JP4117052B2 - マリンホース異常記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マリンホース異常記録装置に関し、更に詳細には、原油などの液体を陸上とタンカーとの間で送液するマリンホースを損傷するような衝撃・応力などの異常状態を非接触的に検出し、記録する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原油の輸送は、時に一度に何万屯もの量を扱うタンカーの積み出し・積み下ろしなどの荷役は、一般に、タンカーをある程度の沖合に停泊させ、陸地から所定距離離れた沖合にブイを設置し、該ブイと陸地との間は海底に敷設したホースで接続し、該ブイと船舶との間をいわゆるマリンホースで接続し、荷役することは知られている。
【0003】
そして、前記マリンホースには、水面に常時浮くようにしたフローティングタイプの他に、波などでホースに応力が作用し疲労することを防ぐために、使用しないときには海底に沈めておくようにした浮沈ホースなど、各種のホースが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで原油をタンカーに積み荷・積み下ろしするには、通常何日も水面にマリンホースを浮遊させる必要がある。そのため、夜間にはマリンホースが全く見えなくなり、港湾作業船などの小型船舶がホースに乗り上げたり、潮流や波によりホースに無理な応力が掛かるなど、使用中のホースが損傷を受け、耐用年数が減少するという問題がある。
【0005】
そのため夜間に、サーチライトなどによってマリンホースを照らし出す設備を設ける港もあるが、経済的な理由などでかかる設備がない港も多い。
その改善策として、例えば特開昭55−33946号公報に提案された手段は、洩れ出した液体がホース端部に集まるように、ホースの外側に細長い弾性材を間隔を開けて螺旋状に巻き付けて漏出液体用通路を形成し、ホース端部に形成した油溜に、圧力スイッチなどの漏洩検知器を取付け、前記洩れ出た液体が油溜に流入すると、無線通信によって油洩れを通報するようにしたものである。
【0006】
しかしながらこの先行技術は、海水の侵入や輸送液体の洩れが始まってからでないと検知することができず、また、ホース構造が複雑になり、生産コストの上昇などの問題がある。
本発明は、以上の問題点に着目して成されたものであり、マリンホースに加えられた衝撃や無理な変形力を検知・記録する手段を設けることにより、ホースごとに耐用年数の予測を可能にし、しかも従来から使用されるホースにセンサを取り付けるだけで使用ができるマリンホース異常記録装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明のマリンホース異常記録装置は、口金に嵌合するホース部の外周側に浮力材層を介して外皮ゴム層を設け、前記ホース部が、液体に接するライニング層と、その外周側に配置したブレーカと、その外周側に複数層積層した第1カーカス内側層と、その外周側に所定の間隔で螺旋状に巻き付けたワイヤーと、その外周側に複数層形成した第1カーカス外側層と、その外周側を覆うゴム層からなるカバーと、その外周側を覆う緩衝層と、その外周側に積層した第2ライニング層とブレーカと、その外周側を被覆する第2カーカス層とを有するマリンホースにおいて、該マリンホースに作用する外力を検出する外力センサ及び該外力センサの検出信号を無線により送信する1台の無線送受信手段を前記マリンホースに取付け、前記無線送受信手段から送られる前記検出信号のデータ受信設備を陸上又は船上に設け、前記外力センサは加速度センサと応力センサとを1組とする3台の外力センサから構成され、3台の外力センサはマリンホースのホース部分の両端部と中央部の3箇所に取付けられ、前記無線送受信手段は、マリンホースの口金に配置され、予め定めたしきい値以上の、前記加速度センサ及び応力センサで検出された検出信号のみを送信し、予め定めたしきい値以上の検出信号がある場合は光を点滅させる構成を有すると共に、前記データ受信設備から送信指令信号を受信する機能と前記外