JP4119672B2 - 燃焼器およびガスタービン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガスタービン燃焼器を構成する燃焼筒の補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンは、圧縮機、燃焼器およびタービンを主要な構成要素として備えており、圧縮機において空気を圧縮し、圧縮された空気を燃焼器において燃料と反応させて燃焼させ、発生した燃焼ガスの熱や運動エネルギーを取り出して様々な用途に利用するとともに、燃焼ガスによってタービンを回転させ、得られた回転エネルギーをロータを介して圧縮機に伝達して駆動するしくみとなっている。
【0003】
ガスタービンの燃焼器には、燃焼ガスを後方に位置するタービンに導く燃焼筒が設けられているが、燃焼筒は常に高いエネルギーを秘めた燃焼ガスを導通するためにあらゆる方向に強いストレスを受けることになる。そこで、従来の燃焼器においては、燃焼筒の後端をガスタービンの車室に固定してこれに対抗している。
【0004】
図5には従来の燃焼器後端の固定構造を示す。図において、符号100は燃焼筒の後部を構成する尾筒、101はガスタービンの車室、102はタービンのシュラウド、103は尾筒100とシュラウド102との間に介在して尾筒100と車室101との間を封止するシール部である。尾筒100の後端には、車室101の一部である燃焼筒の固定座101aに固定されるガセット部104が尾筒100と一体となって設けられている。図6は尾筒100の後端を後方から平面視した図である。図に示すように、尾筒100後端の開口105はシュラウド102の曲率に合わせてわずかに湾曲した略矩形をなしており、開口105の周囲にはシール部103に掛合するフランジ106が設けられている。ガセット部104はフランジ106より僅かに前方にあって尾筒100の外側の側面から外方に張り出している。ガセット部104は長方形の舌片状をなし、その幅は開口105の幅よりも明らかに狭くなっている。また、ガセット部104には、固定用のネジを通す穴107が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような構造の燃焼器においては、ガスタービンを作動させたとき、燃焼筒を流通する燃焼ガスによって尾筒100に特殊な振動が生じ、この振動を原因としてガセット部104が破損することが問題となっている。ここで尾筒100に生じる振動とは、図7に示すように、タービンの半径方向に離間して向かい合う尾筒100の2つの側壁100a,100bと、これら2つの側壁間に在ってタービンの周方向に離間する2つの側壁100c,100dとが、燃焼器に生じる振動を原因として尾筒100の内外に振動することをいう。より詳細には、燃焼器に生じる振動により、側壁100a,100bが同時に尾筒100の内側に凹むように変形するとともに、側壁100c,100dが同時に尾筒100の外側に膨らむように変形し、次の瞬間には側壁100a,100bが同時に尾筒100の外側に膨らむように変形するとともに、側壁100c,100dが同時に尾筒100の内側に凹むように変形するといった現象を周期的に繰り返すのである。
【0006】
尾筒100がこうした振動を繰り返すと、車室101に固定されているガセット部104に大きな負担がかかることは容易に想像され、実際にはガセット部104そのものや、ガセット部104と尾筒100との溶接部分にクラック(ひび割れ)等の損傷が生じる可能性が指摘されている。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、燃焼筒を補強しガセット部やその周辺における損傷の発生を防止して燃焼筒の耐久性を向上させることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、次のような構成の燃焼器およびガスタービンを採用する。すなわち本発明に係る請求項1記載の燃焼器は、圧縮機によって圧縮された空気と燃料とを反応させて燃焼させ、発生した燃焼ガスを燃焼筒を通じてタービンに導入する燃焼器であって、断面が略矩形をなす前記燃焼筒のある側面に、該ある側面のほぼ全幅にわたって延在する補強リブが設けられており、かつ、前記補強リブが前記燃焼筒を座に固定するガセット部と一体に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、燃焼筒のある側面に、そのほぼ全幅にわたって補強リブを延在させることにより、補強リブを設けられた側壁が強度を高めて燃焼筒の内外への変形が規制される。これにより、破損の原因である図7のような側壁の振動が防止される。
