JP4117911B2 - ヒトiNOSに反応するモノクロナール抗体を用いる免疫学的検定法 - Google Patents
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Description
この出願は、先に1996年4月12日出願された出願番号第08/634,332号の出願の一部継続出願である。
発明の背景
この出願は、ヒトiNOSの検出および/または定量のための免疫学的検定もしくは他の手法に用いることができる新規でかつ有用なモノクロナール抗体に関する。
近年、窒素酸化物(NO)はエフェクターおよび/または調節分子であることが認められてきている。たとえば最近、脈管構造においての内皮依存性弛緩の原因である可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化におけるNOの作用に注目した研究分野がある。
ランガスミーら(Rangassmy et al.,米国生理学会(1994))による“気管支機能において窒素酸化物がパラ分泌を役割する免疫組織化学的実証”と表題された論文は、気管支血管でのこの効果を認めている。
これに関連して研究者は、中枢および末梢神経系においてNOが新しい神経伝達物質として作用することを見出している。さらに、活性化されたマクロファージ細胞毒性は、参照番号に基づいた固有宿主(host defense)機構で活性化されることが見出された。NOは、いまや哺乳類系で分泌される生合成的に誘導された最小のエフェクター分子であると考えられている。コッシュランド(koshland,Science Magazine,258巻(1992年12月))による“最近の分子”と表題された論文の記載された参照文献は、NOの生物学上の重要性を詳述している。ラッフィーら(Laffira et al.,Hepatology,22巻,No.,(1995))による“腹水および収縮過多性循環を伴う硬変患者からの中性好性白血球および単核細胞による窒素酸化物の生成増加”と表題された論文、およびゲラーら(Geller et al.,Proc. Natl. Sci. USA,90巻(1993年4月))による“ヒト肝細胞からの誘発性窒素酸化物合成酵素の分子クローニングおよび発現”と表題された論文は、肝臓中の窒素酸化物合成酵素(NOS)および窒素酸化物の活性を記述している。後者の文献には、ヒト誘発性NOSを描写するアミノ酸配列が示されている。一般的に、これらの論文は、iNOS誘発およびそれに続くNOの過剰生成に伴って肝臓が炎症および破壊した肝細胞のその随伴活性を伴った硬変について述べている。
臓器移植の拒絶反応は、活性化された単核細胞、マクロファージ、および/または中性好性白血球が活性のままで固有宿主機構により媒介され、iNOSが不可避的にNOの生成を誘導する作用によって引き起こされる。一方、特にiNOSを阻害し、それによってNOの生成を抑止すると同時に神経細胞のNOS(nNOS)かまたは内皮の(eNOS)、この酵素の他の2つのイソ体(isofroms)のいずれかを抑制する薬剤の開発も図られている。
コンガーら(Conger et al.,The Jouynal of Clinica Investigation,Inc.,96巻(1995年7月))による“ラットの虚血後急性腎不全における内皮依存性血管拡張剤には無反応にも拘らず増加した窒素酸化物合成酵素の活性”と表題された論文では、ラット腎臓障害における窒素酸化物の活性を認めている。
ワイルドハートら(Wildhirt et al.,Cardiovascular Reseach,29巻(1995))による“心筋梗塞における窒素酸化物合成酵素イソ酵素の免疫組織化学”と表題された論文は、心臓に損傷を与えたウサギの損傷した心筋層中で、L−アルギニンからシトルリンおよび窒素酸化物への転化を認めている。
NO生合成経路は近年、広範囲に実験されている。最近、NOを産生するイソ酵素のファミリーが存在することが認められた。セッサ(Sessa,J. Vasc. Res.(1994))による“窒素酸化物合成酵素のタンパク質ファミリー”は、3つのNOSイソ酵素を認めている。3つのNOSイソ酵素は全て、L−アルギニンおよび酸素からシトルリンおよびNOへの転化を触媒作用する。さらに、この触媒転化が要求する5つの共通要素が見出された。これらはカルモデュリン、NADPH、FAD、FMNおよびテトラヒドロビオプテリンである。一般に合成酵素(NOS)の3つのイソ体は、好球性イソ体であるタイプ1(nNOS);誘発性イソ体であるタイプ2(iNOS);内皮性イソ体であるタイプ3(eNOS)に分類される。nNOSおよびeNOSは、本質的にそれらが存在する細胞中で発現される。iNOSは、本質的に発現されないが、いくつかのサイトカインおよびリポ多糖類(LPS)によって多少は誘発される。またnNOSは、神経伝達物質として働くことも見出されている。さらにiNOSは、固有宿主および細胞免疫に関係する。またeNOSは、血圧(vascular tone)および血流コントロールに関与する。3つの(3)NOS酵素イソ体は、それらがほぼ60%の配列相同であることから、真性イソ酵素のカテゴリーに分類される。
iNOSは、特定の病理学的疾患状態に強く関与している。ワイガートら(Weigert et al.,Journal of the American Society of Nephrology、5巻、No.12(1995))による“内毒血症(endotoxemic)ラット大動脈における誘発性窒素酸化物合成酵素の発現および選択的阻害”では、敗血症ショックに関してiNOSの果たす重要性を検討している。特に敗血症および敗血症ショックが起きると、多量のグラム陰性菌由来のLPSおよびサイトカインは、単核細胞、マクロファージ、好中球、肝細胞、または他の細胞体中、iNOSの発現を生理的に誘発することができ、NOの過剰産生を誘発する。次いでまた全身系の広範な血管拡張による敗血症および敗血症ショックに伴う有害な効果を引き起こす。
NOSに対するモノクロナール抗体の開発およびそのような抗体を生物薬学的検証に用いることがいくつかの研究グループにより報告されている。ハットリら(Hattori et al.,Hybridoma,12巻、No.6(1993))による“モノクロナール抗体による窒素酸化物合成酵素の安定化”と表題された論文では、活性化したラット腹膜マクロファージから誘導したラットiNOSに対するモノクロナール抗体のパネルについて述べている。そこには、ラットiNOSの酵素活性を無効にするモノクロナール抗体はないが、酵素を安定化させるモノクロナール抗体がいくつか報告されている。
ゲリアら(Gelea et al.,FASAB journal,9巻,(1995年12月))による“脳発達中の血管におけるカルシウム依存性窒素酸化物合成酵素の一過性発現”と表題された論文には、ラットiNOSに対して培養されたモノクロナール抗体を用いてタンパク質ストリップを検出することが記載されている。さらに先のRengasamyの論文には、上記のように、ウシnNOSに対して開発されたモノクロナール抗体の解析および開発が記載されている。ウェウタン免疫ブロットにより、このモノクロナール抗体はウシnNOS、ウシeNOSおよびマウスiNOSを認識することが分かった。同一のモノクロナール抗体が、免疫組織化学的方法により、ラットnNOS、ラットeNOSおよびラットiNOSを認識することがわかった。
フジサワら(Fujisawa et al.,Journal of Neurochemistry,64巻(1995))による“ヒトグリア膠芽腫株化細胞における誘発性窒素酸化物合成酵素”と表題された論文には、ヒトグリア膠芽腫株化細胞であるA−172細胞におけるiNOS誘発について記載している。
