示器とを有する装置を提供する。
第1及び少なくとも1つの別のセンサは、上記表面と同時に接触するように移動する。
測定される出力表示の決定及び表示は、移動するスラブ上の特定の場所における測定後、あるいはこのような測定を一連にわたって行った後のいずれかにおいて行われる。
好適には、各センサは、表面と非接触にある第1の位置と、表面と接触する第2の位置との間で選択的に移動できるように設けてある。好適には、各センサは、第1と第2の位置との間でセンサを移動するための駆動機構を備える。
第1の温度センサは、互いに接着され且つ1つの保護被覆(一般に金属繊維)に収容された異なる金属ワイヤからなる被覆された熱電対装置であってもよい。しかしながら、好適には、第1の温度センサは、表面と接触すると接触場所での表面温度に対応する起電力を発生する異なる金属からなる2つの点接触プローブである。
少なくとも1つの別の温度センサは、第1の温度センサと同様に、被覆された熱電対装置であってもよいが、接触場所での表面温度に対応する起電力を発生する異なる金属からなる2つの点接触プローブであるのが好適である。
別の温度センサは1つのみ設けるのが好適である。
第1及び1つの別の温度センサは、2つの点接触プローブの1つを共有するのが特に好適である。
最も好適な実施形態において、点接触プローブ同士の間隔は50mm以下、最も好ましくは30mm以下であり、これら点接触プローブは、同一平面内に配置される。
異なる金属としてクロメル及びアルメル合金が好適であるが、測定可能な起電力を発生させる金属同士ならどのようなものを用いてもよい。しかしながら、一般に、好適な合金は、ゼーベック効果により発生する信号、及び合金の堅さ・耐腐食性に基づいて選択される。こうした分野では、ニッケルをベースにした合金が有効で、したがって、タイプK(クロメル−アルメル)、タイプN(ニクロシル−ニシル)、タイプE(クロメル−コンスタンタン)が好適な組み合わせである。
これらの温度センサは、空気式又は電気式駆動機構(ピストン又はソレノイド)により、移動する表面の運動方向に垂直な方向にあるいは垂直線に対し予め決められた角度(垂直線に対し45°以下)で往復移動し、上記移動表面と同時に接触するのが好適である。ある角度で移動させるのは、何かの障害物(DC鋳造用モールドや押し出しダイのエッジなど)により所望の測定場所に近づくのができない場合に有効である。センサを形成する点接触プローブ対が複数ある好適な実施形態では、各点接触プローブ対は、上記空気式又は電気式駆動機構により、移動する表面と接触する。
これら好適な実施形態において、及び特に3つの点接触部を用いて2つの隣接するセンサを形成する場合において、各点接触プローブは、独立したサスペンションを有し、これにより、これら点接触プローブが同時に表面に近づいたり遠ざかったりしても、各点接触プローブの実際の最終位置が、一様でない表面に適応できるようにしてある。これは例えば、共通の電源で駆動する、各点接触プローブ用に独立した空気式シリンダ又は電気式ソレノイドを使用することにより実現でき、あるいはばね荷重や類似の機械的荷重装置を使用することにより実現できる。独立した空気式シリンダの使用は、特に簡単で且つ好適な方法である。
十分な熱的・電気的接触が保証されるために、好適な実施形態の点接触プローブの先端は、測定すべき表面を押し込むのが好ましく、これを実現する目的で、点接触プローブ先端の材料、外形、大きさ、及び先端を表面方向に付勢する荷重が選択されるのが好ましい。十分な熱的・電気的接触は、2次冷却水散水その他の冷却工程において発生するようなかなりの熱的妨害が存在する場合においてさえ、素早く正確な温度応答を可能にする。
本発明の他の実施形態は、移動する金属スラブの表面の温度を測定し、該表面上のある場所での実際の温度に対応する測定温度表示を行う方法を提供する。この方法は、第1の温度測定センサを、上記場所において上記スラブ表面と接触させる工程と、検出される温度に対応した上記センサの出力値を測定する工程と、同時に、少なくとも1つの別の温度測定センサを、上記場所において上記スラブ表面と接触させる工程と、検出される温度に対応した上記少なくとも1つの別のセンサの出力値を測定する工程と、上記第1及び少なくとも1つの別のセンサの上記出力値同士を比較する工程と、上記センサの1つ又はそれ以上の上記出力値に基づいて、測定温度表示を行う工程とを含む。
上記測定出力表示は、上記出力値同士の差が予め決められた量以下である場合のみに行われるか、又は上記出力値の中の最大値と、他の移動するスラブ、移動するスラブ群若しくは同一の移動するスラブの部分に対する、ほとんど同様の条件下での同等の出力との差が、予め決められた量以下である場合のみに行われる。
出力表示は、センサの熱電対連結により生じる起電力から任意の従来技術を用いて発生させる電圧又は電流信号(一般に電圧信号)でもよいし、既知の温度換算係数を用いて温度に相当する出力値にさらに変換してもよい。
好適には、第1及び少なくとも1つの別の温度センサ、及び対応する駆動手段は、1つの支持部材内に設けられる。支持部材は、堅固に固定されてもよいし、軸周りに回転できるようにしてもよい。
