JP4119768B2 - タグ装置 - Google Patents

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JP4119768B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタグ装置に関し、例えば、商品管理などのために定型的な情報を無線通信する小規模な通信装置などに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、レンタルビデオ、CD(コンパクトディスク)などの商品在庫管理を行う上で、商品棚に配列されたビデオ商品、CD商品の有無などを、無線タグとしてRFID(無線識別)システムを用いて確認することが期待されている。
【0003】
このRFIDシステムでは、ビデオ商品やCD商品などを包むパッケージなどに、カード状またはフルム状のICタグを貼り付け、当該商品の近傍に配置したアンテナと当該ICタグが自動的に無線通信することにより、商品管理を行うことができる。商品管理のためにICタグ側で備える必要のある最低限の情報処理機能は、当該ICタグ内に設けられたICチップが持っている。
【0004】
一方、電磁ラベルの一例である電磁波(高調波)を利用したEM(Electric Magnetic)タグは、例えば、下記の非特許文献1に記載されたEAS(Electronic Article Surveillance:電子商品監視)に利用されるものである。すなわち、EMタグは、電磁波が照射されたときにその応答波を放射する所定の金属から出力される特有の電磁波(高調波)を記憶しておき、当該EMタグを貼り付けた商品が万引きされたときには、店舗の出入り口などに配置した電磁波検出装置がEMタグの放射する特有の電磁波に反応して万引きを検出するものである。
【0005】
商品が正規に貸し出されたり、販売されたりした場合には、当該EMタグそのものを商品から除去したり、EMタグは除去せず、前記磁性材料を磁化することによって所定金属から出力される電磁波を放射しないようにする。これにより、正規の貸借者(正規の購入者)が当該商品を携帯して出入り口を通過しても前記電磁波検出装置が反応することはなくなる。
【0006】
前記ICタグが前記ICチップの情報処理機能を利用して比較的高度な商品管理などにも利用できるのに対し、EMタグのほうは、単純に、放射する電磁波の有無だけによって万引きの検出などを支援するものである。
【0007】
【非特許文献1】
http://www.aimglobal.org/technologies/eas/easoverview.htm
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、商品によっては、前記ICタグによる商品管理とともにEMタグによるEASを実行したい場合がある。その場合、同じ商品にICタグとEMタグを貼り付けることになり、貼り付ける際の手間が大きく、商品の表面の多くがタグによって覆われてしまうという問題も生じ、利便性に欠ける。
【0009】
一方、前記ICタグは、フルム状の脆弱な構造のなかに小さく細密な前記ICチップを内蔵しているため、外部から機械的な力が加わった場合などに、当該ICチップが破壊されやすく、信頼性に問題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の本発明のタグ装置は、(1)線状の導電体を巻回してなるアンテナと、情報処理を実行するICチップとを有するフィルム状の無線タグと、(2)電磁波が照射されたときにその応答波を放射する金属層と、該金属の表面を覆い、磁化時に前記応答波の放射を阻害する磁性素材層とを有するフィルム状の電磁ラベルとを備え、(3)当該電磁ラベルを、少なくとも前記アンテナの一部はカバーせず、前記ICチップはカバーするように前記無線タグに貼り付けて構成したことを特徴とする。
【0011】
の本発明は第1の本発明のタグ装置において、前記ICチップは商品管理に係る情報処理を実行するものであり、管理対象となる商品に貼り付けることができる貼付構成を有することを特徴とする。
【0012】
の本発明は第1の本発明のタグ装置において、前記ICチップは商品管理に係る情報処理を実行するものであり、管理対象となる商品に所定の結合部材で結合することができる下げ札様の形態に構成されていることを特徴とする。
