以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態における給水制御装置Aの全体構成図である。
図1に示すように、本実施形態における給水制御装置Aは、自動水栓機能付き洗面装置であり、洗面器1と、この洗面器1のボウル面1a内に吐水する水栓2と、給水路3の中途部に設けられ、洗面器1のボウル面1aへの吐水及びその止水を行う給水バルブ4と、洗面器1のボウル面1a内に吐水した水を排水する排水路5と、水栓2から吐水される水がボウル面1aに向かう経路に対して赤外線を投光し、その反射光により人体などの物体を検出する光電センサ7と、この物体検出の結果に応じて給水バルブ4を制御し、洗面器1のボウル面1a内への吐水及びその吐水の停止を制御する給水制御部8とを有している。なお、給水バルブ4は、電磁弁などから構成される。また、水栓2と、給水路3と、給水バルブ4と、給水制御部8とで給水部が構成される。
光電センサ7は、図1に示すように、水栓2内に配置され、やや斜め下前方に向けて赤外線のパルス光を送信し、このパルス光が人体などの物体で反射した光を受光して積分することにより人体などの物体を検出するための検出信号を生成するものである。
まず、この光電センサ7の概略構成を説明する。図2は、光電センサ7の概略構成を含む給水制御装置Aの制御ブロックの概略構成図である。
図2に示すように、光電センサ7は、監視領域に向けてパルス光を投光する投光部10と、この投光部10から投光されるパルス光の物体(人体など)による反射光を積分して出力する受光部11と、投光部10及び受光部11を制御し、人体などの物体(対象物)検出処理を行う制御部13とを備えている。
投光部10は、監視領域の物体に向けて投光する投光素子LED1と、この投光素子LED1に流れる電流をON/OFFして投光素子LED1からパルス光を投光させる投光用スイッチ手段である投光用トランジスタTr1と、投光電流抵抗R1とを有している。
受光部11は、監視領域の物体からの反射光を受光する受光素子PD1の出力を電圧に変換し、コンデンサC1によりその変動(微分)値を出力する光電変換手段である光電変換部30と、この光電変換部30の出力を増幅する増幅部34を有し、この増幅部34の出力を積分する積分手段である積分器33とを備えて構成される。
ここで、積分器33は、パルス光毎の増幅部34からの出力を所定期間Tに積分して出力する。そして、所定期間積分をした後、コンデンサC20の電荷をスイッチ(図示せず)により放電し、積算をリセットする構成となっている。
制御部13は、投光用トランジスタTr1を制御するパルス光制御手段15と、スイッチSW1を所定期間T毎に短絡させるスイッチ制御手段16と、パルス光のパルス幅と、所定期間Tの始まりからパルス光の投光を開始するまでの遅延時間(以下、「パルス光遅延時間」とする。)とを設定するパルス光設定手段40と、パルス光制御手段15によるパルス光の投光が行われたときに、受光部11の出力の大きさを測定する受光出力測定手段41と、受光部11の出力に基づいて物体を検出する対象物判断手段42とを有している。
ここで、パルス光制御手段15は、パルス光設定手段40によって設定されたパルス光のパルス幅及びパルス光遅延時間で投光用トランジスタTr1を制御する。そして、パルス光設定手段40は、パルス光のパルス幅と、このパルス幅に対して積分器33による積分出力が最大となるパルス光遅延時間とを、受光出力測定手段41によって測定される受光部11の出力が所定の調整範囲となるように変更する。
このように、本実施形態における光電センサ7では、パルス光のパルス幅及びパルス光遅延時間を変更することによって、感度調整を行うようにしており、パルス光の波高値を一定にして投光部10を低電圧で駆動することができ、また、積分器でパルス光を積分する所定期間Tを変えることなく、受光部11で受光するパルス光を効率よく積分することができる。
特に、光電変換部30によってパルス光を光電変換し、コンデンサC1により変動値を出力し、次段の増幅部34で、第1期間で立ち上がりの変動値を増幅し、さらに次の第2期間(=所定期間T−第1期間)で立ち下りの変動値を反転増幅する構成としたとき、パルス幅変更に伴って第1期間や第2期間を変更すると、この増幅部34で構成しているフィルタの特性が変わってくるが、パルス光のパルス幅に加えてパルス光遅延時間も変えることにしていることから、これらの期間を変更せずにフィルタ特性を一定に保つことができる。
さらに、光電センサ7は、投光部10の温度を計測する温度計測部17を備えており、パルス光設定手段40は、温度計測部17により計測された温度に応じて、パルス光の投光幅及びパルス光遅延時間を設定するようにしている。そのため、温度変化によって投光部を構成する部品の特性が変化した場合であっても、適切な感度を保持することができる。
また、パルス光のパルス幅及びパルス光遅延時間の組み合わせのパターン(以下、「パルス光パターン」とする。)を異なる組み合わせで記憶手段に複数記憶しておき、このように記憶手段に予め記憶した複数のパルス光パターンから選択するようにすれば、パルス光設定手段40による設定処理を複雑にすることなく、光電センサ7の感度調整を行うことができる。
次に、光電センサの具体的構成の一例について説明する。図3は光電センサ7の具体的構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、光電センサ7は、投光部10と、受光部11と、制御部13と、温度計測部17とを備えている。
