JP4117665B2 - 光学分析用チップとその製造方法、光学分析用装置、および光学分析方法 - Google Patents

光学分析用チップとその製造方法、光学分析用装置、および光学分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、物質の成分、濃度、状態などをラマン散乱光、蛍光、高調波光などの光照射に対する発光信号に基づいて高感度に分析するためのチップ、分析用装置、および分析方法に関するものである。
物質の成分や濃度、状態を分析するために、光を対象物に照射して、対象物が発する別の波長の光の強度やスペクトルを計測する方法が開発されている。具体的には、そのような発光過程として、ラマン散乱光、蛍光、高調波光などが知られている。
特にラマン散乱光は分子構造を詳細に反映したスペクトルを示すので、物質の特定や、分子の状態、分子の置かれている環境の理解に有用である。また、高調波光、特に第2高調波光は、界面における分子の配向などの情報をもたらしてくれる。しかし、これらの有用性とひきかえに、これらの光信号は極めて微弱である。
このような微弱な信号を高感度にとらえるための一つの方法は、強い光を照射したり、微弱な信号を捕らえたりするという、光源や検出器の性能向上である。しかし、もう一つ、根本的に異なる方法がある。物質の発光特性は、通常はその物質固有の性質と考えられているが、実際にはそうではない。物質の発光過程とは、物質本来の性質の他に、物質の置かれている空間の輻射場の状態密度という要因によっても決まっている。そして、この輻射場の状態密度とは、人工的に改変できるものである。物質の周囲の環境さえ適切に整えてやれば、通常、発光が弱くて検出しにくいとされている物質であっても、発光そのものを増強し、高感度に検出することができるのである。通常の分析時には、対象物質は溶液中に浮遊していたり、スライドガラス表面に付着していたりする。このような時の物質の周囲環境の輻射場の状態密度は、自由空間中とほとんど変わらない。従って、これらの物質の発光を分析すると、物質本来の性質だけが反映され、発光の弱い物質からの発光は、確かに弱い信号としてしか検出されない。通常、我々が、物質の発光特性が物質固有の性質だけで決まると考えがちなのは、通常の分析方法が、溶液中や単なるスライドガラスの表面に物質を配置することを前提としているためである。
しかし、同じ物質を、その光に対する共振器の中に置いて同じ測定をすると、同じ光源と検出器を用いても、強い発光を検出することができる。共振器とは、ある特定の波長(真空中を伝搬する時の波長、以下、真空波長と呼ぶ)λ0に対して、輻射場の状態密度が高くなるように作られた構造物と言い換えることができる。共振器において輻射場の状態密度が高くなる効果の強さは、パーセル係数で表わされる。パーセル係数はQ値に比例し、共振器の体積に反比例する。Q値とは、共振器に蓄えられるエネルギー、あるいは電界増強度を表す指標である。大きなパーセル係数を得るためには、小さな体積に大きな電磁界を閉じ込めることが重要である。なお、ここで議論している現象は、パーセル効果と呼ばれる狭義の現象に限定されるものではない。
現実にこのような発光の増強現象が目に見える形で起こっている事例として、表面増強ラマン散乱現象がある。具体的な方法として、表面に適度な凹凸を有する銀や金の表面上に分析対象分子を吸着させると、通常の溶液中やスライドガラス上に比べて例えば4桁から6桁もラマン散乱光の強度が強くなる。あるいは、銀や金のナノ粒子が分散した懸濁液に分析対象物質を混ぜて、そのままの状態でラマン散乱光を測定したり、その懸濁液をスライドガラスなどの通常の基板上に滴下して乾燥させたものについてラマン散乱光を測定しても同様の効果がある。この発光増強現象のメカニズムには多くの要因が絡んでいることが知られており、今なお十分に解明されたとは言えないが、表面プラズモンの共鳴による電界増強が重要な役割を果たしているのは確実とされている。
プラズモンとは粒子描像的な呼称であるが、実際に議論されるのは古典電磁気学的なプラズマ波である。表面プラズモンは、界面から離れるに従って指数関数的に減衰する界面に局在した表面波で、可視光から赤外光の領域で誘電率の実部が負の値を持つ金属一般で見られる。波数ベクトルの3成分の内、界面に垂直な成分が虚数の値を持つため、他の2成分は自由空間中よりも大きな値を持つ。すなわち、空間を伝搬する光波に比べて波長が短くなる。また、その波長は材料の誘電特性だけでなく、構造によっても決まり、さらに短い波長の実現も可能になる。
表面増強ラマン散乱における表面プラズモンの役割については、例えば以下の文献1に報告されている。ロペス−リオス、「冷蒸着金属膜の表面増強ラマン散乱における導波および表面プラズモン共鳴の役割」ソリッドステイトコミュニケーションズ、52巻、2号、197〜201頁(T. Lopez-Rios, “Role of waveguide and surface plasmon resonances in surface-enhanced raman scattering at coldly evaporated metallic films”, solid state communications, vol. 52, No. 2, pp.197-201, 1984)
表面プラズモンを共鳴させるような共振器を作れば、他の手法では実現できないような微小な共振器が実現できる。特に銀、金、銅、アルミニウムなどの金属では、吸収による光の損失が小さいので、大きなQ値も同時に実現できる。この共振器は、光を照射して分析対象物質から情報を得る光学分析を高感度化する分析用チップとして利用価値が高い。
しかし、これまで、このような分析用チップについて、明確な設計指針は示されておらず、量産に適した構造についても十分な検討はなされていない。
本発明は、表面プラズモン共鳴を利用し、ラマン散乱光に代表される光信号に基づく分析の高感度化を可能とする分析用チップ、このチップの製造方法、さらにはこのチップを用いた分析用装置と分析方法を提供することを目的とする。
本発明は、負誘電体と、前記負誘電体の表面に形成された少なくとも1つの溝の内部に配置された、固体状態にある正誘電体と、を備えた光学分析用チップを提供する。