【0013】
の本発明は第1の本発明のタグ装置において、前記磁性素材は、ニッケル層を有することを特徴とする。
【0014】
の本発明は第4の本発明のタグ装置において、前記磁性素材層は、消磁のため、磁化可能金属フィルムを有することを特徴とする。
【0015】
の本発明は第1の本発明のタグ装置において、前記金属層の金属としてアモルファス合金を用いたことを特徴とする。
【0016】
の本発明は第1の本発明のタグ装置において、前記無線タグとして、ISO−IEC14443相当のRFIDタグを用いことを特徴とする。
【0017】
の本発明は第1の本発明のタグ装置において、前記電磁ラベルが、商品の盗難防止用であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
(A)実施形態
以下、本発明にかかるタグ装置の実施形態について説明する。
【0019】
(A−1)実施形態の構成および動作
本発明のタグ装置には様々な形態のものがあり得るが、本実施形態では、一例として図1(B)に示す電磁ラベル付無線タグとしてEAS機能付きRFIDタグ10を用いる。
【0020】
図1(B)において、当該EAS機能付きRFIDタグ10は、大きく2つの部分に分けることができる。その1つは、無線タグとしてのRFIDタグ11であり、もう1つは、電磁ラベルとしてのEMタグ12である。
【0021】
RFIDタグ10の平面構成全体の概略は、図1(A)に示す通りである。
【0022】
図1(A)において、当該RFIDタグ10は、基板部20と、アンテナ21と、ジャンパ線22と、ICチップ23とを備えている。
【0023】
基板20の材質には様々なものを利用可能であるが、例えば、加工性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)を利用することもでき、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂を使用することもできる。
【0024】
アンテナ21は、当該基板部20上で渦巻き状に巻回された導電体によって構成されている。したがって最も内側の1ターン21Aを構成する導電体と、最も外側の1ターン21Gを構成する導電体とは、連続した単一の導電体である。渦巻きの巻き数は特に限定する必要はないが、図示の例では、7ターンである。
【0025】
渦巻きの形状、サイズ、導電体の材質などは、当該アンテナ21を用いて無線通信を行う通信相手(ここでは、商品管理のための通信機能を有する情報処理装置であるRFIDリーダ(図示せず))との距離、使用する周波数、送信電力などの諸条件に依存して変更され得る。また、必要に応じて、必ずしも平面的な渦巻き形状に限らず、図1(A)の紙面に垂直な方向にある程度の凹凸を有する立体的なアンテナとしてもかまわない。
【0026】
ジャンパ線22は、最も内側の1ターン21Aを最も外側へ引き出してICチップ23に接続するための導電体である。ただし、引き出す際に、最も内側と最も外側の中間に存在する各ターン(一例として、21C)が電気的に接続されることがないように、ジャンパ線22のその部分には絶縁層(図示せず)が配されている。
【0027】
当該ジャンパ線22に端子23Bで接続されるとともに、最も外側のターン21Gに端子23Aで接続されたICチップ23は、少なくとも、記憶資源と、当該記憶資源に対するデータの読み書きなどを行う記憶資源制御機能を備えた集積回路である。必要に応じて、アンテナ21で受信した無線信号の復調、復号、解析などを行うための各機能、アンテナ21で送信する無線信号の変調、符号化などを行う各機能、演算機能(CPU)などを備えるものであってよい。演算機能を有する場合には、オペレーティングシステム(OS)や、OS上で機能する各アプリケーションなどのソフトウエアも、この部分に搭載され得る。
【0028】
前記記憶資源に格納されるデータのなかには、当該RFIDタグ11をその他のRFIDタグ(図示せず)から一意に識別するための識別情報(ID)が含まれることは当然である。通常、店舗のなかには同種および異種の多数の商品が存在するが、それらの商品のなかから当該RFIDタグ11を付与した1つの商品を識別するためには、この識別情報が必要となる。このIDをもとに、例えば、どの商品がどこにあるかを、リアルタイムで把握すること等も可能となる。