上記支持部材が堅固に固定される場合、第1及び少なくとも1つの別の温度センサは、表面と接触したままであるのが好適であり、第1及び少なくとも1つの別の温度測定は、金属スラブが6mm以下の距離、より好適には3mm以下の距離を移動する間に行われる。
上記支持部材が軸周りに回転する場合、センサは、金属スラブがより大きな距離を移動する間、移動する表面と接触状態を保つようにしてもよいが、信頼性を高めるために、対応する駆動手段が、上記接触中表面の運動方向に垂直な線に対し45°以下の方向にセンサを移動するのが好適である。
第1及び少なくとも1つの別の温度センサは、温度応答が0.15秒以内、好適には0.10秒以内であるのが好ましい。ここで、温度応答とは、温度センサと移動する表面とが接触する時点からセンサが測定される最終値の95%以内を読み取るまでに必要な時間を意味する。
第1及び少なくとも1つの別の温度センサを移動するスラブに同時に接触させるのに、上記装置の他の要求を満たすなら別の手段を用いてもよい。センサを他の同等な装置とともに回転ホイールに取り付け、これにより、スラブの移動中に、温度センサの複数のセットを、移動するスラブ表面に接触させその後表面から退避させるようにしてもよい。もし望めば、接触を実現するために種々の梃子アームを採用してもよい。しかしながら、多くの場合、好適な実施形態である「往復」運動を使用する方が簡単で便利である。
移動するスラブは、金属スラブであるが、任意の断面形状・大きさを有するDC鋳造インゴット、連続鋳造スラブ、ストリップキャスターからのストリップ又はロッド、ホットミル又はあら延べミルからのスラブ、押し出しプレスからの任意の形状の押し出し成形品であってもよい(特に、正確な温度測定が必要とされ、これら温度が距離とともに急激に変化する場所(例えば急冷剤を供給する点の近く))。移動するスラブは、好適にはアルミニウム合金のスラブである。
最も好適には、移動する金属スラブは、金属鋳造用モールドから出てくる金属インゴットである。温度を測定し冷却を制御する方法は、長方形断面形状のインゴットに適用するのが最も多く、インゴット温度は、上記インゴットの圧延面の中心点で測定するのが好適である。
以下において、本発明は、添付の図面を参照してさらに詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る点接触プローブの好適な実施形態を用いた、鉛直方向に移動するスラブの垂直断面図を示す。
図2は、本発明に係る3つの点接触プローブアセンブリの好適な実施形態の平面図を示す。
図3は、図1の実施形態の詳細な図であり、DCインゴット鋳造において点接触プローブの一つの好適な位置を示す。
図4は、本発明で用いられる好適な制御・測定システムのブロック図を示す。
図5は、連続ストリップ鋳造の垂直断面図であり、本発明に係る点接触測定プローブの適切な位置を示す。
図6は、水平線に対しある角度で接触するとともに、鉛直方向にさらに移動できる図1の装置を示す。
図7は、DCインゴットの形をとった2つの移動するスラブと、本発明で使用される測定装置の別の実施形態とのブロック図を示す。
図8は、図7の実施形態において温度の決定・有効性確認を行うために用いられる計算シーケンスを示すフローチャートである。
発明を実施するための最良の形態
図1は、矢印2の方向に移動するスラブ1を点線で示す。図のスラブは、アルミニウムインゴットを鋳造するための典型的なDC鋳造用モールド3から出てくるインゴットを表わす。特に示されてはいないが、上記モールドは、鋳造面、内部の冷却水通路、及び水の出口からなり、凝固されたインゴット面に水が散水されるようにしてある(「2次冷却」という。)。スラブ表面は符号4で表わされている。スラブは、押し出しダイから現われるビレットでもよいし、あるいはストリップ鋳造凝固領域から出てくる連続鋳造ストリップでもよい。
鋳造用モールド3の下側には、多数の点接触プローブ空気式アセンブリ(そのうち1つが図1に示されている。)を有する金属ブロック23が取付けてある。各アセンブリは、プラスチック絶縁スリーブ25により外装され且つ第2の環状スチールスリーブ26内に収容された、金属点接触プローブロッド24からなる。これらスリーブは、絶縁テフロンワッシャ27及びねじの切られた保持ナット28、29により、プローブロッド上の所定の位置に保持される。
各環状スリーブは、ピストンガスケット30を表面上に備え、ブロック内に形成した環状孔31、32内を自由に移動できるようにしてある。環状孔は、ピストンガスケットを収容するために拡大セクション32を有する。各接触プローブロッドは、ロックナット34によりインゴット面とは反対側の端部に連結された電気信号用ワイヤ33を有する。
