JP3971785B2 - 電磁波共振器とその製造方法、および電磁波の共振方法 - Google Patents

電磁波共振器とその製造方法、および電磁波の共振方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波、赤外線、可視光線、紫外線などの様々な周波数領域において電磁界を増強するために用いられる、波長と同程度かそれより微小な寸法を有する電磁波共振器に関するものである。
電磁波共振器は、コヒーレントな電磁波の発生や増幅、周波数選択、電磁界の増強による高感度電磁波検出や各種非線形効果の発現のために不可欠な素子である。
赤外線、可視光線、紫外線などの光の領域では、従来、幾何光学素子で構成された、波長よりはるかに大きな体積を持った共振器が利用されてきた。複数の誘電体多層膜ミラーで構成されたレーザ発振器がその典型例である。しかし、近年、小さな体積の共振器を求めて研究開発が進められている。それは、波長サイズの小さな共振器には、量子電気力学的効果が期待できるからである。そのような効果の強さは、パーセル係数で表わされる。パーセル係数はQ値に比例し、共振器の体積に反比例する。Q値とは、共振器に蓄えられるエネルギー、あるいは電界増強度を表す指標である。蛍光緩和現象の改変の他、電界増強によるラマン散乱増強効果なども、この係数に基づいて議論できる。大きなパーセル係数を得るためには、小さな体積に大きな電磁界を閉じ込めることが重要である。なお、ここで議論している現象は、パーセル効果と呼ばれる狭義の現象に限定されるものではない。
ラジオ波の領域では、古くから、波長のおよそ半分の長さを持った完全導体の細い棒が、電磁波を局在させる一種の共振器としての機能を持つことが知られ、アンテナとして利用されてきた。マイクロ波の領域では、古くから空洞共振器、すなわち、完全導体による高効率の反射による、波長サイズ空間への閉じ込めが利用されてきた。
可視光を中心とする光の領域で、波長サイズの共振器が実現されるようになったのは、最近のことである。
第一の形態は、誘電体微小球である。ウィスパリングギャラリーモードという、赤道を全反射しながら周回する低損失の伝搬モードにより、非常に大きなQ値が実現している。しかし、波長と同程度の微小球では閉じ込めが弱く、良い共振器として働かない。大きなQ値を得るには、波長の数倍〜数10倍という直径の比較的大きな球を使う必要があるので、体積はあまり小さくできない。
第二の形態は、フォトニック結晶共振器である。フォトニック結晶とは、2次元的または3次元的な誘電体多層膜ミラーである。周期構造によりあらゆる方向に光が伝搬できない状態を作っておいて、意図的に格子欠陥を作り込んでおくと、光がそこだけに局在する状況が実現し、この欠陥近傍が共振器として働く。しかし、その閉じ込め領域の大きさは、波長/(2×屈折率)程度にしか小さくならない。
ところで、光が伝搬する一つの形態として、表面プラズモンがある。表面プラズモンは粒子描像的な呼称であるが、実際に議論されるのは古典電磁気学的なプラズマ波である。表面プラズモンは、界面から離れるに従って指数関数的に減衰する界面に局在した表面波で、可視光から赤外光の領域で誘電率の実部が負の値を持つ金属一般で見られる。波数ベクトルの3成分の内、界面に垂直な成分が虚数の値を持つため、他の2成分は自由空間中よりも大きな値を持つ。すなわち、空間を伝搬する光波に比べて波長が短くなる。また、その波長は材料の誘電特性だけでなく、構造によっても決まり、さらに短い波長の実現も可能である。
スリットを設けた金属における表面プラズモンについては、例えば以下の文献に報告されている。ガルシア−ヴィダール他1名、「1次元周期的金属ナノ構造における光の透過およびフォーカシング」、フィジカルレビュー ビー、66巻(F. J. Garcia-Vidal et al., “Transmission and focusing of light in one-dimensional periodically nanostructured metals”, Physical Review B, 66, 155412 (2002) )
上記文献に記載されているように、周期的なナノ開口において、表面プラズモンの共鳴が起こることは知られている。表面プラズモンを共鳴させるような共振器を作れば、他の手法では実現できないような微小な共振器が実現できる。特に銀、金、銅、アルミニウムなどの金属では、吸収による光の損失が小さいので、大きなQ値も同時に実現できる。
例えば、銀や金の球状あるいはロッド状のナノ粒子、あるいはその凝集体は、プラズモン共鳴を示す。特に、単一のナノ粒子よりも、ナノ粒子凝集体の共鳴は桁違いに顕著である。しかし、この共鳴は粒子のランダムな凝集により偶発的に形成されるもので、再現性や信頼性が低い。従って、ナノ粒子系におけるプラズモン共鳴を共振器として利用することは容易ではない。
表面プラズモンを利用する共振器を実現するためには、微小な間隙のスリットの形成が重要である。しかし、周期的なナノ開口における表面プラズモンは理論的な検討が進んでいる段階であり、極めて微小な(例えば1nm程度の)隙間をどうやって工業的に実現するかについてはこれまで検討されていない。現在、微小なスリットを作製するには、リソグラフィ技術によるパターン形成とエッチング技術の組み合わせ、あるいは収束イオンビームなどの直接エッチングが用いられているが、実現可能な隙間の大きさは最小数10nmに制限されている。また、具体的にどのような構造が表面プラズモンを利用する共振器として適しているのかについての検討例もない。
表面プラズモンは様々な形態の表面波の1つの例に過ぎない。その他の表面波が観察される、ミリ波、テラヘルツ波、遠赤外線の領域は、これから様々な応用が期待される未開拓の周波数領域である。しかし、これらの周波数領域では、ラジオ波の領域の完全導体に依存した考え方が単純にスケールダウンされて利用されているだけで、どのような形態の共振器が真に適しているかを正面からとらえた議論はなされていない。
本発明は、顕著なプラズモン共鳴に代表される表面波の共鳴を示すことが可能であり、かつ現在利用可能な微細加工技術の組み合わせにより、工業的に、再現性良くかつ効率良く製造できる共振器を提供することを目的とする。本発明の別の目的は、この共振器の製造方法、さらには電磁波の共振方法、を提供することにある。
本発明は、第1負誘電体表面と、第2負誘電体表面と、前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に配置された正誘電体薄膜と、を備え、前記正誘電体薄膜が、電磁波が入射する端面を有し、前記正誘電体薄膜の膜厚方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波の共鳴により、前記端面から入射する所定の波長を有する電磁波の強度が前記電磁波共振器内において増強される、電磁波共振器を提供する。
本発明は、別の側面から、第1負誘電体表面と、第2負誘電体表面と、前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に配置された正誘電体薄膜と、を備え、前記正誘電体薄膜が、電磁波が入射する端面を有し、前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に前記正誘電体薄膜が狭持された領域の前記電磁波の主伝搬方向に沿った長さLが、 前記端面からの所定の波長を有する電磁波の入射により発生し、前記正誘電体薄膜の膜厚方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波によって前記正誘電体薄膜およびその近傍に蓄積される電磁気エネルギーが極大となる、前記主伝搬方向についての長さL0との差分(L−L0)の絶対値が前記L0の50%以下となるように設定された、電磁波共振器を提供する。
本発明は、さらに別の側面から、電磁波共振器を用いて所定の波長を有する電磁波を共振させる方法であって、前記電磁波共振器が、第1負誘電体表面と第2負誘電体表面との間に配置された正誘電体薄膜を備え、前記電磁波を、前記正誘電体薄膜の端面から前記電磁波共振器に入射させ、前記電磁波共振器内に、前記正誘電体薄膜の膜厚方向についての電界成分を有し、カットオフ周波数を有さない表面波を発生させ、前記表面波の共鳴により前記電磁波共振器内において前記電磁波の強度を増強する、電磁波の共振方法を提供する。
