JP4118286B2 - 半田ボール搭載方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板に搭載するための半田ボール搭載方法に関するものである。
パッケージ基板とICチップとの電気接続のために半田バンプが用いられている。半田バンプは、以下の工程により形成されている。
(1)パッケージ基板の形成された接続パッドにフラックスを印刷する工程。
(2)フラックスの印刷された接続パッドに半田ボールを搭載する工程。
(3)リフローを行い半田ボールから半田バンプを形成する工程。
上述した半田ボールを接続パッドに搭載する工程では、例えば、特許文献1に示されている印刷技術が用いられている。この印刷技術では、図14(A)に示すようにプリント配線板30上に接続パッド75と対向した位置に開口116aの設けられたボール整列用マスク116を載置し、スキージ124で半田ボール78sを接続パッド75上に落下させていた。
特開2001−267731号
ICの高集積化に伴い、パッケージ基板の半田バンプは更に小径化、狭ピッチ化が求められている。このため、半田ボールは200μmΦ未満の砂粒よりも小径となり、上述したボール整列用マスクとスキージを併用する方法では、半田バンプの高さのばらつきがでて品質が低下していた。
即ち、半田ボールが小径化すると、表面積に対する重量比が小さくなり、分子間力による半田ボールの吸着現象が生じる。従来技術では、凝集しやすい半田ボールをスキージを接触させて送るため、半田ボールを傷つけ一部に欠けが生じる。半田ボールの一部が欠けると、各接続パッド上で半田バンプの体積が異なるようになるので、上述したように半田バンプの高さにばらつきが生じる。体積の小さい半田バンプが存在すると、その半田バンプに熱応力が集中するために、接続信頼性が低下する。
また、プリント配線板の表面は平坦ではない。特に、ビルドアップ多層配線板では表面の凹凸が大きく、半田ボールを傷つけないようにスキージで送ることは非常に難しかった。ここで、プリント配線板にボール整列用マスクを載置すると、プリント配線板の凹凸に沿って、ボール整列用マスクにも窪んだ部分ができる。200μmΦ未満の半田ボールを扱う際には、図14(B)に示すように窪んだ部分ができたボール整列用マスク116上では、スキージ124が窪みに追従できずに半田ボール78sを上から押すようになって潰してしまい、搬送できなくなる。この対策のためにスキージを柔らかい材質で構成したとしても、図14(C)に示すように、スキージ124の先端部分が曲がり、その部分に半田ボール78sが入り込み潰れてしまう。このようにスキージを用いる方法では、200μmΦ未満の半田ボールを接続パッド上に正常なボリュームで搭載することが困難になった。
本発明の目的は、直径200μmΦ未満の半田ボールを接続パッドへ確実に搭載することができる半田ボール搭載方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、
プリント配線板のソルダーレジスト層の開口から露出する電極に対応する複数の開口を備えるボール整列用マスクを用い、半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板の電極に搭載するための半田ボール搭載方法であって、
ソルダーレジスト層の表面を平坦化し、
ボール整列用マスクの上方に、開口部を備える筒部材を位置させ、該筒部材で空気を吸引することで、当該筒部材直下のボール整列用マスク上に半田ボールを集合させ、
前記筒部材を水平方向に移動させることで、前記ボール整列用マスクの上に集合させた半田ボールをボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の接続パッドへ搭載させることを技術的特徴とする。
請求項2の発明は、プリント配線板のソルダーレジスト層の開口から露出する電極に、半田バンプとなる半田ボールを搭載するための半田ボール搭載方法であって、
ソルダーレジスト層の表面を平坦化し、
平坦化されたソルダーレジスト層の上方に、開口部を備える筒部材を位置させ、該筒部材で空気を吸引することで、当該筒部材直下のソルダーレジスト層上に半田ボールを集合させ、
前記筒部材を水平方向に移動させることで、前記ソルダーレジスト層の上に集合させた半田ボールをプリント配線板の接続パッドへ搭載させることを技術的特徴とする。