トレーシーら(Tracy et al.,米国生理学会,Rapid Communication(1994))による“ヒト肺における誘発性NO合成酵素の免疫化学的検出”と表題された論文は、RAW264.7マクロファージにおけるiNOS誘発について記載している。誘発されたRAW264.7細胞に由来するマウスiNOSに対して培養されたポリクロナール抗体が、ヒト肺組織におサるiNOSの発現の研究に使用された。
ポロックら(Pollock et al.,米国生理学会(1993))による“特定のモノクロナール抗体を用いた内皮性窒素酸化物合成酵素の解析および位置決定”は、ウシeNOSに対して開発され、nNOSまたはiNOSとはクロス反応しないモノクロナール抗体パネルの解析および開発を記載している。
米国特許第4,376,110号および第4,879,219号には、モノクロナール抗体を用いて抗体源物質を検出する免疫学的検定が記載されている。
ケンタッキー州、レキシントンのトランスダクション・ラボラトリー(Transdution Laboratories)のパンフレットには、種々のラットNOSイソ体の組換えフラグメントに対して培養されたいくつかのマウスモノクロナール抗体が提示されている。
サンタクルーズ・バイオテクノロジー(Santa Cruz Biothechnology)社の“シグナル中間媒体−NOS”と名称されたパンフレットには、種々のNOSイソ体を特定するポリクロナール型抗ペプチド抗体が提示されている。
ベーリンガー・マンハイム・コーポレーション(Boehringer Mannheim Corporation)による“イソストリップ(Isostrip)”と名称されたパンフレットには、処理済ストリップを用いて簡素化されたマウス免疫グロブリンのサブクラスおよびκまたはλ軽鎖を検出するためのマウスモノクロナール抗体のイソ体を分類するキットが例示されている。
ヒトiNOSを特定するためのイムノアッセイに用いるヒトiNOSに対するモノクロナール抗体のパネルの開発は、生物医学的分野に特筆すべき進歩をもたらすであろう。
発明の開示
本発明によれば、新規でかつヒトiNOSを特定するために有用なモノクロナール抗体の試験体群(パネル)が開発され、ヒトiNOSを特定するための免疫学的検定(イムノアッセイ)に有用であることが実証された。これらのモノクロナール抗体は、種々の標準的な技術により解析される。
さらにヒトiNOSに反応し、またタンパク質の特定線状合成ペプチド類似体にも結合するこのモノクロナール抗体を用いる種々の試験法が開発された。たとえば競合結合ELISA、免疫蛍光測定法(IFA)などの試験法が開発された。このような方法としてさらには、ウェウタンブロット、ディップスティック、蛍光ポーラリゼイション、酵素捕獲(キャプチャー)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などが開発された。試験は、ヒト敗血症ショックのマウスモデルおよび敗血症ショックのヒト標本を用いて行われ、制御された環境下で実証された。
本発明では、ヒトiNOSの特定領域がいくつか用いられた。すなわちヒトiNOSのA3、A4、A3+A4、F6、G11および/またはH1ローカス(locus)をターゲットとした。これらローカスとの結合における特定の結合対および特定の結合薬分子もまた開発された。たとえば上記したモノクロナール抗体が、特定の結合体構成要素として使用される。勿論、ポリクロナール抗体、オリゴヌクレオチド、人工抗体として刻印されたポリマー、結合部位を呈するファージおよびこれら類似体もまたこの目的で使用することができる。また本発明では、ペプチドを組合わせて試験に用いてもよい。
上記に掲示したiNOS領域のペプチドおよびペプチド類似体は、直接、間接的に、競合結合、置換もしくは他の形式よる試験および試験キットのための特異的な結合対パートナーまたは特異的結合をする試薬分子とともに用いることができる。このような試験および試験キットのどれであってもiNOSの定量的または定性的な分析に用いることができる。このような試験は、臨床診断法であってもよい。
さらに以下に掲示するようなペプチドおよびペプチド類似体は、満足しうる結果が得られるならば活性領域または活性部分であってもよい。特に21C10-lD10、2D2-B2、および5B3-E6として同定されたクローンのためのエピトープマッピングが行われた。しかしながら、合成ペプチド、組換えペプチド、組換えタンパク質、融合タンパク質、融合ペプチド、タンパク質発現ファージ、ペプチド発現ファージ、ペプチドライブラリー、ペプチド類似体ライブラリー、およびこれらの相同体を用いることができ、ここでは活性成分がヒトiNOSのA3、A4、A3+A4、F6、G11および/またはH1ローカスの相同体であることは特筆すべきである。さらに本発明の試験では、ヒトiNOSの領域は完全または部分的に結合することができる。たとえばF6領域は、検定試薬中、ヒトiNOSのH1領域の狭小部分と結合することができる。
本発明の試験は、ヒトおよびマウスモデルにおける敗血症、敗血症ショック、心筋梗塞、移植による臓器中組織の拒絶反応、たとえば狼瘡、乾癬、多重性硬化症などのある種の自己免疫疾患の“突然の再発(flare ups)”の監視、などのさまざまな病理学的状態のために、細胞および組織中のヒトiNOSを検出または測定することができる。特に、IFAおよび競合結合ELISA試験法により、このような組織をいくつか試験した。しかしながら上記したように、本発明の本質に結びつく他の検定法もまた用いることができる。また競合結合ELISAなどのある種の試験では、ペプチドを組合わせて用いることによって増感させた。たとえばA3+A4に対するペプチドは、A4単独に対する試験に比べて4倍の増感がみられた。アビジン−ビオチン複合体を用いたときには、検定感度を12から15倍増感した。2つを組合わせると、感度は48から60倍に高くなる。
免疫学的検定および免疫学的検定構成成分のための新規でかつ有用な方法が開示されていることは明白であろう。
本発明の目的は、hiNOSの臨床的試験法として用いることができるhiNOSに対して特異的なモノクロナール抗体を使用する免疫検定法の開発である。
本発明の他の目的は、hiNOSの3つの(3)イソ体に対して特異的な別々のポリクロナール型ウサギ抗ペプチド抗体のパネルを開発することである。
本発明のさらに他の目的は、hiNOS領域に相同し、本発明のモノクロナール抗体に結合するペプチド配列を産生することである。
本発明のさらなる目的は、ヒトiNOSタンパク質に反応して特異的に結合し、どの免疫検定方法によっても一様に存在を示す物質を用いる免疫学的検定を実施しうる方法を提供することである。
本発明の他の目的は、ヒトiNOSタンパク質の相同体に特異的に結合して、サンプル中のヒトiNOSタンパク質の存在を示す物質を用いる免疫学的検定法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、hiNOSと領域に相同し、本発明のモノクロナール抗体に結合する切断ペプチドの配列を提供することである。
本発明の他の目的は、モノクロナール抗体の特異的性質を試験するためのヒトiNOS以外のタンパク質由来の相同ペプチドを提供することである。
さらに本発明の他の目的は、本発明のモノクロナール抗体のパネルを解析し、それら個々の種々の検定および方法における用途を確認することである。