【0029】
商品の種類は特に限定しないが、例えば、DVDやVHSテープなどであってよい。DVDの場合にはそのケースなどに、VHSテープの場合にはカートリッジ(カセット)などに、当該EAS機能付きRFIDタグ10を貼り付けることができる。
【0030】
商品AT1が例えばVHSテープである場合、図3に示すように、当該商品AT1の表面の一部に、EAS機能付きRFIDタグ10が貼り付けられる。
【0031】
ICチップ23が機能するために必要な電力は、RFIDタグ11上に電源を搭載してそこから得るようにしてもよいが、コンパクト性や、軽量性に関する要求水準が高いRFIDタグ11では、外部から前記RFIDリーダなどが供給した無線電力を、共振回路などを介してICチップ23に供給するように構成しておくことが望ましい。共振回路の構成要素であるインダクタ(L)と、キャパシタ(C)のうち、インダクタとしては当該アンテナ21そのものを利用できるから、キャパシタ(図示せず)だけを用意すればよい。
【0032】
一方、前記EMタグ12のほうは、当該RFIDタグ11よりはるかに単純な構造を有する。
【0033】
EMタグ12は図1(B)の紙面に平行な方向には基本的に均質で構造を有さず、紙面に垂直な方向に層構造を有するのみである。
【0034】
この層構造は、例えば、拡大断面図である図2に示す通りであってよい。
【0035】
図2において、例えば、層L1は、スパッタリングによって形成された12μm程度の厚みを有するニッケル層であり、層L2は、23μm程度の厚みを有するPET(ポリエチレンテレフタレート)層であり、層L3は、0.8μm程度の厚みを有するアモルファス層であり、層L4は任意の厚みの接着剤層である。
【0036】
この接着剤層L4は、RFIDタグ11に当該EMタグ12を貼り付けてラミネート(積層)するための接着剤として利用される。
【0037】
ニッケル層L1は、磁化したときにはアモルファス層L3からの電磁波(高調波)WL2を抑制し、消磁したときにはアモルファス層L3からの電磁波WL2の出力を行う。
【0038】
本実施形態では磁性素材としてニッケルを用いたが、鉄やクロム等の他の磁化可能金属を使用することもできる。
【0039】
すなわち、EAS機能付きRFIDタグ10を貼り付けた商品が正規に貸し出されたり、販売されたりした場合には、EMタグ12ごと当該EAS機能付きRFIDタグ10を商品から除去したり、EAS機能付きRFIDタグ10は除去せず、当該ニッケル層L1を磁化することにより、EMタグ12(すなわち、アモルファス層L3)が電磁波WL2を出力しないようにする。これにより、当該商品の正規の貸借者(や正規の購入者)が当該商品を携帯して出入り口を通過しても電磁波検出装置(EMゲート)が反応することはなくなる。
【0040】
貸し出していた商品が返却されたとき等には、再度、当該ニッケル層L1を消磁してEASに利用する。
【0041】
図1(B)は、図2に示す矢印D1方向からEMタグ12を見た図であるため、図1(B)ではニッケル層L1が露出している。なお、図1(B)に示したニッケル層L1には円形に抜かれた部分HA1を有するが、これは、ニッケル層L1を消磁したときに電磁波WL2を出力しやすくするための貫通穴である。
【0042】
当該EMタグ12をRFIDタグ11上に貼り付けてラミネートするのは、前記ICチップ23を機械的な破壊から保護するためでもある。したがって、少なくともICチップ23の直上領域は、当該EMタグ12を構成する層L1〜L4でカバーする必要がある。
【0043】
例えば、図1(A)に示した3つの一点鎖線BR1〜BR3は、いずれもその一点鎖線より右側の領域にEMタグ12が存在し、左側の領域にはEMタグ12が存在しないことを意味する。
【0044】
原理的には、EMタグ12がRFIDタグ11からはみ出すように貼り付けてもかまわないが、はみ出さないように貼り付ける方が取り扱い上好ましい。その場合、前記一点鎖線BR1〜BR3のうちでは、一点鎖線BR3に対応するケースが最もEMタグ12の面積が小さく、一点鎖線BR1に対応するケースが最もEMタグ12の面積が大きい。また、一点鎖線BR2に対応するケースが、これらの中間にあたる。
【0045】
図1(B)に示したのは、この一点鎖線BR2に対応するケースである。