本発明では、再現性および効率に優れた工業的方法で精密に制御できる正誘電体薄膜の膜厚により、ナノ開口に相当する構造を実現することとした。本発明は、表面プラズモンに代表される表面波を利用し、工業的に量産可能な共振器を提供するものである。本発明は、可視光、赤外光近辺の波長域にとどまらず、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波、遠赤外線などの各種表面波を利用した共振器および共振方法として利用できる。
負誘電体と正誘電体の界面の模式図(a)、およびこれに沿って伝搬する表面波モードの分散特性を示す図(b)である。 負誘電体をクラッド、正誘電体をコアとするスラブ導波路の模式図(a)、およびこれに沿って伝搬する表面波モードの分散特性を示す図(b)である。 開放型共振器(a)および閉鎖型共振器(b)の模式的な構造と共鳴時の電界分布とを対比して示す図である。 (a)〜(c)とも、開放型共振器の構造を例示する斜視図である。 (a)〜(c)とも、閉鎖型共振器の構造を例示する斜視図である。 (a)(b)とも、電磁波共振器の製造工程を示すための断面図である。 実施例で作製した開放型共振器の斜視図(a)、およびこの共振器と同等の機能を有する共振器の斜視図(b)(c)である。 実施例で作製した開放型共振器の反射スペクトルの測定結果を示す図(a)、および対応する計算結果を示す図(b)である。 (a)〜(c)とも、閉鎖型共振器の製造工程を示すための断面図である。 (a)〜(e)とも、多層構造を有する開放型共振器の製造工程を示すための断面図である。 (a)〜(f)とも、多層構造を有する閉鎖型共振器の製造工程を示すための断面図である。 (a)〜(c)とも、多層構造を有する共振器の形態を例示する斜視図である。 (a)〜(e)とも、シリコン基板上の酸化膜を正誘電体薄膜として用いる場合の共振器の製造工程を示すための断面図である。 (a)〜(f)とも、必要に応じて図13に示した工程に引き続いて行ってもよい共振器の製造工程を示すための断面図である。
[基本原理]
本発明の電磁波共振器の基本となる物理現象は、微小な間隙のスリットを負誘電体材料でできたクラッドによりはさんだスラブ導波路の伝搬表面波モードが、導波路の端面で反射されることにより起こる共鳴現象である。このスラブ導波路は、表面波の波長と同程度の有限の長さを有することが望ましい。また、微小な間隙のスリットを負誘電体材料でできたクラッドによりはさんだスラブ導波路を工業的に実現するためのポイントは、極限的に微小な間隙の要求されるスリットを、従来のような除去加工ではなく、薄膜の付加加工により実現することにある。
ここで、正誘電体とは、誘電率の実数部が正の値であるもの、負誘電体とは、誘電率の実数部が負の値であるものである。正誘電体は、一般的な非金属材料が該当し、具体的にはガラス、セラミクス、半導体、高分子、液体などが挙げられる。また、上記定義によると、空気やその他の気体、真空の空間も正誘電体と呼べる。一方、負誘電体は、特定の材料からなる物体が特定の周波数帯域においてのみ上記のような性質を有する、というものである。代表的なものに、プラズマ周波数よりも低周波数、つまり可視光や赤外光領域における金属材料が挙げられる。この他に、遠赤外光領域からテラヘルツ波領域における炭化ケイ素や各種イオン結晶などの大きな格子振動の共鳴を示す材料、超伝導エネルギーギャップよりも低周波数のテラヘルツ波領域からマイクロ波領域における超伝導状態の超伝導材料、キャリアが励起された状態のシリコンなどの半導体材料、などがある。
以下では、主として、一般に光と呼ばれる可視光領域近辺の電磁波について説明するが、本発明は、周波数帯域に応じて適宜材料を変更し、当該帯域における電磁波の波長を考慮することにより、マイクロ波、テラヘルツ波など広い範囲の電磁波一般に適用できる。
負誘電体と正誘電体との界面(図1(a))には、一般に、電界が界面に垂直で、電磁界が界面において最大値を取り、界面から離れるに従って指数関数的に減衰するような電磁界分布を持ち、表面に沿って伝搬するような表面波モードが存在する。特に誘電率の虚数成分の値が小さな材料に対しては、このような表面波は長い距離伝搬できる。負誘電体を金属材料とする場合の表面波が、前出の表面プラズモンである。
このような表面波の波長を議論する際に、分散曲線を考えることが多い。分散曲線は一般に横軸に波数kP、縦軸に角周波数ω0を取る(図1(b))。波数は表面波の波長λPの逆数に比例し、kP=2π/λPと表される。一方、角周波数は、その電磁波が真空中を伝搬する時の波長(真空波長)λ0の逆数に比例し、ω0=2πc/λ0と表される。ここでcとは真空中の光速である。分散曲線の形状は負誘電体と正誘電体の誘電特性で決まり、一般的な金属材料の可視〜赤外光領域での分散曲線は図1(b)のような形になる。
この曲線は、具体的には、kp 2=(ω0/c)2×εdεm/(εd+εm)という関係により表される。ここでεd、εmは、それぞれ、正誘電体、負誘電体の比誘電率である。
次に、負誘電体をクラッド、正誘電体をコアとするスラブ導波路(図2(a))を考える。この系では、2つの界面での表面波モードが相互作用し、結合モードと反結合モードに分裂する。この様子を図2(b)の分散曲線に示した。破線は図1(b)の分散曲線で、それが上下に分裂している。上が反結合モード(TM1モード)、下が結合モード(TM0モード)である。
これらの曲線は、具体的には、
(1−R)/(1+R)=±exp(KdD) (式1)
の解として求められる。ここで、
d 2=kp 2−(ω0/c)2×εd
m 2=kp 2−(ω0/c)2×εm
R=−εdm/(εmd
である。
本発明で利用するのは、複数存在する表面波モードのうち、TM0モードである。TM0などの呼称は、技術分野によって定義が異なる場合があるが、正誘電体と負誘電体の界面に垂直な電界成分を有し、カットオフ周波数を有さないモード、と表現すれば、いずれの分野の記述方法を採用するにしても、本明細書においてTM0モードと呼んでいるモードを特定できる。ここで、カットオフ周波数とは、それよりも低い周波数ではそのモードが伝搬し得ないという境界を規定する角周波数ω0のことである。カットオフ周波数が存在するモードでは、図2(b)のTM1モードのように、分散曲線が縦軸のゼロでないところから始まる。これに対し、TM0モードは、分散曲線が原点から始まっている。負誘電体をクラッド、正誘電体をコアとするスラブ導波路の複数の表面波モードにおいて、カットオフ周波数を有さないのは、TM0モード、ただ一つである。
結合モード(TM0モード)の表面波の波長λPは、コア厚さDが小さくなるほど短くなる(波数は大きくなる)。Dを小さく選べば、真空中での波長λ0に対して、数分の1から数10分の1という小さなλPも実現できる。これは屈折率が数十という材料の中での電磁波の波長に相当するが、現実にはそのような巨大な屈折率を持つ材料は知られていない。つまり、屈折率を大きくすることではとても得られないような小さなλPが、負誘電体をクラッドとし、コア厚さDが微小なスラブ導波路であれば実現できるのである。
また、この結合モードの表面波は平面波と同じ電磁界の対称性を持つので、導波路端面から平面波を照射するだけで容易に励起できるし、逆に端面から空間に電磁波を放射することもできる。なお、電磁波は一般にある角度分布を持って共振器に入射したり出射したりするが、本明細書では、その平均的な伝搬方向を主伝搬方向と呼ぶ。
このような表面波が導波路の端面に到達した時、表面波は反射され、導波路へと再び戻っていく。この時の反射率はコア厚さDが小さいほど高くなる。入射波に対してどのような位相関係で反射されるかは、端面の状態により決まる。端面の先が正誘電体で覆われている場合(開放端と呼ぶ)には、端面にて電界が極大になるような位相関係で反射する。また、導波路の端面が負誘電体で覆われている場合(閉鎖端と呼ぶ)には、端面にて電界が0になるような位相関係で反射する。
