JP2005345402A - 表面プラズモン共鳴による測定装置及びそれを用いた分析装置 - Google Patents

表面プラズモン共鳴による測定装置及びそれを用いた分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
試料中の成分を応答性よく、しかも高感度に汎用的に測定できるようにする。
【解決手段】
電極28a,28bからなる回折格子に励起光50を入射させると、回折格子の金属表面のプラズモンと共鳴して電場増強を起こす。電場増強領域52は導波膜23によって電極28a,28bの間の領域にも存在する。電極28a,28bに電圧を印加すると、電極28aと28bの間に働く電気力線54に沿って誘電泳動により試料成分58が電極に引き寄せられて電場増強領域52に入ってきて屈折率が変化し、0次回折光50bの強度が変化することによって試料成分が検出される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)現象を用いて溶液中の物質、例えば微生物、蛋白質、核酸、糖質又はこれらが結合した混合物など、の濃度又は屈折率を求める測定装置と、その測定装置を検出器として用いた液体クロマトグラフやキャピラリ電気泳動などの分析装置に関するものである。
表面プラズモン共鳴とは金属表面に光が入射し、表面プラズモンと同じ波数(運動量と振動数(エネルギー))をもったエバネセント波が重なるとき、金属表面近傍の電子が共鳴状態となる現象を指す。金属又は半導体中の電子は集団的に振動しており、これはプラズマ振動又はプラズマ波と呼ばれている。表面プラズモンとは表面上のプラズマ波を量子的に述べたものである。また、エバネッセント波とは、物質の表面に沿って進行する波で、そのエネルギーが界面からの距離により指数関数的に減衰する波であって、全反射領域において入射面に沿って進行し、外部には伝播しない波を言う。
表面プラズモン共鳴には、プリズムを用いたもの(特許文献1参照。)と回折格子を用いたもの(特許文献2,3,4参照。)とがある。
表面プラズモン共鳴は金属(回折格子)表面近傍のみに感度を持つため、その領域の質量変化又は屈折率変化を高感度に捉えることができる。
表面プラズモン共鳴を利用した検出器は、これまで抗原抗体反応などの表面反応を利用して測定対象物を回折格子の近傍に固定化し、反射光と透過光の角度又は波長に依存したシグナル変化を測定することで、主に分子相互作用解析装置として使われてきた。
溶液中の試料濃縮技術である誘電泳動と高感度検出可能な表面プラズモン共鳴とを組み合わせた測定装置が提案されている(特許文献5参照。)。誘電泳動により電極に引き寄せた物質を金属薄膜上で起こる表面プラズモン共鳴による屈折率変化により測定するという内容である。
誘電泳動とは中性粒子(試料)が、媒質より分極しやすい粒子であるとき、物質を不均一な電界内におくと正・負電荷に加わる力が不平等になりキャンセルされないため合力の方向に分極が起こり、物質が移動する現象をいう。
誘電泳動用の電極の機能と表面プラズモン共鳴の機能を持った金属薄膜上においても、誘電泳動力で試料を電極付近に捕集し、その濃度変化を表面プラズモン共鳴の反射光の光量変化から測定することができる。また試料が蛍光物質又は蛍光物質と結合した物質である場合、蛍光物質が励起されて発光する。この蛍光量を計測する検出器からの信号を解析装置へ送り、定性および定量解析に用いることができる。
誘電泳動と表面プラズモン共鳴とを組み合わせた測定装置の概略を図10に示す。
基板2と外壁4によって試料溶液が流れる流路が形成され、その流路内の基板2の内面には金属薄膜6が形成されている。基板2の外面には励起光を入射させるためのプリズム2が設けられている。この例では、金属薄膜6は表面プラズモン共鳴により電場増強領域16を形成する機能と、誘電泳動のための電場勾配10を形成する機能の両方を兼ねている。