制御部13は、後述の投光制御スイッチSW3の接続及び切断を制御して投光部10を制御し、この投光部10から投光されるパルス光のパルス幅やパルス光の投光タイミングを変更するパルス光制御手段15、後述の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の接続及び切断を制御するスイッチ制御手段16、パルス光制御手段15によって投光されるパルス光のパルス幅とパルス光遅延時間とを設定するパルス光設定手段40、パルス光制御手段15によるパルス光の投光が行われたときに、受光部11の出力の大きさを測定する受光出力測定手段41、受光部11の出力に基づいて物体を検出する対象物判断手段(信号処理部)42としての機能を実行する。
ここで、制御部13は、図3に示すように、I/O出力を備えたCPU(Central Processing Unit)21と、感度調整プログラムや給水制御プログラムなどの各種プログラムが記憶されるROM(Read Only Memory)22と、各種パラメータや後述するパルス光のパルス幅の設定値などを記憶するためのRAM(Random Access Memory)23と、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ24、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ25,26とを有している。ROM22に格納された各種プログラムは、CPU21によって読み出され、上述したパルス光制御手段15、スイッチ制御手段16、パルス光設定手段40、受光出力測定手段41、対象物判断手段42等としての機能が実行される。RAM23は、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性の記憶手段である。
なお、制御部13は、CPU,ROM,RAM,D/Aコンバータ及びA/Dコンバータなどを内蔵するマイコンであればマイコンだけで構成してもよい。また、A/Dコンバータ25,26は逐次型A/Dコンバータが望ましく、その中のD/A部をD/Aコンバータ24と共有して使用することで回路削減を行うことができる。
また、感度調整プログラムや給水制御プログラムなどの各種プログラム等は、例えば、メモリカード等の記録媒体に記録されてから記録媒体のドライブ(図示せず)を介して、ROM22に読み込まれるようにしてもよい。
投光部10は、図3に示すように、投光用トランジスタTr1と、投光電流抵抗R1と、オペアンプAMP1とで構成される定電流回路と、投光素子LED1とを備えている。
投光素子LED1は、赤外線発光ダイオードなどの赤外線を投光することができる発光素子であり、一端が投光部10の電源電圧Vccに接続され、その他端が投光用トランジスタTr1のコレクタに接続される。
投光用トランジスタTr1のエミッタは投光電流抵抗R1の一端に接続され、投光電流抵抗R1の他端はグランド(GND)に接続される。また、投光用トランジスタTr1のベースは、投光制御スイッチSW3を介してオペアンプAMP1の出力端子に接続される。
オペアンプAMP1の反転入力端子は投光電流抵抗R1の一端に接続され、オペアンプAMP1の非反転入力端子は、制御部13のD/Aコンバータ24の出力に接続される。
そして、D/Aコンバータ24から出力される基準電圧Sig1によって決まる所定の電流を投光素子LED1に供給するように構成されている。
すなわち、基準電圧Sig1の電圧値(V)を投光電流抵抗R1の抵抗値(Ω)で除したものが投光素子LED1に供給される電流の電流値になる。また、基準電圧Sig1は、D/Aコンバータ24から出力されるため、ダイオードなどで基準電圧を生成するのに比べその精度が高くなり、投光素子LED1に供給する電流を向上させることができる。
なお、基準電圧Sig1の値をできるだけ小さくすることにより、投光電流抵抗R1にかかる電圧を小さくすることができ、これによって投光部10に必要な電源電圧Vccを低く抑えることができる。また、本実施形態では投光を定電流回路で行うこととしたが、部品点数削減のため、図4に示すように、電流制限抵抗としての投光電流抵抗R1とトランジスタTr1だけの構成にし、投光素子LED1や回路のバラツキも含めパルス幅で調整してもよい。
ここで、投光制御スイッチSW3が接続状態にあるときに投光部10からの投光が行われ、投光制御スイッチSW3が切断状態にあるときには投光部10からの投光は行われない。
制御部13はパルス光制御手段15として、間欠的なパルス信号である投光制御信号Sig13によって投光制御スイッチSW3を制御(図4の回路においては、投光用トランジスタTr1を制御。以下同様)することにより投光部10から監視領域に複数のパルス光が間欠的に投光される。
さらに、制御部13はパルス光設定手段40として、入力部9からの設定のみならず、所定条件に応じてパルス光のパルス幅を変更することができるように構成されている。
ここで、所定条件とは、例えば、投光部10や受光部11や制御部13の温度であり、投光部10や受光部11や制御部13に配置された温度センサなどの温度計測部17によって計測される。そして、制御部13はパルス光設定手段40として、この温度計測部17から出力される温度情報に基づいてパルス光のパルス幅を変更する。なお、温度計測部17は光電センサ7に内蔵してもよい。
受光部11は、投光部10によって投光されたパルス光の反射光の光量を電圧信号に変換し、コンデンサC1などを介して変動値を出力する光電変換部30と、光電変換部30によって変換した電圧信号を増幅する第1増幅器31と、第1増幅器31によって増幅した電圧信号を反転増幅する第2増幅器32と、第1増幅器31及び第2増幅器32の出力を積分する積分器33と、第1増幅器31の出力を積分器33に入力する第1スイッチSW1と、第2増幅器32の出力を積分器33に入力する第2スイッチSW2とを有している。なお、第2増幅器32は、光電変換部30によって変換した電圧信号を反転増幅するようにしてもよい。