従って、伝搬方向の両端が開放端の場合には、主伝搬方向についての導波路の長さLが(1/2)λP、(2/2)λP、(3/2)λP・・・に一致するような飛び飛びの波長λPの表面波が共鳴する(図3(a))。つまり、このような導波路はこれらの波長を持った表面波に対する共振器として働く。これを以下では開放型共振器と呼ぶ。これに対し、一方が開放端、他方が閉鎖端の場合には、導波路の長さが(1/4)λP、(3/4)λP、(5/4)λP・・・に一致するような飛び飛びの波長λPを持った表面波に対する共振器となる(図3(b))。これを閉鎖型共振器と呼ぶ。開放型共振器は両側の端面から外部に電磁波を放出できるので、共振器としてはロスが大きい。共鳴特性の点では、一般に、開放型共振器よりも閉鎖型共振器の方が優れている。
実際には、開放端や閉鎖端において電界が厳密に極大や0になるわけではなく、多少のしみ出しが起こる。そのため、設計にあたっては若干の補正が必要である。境界要素法などの数値計算手法により、マックスウェル方程式の厳密計算を行い、正誘電体コア内部およびその近傍に蓄積される電磁気的エネルギーが極大になる条件を探せば、目的の真空波長λ0の電磁波がちょうど共鳴するような導波路長L0を正確に求めることができる。
この時、伝搬方向に、上記のような共鳴が効率良く起こるには、伝搬方向と平行なコアの側面は開放端となっていることが望ましい。側面が開放端である場合には、側面間距離Wには共鳴が起こるための特別の条件は存在しない。特に導波路長Lが注目しているλ0に対して1次の共鳴に対応する長さで、かつ、Wも同程度の小さな寸法である場合には、この共振器はシングルモード共振器となり、特定のモードを効率良く励起することができ、なおかつ、究極の小さな体積を持つ、高性能な微小共振器となる。もう一つの形態として、側面間距離Wが真空波長λ0の半分以上離れているのであれば、側面は閉鎖端であっても、比較的効率良く共鳴を励起できる。図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)に、以上の条件から導き出される具体的な構造を列挙した。図4(a)〜(c)は開放型共振器の例示であり、図5(a)〜(c)は閉鎖型共振器の例示である。
以上述べてきたように、負誘電体をクラッド、正誘電体をコアとするスラブ導波路におけるTM0モードの端面反射による共鳴は、小さな共振器を実現し、外界との相互作用が容易で、顕著な共鳴を示すので、微小共振器として理想的である。特にコア厚さDが真空波長λ0の1/10以下になると、十分小さな波長λPが得られると同時に大きな電界が得られる。歴史的には、このモードは、他のモード(例えばTE0)等に比べると伝搬損失が大きいために、あまり注目されてこなかった。そのために、本発明ほどの簡潔な微小共振器の実現方法が、長い間見過ごされてきた。しかし、微小共振器を考える上では、所詮、波長の数分の1か、長くてもせいぜい数波長分という小さな距離の伝搬しか議論しなくて良いので、この損失はさほど深刻な問題ではない。
実は、これまで盛んに研究されてきた銀や金のナノ粒子の凝集体の粒子接触点におけるプラズモン共鳴は、各粒子を負誘電体クラッド、その隙間を正誘電体コアとしたスラブ導波路の結合導波モードが、2つの開放端の間で共鳴しているものと見なすことができる。接触点で導通した場合の共鳴も、閉鎖型共振器が形成されていると考えれば同様に解釈できる。本発明は、銀や金のナノ粒子の凝集体で偶然に生じている巨大な共鳴の本質的なメカニズムを抽出し、最適な形で人工的に起こすための構造の設計ルールを提供する側面を有する。
[共振器の構成]
本発明の共振器は、第1負誘電体表面と第2負誘電体表面との間に配置された正誘電体薄膜を備え、正誘電体薄膜が第1負誘電体表面および第2負誘電体表面に狭持された領域を有する。第1負誘電体表面および第2負誘電体表面を提供する負誘電体は、負誘電体基板であっても負誘電体薄膜であってもよい。上記で説明したように、正誘電体薄膜は、波長λ0において誘電率の実数部が正の値である材料から構成され、負誘電体は波長λ0において誘電率の実数部が負の値となる材料から構成される。
本発明の電磁波共振器で利用するのは、複数存在する表面波モードのうち、TM0モードである。この表面波は、正誘電体薄膜の膜厚方向についての電界成分を有し、カットオフ周波数を持たない。そして、1)電磁波の真空波長λ0、2)正誘電体薄膜の厚さD、3)第1負誘電体表面を提供する負誘電体、第2負誘電体表面を提供する負誘電体および正誘電体薄膜の比誘電率、によって定まる波長λPを有する。
本発明の共振器では、この表面波について、正誘電体薄膜の電磁波の主伝搬方向についての長さLが、諸条件を考慮して定められる。長さLは、電磁波の強度が増強される範囲で適宜定めればよく、長さL0との差分(L−L0)の絶対値が小さいことが望ましいが、必ずしもL0に一致する必要はない。
長さLは、例えば、TM0モードの表面波によって、正誘電体薄膜およびその近傍に蓄積される電磁気エネルギーが極大となる長さL0との差分(L−L0)の絶対値がL0の50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは7%以下、もっとも好ましくは5%以下となるように設定される。ここで、電磁気エネルギーが極大となる、とは、Lの関数として表したときに電磁気エネルギーが極大値をとるという意味であり、言い換えると、L=L0のときに、表面波の共鳴条件が満たされているということである。
以下、本発明の電磁波共振器の好ましい構成について説明する。
本発明の電磁波共振器は、正誘電体薄膜の長さLを規定する2つの面がともに負誘電体で覆われていない、開放型共振器であってもよい。この場合、L0は(n1/2)λPとするとよい(図3(a)参照)。ただし、n1は自然数、好ましくは6以下の自然数、より好ましくは3以下の自然数、であり、λPは表面波の波長である。なお、長さLを規定する面、は、第1および第2の負誘電体表面により正誘電体薄膜が狭持されている領域を規定する面であるから、必ずしも正誘電体薄膜の端面に一致せず、負誘電体表面が正誘電体薄膜の一部を狭持している場合にはその狭持が終了する負誘電体表面の端部において正誘電体薄膜内に設定される仮想的な面が相当する。
本発明の電磁波共振器は、正誘電体薄膜の長さLを規定する2つの面から選ばれるいずれか一方の面が負誘電体で覆われている、閉鎖型の共振器であってもよい。この場合、L0は((2n2−1)/4)λPとするとよい(図3(b)参照)。ただし、n2は自然数、好ましくは6以下の自然数、より好ましくは3以下の自然数、であり、λPは上記と同様である。
ただし、詳細は後述するが、複数の共振器を近接して用いる場合、あるいは単一の共振器に複数の正誘電体薄膜を形成する場合には、適切なL0の値が、(n1/2)λPまたは((2n2−1)/4)λPにならないことがある。
本発明の電磁波共振器では、正誘電体薄膜の膜面方向であって上記主伝搬方向と直交する方向についての、正誘電体薄膜の2つの端面は、ともに正誘電体で覆われていてもよく(図4(a)、図5(a)参照)、この2つの端面から選ばれる少なくとも一方の端面が負誘電体で覆われていてもよい(図4(b)(c)、図5(b)(c)参照)。2つの端面の少なくとも一方が負誘電体で覆われている場合、特に2つの端面がともに負誘電体で覆われている場合(図4(c)、図5(c)参照)には、上記直交する方向についての前記正誘電体薄膜の長さWを、電磁波の真空波長λ0の1/2倍以上とするとよい。
本発明の電磁波共振器は、電磁波を共振させるための正誘電体薄膜を2以上含んでいてもよく、例えば、2以上の正誘電体薄膜と2以上の負誘電体薄膜とが交互に積層された多層構造を有していてもよい。この多層構造を用いれば、より広い範囲に照射された入射電磁波に対して共振することができるので、より実用性が向上するし、電磁波共振器から取り出せる出力の増強も可能となる。