また、本発明においては、補強リブをガセット部と一体に形成することによりガセット部が補強されて耐久性が向上する。また、両者を一体化することにより製造工数が削減されて加工性が高まる。
【0010】
請求項2記載の燃焼器は、圧縮機によって圧縮された空気と燃料とを反応させて燃焼させ、発生した燃焼ガスを燃焼筒を通じてタービンに導入する燃焼器であって、断面が略矩形をなす前記燃焼筒のある側面に、該ある側面のほぼ全幅にわたって延在する補強リブが設けられ、前記補強リブが前記燃焼筒を座に固定するガセット部と一体に形成され、前記補強リブに、前記ある側面の幅方向の全幅に渡り延在する肉薄部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、燃焼筒のある側面に、そのほぼ全幅にわたって補強リブを延在させることにより、補強リブを設けられた側壁が強度を高めて燃焼筒の内外への変形が規制される。これにより、破損の原因である図7のような側壁の振動が防止される。
また、本発明においては、補強リブをガセット部と一体に形成することによりガセット部が補強されて耐久性が向上する。また、両者を一体化することにより製造工数が削減されて加工性が高まる。
さらに、燃焼筒は、ガスタービンの負荷変動により前後方向にも力を受ける。そこで本発明においては、補強リブに肉薄部を形成することにより、補強リブと一体となったガセ ット部に柔軟性が与えられ、負荷変動による燃焼筒の変位が吸収されるのでガセット部や補強リブの破損が防止される。
【0012】
請求項3記載の燃焼器は、請求項1または記載の燃焼器において、前記補強リブが、前記座との間に隙間を空けて設けられていることを特徴とする。
【0013】
図7のような振動を防止しても、細かな周期で燃焼筒全体を震わす微振動は残る。そこで本発明においては、燃焼筒を固定する座と補強リブとの間に隙間を空けることにより、補強リブが微振動により座面を叩いて破損するといった現象が防止される。
【0014】
請求項記載のガスタービンは、請求項1ないしのいずれか記載の燃焼器を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、燃焼筒の破損の原因である図7のような側壁の振動が防止されるので、燃焼筒の耐久性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施形態を図1ないし図4に示して説明する。
図1はガスタービンを構成する燃焼器の断面図である。図において符号1は燃焼器、2は車室、3はパイロットノズル、4はメインノズル、5は燃焼筒、6はバイパス管、7はバイパス弁である。メインノズル4は、パイロットノズル3を取り囲むように複数(例えば8本)設けられている。燃焼筒5は、ノズル2,3から供給された燃料と空気とを反応させて燃焼させる部位であり、燃料と空気とを燃焼させる内筒5aと、燃焼ガスの流速を速めて後段のタービンに導入する尾筒5bとに分けられる。バイパス管6はガスタービンの負荷変動により燃焼筒5内の空気が不足する状態になった場合にバイパス弁7を開くことで車室2内の空気を燃焼筒5内に導入する流路となる。
【0017】
同図において、符号8はタービンの静翼、9は同じくタービンの動翼、10は静翼8の外側シュラウド、11は同じく静翼の内側シュラウド、12は尾筒5bと内外のシュラウド10,11との間に介在して燃焼筒5と車室2との間を封止するシール部である。
【0018】
図2には従来の燃焼筒後端の固定構造を示す。尾筒5bの後端にはシール部12と連結されるフランジ13が周囲に張り出すように設けられている。また、同じく尾筒5bの後端には、尾筒5bを車室2の一部である固定座2aに固定するためのガセットプレート14が、フランジ13に隣接して尾筒5bと一体に設けられている。
【0019】
図3は尾筒5bの後端を後方から平面視した図である。図に示すように、尾筒5b後端の開口15はシュラウド10,11の曲率に合わせてわずかに湾曲した略矩形をなしており、フランジ13は開口15の周囲に設けられている。
【0020】
ガセット部14はフランジ13より僅かに前方(燃焼ガスの上流側)にあって尾筒5bの外側の側面から外方に張り出している。ガセット部14は、尾筒5bの外側の側面5cに、そのほぼ全幅にわたって形成されており、単に固定座2aに対する尾筒5bの固定継ぎ手の働きをするだけではなく、側面5cを含む側壁の変形を防止する補強リブとしての働きを担っている。
【0021】
ガセット部14は、平面視すると本来のガセットとしての働きをする部分と、補強リブの部分とが重なった形状であることがわかる。ガセット部14の幅方向の中央には、固定座2aに接する当接部14aが設けられ、その両側には補強リブとしての働きをする張出部14bが設けられている。
【0022】