光電変換部30は、パルス光の反射光を受光するフォトダイオードなどの受光素子PD1と、受光素子PD1で受光した光の光量を電気信号に変換するオペアンプAMP2と、オペアンプAMP2の出力端子にその一端が接続される入力抵抗R2と、入力抵抗R2の他端に非反転入力端子が接続されるオペアンプAMP3と、オペアンプAMP3の反転入力端子と出力端子との間に接続される帰還抵抗R3と、オペアンプAMP3の出力端子にその一端が接続されるコンデンサC1とから構成されている。
第1増幅器31は、光電変換部30の出力に接続される入力抵抗R4と、入力抵抗R4の他端に反転入力端子が接続され、非反転入力端子が基準電圧Vrefに接続されるオペアンプAMP4と、オペアンプAMP4の反転入力端子と出力端子との間に接続される帰還抵抗R5とから構成される。すなわち、第1増幅器31は、R5/R4倍のゲインを有する反転増幅器を構成する。
第2増幅器32は、第1増幅器31の出力端子に接続される入力抵抗R6と、入力抵抗R6の他端に反転入力端子が接続され、非反転入力端子が基準電圧Vrefに接続されるオペアンプAMP5と、オペアンプAMP5の反転入力端子と出力端子との間に接続される帰還抵抗R7とから構成される。すなわち、第2増幅器32は、R7/R6倍のゲインを有する反転増幅器を構成する。ここでは、R6=R7としており、第1増幅器31の出力の極性をそのまま反転する構成としている。
また、積分器33は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2にその一端が接続された抵抗R8と、抵抗R8の他端がその反転入力端子に接続され、その非反転入力端子が基準電圧Vrefに接続されるオペアンプAMP6と、このオペアンプAMP6の反転入力端子と出力端子との間に接続されたコンデンサC2とから構成されている。
そして、制御部13はスイッチ制御手段16として、第1スイッチSW1を投光部10によるパルス光の投光期間を含む所定期間だけ接続状態にし、その後、第2スイッチSW2を所定期間だけ接続状態にするようにして、受光素子PD1で受信したパルス光を積分器33によって積分する。
第1スイッチSW1が接続状態のときに、第1増幅器31から出力される信号がそのまま積分器33へ入力され、抵抗R8を介してコンデンサC2にチャージされる。また、第2スイッチSW2が接続状態のときに、第1増幅器31から出力される信号の極性が第2増幅器32によって反転され、積分器33へ入力されて、抵抗R8を介してコンデンサC2にチャージされる。
なお、積分器33には、オペアンプAMP6の反転入力端子と出力端子との間にスイッチSW4が接続されており、このスイッチSW4をSig14にて接続状態にすることにより、コンデンサC2にチャージされた電荷を放電させ、積分器33の状態を初期状態に戻すようにしている。
以上のように構成された光電センサ7について、その動作を図面を参照して具体的に説明する。図5は光電センサ7の各部位の信号波形の例を示す図である。なお、以下においては、投光部10から4個のパルス光が投光されるものとして説明する。また、感度調整動作時及び物体検出動作時では、基本的に同じ動作をするものとする。
図5中(a)は、投光制御スイッチSW3を制御する投光制御信号Sig13の信号波形を示しており、この例では、タイミングT1〜T16の間に、期間TAで周期TBの4つのパルス信号が投光制御信号Sig13として投光制御スイッチSW3に入力されていることを示している。
投光制御スイッチSW3が接続状態になると、オペアンプAMP1の出力が投光用トランジスタTr1のベースに入力され、投光用トランジスタTr1のコレクタ−エミッタ間に抵抗R1と基準電圧Sig1とで規定される所定値の電流が流れる。従って、投光素子LED1に所定値の電流が流れ、投光素子LED1が発光する。その後、投光制御スイッチSW3が切断状態になると、オペアンプAMP1の出力が投光用トランジスタTr1のベースから切り離され、投光用トランジスタTr1のコレクタ−エミッタ間はOFF状態となり、投光素子LED1への電流供給が停止する。
従って、図5中(b)に示すように、投光素子LED1からは、期間TAで周期TBの所定光量のパルス光が投光されることになる。
このように投光部10から投光されたパルス光は、監視領域内に人体などの物体が存在するとき、そのパルス光の一部が人体などの物体に反射して受光部11に到達する。図5中(c)には、投光部10から投光されたパルス光の反射光を示しており、この反射光は、投光部10から投光されたパルス光の一部であるため、投光部10から投光されたパルス光(図5中(b))よりも光量が少なくなっている。
この反射光は受光部11の光電変換部30によって電気信号に変換された後、コンデンサC1を介して出力される。図5中(d)には、光電変換部30の出力信号に例が示されており、この出力信号はコンデンサC1によって直流成分が取り除かれた信号となる。
なお、コンデンサC1及び抵抗R4によって微分回路が構成され、これらの定数は、タイミングT4,T8,T12,T16において、光電変換部30の出力信号がほぼ基準電圧Vrefとなるように設定される。
このように光電変換部30の出力信号は、反射光を受光しているとき(所定期間TA)には、基準電圧Vrefに対して正の値にならないように、反射光の受光が終了したときから所定期間TCの間は、基準電圧Vrefに対して負の値にならないように構成される。
光電変換部30の出力信号は、第1増幅器31及び第2増幅器32によって増幅されて、信号Sig2として、積分器33に入力される。
すなわち、制御部13はスイッチ制御手段16として、制御信号Sig11及び制御信号Sig12により、反射光を受光しているとき(所定期間TA)には、第1スイッチSW1を接続状態にし、第2スイッチSW2を切断状態にすることによって、光電変換部30の出力信号を第1増幅器31によって増幅して積分器33に入力し、反射光の受光が終了したときから所定期間TCの間は、第1スイッチSW1を切断状態にし、第2スイッチSW2を接続状態にすることによって、光電変換部30の出力信号を第2増幅器32によって増幅して積分器33に入力する。図5中(e)には、第1スイッチSW1を制御する信号sig11の波形の例が示され、図5中(f)には、第2スイッチSW2を制御する信号Sig12の波形の例が示されている。なお、各スイッチはONのときに接続状態となり、OFFのときに切断状態となる。
