JP3653893B2 - 回転電気機械装置用の永久磁石回転子 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、各極が複数の永久磁石片を有すると共にスキューが施されてなる回転電気機械装置用の永久磁石回転子に係わり、永久磁石片をその端面部で保持するガイド体のヨーク部への取り付け方法を改良したその構成にに関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を用いた同期電動機などの回転電気機械装置の内、比較的に容量の大きな装置においては、それぞれの磁極は複数の永久磁石片を用いて構成されていることが一般である。まず、このような永久磁石回転子の基本的な構成について、回転電気機械装置が同期電動機である場合を対象として、図6を用いて説明する。ここで図6は、基本構成例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は図6(a)におけるA−A断面図である。図6において、9Bは、偶数個の永久磁石極8Bと、ヨーク部4Bと、永久磁石極8Bと同数のガイド体6Bと、締結体である六角孔付きの頭部を持つねじ5とを備えた回転電気機械装置用の永久磁石回転子であり、図6(b)中に矢印で示されている方向の回転を行う。
【0003】
それぞれの永久磁石極8Bは、隣接し合う磁石極が互いに異なる極性となるように着磁をされると共に、永久磁石の製作を容易にするなどのために、複数(図6に示された事例では6個である)の永久磁石片7Bを用いて構成されている。全ての永久磁石片7Bは、永久磁石回転子9Bの回転中心軸線X−X〔図6(a)を参照〕に直交する平面に沿う方向の形状が同一形状であり、内周面7aはヨーク部4Bの外周部4aと同一径を持つ円弧状であり、外周面7bは内周面7aと同心をなす円弧状である。また、各永久磁石片7Bの両端面7c,7cは、互いに平行されると共に、回転中心軸線X−Xに平行する平面に合致するように形成されている。
【0004】
ヨーク部4Bは、鉄材などの磁性材を用いて円形の外周形状を有して作製されており、その外周部4aには永久磁石極8Bの個数と同数の凹溝49が、回転中心軸線X−Xと平行させて形成されている。この凹溝49の底部には、ねじ5をヨーク部4Bに固着するための固着部であるねじ孔48が形成されている。ガイド体6Bは、直方体状の形状を有すると共に,ねじ5と対向する部位に貫通孔61が形成されており、凹溝49に嵌め込まれたうえで、貫通孔61に挿入されたねじ5によってヨーク部4Bに締結される。このガイド体6Bは、永久磁石極8Bの相互間に介在され、その側面で永久磁石片7Bの端面7cを保持することで、永久磁石片7Bの永久磁石回転子9Bの回転方向に対する位置決めを行うと共に、永久磁石極8Bに発生する回転トルクをヨーク部4Bに伝達する役目を果たしている。
【0005】
なお、永久磁石極8Bには遠心力が働くことになるので、この遠心力に対処するために、例えば、ねじや接着剤などを用いて永久磁石片7Bをヨーク4Bに締結するとか、永久磁石片7Bの外周面7bにバインドを行うなどの対処が講じられることが一般であるが、いずれも周知のことであるのでその図示を省略した。また、永久磁石片7Bの外周面7bの形状としては、内周面7aと同心をなす円弧よりも短い径の円弧を主体として形成された外形を持つ,いわゆる凸極状としたものも知られている。なおまた、回転電気機械装置が同期発電機である場合においても、その永久磁石回転子の構成は、前記に示したところと基本的に同一であることは勿論のことである。
【0006】
ところで、永久磁石回転子9Bに従う構成を持つ回転電気機械装置の場合には、周知のコギングトルクが発生することで滑らかな回転を阻害されてしまうことが知られている。これに対処するために、従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子では、これも周知のスキューが施された永久磁石極が備えらえうことが一般である。次に、このようなスキューが施された永久磁石極を備える従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子について、回転電気機械装置が同期電動機である場合を対象として、図7を用いて説明する。
【0007】
ここで図7は、従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は図7(a)におけるB−B断面図である。図7においては、図6に示した基本構成例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図7中には、図6で付した符号については、代表的な符号のみを記した。図7において、9は、偶数個の永久磁石極8と、ヨーク部4と、永久磁石極8と同数のガイド体6と、ねじ5とを備えた回転電気機械装置用の永久磁石回転子である。
【0008】
それぞれの永久磁石極8が有する永久磁石片7は、基本構成例における永久磁石片7Bに対して、両端面7c,7cの形状のみが異なっている。すなわち、永久磁石片7の両端面7c,7cは、スキューを施すための必要から、1個の永久磁石極8を形成する複数の永久磁石片7の全体として、回転中心軸線X−Xを中心として旋回をする形状とされた螺旋状面に,極力合致されるように形成されている。すなわち、個々の永久磁石片7の両端面7c,7cは、互いに平行されると共に、前記の螺旋状面に合致する螺旋面や、前記の螺旋状面に近似する平面などに形成されている。
【0009】