上記3つの空気式アセンブリは、上述したようにアセンブリ内に取付けられた3つの点接触プローブ24a,24b,24cが図示された図2において、さらに詳細に示されている。スチール取付けブロック23の内部には、プローブが移動する環状通路の拡大セクション32a,32b,32cを相互連結するための空気用通路40、41が形成され、これら空気用通路40、41の一端は閉鎖されている。キャビティ内でシリンダを2つの異なる方向に駆動するために、他端部には送気管連結部42、43が設けてある。スラブ表面4に近接する点接触プローブの端部は、該表面との接触がよくなるように鋭利にしてある。鋭利にした点の角度は、繰り返しの使用により発生する先端の摩耗及び平坦化する量が少なくなるように、経験的に選択される。電気接続部33a,33b,33cは、後で詳細に述べる外部回路を用いて応答が測定されるように、接触部との連結が形成される。
点接触プローブ24a,24cは一つの金属から作成され、点接触プローブ24bは異なる金属から作成される。対応する電気接続部も同一の金属から作られる。一般的に、点接触プローブ24a,24cはアルメルから作成され、点接触プローブ24bはクロメルから作成される。しかしながら、熱起電力応答を行う金属ならどのような組み合わせを使用してもよい。
一般的な測定工程中、点接触プローブ24a,24b,24cは、これら点接触プローブの先端が、空気式シリンダが作動して前方に押され表面4に接触するように、同一平面内に配置してある。
動作中、本発明のセンサを形成するこれら点接触プローブは、図2に示すように3つの空気式シリンダが同時に作動することにより、同時に前方に移動してインゴット表面に接触する。各シリンダ32a,32b,32cは、ブロック23内で機械加工されており、送気管42、43により同時に空気が供給されるようにしてある。送気管43に圧力が作用し、送気管42が大気に開放されると、3つの全ての点接触プローブ24a,24b,24cが、ピストン30a,30b,30cによりインゴット表面4に向かって移動する。送気管42に圧力が作用し、送気管43が大気に開放されると、3つの点接触プローブは表面から退避する。空気の流れの方向は、空気供給源(図示しない)に連結した2方向空気式バルブ45により制御される。点接触プローブの先端は、短時間の間インゴット表面と当接し、続いて空気式シリンダにより退避する。表面と接触する間、表面は、鉛直方向に最大で6mm程度(好適には3mm以下)移動してもよい。絶縁スリーブ内の鉛直方向のあそび部分は、点接触プローブが削ったり孔をあけることなく表面と接触するのを可能にするものである。
3つの点接触プローブは、インゴット表面に対し同時に移動するが、別々の空気式シリンダを用いることにより、点接触プローブがインゴット表面の凹凸に適応することが可能になる。例えばばねで付勢された接触用各先端部を備えた1つの作動シリンダを用いることにより、同様の柔軟性を持たせることもできる。
空気式シリンダは、90psigの圧力で作動する。直径が6mmで先端角度が約30°のクロメルあるいはアルメル合金ロッドに対し、インゴット表面との熱的・電気的接触が確実に行われるのに十分な力が作用する。
表面と接触しながら、接触部24a,24b及び24b,24cとの間に生じた起電力が測定される。接触部が表面と接触中に、こうした測定がいくつかなされる(一般に1秒当たり40回の割合)。接触部は、表面と直接電気的な接触を行うので、測定値は、0.15秒以内に最終値で安定する。(2つの点接触プローブ対により形成された)2つのセンサから得た起電力は、点接触プローブに用いられる金属に対する既知の応答に基づいて、同等な検出温度に変換される。点接触プローブ同士の間隔は一般に30mm以下であり、その結果、点接触プローブ間にあるアルミニウム表面は、測定に影響を及ぼさない。このように、クロメルとアルメル金属が使用される場合、発生起電力は、「タイプK」の熱電対において見出される典型的な起電力である。同時に検出した2つの起電力は、電圧あるいは同等の温度に変換された後比較される。これらの差が約10%以上、好適には約5%以上の場合、測定は拒否される。それ以外の場合、2つの検出電圧あるいは温度の最大値が、その点における実際の表面温度を最も正確に測定した出力値として、表示・記録される。もちろん、もし望めば、表示表面温度として、低い方の検出温度を用いてもよいし、2つの平均値を用いてもよいが、最も正確なものとして、最大値を用いる。
この比較方法を用いることにより、金属スラブ表面が粗くて一様でなく、他方、例えばインゴットのDC鋳造の開始直後、あるいは押し出し工程や連続ストリップ鋳造工程において不安定な温度測定場所など、表面温度が急変する場合でさえ、表面温度を信頼性を持って決定することができる。1つの熱電対プローブ又は1対の接触部により形成されたプローブに基づいた温度測定では、過去のあるいは次の測定と比較する場合を除いて測定の有効性を確かめることできず、表面温度が変化する状況において信頼性を持って測定ができない。
図3は、図1の鋳造用モールド3の部分図を示し、さらに、モールド面50、主要冷却水用通路51、2次冷却水出口52、2次水流53、及びインゴット1が示されている。モールドから出てくるスラブすなわちインゴット表面は、符号4で表わされる。