このように本実施形態における光電センサ7は、光電変換部30によって受信した反射光を、基準電圧Vrefを中心に正負に変換し、かつ反射光の受光終了時点(T4,T8,T12,T16)でほぼ基準電圧Vrefとなる信号に変換する。変換した出力信号のうち、基準電圧Vrefを中心にして正の出力信号を第1増幅器31によって増幅し、基準電圧Vrefを中心にして負の出力信号を第2増幅器32によって増幅するようにし、これらの信号Sig2(図5中(g)参照)を積分器33によって積分する。図5中(h)には、積分器33によって積分された信号Sig3、すなわち積分器33の出力波形の例が示されている。この図に示すように、積分器33の出力信号Sig3では、基準電圧Vrefに対して負の方向に積算されることになる。
そして、制御部13は対象物判断手段42として、積分器33からの出力信号Sig3が所定の閾値Vth以下になったとき、人体などの物体が存在すると判定し、給水バルブ4を制御し、洗面器1のボウル面1a内への吐水が行われる。
ここで、例えば、投光部10から出力されるパルス光の幅の1/2の幅の外乱ノイズ光が連続して入力された場合には、第1スイッチSW1が接続状態のときに光電変換部30の出力信号が基準電圧Vrefを中心に負から正に変化し、第2スイッチSW2が接続状態のときにも同様に光電変換部30の出力信号が基準電圧Vrefを中心に負から正に変化するため、積分器33の出力はほとんど変化しない。このように、光電変換部のコンデンサC1、第1増幅器31、第2増幅器32、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び制御部13によるスイッチ制御手段16としての機能によってフィルタ(ノイズ除去回路)が構成され、ノイズ光を投光部10から出力されるパルス光と誤って認識することを抑制することができる。
次に、光電センサ7の物体検出感度を調整方法について説明する。
光電センサ7の物体検出感度を調整する必要が生じるのは、(1)光電センサ7を構成する部品のばらつきによって、光電センサ7の物体検出感度がばらついてしまった場合、(2)光電センサを自動水栓等などの装置に組み込んだ場合に、標準設定の物体検出感度では検出漏れや誤検出などが発生した場合、などがある。
たとえば、投光素子LED1のばらつきにより投光部10から出力するパルス光の光量にばらつきが生じることによって、受光部によって受光する反射光の光量にばらつきが生じる。また、抵抗R2やコンデンサC1のばらつきにより、光電変換部30の出力信号波形にばらつきが生じることによって、光電変換部30の出力信号が反射光の受光終了時点(T4,T8,T12,T16)で基準電圧Vrefから大きくずれてしまい、積分器33での積分量が減少する。また、抵抗R2〜R8のばらつきにより、受光部11での反射光の増幅率にばらつきが生じることによって、積分器33での積分量が増減する。その結果、光電センサ7の物体検出感度がばらついてしまうことがある。
また、光電センサを自動水栓等などの装置に組み込んだ場合に、光電センサの監視領域に洗面器1の形状や位置によって投光部10によるパルス光の反射度合いが変化し、その結果、例えば、洗面器1による反射波を人体などの物体が存在すると誤検出してしまうことがある。
そこで、本実施形態における光電センサ7では、投光部10を制御して、投光部10から投光されるパルス光のパルス幅を変更するようにしている。すなわち、制御部13はパルス光制御手段15及びパルス光設定手段40として、投光制御スイッチSW3の接続状態の期間を制御して、投光部10から投光するパルス光のパルス幅Tx(期間TA)を増減させ、光電変換部30の出力信号波形を変化させることによって、光電センサ7の物体検出感度を調整することができるように構成される。
図6は、本実施形態における光電センサ7の物体検出感度調整(第1感度調整処理)のフローチャートであり、以下、この図を参照して、投光部10から投光されるパルス光のパルス幅を変更することによる光電センサ7の第1感度調整処理について具体的に説明する。なお、以下の動作は、制御部13による制御によって行われるものであり、CPU21がROM22に記憶された感度調整プログラムを読み取って実行することにより、パルス光制御手段15、スイッチ制御手段16、パルス光設定手段40、受光出力測定手段41、対象物判断手段42等として機能して行われる。
まず、制御部13はパルス光設定手段40として、投光部10から投光するパルス光のパルス幅Txを初期値αに設定する(ステップS10)。この設定は、制御部13がパルス光設定手段40としてRAM23の投光パルス幅設定領域に初期値αをパルス幅Txとして格納することによって行われる。また、制御部13はスイッチ制御手段16として、スイッチSW4を接続状態にして、コンデンサC2を短絡し、コンデンサC2にチャージされた電荷をディスチャージする。次に、制御部13はパルス光設定手段40として、カウンタ値iを0にリセットして(ステップS11)、処理をステップS12に移行する。
ステップS12において、制御部13はパルス光制御手段15として、RAM23に記憶したパルス幅Txを取り出して、投光部10からパルス光を投光する。また、制御部13はスイッチ制御手段16として、投光部10から投光されるパルス光を受信するために、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御するための信号Sig11及びSig12を出力する。