請求項1の半田ボール搭載装置によれば、ボール整列用マスクの上方に筒部材を位置させ、該筒部材の開口部から空気を吸引することで半田ボールを集合させ、筒部材を水平方向に送ることで、集合させた半田ボールをボール整列用マスクの上を移動させ、ボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の接続パッドへ落下させる。このため、微細な半田ボールを確実にプリント配線板の全ての接続パッドに搭載させることができる。また、半田ボールを非接触で移動させるため、スキージを用いる場合とは異なり、半田ボールに傷を付けることなく接続パッドに搭載でき、半田バンプの高さを均一にすることができる。また、非接触なため、半田ボールの凝集が起こり難いので、接続パッド上に確実に1個の半田ボールを搭載できる。
ここで、ビルドアップ多層配線板の様に、表面に起伏の多いプリント配線板でも、半硬化又は乾燥状態のソルダーレジスト層の表面を平坦部材で押圧して、当該表面を平坦化するため、プリント配線板上のボール整列用マスクの表面も平坦になるので半田ボールを、該ボール整列用マスク上を容易に移動することができる。このため、半田ボールを接続パッド上に1個の半田ボールを載置させることができる。
請求項2では、半硬化又は乾燥状態のソルダーレジスト層の表面を平坦部材で押圧して平坦化し、平坦化したソルダーレジスト層の上方に筒部材を位置させ筒部材の開口部から空気を吸引することで半田ボールを集合させ、筒部材を水平方向に送ることで、プリント配線板上を、半田ボールを移動させ、接続パッドに1個の半田ボールを載置させることができる。ボール整列用マスクを用いないため、プリント配線板側ソルダーレジスト層の開口が微細になっても、ボール整列用マスクの開口との位置ズレの問題を無くすことが可能となる。
先ず、本発明の実施例に係る半田ボール搭載方法及び搭載装置を用いて製造する多層プリント配線板10の構成について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、該多層プリント配線板10の断面図を、図9は、図8に示す多層プリント配線板10にICチップ90を取り付け、ドータボード94へ載置した状態を示している。図8に示すように多層プリント配線板10では、コア基板30の両面に導体回路34が形成されている。コア基板30の上面と裏面とはスルーホール36を介して接続されている。
更に、コア基板30の導体回路34の上に層間樹脂絶縁層50を介して導体回路層を形成する導体回路58が形成されている。導体回路58は、バイアホール60を介して導体回路34と接続されている。導体回路58の上に層間樹脂絶縁層150を介して導体回路158が形成されている。導体回路158は、層間樹脂絶縁層150に形成されたバイアホール160を介して導体回路58に接続されている。
バイアホール160、導体回路158の上層にはソルダーレジスト層70が形成されており、該ソルダーレジスト層70の開口71にニッケルめっき層72及び金めっき層74を設けることで、接続パッド75が形成されている。上面の接続パッド75上には半田バンプ78Uが、下面の接続パッド75上にはBGA(ボールグリッドアレー)78Dが形成されている。
図9中に示すように、多層プリント配線板10の上面側の半田バンプ78Uは、ICチップ90のランド92へ接続される。一方、下側のBGA78Dは、ドータボード94のランド96へ接続されている。
図10(A)は、多数個取り用の多層プリント配線板10Aの平面図である。多層プリント配線板10Aは、マトリクス状に接続パッド75が配列された接続パッド領域75Aを備える個々の多層プリント配線板10を、図中の一点鎖線で切断することで切り分ける。図7は、多数個取り用の多層プリント配線板10Aに半田バンプを形成する工程の説明図であり、図10(A)中のY1−Y1断面図に相当する。ここで、接続パッド領域は、図10(A)中の75Aの領域であって、最外周に位置する接続パッドを含み、その面積が最小となる矩形領域を言う。なお、図10(B)に示すように接続パッド75が矩形状に配置されていない場合は、接続パッド領域は、最外周の接続パッドを含み接続パッド領域75Aの矩形面積が最小となるように設定する。