正誘電体薄膜は薄いことが好ましいが、負誘電体薄膜が薄すぎると表面モードの電磁界分布が理想的なTM0モードの形から変化したり、損失が大きくなることがある。このため、本発明の電磁波共振器では、上記2以上の正誘電体薄膜の厚さを上記2以上の負誘電体薄膜の厚さよりも薄く設定することが好ましい。負誘電体薄膜の厚さは、特に制限されないが、例えばλpの1/2倍〜1倍とするとよく、電磁波の真空波長λ0が300nm〜4μm程度の場合には100nm以上、例えば100〜200nm、とするとよい。
本発明の電磁波共振器は、複数の上記多層構造を備えていてもよく、例えば、第1多層構造および第2多層構造を含み、第1基体、第1多層構造、接合層、第2多層構造、第2基体がこの順に積層された、電磁波共振器としてもよい。詳しくは後述するが、この構成は、研磨により精度良く長さLを実現する上で有利である。
本発明の電磁波共振器は、多層構造の主伝搬方向についての2つの端面から選ばれる少なくとも一方の端面に接合された支持体をさらに含むことが好ましい。主伝搬方向についての長さLは、微細かつ精度良く設定する必要がある。上記のような支持体は、多層構造の保持、さらには長さLの精度良い実現に有用である。
上記第1多層構造および第2多層構造は、接合層を介し、厚み方向に沿って離間して配置されるが、複数の多層構造の配置はこれに限定されない。多層構造は、例えば、主伝搬方向と直交する方向(W方向)について離間して配置してもよい。即ち、本発明の電磁波共振器は、例えば、上記多層構造として、第3多層構造および第4多層構造を含み、第3多層構造および第4多層構造が、支持体により、多層構造の層面内方向であって主伝搬方向と直交する方向について離間して支持された構成を有していてもよい。
本発明の電磁波共振器は、主伝搬方向に直交する2方向について離間して配置された複数の多層構造を備えていてもよい。この場合、複数の多層構造は、主伝搬方向に直交する面内にマトリックス状に配置されていてもよく、1つの支持体によりこれら複数の多層構造を接合し、保持しても構わない。
また、上記で説明した2以上の電磁波共振器を、主伝搬方向に直交する面内に例えばマトリックス状に配列した電磁波共振器集合体を構成してもよい。
本発明の電磁波共振器の各寸法の好ましい範囲を以下に例示する。ただし、以上の説明からも自明であるが、電磁波共振器の各寸法は、適用する周波数帯域に応じて適切に設計すべきであり、以下に記載する範囲はあくまでも例示である。
正誘電体薄膜の厚さDは、電磁波の真空波長λ0の1/10倍以下、さらには1/50以下、特に1/200以下、が好ましい。厚さDが小さいほど電磁波の増強効果は大きくなる傾向にある。正誘電体薄膜の厚さDは、通常、50nm以下、好ましくは10nm以下、例えば0.2nm〜10nmの範囲、とすればよいが、例えばλ0が300nm〜4μmの場合には、0.2nm〜5nmが好適である。
主伝搬方向について規定される正誘電体薄膜の長さLは、通常、1μm以下、特に1nm〜500nmの範囲、とすればよいが、例えばλ0が300nm〜4μmの場合には、1nm〜200nmが好適である。
本発明の電磁波共振器では、長さLを、真空波長λ0と同程度かそれより微小とすることができる。長さLは、λ0以下(1倍以下)、例えば1/20λ0〜1/3λ0であってもよい。
本発明の電磁波共振器は、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波、赤外線、可視光線、紫外線など様々な周波数領域に適用できるが、特に真空波長λ0により表記して、100nm〜10mmの周波数領域、さらには、負誘電体材料としてプラズモン共鳴を示す金属材料を選択する場合にあっては300nm〜4μmの周波数領域、負誘電体材料として格子振動に基づく表面波の共鳴を示す、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、塩化ナトリウムなどの材料を選択する場合にあっては、10〜100μmにおいて有用性が高い。
主伝搬方向に直交する膜面方向についての正誘電体薄膜の長さWは、特に制限されないが、上記のようにλ0の1/2倍以上としておけばよく、例えば500nm〜5μmの範囲が好適である。
[電磁波共振器の製造方法]
本発明の電磁波共振器は、工業的方法により精度良く製造できるという利点を有する。その製造方法は、特に制限されないが、以下を例示できる。
例えば、本発明の電磁波共振器は、第1負誘電体表面上に正誘電体薄膜を形成する工程と、上記正誘電体薄膜上に第2負誘電体表面を提供する負誘電体薄膜を形成する工程と、上記負誘電体薄膜を形成した領域の一部からこの負誘電体薄膜を除去する工程と、を含む方法により製造できる。負誘電体薄膜を除去する工程は、第1負誘電体表面と第2負誘電体表面とにより正誘電体薄膜が狭持された領域を設定するために実施される。この工程では、負誘電体薄膜とともに正誘電体薄膜を除去してもよい。
正誘電体薄膜を形成する表面は、負誘電体表面でなくてもよい。本発明の電磁波共振器は、例えば、正誘電体薄膜が形成された犠牲基板上の当該正誘電体薄膜上に第1負誘電体表面を提供する第1負誘電体薄膜を形成する工程と、上記犠牲基板を除去して上記正誘電体薄膜の表面を露出させる工程と、上記正誘電体薄膜の上記表面に第2負誘電体表面を提供する第2負誘電体薄膜を形成する工程と、を含む方法により製造できる。正誘電体薄膜は、犠牲基板上に成膜してもよいが、予め形成された薄膜(例えば半導体基板表面の酸化膜)を用いてもよい。
以下、本発明の好ましい実施形態について、より詳しく説明する。
[第1の実施例]
第1の実施例では、誘電体として金を用い、表面波として表面プラズモンを利用する、可視光から赤外光領域の電磁波についての開放型共振器について説明する。
まず、図6(a)に示すように、基板10上に、第1負誘電体薄膜1、正誘電体薄膜3、第2負誘電体薄膜2をこの順に成膜する。ここでは、基板10として合成石英基板を用い、この上に、第1負誘電体薄膜1として厚さ150nmの金薄膜、正誘電体薄膜3として厚さDのシリカ(SiO2)薄膜、第2負誘電体薄膜2として厚さ150nmの金薄膜、を積層した。
成膜法は、金には直流マグネトロンスパッタリング法、シリカ薄膜には高周波マグネトロンスパッタリング法を用いた。合成石英基板と最初の金薄膜の間には、必要に応じて厚さ5〜10nmのクロム膜を下地膜として形成してもよい。これは石英基板と金薄膜との付着性をその後の加工工程中に剥離しない程度に高めるためである。後の集束イオンビーム加工の際に、除去しない領域を保護するために、最外層に、保護膜として、さらに厚さ25〜70nmのクロム膜を抵抗加熱真空蒸着法により成膜した。
この構造では、金が負誘電体クラッド、シリカが正誘電体コアとして働く。金はスパッタリング条件が確立していることや、化学的に表面が安定であることなどから選択したが、銀、銅、注目する波長によってはアルミニウムなどを用いてもよい。
周波数領域として可視光や赤外光を想定する場合、上記に例示したとおり、負誘電体材料は、金、銀、銅およびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種が適切であり、正誘電体材料は、数多くの材料が適用可能であるが、例えばシリカ(酸化ケイ素)、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化ハフニウムおよびフッ化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種が適切である。共振器が同じ寸法でも用いる材料によって共鳴の起こる波長や電界増強度などは異なる。
金の厚さは、シリカとの界面から指数関数的に減衰する表面波の電界が十分に小さくなる厚さとして定めた。表面波の電界が十分に小さくなる厚さは、用いる負誘電体材料の誘電率や使用する波長などによって相違するが、100nm以上、を例示できる。
第1負誘電体薄膜1とする金薄膜の表面は平滑であることが望ましい。シリカ薄膜はこの表面に沿って成膜されるが、金薄膜の凹凸が激しいと、表面波は面内を伝搬する際に余分な散乱を受けることになる。これは共振器としてのロスにつながり、Q値を低下させる。