ここでは、投光部10から4個のパルス光を投光するように、制御部13から信号Sig13が出力され、投光制御スイッチSW3が制御される。また、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2は、交互に各4回接続状態になるように、制御部13から出力される信号Sig11及びSig12によって制御される。
なお、投光部10から出力されるパルス光の数は、投光部10によるパルス光の光量と受光部11の特性によって適宜調整されるものである。例えば、電源電圧Vccが低いほど、投光部10から出力されるパルス光の光量は少なくなるため、電源電圧Vccが低いほどパルス光の数を多くする必要がある。
ステップS12において、投光部10からパルス光の投光が終了し、これらのパルス光の受光が終了すると、ステップS13の処理に移行する。
この処理において、制御部13は受光出力測定手段41として、積分器33の出力信号Sig3をA/Dコンバータ25を介して取得し、受信レベルV(i)としてRAM23の受信データ格納領域に記憶して、ステップS14の処理に移行する。
ステップS14において、制御部13はパルス光設定手段40として、カウンタ値iを1だけインクリメントして、ステップS15の処理に移行する。
ステップS15において、制御部13はパルス光設定手段40として、RAM23の投光パルス幅設定領域に格納したパルス幅Txを取り出し、このパルス幅Txにβを加算した値をパルス幅TxとしてRAM23の投光パルス幅設定領域に格納して、ステップS16の処理に移行する。
ステップS16において、制御部13はパルス光設定手段40として、カウンタ値iがn以上であるか否かを判定する。すなわち、投光制御及び受光制御がn回繰り返し行なわれ、その結果である受信レベルV(0)〜V(n−1)をRAM23の受信データ記憶領域に記憶したか否かが判定される。
この処理において、制御部13はパルス光設定手段40として、カウンタ値iがn以上ではないと判定すると(ステップS16:No)、ステップS12からの処理を繰り返す。一方、カウンタ値iがn以上であると判定すると(ステップS16:Yes)、RAM23から感度調整目標値Vaを取り出して(ステップS17)、処理をステップS18に移行する。
ステップS18において、制御部13はパルス光設定手段40として、受信レベルV(0)〜V(n−1)のうち感度調整目標値Vaと最も近いレベルものを判定し、処理をステップS19に移行する。なお、本実施形態においては、n回の測定を行い、その中で最も感度調整目標値Vaに近いものを選択するようにしたが、1回ずつ測定する毎に感度調整目標値Vaと比較し、その結果に基づき、次のパルス幅Txを決めていく方法(逐次比較型)にしてもよい。
ステップS19において、制御部13はパルス光設定手段40として、ステップS18において判定した感度調整目標値Vaと最も近い受信レベルとなったときのパルス光のパルス幅をRAM23の投光パルス幅設定領域のパルス幅Txとして設定する。
このように光電センサ7では、投光部10から投光するパルス光のパルス幅を変更することによって、その物体検出感度調整を行うことができる。従って、投光部10による投光量を大きくする必要がなく、投光部10を動作させるために必要な電圧のレベルを抑えることができ、低電圧駆動で、かつ感度調整を容易に精度良く行うことができる。
この物体検出感度の調整動作は、製造工程や現場等で実行させることができる。例えば、現場で給水制御装置Aを設置した後に、光電センサ7の物体検出感度の調整動作を行う場合、実際に給水制御装置Aを使用する位置に手や人体若しくは白い紙を配置し、入力部9からの入力或いは光電センサ7の起動(例えば、光電センサ7の電源をONにする。)を行うといった簡単な作業で、給水制御装置Aにおける光電センサ7の検出感度を調整することができる。なお、入力部9に押しボタンを設け、この押しボタンを押下することによって、物体検出感度の調整動作を行わせるようにしてもよい。
なお、感度調整目標値Vaは、入力部9からの入力によって変更することができるようになっている。すなわち、入力部9からの入力を制御部13によって受信して、RAM23の感度調整目標値設定領域に記憶した感度調整目標値Vaを変更するようにしている。
また、物体感度調整として、パルス幅の調整に加え、パルス光の数の調整を行うようにしてもよい。すなわち、パルス光の数を変えながら、パルス光の数ごとに上記ステップS10〜S16の処理を行い、これらの処理の結果から感度調整目標値Vaと最も近いレベルものを判定して、この判定結果に対応するパルス幅を投光パルス幅設定領域にパルス幅Txとして設定するのである。このようにすることによって、より精度よく感度調整を行うことができる。
また、入力部9などからの入力により物体感度調整を最大とする設定が選択された場合には、上記ステップS17〜S19に代えて、制御部13はパルス光設定手段40として、受信レベルV(0)〜V(n−1)のうち基準電圧Vrefと比較して最もレベルの大きいものを判定して、受信レベルV(0)〜V(n−1)のうち最大となるレベルのものを判別し、判別した受信レベルのときのパルス幅Txを投光パルス幅Txに設定する。すなわち、制御部13はパルス光設定手段40として、受光部11の出力が最大となるパルス光のパルス幅を検出し、このパルス幅を投光部10によって投光するパルス光のパルス幅とするのである。
このように光電センサ7においては、パルス幅Txをα〜α+β×(n−1)の範囲内でβ毎に変化させて、最もレベルの大きいパルス幅のパルス光を投光部10によって投光するようにしており、物体感度調整を最大とすることができると共に、投光部10によるパルス光を受光部11によって効率よく受光することができ、投光部10を動作させるために必要な電圧のレベルを適切に抑えることができる。