このような金属薄膜6にプリズム3により励起光12が所定の角度で入射されると、エバネッセント場が発生し、金属薄膜6の表面のプラズモンと共鳴して金属薄膜6の表面の電場増強を起こす。一方、電源7から金属薄膜6間に電圧を印加すると試料溶液中の分子が電場勾配10によって誘電泳動により移動して集められるので、屈折率変化を高感度に測定できるようになる。
ここで、表面のプラズモン共鳴により電場増強が起こる様子を図11に示す。(A)はガラス面2上の金属薄膜6と試料溶液5が直接接している状態を示している。例えば、金属薄膜6は金薄膜であり、幅が1μmの短冊状で、1μmの間隔で互いに平行に配置されているものとする。試料溶液5として水を想定して、有限差分時間領域法(Finite Difference Time Domain:FDTD)で電界分布をシミュレーションした結果を(B)に示す。金属薄膜6の背面からの入射する励起光の波長、入射角度、金属薄膜の膜厚を調整することで表面プラズモン共鳴による強い電場増強が確認できるが、その領域は金属薄膜6上のみである。
特開平6−58873号公報 特開平6−50972号公報 特開2002−357543号公報 EP0257955A2号公報(特開昭63−75542号公報) 特開2003−65947号公報
電場勾配10は電極間に生じるので、誘電泳動で捕集される試料も電極間の領域11に集中する。一方、表面プラズモン共鳴現象が起こるのは金属表面のみであり、試料が捕集される領域とは一致しない。そのため、捕集した試料を感度よく測定することが困難であった。
本発明は誘電泳動と表面プラズモン共鳴とを組み合わせた測定装置において、試料中の成分を高感度に測定できるようにすることを目的とするものである。
本発明は、試料溶液と接する面に形成された金属薄膜と、試料溶液中の試料成分を誘電泳動により移動させるための電界を発生させる電極を有する捕集手段と、前記金属薄膜に特定波長の励起光を表面プラズモン共鳴が起こる入射角で入射させる光学系とを備えた表面プラズモン共鳴を利用する測定装置であって、前記金属薄膜上には、表面プラズモン共鳴による電場増強が誘電泳動による試料成分の移動領域にも及ぶように導波させる導波層を備えていることを特徴とするものである。
本発明における適当な導波層の材質及び膜厚は、金属薄膜の材質、膜厚及び形状、導波層と近接する基板の材質、並びに励起光の波長及び入射角度など多くのパラメータにより変化するが、それらのパラメータが決まれば、例えば先に示した有限差分時間領域法などの方法により求めることができる。
導波層の材質(誘電率)及び膜厚を決めるための表面プラズモン共鳴導波モデルを図8と図9により説明する。図8はガラス内での入射角が鈍角の場合、図9はガラス内での入射角が鋭角の場合である。
まず、ガラス内での入射角が鈍角の場合について説明する。
ガラス上の金属薄膜に光を入射し、表面プラズモン共鳴させる条件は周知のことであり、金属薄膜上で表面プラズモン共鳴が起こる条件はここでは示さないが、表面プラズモン共鳴しているときの各パラメータは次の通りである。
光(直線偏光p波又はs波)の波長:λ、
ガラス基板の誘電率:ε0
ガラス基板内の入射角(表面プラズモン共鳴角):θ0
金属薄膜の誘電率:ε1
導波層内の光の入射角:θ2
導波層内の光の波数:k2
導波層の膜厚:d2
導波層の誘電率:ε2
試料の誘電率:ε3
整数m(m=1,2,…)、
x:各材質の境界面方向、
z:境界面に垂直な方向、
なお、誘電率は屈折率の2乗を表わす。すなわち、εi=ni 2である。
金属薄膜の複素誘電率ε1=ε1 '+jε1 ' 'の条件は、ε1 '<0かつε1 ' '<2.5であり、金属薄膜の膜厚d1の条件は20<d1<100(nm)である。
次に、金属薄膜上で共鳴した表面プラズモン共鳴が導波層内を導波する条件を図8を用いて示す。点Pと点R、点Qと点Sは等位相面上にある波面を表わし、光線PQは光の進行方向を示す。点Pから点Qへ進む光線PQは反射の影響を受けず、点Rから点Sへ進む光線RSは上下の境界で2回全反射されているものとする。
光線PQの光路長l1と光線RSの光路長(2回の全反射によるグースヘンシンシフトを含む)l2は次のように表わされる。