ヨーク部4は、基本構成例におけるヨーク部4Bに対して、ガイド体6を嵌め込むための凹溝である凹溝47の側面の形状のみが異なっている。すなわち、ヨーク部4が有する凹溝47が持つ側面の,永久磁石片7の端面7cに隣接される部位に形成される側面は、回転中心軸線X−Xを中心として旋回をする形状とされた螺旋面に形成されている。ガイド体6は、基本構成例におけるガイド体6Bに対して、永久磁石片7の端面7cに当接される側面の形状のみが異なっている。すなわち、ガイド体6の永久磁石片7の端面7cに当接される側面は、回転中心軸線X−Xを中心として旋回をする形状とされた螺旋面に形成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術による永久磁石回転子、例えば、永久磁石回転子9が採用された回転電気機械装置では、永久磁石回転子が備える永久磁石極(例えば、永久磁石極8である)を形成している永久磁石片(例えば、永久磁石片7である)がスキューを施されていることによって、滑らかな回転を得ることができている。しかしながら、次記するようにその製造上に大きな問題がある。すなわち、従来例の永久磁石回転子が持つヨーク部(例えば、ヨーク部4である)やガイド体(例えば、ガイド体6である)では、これ等が持つ側面(例えば、ガイド体6の永久磁石片7の端面7cに当接される側面などである)は、螺旋状面に形成される必要があるので、例えば、工作機械としてはNCフライス盤を用いる必要がある。
【0011】
その上、例えば、工具にエンドミルを用いて加工を行う場合を例にとると、被加工物を一定速度で回動させる(回転中心軸線X−Xを中心とする回動に対応する)と共に、同時に、一定速度で移動(例えば、回転中心軸線X−Xに平行する方向の移動に対応する)を行なわせるというような高度な制御を行いながら加工を行うことが必要である。このために、使用できる工作機械装置が優れた制御能力を備える装置に限定されることになるし、その加工時間も長時間にならざるを得ないのである。そうして、このことは、永久磁石極の回転中心軸線X−Xに平行する方向の寸法であるその長さ寸法(以降、この長さ寸法を鉄心長と称することがある。)が長い場合や、スキューの角度が大きい場合ほど顕著になるものである。
【0012】
続いて、スキューが施された永久磁石極を備えながらも、前記の問題点を改善させた従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子について、回転電気機械装置が同期電動機である場合を対象として、図8を用いて説明する。ここで図8は、異なる従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は図8(a)におけるC−C断面図である。図8においては、図6に示した基本構成例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子、および、図7に示した従来例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図8中には、図6,図7で付した符号については、代表的な符号のみを記した。
【0013】
図8において、9Aは、偶数個の永久磁石極8Aと、ヨーク部4Aと、永久磁石極8Aが備える永久磁石片の個数と同数のガイド体6Aと、ねじ5とを備えた回転電気機械装置用の永久磁石回転子である。それぞれの永久磁石極8Aは、複数個の永久磁石片7Bが用いられて形成されていることについては、基本構成例による永久磁石極8Bの場合と同様である。しかし永久磁石極8Aでは、それぞれの永久磁石片7Bの端面7cのほぼ中心部が前述の螺旋状面に合致されるようにするため、図8(a)中に示したように、永久磁石片7Bはその端面7cを順次ずらし、階段状に配置されている。すなわち、永久磁石極9Aには、近似的なスキューが施されていることになる。
【0014】
ガイド体6Aは、基本構成例におけるガイド体6Bに対して、鉄心長の方向の寸法であるその長さ寸法が、短縮されていることが大きく異なっている。この長さ寸法は、永久磁石片7Bの鉄心長の方向の寸法であるその厚さ寸法と同等値に設定されている。ヨーク部4Aは、基本構成例におけるヨーク部4Bに対して、ガイド体6Aを嵌め込むための凹溝に関して、その個数と上面側から見た形状のみが異なっている。すなわち、ガイド体6Aを嵌め込むためにヨーク部4Aに形成される凹溝46は、永久磁石片7Bの使用個数と同数が形成されると共に、前記したガイド体6Aの形状に適合する形状とされている。そうして、個々の凹溝46は、その中心位置が、前述の螺旋状面に合致されるようにして形成されている。それぞれのガイド体6Aは、その中央部に貫通孔61が形成されている。
【0015】
永久磁石回転子9Aは、前記の構成を持つことで、スキューが施された永久磁石極を備えながらも、使用可能の工作機械装置が限定されるなどの、永久磁石回転子9が持つ前述の問題点をかなり解決することができている。しかしながら、永久磁石回転子9Aは、ヨーク部4Aに前記のような形状を持つ凹溝46を、各永久磁石極8Aの中間部位毎に複数個ずつ形成をする必要があるものである。そのうえ、上面側から見たその形状が矩形状であるので、それぞれの凹溝46を形成するには、例えば、工作機械にフライス盤を,工具にエンドミルを用いて加工する場合には、エンドミルをこの矩形に沿わせて二次元的に移動を行わせつつ加工をする必要がある。これ等のことで、凹溝46の加工のみにも長い加工時間が必要であることもあって、なお、多くの加工時間を要している。また、このことに加えて、永久磁石片7Bが前記のように階段状に配置された近似的なスキューが施されているために、スキュー効果が減じれるので、小さいながらもコギングトルクが発生してしまうのである。
【0016】
この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、各極が複数の永久磁石片を有すると共にスキューが施されているにも関わらず、その加工時間を減少することが可能な回転電気機械装置用の永久磁石回転子を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明では前述の目的は、
1)それぞれが互いにスキューを施されてなる複数の永久磁石片を有する偶数の永久磁石極と、永久磁石極を保持する磁性材製のヨーク部と、それぞれの永久磁石極の相互間に介在させてヨーク部に締結されたガイド体とを備え、それぞれの永久磁石片は、回転中心軸線に直交する平面に沿う方向の形状がほぼ同一形状を有してなる、回転電気機械装置用の永久磁石回転子において、
ガイド体は、外側面部で永久磁石片の端面を保持すると共に,中央部に貫通孔を有する保持部と、保持部が持つ貫通孔と連続された貫通孔を中央部に有すると共にその外側面部が円形をなす挿入部とを有し、前記の各永久磁石片に対応する個数が備えられてなり、ヨーク部は、その外周部に前記の挿入部と嵌まり合う円形の凹孔を有すると共に,この凹孔の底部にガイド体を締結するための締結体をヨーク部に固着するための固着部を有してなる構成とすること、または、