力センサで検出した外力のデータを記憶する記憶手段と有し、前記データ受信設備は、前記検出信号の受信手段と、前記検出信号データの記録手段とからなり、かつ前記無線送受信手段に送信指令信号を送信する機能を有し、前記データ受信設備が送信する送信指令信号を前記無線送受信手段が受信すると、該無線送受信手段が前記記憶手段に記憶するデータを前記データ受信設備に送信するようにし、前記無線送受信手段は、更にマイクロコンピュータを有し、該マイクロコンピュータに前記予め定めたしきい値以上の検出信号のデータのみ、衝撃の大きさに応じて複数段階による記号付けして入力する構成であり、前記データ受信設備の記録手段は、検出信号の異常データの履歴を記録するものである。
【0008】
前記外力センサはマリンホースを損傷させるような外力を検出するものであり、作業船が乗り上げたり、潮流などに乗って浮遊する浮遊物体が衝突するなどの衝撃を検出するために加速度センサが用いられる。また、マリンホース、タンカーなどが潮流に流されるなどしてホースに張力、曲げ力、捩じり力が作用して生じる歪みを検出するためにストレィンゲージなどによる応力センサが用いられる。
【0009】
マリンホースは海面に浮いているため、絶えず波の影響を受けており、これらの外力を全て送信することは好ましくない。そこで、前記送受信手段は、予め定めたしきい値以上の、加速度センサ及び応力センサで検出された検出信号のみ送信する。
【0010】
また、前記送受信手段は、作用した外力を層別し、検出した値をコードによって送信することが好ましいが、検出値そのまま送信することもできる。前記送受信手段は検出した外力のデータを記憶する一時記憶手段を有し、送信指令信号によって記憶されたデータ(マリンホース、外力センサなどの識別番号、外力を受けた時間などのデータを含む)を送信する。
【0011】
前記データ受信設備及び記録手段を搭載する船舶としては、例えば作業船などであるが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
本発明に使用するマリンホースには特に限定はないが、使用されるホースは一般に大口径のものであり、OCIMFホース・ガイド(Oil Companies Internationl Marine Forum Hose Guide)その他の規格に基づいて製造したものを用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面を参照し、一実施の形態により本発明を具体的に説明する。本実施の形態に使用したマリンホース1は、OCIMFホース・ガイドの規定に基づいて製造した長さ10.7mを有し、図1,2に示すように、両側端部にフランジ2aを取付けた口金2と、この口金2に嵌合するホース部3と、その周囲を囲むスポンジゴムなどからなる浮力材層4を設けたものであり、ホース部3の外周側に浮力材層4を介して設けた黒色の外皮ゴム層5の外側に、オレンジ色に着色したオレンジストライプ6を、例えばジブラ模様状に形成し、全体を加硫し一体としたものである。
【0014】
そして、加速度センサ7-1,7-2,7-3(図3:なおこれらのセンサを総称するときは単に7によって表す。以下同様)及び応力センサ8-1,8-2,8-3(図3)を納めたセンサボックス9-1,9-2,9-3を、図1に示すように所定位置に取付け、信号線10によって口金2部分に取付けた無線ユニット11に接続した。更に詳しく言うと、加速度センサと応力センサとを1組とする3台の外力センサをそれぞれセンサボックスに収納してホース部分の両端部と中央部の3箇所に設置した。なお、図1に示す符号Sは作業船である。
【0015】
本実施の形態に使用した加速度センサ7-1,7-2,7-3は、三軸加速度センサ(ジャイロセンサ)であり、また本実施の形態に使用した応力センサ8-1,8-2,8-3は、ストレインゲージである。本実施の形態に使用したマリンホース1の内部構造を、図2に基づいて説明する。
【0016】