1=RS=d2/cosθ2
2=PQ=d2sinθ2((1/tanθ2)−tanθ2)
反射における位相差を含めた2回反射の位相差pdiffは、
diff=(k22+φ21+φ23)−k21
と表わされる。φ21は金属薄膜と導波層表面での位相シフト、φ23は導波層と試料表面での位相シフトであり、入射光がp波、s波のとき、それぞれ次式で表わされる。
Figure 2005345402
Figure 2005345402
光の導波は光線PQの光路長l1と光線RSの光路長l2が同じかそれらの差が2πの整数倍のとき、又はそれらに近いときに起こる。すなわち、位相差pdiff
diff=0±α 又は 2mπ±α (1)
を満たすときに光の導波が起こる。ここで、±αは0又は2mπの近傍であることを表わしており、小さければ小さいほど好ましいが、例えばα=1程度に設定することができる。
したがって、導波層の材質、すなわちその誘電率ε2と膜厚d2は、上の(1)式を満たすように設定すればよい。
次に、ガラス内での入射角が鋭角の場合は、図9に示されるように
1=PQ=XS
となり、ガラス内での入射角が鈍角の場合と同じ条件を満たすように導波層の材質(誘電率ε2)と膜厚d2を設定すればよい。
前記金属薄膜と電極は別のものであってもよいが、構造を簡素にする点から、前記金属薄膜と電極を兼ねているものが好ましい。
表面プラズモン共鳴を起こさせるためにプリズムを設けてもよく、又は電極として帯状パターンが互いに平行に一定間隔をもって配列された部分をもつものを形成し、その部分が光学系から入射される光に対して回折格子の機能を有するようにしてもよく、両方を備えていてもよい。
電極が試料溶液と接する場合、試料成分が電極に吸着したり、電極が劣化したりするのを防ぐために、導波層が保護膜の機能をもつ材質のものを使用することが好ましい。
試料成分によっては励起光の照射によって蛍光を発するものがある。表面プラズモン共鳴と同時に蛍光も測定できるようにするために、表面プラズモン共鳴による電場増強領域に対向して蛍光を検出する蛍光検出器をさらに備えてもよい。
導波層上には特定試料成分と特異的に結合する結合物質が固定化されていてもよい。
表面プラズモン共鳴を起こすための励起光の波長としては、180〜2,000nmの範囲から選択された特定の波長であることが好ましい。
誘電泳動のための電界を発生させるために電極に印加する電圧は、その大きさ及び周波数(直流である場合の周波数0を含む)の一方又は両方を変化させることができるようになっていてもよい。
本発明の分析装置は液体クロマトグラフやキャピラリ電気泳動などのように、試料成分が分離されて移動してくる方式のものであり、その試料成分を検出する検出器として本発明の測定装置を用いたものである。
本発明の測定装置では、表面プラズモン共鳴により電場増強される領域が誘電泳動により試料が捕集される領域と一致するか、誘電泳動により試料が捕集される領域に及ぶようになるので、高感度計測が可能になる。
本発明の測定装置を検出器として用いることにより、移動相に液体を用いる分離方法、例えば、液体クロマトグラフィやキャピラリ電気泳動の精製物に対し、汎用的に高感度の測定が可能になる。
また、液体クロマトグラフィで処理した試料に、誘電泳動と表面反応を用いることにより、分離、精製した分子種の定量と生体活性測定が同時にできる装置が可能になる。
図1(A)は本発明の測定装置における表面プラズモン共鳴素子部分を概略的に示したものである。基板22上に金属薄膜28が形成されている。金属薄膜28は表面プラズモン共鳴を起こすものであるとともに、誘電泳動を起こす電極を兼ねたものである。ガラス面22上には金属薄膜28を被うように導波層23が形成されており、金属薄膜28と試料溶液25との間にはその導波層23が介在する。
基板22は非導電性の物質、例えばガラス、プラスチック、石英、シリコンなどを用いることが望ましい。
金属薄膜28は表面プラズモン共鳴に適した材質の金属、例えば金、銀、銅又はアルミニウムが適当である。