2)前記1項に記載の手段において、
ガイド体は、保持部の外側面部の形状が、挿入部の外側面部と同心に形成された円形である構成とすること、さらにまたは、
3)前記1項に記載の手段において、
ガイド体は、保持部と挿入部とが同一の外径を有して一体とされてなる円筒状体である構成とすること構成とすること、により達成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、この項の以下の説明においては、図6〜図8に示した基本構成例および従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、この項の以後の説明に用いる図中には、図6〜図8で付した符号については、代表的な符号のみを記した。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態の一例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は後記する図2におけるQ部の断面図であり、(c)は図1(b)におけるP矢視図である。また図2は、図1(a)におけるD−D断面図である。
図1,図2において、1は、図7に示した従来例による永久磁石回転子9に対して、ガイド体6およびヨーク部4に替えて、それぞれ、ガイド体2およびヨーク部3を用いるようにした回転電気機械装置用の永久磁石回転子である。ヨーク部3は、異なる従来例におけるヨーク部4Aに対して、凹溝46に替えて、円形の凹孔31を有することのみが異なっている。すなわち、凹孔31は、その中心位置が前述の螺旋状面に合致されるようにして形成されており、凹孔31の底部の中心位置にはねじ孔48が形成されている。
【0020】
ガイド体2は、例えば、金属材を用いて一体に形成された、挿入部21と保持部22とを有している。挿入部21は、凹孔31と嵌まり合う外側面を持つと共に、中央部に貫通孔を有する円筒状をなしており、この外側面の径寸法値は、保持部22の後記する幅寸法Wよりも小さい値とされている。保持部22は、平行四辺形状の外形を持つと共に、中央部には挿入部21が持つ貫通孔に連続させて形成された貫通孔を有している。挿入部21および保持部22の中央部に連続されて形成された貫通孔29は、異なる従来例におけるガイド体6Aが持つ貫通孔61に対応する貫通孔である。
【0021】
保持部22は、鉄心長の方向の寸法であるその長さ寸法Lが、前記のガイド体6Aと基本的には同様に、永久磁石片7の厚さ寸法と同等値に、また、その幅寸法Wは、互いに隣接する永久磁石極8の相互間隔長と同等値に、それぞれ設定されている〔図1(c)を参照〕。そうしてガイド体2は、この保持部22の,長さ寸法Lとほぼ同等の長さを持つ外側面22a,22aで、永久磁石片7の端面7c,7cを保持するのである。そうして、この外側面22a,22aは、永久磁石片7が持つ端面7c,7cの形状にほぼ適合された形状に形成されている。例えば、永久磁石片7の両端面7c,7cが螺旋面に形成されている場合には、外側面22a,22aは、両端面7c,7cと同等の螺旋面や、この螺旋面に近似する平面などに形成されることになる。
【0022】
このガイド体2は、挿入部21によって凹孔31に嵌め込まれたうえで、貫通孔29に挿入されたねじ5によってヨーク部3に締結される。そうして、ガイド体2は、永久磁石極8の相互間に介在され、保持部22の外側面22a,22aによって永久磁石片7の端面7cを保持することで、永久磁石片7の永久磁石回転子1の回転方向に対する位置決めを行うと共に、永久磁石極7に発生する回転トルクを、保持部22→挿入部21→ヨーク部3の経路でヨーク部3に伝達する役目を果たすのである。
【0023】
図1,図2に示すこの発明の実施の形態の一例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子1では前述の構成としたので、ヨーク部3にガイド体2を嵌め込むために、ヨーク部3とガイド体2のそれぞれに備られているのは、共に加工の容易な円形の凹孔31と円筒状の挿入部21である。すなわち、工作機械にフライス盤を,工具にエンドミルを用いて、それぞれの凹孔31を加工する場合を例にとると、前述の永久磁石回転子9Aが持つ凹溝46の場合とは異なり、凹孔31が円形の孔であることによって、エンドミルの二次元的な移動は一切不要となるので、その加工が極めて容易になるのである。これ等のことによって、永久磁石極8にコギングトルクの低減に有利な永久磁石片7を用いながらも、ガイド体2およびヨーク部3の加工時間を、従来例の場合よりも短縮することができるのである。
【0024】
発明の実施の形態の項における今までの説明では、ガイド体(例えば、ガイド体2である)が備える保持部(例えば、保持部22である)は平行四辺形状の外形を持つとしてきたが、これに限定されるものではなく、幅寸法Wを維持できるのならば、例えば、正方形,小判形,楕円形,あるいは円形であってもよいものである。これ等の各種の保持部の外形形状において、正方形や小判形などは円形に対して、永久磁石片(例えば、永久磁石片7である)の端面(例えば、端面7cである)に当接される保持部の面積を広くすることができることで、回転トルクに対する面圧値を低減できる利点を有する。これに対して、円形の外側面部の形状とされた保持部を有するガイド体の場合には、前述のガイド体2などの場合よりも加工が容易であることで、その加工時間をさらに短縮することができる利点を有している。
【0025】
【実施例】
以下この発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、この項の以下の説明においては、図1,図2に示したこの発明の実施の形態の例の永久磁石回転子、図6に示した基本構成例の従来例の永久磁石回転子、および、図7,図8に示した従来例の永久磁石回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、この項の以後の説明に用いる図中には、図1,図6〜図8で付した符号については、代表的な符号のみを記した。