本発明は、その別の側面から、上記光学分析用チップの製造方法であって、予め所定寸法の溝を形成した型を正誘電体に押圧することにより、前記溝に由来する凸部を前記正誘電体の表面に形成する工程と、前記正誘電体の前記表面に前記凸部の高さを超える高さにまで負誘電体を形成する工程と、前記正誘電体の前記表面の反対側から、前記負誘電体の表面が露出し、かつ前記凸部に由来して前記負誘電体の表面に形成された溝の内部に配置された状態で前記正誘電体の一部が残存するように、前記正誘電体の一部を除去する工程と、を含む光学分析用チップの製造方法を提供する。
本発明は、また別の側面から、上記光学分析用チップの製造方法であって、正誘電体薄膜と負誘電体薄膜とを交互に積層した積層体を形成する工程と、前記積層体の一方の側面に負誘電体を配置する工程と、前記積層体の前記側面と反対側の側面から前記積層体を研磨して、前記負誘電体薄膜および前記側面に配置された負誘電体により形成され、前記正誘電体薄膜からなる正誘電体が内部に配置された溝の深さLを定める工程と、を含む、光学分析用チップの製造方法を提供する。
本発明は、さらに別の側面から、上記光学分析用チップと、前記光学分析用チップの表面に光を照射できるように配置された光源と、前記表面から放射された光を計測できるように配置された光計測器と、を備えた光学分析用装置を提供する。
本発明は、またさらに別の側面から、上記光学分析用チップの表面に、分析対象物質を配置し、前記表面に光を照射して、前記分析対象物質から放射された光を計測する、物質の光学分析方法を提供する。
負誘電体の表面に表面プラズモン共鳴を生じさせる溝を形成しただけでは、微小な分析対象物質は、溝の底部に入り込む。後述するとおり、閉鎖端となる溝の底部では表面プラズモン共鳴による大きな電界強度が得られない。そこで、本発明では、固体である正誘電体を溝の内部に配置することにより、分析対象物質を配置すべき位置を予め規定することとした。
また、ナノメートルレベルの幅しかない狭い溝は一般に物理化学的に不安定で、物体が溝の中に析出したり、原子がマイグレーションして、溝が埋まってしまったりする経時変化が懸念される。固体である正誘電体を溝の内部に配置することは、工業製品としての安定性の観点からも、合理的である。
負誘電体と正誘電体の界面の模式図(a)、およびこれに沿って伝搬する表面波モードの分散特性を示す図(b)である。 負誘電体をクラッド、正誘電体をコアとするスラブ導波路の模式図(a)、およびこれに沿って伝搬する表面波モードの分散特性を示す図(b)である。 閉鎖型共振器の模式的な構造と共鳴時の電界分布とを対比して示す図である。 (a)〜(c)とも、閉鎖型共振器の構造を例示する斜視図である。 本発明の光学分析用チップの一例を示す断面図である。 本発明の光学分析用チップの別の一例を示す断面図である。 (a)〜(d)とも、本発明の製造方法の一例における各工程を説明するための断面図である。 表面未処理状態における分析対象物質の分散状態を示す断面図(a)、および表面処理後の分析対象物質の分散状態を示す断面図(b)である。 (a)〜(f)とも、本発明の製造方法の別の一例における各工程を説明するための断面図である。 本発明の光学分析用チップが示す反射スペクトルの一例(a)、および電界増強度の波長依存性の一例(b)を示す図である。 本発明の光学分析用チップが示す反射スペクトルの一例である。 本発明の光学分析用装置の構成例を示す模式図である。 励起光の波長λeおよび信号光の波長λsと、光学分析用チップの電界増強度の波長依存性との関係の一例を示す図である。 励起光の波長λeおよび信号光の波長λsと、光学分析用チップの電界増強度の波長依存性との関係の別の一例を示す図である。
[感度向上の基本原理]
まず初めに、本発明の光学分析用チップが「共振器」として作用する場合の発光増強効果について説明する。
この「共振器」は2つの効果を持っている。第1の効果は、入射電界の増強である。これはあたかもレンズで入射光を強く集光したように、小さな領域に大きな電界が生じる効果である。電界の大きな場所に置かれた分子は強く励起され、それに比例して大きな発光を示すことになる。第2の効果は、発光効率の増大である。通常、物質の発光効率は各物質に固有の特性のように理解されているが、それは自由空間中に置かれた場合の話であって、共振器中に置かれた物質の発光効率はそれとは異なる。特に共振器中の電界の大きな場所に置かれた分子(ダイポール)は、高い効率で発光する。この共振器中の電界の大きさは輻射場の状態密度に対応している。
第1の効果は受信アンテナとしての効果と言ってもよい。アンテナとは一種の共振器であり、良く知られているように、同じアンテナが受信アンテナとしても送信アンテナとしても働く。また、同じ波長に対する受信アンテナとしての性能と送信アンテナとしての性能は等しい。このことは相反定理により説明される。同様に、第2の効果は送信アンテナとしての効果と理解してもよい。第1の効果により強く励起された分子の発光効率そのものが第2の効果により増大するのであるから、共振器を用いれば発光効率は2回の増強効果を受ける。特に、ラマン散乱のように、物質が所定波長の光を受け、それとほぼ等しい波長の電磁波を放射する過程では、受信アンテナとしての増強度(M倍とする)と送信アンテナとしての増強度は相反定理によりほぼ等しくなるため、この過程の総合効率はM2倍にも達する。
以上述べて来た発光増強効果を利用するために、どのような共振器が必要なのかを考えてみる。まず第1に、電界増強度が大きいことが必要である。また、状態密度を高くするためには体積が小さく、そこに少数のモードだけが存在することが必要である。つまり、先述のパーセル係数が大きいことが重要である。第2に、そのような共振器において電界が大きな場所に正確に対象物質を配置できる構造が必要とされる。
以下、これらの条件を両方とも満足することのできる共振器としての光学分析用チップの実現方法について述べていく。
利用すべき物理現象は、微小な間隙のスリットを負誘電体材料でできたクラッドによりはさんだスラブ導波路の表面プラズモンモードが、導波路の端面で反射されることにより起こる共鳴現象である。このスラブ導波路が、表面プラズモンの波長と同程度の有限の長さしか持たないことが重要である。
ここで、正誘電体とは、誘電率の実数部が正の値であるもの、負誘電体とは、誘電率の実数部が負の値であるものである。正誘電体は、一般的な非金属材料が該当し、具体的にはガラス、セラミクス、半導体、高分子、液体などが挙げられる。また、上記定義によると、空気やその他の気体、真空の空間も正誘電体と呼べる。一方、負誘電体は、特定の材料からなる物体が特定の周波数領域においてのみ上記のような性質を有する、というものである。代表的なものに、プラズマ周波数よりも低周波数、つまり可視光や赤外光領域における金属材料が挙げられる。この他に、遠赤外光領域からテラヘルツ波領域における炭化ケイ素や各種イオン結晶などの大きな格子振動の共鳴を示す材料、超伝導エネルギーギャップよりも低周波数のテラヘルツ波領域からマイクロ波領域における超伝導状態の超伝導材料、キャリアが励起された状態のシリコンなどの半導体材料、などがある。