本来は基板そのものに金を用いて、それにシリカ薄膜および金薄膜を1層ずつ成膜するだけでも共振器としては等価なものが得られるが、それは経済的ではないし、平滑な表面を得るのも難しいので、本実施例では、必要な部分だけを金とした。このように、本発明の電磁波共振器は、基板(正誘電体基板)10と基板上に形成された積層膜とを含み、この積層膜が、第1負誘電体薄膜1、正誘電体薄膜3、第2負誘電体薄膜2の積層構造を含んでいてもよい。
シリカ薄膜の厚さDは小さければ小さいほどよく、実験では56nm、14nm、3.3nm、1.7nmとした。
これまで、研究室レベルでは、負誘電体クラッドによりはさまれるスリットを試作し、プラズモン共鳴を実験的に調べる試みは既に行われてきた。しかし、これまでの作製戦略は、透明基板上に、金属薄膜を積層し、そこに、電子線リソグラフィ技術や集束イオンビーム加工法を利用して、スリットを除去加工するというものであった。この方法では、共振器の長さLは成膜により決まり、スリット幅Dは除去加工により決まる。図2(b)を参照して説明したとおり、本来、大きな電界増強効果を利用したり、微小な共振器を実現したりするためには、スリット幅Dを小さくすることが本質的に重要である。
可視光から赤外光領域の電磁波について、銀や金のナノ粒子凝集体に匹敵する共鳴特性を必要とするのであれば、Dとしては5nm以下、特に1nm前後の値が望まれる。ところが、現在、利用可能な加工技術で実現できるスリット幅は、最高性能の装置を利用したとして10nm程度、実際にこれまでの研究で実現例のあるスリット幅はせいぜい50nmであった。これでは必要とする寸法には程遠い。電界増強度はおよそスリット幅に反比例する。D=50nmでは、D=1nmに対して、強度(電界の2乗)の比(パーセル係数の比と言ってもよい)として、1/2500の増強度しか得られない。銀や金のナノ粒子凝集体に匹敵するプラズモン共鳴を追い求める立場からすると、これでは共鳴がまったく起こっていないと言ってもよいくらいである。
本発明のポイントは、成膜技術と除去加工技術の使い方を入れ替えたことにある。現在の成膜技術では、1nm以下の精度で厚さを制御することは難しいことではない。数nmという薄い膜は、膜が連続にならず、アイランド状になりがちであるが、マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法などの緻密な膜ができる手法を用いれば、1nm程度の連続膜の成膜も困難ではない。クヌードセンセルやレーザアブレーションを用いる分子線エピタキシー技術に至っては、原子1層の精度で、連続膜を成膜することもできる。この方法では、絶縁層(正誘電体層)や電気伝導層(負誘電体層)が繰り返される層状化合物を原子レベルで制御された形で積層していくことができる。
また、まだ研究段階の手法であるが、自己組織化単分子膜と総称される分子は、金や銀などの金属表面に1分子の厚さだけ密集した形で均一に吸着する特徴がある。具体的には1−デカンチオールなどのチオール化合物である。この単一分子膜上に、さらに金を蒸着することが可能なことも知られている。この方法では、高度な装置を利用することなく、アルキル鎖を適切に選択するだけで、オングストロームの単位で膜厚を制御できる。上層の金との付着力を増すには、両端にチオール基を持つ、1,10−デカンジチオールなどのジチオール化合物を用いればよい。負誘電体として銀、銅、アルミニウムなどを用いる場合には、第1負誘電体薄膜の表面を酸化、窒化、硫化などの工程により化合物に変換し、これを正誘電体薄膜として用いてもよい。
一方、共振器の長さLについては、典型的な厳しい状況として、D=1nmの開放型共振器の真空波長λ0=700nmに対する1次モード、という状況を仮定しても、L=11nmである。2次か3次のモードを利用すれば、数倍大きなLでもよい。Lに対する寸法の要求はDに比べて1桁ゆるやかである。この程度の加工であれば現在の除去加工技術でも実現できる。つまり、これまでは加工技術の選択が誤っていたのである。極限的な薄さが必要とされるスリット幅は成膜技術により実現し、それより大きな寸法で済む共振器の長さ方向の加工には、除去加工技術を用いるべきである。実際に本実施例では特別な技術を用いることなく、D=1.7nmを実現することができた。
従来のスリットは物体が充填されていない空間であった。これに対し、上記により得られた共振器は、従来のスリットに相当する部分が正誘電体で充填されている。式(1)の解を求めてみると明らかであるが、スリットにおける誘電率が高いほど、TM0モードの分散曲線はさらに寝た形になり、表面波の波長λPはさらに短くなる。したがって、特性上も、むしろ、スリットを薄膜により実現する方が好都合である。また、仮に幅1nmという微細なスリットが除去加工により実現できたとしても、そのような原子レベルの微細構造が日常的な使用環境において安定とは考えにくく、物体がスリット中に析出したり、原子がマイグレーションして、スリットが埋まってしまったりする経時変化が懸念される。工業製品としての安定性の観点からも、スリットを薄膜により実現することは合理的である。
こうして成膜技術により金をクラッドとするスラブ導波路を実現したら、まず、光をある伝搬方向から入射できるようにし、その方向への共振器の長さL、それに直交する方向への共振器の幅Wを適切に加工せねばならない。本研究ではそのために集束イオンビーム加工法を用い、共振器として使用する領域の周囲を除去した。用いた装置のイオンビームは直径10nmであったので、これと同程度の精度での加工が可能である。つまり、必要とされるLの加工には十分である。幅W方向の端面は本実施例では開放型とした。従って、幅Wは共鳴特性には何も影響しない。本実施例では、その後の光学特性の評価時に、十分な信号強度が得られるように、十分大きな値としてW=3μmとした。これ以外の値でもよく、特にWを100nm以下程度とすると、この共振器がシングルモード共振器として動作する条件を見つけることができる。Lは共鳴波長λ0を決める重要なパラメータであるが、L=55nm〜495nmの範囲で、様々な値のものを作った。
完成した開放型共振器の断面図を図6(b)に、斜視図を図7(a)に示す。側面から光を入射したり散乱スペクトルを測定したりできるように、これを合成石英基板の最外周部分に作製した。
本実施例では、その後の光学特性評価の都合上、合成石英基板に達する深さまで集束イオンビームにより加工したが、機能上は、幅W、長さLの負誘電体(金)表面がシリカ膜をはさんで向かい合っていればよいのであるから、基板10とする合成石英の表面が露出する程度にまで積層膜を加工する必要はない。積層膜の加工は、幅W、長さLとなる所定領域が画されるように、この所定領域の周囲において少なくとも第2負誘電体薄膜2が除去される深さにまで行えば足りる。加工後に所定領域の周囲において、第1負誘電体薄膜1が残存していてもよく(図7(b))、第1負誘電体薄膜1と正誘電体薄膜3とが残存していてもよい(図7(c))。
こうして作製した構造物が実際に電磁波共振器として機能しているかどうかを確かめる最も簡単な方法は、反射スペクトル(後方散乱スペクトル)を測定することである。図8(a)に、落射型光学顕微鏡を用いて測定した反射スペクトルを、図8(b)に2次元境界要素法による計算結果を示す。これはD=14nmの例である。
図7(a)に示すように、測定系では、ハロゲンランプからの白色光をケーラー照明系にてほぼコリメートし、入射光31として基板側面から試料に照射し、測定領域5からの散乱光32のスペクトル分布を分光器にて測定した。具体的には、入射角の分布は垂直を中心に±4.6度、散乱光の分布は垂直を中心に±33.4度とした。図8(a)(b)から、実験結果でも計算結果でも、共振器の長さLが小さくなるにつれて、スペクトルの谷が短波長側にシフトしていくことがわかる。また、スペクトルの概形も比較的よく似ており、実際に期待どおりの現象を捕らえられたことがわかる。他のDでも、同様に谷が移動する様子が観察され、計算と実験の結果とはよく対応した。
計算では、電磁界分布など詳細な情報がわかるので、これらの谷がどのような状態を反映しているかを把握することができる。その結果、○印の谷は、1次、すなわちL=(1/2)λPとなる波長λPの表面プラズモンが共鳴している状態であることがわかった。同様に、△印、□印は、それぞれL=(2/2)λp(2次)、L=(3/2)λp(3次)の共鳴に相当する。