【0026】
実施例1;図3は、請求項1,2に対応するこの発明の一実施例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は図3(a)におけるE−E断面図である。また、図4は、図3(b)におけるR部の断面図である。
図3,図4において、1Aは、図1,図2に示したこの発明の実施の形態の一例による永久磁石回転子1に対して、ガイド体2に替えてガイド体2Aを用いるようにした永久磁石回転子である。ガイド体2Aは、この発明になる永久磁石回転子1が備えるガイド体2に対して、平行四辺形状の保持部22に替えて直径Wの円形の外側面部形状とされた保持部23を有している。なお、この保持部23の外側面部は、貫通孔29と同心に形成されている。
【0027】
実施例1による永久磁石回転子1Aでは前述の構成としたので、発明の実施の形態の項で説明したところにより、コギングトルクの低減に有利な永久磁石片7を用いながらも、この発明の実施の形態例による永久磁石回転子1の場合よりも、ガイド体2Aの加工時間をさらに短縮することができるのである。ところで、永久磁石回転子(例えば、永久磁石回転子1,1Aなどである)では、部品の加工誤差によっては、組み立て時などにおいて、ガイド体(例えば、ガイド体2,2Aなどである)の外側面部の寸法Wの部分の修正加工が必要になる場合があり得る。寸法値Wが挿入部21の外側面の径寸法値よりも大きい寸法を持つガイド体2A(このことに関しては、前述のガイド体2も同様である)では、修正加工を行うべき対象部分が限定できることで、この修正加工の実施の際に有利となる利点も有している。
【0028】
実施例2;図5は、請求項1,3に対応するこの発明の一実施例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の前記の図4の場合と同様の部位について示すその断面図である。
図5において、1Bは、図3,図4に示した請求項1,2に対応するこの発明の一実施例による永久磁石回転子1Aに対して、ガイド体2Aおよびヨーク3に替えて、それぞれ、ガイド体2Bおよびヨーク3Aを用いるようにした永久磁石回転子である。ガイド体2Bは、この発明になるガイド体2に対して、ヨーク3Aに挿入される部分の外径寸法値をWとして、ガイド体2Bの全体として一様な外径としていることが相異している。また、ヨーク3Aは、この発明になるヨーク3に対して、ガイド体を嵌め込むための凹孔として,径寸法をWとした凹孔32を有することのみが相異している。
【0029】
実施例2による永久磁石回転子1Bでは前述の構成としたので、発明の実施の形態の項で説明したところにより、コギングトルクの低減に有利な永久磁石片7を用いながらも、この発明になる永久磁石回転子1Aの場合よりも、ガイド体2Bの加工時間を一層短縮することができるのである。
【0030】
【発明の効果】
この発明になる回転電気機械装置用の永久磁石回転子においては、前記の課題を解決するための手段の項で述べた構成とすることにより、次記する効果を奏する。
▲1▼前記の課題を解決するための手段の項の第(1)項による構成とすることにより、ガイド体のヨークに挿入される部位の形状と,ヨークにガイド体を嵌め込むための部位の形状とを、共に円形状にできる。したがって、コギングトルクの低減に有利な形状の永久磁石片を用いながらも、ガイド体およびヨークの加工時間を従来の技術の場合よりも短縮することが可能となる。またこれによって、永久磁石回転子の製造原価を低減することが可能となる。また、
▲2▼前記の課題を解決するための手段の項の第(2)項による構成とすることにより、ガイド体の永久磁石片の端面を保持する部位の形状も円形状にできることで、ガイド体の加工時間を前記の▲1▼項の場合よりもさらに短縮することが可能となる。さらにまた、
▲3▼前記の課題を解決するための手段の項の第(3)項による構成とすることにより、ガイド体全体の外形を同一径の円形にできることで、ガイド体の加工時間を前記の▲2▼項の場合よりも一層短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は後記する図2におけるQ部の断面図、(c)は図1(b)におけるP矢視図
【図2】図1(a)におけるD−D断面図
【図3】請求項1,2に対応するこの発明の一実施例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は図3(a)におけるE−E断面図
【図4】図3(b)におけるR部の断面図
【図5】請求項1,3に対応するこの発明の一実施例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の前記の図4の場合と同様の部位について示すその断面図
【図6】基本構成例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は図6(a)におけるA−A断面図
【図7】従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は図7(a)におけるB−B断面図
【図8】異なる従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は図8(a)におけるC−C断面図
【符号の説明】
1 永久磁石回転子
2 ガイド体
21 挿入部
22 保持部
29 貫通孔
3 ヨーク部
31 凹孔
5 ねじ
【発明の属する技術分野】
この発明は、各極が複数の永久磁石片を有すると共にスキューが施されてなる回転電気機械装置用の永久磁石回転子に係わり、永久磁石片をその端面部で保持するガイド体のヨーク部への取り付け方法を改良したその構成にに関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を用いた同期電動機などの回転電気機械装置の内、比較的に容量の大きな装置においては、それぞれの磁極は複数の永久磁石片を用いて構成されていることが一般である。まず、このような永久磁石回転子の基本的な構成について、回転電気機械装置が同期電動機である場合を対象として、図6を用いて説明する。ここで図6は、基本構成例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は図6(a)におけるA−A断面図である。図6において、9Bは、偶数個の永久磁石極8Bと、ヨーク部4Bと、永久磁石極8Bと同数のガイド体6Bと、締結体である六角孔付きの頭部を持つねじ5とを備えた回転電気機械装置用の永久磁石回転子であり、図6(b)中に矢印で示されている方向の回転を行う。