図4に示すように、当接部14aは固定座2a側に若干盛り上がって肉厚に形成されており、この部分が固定座2aに当接することで、補強部14bと固定座2aとの間には隙間16が設けられる。また、当接部14aには、固定用のネジを通す穴17が形成されており、尾筒5bはこの穴17に図示しないネジを通して固定座2aに螺着することで車室2に固定される。
【0023】
ガセット部14には、側面5cの幅方向に延在する肉薄部18が形成されている。肉薄部18は、ガセット部14の一方の側面に全幅にわたって形成したU溝14cによって構成されている。
【0024】
上記のように構成された燃焼器1を備えるガスタービンが作動し、燃焼筒5の内側を燃焼ガスが高速で流れるようになると、様々な要因によって燃焼筒に複雑な振動が発生する。このとき、補強リブとしての働きを備えるガセット部により、尾筒5bの側壁が強度を高めて尾筒5bの内外への変形が規制される。これにより、破損の原因である図7のような側壁の振動が防止される。
【0025】
また、補強リブとしての働きをする張出部14bと固定座2aとの間に隙間16を設けたことにより、張出部14bが微振動しても固定座2aの座面を叩いて破損するといった現象が防止される。
【0026】
さらに、ガセット部14に設けた肉薄部18により、補強リブと一体のガセット部14自体に柔軟性が与えられ、負荷変動による燃焼筒5の変位が吸収されてガセット部14の破損が防止される。
【0027】
本実施形態においては、ガセット部14と補強リブとを一体に構成した。これは、加工性を高めるうえで有効であるが、尾筒5bの振動を防止する目的からすれば、両者を一体ではなく別々に構成してもよい。両者を別々に構成しても、補強リブが尾筒の振動を防止すれば、従来型のガセット部であっても破損が防止されるからである。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、燃焼筒のある側面に、そのほぼ全幅にわたって補強リブを延在させることにより、補強リブを設けられた側壁が強度を高めて燃焼筒の内外への変形が規制され、破損の原因である側壁の特殊な振動が防止されるので、ガセット部およびその周辺の燃焼筒の耐久性が向上する。
【0029】
本発明によれば、補強リブをガセット部と一体に形成することによりガセット部が補強されるので、燃焼筒の耐久性がさらに向上する。また、両者を一体化することにより製造工数が削減されて加工性が高まる。
【0030】
本発明によれば、燃焼筒を固定する座と補強リブとの間に隙間を空けることにより、補強リブが微振動により座面を叩いて破損するといった現象が防止されるので、燃焼筒の微振動に対する耐久性も向上する。
【0031】
本発明によれば、補強リブに肉薄部を形成することにより、補強リブと一体となったガセット部に柔軟性が与えられ、負荷変動による燃焼筒の変位が吸収され、ガセット部や補強リブの破損が防止されるので、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る燃焼器の実施形態を示す断面図である。
【図2】 燃焼筒と固定座と接続構造を示す断面図である。
【図3】 図2におけるIII-III線矢視断面図である。
【図4】 図3におけるIV-IV線矢視断面図である。
【図5】 従来の燃焼器における燃焼筒と固定座と接続構造を示す断面図である。
【図6】 図5におけるVI-VI線矢視断面図である。
【図7】 尾筒の後端に生じる振動を模式的に示した状態説明図である。
【符号の説明】
1 燃焼器
2a 固定座
5 燃焼筒
5b 尾筒
14 ガセット部
16 隙間
18 肉薄部

Claims (4)

  1. 圧縮機によって圧縮された空気と燃料とを反応させて燃焼させ、発生した燃焼ガスを燃焼筒を通じてタービンに導入する燃焼器であって、
    断面が略矩形をなす前記燃焼筒のある側面に、該ある側面のほぼ全幅にわたって延在する補強リブが設けられており、かつ、前記補強リブが前記燃焼筒を座に固定するガセット部と一体に形成されていることを特徴とする燃焼器。
  2. 圧縮機によって圧縮された空気と燃料とを反応させて燃焼させ、発生した燃焼ガスを燃焼筒を通じてタービンに導入する燃焼器であって、
    断面が略矩形をなす前記燃焼筒のある側面に、該ある側面のほぼ全幅にわたって延在する補強リブが設けられ
    前記補強リブが前記燃焼筒を座に固定するガセット部と一体に形成され、
    前記補強リブに、前記ある側面の幅方向の全幅に渡り延在する肉薄部が形成されていることを特徴とする燃焼器。
  3. 前記補強リブが、前記座との間に隙間を空けて設けられていることを特徴とする請求項1または記載の燃焼器。
  4. 請求項1ないしのいずれか記載の燃焼器を備えることを特徴とするガスタービン。
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