JP4120009B2 - 磁着筒付回転軸を用いた搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、非接触回転伝達機構の磁着筒の固定を簡単容易にすると共に、前記非接触回転伝達機構を用いた搬送装置の設置面積の縮少と、管理の容易性の向上を目的とした磁着筒付回転軸を用いた搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、非接触回転伝達機構の磁着筒と回転軸とは、キー固定、ねじ固定などが知られていた。
【0003】
【特許文献】
特許第3353107号
【0004】
【発明により解決しようとする課題】
前記従来の固定方法は固定用の器具を必要としたり、寸法精度を向上させる為に労力・時間が多くかかる問題点があった。
【0005】
また、磁着筒の芯振れを少なくする為に回転軸の外径と、磁着筒の内径との間の寸法に比較的高い精度を要したり、使用場所によっては、作業がむつかしかったり、取付け、取り外し、または位置規制に更なる時間・労力を要する問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、回転軸にOリングを固定し、このOリングの位置へ磁着筒を嵌装固定することにより、前記従来の問題点を解決したのである。
【0007】
即ち、この発明は、磁着筒付回転軸を駆動軸及び従動軸としたコンベアにおいて、前記回転軸にOリングを嵌装固定し、該Oリングの外側に磁着筒を嵌装してあり、前記磁着筒は、N、S永久磁石条を、交互に螺旋状に設けてあり、前記駆動軸に、複数の磁着筒が固定されており、前記駆動軸の磁着筒に、前記従動軸の磁着筒の中心を夫々直角に配置し、前記従動軸の隣接磁着筒の磁着方向を夫々逆方向として、隣接従動軸を逆方向回転とし、前記回転方向の同一の従動軸を用いて逆方向に移動する並列コンベアを構成したことを特徴とする磁着筒付回転軸を用いた搬送装置である。
【0008】
また、他の発明は、磁着筒の磁着方向は、回転軸に対して45度をなす方向であり、前記磁着方向を夫々逆方向とし、回転軸に対して左に45度をなす方向と、右に45度をなす方向としたものである。
【0009】
次に、駆動軸に装着した磁着筒と、従動軸に装着した磁着筒とが非接触に配置されたものである。
【0010】
この発明の磁着筒付回転軸は、回転軸にOリングを嵌装固定し、該Oリングの外側へ、周壁にN、S永久磁石条(N極とS極の永久磁石条)を交互に設けた磁着筒を嵌装し、前記回転軸と、前記磁着筒とを、Oリングの弾力により固定したことを特徴とする磁着筒付回転軸であり、回転軸の外側へ環状溝を設け、該環状溝へOリングを嵌装固定すると共に、前記Oリングの外側へ、周壁にN、S永久磁石条を交互に設けた磁着筒を嵌装し、前記磁着筒の内壁に前記Oリングを加圧当接したことを特徴とする磁着筒付回転軸である。前記によりOリングの外周部へ均一に当接圧力がかかるので、芯振れが少なくなる。
【0011】
この発明におけるOリングは、ゴム又は合成樹脂製であって、加圧変形することにより、磁着筒の内壁と面接触し、接触面の摩擦力が磁着筒を介して行う伝達力より大きく、かつずれを生じてはならないので、前記総摩擦力は、最大伝達力の例えば2倍以上であることが望ましい。
【0012】
前記目的を達成する為に、1個の磁着筒に対し、単数又は複数のOリングを使用する。
【0013】
前記Oリングの位置は、前記磁着筒の中央部付近とするが、特別の制約はない。
【0014】
この発明において、回転軸に環状溝を設け、該環状溝にOリングを嵌装する場合の、環状溝の幅及び深さは、Oリングの変形断面を考慮して定める。
【0015】
この発明における非接触動力伝達機構においては、磁力結合であるから、何等かの理由により、回転軸が動かない場合にも、伝達機構各部の破壊を生じるおそれはない。
【0016】
この発明における磁着筒と回転軸との固定は、Oリングと磁着筒との摩擦力によるものであるから、Oリングの位置が多少ずれても、伝達効率に悪影響はなく、その上相互磁着筒の位置のずれを容易に微調整することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明は、回転軸に嵌装固定したOリングにより、回転軸に遊嵌(回転自在に嵌装)した磁着筒を固定するものである。この場合に、Oリングはゴムまたは合成樹脂製であるから、磁力とは無関係として取り扱うことができる。
【0018】