【0003】
それぞれの永久磁石極8Bは、隣接し合う磁石極が互いに異なる極性となるように着磁をされると共に、永久磁石の製作を容易にするなどのために、複数(図6に示された事例では6個である)の永久磁石片7Bを用いて構成されている。全ての永久磁石片7Bは、永久磁石回転子9Bの回転中心軸線X−X〔図6(a)を参照〕に直交する平面に沿う方向の形状が同一形状であり、内周面7aはヨーク部4Bの外周部4aと同一径を持つ円弧状であり、外周面7bは内周面7aと同心をなす円弧状である。また、各永久磁石片7Bの両端面7c,7cは、互いに平行されると共に、回転中心軸線X−Xに平行する平面に合致するように形成されている。
【0004】
ヨーク部4Bは、鉄材などの磁性材を用いて円形の外周形状を有して作製されており、その外周部4aには永久磁石極8Bの個数と同数の凹溝49が、回転中心軸線X−Xと平行させて形成されている。この凹溝49の底部には、ねじ5をヨーク部4Bに固着するための固着部であるねじ孔48が形成されている。ガイド体6Bは、直方体状の形状を有すると共に,ねじ5と対向する部位に貫通孔61が形成されており、凹溝49に嵌め込まれたうえで、貫通孔61に挿入されたねじ5によってヨーク部4Bに締結される。このガイド体6Bは、永久磁石極8Bの相互間に介在され、その側面で永久磁石片7Bの端面7cを保持することで、永久磁石片7Bの永久磁石回転子9Bの回転方向に対する位置決めを行うと共に、永久磁石極8Bに発生する回転トルクをヨーク部4Bに伝達する役目を果たしている。
【0005】
なお、永久磁石極8Bには遠心力が働くことになるので、この遠心力に対処するために、例えば、ねじや接着剤などを用いて永久磁石片7Bをヨーク4Bに締結するとか、永久磁石片7Bの外周面7bにバインドを行うなどの対処が講じられることが一般であるが、いずれも周知のことであるのでその図示を省略した。また、永久磁石片7Bの外周面7bの形状としては、内周面7aと同心をなす円弧よりも短い径の円弧を主体として形成された外形を持つ,いわゆる凸極状としたものも知られている。なおまた、回転電気機械装置が同期発電機である場合においても、その永久磁石回転子の構成は、前記に示したところと基本的に同一であることは勿論のことである。
【0006】
ところで、永久磁石回転子9Bに従う構成を持つ回転電気機械装置の場合には、周知のコギングトルクが発生することで滑らかな回転を阻害されてしまうことが知られている。これに対処するために、従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子では、これも周知のスキューが施された永久磁石極が備えらえうことが一般である。次に、このようなスキューが施された永久磁石極を備える従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子について、回転電気機械装置が同期電動機である場合を対象として、図7を用いて説明する。
【0007】
ここで図7は、従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は図7(a)におけるB−B断面図である。図7においては、図6に示した基本構成例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図7中には、図6で付した符号については、代表的な符号のみを記した。図7において、9は、偶数個の永久磁石極8と、ヨーク部4と、永久磁石極8と同数のガイド体6と、ねじ5とを備えた回転電気機械装置用の永久磁石回転子である。
【0008】
それぞれの永久磁石極8が有する永久磁石片7は、基本構成例における永久磁石片7Bに対して、両端面7c,7cの形状のみが異なっている。すなわち、永久磁石片7の両端面7c,7cは、スキューを施すための必要から、1個の永久磁石極8を形成する複数の永久磁石片7の全体として、回転中心軸線X−Xを中心として旋回をする形状とされた螺旋状面に,極力合致されるように形成されている。すなわち、個々の永久磁石片7の両端面7c,7cは、互いに平行されると共に、前記の螺旋状面に合致する螺旋面や、前記の螺旋状面に近似する平面などに形成されている。
【0009】
ヨーク部4は、基本構成例におけるヨーク部4Bに対して、ガイド体6を嵌め込むための凹溝である凹溝47の側面の形状のみが異なっている。すなわち、ヨーク部4が有する凹溝47が持つ側面の,永久磁石片7の端面7cに隣接される部位に形成される側面は、回転中心軸線X−Xを中心として旋回をする形状とされた螺旋面に形成されている。ガイド体6は、基本構成例におけるガイド体6Bに対して、永久磁石片7の端面7cに当接される側面の形状のみが異なっている。すなわち、ガイド体6の永久磁石片7の端面7cに当接される側面は、回転中心軸線X−Xを中心として旋回をする形状とされた螺旋面に形成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術による永久磁石回転子、例えば、永久磁石回転子9が採用された回転電気機械装置では、永久磁石回転子が備える永久磁石極(例えば、永久磁石極8である)を形成している永久磁石片(例えば、永久磁石片7である)がスキューを施されていることによって、滑らかな回転を得ることができている。しかしながら、次記するようにその製造上に大きな問題がある。すなわち、従来例の永久磁石回転子が持つヨーク部(例えば、ヨーク部4である)やガイド体(例えば、ガイド体6である)では、これ等が持つ側面(例えば、ガイド体6の永久磁石片7の端面7cに当接される側面などである)は、螺旋状面に形成される必要があるので、例えば、工作機械としてはNCフライス盤を用いる必要がある。