図8(a)(b)は、谷の位置が実験と計算でだいたい対応するように並べたが、厳密に比較すると、計算と実験とではLの値が数10nm食い違っている。これは、Dの値の不一致によるものと思われる。D=14nmという値は、成膜したサンプルの断面を透過型電子顕微鏡で観察して求めた値であるが、同時に複数の基板上に成膜したために実験で用いた基板とDの測定に用いた基板ではDが異なっている可能性があり、また、共振器を作製した基板の外縁部は膜厚が中央部とは異なる可能性が高い。実際の試料ではDの値は14nmから少しずれていたものと考えられる。
[第2の実施例]
第2の実施例は、第1の実施例とほぼ同様の条件で閉鎖型共振器を実現するものである。基板(合成石英基板)10上に、第1負誘電体薄膜(金薄膜)1、正誘電体薄膜(シリカ薄膜)3、第2負誘電体薄膜(金)2の積層膜を形成し、集束イオンビーム加工法により、長さL’、幅W’の矩形上の共振器を残すように周囲を除去するまでは第1の実施例と同じである(図9(a))。ただし、長さL’、幅W’については、大きめに(例えば500nm)作っておく。ここでも、除去加工の深さは、少なくとも第2負誘電体薄膜2を貫通する深さとする。
この基板を抵抗加熱真空蒸着装置に移し、第3負誘電体薄膜4として厚さ150nmの金薄膜を蒸着した(図9(b))。この際、基板を蒸着源の向きに対して45度傾斜させ、閉鎖したい端面41の側から蒸着することにより、積層膜の一方の端面(閉鎖端)41だけが金で終端され、他方の端面42には金が付着しないようにした。第3負誘電体薄膜4の成膜には、第1負誘電体薄膜1のような平滑性が必要とされないので、安価な蒸着装置を用いてもよい。ただし、集束イオンビームで加工した金の端面と、後で蒸着する金の界面がしっかりと密着するように、本実施例では、集束イオンビーム加工装置から基板を取り出してから数分以内に蒸着装置に移して真空引きし、金の端面が大気中で汚染されることを極力防止した。蒸着直前に酸素やアルゴンのプラズマ、あるいはオゾン洗浄などで表面汚染層を除去する工程も有効である。
実際には、斜めから蒸着しても、開放端とすべき端面42にナノ粒子状の金が回り込むことがある。このため、もう一度、集束イオンビーム加工装置に基板を移し、開放端を仕上げ加工した。そのために長さL’と幅W’を目標寸法L,Wよりも大きめに設定した(L’>L、W’>W)。また、Lが例えば50nmというように小さな場合には、これほど薄い構造物に高温の金蒸気を吹き付けると、急加熱や急冷により、熱応力が生じ、もともと付着力の強くない金クラッド薄膜とシリカ薄膜の界面が剥離したりする可能性がある。そのためにも、最初は大きめのL’としておき、後から所望のL値を実現するとよい。
2回の集束イオンビーム加工により高精度なLを実現するには、若干の工夫を要する。1回目に加工した端面41は、2回目の加工の時には金薄膜に覆われて集束イオンビーム加工装置では視認することができない。そこで、1回目の加工の際に、共振器の近くに位置合わせのためのマークを掘っておく。2回目の加工に際してはその近辺を広めの領域で加工して、このマークを掘り出す。そして、このマークに正確に合わせて加工すれば、端面42を所定の面43にまで後退させ、高精度なLが実現できる。
こうして、電磁波の主伝搬方向に沿って、正誘電体薄膜3が長さLを有し、この方向についての端面の一方が閉鎖端41であり、他方が開放端43である電磁波共振器を得ることができた(図9(c))。この共振器は、電磁波の主伝搬方向に直交する膜面方向(図9では紙面奥行き方向)について、正誘電体薄膜3が長さWを有し、この膜面方向についての端面の両方も、集束イオンビーム加工により開放端とされている。
[第3の実施例]
第3の実施例では、第1および第2の実施例で説明したような共振構造を、複数配列した共振器について説明する。実用上は、広い範囲に照射された電磁波と相互作用するように配列した共振器は重要である。
開放型共振器構造を複数配列した共振器の製造方法を説明する。まず、基板10とする合成石英基板上に、負誘電体薄膜7とする厚さ150nmの金薄膜と、正誘電体薄膜3とする厚さDのシリカ薄膜とを交互に複数回積層した多層膜(多層構造)11を形成する(図10(a))。
次いで、基板10を例えば2mm程度の幅に短冊状に切断する。これを2枚一組として、多層構造部分を向かい合わせ、接合層13となる硬質のエポキシ樹脂にて貼り合わせる。こうして、第1基板10、第1多層構造11、接合層13、第2多層構造12、第2基板20がこの順に積層された積層体を得る(図10(b))。
多層構造11,12を貼り合わせるのは、その後の研摩工程では外周部分が早く研摩される傾向があるためである。貼り合わせずに研摩すると、繊細な多層構造11,12が最外周となり、高精度な研摩が難しくなる。多層構造11,12を貼り合わせて被研磨材の中央に配置することで、高精度な研摩を容易にする。
さらに、この積層体を、厚さL’、例えば300μm程度、に切断し、研摩用のジグにホットワックスで貼り付け、片面を研磨する(図10(c))。研磨は、例えば、初めに耐水研摩紙、次いでダイヤモンドペーストで研摩することにより鏡面仕上げするとよい。さらに、アルゴンイオンによるフラットミリングなどの手法を用いてもよい。
その後、この積層体を、接着剤15を用い、支持体30とするガラス基板に接着する(図10(d))。接着剤15は、紫外線硬化樹脂などの透明材料とするとよい。ガラス基板30を研摩装置に取り付け、上記と同様の工程で研磨し、多層構造11,12の端面を後退させ、厚さL’を所定厚さLにまで減少させる。こうして、電磁波の主伝搬方向となる方向について長さLを有する2以上の正誘電体薄膜3を含む多層構造11,12が、この方向についての一方の端面で接着剤15により支持体30に接合された電磁波共振器が得られた(図10(e))。
なお、厚さLは、ナノメートルオーダの精度で作製することが望ましい。このためには、研摩中に適宜研摩面の反射スペクトルや透過スペクトルを測定し、目的のスペクトルになるまで研摩するとよい。
図10(e)に示した共振器では、電磁波の主伝搬方向となる方向(L方向)についての正誘電体薄膜3の端面がともに開放端となっている。
端面の一方が閉鎖端となった複数の共振構造を備えた共振器も上記と同様にして作製できる。まず、多層構造11,12の片面の研磨により厚さL’を設定する工程までは上記と同様に実施する(図11(a)〜(c))。閉鎖型の場合には、ここで、多層構造11,12の端面の一方に、負誘電体薄膜14として厚さ150nmの金を蒸着し、この端面を閉鎖端とする(図11(d))。以降は、上記と同様にして(図11(e)、(f))、共振器を完成させる。ここでも、厚さLは、反射スペクトルを適宜モニターしつつ鏡面研摩することにより定めるとよい。
閉鎖型共振器では、接着剤15および支持体30について対象とする電磁波の透過率を考慮する必要はない。接着剤15は不透明なエポキシ樹脂などであってもよいし、支持体30はシリコンや金属であってもよい。
以上のようにして得た開放型または閉鎖型の共振器は、図12(a)に示すように、主伝搬方向と直交する多層構造の層面内方向については、光の波長に比べると無限と言って良いほど大きな長さWを有する。実用上は、この幅方向についても多層構造を分割し、2次元的なアレイとした構造が重要となる場合も多い。
2次元的なアレイは、例えば通常のフォトリソグラフィとそれに続く異方性エッチング加工法、機械的な研摩加工法などにより、多層構造17の端面から深さがL以上の溝18を形成し、多層構造を複数の列17a,17b,17cに分割することにより得ることができる(図12(b))。この共振器では、多層構造17の層面内方向であって主伝搬方向に直交する方向について離間して、3つの多層構造17a,17b,17cが1つの支持体30により支持されている。長さWは共振器としての特性に重要な影響は与えないため、それほど高精度である必要はない。こうして、主伝搬方向と直交する層面内方向の2つの端面(両側面)が開放端である共振器を得ることができる。