図7(A)に示す多層プリント配線板の製造方法について図5及び図6を参照して説明する。図5(A)に示す多層プリント配線板30の表面にソルダーレジスト層70を設け、これを半硬化させる(図5(B))。このソルダーレジスト層70には、多層プリント配線板30の導体回路158に起因する凹凸(差分X1)が有る(図5(B)の一部を拡大して示す図11参照)。そして、半硬化状態のソルダーレジスト層70の両面にPETフィルム73を貼り付け、PETフィルム73を介して圧力を加えてソルダーレジスト層70の表面を平坦化する(図5(C))。その後、開口に対応する円パターン69aの描かれたフォトフィルム69を密着させて載置し、紫外線で露光する(図6(A))。その後、現像処理してから、80℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱処理して、接続パッドの形成位置に対応した開口(開口径:100μm)71を有するソルダーレジスト層70を形成する(図6(B))。開口71内の接続パッド75上に、ニッケルめっき膜72及び金めっき膜74を形成する(図6(C))。
図7(A)に示すように表面のソルダーレジスト層70の開口71に接続パッド75を形成した多層プリント配線板10Aの表面にフラックス80を印刷する。図7(B)に示すように多層プリント配線板10Aの上側の接続パッド75上に後述する半田ボール搭載装置を用いて微少な半田ボール78s(例えば日立金属社製、タムラ社製、直径40μmΦ以上、200μmΦ未満)を搭載する。ファイン化対応のため直径200μmΦ未満の半田ボールが望ましい。直径40μmΦ未満では半田ボールが軽すぎるため接続パッド上に落下しない。一方、直径200μmΦ以上になると逆に重すぎるため筒部材内に半田ボールを集合させることができず、半田ボールが載っていない接続パッドが存在するようになる。本発明では、直径40μmΦ〜直径200μmΦ未満の半田ボールを使う意義が高い。この範囲ではファイン化に有利である。また、吸着ヘッドで半田ボールを吸着して接続パッド上に半田ボールを搭載する方法では、半田ボールが小さいので吸着するのが困難になるため、実施例の方法の優位性が明らかになる。
その後、図7(C)に示すように多層プリント配線板10Aの下側の接続パッド75上に、従来技術(例えば、特許1975429号)に係る吸着ヘッドで通常径(直径250μmΦ)の半田ボール78Lを吸着して載置する。その後、リフロー炉で過熱し、図8に示すように多層プリント配線板10Aの上側に60μm以上200μm未満のピッチで半田バンプ78Uを、例えば2000〜30000個、下側に2mmピッチでBGA78Dを、例えば250個形成する。60μmピッチ未満となると、そのピッチに適した半田ボールを製造するのが困難になる。200μmピッチ以上になると、本方法においても何ら問題なく製造できるが、従来技術の方法でも製造可能である。更に、図9に示すように、多数個取り用の多層プリント配線板10Aを個片の多層プリント配線板10に切り分けてから、リフローにより半田バンプ78Uを介してICチップ90を搭載させた後、ICチップ90を搭載した多層プリント配線板10を、BGA78Dを介してドータボード94へ取り付ける。
図7(B)を参照して上述した多層プリント配線板の接続パッド上に微少(直径200μmΦ未満)な半田ボール78sを搭載する半田ボール搭載装置について、図1を参照して説明する。
図1(A)は、本発明の一実施例に係る半田ボール搭載装置の構成を示す構成図であり、図1(B)は、図1(A)の半田ボール搭載装置を矢印B側から見た矢視図である。
半田ボール搭載装置20は、多層プリント配線板10Aを位置決め保持するXYθ吸引テーブル14と、該XYθ吸引テーブル14を昇降する上下移動軸12と、多層プリント配線板の接続パッド75に対応する開口を備えるボール整列用マスク16と、ボール整列用マスク16上を移動する半田ボールを誘導する搭載筒(筒部材)24と、搭載筒24に負圧を与える吸引ボックス26と、余剰の半田ボールを回収するための吸着ボール除去筒61と、該吸着ボール除去筒61に負圧を与える吸引ボックス66と、回収した半田ボールを保持する吸着ボール除去吸引装置68と、ボール整列用マスク16をクランプするマスククランプ44と、搭載筒24及び吸着ボール除去筒61をX方向へ送るX方向移動軸40と、X方向移動軸40を支持する移動軸支持ガイド42と、多層プリント配線板10Aを撮像するためのアライメントカメラ46と、搭載筒24下にある半田ボールの残量を検出する残量検出センサ18と、残量検出センサ18により検出された残量に基づき半田ボールを搭載筒24側へ供給する半田ボール供給装置22と、を備える。図1に示す半田ボール搭載装置20では、搭載筒24及び吸着ボール除去筒61をX方向へ送るX方向移動軸40のみ示したが、Y方向へ送る移動機構を備えることも可能である。