以上のように、投光部10の投光量を変更するのではなく、投光するパルス光のパルス幅を変更することによって物体検出感度の調整を行うようにしているため、投光部10による投光量を大きくする必要がなく、従って、投光部10を動作させるために必要な電圧のレベルを抑えることができ、低電圧駆動で、かつ感度調整を容易に精度良く行うことができる。
ところで、受光素子PD1、第1増幅器31及び第2増幅器32の特性、コンデンサC1の容量値、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の接続時間によって、受光部11において検出できるパルス光が異なってくる。
従って、パルス光のパルス幅Txだけを増減させた場合、受光部11においてパルス幅変更後のパルス光の受信感度が低下する恐れがある。
そこで、このような場合には、感度調整動作時及び物体検出動作時に、上記のようにパルス光のパルス幅Txを増減させるのに伴って、制御部13はスイッチ制御手段16及びパルス光設定手段40として、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態とする時間TD,TEを増減させ、受光部11におけるパルス光の受光特性を変更して、パルス幅変更後のパルス光の受信感度の低下を抑制する(図7中(a)参照)。すなわち、設定するパルス幅Txにおいて投光部10の出力が最大となる時間TD,TEを設定する。このとき、ROM22にそれぞれ異なるパルス幅Txと時間TD,TEとを関連付けた複数のパルス光パターンからなるテーブルを記憶するようにしておき、制御部13はパルス光設定手段40としてROM22からこのテーブルとRAM23から投光パルス幅Txを取り出し、投光パルス幅Txに応じた時間TD,TEを取り出したテーブルに基づいて設定し、その後、パルス光制御手段15として、設定に応じたパルス光を投光する。
換言すれば、制御部13は、パルス光制御手段15として、投光用トランジスタTr1を制御してパルス光の投光を行い、受光出力測定手段と41して、そのときの受光部11の出力の大きさを測定し、パルス光設定手段40として、パルス光のパルス幅Tx(例えば、図7のTA)と、設定したパルス幅Txにおいて投光部10の出力が最大となる遅延時間とを、受光出力測定手段41の測定結果が所定の調整範囲になるように設定することになる。ここで、遅延時間とは、所定期間TBの始まり(例えば、図7のタイミングT1)からパルス光の投光を開始するまで(例えば、図7のタイミングT2)の時間TDである。
このようにすることにより、投光部10によって投光されるパルス光のパルス幅Txを大きく変更する場合であっても、そのパルス光の検出を適切に行うことができる。すなわち、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の接続時間によって受光部11によって検出できるパルス光のパルス幅を変更することができることから、パルス光のパルス幅の変更に応じて第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の接続時間を変更して、パルス幅変更後のパルス光の受信感度の低下を抑制することができる。
しかも、制御部13は、ROM22に、パルス光のパルス幅Tx及び時間TD,TEをそれぞれ変更した複数のパルス光パターンをそれぞれ記憶するようにしており、これらのパルス光パターンのうち、受光出力測定手段の測定結果が所定範囲(例えば、所定の調整値に最も近い値)となるパルス光パターンを判定し、このように判定したパルス光パターンの前記パルス光のパルス幅Tx及び時間TD,TEを設定するようにしており、制御部13のパルス光設定手段40としての設定処理を複雑にすることなく、光電センサ7の感度調整を行うことができる。
また、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態とする時間を変更するのではなく、投光部10におけるパルス光の位置を調整するようにしてもよい。
すなわち、感度調整動作時及び物体検出動作時に、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態にする時間は一定とし、パルス光のパルス幅Txを増減させるのに伴って、設定するパルス幅Txに対して受光部11の出力が最大となるように、投光部10において、第1スイッチSW1が接続状態を開始してから(所定期間TBの始まりから)のパルス光の投光開始までの時間Td(パルス光遅延時間)と、パルス光の投光終了から第1スイッチSW1の接続状態の終了までの時間Teとを調整する。このように受光部11におけるパルス光の受光特性に適応させたパルス光を投光部10から投光させることによって、パルス幅変更後のパルス光の受信感度の低下を抑制する。すなわち、設定するパルス幅Txにおいて投光部10の出力が最大となる時間Td,Teを設定する。このとき、ROM22にパルス幅Txと時間Td,Teとを関連付けたテーブルを記憶するようにしておき、制御部13はパルス光設定手段40としてROM22からこのテーブルとRAM23から投光パルス幅Txを取り出し、投光パルス幅Txに応じた時間Td,Teを取り出したテーブルに基づいて設定して動作するようにする。なお、パルス周期TBは一定であることから、時間Teをテーブルに記憶せずに、パルス幅Txと時間Tdを関連付けたテーブルを記憶するようにしてもよい。
すなわち、制御部13は、パルス光制御手段15として、投光用トランジスタTr1を制御してパルス光の投光を行い、受光出力測定手段41として、そのときの受光部11の出力の大きさを測定し、パルス光設定手段40として、パルス光のパルス幅Tx(例えば、図7のTA)と、設定したパルス幅Txにおいて投光部10の出力が最大となるパルス光遅延時間とを、受光出力測定手段41の測定結果が所定の調整範囲(例えば、所定の調整値に最も近い値)になるように設定する。