本発明は、特に本明細書に示される本発明の特別な特徴および態様に関係する他の目的および効果も備えている。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のモノクロナール抗体の全パネルのうちのいくつかのモノクロナール抗体が結合するhiNOSの領域を示す5つのアミノ酸配列の配列表である。
図2−6は、実施例3に示されるように、本発明のモノクロナール抗体を用いて生理的に試験されたマイクロタイタープレートの写像である。
図7A−Dは、本発明のモノクロナール抗体のエピトープマッピングのために使用しうるペプチド配列の配列表である。
図8は、本発明のモノクロナール抗体の特異的性質を決定するために使用しうるペプチド配列の配列表である。
図9は、ポリクロナール型ウサギ抗ペプチド抗体および4つのマウスモノクロナール抗体を用いてhiNOSを測定するサンドイッチELISAを示すグラフである。
図10は、マウスIgG2bモノクロナール抗体21C10-1D10および2つのマウスIgG1モノクロナール抗体を用いてhiNOSを測定するサンドイッチELISAを示すグラフである。
図11は、マウスIgMモノクロナール抗体7D8-B3および3つのマウスIgGモノクロナール抗体を用いてhiNOSを測定するサンドイッチELISAを示すグラフである。
図12は、4種の初期モノクロナール抗体およびHRP結合させたヤギの抗マウスIgG第2抗体を用いたhiNOSのウェウタン免疫ブロット倍の拡大写真である。
図13は、マウスIgMモノクロナール捕獲抗体7D8-B3、およびマウスIgG1モノクロナール検出抗体1E8-B8を用いて、非誘導または誘導A-172細胞溶解物中のhiNOSを測定するサンドイッチELISAを示すグラフである。
図14は、マウスIgMモノクロナール捕獲抗体7D8-B3、およびマウスIgG1モノクロナール検出抗体1E8-B8を用いて、非誘導または誘導RAW264.7細胞溶解物中のiNOSを測定するサンドイッチELISAを示すグラフである。
図15は、マウスIgG1モノクロナール抗体1E8-B8で誘導したA-172細胞の間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図16は、マウスIgG1モノクロナール抗体2A12-A4で誘導したA-172細胞の間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図17は、マウスIgMモノクロナール抗体2H11-D11で誘導したA-172細胞の間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図18は、マウスIgG1モノクロナール抗体1E8-B8で誘導したRAW264.7細胞の間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図19は、マウスIgG1モノクロナール抗体2A12-A4で誘導したRAW264.7細胞の間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図20は、マウスIgG1モノクロナール抗体1E8-B8で誘導したヒト単核細胞の間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図21は、マウスIgG1モノクロナール抗体2A12-A4で誘導したヒト単核細胞の間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図22は、リポ多糖類の誘導から16時間後のマウス腹腔洗浄細胞のマウスIgG1 κモノクロナール抗体5B3-E6を用いたiNOSの間接的な免疫蛍光染色を示すx800倍の拡大写真である。
図23は、リポ多糖類の誘導から16時間後のマウス腹腔洗浄細胞のマウスIgG1 κモノクロナール抗体2D2-B2を用いたiNOSの間接的な免疫蛍光染色を示すx800倍の拡大写真である。
図24は、リポ多糖類の誘導から12時間後のマウス皮膜形成細胞のマウスIgG1 κモノクロナール抗体5B3-E6を用いたiNOSの間接的な免疫蛍光染色を示すx800倍の拡大写真である。
図25は、リポ多糖類の誘導から12時間後のマウス皮膜形成細胞のマウスIgG1 κモノクロナール抗体2D2-B2を用いたiNOSの間接的な免疫蛍光染色を示すx800倍の拡大写真である。
図26は、CM/LPSの誘導から40時間後のヒトA-172細胞のマウスIgG1 κモノクロナール抗体5B3-E6を用いたhiNOSの間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図27は、CM/LPSの誘導から40時間後のヒトA-172細胞のマウスIgG1 κモノクロナール抗体2D2-B2を用いたhiNOSの間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図28は、CM/LPSの誘導から40時間後のマウスRAW264.7細胞のマウスIgG1 κモノクロナール抗体2D2-B2を用いたiNOSの間接的な免疫蛍光染色を示すx1600倍の拡大写真である。
図29は、ヒト敗血症患者(No.2)から得られた皮膜形成細胞のマウスIgG1 κモノクロナール抗体2D2-B2を用いたhiNOSの間接的な免疫蛍光染色を示すx800倍の拡大写真である。
図30は、マウスIgG1モノクロナール抗体21C10-1D10を用い、CM/LPSの誘導から40時間後のA-172およびRAW264.7細胞から得られる細胞溶解物中のiNOSを定量する競合結合ELISAを示すグラフである。
図31は、マウスIgG1モノクロナール抗体21C10-1D10を用い、3人のヒト敗血症性ショック患者の完全血の皮膜形成細胞から得られる細胞溶解物中のhiNOSを定量する競合結合ELISAを示すグラフである。
図32は、マウスIgG1モノクロナール抗体21C10-1D10、およびアミノ酸18個のA4ペプチドPS-5104と比較する長さ30のアミノ酸A3+A4ペプチドPS-5251を用いた、4通りに希釈した腹水でのhiNOS競合結合ELISAにおける増感を示す4つのグラフのパネルである。
図33は、マウスIgG1モノクロナール抗体21C10-1D10、A4ペプチド(PS-5104)およびA4ローカスのアミノ末端領域に対する抗体決定基(エピトープ)の位置を決定する表V中のカルボキシ末端切断ペプチド(PS-5265からPS-5268)を用いた競合結合ELISAを示すグラフである。
図34は、マウスIgG1モノクロナール抗体21C10-1D10、基準A4ペプチド(PS-5104)および抗体エピトープをPS-5213,VTQDDLQと定める表VII中のアミノ末端伸長領域(series)(PS-5211からPS-5216)を用いた競合結合ELISAを示すグラフである。
図35は、マウスモノクロナール抗体2D2-B2、基準F6ペプチド(PS-5166)および抗体のエピトープをPS-5294,VQGILERVと定める表X中の中間領域の3つの伸長領域に由来するペプチドを用いた競合結合ELISAを示すグラフである。
図36は、マウスモノクロナール抗体5B3-E6、基準F6ペプチド(PS-5166)および抗体のエピトープをPS-5294,VQGILERVと定める表X中の中間領域の3つの伸長領域に由来するペプチドを用いた競合結合ELISAを示すグラフである。
発明の好ましい実施態様
以下に本発明のいくつかの態様例として、好ましい態様例について上記図を参照しながら詳細に説明する。