導波層23は誘電体膜であり、例えば蒸着法やスパッタリング法により形成されたシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、タンタル酸化膜、チタン酸化膜、ポリフッ化ビニリデンなど、又はポリイミド、レジストなどの塗布膜などを用いることができる。導波層の材質と膜厚は、表面プラズモン共鳴を起こす金属薄膜、導波層と近接する基板及び励起光に依存して、表面プラズモン共鳴による電場増強領域が誘電泳動により試料が捕集される領域と一致するか、その領域にも及ぶように調整する。
一例として、金属薄膜28が金薄膜であり、幅が1μmの短冊状で、1μmの間隔で互いに平行に配置されているものとする。試料溶液25としては水を想定し、図9の場合と同様に、有限差分時間領域法で電界分布をシミュレーションした結果を(B)に示す。ここでは、金属薄膜28の膜厚を30nm、導波層23としてポリイミドを使用し、その膜厚を280nmとし、励起光の波長を633nm、基板22としてガラスを使用し、そのガラス面での入射角度(ガラス面の垂線と光線との角度)を64.12°とした。
このように、金属薄膜28及び導波層23の膜厚、金属薄膜28の背面から入射する励起光の波長、入射角度などを調整することで、金属薄膜28上だけではなく、金属薄膜28のないギャップ部分にも表面プラズモン共鳴による強い電場増強が起こることがわかる。
金属薄膜28のないギャップ部分にも表面プラズモン共鳴による強い電場増強を起こさせるための条件として、例えは、金属薄膜28として金薄膜を形成した場合にはその膜厚が100nm以下、導波層23としてポリイミド層を形成した場合にはその膜厚が1000nm以下、励起光の波長が180〜2,000nm、基板としてガラスを使用した場合、その基板面での入射角度が30〜90°が適当である。
図2は一実施例の測定装置を液体クロマトグラフに接続し、その検出器の1つとして用いた実施例を示したものである。図3は表面プラズモン共鳴素子の回折格子を兼ねる電極パターンを詳細に示した平面図、図4は同じ表面プラズモン共鳴素子の正面断面図で、図3におけるA−A線位置での断面図を表したものである。
この測定装置は表面プラズモン共鳴素子、輸送系及び光学系から構成される。
表面プラズモン共鳴素子20は、図3,図4に示されるように、ガラスやプラスチックなどの絶縁性で透明な基板22と外壁24により形成された試料流路26の内面で、基板22の平面表面に金属薄膜からなる一対の櫛形電極28を備えたものである。櫛形電極28は互いに平行に一定間隔をもって配列された帯状パターン28a,28bの部分をもち、その部分が回折格子を構成している。帯状パターン28a,28bのピッチは、入射する励起光が回折を起こし、かつ誘電泳動により効率よく試料を捕集できるように、0.3〜100μmの間の値に設定されている。
回折格子に励起光が照射されると0次、±1次、±2次、……の光が出る。回折格子の間隔を適切に決めることで0次回折光と1次の回折光は格子の外に出るが、それ以外の次数の光は格子の外に出られなくなり、そのため内部に留まるエネルギーがエバネッセント場となり、回折格子を構成する金属の表面のプラズモンと共鳴し金属表面の電場増強を起こす。
向かい合った電極28a,28b間に誘電泳動力が働くため、その誘電泳動力が働く領域に試料が流れるように流路の厚さを設定する。流路の厚さは、特に制限しないが、電極28a,28bから遠いところを流れた試料は捕集されにくいため、電極28a,28bから近い領域を流れるように、1μm〜0.5mmの範囲が望ましい。
電極28aと28b間には交流電源回路30が接続され、誘電泳動のための電界を発生させるための電圧が印加される。電極28a,28bに印加する電圧は直流電圧の場合も、交流電圧の場合もある。その印加電圧は一定のものとすることもできるし、時間的に変化させて捕集対象の選択や試料の吸着・脱離の調整を行なうようにすることもできる。印加電圧を変化させる範囲は、周波数0〜5MHz、電圧0〜10MV/mが適当である。また、プラズモンの信号を見ながら、誘電泳動の強弱に対しその変化分を読むなど、新たな利用法も期待できる。