【0011】
その上、例えば、工具にエンドミルを用いて加工を行う場合を例にとると、被加工物を一定速度で回動させる(回転中心軸線X−Xを中心とする回動に対応する)と共に、同時に、一定速度で移動(例えば、回転中心軸線X−Xに平行する方向の移動に対応する)を行なわせるというような高度な制御を行いながら加工を行うことが必要である。このために、使用できる工作機械装置が優れた制御能力を備える装置に限定されることになるし、その加工時間も長時間にならざるを得ないのである。そうして、このことは、永久磁石極の回転中心軸線X−Xに平行する方向の寸法であるその長さ寸法(以降、この長さ寸法を鉄心長と称することがある。)が長い場合や、スキューの角度が大きい場合ほど顕著になるものである。
【0012】
続いて、スキューが施された永久磁石極を備えながらも、前記の問題点を改善させた従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子について、回転電気機械装置が同期電動機である場合を対象として、図8を用いて説明する。ここで図8は、異なる従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は図8(a)におけるC−C断面図である。図8においては、図6に示した基本構成例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子、および、図7に示した従来例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図8中には、図6,図7で付した符号については、代表的な符号のみを記した。
【0013】
図8において、9Aは、偶数個の永久磁石極8Aと、ヨーク部4Aと、永久磁石極8Aが備える永久磁石片の個数と同数のガイド体6Aと、ねじ5とを備えた回転電気機械装置用の永久磁石回転子である。それぞれの永久磁石極8Aは、複数個の永久磁石片7Bが用いられて形成されていることについては、基本構成例による永久磁石極8Bの場合と同様である。しかし永久磁石極8Aでは、それぞれの永久磁石片7Bの端面7cのほぼ中心部が前述の螺旋状面に合致されるようにするため、図8(a)中に示したように、永久磁石片7Bはその端面7cを順次ずらし、階段状に配置されている。すなわち、永久磁石極9Aには、近似的なスキューが施されていることになる。
【0014】
ガイド体6Aは、基本構成例におけるガイド体6Bに対して、鉄心長の方向の寸法であるその長さ寸法が、短縮されていることが大きく異なっている。この長さ寸法は、永久磁石片7Bの鉄心長の方向の寸法であるその厚さ寸法と同等値に設定されている。ヨーク部4Aは、基本構成例におけるヨーク部4Bに対して、ガイド体6Aを嵌め込むための凹溝に関して、その個数と上面側から見た形状のみが異なっている。すなわち、ガイド体6Aを嵌め込むためにヨーク部4Aに形成される凹溝46は、永久磁石片7Bの使用個数と同数が形成されると共に、前記したガイド体6Aの形状に適合する形状とされている。そうして、個々の凹溝46は、その中心位置が、前述の螺旋状面に合致されるようにして形成されている。それぞれのガイド体6Aは、その中央部に貫通孔61が形成されている。
【0015】
永久磁石回転子9Aは、前記の構成を持つことで、スキューが施された永久磁石極を備えながらも、使用可能の工作機械装置が限定されるなどの、永久磁石回転子9が持つ前述の問題点をかなり解決することができている。しかしながら、永久磁石回転子9Aは、ヨーク部4Aに前記のような形状を持つ凹溝46を、各永久磁石極8Aの中間部位毎に複数個ずつ形成をする必要があるものである。そのうえ、上面側から見たその形状が矩形状であるので、それぞれの凹溝46を形成するには、例えば、工作機械にフライス盤を,工具にエンドミルを用いて加工する場合には、エンドミルをこの矩形に沿わせて二次元的に移動を行わせつつ加工をする必要がある。これ等のことで、凹溝46の加工のみにも長い加工時間が必要であることもあって、なお、多くの加工時間を要している。また、このことに加えて、永久磁石片7Bが前記のように階段状に配置された近似的なスキューが施されているために、スキュー効果が減じれるので、小さいながらもコギングトルクが発生してしまうのである。
【0016】
この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、各極が複数の永久磁石片を有すると共にスキューが施されているにも関わらず、その加工時間を減少することが可能な回転電気機械装置用の永久磁石回転子を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明では前述の目的は、
1)それぞれが互いにスキューを施されてなる複数の永久磁石片を有する偶数の永久磁石極と、永久磁石極を保持する磁性材製のヨーク部と、それぞれの永久磁石極の相互間に介在させてヨーク部に締結されたガイド体とを備え、それぞれの永久磁石片は、回転中心軸線に直交する平面に沿う方向の形状がほぼ同一形状を有してなる、回転電気機械装置用の永久磁石回転子において、
ガイド体は、外側面部で永久磁石片の端面を保持すると共に,中央部に貫通孔を有する保持部と、保持部が持つ貫通孔と連続された貫通孔を中央部に有すると共にその外側面部が円形をなす挿入部とを有し、前記の各永久磁石片に対応する個数が備えられてなり、ヨーク部は、その外周部に前記の挿入部と嵌まり合う円形の凹孔を有すると共に,この凹孔の底部にガイド体を締結するための締結体をヨーク部に固着するための固着部を有してなる構成とすること、または、
2)前記1項に記載の手段において、
ガイド体は、保持部の外側面部の形状が、挿入部の外側面部と同心に形成された円形である構成とすること、さらにまたは、
3)前記1項に記載の手段において、