このように、パルス幅Txに応じて少なくとも時間Tdを変更することにより、受光部11の受光特性を変更せずに感度調整をおこなうことができるため、例えば、蛍光灯からのノイズ光など特定の光を除去するように受光部11の受光特性を固定すればよく、受光部11の設計が容易になる。すなわち、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態の時間を変更すると受光部11の受光特性が変化することから、その変更に対応して個々にノイズ耐性の確認をする必要があり、その作業が煩雑であるが、受光部11の受光特性を変更しないのでそのような作業を省くことができ、開発コストを低減することができる。
以上のように給水制御装置Aの光電センサ7を構成することにより、投光部10によって投光されるパルス光のパルス幅Txを大きく変更する場合であっても、そのパルス光の検出を適切に行うことができる。すなわち、時間TD,TE(Td)を変更することにより、受光部11の受光特性を変更せずに感度調整をおこなうことができることから、パルス光のパルス幅の変更に応じて時間TD,TE(Td)を変更して、パルス幅変更後のパルス光の受信感度の低下を抑制することができる。
しかも、制御部13は、ROM22に、パルス光のパルス幅Tx及びパルス光遅延時間TD(Td)をそれぞれ変更した複数のパルス光パターンをそれぞれ記憶するようにしており、これらのパルス光パターンのうち、受光出力測定手段41の測定結果が所定範囲(例えば、所定の調整値に最も近い値)となるパルス光パターンを判定し、このように判定したパルス光パターンのパルス幅Tx及びパルス光遅延時間TD(Td)を設定するようにしており、制御部13のパルス光設定手段40としての設定処理を複雑にすることなく、光電センサ7の感度調整を行うことができる。
次に、給水制御装置Aの給水制御動作について説明する。図8は本実施形態における給水制御装置Aの給水処理のフローチャートである。
図8に示すように、給水制御装置Aの電源が投入され、給水制御装置Aにリセットが行われると、給水制御部8は、入力部9からの入力等により第1感度調整が選択されたか否かを判定する(ステップS20)。なお、この第1感度調整は、給水制御装置Aにリセットが行われた後、制御部13によってすぐに実行されるようにしてもよい。
ステップS20において、第1感度調整が選択されたと判定すると(ステップS20:Yes)、給水制御部8は、上述した第1感度調整処理(図6におけるステップS10〜S19)を光電センサ7に実行させ(ステップS29)、この処理が終了すると、ステップS20の処理に戻す。
一方、第1感度調整が選択されていないと判定すると(ステップS20:No)、給水制御部8は、給水制御処理に移行する。
この給水制御処理では、まず、給水制御部8が光電センサ7に物体検出処理を実行させる(ステップS21)。この処理は、図9におけるステップS30〜S34の処理であり、後述で詳説する。
次に、給水制御部8は、光電センサ7によって人体などの物体が検出されたか否かを判定する(ステップS22)。光電センサ7によって人体などの物体が検出されたか否かは、給水制御部8が光電センサ7から人体などの物体が検出されたことの通知を受信したか否かによって判定される。
この処理において、人体などの物体が検出されたと判定すると(ステップS22:Yes)、給水制御部8は、洗面器1のボウル面1a内へ吐水中か否かを判定する(ステップS23)。
ステップS23において、吐水中ではないと判定すると(ステップS23:No)、給水制御部8は、給水バルブ4を制御し、洗面器1のボウル面1a内へ吐水し(ステップS24)、処理をステップS27に移行する。一方、吐水中であると判定すると(ステップS23:Yes)、給水制御部8は、ステップS24の処理を行わずにその処理をステップS27に移行する。
また、ステップS22において、人体などの物体が検出されないと判定すると(ステップS22:No)、給水制御部8は、洗面器1のボウル面1a内へ吐水中か否かを判定する(ステップS25)。
ステップS25において、吐水中であると判定すると(ステップS25:Yes)、給水制御部8は、給水バルブ4を制御し、洗面器1のボウル面1a内への吐水を停止し(ステップS26)、処理をステップS27に移行する。一方、吐水中ではないと判定すると(ステップS25:No)、給水制御部8は、ステップS26の処理を行わずにその処理をステップS27に移行する。
ステップS27において、給水制御部8は、1秒間のタイマーをカウントした後、第2感度調整処理を光電センサ7に実行させる(ステップS28)。この第2感度調整処理は、図10におけるステップS40〜S44の処理であり、後述で詳説する。
このように給水制御装置Aは、光電センサ7によって物体検出を行い、この物体検出の結果に応じて給水バルブ4を制御し、洗面器1のボウル面1a内への吐水及びその吐水の停止を行うものである。
次に、光電センサ7における物体検出処理について説明する。図9は本実施形態における給水制御装置Aの物体検出処理のフローチャートである。なお、以下の動作は、制御部13が、パルス光制御手段15、スイッチ制御手段16、パルス光設定手段40、受光出力測定手段41、対象物判断手段42等として機能することによって実行されるものである。
図9に示すように、光電センサ7において、制御部13はパルス光制御手段15として、RAM23の投光パルス幅設定領域に記憶されたパルス幅Txと、RAM23の投光パルス幅設定領域に記憶されたパルス数Nとを取り出す。そして、パルス幅Txのパルス信号をN回所定間隔で連続させた信号Sig13を生成して投光部10に出力する(ステップS30)。ここでは、パルス数=4であるとする。
なお、上述のようにパルス光のパルス幅Txを増減させるのに伴って投光部10におけるパルス光の位置を調整するようにした場合には、投光パルス幅Txに応じた時間Tdを取り出したテーブルに基づいて設定して動作するようにする。