輸送系として、この表面プラズモン共鳴素子20の入口35aには、分離装置としての液体クロマトグラフ(LC)32によって分離され精製された試料成分を含む試料溶液がポンプ34によって送られてくる。液体クロマトグラフ32にはUV(紫外線)検出器など汎用の検出器が備えられているが、この表面プラズモン共鳴素子20もそれ以外の検出器として用いられる。表面プラズモン共鳴素子20を通過した試料溶液は出口35bから試料収集部36に送られ、必要な部分が採取される。
表面プラズモン共鳴素子20に対し、回折格子に特定波長の励起光を入射させ、その0次回折光を検出するとともに、励起光の入射角を表面プラズモン共鳴が起こる角度に設定した光学系は、波長180〜2,000nmの範囲の光を発する光源38、偏光子40、レンズ42及びガラス基板22上に配置されたプリズム21からなり、表面プラズモン共鳴素子20に励起光を入射させる入射光学系と、表面プラズモン共鳴素子20からの0次回折光を受光して検出する検出器44とを備えている。46は検出器44で受光した信号変化を処理し表示する解析装置である。
また、試料が蛍光物質又は蛍光物質と結合した物質である場合、蛍光物質が励起され発光する。この蛍光量を計測するために表面プラズモン共鳴素子20に対向して検出器45が設けられている。検出器45からの信号も解析装置46へ送り、定性および定量解析に用いることができる。蛍光量を測定することでさらに高感度測定が可能である。検出器45はまた、表面プラズモン共鳴素子20からの透過光も検出することができる。蛍光と透過光はフィルタや分光器により区別して検出することができる。
光源38としてはレーザ、LED(発光ダイオード)、又は多波長光源と回折格子を組み合わせたものなどを含み、単波長又は波長可変のコヒーレント光を発生するとともに、出射角度を調整する機能を有するものを使用する。
検出器44,45としては、CCD(電荷結合素子)、PMT(光電子増倍管)、PD(フォトダイオード)、APD(アバランシェフォトダイオード)などを用いることができ、表面プラズモン共鳴素子20による反射光、透過光又は蛍光の光量を検出する。
光源38からの光は、偏光子40により光の波面がそろえられ、レンズ42により照射角度を持たせた状態でプリズム21により表面プラズモン共鳴素子20に照射される。表面プラズモン共鳴素子20からの反射光量の変化は表面プラズモン共鳴素子20による光学物理情報を持っており、表面プラズモン共鳴素子20を流れる試料溶液の物質の濃度変化と対応する。検出器44で受光された信号変化は解析装置46で処理されて表示される。
図4における破線の円で囲まれた領域Bの拡大図を図5に示し、この実施例の動作を説明する。
電極28a,28bからなる回折格子に励起光50を入射させると、0次回折光と1次回折光が反射又は透過によって回折格子から外部に放出され、それ以外の高次回折光がエバネセント波として入射面に沿って進行し、回折格子の金属表面のプラズモンと共鳴して電場増強を起こす。領域52がその電場増強領域であり、導波膜23の存在によって電極間の領域11にも存在している。
矢印57で示されるように、流路26に試料溶液56を流し、回折格子を兼ねる電極28a,28bに電圧を印加すると、電極28aと28bの間に働く電気力線10に沿って誘電泳動により試料成分58が電極に引き寄せられて捕集される。領域52に試料成分が入ってくると屈折率が変化し、0次回折光50bの強度が変化し、また試料成分が蛍光を発するものである場合には蛍光強度も検出されることによって、試料成分濃度を検出することができる。
この実施例において、励起光を照射する光学系にレンズ42を用いない場合、光源38を表面プラズモン共鳴素子20から離すと一定の角度を持つ平行光を照射でき、さらに表面プラズモン共鳴素子20の直前にピンホールを配置することで外乱光を遮断できるとともに照射面積を調整できる。