図10(A)の平面図に示すように多数個取り用の多層プリント配線板10Aの上に、半田ボール搭載装置20の搭載筒24及び吸着ボール除去筒61は、個々の接続パッド領域75Aに対応させてY方向へ複数並べてある。なお、ここでは、1の接続パッド領域75Aに1の搭載筒24を対応させたが、搭載筒24を複数の接続パッド領域75Aに対応した大きさにしてもよい。ここで、Y方向は便宜的であり、X方向に並べても良い。XYθ吸引テーブル14は、半田ボールの搭載される多層プリント配線板10Aを位置決め、吸着、保持、補正する。アライメントカメラ46は、XYθ吸引テーブル14上の多層プリント配線板10Aのアライメントマークを検出し、検出された位置に基づき、多層プリント配線板10Aとボール整列用マスク16との位置が調整される。残量検出センサ18は光学的な手法により半田ボールの残量を検出する。
引き続き、半田ボール搭載装置20による半田ボールの搭載工程について図2〜図4を参照して説明する。
(1)多層プリント配線板の位置認識、補正
図2(A)に示すように多数個取り用の多層プリント配線板10Aのアライメントマーク34Mをアライメントカメラ46により認識し、ボール整列用マスク16に対して多層プリント配線板10Aの位置をXYθ吸引テーブル14によって補正する。即ち、ボール整列用マスク16の開口16aがそれぞれ多層プリント配線板10Aの接続パッド75に対応するように位置調整する。
(2)半田ボール供給
図2(B)に示すように半田ボール供給装置22から半田ボール78sを搭載筒24側へ定量供給する。なお、予め搭載筒内に供給しておいても良い。
(3)半田ボール搭載
図3(A)に示すように、ボール整列用マスク16の上方に、該ボール整列用マスクとの所定のクリアランス(例えば、ボール径の0.5〜4倍)を保ち搭載筒24を位置させ、吸引部24bから空気を吸引することで、搭載筒とプリント配線板間の隙間の流速を5m/sec〜35m/secにして、当該搭載筒24の開口部24A直下のボール整列用マスク16上に半田ボール78sを集合させた。
その後、図3(B)、図4(A)及び図10(A)に示すように、図1(B)及び図1(A)に示す多層プリント配線板10AのY軸沿って並べられた搭載筒24を、X方向移動軸40を介してX軸に沿って水平方向へ送る。これにより、ボール整列用マスク16の上に集合させた半田ボール78sを搭載筒24の移送に伴い移動させ、ボール整列用マスク16の開口16aを介して、半田ボール78sを多層プリント配線板10Aの接続パッド75へ落下、搭載させて行く。これにより、半田ボール78sが多層プリント配線板10A側の全接続パッド上に順次整列される。
(4)付着半田ボール除去
図4(B)に示すように、搭載筒24により余剰の半田ボール78sをボール整列用マスク16上に開口16aの無い位置まで誘導した後、吸着ボール除去筒61により吸引除去する。
(5)基板取り出し
XYθ吸引テーブル14から多層プリント配線板10Aを取り外す。
本実施例の半田ボール搭載方法、半田ボール搭載装置20によれば、ボール整列用マスク16の上方に搭載筒24を位置させ、該搭載筒24の吸引部24B(図2(B)参照)から空気を吸引することで半田ボール78sを集合させ、搭載筒24を水平方向に移送させることで、集合させた半田ボール78sをボール整列用マスク16の上を移動させ、ボール整列用マスク16の開口16aを介して、半田ボール78sを多層プリント配線板10Aの接続パッド75へ落下させる。このため、微細な半田ボール78sを確実に多層プリント配線板10Aの全ての接続パッド75に搭載させることができる。また、半田ボール78sを非接触で移動させるため、スキージを用いる場合とは異なり、半田ボールを傷を付けることなく接続パッド75に搭載でき、半田バンプ78Uの高さを均一にすることができる。このため、IC等の電子部品の実装性、実装後のヒートサイクル試験、高温・高湿試験等の耐環境試験に優れる。また、微少な半田ボールを確実に接続パッド上に載置することができるので、接続パッドピッチが60〜150μmピッチでソルダーレジストの開口径が40〜100μmのプリント配線板においても全てのバンプにおいてバンプ高さが安定した半田バンプとすることができる。
特に、ビルドアップ多層配線板の様に、表面に起伏の多いプリント配線板でも、半硬化又は乾燥状態のソルダーレジスト層の表面をPETフィルム等の平坦部材で押圧して平坦化するため、プリント配線板上のボール整列用マスクの表面も平坦になり、該ボール整列用マスク上を移動させて半田ボールを接続パッドに適切に載置させることができる。