負誘電体と正誘電体との界面(図1(a))には、一般に、電界が界面に垂直で、電磁界が界面において最大値を取り、界面から離れるに従って指数関数的に減衰するような電磁界分布を持ち、表面に沿って伝搬するような表面波モードが存在する。特に誘電率の虚数成分の値が小さな材料に対しては、このような表面波は長い距離伝搬できる。負誘電体を金属材料とする場合の表面波が、前出の表面プラズモンである。
このような表面波の波長を議論する際に、分散曲線を考えることが多い。分散曲線は一般に横軸に波数kP、縦軸に角周波数ω0を取る(図1(b))。波数は表面波の波長λPの逆数に比例し、kP=2π/λPと表される。一方、角周波数は、その電磁波が真空中を伝搬する時の波長(真空波長)λ0の逆数に比例し、ω0=2πc/λ0と表される。ここでcとは真空中の光速である。分散曲線の形状は負誘電体と正誘電体の誘電特性で決まり、一般的な金属材料の可視〜赤外光領域での分散曲線は図1(b)のような形になる。
この曲線は、具体的には、
p 2=(ω0/c)2×εdεm/(εd+εm
という関係により表される。ここでεd、εmは、それぞれ、正誘電体、負誘電体の比誘電率である。
次に、負誘電体をクラッド、正誘電体をコアとするスラブ導波路(図2(a))を考える。この系では、2つの界面での表面波モードが相互作用し、結合モードと反結合モードに分裂する。この様子を図2(b)の分散曲線に示した。破線は図1(b)の分散曲線で、それが上下に分裂している。上が反結合モード(TM1モード)、下が結合モード(TM0モード)である。
これらの曲線は、具体的には、
(1−R)/(1+R)=±exp(KdD) (式1)
の解として求められる。ここで、
d 2=kp 2−(ω0/c)2×εd
m 2=kp 2−(ω0/c)2×εm
R=−εdm/(εmd
である。
TM0などの呼称は、技術分野によって定義が異なる場合があるが、正誘電体と負誘電体の界面に垂直な電界成分を有し、カットオフ周波数を有さないモード、と表現すれば、いずれの分野の記述方法を採用するにしても、本明細書においてTM0モードと呼んでいるモードを特定できる。ここで、カットオフ周波数とは、それよりも低い周波数ではそのモードが伝搬し得ないという境界を規定する角周波数ω0のことである。カットオフ周波数が存在するモードでは、図2(b)のTM1モードのように、分散曲線が縦軸のゼロでないところから始まる。これに対し、TM0モードは、分散曲線が原点から始まっている。負誘電体をクラッド、正誘電体をコアとするスラブ導波路の複数の表面波モードにおいて、カットオフ周波数を有さないのは、TM0モード、ただ一つである。
結合モード(TM0モード)の表面波の波長λPは、コア厚さDが小さくなるほど短くなる(波数は大きくなる)。Dを小さく選べば、真空中での波長λ0に対して、数分の1から数10分の1という小さなλPも実現できる。これは屈折率が数十という材料の中での電磁波の波長に相当するが、現実にはそのような巨大な屈折率を持つ材料は知られていない。つまり、屈折率を大きくすることではとても得られないような小さなλPが、負誘電体をクラッドとし、コア厚さDが微小なスラブ導波路であれば実現できるのである。
また、この結合モードの表面波は平面波と同じ電磁界の対称性を持つので、導波路端面から平面波を照射するだけで容易に励起できるし、逆に端面から空間に電磁波を放射することもできる。なお、電磁波である光は一般にある角度分布を持って共振器に入射したり出射したりするが、本明細書では、その平均的な伝搬方向を主伝搬方向と呼ぶ。
このような表面波が導波路の端面に到達した時、表面波は反射され、導波路へと再び戻っていく。この時の反射率はコア厚さDが小さいほど高くなる。入射波に対してどのような位相関係で反射されるかは、端面の状態により決まる。端面の先が正誘電体で覆われている場合(開放端と呼ぶ)には、端面にて電界が極大になるような位相関係で反射し、導波路の端面が負誘電体で覆われている場合(閉鎖端と呼ぶ)には、端面にて電界が0になるような位相関係で反射する。
従って、伝搬方向の一方の端部が開放端で他方の端部が閉鎖端である場合には、導波路の長さ(溝の深さ)Lが(1/4)λP、(3/4)λP、(5/4)λP・・・に一致するような飛び飛びの波長λPを持った表面波に対する共振器となる(図3)。この共振器はいわゆる閉鎖型共振器である。
実際には、開放端や閉鎖端において電界が厳密に極大や0になるわけではなく、多少のしみ出しが起こる。そのため、設計にあたっては若干の補正が必要である。境界要素法などの数値計算手法により、マックルウェル方程式の厳密計算を行い、正誘電体コア内部およびその近傍に蓄積される電磁気的エネルギーが極大になる条件を探せば、目的の真空波長λ0の光がちょうど共鳴するような導波路長Lを正確に求めることができる。
この時、伝搬方向に、上記のような共鳴が効率良く起こるには、伝搬方向と平行なコアの側面は開放端となっていることが望ましい。側面が開放端である場合には、側面間距離Wには共鳴が起こるための特別の条件は存在しない。特に導波路長Lが注目しているλ0に対して1次の共鳴に対応する長さで、かつ、Wも同程度の小さな寸法である場合には、この共振器はシングルモード共振器となり、特定のモードを効率良く励起することができ、なおかつ、究極の小さな体積を持つ、高性能な微小共振器となる。もう一つの形態として、側面間距離Wが真空波長λ0の半分以上であれば、側面は閉鎖端であっても、比較的効率良く共鳴を励起できる。図4(a)〜(c)に、以上の条件から導き出される具体的な構造を列挙した。
以上述べてきたように、負誘電体をクラッド、正誘電体をコアとするスラブ導波路におけるTM0モードの端面反射による共鳴は、小さな共振器を実現し、外界との相互作用が容易で、顕著な共鳴を示すので、微小共振器として理想的である。特にコア厚さDが真空波長λ0の1/10以下になると、十分小さな波長λPが得られると同時に大きな電界が得られる。歴史的には、このモードは、他のモード(例えばTE0)等に比べると伝搬損失が大きいために、あまり注目されてこなかった。そのために、本発明ほどの簡潔で微小な分析用チップの実現方法が、長い間見過ごされてきた。しかし、微小な共振器を考える上では、所詮、波長の数分の1か、長くてもせいぜい数波長分という小さな距離の伝搬しか議論しなくて良いので、この損失はさほど深刻な問題ではない。