表面プラズモン共鳴素子20への入射角度は表面プラズモン共鳴の強度に影響するため、実施例では光源38が出射角度の調整機能を有しているが、光源38の出射角度を固定とし、表面プラズモン共鳴素子20を回転させて表面プラズモン共鳴素子20への励起光の入射角度を調整するようにしてもよい。
この実施例では、電極28の形状は、回折格子としての機能と、誘電泳動の電極の役割を果たせば、その形状を問わない。
電極28が回折格子としての機能を果たしているこの実施例においては、プリズム21がなくても表面プラズモン共鳴を実現することができる。
また、プリズム21を設ける場合には、電極28が回折格子としての機能を果たさないような形状であってもよい。
実施例では電極28は表面プラズモン共鳴用の金属薄膜と誘電泳動用の電極を兼ねているが、これらを別の金属薄膜により実現してもよい。
この表面プラズモン共鳴素子20を検出器として使用する分析装置は、分離・精製を行なうことができればよく、実施例に示したLCの他、ガスクロマトグラフィ、電気泳動、遠心分離、スピンカラムなどを用いて、測定対象物のもつ電荷、測定対象物の大きさや形状により分離できるものとすることができる。
LCなどの分離・精製手段により試料を分離した後、表面プラズモン共鳴素子20に導く輸送系において、試料のpH、濃度、塩濃度、温度、流速などを調整する機能を備えてもよい。
図6に、回折格子を兼ねる電極28a,28bに抗体を固定し、表面反応を併用した場合の例を示す。電極28a,28bには抗体60が固定化されている。試料溶液中にその抗体60と特異的に結合する抗原62が含まれている場合には、抗原62は誘電泳動によって電極28a,28bに引き寄せられるとともに、抗体60と反応して捕集され、表面プラズモン共鳴により検出される。蛍光を発する場合は蛍光強度も同時に検出することができる。
電極28a,28bに抗原を固定し、試料溶液中の抗体を検出するようにしてもよい。
このように、誘電泳動に抗原抗体反応などによる表面反応を併用することにより、液体クロマトグラフィやキャピラリ電気泳動で分離・精製した分子種の定量と生体活性測定が同時にできる装置となる。
これまでの実施例では、基板22で電極28が形成されている面と反対側から励起光50を入射させ、その反射光50b、透過光又は蛍光を検出する計測例を示したが、励起光50を電極のない基板、すなわち外壁24側から入射させ、その励起光による反射光、透過光又は蛍光を検出するようにしてもよい。
図7に、回折格子を兼ねる櫛形電極28の作製方法の一例を示す。この方法はリソグラフィーとエッチングにより金属膜をパターン化する微細加工技術であり、半導体製造技術として確立されたものである。
(a)電極を形成する平面基板22を用意する。基板22は例えば透明ガラス基板である。
(b)基板22上に金、銀、銅又はアルミニウム等の電極材料膜28を成膜する。成膜法としては、スパッタ、蒸着又は電着などを用いる。
(c)電極材料膜28上にレジスト層70を塗布し、プリベークする。
(d)レジスト層70上に櫛形電極形状をもったフォトマスク72を重ねる。
(e)フォトマスク72を介して光照射し、レジスト層70を露光する。
(f)フォトマスク72を取り除いた後、レジスト層70を現像し、リンスをして櫛形電極形状のレジストパターン70を形成する。
(g)レジストパターン70をマスクにして電極材料膜をエッチングし、櫛形電極28を形成する。
その後、電極28上に残ったレジストをエッチング液に浸漬して除去する。
レジストには、光が露光された部分を除去するポジレジストと、露光されていない部分を除去するネガレジストの2通りがあり、いずれを用いてもよい。
露光方法もフォトマスクをレジスト層に重ねる密着露光、フォトマスクをレジスト層から離して露光する投影露光のいずれであってもよい。
また、エッチング法はウエットエッチングとドライエッチングのいずれであってもよい。