一般的なDC鋳造動作中、2次冷却水53は、図3に示すように、凝固されたインゴット表面4に対し、鋳造用モールドから放出される。冷却水の流れがインゴット表面に当たる最上点54は、2次冷却水衝突点と呼ぶ。複数のプローブ24は、これらの先端が、空気式シリンダの作動により前方に押され位置55においてインゴット表面と接触するように、水平面内に配置される。ここで、位置55は、衝突点の上方5mmと衝突点の下方30mmの間(好適には衝突点の下方5〜15mmの間)の範囲であればいずれでもよい。プローブがこの位置で用いられる場合に、測定される温度がインゴットの熱的状態を表わすものと考える。プローブが衝突点の上方5mmより上側に位置すると、プローブは、鋳造を制御するのに重要な役割を果たす2次冷却水の効果を測定することができない。プローブが衝突点の下方30mmより下側に位置すると、プローブの応答は、冷却水の散水後に温度が徐々に平均化される影響を受け、表面に対する冷却水の真の効果を示す感度を有さなくなる。
速やかな安定化及び高頻度の温度測定は、例えばアルミニウムインゴットのDC鋳造に用いられるパルス散水による冷却中(パルス時間は0.5秒以下)において比較的素早く起きる表面温度変化を追跡することを可能にする。短時間で出入する運動と合わせて速やかに安定化できること、及び各測定の有効性を該測定を行いながら確かめることができることで、温度が測定されるスラブに沿った優れた距離分析が可能になる。例えば、シート状のインゴットに対する一般的な鋳造速度で、0.5mm程度の距離の分析が可能であり、その結果、インゴットに沿った非常に短い距離で温度が変化してもこれをモニタすることができる。
図1、2及び図4のブロック図を参照して、プローブの運動を制御し、測定値を調整する典型的な回路を説明する。信号分析及びタイミング信号が共通のデジタルコンピュータ60により与えられる。コンピュータは、「スタート」タイミング信号を発生させて4方向ソレノイド45を起動し、ソレノイド45は、全ての点接触プローブに対して共通の空気式連結部43に空気圧を作用し、プローブをスラブ表面まで駆動する。同様の「ストップ」タイミング信号によって、ソレノイドは連結部42に対し空気圧を作用し、運動を逆転させる。使用されない連結部(42又は43)は、ソレノイドにより大気に接続される。
連続作動式アナログ/デジタルコンバータ61は、点接触プローブの接触対24a,24b及び24b,24cに接続されている。接続部33a,33bは、1つのA/Dコンバータに接続され、接続部33b,33cは、別のコンバータに接続される。A/Dコンバータは、1秒当たり少なくとも40回の読み取りを行うことができ、起電力の読み取り値を検出温度を表わすデジタル電圧信号に変換することができる。これらの信号は、入力値としてコンピュータに送られる。
コンピュータは、各接触対からのデジタル入力値を、選択された接触用合金に対する既知の換算係数に基づいて、検出温度T1及びT2に変換する。デジタル入力値は、「スタート」タイミング信号が発生して0.15秒後から「ストップ」タイミング信号が発生するまで受け取られる。T1及びT2に対するデータの取扱いは種々考えられる。一つの方法では、「スタート」と「ストップ」タイミング信号の間の時間サイクル全体に対して、T1及びT2の最大値、最小値、及び各平均値が決定される。平均値同士が予め決められた量(例えば5%)だけ違っている場合、サイクル全体が拒否される。そうでない場合、最大値、最小値、又は平均値に関しT1とT2のうち高い方が、一般的に、特定の測定において表面上のある場所における実際の表面温度の測定値を表わす表示用表面温度として選択される。代わりに、T1及びT2の値を、基準測定値と比較し(例えば1秒当たり40回の割合)、ペアー毎に拒否したり受け入れてもよい。その結果有効性が確認された温度読み取り値は、一般的に、コンピュータモニタに表示されたり、保存されたり、プリントアウトされたりする。温度読み取り値はまた、制御回路(図示せず)に送られ、これにより、表面温度に影響を与える工程の要素の一部を制御してもよい。例えば、冷却水が表面に散水される位置では、温度読み取り値を用いて、冷却水の流れや他のパラメータを制御することができる。モールドやダイから出てくるスラブの速度を、温度測定値に応じて変化させてもよい。
(「スタート」と「ストップ」タイミングサイクルの間の)測定サイクルの長さは、プローブ接触部が動作範囲を超えて鉛直方向に移動する必要がないと仮定して、動作要求に合うように決定すればよい。加えて、冷却水衝突点に関して約3mmを超える特別な位置で測定するための運動は、所望のものより結果に反映させないようにしてもよい。
同一の装置設計は、スラブを冷却する他の種々の場合に応用できると理解される。水平式鋳造(連続ストリップ鋳造を含む。)あるいは金属スラブの圧延の場合において、冷却水の散水効果は、水平面でなく鉛直面において温度プローブを作動することによりモニタすることができ、本発明の他の特徴は、実質的に不変のままである。水平式押し出しプレスにおいて冷却水の散水をモニタする状況は、これに類似する。