実は、これまで盛んに研究されてきた銀や金のナノ粒子の凝集体の粒子接触点におけるプラズモン共鳴は、各粒子を負誘電体クラッド、その隙間を正誘電体コアとしたスラブ導波路の結合導波モードが、2つの開放端の間で共鳴しているものと見なすことができる。接触点で導通した場合の共鳴も、閉鎖型共振器が形成されていると考えれば同様に解釈できる。本発明は、銀や金のナノ粒子の凝集体で偶然に生じている巨大な共鳴の本質的なメカニズムを抽出し、最適な形で人工的に起こすための構造の設計ルールを提供し、これに基づいて光学分析を高感度化する側面を有する。
[光学用分析チップの構成]
本発明の光学分析用チップは、負誘電体と、この負誘電体の表面に形成された少なくとも1つの溝の内部に配置された、固体状態にある正誘電体とを備えている。図5に、本発明の光学用分析チップの最も簡単な構成例を示す。負誘電体1の表面1aには、断面が矩形の溝が形成され、この溝の底部から溝内部の所定高さにまで正誘電体2が配置されている。正誘電体2の表面2aは、分析対象物質3を配置する台としての役割を果たす。この台に配置された分析対象物質3に光31が照射され、この照射に伴って物質3から放射される信号光32が測定の対象となる。
図6に示すように、本発明の光学用分析チップは、負誘電体1の表面に形成された2以上の溝の内部に配置された正誘電体2を備え、2以上の溝が互いに平行に配置された構成としてもよい。この分析チップでは、幅Dの溝が、所定の間隔Pで規則的に(周期的に)配置されている。溝が複数の正誘電体2が存在すれば、単に散布しただけで、ある確率で、分析対象物質3は正誘電体2の上に位置する。この形態を用いれば、微小な分析対象物質3を微小な幅を有する溝内部の正誘電体2上に配置するという困難な作業が不要となる。
以下、図4および図6を参照して、光学用分析チップの好ましい寸法を例示する。
溝の幅Dは、溝の深さLおよび溝の長さWよりも小さいことが好ましい。溝の幅Dは、具体的には、50nm以下、特に10nm以下、例えば0.2nm〜10nmが好適である。溝の深さLは、1μm以下、例えば1nm〜500nmが好適である。溝の幅Dに対する溝の深さLの比は、10以下であってもよい。この比を極度に高くする必要がないため、溝の形成は、比較的容易である。対象とする光の真空波長λ0は、300nm〜4μmから選択するとよい。
溝の長さWは、対象とする波長λ0の1/2以上としておけばよく、例えば500nm〜5μmの範囲であってもよい。なお、溝の長さ方向について、溝の端面は、ともに負誘電体で覆われていなくてもよく(図4(a))、少なくとも一方が負誘電体で覆われていてもよい(図4(b)(c))。
この溝における共鳴波長λ0は、主として、溝の幅D、溝の深さLおよび溝の間隔Pにより制御できる。λ0に現れる共鳴ピークの鋭さは、主として、溝の幅D、共鳴の次数および負誘電体の誘電率により定まるが、ある程度の広がりを有し、この広がりの程度に応じ、共鳴による増強効果が得られる波長域が定まる。波長域の広がりは、D=10nmであって負誘電体が金である場合の1次の共鳴ピークの半値幅により表示すると、100nm程度である。ピークの大きさにより実際の増強効果は相違するが、ここでは、半値幅により規定される波長域が当該ピークによる増強効果が得られる波長域と考える。溝の深さL、間隔Pおよび幅Dは、TM0モードの表面波の共鳴により、溝の内部において(対象波長を含む)所定の波長域の波長を有する光の強度が増強されるように、設定するとよい。
近接する溝の共鳴の相互作用や負誘電体表面の表面波の影響を実質的に考慮する必要がない場合、目的とする波長を含む所定の波長域において光の強度が増強されるように適切に設定すべき最も重要なパラメータは、溝の深さLである。溝の深さLは、具体的には((2n−1)/4)λPと規定するとよい。ここで、nは、好ましくは6以下、より好ましくは3以下の自然数であり、λPは(TM0モードの)表面波の波長である。なお、TM0モードの表面波の波長λPは、対象とする波長λ0、溝の幅D、負誘電体および正誘電体の比誘電率、によって定まる。
上記のように溝の深さを設定すると、溝の深さ方向について負誘電体の表面と同じ高さにある溝の開口端において、電界が極大となる(図3)。従って、この場合は、負誘電体の表面1aと正誘電体の表面2aとを一致させるとよい(図5、図6)。
しかし、実際には、上述のように、光の入射面(負誘電体の表面)における表面プラズモンモード(図6のP方向に伝搬するモード)と溝内部における表面プラズモンモード(L方向に伝搬するモード)とが結合し、新たな共鳴状態が生じうるため、電界が極大となる位置は、負誘電体の表面からずれることがある。こうして生じる新たな共鳴モードにおける分散特性は、転送行列法や多モード展開法を用い、マックスウェル方程式を厳密に解けばわかるから、その計算結果に基づき、正誘電体の表面2aの位置を、電界が極大となる高さ近傍とすればよい。
上述のように、新たな共鳴モードが生じた場合、電界の振幅が最大となる位置は、負誘電体の表面1a(溝開口端)から溝の底部に向かって、概ねLの0.6倍以下、多くの場合Lの0.5倍以下、の範囲となる。
正誘電体2を、その表面2aが、負誘電体の表面1aと実質的に同一の高さとなるように充填した分析用チップは本発明の好ましい一形態ではあるが、実際には、上記程度に、正誘電体の表面2aの高さを適宜調整するとよい。ここで、「実質的に同一」とは、正誘電体の表面2aと負誘電体の表面1aとの高さの相違が溝の深さLの10%以下であることをいう。
負誘電体および正誘電体の材料を以下に例示する。代表的な負誘電体材料としては、金属が挙げられる。金属からなる負誘電体は、例えば、金、銀、銅およびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種を主成分としていてもよい。ここで、主成分とは、最も含有率が多い成分をいう。例えば、金および銀の含有率の合計がその他の成分の含有率の合計を上回る負誘電体の主成分は、金および銀の2成分である。