【0046】
上述した前提のもとでは、EMタグ12の面積が広くなるほど、EMタグ12に遮られることなくアンテナ21が露出する面積は小さくなるのは当然である。
【0047】
ただし上述した表面ラベル層L10や、接着剤層L11は、それらの材質がアンテナ21で送受される無線信号WL1を大きく減衰させるものでない限り、前記一点鎖線(例えば、BR2)の位置と無関係に、RFIDタグ11の全面をカバーしていてもよい。
【0048】
タグ装置の表面(EMタグの表面及びRFIDタグのEMタグで覆われていない表面)は、EMラベル及びRFIDタグの表面を保護するためポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムや、上質紙やコート紙、合成紙等を接着剤を介してラミネートすることが好ましい。
【0049】
これらのフィルムや紙の表面に文字や像、図形(1例としてバーコード等を表示しても良い。
【0050】
また、前記ニッケル層L1、アモルファス層L3などは前記無線信号WL1を減衰させる性質を有するため、同一の条件下で、無線信号WL1による通信が可能な距離を長くするには、一般的に、前記EMタグ12の面積は狭いほうが有利である。反対に、EMタグ12が放射する電磁波WL2を、前記EMゲートで、より遠くから検出するためには、EMタグ12の面積は広いほうが有利である。
【0051】
このうちEMタグ12の面積とEMゲートで電磁波WL2を検出できる距離との関係を示すために行った簡単な実験Aの結果を表1に、実験条件を表2にまとめてある。
【0052】
【表1】
Figure 0004119768
【表2】
Figure 0004119768
一点鎖線(例えば、BR2)の左右で、EMタグ12の厚み(すなわち、層L1〜L4の厚み)だけの段差が発生するが、表面ラベルL10の表面S10側に存在する文字、画像、図形などが、この段差の影響を受けなくするために、必要に応じて、アンテナ21で送受される無線信号WL1を減衰しない材質であって、なおかつ、層L1〜L4と同程度の厚みを有する層を一点鎖線(例えば、BR2)の左側の領域に存在するようにしてもよい。
【0053】
本発明のタグ装置はRFIDタグの表面(EMタグを設けた反対面)に接着剤層を設け商品に直接貼付しても良いし、タグ装置に穴を開け、糸を通して下げ札としても良い。
【0054】
(A−1−1) 実験A
表2の実験条件に示すように、この実験Aでは、RFIDタグ11として型式「TS−L101」(リンテック社製)を使用した。構成としては、基板部20としての、ポリエチレンテレフタレートフィルム(X方向21.5mm、Y方向12mm、厚さ0.3mm)の片側の表面に35μm厚の電解銅箔を加熱接着し、スクリーン印刷法により、エッチングレジストインクを印刷し、これを塩化第二鉄溶液にてエッチング処理を行い、アンテナ21、(アンテナを構成する導電体の)ターン21A,21C,21G以外の部分を除去した。その後、アルカリ水溶液にてエッチングレジストインクを除去し,図1(A)に示すような7重のアンテナを形成した。なお、アンテナ21の外寸はX方向19mm、Y方向10mmとした。
【0055】
次に、アンテナ21の最も内側のターン21Aと最も外側のターン21Gを導通させるために、導電性銀ーストをスクリーン印刷法により印刷し、ジャンパ線22を形成した。なお、ジャンパ線は、最も内側のターン21Aと最も外側のターン21Gの中間に存在する各ターンが導通されないように、紫外線硬化型インクをスクリーン印刷法によって印刷し、絶縁処理を行っている。
【0056】
次いで、ICチップ(フィリップス社製、商品名「I−code」)23を方性導電接着フルムを介して、アンテナ21に端子23A、23Bで接続されるように、フリップチップボンデリング法を用いて連結した。
【0057】
次に、基板部20のアンテナ21が形成されていない片側の表面に、アクリル系強接着性感圧型接着剤(リンテック社製、商品名「PA−T1」)を塗布しRFIDタグ11を形成した。
【0058】
得られたRFIDタグ11のアンテナ21が形成されている側の表面にEMタグ12として品名「Britem EMグ」(リンテック社製)をRFIDタグ11のICチップ23を覆うように、接着ラミネートした。
【0059】