前記における回転軸と磁着筒の固定は、Oリングの摩擦力によるものであるから、摩擦係数が大きく、かつ加圧変形する際の弾力を設定し、摩擦力が大きくとれる材質が望ましい。同時に、磁着筒を嵌め易いことも必要であるから、加圧変形が容易で、均等変形(変形断面が同一)する材質でなくてはならない。
【0019】
この発明の磁着筒は、例えばネオジム(Nd−Fe−B)磁石等の永久磁石を短筒状に形成し、その外周面にN極条とS極条を交互に密接して設ける。この場合に、N極条とS極条は、直線状であっても、螺旋状であっても、回転軸と磁着筒の固定には関係しないが、非接触動力の伝達には螺旋状の着磁がより好ましい。
【0020】
この発明は、前記多数の磁着筒を固定した回転軸を駆動軸とし、前記各磁着筒毎に、夫々1本の従動軸の磁着筒を直角に配置すれば、コンベアの動力を配置することができる。
【0021】
この発明は、駆動軸に複数の磁着筒を所定間隔で固定すると共に、複数の従動軸の一端に夫々磁着筒を固定して、該磁着筒を前記駆動軸の磁着筒と微間隔を保ち、かつ直角に配置する。
【0022】
また、従動軸の磁着筒は、一つおきに着磁方向を反対にしてある。また、同一方向に着磁した磁着筒を固定した従動軸は、夫々同一位置関係にローラを遊嵌してある。
【0023】
次にターンテーブルの同一円周位置へ従動軸を等間隔に回転自在に取り付け、従動軸の上端へ支持台を固定し、下端部へ磁着筒を固定し、前記下端部の一つの磁着筒に近接して、駆動軸の磁着筒を平行又は直角に配置し、駆動軸を原動機と連結する。
【0024】
【実施例1】
この発明の回転軸と磁着筒との実施例を図1、2について説明する。回転軸1に環状溝2を設け、環状溝2へOリング3を嵌装し、該Oリング3が中央部になるように、前記回転軸1へ磁着筒4を嵌装して、この発明の磁着筒付回転軸5を得た。
【0025】
前記磁着筒4は、円筒6の外壁に、N極とS極の磁着条7、7aを交互に、かつ45度の角度で設けてある。前記磁着条7、7aの数には制約はないが、通常数本の多条スパイラル状に設ける。
【0026】
図2の(a)は、左45度であり、(c)は右45度である。
【0027】
前記回転軸1の外径に対し、磁着筒4の内径は、円滑に嵌装できる程度の寸法としてある。また、回転軸1に設ける環状溝2の幅と深さは、該環状溝2へ嵌めるOリング3の断面積を考慮し、回転軸1へ磁着筒4を嵌装した際、Oリング3の変形断面を収容しうる程度としてある。
【0028】
前記回転軸1と、磁着筒4とOリング3との総摩擦力を磁着筒4との伝達する回転トルクの2倍以上の大きさとすれば、安全使用することができる。
【0029】
前記実施例においては、1個の磁着筒4に対し、1個のOリング3を用いたが、Oリング3を複数介装することもできる(図1−(c))。
【0030】
例えば、磁着筒4の軸方向長さに対し、夫々1/3の長さの位置にOリング3を介装すれば、磁着筒4を安定性よく固定することができる。
【0031】
Oリングの材質については特定しないが、弾性限が大きく、長時間使用に際し、同一弾性を保持すること、使用中に老化しないことが望ましい。
【0032】
この発明における回転軸と、磁着筒の固定は、磁着状態(直線状、螺旋状)には制約されない。
【0033】
【実施例2】
この発明の他の実施例を図4について説明する。図4の実施例は図3の使用例の駆動軸8に磁着筒4a、4を交互に固定し、従動軸9に対し、一本おきに、N極、S極の異なる磁着(右方向、左方向別)をした磁着筒4c、4bを固定すると共に、従動軸9aのローラ11aは、従動軸9のローラ11と異なる列に固定したものである。
【0034】
前記実施例においては、駆動軸8を矢示12の方向へ回転すると、従動軸9は矢示13の方向へ回転し、従動軸9aは矢示16の方向へ回転する。そこで、従動軸9によるコンベアの前進方向15と、従動軸9aによるコンベアの前進方向17とが反対方向となる。従って、並列コンベアを逆方向へ移動させることができるので、トレーの復帰などに使用すると、狭い場所で有用な仕事をさせることができる。前記においては駆動軸を1本としたが、対称側にもう1本の駆動軸を架設して同様の伝導系により能力を向上させることができる。
【0035】
[使用例1]
この発明の回転軸へ磁着筒を固定した使用例を図3について説明する。駆動軸8の外側へ、複数の磁着筒4、4を等間隔に固定する。
【0036】
前記駆動軸8に対し、直角に架設した従動軸9に、夫々1個の磁着筒4aを固定し、前記磁着筒4、4に対し、従動軸9の磁着筒4aを直角に重ねると共に、前記従動軸9に、ローラ11を固定して、非接触伝導コンベア10を構成した。
【0037】