正誘電体は、上記に例示した各種材料を適用できるが、例えば樹脂および無機材料から選ばれる少なくとも一方から構成するとよい。ここで、無機材料は、半導体材料を含み、さらに酸化物、窒化物、炭化物、窒化物、塩化物、フッ化物など各種無機化合物を含む意味で用いている。無機材料としては、例えばシリカ(酸化ケイ素)、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化ハフニウムおよびフッ化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種を例示できる。また、樹脂としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(アクリル樹脂)、ポリカーボネートなどを例示できる。
[光学用分析チップの具体例と特性]
光学分析用チップについて、具体的な寸法例とその特性を紹介する。典型的な構造として、D=10nm、L=60nm、W=3μm、負誘電体を金、負誘電体の溝に充填する正誘電体をεd=2.1のシリカとした時の単一の閉鎖型共振器を考える。時間領域差分(FDTD)法による計算の結果、λ0=1.27μmで1次、λ0=615nmで2次の共鳴を示すことがわかった。計算で求めた反射スペクトルを図10(a)に示す。
これに対応するサンプルを、金、シリカ、金の多層膜を積層し、集束イオンビーム装置で所定のL、Wより若干大きめの矩形領域を残して周囲を除去し、閉鎖端側45度の方向から金を蒸着し、もう一度集束イオンビーム装置に取り付けてLとWを仕上げ加工するという加工手順により作製した。でき上がった寸法はD=14nm、L=63nm、W=3μmであった。反射スペクトルを測定したところ、λ0=605nmに2次の共鳴に対応する反射の谷が観察されたことから(1次は測定可能波長領域外で直接は観測できなかった)、閉鎖型共振器においても計算と実験とは比較的よく一致することが確認できた。
この時、計算によると、コアの入射端面中央での電界増強度(強度に対応するように、電界の振幅|E|の2乗で記述)は、図10(b)に示すように、1次で2270倍、2次で80倍であった。1次と2次の間の細かいピークは、W方向の成分を持った表面プラズモンによる共鳴である。コアを1桁小さくしてD=1nmとすると、電界の振幅はDに反比例するから、さらにその100倍、つまり、1次で5桁以上、2次で3〜4桁の強度の増強が起こる。ラマン散乱過程では、入射波と散乱波の両方がそれぞれこれだけの増強を受けるので、1次で10桁以上、2次でも7桁程度のラマン増強が見込まれる。これはせいぜい2桁しか得られなかったこれまでの分析チップとは桁違いの性能であり、銀や金のナノ粒子凝集体に匹敵する増強度も実現が可能になる。
[光学用分析チップの製造方法の第1の具体例]
本発明による分析チップの構造が工業的に優れている点は、ナノインプリント技術などと総称される、近年発展著しいナノメートルレベルの型転写技術を応用すると、安価に量産できることにある。この分析チップは、負誘電体、例えば金属材料、の表面の幅D、深さLの溝に正誘電体固体材料が埋め込まれた構造を有する。Dの値としては先の例のように10nmやそれ以下の微小な寸法が望ましいが、Lの値も同程度の寸法であり、決してアスペクト比(L/D)が大きいわけではない。具体的には先の数値例で6であり、せいぜい10である。10を超えるアスペクト比を持つナノ構造物とは異なり、アスペクト比が10以下であれば、多くの技術を適用できる。
図7(a)〜(d)に、型転写技術をベースとした高感度分析チップの製造プロセスを示す。このプロセスには、表面に所定形状の溝が形成された金型を用いる。この金型は1個あればよいので、その製造には電子線リソグラフィ技術など量産性に乏しい工程を用いてもよい。この型を、例えば樹脂からなる型材料に転写し、幅D、高さLの突起25が形成された樹脂50を得る(図7(a))。突起25の間は、幅Pの溝15となる。
このプロセスとしては、多数の方法が提案されている。例えば、単に温度を上げた状態でアクリル樹脂などの平板に金型をプレスする方法、透明の金型を樹脂平板に押し付けた状態で金型側からレーザパルスを照射し、一瞬に高温にして型の形状を転写する方法、基板上に液体状の紫外線硬化樹脂を塗布しておき、型をプレスした後、透明の金型側から紫外線を照射し、樹脂を硬化させる方法などである。
なお、入射光が負誘電体の表面で回折を起こすと効率が低下するため、一般には、対象とする波長λ0で回折が起こらないように、P+D<λ0とすることが好ましい。入射光が角度分布を有する場合にも、P+D<λ0/2としておけば回折は起こらない。P+Dは、例えば、100〜250nmとしておくとよい。
次いで、直流マグネトロンスパッタリング法などの成膜技術を適用し、樹脂50の表面に、負誘電体薄膜1を成膜する(図7(b))。負誘電体薄膜1としては、例えば厚み150nmの金薄膜が挙げられる。成膜方法は、負誘電体が型50の溝15にも十分に充填されるように、ステップカバレージの高い方法および条件を選択すべきである。負誘電体薄膜1の表面には、型の突起25および溝15を反映し、溝11および突起21が形成される。
引き続き、エポキシ樹脂などの接着剤30を用いて負誘電体薄膜1を基板20に接合する(図7(c))。基板20は、薄膜1を支持できれば、その材料に特に制限はなく、例えばガラス、シリコン、金属等であってよい。
最後に、負誘電体薄膜1を形成した面とは反対側の面から、樹脂50をある程度機械的に研摩し、さらに、各種有機溶媒(キシレン、トルエンなど)を用いて、負誘電体薄膜1の溝11以外から樹脂50を除去する(図7(d))。溶媒による樹脂50の除去は、少なくとも負誘電体薄膜11の突起21の頂面が露出する程度にまで行う必要がある。
こうして、深さL、幅Dの溝11が互いに平行かつ間隔Pで規則的に配列し、この溝11に正誘電体2である樹脂が充填された表面を有する負誘電体1を備えた分析チップが得られる。
なお、負誘電体薄膜1における溝11形成部分における厚みTは、負誘電体の内部で電界が十分減衰し、共鳴特性が反対側の面から影響されない程度の厚さとすることが好ましい。Tの厚みとしては、100nm以上が好ましい。ただし、Tは必要以上に大きくする必要はない。分析用チップの強度は、溝11を形成した表面と反対側の表面において負誘電体1と接合する基体20により確保すればよい。これを考慮すると、Tの厚みは1μm以下であってよい。
上述の理由により、図7(d)に示したような複数の溝が配置された構造では、新たなプラズモン共鳴状態が生じ、電界が極大となる位置が負誘電体1の表面からシフトすることがある。この場合には、有機溶媒による溶解条件を最適化し、溝11内部の適切な位置にまで正誘電体(樹脂)2の表面を後退させればよい。