投光部10では、パルス光制御手段15として機能する制御部13から出力される信号Sig13により投光制御スイッチSW3が断続的に接続状態とされ、投光素子LED1に所定値の電流が断続的に流れる。そして、投光素子LED1からパルス幅Txのパルス光がN回連続して出力される。
制御部13は、投光部10を制御するのと同時にスイッチ制御手段16等として受光部11も制御して、投光部10から投光されるパルス光の受光処理を行なう(ステップS31)。この受光処理は、スイッチ制御手段16が第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とを制御し、対象物判断手段42が積分器33から出力される信号Sig3の電圧レベルを検出することにより行なわれる。
なお、制御部13はスイッチ制御手段16として、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態とする前に、スイッチSW4を接続状態にして、コンデンサC2を短絡し、コンデンサC2にチャージされた電荷をディスチャージする。
また、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2が接続状態となるタイミングは、投光制御スイッチSW3が接続状態となるタイミングと所定関係を有している(図5中(e),(f)及び図7中(e),(f)参照。)。
なお、上述のようにパルス光のパルス幅Txを増減させるのに伴って、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続時間を増減させる制御を行なう場合には、ROM22にパルス幅Txと時間TD,TE(Td,Te)とを関連付けたテーブルを記憶するようにしておき、制御部13はパルス光設定手段40としてROM22からこのテーブルとRAM23から投光パルス幅Txを取り出し、投光パルス幅Txに応じた時間TD,TE(Td,Te)を取り出したテーブルに基づいて設定して、パルス光制御手段15による投光動作が行われる。
次に、制御部13は対象物判断手段42として、ステップS31の受光処理で検出した積分器33からの出力信号Sig3の電圧レベルがRAM23に記憶されている閾値Vth以下であるか否かを判定する(ステップS32)。
この処理において、信号Sig3が閾値Vth以下であると判定すると(ステップS32:Yes)、制御部13は対象物判断手段42として、人体などの物体が検出されたと判定する(ステップS33)。一方、信号Sig3が閾値Vthよりも大きいと判定すると(ステップS32:No)、制御部13は対象物判断手段42として、人体などの物体が検出されないと判定する(ステップS34)。
以上のようにして、光電センサ7における物体検出処理では、各スイッチSW1〜SW4を制御して人体などの物体が検出されたか否かを判定する。
次に、光電センサ7における第2感度調整処理について説明する。図10は本実施形態における給水制御装置Aの第2感度調整処理のフローチャートである。
図10に示すように、制御部13はパルス光設定手段40及び受光出力測定手段41等として、温度計測部17から出力される信号をA/Dコンバータ26を介して受信し、光電センサ7の周囲温度を測定する(ステップS40)。なお、光電センサの周囲温度とは、投光部10や受光部11や制御部13の温度である。
次に、制御部13はパルス光設定手段40として、ステップS40で測定した温度と前回測定時の温度とを比較し(ステップS41)、それらの間に差(温度変化)があるか否かを判定する(ステップS42)。
この処理において、温度変化があったと判定されると(ステップS42:Yes)、制御部13はパルス光設定手段40として、換算テーブルをROM22から取り出し(ステップS43)、処理をステップS44に移行する。この換算テーブルは、光電センサ7の温度と投光部10からの投光パルス幅及びパルス光遅延時間とが関連づけられたテーブルであり、ROM22に予め格納されるものであるが、入力部9からの入力によってRAM23に格納しておくようにしてもよい。一方、温度変化がないと判定されると(ステップS42:No)、この第2感度調整処理を終了する。
ステップS44において、制御部13はパルス光設定手段40として、ステップS43でROM22から取り出した換算テーブルを参照してステップS40で測定した光電センサ7の温度に対応する投光パルス幅及び及びパルス光遅延時間を決定し、この投光パルス幅にRAM23に記憶したパルス幅Tx及び及びパルス光遅延時間を更新する。また、ステップS40で測定した光電センサ7の温度を前回測定時の温度としてRAM23に格納する。
このように、光電センサ7における第2感度調整処理は、光電センサ7の温度によって投光部10から投光されるパルス光のパルス幅Tx及び及びパルス光遅延時間を変更するようにしており、温度によって物体検出感度が変化する光電センサ7における感度調整を行うようにしているため、温度変化によって投光部10や受光部11を構成する部品の特性が変化した場合であっても、感度がずれることなく、適切な感度を保持することができる。
以上のように、本実施形態における給水制御装置Aは、光電センサ7において、投光するパルス光のパルス幅やパルス光遅延時間を変更することによって感度調整を行うようにしているため、投光部を動作させるために必要な電圧のレベルを抑えることができ、低電圧駆動で、かつ感度調整を容易に精度良く行うことができる。
なお、光電センサ7と入力部9が離れた場所に設置される場合、例えば給水制御装置Aにおいて光電センサ7がスパウト部、入力部9がカウンターの下に設置されるような場合がある。このような場合、実際に自動水栓を使用する位置に手や人体や白い紙等を配置しながら、同時に入力部9のスイッチを押すことが難しいので、スイッチの入力からセンサ感度調整動作を行うまでに所定の遅延時間を設けると有効である。