図5は、本発明に係る温度測定装置及び方法の別の実施例を示す。この実施例において公知なデザインである「ホイールベルト」キャスター(プロペルチ又は類似のもの)が使用される。この場合、金属が、図示しない炉から堰鉢70及び金属搬送溝71を介して、鋳造用ホイール72の縁部内に設けられた溝に供給される。連続金属ベルト(一部が符号73で示されている。)は、ホイールの縁部の周方向に関する一部を外装している。冷却水がホイール及び外装ベルトに供給され、金属を連続インゴットに冷却する。この種の機械で鋳造されたインゴットは、略正方形断面を有しており、凝固してワイヤやケーブルの基材となった後、一群のダイ79を通過する。ホイールからインゴットが離れる点74において、インゴット表面は少なくとも凝固されているが、中央部分は、完全には固体ではない場合がある。図1及び図2に示すようなセンサを、鋳造用通路に沿った種々の場所75、76、77に固定してもよい。表面(例えば場所75における外装ベルトの表面、又は例えば場所76、77におけるインゴット表面自身のいずれか)に対するプローブの移動方向は、図5に垂直線で示すように、各点において表面に垂直である。サイズが小さいこと、及び任意の位置・方向で動作できることから、本発明は、上述した場所に適している。各測定の速度及び信頼性は、温度が急変する領域においてさえ、連続鋳造工程をモニタ・制御することを可能にする。
図6は、限られたスペースで使用する場合、あるいはスラブの運動が速く、固定した場合に通常得られる距離より長い距離をスラブが移動する間、点接触プローブを表面に接触したままにする必要がある場合に適した改良装置である。装置(他の点は図1及び図2を参照)はブロック23内に収容されている。このブロック23は、モールド3に堅固に固定されずに、モールド3に取付けた柱81に連結したピボット軸80に連結されている。ピボット軸は、ばねにより付勢され、その結果、点接触プローブが表面4と接触しない場合、ブロック23が、ばねによりモールド底部に対し静止点82で保持されるようになっている。この第1の位置において、点接触プローブは、表面4に当たると通常可能な位置より上側で接触し、したがって、アクセスが制限される必要のある場合にもアクセスが可能となる。さらに、ピボット軸及び空気式移動システムによって、ブロック全体が、第1の位置からブロックが略水平位置になる図の実線で表わされる位置(「第2の」位置は点線で示す。)まで回転する際、プローブは表面と接触状態を保つことができる。点接触プローブが退避する場合、ばねで付勢されたピボット軸80は、アセンブリをもとの位置に戻す。第2の位置は、必要ならば、水平位置より下側であってもよい。点接触プローブがスラブ表面に向かう垂直線に関して角度が約45°以下にある限り、信頼性のある測定が行える。すなわち、温度を測定するためには、第1及び第2の位置は、スラブ表面に向かう垂直線に対し角度が45°以下である必要がある。このように、点接触プローブは、スラブが通常可能な距離よりも長い距離を移動する間、表面と接触状態を保つことができ、その結果、スラブがより速い速度で移動する場合における測定が可能となる。別の形態では、ブロック自体の重さを利用して、点接触プローブが表面から退避すると、ブロックが第1の位置に戻るようにしてもよい。ばねによる付勢の利点は、ブロックを場所82に対応する位置に保持するためのストッパを設けるだけで、同じアセンブリを任意の方向で且つ種々多様な位置で用いることができることである。
図7は、別の方法で意味のある信号を得るために用いられる装置を示す。この装置では、少なくとも2つの移動するスラブ90(図7では、概略的に断面図が示されている。)が用いられる。これらスラブ90は、例えば、一つの鋳造テーブル(図示せず)内にある近くのモールドから下方に下がるDCインゴットである。テーブル内にこうしたモールドを複数設けてもよい。このような鋳造構成は、略同一の形状を有し且つ略同一な冷却環境に遭遇する移動インゴットを生産する。各インゴットに対応して、少なくとも2つの温度測定プローブ101と、信号調整器102とが設けられる。温度測定プローブは、(例えば図1及び図2に関して)上述したように、例えば各インゴット上の2次冷却水衝突点に対し同様な位置に配置される。信号調整器は、図4で説明したのと同様なものでもよい。
各スラブ90に対応する信号調整器102は、該スラブと接触する各温度測定プローブにより測定される温度に対応する出力値を発生し、2つのプローブ間の差(一般に、特定の測定位置におけるデータ獲得のためにスタートからストップ信号までの間で時間平均したもの)が、図4でより詳しく説明したように得られる。続いて、出力値は、各スラブに関する以下のデータを保存する保存装置103(例えばマイクロコンピュータのメモリ)に送られる。(a)温度測定が行われたスラブ上の(スラブの運動方向に沿った)場所、(b)2つ又はそれ以上の測定温度、(c)上記2つ又はそれ以上の測定温度間の最大差。保存装置及び対応するコンピュータは、この差を予め決められた値(通常は、2つ又はそれ以上の温度の最大値の10%、好適には5%)と比較し、差が予め決められた値以下であれば、2つ又はそれ以上の測定温度の最大値を、適当な出力装置に表示させる。この有効性の範囲が満たされない場合、1つのスラブに対する2つ又はそれ以上の測定温度の最大値間の差を、隣り又は近くのスラブあるいはスラブ群に対する2つ又はそれ以上の測定温度の最大値間の差と比較し、これらの差が予め決められた量(通常は、最大値のグループの中の2つの最大値の平均の10%、好適には5%)以下であれば、最大温度が適当な出力装置に表示される。
