JP4119199B2 - 水中コンクリート打設装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水中コンクリートを打設する際に使用するコンクリートの供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海洋土木工事において、海洋コンクリート構造物を建設する場合には可能な限り陸上で製作したものを設置しているが、水上からコンクリートの供給配管を水底の打設位置まで垂下させて水中コンクリートを打設することが多く行われている。
これは、水中にコンクリートを打設する際、周囲の水によりコンクリートが分離を起こしてセメント分が流失した欠陥を有するコンクリートになることを防ぎ、強度や密度の均一性などコンクリートの品質の信頼性を確保するために水底の打設位置までコンクリートと周囲の水とを隔離するために必要である。
【0003】
ところで、水中にコンクリートを打設する場合は、最初に供給管の放出部を水底から20〜30cmの位置に設置してコンクリートの放出を開始し、コンクリートの打設が進みコンクリートの塊が大きく成長すると、それに合わせて放出部を常にコンクリートに埋没させた状態を保持して放出したコンクリートが水中で分離するのを防ぎながら供給管を序々に引き上げながらコンクリートの打設を行う。
このとき、配筋を有する鉄筋コンクリート構造物を水中で打設する場合ではコンクリートを打設するところに配筋が箱型・格子状に組まれており、その間に供給管を入れ込んでコンクリートの打設を行う必要がある。
【0004】
しかし、水底の打設位置の上方に障害物がある場合(例えば、岸壁下の水底に打設する時の岸壁部の張り出しや橋梁の下に打設する場合など)においては、水上のコンクリート供給装置のブームの先端から鉛直に水底の打設位置まで供給管を垂下させることができない。そこで図5で示すように供給管1の下端を水中で水平方向に横引きして供給管1を傾斜させて打設位置の上方の障害物3を避けるように配置後にコンクリートの打設を行う必要があった。
【0005】
この方法では供給管1が傾斜して配置されるので、前述のような配筋2を有する鉄筋コンクリート構造物を水底に打設する場合には、傾斜した供給管1を箱型・格子状に組まれている配筋2の間に入れ込むことができず、強度の安定したコンクリートの打設が困難であった。
また、供給管1を傾斜させるために、水中での作業が必要であって、作業が非常に面倒であり、危険な作業であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は前記の問題を鑑み、障害物直下の水底へコンクリートを打設する際、障害物を避けてコンクリートの打設を行う水中コンクリート供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は先端に放出部を備える供給管を用いて水中へコンクリートの打設を行う水中コンクリート打設装置において、
屈曲自在になる屈曲部を有し該屈曲部を介して上部供給管と中間部供給管と下部供給管が連設されてなる供給管と、
前記上部供給管に設けられ供給管を屈曲させる動力となるシリンダーと、
シリンダーの作用力を供給管へ伝えて任意の角度に供給管を屈曲させる伝達手段を備え、
前記伝達手段が上部供給管へ鉛直方向に回動自在に支持される支持部で支承される連結棒で形成され、
該連結棒の上端側が前記シリンダーに連接され下端部が中間供給管へ回動自在に支持され、
前記連結棒がシリンダーの伸縮により上部供給管の支持部を回動中心として鉛直方向へ回動されて中間部供給管を持ち上げ屈曲部を屈曲させる
ことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図を用いて説明する。図1は本発明の実施例の全体側面図を示し、図2は図1の部分拡大図を示す。
図1において、陸上または船上に設けられたコンクリート製造装置で製造されたコンクリートはコンクリートポンプ4によってブーム12で支持されたコンクリート輸送管5により供給管1へ送られる。
前記ブーム12は水底の打設位置近傍の水上上方に延長され、ブーム12の先端から水中へコンクリート輸送管5に連接された供給管1を水底の打設位置まで配置する。
【0009】
ブーム12に支持されたコンクリート輸送管5の端部に連接された供給管1には、障害物3を避けるための最適な位置に、屈曲自在となるフレキシブルホースが屈曲部6として2ヶ所設けられており、前記供給管1はこのフレキシブルホース(屈曲部6)を介して3分割されている。コンクリート輸送管5の端部には上部供給管1aが連接されブーム12から垂下して設けられており、該上部供給管1aの下端部には屈曲自在な上部フレキシブルホース6a(屈曲部6)を介して中間部供給管1bが連設されている。該中間部供給管1bの下端部にも同様に屈曲自在な下部フレキシブルホース6b(屈曲部6)が設けられており、この下部フレキシブルホース1b(屈曲部6)を介して、下端部にコンクリートを放出する放出部10を有する下部供給管1cが連接されている。
【0010】
この屈曲自在な供給管1を屈曲させるための駆動源7として上部供給管1aにシリンダ−7aを設けて、該シリンダー7aの伸縮動作を供給管1が屈曲する作用力として利用する。シリンダー7aの伸縮を供給管1へ伝えるための伝達手段8である連結棒8aが上部供給管1aに設けた支持部9に回動自在で支承されている。該連結棒8aは中間部を前記上部供給管1aの支持部9に軸支持されており、上端部をシリンダー7aの伸縮するロッドの先端部へ取り付け、下端部を中間部供給管1bの支持部13へ取り付けられており、前記シリンダー7aが縮んだ状態では供給管全体が略一直線状態になるように配設されている。
【0011】