更に、吸引力により半田ボールを誘導するため、半田ボールの凝集、付着を防止することができる。更に、搭載筒24の数を調整することで、種々の大きさのワーク(ワークシートサイズの多層プリント配線板)に対応することができるので、多品種、少量生産にも柔軟に適用することが可能である。
本実施例の半田ボール搭載装置では、図1(B)に示すように搭載筒24をワーク(ワークシートサイズの多層プリント配線板)の幅に対応させてY方向へ複数並べてあるため、複数の搭載筒24を、列方向に対して垂直方向(X方向)へ送るだけで、半田ボールを確実に多層プリント配線板10Aの全ての接続パッド75に搭載させることができる。
更に、吸着ボール除去筒61によりボール整列用マスク16上に残った半田ボール78sを回収できるので、余剰の半田ボールが残り、故障等の障害の原因となることがない。
[実施例1]
(1)プリント配線板の作製
出発材料として両面銅張積層板(例えば、日立化成工業株式会社製 MCL−E−67)を用い、この基板に周知の方法でスルーホール導体及び導体回路を形成した。その後、周知の方法(例えば、2000年6月20日 日刊工業新聞社発行の「ビルドアップ多層プリント配線板」(高木清著)で層間絶縁層と導体回路層とを交互に積層し、最外層の導体回路層において、ICへ電気的に接続するための接続パッド群を形成した。ここで、バイアホールからなる接続パッド(バイアホールの直上に半田バンプを形成)は、フィルドビアとし、その凹み量、凸量(図15参照)は、導体回路158の導体厚さに対し、−5〜5μmの範囲が望ましい。フィルドビアの凹み量が5μmを越える(−5μm)と、半田ボールとフィルドビアからなる接続パッドの接点が少なくなるので、半田バンプとするとき濡れ性が悪くなり、半田内にボイドを巻き込んだり、未搭載(ミッシングバンプ)になりやすい。一方、5μmを越えると導体回路158の厚みが厚くなるので、ファイン化に向かない。また、後述する平坦化も難しくなる。接続パッド群は、120μmΦ、導体厚:15μm〜20μmの接続パッドを接続パッド領域(70mm2 :10mm×7mm)内に2000個形成し、その大半が150μmピッチで格子状に配置されている。
接続パッドを形成した面にスクリーン印刷法により市販のソルダーレジストインクを下記の印刷条件で印刷により形成した。
ソルダーレジストインク:RPZ−1(日立化成工業社製)
スクリーン版:ポリエステル繊維製
スキージ速度:100〜200mm/秒
その後、50度で10分乾燥したのち、もう一方の面にも同条件でソルダーレジストインクを印刷し、60〜70度で20〜25分乾燥して半硬化状態のソルダーレジスト層を形成した。その後、接続パッド領域の一部の凹凸を表面粗さ計(例えば、東京精密機器社製「SURFCOM480A」、ビーコ社製WYKO「NT2000」)で測定した(測定数は5)。
「凹凸測定部と凹凸量:接続パッド上ソルダーレジスト層表面の高さと隣接する非接続パッド部(導体回路の無い部分)ソルダーレジスト層表面高さの界面を測定し(図5(B)、及び図5(B)の測定部を拡大して示す図11参照)、その高さ差を凹凸量(図中X1)とする」。図表中には測定値の最小値(min)と最大値(max)を示す。
次いで、ソルダーレジスト層の両面にPETフィルムを貼付し、PETフィルムを介してソルダーレジスト層に圧力をかけてソルダーレジスト表面を平坦化した。その際の条件は、プレス温度:30〜100℃、プレス圧:1.0〜10MPa、プレス時間:20秒〜5分が望ましい。30℃未満だと、ソルダーレジストが硬いので平坦化が困難となる。一方、100℃を越えると、軟化し過ぎ、プレスすると、ソルダーレジストの厚みが薄くなり過ぎる。プレス圧が1.0MPa未満だと平坦化が難しく、10MPaを越えると、ソルダーレジストの厚みの維持と、平坦化の両立が難しい。プレス時間が20秒未満であると、平坦化が難しく、5分を超えるとソルダーレジストの厚みが薄くなる。本実施形態では、プレス温度:80℃、プレス圧:5MPa、プレス時間:2分で行った。その後のソルダーレジスト表面の形状を図5(C)に示す。凹凸量の測定点は図5(B)と同点である。ソルダーレジスト層の平坦化した表面に対して、円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのフォトマスクフイルム(図示せず)を密着させて載置し、1000mj/cmの紫外線で露光し、炭酸ナトリウムで現像処理した。そしてさらに、80℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱処理して、接続パッドの形成位置に対応した開口(開口径:100μmΦ)を有する硬化状態のソルダーレジスト層を形成した。