さらに溝18を埋めるように、金薄膜などの負誘電体薄膜24を例えばスパッタリング法により成膜し、正誘電体薄膜3の端面が露出するように負誘電体薄膜24を鏡面研磨すれば、主伝搬方向と直交する層面内方向の2つの端面(両側面)がともに閉鎖端となった共振器を得ることができる(図12(c))。負誘電体薄膜24の研磨には、半導体プロセスにおいて平坦化のための研摩法として利用されている化学的機械的研摩法を用いるのが適切である。
図12(c)に示した両側面を閉鎖端とした共振器は、隣接する列の共振器の影響を防止する上では図12(b)に示した共振器よりも優れている。ただし、両側面を閉鎖端とした共振器において、スリットとなる正誘電体薄膜3内で十分に共鳴が起こるためには、幅方向についての正誘電体薄膜3の長さWが真空波長λ0の2分の1以上という条件が満たされていることが望ましい。
本実施例で説明したように複数の共振構造を有する共振器(共振器の配列体、集合体といってもよい)においては、光学特性上、重要な注意事項がある。周期的なスリット列では、スリットの奥行き方向(長さLの方向)への表面プラズモンの共鳴の他に、多層構造の積層方向(g方向)、さらには隣接する共振構造がある場合には積層方向(gy方向)に加えて隣接方向(gx)についても、表面プラズモンの共鳴が生じうる。g(gy)およびgx方向についての表面プラズモンの共鳴は、電磁波の入射面上を進行する表面プラズモンの多重反射による共鳴であり、その表面プラズモンの分散特性は図1(b)に示した分散曲線により表される。
実際には、入射面上の表面プラズモンモードと、スリット内部の表面プラズモンモードとが結合し、新たな共鳴状態が生じる。しかし、この場合にも、最終的に分散特性がどのようになるかは、マックスウェル方程式を厳密に解けば求めることができる。これには転送行列法や多モード展開法などの数値計算技術を用いればよい。
この場合、スリットの周期や真空波長λ0などに応じ、適切なスリットの奥行きLはL=(1/2)λP、(2/2)λP、(3/2)λP・・・、あるいは、L=(1/4)λP、(3/4)λP、(5/4)λP・・・という条件からは一般にはずれてくる。また、共鳴時の電磁界分布も、開放端では電界が極大、閉鎖端では電界が0という単純な状況ではなくなるため、一般にスリットの奥行き方向の中間に電圧極大の領域が現れるようになる。上記の実施例では、配列体の場合にも多層構造における金薄膜の厚さを150nmとしたが、これとシリカの厚さDを加えたものが周期となるので、実際には共鳴特性に合わせ、金の厚さを適切に選ぶことになる。
[第4の実施例]
第4の実施例は、現時点で工業応用可能な技術の組み合わせにより、1nmという薄さでなおかつ高品質な正誘電体コアを精度良く実現するための方法である。半導体デバイスでは、シリコン自体の化学変化により、シリコン表面に薄くて高品質の絶縁体層(正誘電体層)を製造する技術が確立されている。本実施例では、その中でももっとも簡単な方法として、シリコン表面の酸化膜を正誘電体薄膜として利用する方法について述べる。厚さ1nmであれば、特に酸化のための特別な処理をしなくても、自然酸化膜や、洗浄時に形成される化学酸化膜がそのままの形で利用できる。この方法では、シリコン基板が犠牲基板となる。
まず、表面が平滑に研摩され、正誘電体薄膜3となる自然酸化膜を有するシリコン基板(犠牲基板)40(図13(a))の当該表面に、第1負誘電体薄膜1として厚さ150nmの金薄膜を成膜する(図13(b))。次いで、エポキシ樹脂を接着剤25として第1負誘電体薄膜1を基板(合成石英基板)10に接着する(図13(c))。さらに、薄膜1,3が形成された面と反対側の面からシリコン基板40をある程度機械的に研摩した後、シリコンのみを選択的にエッチングする水酸化カリウム溶液で処理し、シリコン基板40を除去し、正誘電体薄膜3の表面を露出させる(図13(d))。この状態では、基板10上に、第1負誘電体薄膜(金薄膜)1と正誘電体薄膜(厚さ1nmのシリカ薄膜)3とが残っている。
最後に、正誘電体薄膜3上に、第2負誘電体薄膜2として厚さ150nmの金薄膜を成膜すると、第1負誘電体薄膜1、正誘電体薄膜3、第2負誘電体薄膜2の積層膜が得られる(図13(e))。シリコン基板を犠牲基板40とするのは、絶縁層を成膜する技術が確立していることだけでなく、平坦な表面を実現する技術が確立している点でも好都合である。負誘電体薄膜1,2と正誘電体薄膜3との間に平滑な界面が実現されているため、負誘電体薄膜1の上に正誘電体薄膜3を成膜する方法と比較すると、表面プラズモンの散乱による損失を減らすことができる。正誘電体薄膜3は、酸化膜に限らず、シリコン基板上の窒化膜などであってもよい。
こうして得た積層体は、さらに、量産に適した半導体プロセスを用いて加工することができる。まず、積層体上にフォトレジストを塗布し、パターンを露光し、さらに現像して、所定パターンのレジスト45を形成する(図14(a))。次いで、反応性イオンエッチングなどの異方性ドライエッチング法により、パターン直下を残して周囲を除去し(図14(b))、レジスト45を除去すれば開放型共振器を得ることができる(図14(c))。
さらに、必要に応じ、第2の実施例と同様、斜め方向から負誘電体薄膜(金薄膜)4を蒸着し(図14(d))、この上から、2回目の露光を行ない、残したい部分にレジスト47をパターニングする(図14(e))。もう一度異方性エッチングにより垂直に加工し、レジスト47を除去すれば、閉鎖型共振器が完成する(図14(f))。ただし、レジストは必ずしも除去する必要はない。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、その精神から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。
まず、以上の実施例では、負誘電体として金を用い、表面波として表面プラズモンを利用する、可視光から赤外光領域の電磁波についての共振器について説明したが、注目する周波数においてクラッドに利用する材料の誘電率の実部が負となる負誘電体の材料に制限はない。
また、本発明では、真空波長λ0、負誘電体により狭持された正誘電体薄膜の厚さD、正誘電体および負誘電体の誘電率で決まる波長λPを持った表面波が、端面での反射により閉じ込められて共鳴モードを生じることが肝要なのであるから、正誘電体コアの形状は、必ずしも長さL、幅Wで規定される面が矩形である必然性はない。例えば、左記の面を徐々にLが変化する台形状のコア形状とすれば、共鳴モードが変化し、共鳴する帯域を調整することができる。正誘電体薄膜の成膜直後に一度パターニングとエッチング工程を挿入し、薄膜の厚さDを場所によって変化させても同様の効果がある。これらも本発明の一つの形態に過ぎない。
また、アレイ状の共振器としては、簡単のために薄膜の周期が一定のものを紹介したが、徐々に周期が変化するような系、あるいは、個々の共振器の寸法が少しずつ変化する系も実現でき、これもまた本発明の一例に過ぎない。このような構造は、様々な特性の共振器が配列されたアレイとして、現実には特に有用である。具体的には、金、シリカの各薄膜の厚さを徐々に変化させることにより実現できる。
その他にも本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、表面プラズモンに代表される表面波を利用し、工業的に量産可能な共振器を提供するものとして多大な利用価値を有する。

Claims (32)

  1. 第1負誘電体表面と、第2負誘電体表面と、前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に配置された正誘電体薄膜と、を備え、
    前記正誘電体薄膜が、電磁波が入射する端面を有し、
    前記正誘電体薄膜の膜厚方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波の共鳴により、前記端面から入射する所定の波長を有する電磁波の強度が前記電磁波共振器内において増強される、電磁波共振器。
  2. 第1負誘電体表面と、第2負誘電体表面と、前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に配置された正誘電体薄膜と、を備え、
    前記正誘電体薄膜が、電磁波が入射する端面を有し、