さらに、分析チップに表面処理を施してもよい。例えば、正誘電体2の表面が、負誘電体1の表面と比較して相対的に親水性を示すように、あるいは相対的に疎水性を示すように、正誘電体2の表面および負誘電体1の表面から選ばれる少なくとも一方に適切な表面処理を施すと、これら表面における分析対象物質の分布を制御しやすくなる。
例えば、分析対象物質が水溶液の状態で供給される場合、未処理の場合には分析対象物質3がほぼ均等に分布するが(図8(a))、負誘電体1の表面に疎水処理を施し、正誘電体2の表面を親水性とすると、分析対象物質3は正誘電体2の表面に密に分布する(図8(b))。例えば、上述の工程に従って得た分析チップの表面全体を酸素プラズマ処理して親水化し、その後、この表面を1−デカンチオールのエタノール溶液に浸けてエタノールでリンスすると、負誘電体1(金)の表面のみに1−デカンチオールが吸着し、負誘電体1の表面のみが疎水化される。このような表面処理は、微量の対象物質の分析に効果がある。
また、逆に分析対象物質が疎水性表面に吸着しやすい場合には、親水化のための酸素プラズマ処理を施さずに、分析チップの表面を3−メルカプトプロピオン酸のエタノール溶液に浸けてエタノールでリンスすると良い。負誘電体1(金)の表面のみに3−メルカプトプロピオン酸が吸着し、末端のカルボキシル基のために、負誘電体1の表面のみが親水化される。一方の正誘電体2の表面は本来疎水性であるため、分析対象物質3は正誘電体2の表面に密に分布する。
[光学用分析チップの製造方法の第2の具体例]
本発明の光学用分析チップは、薄膜形成技術を応用して作製することもできる。例えば、まず、基板61とする合成石英基板上に、負誘電体薄膜5とする厚さ150nmの金薄膜と、正誘電体薄膜2とする厚さDのシリカ薄膜とを交互に複数回積層した多層膜(多層構造)71を形成する(図9(a))。
次いで、基板61を例えば2mm程度の幅に短冊状に切断する。これを2枚一組として、多層構造部分を向かい合わせ、接合層73となる硬質のエポキシ樹脂にて貼り合わせる。こうして、第1基板61、第1多層構造71、接合層73、第2多層構造72、第2基板62がこの順に積層された積層体を得る(図9(b))。
多層構造71,72を貼り合わせるのは、その後の研摩工程では外周部分が早く研摩される傾向があるためである。貼り合わせずに研摩すると、繊細な多層構造71,72が最外周となり、高精度な研摩が難しくなる。多層構造71,72を貼り合わせて被研磨材の中央に配置することで、高精度な研摩を容易にする。
さらに、この積層体を、厚さL’、例えば300μm程度、に切断し、研摩用のジグにホットワックスで貼り付け、片面を研磨する(図9(c))。研磨は、例えば、初めに耐水研摩紙、次いでダイヤモンドペーストで研摩することにより鏡面仕上げするとよい。さらに、アルゴンイオンによるフラットミリングなどの手法を用いてもよい。引き続き、多層構造71,72の端面の一方に、負誘電体薄膜40として厚さ150nmの金を蒸着し、この端面を閉鎖端とする(図9(d))。
その後、この積層体を、接着剤30を用い、支持体20とするガラス基板に接着する(図9(e))。接着剤30および支持体20の材料は、上記に例示したものを用いればよい。最後に、支持体20を研摩装置に取り付け、上記と同様の工程で研磨し、多層構造71,72の端面を後退させ、厚さ(溝の深さ)L’を所定寸法Lにまで減少させる(図9(f))。
こうして、負誘電体薄膜5,40により形成された溝に充填された正誘電体薄膜3が、表面(多層構造の側面)から露出した分析用チップを得ることができる。
なお、厚さLは、ナノメートルオーダの精度で作製することが望ましい。このためには、研摩中に適宜研摩面の反射スペクトルや透過スペクトルを測定し、目的のスペクトルになるまで研摩するとよい。
薄膜形成技術を用いれば、溝の幅Dを規定する薄い正誘電体薄膜を、精度良くかつ再現性良く形成できる。上記に例示した製造方法は、高い増強効果を得るために溝の幅Dを小さく制御した分析用チップの量産に適している。
[分析用装置および分析方法の説明]
図12に、本発明の分析用装置の一例を示す。この装置は、光学分析用チップ10と、光学分析用チップ10の表面に励起光31を照射できるように配置された光源41と、チップ表面から放射された信号光32を検出できるように配置された光計測器42と、を備えている。分析対象物質3は、光学分析用チップ10の表面に、その少なくとも一部が負誘電体1の表面に形成された溝の内部に配置された正誘電体2上に位置するように、配置されている。励起光31は、光学分析用チップ10について予め定められた入射光についての主伝搬方向(例えば表面に垂直な方向)に沿って照射することが好ましい。
光源41は、測定対象信号がラマン散乱光、蛍光、高調波光いずれの場合であっても、レーザなどの単色光源を用いるとよい。光源41から照射される光31の波長λeとの関係で記述すると、光学分析用チップにおける溝の幅Dは、λeの1/10倍以下が好ましく、溝の深さLは、波長λe以下であることが好ましい。また、光源41は直線偏光した光源が好ましい。その場合、偏光方向(電界ベクトルの方向)が、分析チップの溝の幅の方向に一致するように調整することが望ましい。
光計測器42は、具体的には分光器と光検出器とを組み合わせたものとするとよい。測定対象信号が分析対象物質の発するラマン散乱光である場合には、スペクトルを計測することにより、対象物質を特定したり、分子の状態を調べたり、濃度を計測したりする。しかし、分析対象が絞れていて、ラマン散乱光や蛍光からその量や割合を知りたい場合には、分光器を固定し、特定の波長範囲の強度だけを測定してもよいし、分光器の代わりに所定の透過スペクトルを持ったフィルタを用い、単にそれを透過してきた光強度を測定するのでもよい。高調波光を測定したい場合にも測定波長は励起光波長で定まるので、フィルタで十分である。これらの場合、光計測器42は、所定の透過スペクトルを有するフィルタおよび光検出器を備えていればよい。
以下、励起光波長、信号光波長、分析チップの共鳴波長の選択方法について説明する。本発明による分析チップは、スリットの幅D、深さL、間隔Pによって、様々な共鳴特性を持たせることができる。Dは主に増強度を与え、Dを固定すれば、共鳴波長はLとPによって定まる。共鳴の鋭さは、主にスリットの幅Dと共鳴の次数と用いる負誘電体の誘電率により定まる。