ガイド体は、保持部と挿入部とが同一の外径を有して一体とされてなる円筒状体である構成とすること構成とすること、により達成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、この項の以下の説明においては、図6〜図8に示した基本構成例および従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、この項の以後の説明に用いる図中には、図6〜図8で付した符号については、代表的な符号のみを記した。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態の一例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は後記する図2におけるQ部の断面図であり、(c)は図1(b)におけるP矢視図である。また図2は、図1(a)におけるD−D断面図である。
図1,図2において、1は、図7に示した従来例による永久磁石回転子9に対して、ガイド体6およびヨーク部4に替えて、それぞれ、ガイド体2およびヨーク部3を用いるようにした回転電気機械装置用の永久磁石回転子である。ヨーク部3は、異なる従来例におけるヨーク部4Aに対して、凹溝46に替えて、円形の凹孔31を有することのみが異なっている。すなわち、凹孔31は、その中心位置が前述の螺旋状面に合致されるようにして形成されており、凹孔31の底部の中心位置にはねじ孔48が形成されている。
【0020】
ガイド体2は、例えば、金属材を用いて一体に形成された、挿入部21と保持部22とを有している。挿入部21は、凹孔31と嵌まり合う外側面を持つと共に、中央部に貫通孔を有する円筒状をなしており、この外側面の径寸法値は、保持部22の後記する幅寸法Wよりも小さい値とされている。保持部22は、平行四辺形状の外形を持つと共に、中央部には挿入部21が持つ貫通孔に連続させて形成された貫通孔を有している。挿入部21および保持部22の中央部に連続されて形成された貫通孔29は、異なる従来例におけるガイド体6Aが持つ貫通孔61に対応する貫通孔である。
【0021】
保持部22は、鉄心長の方向の寸法であるその長さ寸法Lが、前記のガイド体6Aと基本的には同様に、永久磁石片7の厚さ寸法と同等値に、また、その幅寸法Wは、互いに隣接する永久磁石極8の相互間隔長と同等値に、それぞれ設定されている〔図1(c)を参照〕。そうしてガイド体2は、この保持部22の,長さ寸法Lとほぼ同等の長さを持つ外側面22a,22aで、永久磁石片7の端面7c,7cを保持するのである。そうして、この外側面22a,22aは、永久磁石片7が持つ端面7c,7cの形状にほぼ適合された形状に形成されている。例えば、永久磁石片7の両端面7c,7cが螺旋面に形成されている場合には、外側面22a,22aは、両端面7c,7cと同等の螺旋面や、この螺旋面に近似する平面などに形成されることになる。
【0022】
このガイド体2は、挿入部21によって凹孔31に嵌め込まれたうえで、貫通孔29に挿入されたねじ5によってヨーク部3に締結される。そうして、ガイド体2は、永久磁石極8の相互間に介在され、保持部22の外側面22a,22aによって永久磁石片7の端面7cを保持することで、永久磁石片7の永久磁石回転子1の回転方向に対する位置決めを行うと共に、永久磁石極7に発生する回転トルクを、保持部22→挿入部21→ヨーク部3の経路でヨーク部3に伝達する役目を果たすのである。
【0023】
図1,図2に示すこの発明の実施の形態の一例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子1では前述の構成としたので、ヨーク部3にガイド体2を嵌め込むために、ヨーク部3とガイド体2のそれぞれに備られているのは、共に加工の容易な円形の凹孔31と円筒状の挿入部21である。すなわち、工作機械にフライス盤を,工具にエンドミルを用いて、それぞれの凹孔31を加工する場合を例にとると、前述の永久磁石回転子9Aが持つ凹溝46の場合とは異なり、凹孔31が円形の孔であることによって、エンドミルの二次元的な移動は一切不要となるので、その加工が極めて容易になるのである。これ等のことによって、永久磁石極8にコギングトルクの低減に有利な永久磁石片7を用いながらも、ガイド体2およびヨーク部3の加工時間を、従来例の場合よりも短縮することができるのである。
【0024】
発明の実施の形態の項における今までの説明では、ガイド体(例えば、ガイド体2である)が備える保持部(例えば、保持部22である)は平行四辺形状の外形を持つとしてきたが、これに限定されるものではなく、幅寸法Wを維持できるのならば、例えば、正方形,小判形,楕円形,あるいは円形であってもよいものである。これ等の各種の保持部の外形形状において、正方形や小判形などは円形に対して、永久磁石片(例えば、永久磁石片7である)の端面(例えば、端面7cである)に当接される保持部の面積を広くすることができることで、回転トルクに対する面圧値を低減できる利点を有する。これに対して、円形の外側面部の形状とされた保持部を有するガイド体の場合には、前述のガイド体2などの場合よりも加工が容易であることで、その加工時間をさらに短縮することができる利点を有している。
【0025】
【実施例】
以下この発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、この項の以下の説明においては、図1,図2に示したこの発明の実施の形態の例の永久磁石回転子、図6に示した基本構成例の従来例の永久磁石回転子、および、図7,図8に示した従来例の永久磁石回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、この項の以後の説明に用いる図中には、図1,図6〜図8で付した符号については、代表的な符号のみを記した。
【0026】
実施例1;図3は、請求項1,2に対応するこの発明の一実施例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図であり、(b)は図3(a)におけるE−E断面図である。また、図4は、図3(b)におけるR部の断面図である。
図3,図4において、1Aは、図1,図2に示したこの発明の実施の形態の一例による永久磁石回転子1に対して、ガイド体2に替えてガイド体2Aを用いるようにした永久磁石回転子である。ガイド体2Aは、この発明になる永久磁石回転子1が備えるガイド体2に対して、平行四辺形状の保持部22に替えて直径Wの円形の外側面部形状とされた保持部23を有している。なお、この保持部23の外側面部は、貫通孔29と同心に形成されている。