第1の確認方法は、実質的に、確認用のもとの測定に近い場所でのスラブ表面上の温度測定を利用する。一方、第2の確認方法は、もとの測定場所から離れているが、略同一の熱的条件に曝され且つ形状的に略同一のスラブ表面の温度測定を利用する。この第2の方法は、1つの鋳造テーブル内のモールドから鋳造されるDCインゴット群に対して、上述したように使用することができる。第2の方法はまた、幅の広いスラブ(例えば、連続キャスターあるいは圧延機から出てくるスラブ)を横切って温度を監視する場合に使用できる。この場合、(互いに近くに配置された)2つの温度プローブからなる1つのセットが、上記幅の広いスラブの1つのセクション上に配置され、別のセットが、第1のセットから離れているが同じ熱環境に曝された別のセクション上に配置される。
上述したロジックは、図8のフローチャートを参照してより理解することができる。このフローチャートにおいて、T1(A)、T2(A)及びΔT(A)は、スラブの一つ(スラブ「A」と呼ぶ。)に対し特定の場所で信号調整器102により測定された、2つの温度及びその差に対応する。T1(B)、T2(B)及びΔT(B)は、第2のスラブに対する同じパラメータを指す。下付き数字が2の温度は、全ての場合において、2つの温度のうち高い方を指す。T2(グループ)は、スラブ群(複数のスラブがある場合に、これらのスラブをひとまとめにしたもの)に対するT2の平均値を示す。さらに、|T2(A)−T1(A)|は、2つの値の差の絶対値を表わし、〈T2(A),T1(B)〉は、2つの値の平均値を表わす。
1番目のフローチャートは、インゴット同士の比較を表わし、2番目のフローチャートは、インゴットとインゴット群との比較を表わす。フローチャートは、測定の有効性確認が望まれるインゴットごとに繰り返される。
ロジックは、(データが特定の場所に対し獲得されるので)場所単位で適用することができ、あるいは一連のデータを多数の場所に対し獲得でき、この一連のデータに基づいて比較を行い、一連のデータ全体に対し有効確認した結果が表示される。
Claims (18)
- 金属スラブ(1)の移動する表面(4)の温度を測定し、これにより上記表面上のある場所での実際の温度に対応した測定温度を表示する装置において、
スラブ表面と非接触にある第1の位置と、上記表面と上記場所で接触する第2の位置との間で移動するように設けられ、上記表面と接触する場合に、検出した温度に対応する出力値を発生する第1の温度測定センサ(24a,24b)と、
上記第1のセンサを上記第1及び第2の位置の間で移動させる駆動機構と、
スラブの上記表面と非接触にある第1の位置と、上記表面と上記場所で接触する第2の位置との間で移動し、上記表面と接触する場合に、検出した温度に対応する出力値を発生する少なくとも1つの別の温度測定センサ(24b,24c)と、
上記少なくとも1つの別のセンサを該センサの上記第1及び第2の位置の間で移動させる駆動機構とを有し、
上記第1及び上記少なくとも1つの別の温度センサは、互いに近くに設けてあり、
上記駆動機構は、上記第1及び上記少なくとも1つの別のセンサを上記表面の上記場所に同時に接触させるように同時に移動させ、
比較器(60)は、上記第1及び少なくとも1つの別の測定センサの上記出力値同士を比較し、上記第1及び上記少なくとも1つの別のセンサによる上記場所での検出温度同士の差分が、予め決められた量以下であるかどうかを決定するとともに、上記検出温度同士の差分が上記予め決められた量以下である場合にのみ、1つ又はそれ以上の上記出力値に基づいて、上記場所での上記表面の実際の温度を表わす測定温度を表示し、
上記第1のセンサ(24a,24b)と、上記少なくとも1つの別のセンサ(24b,24c)とのそれぞれが、異なる材料からなる2つの間隔を隔てた点接触プローブ(24a,24b又は24b,24c)を有し、上記表面に接触させた場合に、上記表面の実際の温度の関数である起電力を発生させることを特徴とする装置。 - 各センサの上記点接触プローブ同士(24a,24b又は24b,24c)の間隔は、50mm以下であることを特徴とする請求項1の装置。
- 各センサの上記点接触プローブ同士(24a,24b又は24b,24c)の間隔は、30mm以下であることを特徴とする請求項1の装置。
- 上記異なる金属は、クロメル及びアルメル合金であることを特徴とする請求項1の装置。
- 上記点接触プローブ(24a,24b又は24b,24c)はそれぞれ、上記第1及び少なくとも1つの別のセンサが表面の凹凸に適応できるように、独立したサスペンションを有することを特徴とする請求項1の装置。
- 別の温度センサを1つのみ(24b,24c)有し、上記各センサの1つの点接触プローブ(24b)が両センサに共通であることを特徴とする請求項1の装置。
- 上記第1の温度センサ(24a,24b)及び上記少なくとも1つのセンサ(24b,24c)はそれぞれ、対応する上記駆動機構により、上記表面の移動方向に垂直にあるいは該垂直方向に対し45°以下の角度で、上記表面に近づいたり上記表面から遠ざかるように設けられることを特徴とする請求項1の装置。