EMタグの構成としては、厚み23μmのPETフィルム層にスパッタリングにより厚み0.8μmアモルファス層L3を形成し、その反対の面には、電着法により予め貫通穴HA1のあいた厚み12μmの純ニッケル箔L1を接着ラミネートした。なお、該貫通穴HA1は、直径1.2mm、X、Y方向共通の2.3mm等間隔で配置し、アモルファス層L3の表面にはアクリル系強接着性感圧型接着剤(リンテック社製、商品名「PA−T1」)の塗布を行っている。
【0060】
当該RFIDタグ11と前記無線信号WL1をやり取りするRFIDリーダとして型式「RHT−100−02」(ウェルキャット社製)を使用し、EMタグ12が出力する電磁波WL2を検知するEMゲートとして型式「EG−C01」(リンテック社製)の各製品を使用した。
【0061】
得られたEMタグ付RFIDタグをDVDのケースに貼り付けて実験を行った。
【0062】
この実験Aではまた、表1から明らかなように、図1(B)に示す矢印Y方向のEMタグ12の寸法を12mmとし、矢印X方向のEMタグ12の寸法を10mm〜16mmの範囲で変化させて、RIDタグにラミネートした。なお、RFIDタグ11の矢印Y方向の寸法は、12mmである。
【0063】
当該実験Aでは、EMタグ12の矢印X方向の寸法に関する全変化範囲(10mm〜16mm)で、RFIDタグ11が送信する無線信号WL1の内容を前記RFIDリーダが正常に読み取ることができた。
【0064】
そして、EMタグ12の矢印X方向の寸法が10mmのとき、EMゲートで電磁波WL2を検出できる距離の最大値は22cmであった。同様に、当該寸法が12mmのときには当該距離の最大値は23.5cmであり、当該寸法が14mmのときには当該距離の最大値は25cmであり、当該寸法が16mmのときには当該距離の最大値は30cmであった。
【0065】
また表1には、EMタグを磁化した場合のEMゲートの検知距離を測定した結果を示した。すべてのタグにおいて、検知距離0mmにて検知しなかった。
【0066】
実際の店舗や出入り口に前記EMゲートをどのように配置するかにも依存するが、多くの場合、EMゲートで電磁波WL2を検出できる距離の最大値として、このように20cm程度を確保できれば十分であると考えられる。
【0067】
また、EMタグ12をRFIDタグ11上にラミネートすることによる、ICチップ23の破損防止効果を確認するために、次の実験Bを行った。
【0068】
(A−1−2) 実験B
実験Bでは、前記RFIDタグ11として50mm角のものを用い、その上面の半分程度を図1(B)に示すようにEMタグ12でラミネートしたものと、図1(A)に示すようなRFIDタグに、リンテック社製「ユポ80 PA−T1」を用い全面を覆ったものとを用意した。
【0069】
これらをそれぞれ、DVDのケースに貼り付けて、JISの規格(Z0209、7形試験器)による六角ドラム試験を行った。
【0070】
試験の結果、図1(A)に示すように、EMタグ12をラミネートしていないものは、ICチップ23が破損した比率を示すチップ不良率が3%であったのに対し、図1(B)に示すように、EMタグ12をラミネートしたものは、チップ不良率が0%であり、EMタグ12のラミネートによるICチップ23の保護の有効性が確認できた。
【0071】
(A−2)実施形態の効果
本実施形態によれば、EMタグの機能と、RFIDタグの機能を併せ持つEAS機能付きRFIDタグ(10)を利用することにより、1つの商品にタグを貼り付ける手間が1回で足りるため、作業効率が高まり利便性が向上する。
【0072】
また、1つのEAS機能付きRFIDタグ(10)のサイズは、通常のRFIDタグ(11)と同じとすることができるため、EMタグ(12)とRFIDタグ(11)を別個に商品に貼り付ける場合に比べて、貼り付けたタグが占める面積を削減できる利点もある。
【0073】
商品が、例えば、DVDやVHSテープなどである場合、もともとその表面積はわずかであるため、貼り付けたタグによって多くの面積が覆われると、その商品が本来、表示している画像や説明文などが、タグの貼り付けによって見づらくなったり、読みづらくなったりする可能性が高いが、タグが占める面積を削減できれば、容易にその可能性を低減することができる。これは、タグを貼り付けるのに適した場所を選定しやすくなるという意味で利便性の向上に寄与する。
【0074】