供給管1を屈曲させる際には、シリンダー7aを図1の右側へ伸長させると、シリンダーロッドの先端に取り付けられた連結棒8aが上部供給管1aに設けた支持部9を回動中心として図1中時計回りに回動される。連結棒8aが回動すると連結棒8aの下側端部の支持部13で支持された中間部供給管1bが図1中左向きに持ち上げられ、上部供給管1aと中間部供給管1bを連接する上部フレキシブルホース6aが屈曲される。中間部供給管1bの下端部に設けられた下部供給管1cは屈曲自在な下部フレキシブルホース6bで連接されているので下部供給管1c自身の自重によって垂下し、下部供給管1cの下端部に設けられた放出部10は垂直状態で水底の打設位置に配置することができる。
【0012】
このとき、連結棒8aにおけるシリンダー7aとの取り付け部から回動中心である支持部9までの距離L1と前記支持部9から中間部供給管1bとの支持部13までの距離L2との比率から中間部供給管1bの持ち上げられる範囲が決まり、供給管1の屈曲角度が決定されるので、この比率を変えることによって供給管1の屈曲角度を任意に変更することが可能となる。
もちろん、シリンダーのストロークを変更することによって屈曲角度の変更ができることは言うまでもない。
【0013】
第2実施例として、図3で示すように、伝達手段8としてワイヤー部材8bを用いる。ワイヤー部材8bの一端を中間部供給管1bに設けられた支持部15に固着させ、ワイヤー部材8bは中間部供給管1bと上部供給管1aに設けられた中間支持部14を介して駆動源であるウインチ7bに連接される。
前記中間支持部14はウインチ7bの巻き取り、巻き戻しによるワイヤー部材8bの移動を円滑に行うために滑り機能を持つ部材や滑車などにより形成されている。
【0014】
伝達手段8がワイヤー部材8bを用いるものにおいては、ウインチ7bの巻き取り動作によりワイヤー部材8bは巻き取られて、ワイヤー部材8bの端部に支持部15で固着された中間部供給管1bを持ち上げて上部フレキシブルホース6aを屈曲させる。
伝達部材8をワイヤー部材8bにすることにより、ワイヤー部材8bの巻き取り量を変えることで供給管1の屈曲角度を容易に変更できる。
さらに、中間支持部14を複数ヶ所設けることにより、屈曲部から離れた距離にウインチ7bを設置することが可能となり、水深に合わせて駆動源7を容易に水上へ設置することができる。
【0015】
第3実施例として、バランスウエイト11を設けた実施例を説明する。
供給管1を屈曲していない状態では上部供給管1aの中心線Cと供給管全体の重心Gとは同一垂線上にある。この供給管を屈曲すると図に示すように、供給管全体の重心Gは図中左側へ移動する。
この移動を小さくするため、連結棒8aの上端部にバランスウエイト11を設け、供給管1を屈曲させるために回動する連結棒8aの動きに連動してバランスウエイト11を上部供給管1aの中心線Cから移動させて、屈曲される供給管1が図中左側へ、バランスウエイト11が右側へそれぞれ移動させる。そのため、屈曲された供給管1の重量による重心の左側への移動とバランスウエイト11の重量による重心の右側への移動が相殺されて、供給管全体の重心Gは上部供給管1aの中心線C側へ補正される。
【0016】
連結棒8aの上端部にバランスウエイト11を設けているので、供給管1の屈曲角度が大きくなり重心の片寄りが大きくなる程、バランスウエイト11もより大きく中心部から離れ、供給管全体の重心Gを中心線C側へ補正する作用が大きく働き、より効率的に供給管全体の重心Gの補正が可能となる。
したがって、供給管1をコンクリートの打設位置へ配置する際に安定して配置でき、細かい打設位置の調整が可能になる。
【0017】
前記実施例では、屈曲部6を2ヶ所設けて供給管1を屈曲させて配置させているが、屈曲部6を一ヶ所設けて供給管1を一ヶ所のみ屈曲させても障害物3を避ける供給管1の配置は可能である。
また、配筋2の無い場合にはコンクリートの打設位置で放出部10を垂直にする必要がないので、屈曲部6を一ヶ所とする簡単な構造で障害物3を避けてコンクリートの打設を行うことができる。
さらに、屈曲部6を3ヵ所以上設けることにより、多様な形状、複雑な配置の障害物3にも対応でき、それら障害物3を避けて供給管を配置することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、障害物3を避けつつ、細かい打設位置の調整も行うことが可能となり、適正な位置へコンクリートの打設が行えるので、強度や密度の安定した品質の高いコンクリートの施工が可能となる。
また、打設時における最初の捨てコンなどの無駄なコンクリートが削減され大幅なコストの削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の全体側面図。
【図2】図1の連結棒と供給管を示す部分拡大図。
【図3】本発明の第2実施例の側面図。
【図4】本発明の従来例を示す全体側面図。

Claims (2)

  1. 先端に放出部を備える供給管を用いて水中へコンクリートの打設を行う水中コンクリート打設装置において、
    屈曲自在になる屈曲部を有し該屈曲部を介して上部供給管と中間部供給管と下部供給管が連設されてなる供給管と、
    前記上部供給管に設けられ供給管を屈曲させる動力となるシリンダーと、
    シリンダーの作用力を供給管へ伝えて任意の角度に供給管を屈曲させる伝達手段を備え、
    前記伝達手段が上部供給管へ鉛直方向に回動自在に支持される支持部で支承される連結棒で形成され、
    該連結棒の上端側が前記シリンダーに連接され下端部が中間供給管へ回動自在に支持され、
    前記連結棒がシリンダーの伸縮により上部供給管の支持部を回動中心として鉛直方向へ回動されて中間部供給管を持ち上げ屈曲部を屈曲させる
    ことを特徴とする水中コンクリート打設装置。
  2. 前記連結棒の上端部へバランスウエイトを備え、
    前記供給管が屈曲した状態になると
    連結棒の回動に連動してバランスウエイトが支持部を中心に回動して、供給管の重心が屈曲前の供給管の重心位置から偏心するのを抑制して、屈曲された供給管の重心を安定させること
    を特徴とする請求項1に記載の水中コンクリート打設装置。
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