誘導型ヒトNOS(hiNOS)を特定するためのマウスモノクロナール抗体の試験体群(パネル)が開発された。モノクロナール抗体類は、酵素結合免疫溶解試験(ELISA)、ウェウタン免疫ブロット、125I−hiNOSのイムノプレシピテーション、および細胞の間接的免疫蛍光染色などのさまざまな方法により分析された。モノクロナール類は、全てまずELISAで検出されたが、ELISAに基づく試験では、全てうまく検出できた。しかしながら試験された他の全ての方法のうちには、抗hiNOSモノクロナール抗体がうまく適合したものもあり、そうでないものもあった。唯一、モノクロナール抗体1E8-B8が試験した全ての試験方法に適合することがわかった。2A12-A4、2D2-B2、5B3-E6、2H11-D11、7D8-B3、および21C10-1D10などの他の試験体は、試験された方法に全てではないが適合した。したがってそれぞれのモノクロナール抗体試験体は、それを特定するに好適な試験方法、あるいは目的がなにかに応じて試験する必要があるだろう。このようなモノクロナール抗体は、免疫学的検定におけるhiNOSの検出および定量に用いられた。
これらモノクロナール抗体は、免疫原として無傷のhiNOSを用いて誘導された。しかしながらこれらモノクロナール抗体の全てではないかも知れないが多くは、hiNOSの断片(フラグメント)またはそのペプチド類似体を用いて、マウスでの初期免疫反応を惹起することによって開発することが可能であろう。さらに、ポリクロナール型ウサギ抗ペプチド抗体の別のパネルが開発された。このポリクロナール抗体は、3つのNOSイソ体(nNOS、iNOS、eNOS)に特異的に作用する。このポリクロナール抗体は、ヒトNOSの上記各イソ体のアミノ末端またはカルボキシ末端に擬似するウサギ中の限定されたアミノ酸配列に対して培養された。このポリクロナール抗体の製造に用いられたペプチドは公知の技術にしたがって合成した。
またマウスを免疫し、モノクロナール抗体のパネルを開発するために精製ヒトiNOSが用いられた。モノクロナール抗体は、タンパク質フラグメント、融合タンパク質およびタンパク質またはマウスを免疫するhiNOSのペプチド類似体を用いて開発することができるが、hiNOS領域に対する免疫反応を惹起する。ハイブリドーマ、細胞のクローンの製造、およびモノクロナール抗体の製造には標準的な技術を用いた。ハイブリドーマおよびクローンは、ELISAおよびウェウタン免疫ブロットによりスクリーンし、培養液上清としてモノクロナール抗体の製造に用い、さらにマウスからの腹水として用いた。またモノクロナール抗体は標準的な技術によりイソ体であることが分析された。モノクロナール抗体は、次いでhiNOSの酵素活性を抑制する能力が試験された。タンパク質の領域を決定するための各モノクロナール抗体が確認され、全長1153個のアミノ酸の構造のhiNOSをカバーするための互いに重複する96のペプチド、各18個のアミノ酸が合成された。各ペプチドは、先のペプチドと重複する11アミノ酸を有するカルボキシ末端ペプチドを除いてその隣接位で重複する6個のアミノ酸を有していた。ペプチドはマイクロタイタープレート上で特定のウエルを感作するために用いられ、各クローンからの培養液上清または腹水は各ウエルに供された。結合したモノクロナール抗体の存在が検出された。iNOSタンパク質の特定領域は、モノクロナール抗体により結合されたとき同定される。図1は本発明のモノクロナール抗体のどれかに結合することにより決定されたヒトiNOSの特定領域を示すペプチド配列である。
ひとたびその領域に結合することにより特定のモノクロナール抗体が決定される領域は、公知のタンパク質データベースのコンピューター検索により、他のタンパク質との相似配列が検索される。このサービスは、米国国立衛生研究所のナショナル・バイオテクノロジイ情報センターで提供される。この検索には、ベイシック・ロジスティック・アライメント統計的ツール(BLAST)と称されるプログラムが用いられる。このプログラムの使用は、アルツシュールら(Altscul,et.al.,分子生物学雑誌、215巻(1990)))による“基準位置配列検索ツール”と表題された中に記載されている。下記表は、コンピューターの検索結果を示す。
ここで“Xxx”はBLASTリスト(caluculation)中には使用されてない不一致アミノ酸を示す。
“P値”は非一致の確率を示す。換言すればこの値が小さいほど、よりそれに一致する確率である。たとえば表1中、ペプチドA3のBLAST計算結果は、hiNOS(25−42)と完全な配列相同性がみられる。このことは、このペプチドが相同的に作製されたhiNOSの領域であるため予想された。コンピューター検索は、他に2つのタンパク質と相同の配列を見出しただけであった。配列相同の1つは、マウスiNOS(25−42)についてP値が0.02より小さかった。他の配列相同は、ラットiNOS(25−42)についてP値が0.03より小さかった。上記データベース中の他のタンパク質に、0.1より小さなP値での配列相同は見つからなかった。配列相同のためのタンパク質データベースの検索は、ペプチドA4ではヒトiNOS(37−54)のみとの相同がみられた。データベース中にはどのタンパク質の領域も、0.1より小さなP値でその配列に一致するものは他にみつからなかった(すなわち99.9%より大きな確率で一致しない)。hiNOS(781−798)であるペプチドF6に対する配列相同の検索では、ヒトiNOSとの配列相同およびマウスとラットのiNOSとの配列相同がみつかった。この検索では、0.1より小さなP値でその配列に一致するものは他にみつからなかった。しかしながらhiNOS(985−1002)であるペプチドG11との配列相同の検索では、表I中のいくつかのタンパク質との相同がみられた。これらはマウスおよびラットのiNOS、ヒトnNOS(1256−1273)、ヒトeNOS(1017−1031)およびウシeNOS(1019−1033)である。hiNOS(1009−1026)であるペプチドH1に対する配列相同のコンピューター検索では、ラットおよびマウスのiNOSとの相同がみられただけであった。0.5より小さなP値での配列相同は他にみつからなかった。ヒトeNOSおよびヒトnNOSとの相同が少ないがみられ、P値が0.5以上であることは注目すべきである。
モノクロナール抗体の結合がみられた18マー(mer)それぞれに由来する配列、すなわち表1中のペプチドA3(PS-5103)、A4(PS-5104)、F6(PS-5166)、G11(PS-5183)およびH1(PS-5185)を用いてこれら領域のための一連のエピトープマッピングを設計し実施した。18-merのアミノ酸末端に由来する4つの切断ペプチド系列、同様に18-merのカルボキシ末端に由来する4つの切断ペプチド系列を作成した。本発明のモノクロナール抗体に結合しうる最短のアミノ酸はどれであるかを決定するためにさまざまな長さに切断した。図7はこのように切断された本発明のモノクロナール抗体のどれかと結合したペプチドを示すアミノ酸配列である。
さらにいくつかのペプチド相同を設計し、BLAST検索に基づいて合成した。これらペプチド相同を用いてhiNOS以外のタンパク質に対するモノクロナール抗体の特異性を調べた。このような他のタンパク質は、たとえばhNOS、heNOS、マウスiNOSおよびラットiNOSである。
サンプル中のhiNOSを検出および定量するためのイムノアッセイを準備した。精製したヤギ抗ウサギIgGを用いてマイクロタイタープレートを感作した。プレートをウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした。ウサギポリクロナール型抗ペプチド抗体を添加してサンプル中のhiNOSに結合することにより抗体を“捕獲”させた。表III中のパネルから種々のマウスモノクロナール抗体を試験し、そのhiNOS検出および定量能力を調べた。この方法により、表III中のクローン1E8-B8、21D10-lD10、2A12-A4およびその他の作用がみられた。iNOSを迅速に検出するためのストリップ法などの他の方法も本発明のアッセイに使用可能であると考えられる。