前記ホース部3は、液体が接する部分に例えばNBRなどの耐油性ゴムからなるライニング層3aを設け、その表面部(外周側)にナイロンコードからなるブレーカ3bを配置し、その上(外周側)にポリエステルなどの耐油性繊維で形成した補強用の第1カーカス内側層3cを複数層(本実施の形態では3層)積層し、その上(外周側)に、ワイヤー3dを所定の間隔を開けて螺旋状に巻き付け、その間にゴム3eを充填し、その上(外周側)に第1カーカス外側層3f(前記第1カーカス層3cと同様の材料を使用)を複数層(本実施の形態では2層)形成し、その上(外周側)をゴム層(NBR/NR)からなるカバー3gで覆い、その上(外周側)を緩衝層3hで覆い、更にその外周側に第2ライニング層3j、ナイロンコードからなるブレーカ3kを積層し、その外周側を第2カーカス層3mで被覆したものである。
【0017】
なお、図2の固定リング3p、ワイヤー3d及びニップルワイヤ3qによって、ライニング層3a、ブレーカ3b、第1カーカス内側層3c、第2カーカス層3mを口金2に固定している。次に図3に示すブロック線図に基づき、本実施の形態のマリンホース1に作用した異常な衝撃及び応力を記録する信号伝達回路について説明する。
【0018】
図3において、前記センサボックス9-1,9-2,9-3から与えられる加速度信号及び応力信号は、それぞれ無線ユニット11(マリンホース1の口金2に配置される無線送受信手段)に設けたマイクロコンピュータ(以下マイコン)12によって制御される加速度信号切換器手段13-a及び応力信号切換手段13-bによって、それぞれ前記加速度センサ7-1,7-2,7-3及び応力センサ8-1,8-2,8-3、を走査し、それぞれのセンサから送られる信号をマイコン12に入力する。
【0019】
加速度信号切換器手段13-aから出力される加速度センサ7-1,7-2,7-3ごとの加速度信号と、応力信号切換手段13-bから出力される応力センサ8-1,8-2,8-3ごとの応力信号とは、それぞれシグナルコンディショニング回路14-a,14-bに与えられ、予め定めたしきい値以上の入力のみ、衝撃の大きさに応じた複数段階による記号付けされ、マイコン12に入力される。
【0020】
マイコン12では、前記異常加速度及び異常応力信号が、異常加速度、異常応力の外に、各マリンホース1、加速度センサ7-1,7-2,7-3、応力センサ8-1,8-2,8-3などの識別番号、発生日時など、必要とするデータと共に、付属する記憶装置(図示せず)に入力される。前記信号が入力されると、パラレルポート15からLEDユニット16に信号を出力し、夜間に異常衝撃及び/又は応力がマリンホース1に作用したとき、光を点滅させて信号が入力されたことを視認可能にした。即ち、無線ユニット11は、予め定めたしきい値以上の、加速度センサ及び応力センサで検出された検出信号のみを送信し、予め定めたしきい値を超えた検出信号がある場合は光を点滅させる構成にしている。
【0021】
ところで、本実施の形態のマリンホース1からデータ送信は、陸上又は船上に配置した監視室(図示せず)に配置したパソコンからなるホストコンピュータ17(データ受信設備)の送信指令信号に基づいて行うようにした。この送信指令信号の送信と、無線ユニット11からの異常衝撃及び応力データの受信との管理は、受信ユニット18(データ受信設備)のマイコン19によって行うようにした。
【0022】
前記無線ユニット11と受信ユニット18との間の交信は、それぞれのユニット11、18に取付けた、アンテナ20、無線機ユニット21、モデムユニット22、シリアルポート23によって行うようにした。即ち、ホストコンピュータ 17 と受信ユニット 18 を備えたデータ受信設備は、無線ユニット 11 に送信指令信号を送信する機能を有し、無線ユニット 11 はデータ受信設備から送信指令信号を受信する機能を有し、データ受信設備が送信する送信指令信号を無線ユニット 11 が受信すると、無線ユニット 11 が記憶手段に記憶する外力のデータをデータ受信設備に送信するようにしている。なお、無線ユニット11及びセンサボックス9-1,9-2,9-3内の機器を作動させる電源は、太陽電池24及びバッテリー25によってまかなうようにした。また図3に示す符号26はシリアルポートである。