(2)半田ボール搭載
(1)で作製したプリント配線板の表面(IC実装面)に市販のロジン系フラックスを塗布した。その後上述した本願発明の半田ボール搭載装置の吸着テーブルに搭載し、プリント配線板およびボール整列用マスクのアライメントマークをCCDカメラを用いて認識し、プリント配線板とボール整列用マスクを位置合わせした。ここで、ボール整列用マスクは、プリント配線板の接続パッドに対応した位置に110μmΦの開口を有するNi製のメタルマスクを用いた。メタルマスクの厚みは、半田ボールの1/4〜3/4が好ましい。ここでは、Ni製のメタルマスクを用いたが、SUS製やポリイミド製のボール整列用マスクを用いることも可能である。尚、ボール整列用マスクに形成する開口径は、使用するボールの径に対して1.1〜1.5倍が好ましい。次に、接続パッド領域に対応した大きさ(接続パッドが形成されている領域に対して1.1〜4倍)で、高さ200mmのSUS製の搭載筒を半田ボール径の0.5〜4倍のクリアランスを保ってメタルマスク(ボール整列用マスク)上に位置させ、その周囲近辺のボール整列用マスク上にボール直径80μmΦのSn63Pb37半田ボール(日立金属社製)を載せた。実施例では、半田ボールにSn/Pb半田を用いたが、SnとAg、Cu、In、Bi、Zn等の群から選ばれるPbフリー半田であってもよい。
そして、搭載筒上部の吸引部(5〜20mmΦ)24B(図2(B)参照)より空気を吸引し、半田ボールを搭載筒内のボール整列用マスク上に集合させた。
その後、搭載筒を移動速度20mm/secで送って半田ボールを移動させ、ボール整列用マスクの開口部から半田ボールを落下させて接続パッド上に半田ボールを搭載した。実施例1では、搭載筒24がSUSステンレス、Ni、Cu等の導電性金属で構成され、半田ボール搭載装置20側にアースされている。次に、ボール整列用マスクの余分な半田ボールを除去したのち、半田ボール整列用マスクとプリント配線板を半田ボール搭載装置から別個に取り外した。最後に、前記で作製したプリント配線板を230度に設定してあるリフローに投入して半田ボール付きプリント配線板とした。
半田バンプとしたのち、半田バンプを介してICチップを実装し、その後、ICチップとソルダーレジスト間に市販のアンダーフィル剤を充填し硬化し、IC搭載プリント配線板とした。
[実施例2]
実施例2では、実施例1において、接続パッド数を2000から4000、電子部品搭載エリア(接続パッド領域)面積を70mmから130mmに変更した。
[実施例3]
実施例3では、実施例1において、接続パッド数を2000から10000、電子部品搭載エリア面積を70mmから310mmに変更した。
[実施例4]
実施例4では、実施例1において、接続パッド数を2000から30000、電子部品搭載エリア面積を70mmから1200mmに変更した。
[実施例5〜8]
実施例5〜8では、実施例1〜4において、ソルダーレジストの平坦化条件を圧力5Mpa、時間2分、温度60度に変更した。
[実施例9〜12]
実施例9〜12では、実施例1〜4において、ソルダーレジストの平坦化条件を圧力3Mpa、時間2分、温度80度に変更した。
[実施例13〜16]
実施例13〜16では、実施例1〜4において、ソルダーレジストの平坦化条件を圧力1Mpa、時間2分、温度80度に変更した。
[実施例17]
実施例17は、実施例1と同様であるが、ソルダーレジスト厚さを25μmとし、80μmΦの半田ボールを用いた。そして、ボール整列用マスクを用いることなく半田ボールをプリント配線板上に直接移動させて搭載した。即ち、図12(A)に示すプリント配線板の開口71内にフラックス80を充填し、図12(B)に示すように、プリント配線板10Aの上に搭載筒24を移送させ、半田ボール78sを開口71内に搭載した。
[比較例1〜4]
比較例1〜4では、実施例1〜4において、ソルダーレジストの平坦化を行わなかった。
[比較例5]
比較例5では、実施例1において、半田ボールの代わりに半田ペーストを用いて半田バンプを形成した。
(評価試験)
1:異常バンプの観察