サンドイッチELISA法での使用に加え、表III中のモノクロナール抗体のパネルのサンプル中のhiNOSを検出する能力についてウェウタン免疫ブロット法により試験した。この方法では、培地中の細胞をサイトカイン/LPS混合物で誘導した。後者の方法は、本発明のモノクロナール抗体によってウェウタン免疫ブロット法で検出可能な細胞によりiNOS産生を誘発した。
サンドイッチELISA法およびウェウタン免疫ブロット法での使用に加え、表IIIのパネル中の各モノクロナール抗体のhiNOSをイムノプレシピテートする能力を調べた。これは、125I標識されたhiNOSを用いてラジオイムノアッセイ(RIA)法により試験された。この方法により、パネル中の20種のうち10のモノクロナール抗体が、hiNOSのイムノプレシピテートさせることがわかった。能力が認められたこの10のうち、モノクロナール抗体2H11−D11、5B3−E6および21D10−1D10は、放射線標識されたタンパク質を最もイムノプレシピテートさせることがわかった。
また、表III中のモノクロナール抗体を細胞中に固定して、iNOSを識別し結合する能力を調べた。iNOS産生の誘発を、全くタイプの異なる3つ培養細胞中で、初期抗体として抗hiNOSモノクロナール抗体を用いて、誘発された細胞の間接的免疫蛍光染色して試験した。試験された3種の誘発、培養された細胞は、A−172(ヒトグリア膠芽腫株化細胞)、RAW264.7(マウスマクロファージ細胞株化細胞)および血液から単離された正常ヒト単核細胞である。この試験方法では、5つのモノクロナール抗体1E8−B8、2D2−B2、5B3−E6、2A12−A4および2H11−D11が特にうまくいこと、パネル中の他モノクロナールはあまりうまくいかないかまたは全く細胞を染色しないことがわかった。
上記には、本発明を充分に開示することを目的として、本発明の態様を示したが、本発明の精神および原理を損なわない範囲であれば適宜に変化させ得ることはこの技術に熟練した当業者であれば明らかなことである。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明またはそのいかなる態様も以下に特定されるこれら実施例およびに限定されるものではない。
実施例1
ポリクロナール抗体の作製
ヒトNOSの各イソ体のアミノ末端かカルボキシ末端に擬似する限定されたアミノ酸配列を有するペプチドを調製した。各ペプチドを、fmocタンパク質法による固相ペプチド合成により合成した。予備処理用HPLCを用いた標準的な手法により、固相サポート樹脂から付着した合成ペプチドを単離、精製した。それらの純度を分析用HPLCにより分析した。
1.各合成ペプチドは、抗体源を抗体をの誘発を構築するためにEDACまたはスルホMBS合成物(chemistries)を用いて、担体タンパク質であるスカシ貝ヘモシアニン(KHL)に接合した。
2.各ペプチド/タンパク質接合物は、ウサギでの抗体源として用いた。2−4のウサギグループ毎に別々の抗体源を用いて免疫した。ウサギでの抗ペプチド抗体の製造のために、以下のような標準的プロトコルで発育させたウサギを、免疫し、高めて、採血した。
3.ウサギ採血のそれぞれに由来する抗血清をELISAによって試験し、合成ペプチド類似体を特定する抗体を作製した。抗体源のペプチド部を特定する抗体の産生能があることがわかったこれら抗血清は、その無傷のタンパク質を認定する能力が評価された。
表IIはこのような合成ペプチドの概要を示す。
実施例2
モノクロナール抗体の作製
精製されたヒトiNOSを用いてマウスを免疫し、モノクロナール抗体のパネルを開発した。ハイブリドーマの作成、細胞クローン、モノクロナール抗体の製造には標準的技術を用いた。このような技術は“モノクロナール抗体の製造”(Current Protocol in Immunology(1991))と表題されたプロトコル中に記載されている。簡潔には、免疫マウスから脾臓を無菌的に取出し、脾臓細胞(splenocytes)を単離し、ポリエチレングリコールとともにSP2/0−Ag14ミエローマ細胞と融合させた。ハイブリドーマをELISAでスクリーンし、hiNOSに対するマウスIgGまたはIgMを製造した。完全ハイブリッドは、特定希釈液により培養されクローンされた。クローンはELISAおよびウェウタンブロット法でスクリーンした。完全ハイブリッドは培養され、冷凍保存のため液体窒素中で凍結し、培地上清としてモノクロナール抗体の製造に用いるとともに、Balb/C雌マウス由来の腹水として用いた。
さまざまなクローンによって製造されたモノクロナール抗体は、種々の方法により解析られた。ELISA、ウェウタンブロット、125I−hiNOS(I.P.)イムノプレシピテーションおよび細胞の間接的免疫蛍光染色(I.F.A.)などである。またモノクロナール抗体のイソ体が分類された。表IIIにこれら結果を示す:
ここで“ND”は“検出されず”を意味し、“+”は“あり”;“−”は“なし”;および“弱”はモノクロナール抗体が高濃度であるときのみ結合したことを示す。
実施例3
モノクローナル抗体のエピトープマッピング
実施例2の各モノクローナル抗体が、タンパク質のどの領域を認識しているのかを決定するために、hiNOSのアミノ酸1153個の全長をカバーするよう、96個の互いに重複するペプチドを合成した。いずれのペプチドも、アミノ酸18個の長さとし(18マー)、カルボキシ末端アミドとして合成した。構造中の天然に生じたシステイン残基は、いずれもセリンで置換した。各ペプチドは、カルボキシ末端のペプチド以外は、隣接するペプチドと6個のアミノ酸が重複しており、カルボキシ末端のペプチドは、手前のペプチドと11個のアミノ酸が重複していた。これらのペプチドは、モノクローナル抗体のパネルをELISA法によってエピトープ・マッピングするために使用した。各ペプチドは、一連のマイクロタイタープレートの特定のウェルを感作するのに使用した。次に、各モノクローナル抗体の培養上清あるいは腹水を、感作済みのプレートの全ウェルにそれぞれ加え、各ウェルについて、結合マウスモノクローナル抗体の有無を調べた。この一連の実験で得られた代表的な結果を、図2〜6に示し、また、下記の表IVにまとめて示す。
実施例4
合成ペプチドを用いたエピトープ・マッピングと特異性解析
モノクローナル抗体が結合することがわかった18マーの各配列(表IVのペプチドA3、A4、F6、G11、H1)を使用して、これらの領域に関しての一連のエピトープ・マッピング用ペプチドを設計、作製した。BLASTでのサーチで見つかったiNOSの相同体も、iNOSモノクローナル抗体の特異性の解析に使用した。各18マーのアミノ末端から所定数のアミノ酸を欠失させた4つの一連の切断ペプチド、ならびに各18マーのカルボキシ末端から所定数のアミノ酸を欠失させた4つの一連の切断ペプチドを作成した。いずれの一連の切断ペプチドも、18マーのカルボキシ末端あるいはアミノ末端から、アミノ酸を3つずつ順次欠失させたものである。その結果、それぞれの18マーについて、各末端からアミノ酸が3つずつ順次短くなっていく2種の一連の切断ペプチドが得られた。表V、図7A−D、図8に、作製した切断されたペプチドならびにhiNOSのペプチド相同体を示す。このうち、hINOSのペプチド相同体は、上述のコンピュータによるBLASTサーチでこれらの領域に対して配列相同性が見いだされた場合に、ヒトnNOS、マウスならびにラットiNOS、ヒトeNOSから作製したものである。