- 上記第1及び第2のセンサ用の駆動機構は、空気式駆動機構(23,30a,30b,30c)又は電気式駆動機構のいずれかであることを特徴とする請求項7の装置。
- 上記第1及び少なくとも1つの別の温度測定センサと、対応する駆動手段は、回転支持部材(80,81)内に設けられ、その結果、移動する表面の運動方向に上記支持部材を回転させることにより、温度検出に有効な一定時間、センサが上記表面と接触状態にあることを特徴とする請求項1の装置。
- 金属スラブ(1)の移動する表面(4)の温度を測定し、該表面上のある場所での実際の温度に対応する測定温度表示を行う装置において、
上記場所において上記表面と接触又は非接触するように選択的に移動可能であり、上記表面と接触する場合、検出される温度に対応した出力値を発生する第1の温度測定センサ(24a,24b)と、
上記第1のセンサに近接し、上記場所において上記表面と接触又は非接触するように選択的に移動可能であり、上記表面と接触する場合、検出される温度に対応した出力値を発生する少なくとも1つの別のセンサ(24b,24c)とを有し、
上記センサ及び上記少なくとも1つの別のセンサは、同時に動いて、上記表面と上記場所で同時に接触し、
比較器(60)は、上記第1及び少なくとも1つの別の測定センサの上記出力値同士を比較し、これらの出力値同士の差分が予め決められた量以下であるかどうかを比較し、
測定温度表示器は、上記センサの上記出力値同士の差分が上記予め決められた量以下である場合に、上記センサの1つ又はそれ以上の出力値に基づいて、上記場所での上記表面の実際の温度に対応する出力値を発生させ、
上記第1のセンサ(24a,24b)と、少なくとも1つの上記別のセンサ(24b,24c)とのそれぞれが、異なる材料からなる2つの間隔を隔てた点接触プローブ(24a,24b又は24b,24c)を有し、上記表面に接触させた場合に、上記表面の実際の温度の関数である起電力を発生させることを特徴とする装置。 - 移動する金属スラブ(1)の表面(4)の温度を測定し、該表面上のある場所での実際の温度に対応する測定温度表示を行う方法において、
第1の温度測定センサ(24a,24b)を、上記場所において上記スラブ表面と接触させる工程と、検出される温度に対応した上記センサの出力値を測定する工程と、
少なくとも1つの別の温度測定センサ(24b,24c)を、上記場所において上記スラブ表面と接触させる工程と、検出される温度に対応した上記少なくとも1つの別のセンサの出力値を測定する工程とを含み、
上記第1の温度測定センサ及び上記少なくとも1つの別の温度測定センサの、上記表面との上記接触は、同時に行われ、上記第1及び上記少なくとも1つの別のセンサの上記出力値同士が比較され、上記センサの上記出力値同士の差分が予め決められた量以下である場合にのみ、上記センサの1つ又はそれ以上の上記出力値に基づいて、測定温度表示が行われ、
上記第1のセンサ(24a,24b)と、少なくとも1つの上記別のセンサ(24b,24c)とのそれぞれが、異なる材料からなる2つの間隔を隔てた点接触プローブ(24a,24b又は24b,24c)を有するように選択され、上記表面に接触させた場合に、上記表面の実際の温度の関数である起電力を発生させ、上記プローブは、上記表面が窪むように十分な負荷をもって上記表面に接触することを特徴とする方法。 - 上記第1の温度センサ(24a,24b)及び上記少なくとも1つの別のセンサ(24b,24c)は、堅固に固定された支持部材(23)内に設けられ、上記金属スラブが6mm以下の距離を移動する間のみ上記表面(4)と接触状態にあることを特徴とする請求項11の方法。
- 上記第1の温度センサ(24a,24b)及び上記少なくとも1つの別のセンサ(24b,24c)は、堅固に固定された支持部材(23)内に設けられ、上記金属スラブが3mm以下の距離を移動する間のみ上記表面(4)と接触状態にあることを特徴とする請求項11の方法。
- 上記第1の温度センサ(24a,24b)及び上記少なくとも1つの別の温度センサ(24b,24c)は、温度応答が0.15秒以内であることを特徴とする請求項11の方法。
- 上記第1の温度センサ(24a,24b)及び上記少なくとも1つの別の温度センサ(24b,24c)は、温度応答が0.10秒以内であることを特徴とする請求項11の方法。
- 金属スラブ(90)の移動する表面の温度を測定し、これにより上記表面上にある第1の場所での実際の温度に対応した測定温度を表示する装置において、該装置は、
第1センサがスラブ表面と非接触にある第1の位置と、上記第1センサが上記表面と上記場所で接触する第2の位置との間で移動するように設けられ、第1センサが上記表面と接触する場合に、検出した温度に対応する出力値を発生する第1の温度測定センサ(第1センサ)(101)と、
上記センサを上記第1及び第2の位置の間で移動させる駆動機構と、
第2センサが上記スラブの上記表面と非接触にある第1の位置と、上記第2センサが上記表面と上記場所で接触する第2の位置との間で移動するように配置され、第2センサが上記表面と接触する場合に、検出した温度に対応する出力値を発生する少なくとも1つの別の温度測定センサ(第2センサ)(101)と、