表面プラズモン共鳴を利用した本発明の測定装置は、例えば液体クロマトグラフやキャピラリ電気泳動などの分析装置などの分析装置の検出器として利用することができ、そのような検出器を備えた分析装置では溶液中の物質、例えば微生物、蛋白質、核酸、糖質又はこれらが結合した混合物などの濃度を求めることができる。
(A)は一実施例で使用する表面プラズモン共鳴素子を示す概略正面断面図、(B)は有限差分時間領域法による電界分布のシミュレーション結果を示す図である。 一実施例の測定装置を液体クロマトグラフに接続した分析装置の一実施例を示す概略構成図である。 同実施例における回折格子を兼ねる電極パターンを詳細に示した平面図である。 同実施例の正面断面図で、図3におけるA−A線位置での断面図を表したものである。 同実施例の動作を説明するための表面プラズモン共鳴素子部分の概略正面図であり、図4における破線の円で囲まれた領域Bの拡大図である。 他の実施例における表面プラズモン共鳴素子部分の概略正面図である。 一実施例における回折格子を兼ねる電極の製造方法を示す工程断面図である。 表面プラズモン共鳴導波モデル(ガラス内での入射角が鈍角のとき)を示す断面図である。 表面プラズモン共鳴導波モデル(ガラス内での入射角が鋭角のとき)を示す断面図である。 従来の表面プラズモン共鳴素子を示す概略正面断面図である。 (A)は同表面プラズモン共鳴素子を示す概略正面断面図、(B)は有限差分時間領域法による電界分布のシミュレーション結果を示す図である。
符号の説明
11 電極間の領域
20 表面プラズモン共鳴素子
21 プリズム
22 基板
23 導波膜
24 外壁
26 試料流路
28 回折格子を兼ねる櫛形電極
30 交流電源回路
32 液体クロマトグラフ
34 ポンプ
38 光源
40 偏光子
42 レンズ
44 検出器
46 解析装置
50,66 励起光
50a,50b,66a,66b 反射光(0次回折光)
52 電場増強領域
56 試料溶液
58 試料成分
60 抗体
64 蛍光

Claims (9)

  1. 試料溶液と接する面に形成された金属薄膜と、試料溶液中の試料成分を誘電泳動により移動させるための電界を発生させる電極を有する捕集手段と、前記金属薄膜に特定波長の励起光を表面プラズモン共鳴が起こる入射角で入射させる光学系とを備えた表面プラズモン共鳴を利用する測定装置において、
    前記金属薄膜上には、表面プラズモン共鳴による電場増強が誘電泳動による試料成分の移動領域にも及ぶように導波させる導波層を備えていることを特徴とする測定装置。
  2. 前記金属薄膜が前記電極を兼ねている請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記電極は帯状パターンが互いに平行に一定間隔をもって配列された部分をもち、その部分が光学系から入射される光に対して回折格子の機能を有する請求項1又は2に記載の測定装置。
  4. 表面プラズモン共鳴による電場増強領域に対向して蛍光を検出する蛍光検出器をさらに備えた請求項1から3のいずれかに記載の測定装置。
  5. 前記導波層上には特定試料成分と特異的に結合する結合物質が固定化されている請求項1から4のいずれかに記載の測定装置。
  6. 前記励起光の波長は180〜2,000nmの範囲から選択された特定の波長であり、時間的に一定している請求項1から5のいずれかに記載の測定装置。
  7. 前記励起光の波長は180〜2,000nmの範囲から選択された特定の波長であり、時間的に可変である請求項1から5のいずれかに記載の測定装置。
  8. 前記電極に印加する電圧はその大きさ及び周波数(直流である場合の周波数0を含む)の一方又は両方を変化させることができるようになっている請求項1から7のいずれかに記載の測定装置。
  9. 試料成分が分離されて移動してくる分析装置において、その試料成分を検出する検出器として請求項1から8のいずれかに記載の測定装置を用いたことを特徴とする分析装置。
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