前記実施例おいて、駆動軸8を原動機(例えばモータ)と連動させ、例えば矢示12の方向へ回転させると、各従動軸9は、磁着筒4、4aを介して矢示13の方向に回転し、非接触コンベア10の上に乗せた物(例えばトレー14)を矢示15の方向へ移動させる。
【0038】
[使用例2]
この発明の回転軸へ磁着筒を固定した使用例を図5について説明する。ターンテーブル27の同心円上に複数の回転軸18、18を等間隔に直角に回転自在に架設し、前記回転軸18の上端へ支持板19を夫々固定し、前記回転軸18の下端部へ磁着筒20を夫々固定する。前記ターンテーブル27の下方であって、磁着筒20の通過軌跡に近接し、磁着筒20の停止位置であって、磁着筒20の外壁と僅かな間隙を保って回転する磁着筒21の回転軸22を架設し、該回転軸22にタイミングローラ23を固着し、タイミングローラ23にタイミングベルト24を装着して、非接触回転伝達機構25を構成した。図中30はターンテーブル27の駆動軸である。
【0039】
前記実施例によれば、ターンテーブル27は、各磁着筒20が、磁着筒21と近接して停止すべく間欠回転し、前記回転軸18の上端に固定した支持板19には、例えば工作物26を設置しておけば、工作物26は回転軸18の回転につれて回転しつつ、工具などにより加工されることになる。即ち、間欠的に回転加工される。
【0040】
前記実施例においては、1枚のターンテーブル27に対し、1箇所で加工するようにしたが、複数箇所で加工してもよいことは勿論である。
【0041】
従って、この非接触回転伝達機構25を利用すれば、工作物26は間欠的に運ばれ、停止位置で加工されて次工程へ送られる。
【0042】
前記図5−(a)の実施例は、回転軸18を回転するのに平行回転軸22を用い、平行磁石条の磁着筒を使用したが、図5−(b)のように回転軸18の磁着筒20に対し、磁着筒28の回転軸29を直角に配置する場合には、螺旋磁石条の磁着筒を使用する。
【0043】
【発明の効果】
この発明によれば、回転軸と磁着筒を、Oリングを介して固定することによって、芯振れを少なくし得ると共に、固定又は取り外し、位置の設定などを簡易かつ確実にする効果がある。また1本の駆動軸と複数本の従動軸とにより、並列コンベアを逆方向へ移動させることができる。
【0044】
また、このようにすることにより、伝導系の組立て自由度を向上し、搬送系の設置面積を節減し得るなどの諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)この発明の回転軸の実施例の一部を断面し、一部を省略した正面図。
(b)同じく図(a)中A−A断面図。
(c)同じく他の実施例の一部を省略した断面図。
【図2】(a)同じく磁着筒の側面図。
(b)同じく正面図。
(c)同じく他の磁着筒の側面図。
(d)同じく正面図。
(e)同じく直線状磁着筒の側面図。
(f)同じく正面図。
【図3】同じくコンベアの実施例の斜視図。
【図4】同じく複列コンベアの実施例の斜視図。
【図5】(a)同じくターンテーブルによる伝導機構の実施例の斜視図。
(b)同じく他の実施例の斜視図。
【符号の説明】
1 回転軸
2 環状溝
3 Oリング
4 磁着筒
5 磁着筒付回転軸
6 円筒
7、7a 磁着条
8 駆動軸
9 従動軸
10 非接触伝導コンベア
11 ローラ
14 トレー
18、22 回転軸
19 支持板
20、21 磁着筒
23 タイミングローラ
24 タイミングベルト
25 非接触伝達機構
27 ターンテーブル
Claims (3)
- 磁着筒付回転軸を駆動軸及び従動軸としたコンベアにおいて、前記回転軸にOリングを嵌装固定し、該Oリングの外側に磁着筒を嵌装してあり、前記磁着筒は、N、S永久磁石条を、交互に螺旋状に設けてあり、前記駆動軸に、複数の磁着筒が固定されており、前記駆動軸の磁着筒に、前記従動軸の磁着筒の中心を夫々直角に配置し、前記従動軸の隣接磁着筒の磁着方向を夫々逆方向として、隣接従動軸を逆方向回転とし、前記回転方向の同一の従動軸を用いて逆方向に移動する並列コンベアを構成したことを特徴とする磁着筒付回転軸を用いた搬送装置。
- 磁着筒の磁着方向は、回転軸に対して45度をなす方向であり、前記磁着方向を夫々逆方向とし、回転軸に対して左に45度をなす方向と、右に45度をなす方向としたことを特徴とする請求項1記載の磁着筒付回転軸を用いた搬送装置。
- 駆動軸に装着した磁着筒と、従動軸に装着した磁着筒とが非接触に配置されたことを特徴とする請求項1記載の磁着筒付回転軸を用いた搬送装置。
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