表中の「+」は正の結合を、「−」は結合しなかったことそ、「弱」は、モノクローナル抗体の濃度が極めて高かった場合にのみ結合が生じたことを示す。
モノクローナル抗体が各種の切断類似体、あるいはnNOSならびにeNOS類似体に結合する能力を、もとの96の18マーのスクリーニングに使用したのと同様の方法で、ELISAによって調べた。
A−3ローカスについては、モノクローナル抗体21C10−1D10は、ペプチドA−3(PS−5103)のみに対して強く結合し、マウス相同miNOS(25−42)(PS−5241)には弱く結合した。21C10−1D10は、切断ペプチドのいずれとも結合せず、ラット相同riNOS(25−42)(PS−5242)にも結合しなかった。
A−4ローカスについては、最初のスクリーニングで、2種のモノクローナル抗体(6G12−H7ならびに21C10−1D10)の結合が確認された。これらの抗体は、切断ペプチドに対しする特異性が互いに異なっていた。モノクローナル抗体6G12−H7は、A−4(PS−5104)ならびに2種の切断類似体(PS−5261ならびにPS−5265)に対して強く結合し、PS−5262とも弱く結合した。このことから、もとの18マーは、配列がThr Gln Asp Asp Leu Gln Tyr His Asn Leu Ser Lysであるような12マーまでは少なくとも短縮が可能で、全タンパク質のこのペプチド類似体に対しても結合可能性が依然として維持されていることがわかる。一方、モノクローナル抗体21C10−1D10は、もとの18マーであるA−4(PS−5104)と、カルボキシ末端が3残基分切断されたhiNOS(37−51)ペプチド配列(PS−5265)のみと結合した。
F6ローカスについては、モノクローナル抗体2D2−B2は、F6(PS−5166)ならびにその切断類似体のうちの3つ、すなわちPS−5222、PS−5226、PS−5227と結合し、PS−5228と弱く結合し、ヒトeNOS(806−824)(PS−5221)とは全く結合しないことがわかった。切断ペプチドで得られた結果からすると、エピトープは、Val Gln Gly Ile Leu Glu Arg Val Valの配列に含まれているはずである。
G11ローカスについては、最初のスクリーニングで、2種のモノクローナル抗体1E8−B8ならびに2A12−A4の結合が見いだされた。これらの2種を、切断ペプチドならびに2種の相同体との結合について調べたところ、双方のモノクローナル抗体について似たような認識パターンが認められた。双方とも、予測通り、G−11(P4183)と強く結合し、また、双方とも、ヒトnNOS(1256−1273)(PS−5201)を認識したものの、結合は、G−11よりはるかに弱かった。また、双方とも、一連のアミノ末端切断ペプチドの最初のものであるPS−5203を認識したものの、1E8−B8の結合は、2A12−A4について観察された結合より、はるかに弱かった。
最後に、H1ローカスについては、モノクローナル抗体24B10−2C7がH1(PS−5185)と結合することがわかった。このモノクローナル抗体は、ヒトeNOS相同体ならびにnNOS相同体であるPS−5281もPS−5282も認識しなかったものの、一連の子アミノ末端切断ペプチドの最初の2つであるPS−5283とPS−5284に強く結合した。モノクローナル抗体24B10−2C7は、次に短いアミノ末端切断ペプチドであるPS−5385にも弱く結合した。こうした結果から、このモノクローナル抗体が、ペプチドH−1(PS−5185)のカルボキシ末端側に位置する配列を認識していることがわかる。
実施例5
試料中のhiNOSの量を測定するためのサンドイッチELISA
hiNOS用のサンドイッチELISAを開発する最初の試みでは、「捕獲用」の抗体として、ポリクローナルなウサギ抗iNOS抗血清を使用した。この方法では、アフィニティ精製したヤギ抗ウサギIgGを1μg/ウェル/100μl使用して、マイクロタイタープレートを感作した。次に、ウシ血清アルブミン(BSA)でプレートをブロックした。ウサギポリクローナル抗ペプチド抗体(hiNOSのカルボキシ末端に対して特異的なもの)を加え、結合させた。この抗体は、試料中のhiNOSに結合する「捕獲用」抗体として使用した。表IIIのパネルの各種マウスモノクローナル抗体が試料中のhiNOSを検出および/または定量する能力について調べた(図9)。結果からわかるように、このアッセー方法では、IE8−B8、21C10−1D10、2A1−A4、7D8−B3がうまく作用することがわかった。しかし、広範な解析を必要とするポリクローナルなウサギ抗ペプチド抗体を繰り返し作製しなくてもすむように、hiNOS用に作製した表IIIのパネルの各種マウスモノクローナル抗体を、「捕獲用」抗体と検出用抗体の両方に使用するサンドイッチELISAを設計した。このアッセー方法では、アフィニティ精製したヤギ抗マウスIgG2A、またはIgG2B、IgMを使用してマイクロタイタープレートを感作した。次に、「捕獲用」モノクローナル抗体として、2A1−F8、6A12−A12、21C−1D10、またはIgMクラスのモノクローナル抗体のいずれかを加えた。次に、BSAでプレートをブロックし、hiNOSを含有することがわかっている試料を、マイクロタイタープレートに加えた。その後、これらを十分洗浄した。検出用のモノクローナル抗体には、「捕獲用」とは異なったイムノグロブリンクラスの抗体を使用した。IgG2Bであるモノクローナル抗体21C10−1D10を「捕獲用」抗体として用いた場合には、図10に示すように、マウスIgG1モノクローナル抗体、たとえばIE8−B8、2D2−B2を検出用抗体として使用した。「捕獲用」モノクローナル抗体をIgMクラスの抗体とした場合には、検出用抗体として、マウスのIgGクローンのいずれもが使用可能であり、こうした抗体としては、図11に示すIE8−B8(IgG1)、2D2−B2(IgG1)、21C10−1D10(IgG2B)がある。このように、表IIIのモノクローナル抗体のパネルを使用すると、モノクローナル抗体にもとづいた抗体サンドイッチELISAを作成することができる。hiNOSに対して作製されたマウスモノクローナル抗体パネルの各種イムノグロブリンクラスのモノクローナル抗体を用いることによって、ポリクローナルな「捕獲用」抗体を使用しなくてもすむようになる。
実施例6
ウェスタン免疫ブロット
表IIIのモノクローナル抗体のパネルを、サンドイッチELISAでの使用についてだけでなく、ウェスタン免疫ブロット法で試料中のhNOSを検出する能力についても調べた。試料を、7.5%SDS−PAGEゲルで電気泳動して、タンパク質を分子量に応じて分離した。タンパク質をPVDF膜に移し、PBS/トゥイーン20バッファーで1:4に希釈したヤギ練乳で膜をブロックした。一次抗hiNOSモノクローナル抗体を結合させ、次に、図12に示すように、HRP結合ヤギ抗マウスIgG抗体を使用して膜を発現させた。モノクローナル抗体は、サイトカイン/LPS混合物で誘導するとiNOSを含有するようになることが報告されている細胞の細胞ライセートを使用したウェスタンブロットについても調べた。細胞は、米国メリーランド州ロックヴィルのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から株化細胞A−172ならびにRAW264.7を購入し、細胞の増殖後、サイトカイン/LPS混合物による誘導の前ならびに後に回収した(図13、図14)。この細胞毒性混合物は、前出のゲラーらの文献に、サイトカイン/LPS混合物として記載されている。細胞ペレットは、細胞の回収後にPBSで十分に洗浄して、余分のタンパク質を除去した。細胞は、凍結解凍を2回繰り返し、超音波処理を行うことによって溶解させた。細胞ライセートは、SDS−PAGE試料バッファーで1:2に希釈し、10分間煮沸した。試料を、上述のようにして、7.5%のゲルで電気泳動した。非誘導細胞がiNOSを含有していなかったのに対し、サイトカイン/LPS混合物で誘導した細胞では、130kdのバンドが認められた。このことから、サイトカイン/LPS混合物によってiNOSが誘導されており、表IIIのモノクローナル抗体によって、未知試料中のiNOSをウェスタンブロット法で検出できることが示された。