さらに、EMタグ(12)をRFIDタグ(11)にラミネートすることがICチップ(23)の保護に寄与するため、例えば、運送の途中などに発生し得る機械的な衝撃によってICチップが破損する可能性を低減し、RFIDタグ(11)の信頼性を向上することができる。
【0075】
(B)他の実施形態
前記EMタグ12のラミネートは、保護の対象(例えば、ICチップ23)からみて、当該ICチップ23を破壊する可能性のある外力が作用する側(図1(B)で紙面の表側)で行うのが有効であると予想されるが、場合によっては、外力が作用する側と反対側にラミネートしても同等な効果が得られる。
【0076】
なお、RFIDタグ11を、上述した下げ札様の形態とした場合には、RFIDタグ11を含むEAS機能付きRFIDタグは、商品に貼り付けるのではなく、紐などを用いて商品に取り付けるようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、RFIDタグ11の機能を商品管理に利用したが、RFIDリーダから到来する無線信号(質問信号)に応じて、無線信号(応答信号)を返送するRFIDタグ11の機能は商品管理以外の目的に利用してもよいことは当然である。
【0078】
さらに、上記実施形態では、EMタグ12の機能をEASに利用したが、EMタグ12の機能をEAS以外の商品管理等の目的に利用してもよいことは当然である。
【0079】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、商品などに貼り付ける際の手間が少なく、多機能な割にサイズの小さいタグ装置を提供することが可能で、利便性に優れている。
【0080】
また、本発明では、タグ装置の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るEAS機能付きRFIDタグの概略構成例を示す平面図である。
【図2】 本発明の実施形態に係るEAS機能付きRFIDタグで使用するEMタグの拡大断面図である。
【図3】 本発明の実施形態に係るEAS機能付きRFIDタグの使用形態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…EAS機能付きRFIDタグ、
11…RFIDタグ、
12…EMタグ、
20…基板部、
21…アンテナ、
21A、21C、21G…(アンテナを構成する導電体の)ターン、
22…ジャンパ線、
23…ICチップ、
23A、23B…端子、
L1〜L4,L10,L11…層、
WL1…無線信号、
WL2…電磁波。

Claims (8)

  1. 線状の導電体を巻回してなるアンテナと、情報処理を実行するICチップとを有するフィルム状の無線タグと、
    電磁波が照射されたときにその応答波を放射する金属層と、該金属の表面を覆い、磁化時に前記応答波の放射を阻害する磁性素材層とを有するフィルム状の電磁ラベルとを備え、
    当該電磁ラベルを、少なくとも前記アンテナの一部はカバーせず、前記ICチップはカバーするように前記無線タグに貼り付けて構成したことを特徴とするタグ装置。
  2. 請求項1のタグ装置において、
    前記ICチップは商品管理に係る情報処理を実行するものであり、管理対象となる商品に貼り付けることができる貼付構成を有することを特徴とするタグ装置。
  3. 請求項1のタグ装置において、
    前記ICチップは商品管理に係る情報処理を実行するものであり、管理対象となる商品に所定の結合部材で結合することができる下げ札様の形態に構成されていることを特徴とするタグ装置。
  4. 請求項1のタグ装置において、
    前記磁性素材は、ニッケル層を有することを特徴とするタグ装置。
  5. 請求項のタグ装置において、
    前記磁性素材層は、消磁のため、磁化可能金属フィルムを有することを特徴とするタグ装置。
  6. 請求項1のタグ装置において、
    前記金属層の金属としてアモルファス合金を用いたことを特徴とするタグ装置。
  7. 請求項1のタグ装置において、
    前記無線タグとして、ISO−IEC14443相当のRFIDタグを用いことを特徴とするタグ装置。
  8. 請求項1のタグ装置において、
    前記電磁ラベルが、商品の盗難防止用であることを特徴とするタグ装置。
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