共鳴のピークの半値幅は、図10(b)に示した例では125nmであった。この程度の半値幅があれば、測定対象信号がラマン散乱光である場合には、励起光波長λeおよび信号光波長λsがともにこの範囲内となる。例えば、λe=633nmとしたとき、一般的に注目するラマンシフト(ストークス光)はせいぜい2000cm-1以下の範囲であるが、これは最大λs=725nmに相当する。λsとλeとの差は最大でも92nmであり、十分に一つの共鳴ピークに納まる程度の違いでしかない。従って、分析チップを選択するには、分析チップの共鳴ピークがλe、あるいはλs、あるいは両者の平均値となるように狙えばよい。測定対象信号が蛍光である場合にも、λsとλeの差(ストークスシフト)が小さな系の場合には、同様に考えればよい。
しかし、測定対象信号が蛍光で、ストークスシフトが大きい系の場合、あるいは、高調波光の場合、λsとλeの両方を1つの共鳴ピークに納めることはできない。その場合には、異なる次数の共鳴ピークがそれぞれλsとλeに対応するように分析チップを選択すればよい。
例えば、試作した共振器の内、D=56nm、L=208nmのものは、図11に示すように、反射スペクトルの谷の位置から、λ0=545nmに3次、λ0=763nmに2次の共鳴ピークがあることがわかった。これは、それぞれ、LDS751という色素のメタノール溶液の吸収極大波長542nmと発光極大波長754nmに非常に近い。このような場合、例えばλe=532nmの励起光で測定を行えば、励起光は3次の共鳴により増強され、発光も2次の共鳴により増強されるので、ラマン散乱光の時と同様に、2重の増強を得ることができる。様々な発光過程で表面プラズモンによる増強効果が同様に見られるはずなのに、ラマン散乱光の増強の報告だけが突出して多く、また、その増強度が顕著なのは、おそらく、偶発的に形成される共鳴状態では、ラマン散乱過程の場合には1本の共鳴ピークにλeとλsの両方が容易に納まるのに対して、蛍光や高調波光について、λeとλsの両方がそれぞれ共鳴ピークに納まる確率が極めて低く、どちらか一方の増強効果しか得られないためだと考えられる。しかし、本発明による分析チップを用いると、対象とする発光過程に合わせて最適なチップを設計し、実現することができるので、ラマン散乱光以外の発光過程でも容易に2重の増強を得ることができる。図14に蛍光、高調波光の計測に適した分析チップによる共鳴によるピークの例を示す。図14では、右から順に、(1/4)λP、(3/4)λP、(5/4)λPに対応するピークが示されている。
以上のように、本発明の光学分析方法は、波長λeを有する光を照射し、分析対象物質から放射されたλeとは異なる波長λsを有する光を計測する方法として適している。波長λsを有する光はラマン散乱光であってもよく、蛍光であってもよく、波長λeを有する光の高調波光であってもよい。
本発明の光学分析方法によれば、a)波長λeを有する光の照射により発生するTM0モードの表面波、およびb)波長λsを有する光の放射により発生するTM0モードの表面波、から選ばれる少なくとも一方の表面波の共鳴により、共鳴がない場合と比較して、波長λsを有する信号光の強度を増強することができる。本発明の光学分析方法によれば、a)の表面波の共鳴により波長λeを有する光の強度を増強し、かつb)の表面波の共鳴により波長λsを有する光の強度を増強することも可能である。
本発明の光学分析方法では、光学分析チップにおいて、溝が、TM0モードの表面波の共鳴により溝の内部において少なくとも1つの波長域にある光の強度が増強されるように、形成され、λeおよびλsが、ともに上記少なくとも1つの波長域から選ばれる同一の波長域に含まれていてもよい(図13参照)。また、本発明の光学分析方法では、光学分析用チップにおいて、溝が、溝の幅方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波の共鳴により溝の内部において2以上の波長域にある光の強度が増強されるように、形成され、λeおよびλsが、上記2以上の波長域から選ばれ、互いに異なる波長域に含まれていてもよい(図14参照)。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、その精神から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。例えば、上記の例では、λeやλsに対して、適切な分析チップを選択する際に、別々の条件で作られた別々のチップから適切なものを選ぶように記述した。しかし、本発明による分析用チップは、転写技術により一括生産できるから、多様な条件の共振器アレイを1枚のチップ上に多数配列しておき、その中から都合の良いものを選択すると利用価値がさらに高まる。このような複合的な分析チップも、本発明の簡単な拡張であり、本発明の一例に過ぎない。
本発明は、ラマン散乱光、蛍光、高調波光などの光信号に基づく分析の高感度化に寄与するものとして多大な利用価値を有する。

Claims (38)

  1. 負誘電体と、前記負誘電体の表面に形成された少なくとも1つの溝の内部に配置された、固体状態にある正誘電体と、を備えた、光学分析用チップ。
  2. 前記負誘電体の表面に形成された2以上の溝の内部に配置された、固体状態にある正誘電体を備え、前記2以上の溝が互いに平行に配置された請求項1に記載の光学分析用チップ。
  3. 前記溝の幅Dが、前記溝の深さLおよび前記溝の長さWよりも小さい請求項1に記載の光学分析用チップ。
  4. 前記溝の幅Dが50nm以下である請求項1に記載の光学分析用チップ。
  5. 前記Dが0.2nm〜10nmである請求項4に記載の光学分析用チップ。
  6. 前記溝の深さLが1μm以下である請求項1に記載の光学分析用チップ。
  7. 前記Lが1nm〜500nmである請求項6に記載の光学分析用チップ。
  8. 前記溝の深さLが、前記溝の幅方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波の共鳴により前記溝の内部において所定の波長域にある波長を有する光の強度が増強されるように、設定された、請求項1に記載の光学分析用チップ。
  9. 前記溝の深さLが、((2n−1)/4)λPである請求項8に記載の光学分析用チップ。
    ただし、nは自然数であり、λPは前記表面波の波長である。
  10. 前記溝の深さL、前記溝の間隔P、および前記溝の幅Dが、前記溝の幅方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波の共鳴により前記溝の内部において所定の波長域にある波長を有する光の強度が増強されるように、設定された、請求項2に記載の光学分析用チップ。