これらの誘導細胞のライセートは、ウェスタン免疫ブロット法によって調べただけでなく、実施例5のサンドイッチELISA法によっても、iNOSを検出および/または定量できるかどうかについても調べた。図13および14に示すこのELISA試験の結果にはっきり示されているように、非誘導細胞にiNOSが含まれていなかったの対して、サイトカイン/LPS混合物による誘導後は、実質的な量のiNOSが含まれていた。
実施例7
誘導細胞の免疫蛍光染色
各種のモノクローナル抗体が、iNOSを産生するよう誘導を行った細胞中でiNOSと結合する能力を、3種の異なる細胞、すなわち、ヒト膠芽腫株化細胞A−172、マウスマクロファージ株化細胞RAW264.7、正常ヒト単球について調べた。細胞は、正常培養液中で2日間培養し、サイトカイン/LPS混合物(CM)で40時間処理することによってiNOSを産生するよう誘導した。この処理の後に、細胞を2種の方法、すなわち細胞溶解に適した方法、ならびに免疫染色法に適した方法で処理した。溶解させる細胞は、培養フラスコから剥がし、5回洗浄し、少量のPBS中で凍結させて溶解させた。このライセートは、実施例5および6に記載したウェスタン免疫ブロットならびにサンドイッチELISAでの試験に使用した。免疫染色に用いる細胞は、4回洗浄し、70%あるいは100%のアセトンで固定した。これらの細胞を、一次マウス抗hiNOSモノクローナル抗体と60分間反応させ、FITC結合ヤギ抗マウスIgGまたはIgMと反応させた。細胞は、落射蛍光顕微鏡によって観察、撮影した。図15〜17に、誘導済みのA−172細胞について、表IVの1E8−B8、2A12−A4、2H11−D11をそれぞれ用いた場合に観察された間接免疫蛍光染色パターンを示す。図18と図19に、固定したRAW264.7について、表IVの1E8−B8ならびに2A12−A4をそれぞれ用いた場合に観察された間接免疫蛍光染色パターンを示す。このパターンは、ウェスタン免疫ブロット法で得られた結果と似ている。つまり、これらの2種のモノクローナル抗体は、マウスiNOSと交叉反応しうるということになる。図20と21に、表IVの2種のマウス抗hiNOSモノクローナル抗体、1E8−B8ならびに2A12−A4を、それぞれ、誘導済みの正常ヒト単球に使用することによって得られた間接免疫染色の結果を示す。単球は、密度勾配遠心法によって正常なヒト血液から単離したもので、その際には、米国ニューヨーク州ウェストベリー(Westbury)のアキュアト・ケミカル・アンド・サイエンティフィック社(Accurate Chemical and Scientific Corp)から入手したオプティプレップ(Optiprep)を、アプリケーション・シート2.3.に詳述された製造業者の指示にしたがって使用した。これらの結果からわかるように、これらのマウス抗hiNOSモノクローナル抗体は、正常ヒト細胞ならびに組織で誘導されたhiNOSを認識し、結合することができる。
実施例8
モノクローナル抗体がhiNOSの酵素活性を阻害する能力についての試験
基質と補助因子の存在下で生成した窒素化合物(nitrite)の量を測定することによって、hiNOSの酵素活性を測定した。13種の異なった抗hiNOSモノクローナル抗体を、hiNOSの活性を阻害する能力について調べた。調べたいずれのモノクローナル抗体も、ディングら(Ding et al.,”Macrophage Deacrivity Factor and Transforming Growth Factors - beta 1,beta 2,and beta 3 Inhibit Induction of Macrophate Nitogen Oxide Synthesis by IFN-gammal”,Journal of Immunology,Vol. 145(1990))ならびにナカネら(”Cloned Human Brain Nitric Oxide Syntase in Highly Expressed in Skeletal Muscle”,FEBS Letters,vol. 316(1993))に記載されたグライゼ(Greise)比色分析では、酵素の活性を阻害しなかった。
実施例9
アッセイ用反応物質の調製
実施例1の低温保存細胞からの新たな腹水調製物を用いて、実施例2の手順を繰り返した。この手順は、実施例2の最初の調製から約12ヶ月後に実施したものである。
下記に示す表VIの結果は、実施例2のデータを補強するものであった。
表VIの競合結合ELISAは、マイクロタイターELISAプレートにコーティングした合成ペプチドと、溶液状態の標準あるいは未知物質のiNOSとに対する抗体の結合の競合に基づくものである。本発明のモノクローナル抗体の多数が、特異的なタンパク質の直鎖状合成ペプチド類似体と結合したことが見いだされたのは当然かもしれない。モノクローナル抗体の大半は、生理学的試料中のiNOSを測定するうえで十分な感度を有していなかった。しかし、1種のモノクローナル抗体、すなわち21C10−1D10は、生理学的試料のiNOSの測定に使用しうる感度を有していた。プレートをコーティングするペプチドをもっと長い合成ペプチドとし、ABC増幅を行ってELISAを「微調整」することにより、感度を50〜60倍向上させることができた。このアッセイは、臨床検査技師にとって許容できるものであれば、数多くの態様のいずれによって実施してもよい。表VIに記載した競合結合ELISAの最低感度は、20フェムトモルで、完了に3時間を要する。さらにプレインキュベーションを行った場合には、感度が2〜3倍向上し、理論上、最低感度が6〜10フェムトモルの範囲のELISAが実現される。
実施例10
免疫蛍光アッセイ
細胞の間接免疫蛍光染色を、ハイマーら(Heimer and Taylor,J. Clin. Path.,27(1974),p. 254)ならびにジョンソンら(Johnson et al.,J. Immunol.,Meth. 55(1982),p. 231)を参考として、以下の方法によって行った。細胞は、1分ずつ3回、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)をとりかえて洗浄し、その後すばやく水で洗浄し、十分に水をきった。ガラス上で増殖させた細胞は100%アセトンで固定し、プラスチック上で増殖させた細胞は、80%アセトン/20%水で固定した。固定には室温で10〜15分を要した。試料を風乾し、20℃で保存した。モノクローナル抗体を、PBSで1:500/1:2,500/1:12,500に希釈した培養上清として加えた。上清あるいは腹水は、室温で直接固定細胞に加え、37℃で時間、あるいは室温で2時間培養した。次に、各サンプルをPBS中で1分ずつ4回洗浄し、水を切った。FITC結合ヤギ抗マウス二次抗体を、PBSで1:120に希釈したハイクロン(hyclone)とともに加えた。試料を、37℃で0分、あるいは室温で45分インキュベートした。細胞は、再度、PBS中で1分ずつ3回洗浄し、次に水で洗浄して塩を取り除いた。水を切った後、退色を低減させるためにDABCOを含有するグリセリン系のマウンティングメジュームを使用して、カバースリップをマウントした。FITC用の励起・発光波長を備えた落射蛍光顕微鏡を使用して、免疫蛍光染色を観察した。