【0023】
以上のようにしてホストコンピュータ17に取り込まれた前記異常衝撃及び異常応力データ及びこれらのデータを送信したマリンホース1、加速度センサ7-1,7-2,7-3、応力センサ8-1,8-2,8-3などの識別番号、データ収録日時などの履歴を記録することにより、ホースの寿命及び交換時期の予測などの管理を行うことが可能となる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した本発明のマリンホース異常記録装置は、ホース寿命に影響を与える異常衝撃、異常応力などの異常外力を検出するセンサをマリンホースに取付け、検出されたデータを無線通信により陸上又は船上に設けた監視装置に入力し、マリンホースごとに管理可能にしたので、ホースの寿命及び交換時期の予測などの管理を行うことができる。
【0025】
したがって、本発明を適用することにより、常にマリンホースを管理状態に置くことが可能となり、輸送液体の漏洩などによる原油などの積み出し、積み下ろし作業の効率化の達成、荷役作業のコスト低下に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のマリンホースの側面図である。
【図2】図1に示すマリンホースの長手方向の要部半断面図である。
【図3】図1に示すマリンホースの信号伝達回路を説明するためのブロック線図である。
【符号の説明】
1 マリンホース
7-1 加速度センサ
7-2 加速度センサ
7-3 加速度センサ
8-1 応力センサ
8-2 応力センサ
8-3 応力センサ
9-1 センサボックス
9-1 センサボックス
9-1 センサボックス
10 信号線
11 無線ユニット(無線送受信手段)
12 マイコン(マイクロコンピュータ)
16 LEDユニット
18 受信ユニット(データ受信設備)
20 アンテナ
Claims (1)
- 口金に嵌合するホース部の外周側に浮力材層を介して外皮ゴム層を設け、前記ホース部が、液体に接するライニング層と、その外周側に配置したブレーカと、その外周側に複数層積層した第1カーカス内側層と、その外周側に所定の間隔で螺旋状に巻き付けたワイヤーと、その外周側に複数層形成した第1カーカス外側層と、その外周側を覆うゴム層からなるカバーと、その外周側を覆う緩衝層と、その外周側に積層した第2ライニング層とブレーカと、その外周側を被覆する第2カーカス層とを有するマリンホースにおいて、
該マリンホースに作用する外力を検出する外力センサ及び該外力センサの検出信号を無線により送信する1台の無線送受信手段を前記マリンホースに取付け、前記無線送受信手段から送られる前記検出信号のデータ受信設備を陸上又は船上に設け、
前記外力センサは加速度センサと応力センサとを1組とする3台の外力センサから構成され、3台の外力センサはマリンホースのホース部分の両端部と中央部の3箇所に取付けられ、
前記無線送受信手段は、マリンホースの口金に配置され、予め定めたしきい値以上の、前記加速度センサ及び応力センサで検出された検出信号のみを送信し、予め定めたしきい値以上の検出信号がある場合は光を点滅させる構成を有すると共に、前記データ受信設備から送信指令信号を受信する機能と前記外力センサで検出した外力のデータを記憶する記憶手段と有し、
前記データ受信設備は、前記検出信号の受信手段と、前記検出信号データの記録手段とからなり、かつ前記無線送受信手段に送信指令信号を送信する機能を有し、前記データ受信設備が送信する送信指令信号を前記無線送受信手段が受信すると、該無線送受信手段が前記記憶手段に記憶するデータを前記データ受信設備に送信するようにし、
前記無線送受信手段は、更にマイクロコンピュータを有し、該マイクロコンピュータに前記予め定めたしきい値以上の検出信号のデータのみ、衝撃の大きさに応じて複数段階による記号付けして入力する構成であり、
前記データ受信設備の記録手段は、検出信号の異常データの履歴を記録するマリンホース異常記録装置。
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