半田バンプ形成後、10倍の顕微鏡で半田バンプの大きさを全半田バンプ観察した。その結果、2個以上の半田ボールからなる異常バンプの有無を観察した。全半田バンプ中、異常バンプが1バンプあっても×とした。全バンプとも、1個の半田ボールからなる半田バンプであった場合を○とした。
2:HAST試験
実施例1〜17、比較例1〜4に従って製造したIC搭載プリント配線板について、独立したバンプ間に電圧をかけながらHAST試験(高温・高湿・バイアス試験:85℃×85%/3.3V)に投入した。50時間、100時間、150時間後に、電圧を印加してあったバンプ間の絶縁抵抗を測定した。測定結果が10の7乗Ω以上であれば合格(○)、未満であれば不良(×)である。なお、50時間のHAST試験に耐えれば、実用上要求される性能を備えるが、100時間耐え得ることがより望ましい。
3:ヒートサイクル試験
実施例1〜17、比較例1〜4に従って製造したIC搭載プリント配線板について、−55℃×5分⇔125℃×5分のヒートサイクル試験を、500回、1000回、1500回行い、IC搭載プリント配線板の裏面(IC実装面とは反対面)からICを介して再びIC搭載プリント配線板の裏面に繋がっている特定回路の接続抵抗の変化量を測定し、接続信頼性を調べた。なお、接続抵抗の変化量は、((ヒートサイクル後の接続抵抗値−初期値の接続抵抗値)/初期値の接続抵抗値)×100で表され、その値が±10%以内なら合格(○)、それ以外を不良(×)とした。なお、500回のヒートサイクル試験に耐えれば、実用上要求される性能を備えるが、1000回耐え得ることがより望ましい。
評価試験から、プリント配線板を平坦化することで、異常バンプの発生を防げる。更に、HAST試験、ヒートサイクル試験での成績を改善できることが明らかになった。上述した凹凸量は、0.3〜6.5μmが望ましく、さらに0.8〜5μmが望ましく、特に0.8〜3μmが好ましい。凹凸量は実施例に限らず、上述したプレス圧力、プレス温度、プレス時間の範囲内で組み合わせることで、上記実施例以外の組み合わせでも実現可能である。0.3μm未満では半田ボール搭載に関しては問題が無いが、ICとソルダーレジスト間に充填されるアンダーフィルとの密着力が低下し、接続信頼性や絶縁信頼性が低下すると推測している。一方、7.0μmを超えると、ソルダーレジスト表面にボール整列用マスクが追従せず、接続パッド表面からボール整列用マスクの開口部の表面(接続パッド表面から遠い側)までの距離のバラツキが大きくなるので、距離が大きな接続パッドでは2個以上の半田ボールが搭載される。そのため異常バンプが生じ、接続パッド間で絶縁抵抗が低下してしまうと推測される。また、半田バンプに高いバンプと低いバンプとが共存すると、低いバンプにICとプリント配線板の熱膨張係数差に起因する応力が集中するため、接続信頼性が低下すると考えている。
ソルダーレジストの平坦化方法としては、(1)ソルダーレジスト組成物を塗布後、それを乾燥または硬化する前(半硬化状態を含む)にソルダーレジスト層表面をスキージ、ブレード、ロールコ一ター、へら等でならすことにより行われるか、あるいは、(2)ソルダーレジスト組成物を塗布または貼り付けた後、それを乾燥または硬化した後(半硬化状態を含む)にソルダーレジスト層表面をプレス、または研削、研磨することによって行われるのが望ましい。
特に、上記(2)において、乾燥または硬化した後(半硬化)に、例えばPET等の樹脂フィルムを貼り付けた後に、樹脂フィルム上からプレスすることで平坦化することが望ましい。プレス条件は、プレス温度:30〜100度、プレス圧:1.0〜10MPa、時間:20sec〜3minの範囲内で行うのが好ましい。平坦化することで、ICとソルダーレジスト間の間隔のバラツキが小さくなるので、アンダーフィルの充填性も良くなり、アンダーフィルないのボイドも減少する。
ソルダーレジストは、市販品を使用することができ、例えば、日立化成工業社製:RPZ−1、アサヒ化学研究所社製:DPR−805GT7、太陽インキ製造社製:PSR−4000シリーズを使用できる。
実施例1と比較例5の半田バンプの高さ(ソルダーレジストから突出している高さ)をビーコ社製WYKO「NT2000」で500測定し、そのバラツキ(σ)を算出した。その結果は以下の通りであった。
σ
実施例1 1.26
比較例5 2.84