【0027】
実施例1による永久磁石回転子1Aでは前述の構成としたので、発明の実施の形態の項で説明したところにより、コギングトルクの低減に有利な永久磁石片7を用いながらも、この発明の実施の形態例による永久磁石回転子1の場合よりも、ガイド体2Aの加工時間をさらに短縮することができるのである。ところで、永久磁石回転子(例えば、永久磁石回転子1,1Aなどである)では、部品の加工誤差によっては、組み立て時などにおいて、ガイド体(例えば、ガイド体2,2Aなどである)の外側面部の寸法Wの部分の修正加工が必要になる場合があり得る。寸法値Wが挿入部21の外側面の径寸法値よりも大きい寸法を持つガイド体2A(このことに関しては、前述のガイド体2も同様である)では、修正加工を行うべき対象部分が限定できることで、この修正加工の実施の際に有利となる利点も有している。
【0028】
実施例2;図5は、請求項1,3に対応するこの発明の一実施例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の前記の図4の場合と同様の部位について示すその断面図である。
図5において、1Bは、図3,図4に示した請求項1,2に対応するこの発明の一実施例による永久磁石回転子1Aに対して、ガイド体2Aおよびヨーク3に替えて、それぞれ、ガイド体2Bおよびヨーク3Aを用いるようにした永久磁石回転子である。ガイド体2Bは、この発明になるガイド体2に対して、ヨーク3Aに挿入される部分の外径寸法値をWとして、ガイド体2Bの全体として一様な外径としていることが相異している。また、ヨーク3Aは、この発明になるヨーク3に対して、ガイド体を嵌め込むための凹孔として,径寸法をWとした凹孔32を有することのみが相異している。
【0029】
実施例2による永久磁石回転子1Bでは前述の構成としたので、発明の実施の形態の項で説明したところにより、コギングトルクの低減に有利な永久磁石片7を用いながらも、この発明になる永久磁石回転子1Aの場合よりも、ガイド体2Bの加工時間を一層短縮することができるのである。
【0030】
【発明の効果】
この発明になる回転電気機械装置用の永久磁石回転子においては、前記の課題を解決するための手段の項で述べた構成とすることにより、次記する効果を奏する。
▲1▼前記の課題を解決するための手段の項の第(1)項による構成とすることにより、ガイド体のヨークに挿入される部位の形状と,ヨークにガイド体を嵌め込むための部位の形状とを、共に円形状にできる。したがって、コギングトルクの低減に有利な形状の永久磁石片を用いながらも、ガイド体およびヨークの加工時間を従来の技術の場合よりも短縮することが可能となる。またこれによって、永久磁石回転子の製造原価を低減することが可能となる。また、
▲2▼前記の課題を解決するための手段の項の第(2)項による構成とすることにより、ガイド体の永久磁石片の端面を保持する部位の形状も円形状にできることで、ガイド体の加工時間を前記の▲1▼項の場合よりもさらに短縮することが可能となる。さらにまた、
▲3▼前記の課題を解決するための手段の項の第(3)項による構成とすることにより、ガイド体全体の外形を同一径の円形にできることで、ガイド体の加工時間を前記の▲2▼項の場合よりも一層短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は後記する図2におけるQ部の断面図、(c)は図1(b)におけるP矢視図
【図2】図1(a)におけるD−D断面図
【図3】請求項1,2に対応するこの発明の一実施例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は図3(a)におけるE−E断面図
【図4】図3(b)におけるR部の断面図
【図5】請求項1,3に対応するこの発明の一実施例による回転電気機械装置用の永久磁石回転子の前記の図4の場合と同様の部位について示すその断面図
【図6】基本構成例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は図6(a)におけるA−A断面図
【図7】従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は図7(a)におけるB−B断面図
【図8】異なる従来例の回転電気機械装置用の永久磁石回転子の主要部を示す図面であり、(a)はその上面図、(b)は図8(a)におけるC−C断面図
【符号の説明】
1 永久磁石回転子
2 ガイド体
21 挿入部
22 保持部
29 貫通孔
3 ヨーク部
31 凹孔
5 ねじ
Claims (3)
- それぞれが互いにスキューを施されてなる複数の永久磁石片を有する偶数の永久磁石極と、永久磁石極を保持する磁性材製のヨーク部と、それぞれの永久磁石極の相互間に介在させてヨーク部に締結されたガイド体とを備え、それぞれの永久磁石片は、回転中心軸線に直交する平面に沿う方向の形状がほぼ同一形状を有してなる、回転電気機械装置用の永久磁石回転子において、
ガイド体は、外側面部で永久磁石片の端面を保持すると共に,中央部に貫通孔を有する保持部と、保持部が持つ貫通孔と連続された貫通孔を中央部に有すると共にその外側面部が円形をなす挿入部とを有し、前記の各永久磁石片に対応する個数が備えられてなり、ヨーク部は、その外周部に前記の挿入部と嵌まり合う円形の凹孔を有すると共に,この凹孔の底部にガイド体を締結するための締結体をヨーク部に固着するための固着部を有してなることを特徴とする回転電気機械装置用の永久磁石回転子。 - 請求項1に記載の回転電気機械装置用の永久磁石回転子において、
ガイド体は、保持部の外側面部の形状が、挿入部の外側面部と同心に形成された円形であることを特徴とする回転電気機械装置用の永久磁石回転子。 - 請求項1に記載の回転電気機械装置用の永久磁石回転子において、
ガイド体は、保持部と挿入部とが同一の外径を有して一体とされてなる円筒状体であることを特徴とする回転電気機械装置用の永久磁石回転子。
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