この免疫蛍光アッセイでは、モノクローナル抗体5B3−E6ならびに2D2−B2を使用した。染色は、F6ペプチド(PS−5166)で特異的にブロックした。iNOSは多種の細胞で誘導され、モノクローナル抗体5B3−E6ならびに2D2−B2によって検出された。誘導プロセスの結果、強い免疫蛍光を発する細胞が得られた。ラットでのiNOSの誘導を行った場合には、固定組織片が、モノクローナル抗体5B3−E6ならびに2D2−B2によって(蛍光でなくDABを使用して)特異的に免疫染色されることも見いだした。この免疫染色は、適切なペプチド(F6=PS−5166)によってのみブロックが可能であった。このアッセイは、現在の手順では、間接免疫蛍光法を使用しているので90分を要する。直接法を使用すると、所要時間が30分以下まで短縮されるはずである。
図22〜29は、実施例9の反応物質を使用して試料を間接免疫蛍光染色したものである。
このアッセイについては、特定の培養条件以外ではhiNOS酵素を産生しないA−172細胞(ヒト膠芽腫の株化細胞)のライセートを使用して実証した。免疫蛍光分析、ウェスタンブロッティング、ポリクローナル抗体を使用したRIA、モノクローナル抗体とペプチドを使用した競合結合ELISAによって、これらの対照にhiNOSが存在していないことが示された。また、hiNOSが、サイトカインとLPSの混合物によって誘導されることも確認された。
実施例11
競合結合ELISA
試料を競合結合ELISAで調べた。プレートは一晩にわたって感作させ、4回洗浄し、2%正常ウマ血清(NHS)を加えたPBS(ブロック溶液)で3時間にわたってブロックした。2倍の濃度の試料を、15μlのブロック溶液とともに、各プレートに加えた。2倍濃度の21C10−1D10腹水を15μlの量のPBSに希釈した溶液も、2%NHSならびに0.1%トゥイーン20とともに加えた。試料を室温で30分インキュベートした。0.1%トゥイーン20を加えたPBSでABC錯体を1:120の濃度に希釈した溶液のプレインキュベーションを、室温で1時間行った。30分後に、PBSでプレートを4回洗浄し、さらに2回洗浄した。2%のNHSおよび0.1%の結晶BSAを加えたPBSで1:480に希釈したbiot−HMIgG100μlを、室温で30分にわたって加えた。プレートを再度4回洗浄した。ABC錯体を、等量のPBSならびに0.1%トゥイーン20で希釈した。このABC混合液に、2%NHSと0.1%結晶BSAを加えた。プレインキュベートしておいたABC溶液100μl/ウェルを室温で加え、30分間静置した。試料を8回洗浄した。呈色反応を、0.5mg/mlのOPDならびに0.08%の過酸化水素を加えた10xのリン酸クエン酸バッファー(pH5.0)中で、37℃にて55分間実施した。
本発明のモノクローナル抗体の多数が、当該タンパク質の特異的な直鎖状合成ペプチド類似体と結合した。そのモノクローナル抗体と合成ペプチドのペアを調べたところ、モノクロナール抗体の1つである21C10−1D10が、ヒトiNOSの測定に使用しうることを見いだした。プレートをコーティングするペプチドをもっと長い合成ペプチドとし、ABC増幅を行ってELISAを「微調整」することにより、感度を50〜60倍向上させることができた。このELISAは、測定では、完了に3時間を要した。さらにプレインキュベーションを行った場合には、感度が2〜3倍向上し、ELISAの最低感度が6〜10フェムトモルの範囲となるはずである。図30および図31は、本実施例のELISAアッセイをiNOSならびにhiNOSの定量に用いたものである。図32では、A4ペプチドのかわりにA3+A4ペプチドを使用することによって本実施例のアッセイの感度を増大させている。
このアッセイについては、特定の培養条件以外ではhiNOS酵素を産生しないA−172細胞(ヒト膠芽腫の株化細胞)のライセートを使用して実証した。免疫蛍光分析、ウェスタンブロッティング、ポリクローナル抗体を使用したRIA、モノクローナル抗体とペプチドを使用した競合結合ELISAによって、これらの対照にhiNOSが存在していないことが示された。また、hiNOSが、サイトカインとLPSの混合物によって誘導されることも確認された。
実施例12
A4ローカスについての21C10−1D10によるエピトープ・マッピング
モノクローナル抗体21C10−1D10によるエピトープ・マッピングを、hiNOSのA4ローカスのアミノ末端についてさらに実施した。表VIIに、結果を示す。
図33は、マウスIgG1モノクローナル抗体21C10−1D10、A4ペプチド(PS−5104)、実施例4の表Vのカルボキシ末端切断ペプチド(PS−5265〜PS−5268)を使用した「第2工程」の競合結合ELISAの結果を示す。表VIIIに、ペプチドPS−5261〜PS−5269のエピトープ・マッピングを示すが、ここでは、図33にマッピングしたPS−5265〜PS−5268ペプチドが目立っている。
標準のA4ペプチド(PS−5104)と、表VIIの一連のアミノ末端延長ペプチド(PS−5211〜PS−5257)をマウスIgG1抗体と組み合わせて使用したところ、エピトープがPS−5213のVTQDDLQであることがわかった。この「第3工程」のエピトープ・マッピングを図34のグラフに示す。
実施例13
F6ローカスについての2D2−B2ならびに5B3−E6によるエピトープ・マッピング
モノクローナル抗体2D2−B2ならびに5B3−E6によるエピトープ・マッピングを、F6ローカスの中央領域についてさらに実施した(第3工程)。表IXに、このマッピングの結果を、使用したペプチドとともに示す。表には、マウスモノクローナル抗体2D2−B2ならびに5B3−E6を、F6ローカスの中央領域をマッピングする一連のペプチドとともに使用することによって競合法ELISAで得られた結果も示す。また、表IXには、これらの双方の抗体のエピトープの配列がVQGILERV(hiNOS 784−791)であることも特定されている。
Claims (8)
- ヒトiNOSを特異的に認識し、ヒトnNOSまたはヒトeNOSと交差反応性のないモノクローナル抗体で、さらに、配列番号1〜5からなる群から選択されるペプチドによって示されるヒトiNOSの特定領域に結合するモノクローナル抗体。
- イソタイプ マウスIgGまたはIgMである請求項1に記載の抗体。
- a.ヒトiNOSの試料を、請求項1に記載のモノクローナル抗体と接触させ、そして
b.上記試料中のヒトiNOSの存在を検出する工程を含む試料の免疫学的検定法。 - 前記免疫学的検定法が、臨床診断のための検定法である請求項3に記載の方法。
- 前記試料中のヒトiNOSの存在を検出する工程が、定性分析である請求項3に記載の方法。
- 前記のヒトiNOSの存在を検出する工程が、定量分析である請求項3に記載の方法。
- 前記免疫学的検定法が、直接法、間接法、酵素キャプチャー法、競合結合法、置換法よりなる群から選ばれる請求項3に記載の方法。
- 前記免疫学的検定法が、IFA、リニアあるいはラジアルフロー法、ウェスタンブロット法、ELISA、ディップスティック法、蛍光ポラライゼーション法、酵素キャプチャー法およびRIAよりなる群から選ばれる方法である請求項3に記載の方法。
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