  11. 前記溝の長さ方向についての前記溝の2つの端面がともに負誘電体で覆われていない請求項1に記載の光学分析用チップ。
  12. 前記溝の長さ方向についての前記溝の2つの端面の少なくとも一方が負誘電体で覆われている請求項1に記載の光学分析用チップ。
  13. 前記負誘電体が金属からなる請求項1に記載の光学分析用チップ。
  14. 前記金属が、金、銀、銅およびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする請求項13に記載の光学分析用チップ。
  15. 前記正誘電体が、樹脂および無機材料から選ばれる少なくとも一方からなる請求項1に記載の光学分析用チップ。
  16. 前記表面の反対側の面において前記負誘電体に接合された基体をさらに含む請求項1に記載の光学分析用チップ。
  17. 前記溝の深さ方向について、前記正誘電体の表面が、前記負誘電体の表面と実質的に同一の高さを有する請求項1に記載の光学分析用チップ。
  18. 前記正誘電体の表面が、前記負誘電体の表面と比較して相対的に親水性を示すように、前記正誘電体の表面および前記負誘電体の表面から選ばれる少なくとも一方が表面処理を施された請求項1に記載の光学分析用チップ。
  19. 前記正誘電体の表面が、前記負誘電体の表面と比較して相対的に疎水性を示すように、前記正誘電体の表面および前記負誘電体の表面から選ばれる少なくとも一方が表面処理を施された請求項1に記載の光学分析用チップ。
  20. 請求項1に記載の光学分析用チップの製造方法であって、
    予め所定寸法の溝を形成した型を正誘電体に押圧することにより、前記溝に由来する凸部を前記正誘電体の表面に形成する工程と、
    前記正誘電体の前記表面に前記凸部の高さを超える高さにまで負誘電体を形成する工程と、
    前記正誘電体の前記表面の反対側から、前記負誘電体の表面が露出し、かつ前記凸部に由来して前記負誘電体の表面に形成された溝の内部に配置された状態で前記正誘電体の一部が残存するように、前記正誘電体の一部を除去する工程と、
    を含む光学分析用チップの製造方法。
  21. 前記正誘電体が樹脂からなる請求項20に記載の光学分析用チップの製造方法。
  22. 請求項1に記載の光学分析用チップの製造方法であって、
    正誘電体薄膜と負誘電体薄膜とを交互に積層した積層体を形成する工程と、
    前記積層体の一方の側面に負誘電体を配置する工程と、
    前記積層体の前記側面と反対側の側面から前記積層体を研磨して、前記負誘電体薄膜および前記側面に配置された負誘電体により形成され、前記正誘電体薄膜からなる正誘電体が内部に配置された溝の深さLを定める工程と、
    を含む、光学分析用チップの製造方法。
  23. 前記正誘電体薄膜が無機材料からなる請求項22に記載の光学分析用チップの製造方法。
  24. 請求項1に記載の光学分析用チップと、前記光学分析用チップの表面に光を照射できるように配置された光源と、前記表面から放射された光を計測できるように配置された光計測器と、を備えた光学分析用装置。
  25. 前記光源が単色光源である請求項24に記載の光学分析用装置。
  26. 前記光計測器が、分光器および光検出器を備えた請求項24に記載の光学分析用装置。
  27. 前記光計測器が、所定の透過スペクトルを有するフィルタおよび光検出器を備えた請求項24に記載の光学分析用装置。
  28. 前記光学分析用チップにおける前記溝の幅Dが、前記光源から照射される光の波長λeの1/10倍以下である請求項24に記載の光学分析用装置。
  29. 前記光学分析用チップにおける前記溝の深さLが、前記光源から照射される光の波長λe以下である請求項24に記載の光学分析用装置。
  30. 請求項1に記載の光学分析用チップの表面に分析対象物質を配置し、
    前記表面に光を照射して、前記分析対象物質から放射された光を計測する、
    物質の光学分析方法。
  31. 波長λeを有する光を照射し、
    前記分析対象物質から放射された前記λeとは異なる波長λsを有する光を計測する、
    請求項30に記載の光学分析方法。
  32. 前記波長λsを有する光がラマン散乱光である請求項31に記載の光学分析方法。
  33. 前記波長λsを有する光が蛍光である請求項31に記載の光学分析方法。
  34. 前記波長λsを有する光が前記波長λeを有する光の高調波光である請求項31に記載の光学分析方法。
  35. a)前記波長λeを有する光の照射により発生する表面波であって前記溝の幅方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波、および
    b)前記波長λsを有する光の放射により発生する表面波であって前記溝の幅方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波、から選ばれる少なくとも一方の表面波の共鳴により、
    前記共鳴がない場合と比較して、前記波長λsを有する光の強度を増強する、請求項31に記載の光学分析方法。
  36. 前記a)の表面波の共鳴により前記波長λeを有する光の強度を増強し、かつ
    前記b)の表面波の共鳴により前記波長λsを有する光の強度を増強する、請求項35に記載の光学分析方法。
  37. 前記光学分析チップにおいて、前記溝が、溝の幅方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波の共鳴により前記溝の内部において少なくとも1つの波長域にある光の強度が増強されるように、形成され、
    前記λeおよび前記λsが、ともに前記少なくとも1つの波長域から選ばれる同一の波長域に含まれる、請求項36に記載の光学分析方法。
  38. 前記光学分析チップにおいて、前記溝が、溝の幅方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波の共鳴により前記溝の内部において2以上の波長域にある光の強度が増強されるように、形成され、
    前記λeおよび前記λsが、前記2以上の波長域から選ばれ、互いに異なる波長域に含まれる、請求項36に記載の光学分析方法。
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