    前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に前記正誘電体薄膜が狭持された領域の前記電磁波の主伝搬方向に沿った長さLが、
    前記端面からの所定の波長を有する電磁波の入射により発生し、前記正誘電体薄膜の膜厚方向についての電界成分を有し、かつカットオフ周波数を有さない表面波によって前記正誘電体薄膜およびその近傍に蓄積される電磁気エネルギーが極大となる、前記主伝搬方向についての長さL0との差分(L−L0)の絶対値が前記L0の50%以下となるように設定された、電磁波共振器。
  3. 前記長さLが、前記差分(L−L0)の絶対値が前記L0の30%以下となるように設定された、請求項2に記載の電磁波共振器。
  4. 前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に前記正誘電体薄膜が狭持された領域の前記電磁波の主伝搬方向に沿った長さLを規定する、前記正誘電体薄膜の2つの面がともに負誘電体で覆われていない請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  5. 前記長さLを規定する、前記正誘電体薄膜の2つの面がともに負誘電体で覆われておらず、前記L0が(n1/2)λPである請求項2に記載の電磁波共振器。
    ただし、n1は自然数であり、λPは前記表面波の波長である。
  6. 前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に前記正誘電体薄膜が狭持された領域の前記電磁波の主伝搬方向に沿った長さLを規定する、前記正誘電体薄膜の2つの面から選ばれるいずれか一方の面が負誘電体で覆われている請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  7. 前記長さLを規定する、前記正誘電体薄膜の2つの面から選ばれるいずれか一方の面が負誘電体で覆われ、前記L0が((2n2−1)/4)λPである請求項2に記載の電磁波共振器。
    ただし、n2は自然数であり、λPは前記表面波の波長である。
  8. 前記正誘電体薄膜の膜面方向であって前記電磁波の主伝搬方向と直交する方向についての、前記正誘電体薄膜の2つの端面がともに正誘電体で覆われている請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  9. 前記正誘電体薄膜の膜面方向であって前記電磁波の主伝搬方向と直交する方向についての、前記正誘電体薄膜の2つの端面から選ばれる少なくとも一方の端面が負誘電体で覆われている請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  10. 当該直交する方向についての前記正誘電体薄膜の長さWが、前記電磁波の真空波長λ0の1/2倍以上である請求項9に記載の電磁波共振器。
  11. 2以上の前記正誘電体薄膜を含み、
    前記2以上の正誘電体薄膜と2以上の負誘電体薄膜とが交互に積層された多層構造を有する、請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  12. 前記2以上の正誘電体薄膜の厚さが、前記2以上の負誘電体薄膜の厚さよりも薄い請求項11に記載の電磁波共振器。
  13. 前記多層構造として、第1多層構造および第2多層構造を含み、
    第1基体、前記第1多層構造、接合層、前記第2多層構造、第2基体がこの順に積層された、請求項11に記載の電磁波共振器。
  14. 前記電磁波の主伝搬方向についての前記多層構造の2つの端面から選ばれる少なくとも一方の端面に接合された支持体をさらに含む請求項11に記載の電磁波共振器。
  15. 前記多層構造として、第3多層構造および第4多層構造を含み、
    前記第3多層構造および前記第4多層構造が、前記支持体により、前記多層構造の層面内方向であって前記主伝搬方向と直交する方向について離間して支持された、請求項14に記載の電磁波共振器。
  16. 前記正誘電体薄膜の厚さDが前記電磁波の真空波長λ0の1/10倍以下である請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  17. 前記正誘電体薄膜の厚さDが10nm以下である請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  18. 前記正誘電体薄膜の厚さDが0.2nm〜5nmの範囲にある請求項17に記載の電磁波共振器。
  19. 前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に前記正誘電体薄膜が狭持された領域の前記電磁波の主伝搬方向に沿った長さLが前記電磁波の真空波長λ0以下である請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  20. 前記第1負誘電体表面と前記第2負誘電体表面との間に前記正誘電体薄膜が狭持された領域の前記電磁波の主伝搬方向に沿った長さLが1μm以下である請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  21. 前記Lが1nm〜200nmの範囲にある請求項20に記載の電磁波共振器。
  22. 前記電磁波の真空波長λ0が100nm〜10mmの範囲にある請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  23. 前記電磁波の真空波長λ0が300nm〜4μmの範囲にある請求項22に記載の電磁波共振器。
  24. 前記第1負誘電体表面および前記第2負誘電体表面が、それぞれ負誘電体基板または負誘電体薄膜により提供されている、請求項1または2に記載の電磁波共振器。
  25. 請求項1または2に記載の電磁波共振器を2以上含み、
    前記2以上の電磁波共振器が前記電磁波の主伝搬方向に直交する面内に配列された電磁波共振器集合体。
  26. 請求項1または2に記載の電磁波共振器の製造方法であって、
    第1負誘電体表面上に正誘電体薄膜を形成する工程と、
    前記正誘電体薄膜上に第2負誘電体表面を提供する負誘電体薄膜を形成する工程と、
    前記負誘電体薄膜を形成した領域の一部から前記負誘電体薄膜を除去する工程と、を含む電磁波共振器の製造方法。
  27. 請求項1または2に記載の電磁波共振器の製造方法であって、
    正誘電体薄膜が形成された犠牲基板の当該正誘電体薄膜上に第1負誘電体表面を提供する第1負誘電体薄膜を形成する工程と、
    前記犠牲基板を除去して前記正誘電体薄膜の表面を露出させる工程と、
    前記正誘電体薄膜の前記露出させた表面に第2負誘電体表面を提供する第2負誘電体薄膜を形成する工程と、を含む電磁波共振器の製造方法。
  28. 電磁波共振器を用いて所定の波長を有する電磁波を共振させる方法であって、
    前記電磁波共振器が、第1負誘電体表面と第2負誘電体表面との間に配置された正誘電体薄膜を備え、
    前記電磁波を、前記正誘電体薄膜の端面から前記電磁波共振器に入射させて、前記電磁波共振器内に、前記正誘電体薄膜の膜厚方向についての電界成分を有し、カットオフ周波数を有さない表面波を発生させ、前記表面波の共鳴により前記電磁波共振器内において前記電磁波の強度を増強する、
    電磁波の共振方法。
  29. 前記電磁波共振器が2以上の前記正誘電体薄膜を備え、
    前記電磁波を、前記2以上の正誘電体薄膜に入射させる請求項28に記載の電磁波の共振方法。
  30. 前記電磁波共振器が、前記2以上の正誘電体薄膜と2以上の負誘電体薄膜とが交互に積層された多層構造を有する、請求項29に記載の電磁波の共振方法。
  31. 前記n 1 が6以下の自然数である、請求項5に記載の電磁波共振器。
  32. 前記n 2 が6以下の自然数である、請求項7に記載の電磁波共振器。
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