また、実施例1と比較例5のプリント配線板にICを実装し、ICとプリント配線板間にアンダーフィルを充填してIC搭載プリント配線板とした。その後、IC搭載プリント配線板の裏面(IC実装面とは反対側)からICを介して再びIC搭載プリント配線板の裏面に繋がっている特定回路の接続抵抗を測定し初期値とした。初期値測定後、85℃×80%の雰囲気中に15hr放置したのち、−55℃×5分⇔125℃×5分を1サイクルとするヒートサイクル試験を1000回継続して行い、再度接続抵抗を測定して接続信頼性を調べた。なお、接続抵抗の変化量は、((ヒートサイクル後の接続抵抗値−初期値の接続抵抗値)/初期値の接続抵抗値)×100で表され、その値が±10%以内なら合格、それを越えると不良である。結果は、実施例1が「合格」、比較例5が「不良」であった。
図1(A)は、本発明の一実施例に係る半田ボール搭載装置の構成を示す構成図であり、図1(B)は、図1(A)の半田ボール搭載装置を矢印B側から見た矢視図である。 図2(A)は多層プリント配線板の位置決めの説明図であり、図2(B)は搭載筒への半田ボールの供給の説明図である。 図3(A)は搭載筒による半田ボールの集合の説明図であり、図3(B)は搭載筒による半田ボールの集合、誘導の説明図である。 図4(A)は半田ボールの接続パッドへの落下の説明図であり、図B(B)は吸着ボール除去筒による半田ボールの除去の説明図である。 図5(A)、図5(B)、図5(C)は多層プリント配線板の製造工程の説明図である。 図6(A)、図6(B)、図6(C)は多層プリント配線板の製造工程の説明図である。 図7(A)、図7(B)、図7(C)は多層プリント配線板の製造工程の説明図である。 多層プリント配線板の断面図である。 図8に示す多層プリント配線板にICチップを取り付け、ドータボードへ載置した状態を示す断面図である。 図10(A)は多数個取り用の多層プリント配線板の平面図であり、図10(B)は接続パッド領域の別例の平面図である。 図5(B)中の多層プリント配線板を拡大して示す断面図である。 図12(A)は、実施例17のプリント配線板の断面図であり、図12(B)は、該プリント配線板への半田ボールの搭載の説明図である。 実施例及び比較例の評価結果を示す図表である。 図14(A)、図14(B)、図14(C)は、従来技術のボール整列用マスクを用いる半田ボールの搭載を示す模式図である。 フィルドビアの凹凸量の説明図である。
符号の説明
10 プリント配線板
16 ボール整列用マスク
16a 開口
20 半田ボール搭載装置
22 半田ボール供給装置
24 搭載筒(筒部材)
24A 開口部
42 移動軸支持ガイド
61 吸着ボール除去筒
68 吸着ボール除去吸引装置
73 PETフィルム
75 接続パッド
75A 接続パッド領域
78s 半田ボール
78G 半田ボール群

Claims (3)

  1. プリント配線板のソルダーレジスト層の開口から露出する電極に対応する複数の開口を備えるボール整列用マスクを用い、半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板の電極に搭載するための半田ボール搭載方法であって、
    ソルダーレジスト層の表面を平坦化し、
    ボール整列用マスクの上方に、開口部を備える筒部材を位置させ、該筒部材で空気を吸引することで、当該筒部材直下のボール整列用マスク上に半田ボールを集合させ、
    前記筒部材を水平方向に移動させることで、前記ボール整列用マスクの上に集合させた半田ボールをボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の接続パッドへ搭載させることを特徴とする半田ボール搭載方法。
  2. プリント配線板のソルダーレジスト層の開口から露出する電極に、半田バンプとなる半田ボールを搭載するための半田ボール搭載方法であって、
    ソルダーレジスト層の表面を平坦化し、
    平坦化されたソルダーレジスト層の上方に、開口部を備える筒部材を位置させ、該筒部材で空気を吸引することで、当該筒部材直下のソルダーレジスト層上に半田ボールを集合させ、
    前記筒部材を水平方向に移動させることで、前記ソルダーレジスト層の上に集合させた半田ボールをプリント配線板の接続パッドへ搭載させることを特徴とする半田ボール搭載方法。
  3. 前記ソルダーレジスト層の表面の平坦化は、半硬化又は乾燥状態のソルダーレジスト層を平坦部材で押圧して行うことを特徴とする請求項1又は請求項2の半田ボール搭載方法。
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