上記少なくとも1つの別のセンサを該センサの上記第1及び第2の位置の間で移動させる駆動機構とを有し、
上記第1及び上記少なくとも1つの別の温度センサ用の上記駆動機構は、これらセンサを、上記表面に同時に接触するように同時に移動させ、上記第1及び上記少なくとも1つの別の温度センサはが互いに近くに設けられた、第1の温度測定器具と、
上記第1の温度測定器具と同様の器具であって、上記第1の位置と同じ温熱条件に置かれた第2の位置で、同じまたは異なる金属スラブ(90)の表面の温度を測定するように配置された、第2の温度測定器具と、を含み、
比較器(103)は、上記第1及び第2の温度測定器具の、上記第1及び上記少なくとも1つの別の測定センサの上記出力値同士を比較し、上記第1及び上記少なくとも1つの別のセンサの、上記第1の場所での測定温度同士の差分が、予め決められた量以下であるかどうかを決定し、
上記第1および上記少なくとも1つの別の測定センサの上記出力値の最大が、予め決められた量より小さい場合にのみ、上記位置の上記表面の実際の温度を示す測定温度表示を行い、
上記測定された温度が上記予め決められた量より大きい場合には、上記第1温度測定器具の最大出力を、上記第2温度測定器具の最大出力と比較し、それらの出力の差分をそれらの出力の平均値と比較して、上記差分が上記平均の所定値より小さい場合にのみ測定温度表示を行うことを特徴とする装置。 - 金属スラブ(90)の移動する表面の温度を測定し、該表面上にある第1の場所での実際の温度に対応する測定温度表示を行う装置において、
該装置は、上記場所において上記表面と接触又は非接触するように選択的に移動可能であり、上記表面と接触する場合、検出される温度に対応した出力値を発生する第1の温度測定センサ(101)と、
上記第1のセンサに近接し、上記場所において上記表面と接触又は非接触するように選択的に移動可能であり、上記表面と接触する場合、検出される温度に対応した出力値を発生する少なくとも1つの別のセンサ(101)とを含む第1温度測定器具を有し、
上記第1のセンサ及び上記少なくとも1つの別のセンサは、上記表面と上記場所で同時に接触するように同時に移動し、
上記装置は、さらに、上記第1の温度測定器具と同様の器具であって、上記第1の位置と同じ温熱条件に置かれた他の位置で、同じまたは異なる金属スラブ(90)の表面の温度を測定するように配置された複数の他の温度測定器具を有し、
上記装置は、上記第1温度測定器具の上記第1及び少なくとも1つの別の測定センサの上記出力値同士を比較し、上記第1温度測定器具の出力値同士の差分が予め決められた量であるかどうかを比較する比較器(103)と、
上記出力値の差分が上記予め決められた量より小さい場合にのみ、上記第1の場所での上記表面の実際の温度に対応する出力値を発生する測定温度表示器とを有し、
更に、上記比較器(103)は、上記第1温度測定器具の、上記第1および上記少なくとも1つの別の測定センサの上記出力の最大が、上記複数の別の温度測定器具からの最大出力の平均と異なるかどうかを特定し、
上記第1温度測定器具の上記最大出力と、上記別の温度測定器具の上記最大出力の平均値との差分が、予め決めた量より小さい場合にのみ、上記測定温度表示器に測定された温度表示を提供することを特徴とする装置。 - 移動する金属スラブ(90)の表面の温度を測定し、該表面上にある第1の場所での実際の温度に対応する測定温度表示を行う方法において、
第1のセンサ(101)と少なくとも1つの別のセンサ(101)を有する第1の温度測定器具を、上記場所において上記スラブ表面に供給する工程と、
上記第1のセンサを上記表面に接触させて、検出される温度に対応した上記センサの出力値を測定する工程と、
上記少なくとも1つの別の温度測定センサ(101)を、上記第1の場所において上記スラブ表面と接触させて、検出される温度に対応した上記少なくとも1つの別のセンサの出力値を測定する工程とを含み、
上記第1及び上記少なくとも1つの別の温度測定センサは、上記表面と上記場所で同時に接触するように移動し、更に、
上記第1の温度測定器具と同様の第2の温度測定器具を、上記第1の位置と同じ温熱条件に置かれた、同じまたは異なるスラブ(90)の表面上の第2の位置に提供し、上記第2の温度測定器具の、上記第1及び上記少なくとも1つの別のセンサの出力値を測定する工程と、
上記第1の温度測定器具の上記第1及び上記少なくとも1つの別の測定センサの上記出力値同士を比較し、上記第1温度測定器具の上記第1及び上記少なくとも1つの別の測定センサの出力値の最大値の差分が予め決められた量より小さい場合にのみ、1またはそれ以上の出力に基づく、測定された温度表示を提供し、
上記差分が上記予め決められた値より大きい場合には、上記第1温度測定器具の最大出力を、上記第2温度測定器具の最大出力と比較し、上記最大出力が予め決められた量より小さい場合にのみ測定温度表示を行うことを特徴とする方法。
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