以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
本発明は、PDAなどの利用者端末とブティックなどのリテイル・ショップ内のサーバとをインターネットなどのネットワークを介して連携することにより、合成された試着画像をさまざまな場所で閲覧することができる、電子試着サービスを提供するものである。本発明に係る電子試着サービスによれば、試着画像の合成に必要な利用者の身体画像データに関するプライバシ保護、並びに、衣服画像データに関する著作権若しくはコンテンツ利用に関する権利の保護を図りながら、合成された試着画像をさまざまな場所で利用することができる。
A.ネットワーク構成
図1には、本発明に係る電子試着サービスを適用したコンピュータ・ネットワーク1の構成を模式的に示している。
このコンピュータ・ネットワーク1は、衣服の購入者若しくは電子試着サービスの利用者(以下、単に「ユーザ」とする)が所持する携帯試着装置10と、衣服並びに衣服画像データを提供するブティックなどの店舗(リテイル・ショップ)において敷設された局所ネットワークすなわちリテイルLAN20と、電子試着サービスにおいて利用される各種情報をデータベース管理するリモート・データ・サーバ32を擁するデータ・センタLAN30と、テーブル型ディスプレイ42(又は電子試着サービスを利用可能なその他の形態の対話型グラフィック端末)を装備した飲食店に敷設された飲食店LAN(又は、飲食店以外の店舗LAN)40と、電子試着サービスのユーザの家庭内に敷設された家庭内LAN50、並びに、これら局所ネットワーク同士を結ぶインターネットなどの広域ネットワーク60などで構成される。それぞれの局所ネットワーク20、30、40、50は、ゲートウェイ21、31、41、51を介してインターネット60に接続されている。
衣服並びに衣服画像データを提供するブティックなどの店舗(リテイル・ショップ)において敷設されたリテイルLAN20上には、ローカル・データベース・サーバ22や、画像処理サーバ23、アクセス・ポイント24、表示装置26などが接続されている。
ローカル・データベース・サーバ22は、顧客の情報や、取り扱う衣服やその他の商品の情報、売上その他の会計情報など、当該リテイル・ショップ内のローカル情報をデータベース管理するサーバである。
画像処理サーバ23は、指定された衣服の画像データと顧客の身体画像データを基に、顧客が衣服を試着したときの試着画像をコンピュータ・グラフィックス処理により画像合成して、顧客に提供する電子試着サービスを実行するサーバである。画像処理サーバ23は、顧客の複数のポーズでの試着画像を生成したり、試着画像の回転や拡大・縮小などの幾何学変換、さらには顧客が衣服を試着したまま動作するアニメーションの生成なども行なったりする。画像処理サーバ23は、携帯試着装置10などの顧客が試着画像を閲覧する表示装置に対して、これら試着画像をHTTPやFTPなどによりファイル転送する以外に、ストリーミング技術によりリアル配信することができる。
表示装置26は、ローカル・データベース・サーバ22上で保管されるデータや、画像処理サーバ23による処理結果をリテイル・ショップ内で確認するために使用される。電子試着サービスは、ユーザ自身が所持する携帯試着装置10上で試着画像を提供することを基調とするが、ユーザがリテイル・ショップ内にいるときには、携帯試着装置10より大画面の表示装置26上で電子試着画像を享受することができる。この際、ユーザは、衣服を着替える必要はない。
アクセスポイント24は、IEEE 802.11a/bなどの無線LAN、あるいはBluetoothなどの無線通信手段を装備し、リテイル・ショップを訪れた顧客が所持する携帯試着装置10をリテイルLAN20にワイヤレス接続するために使用される。例えば、アクセスポイント24は、常時ビーコンを発信して携帯試着装置10を検出する。そして、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などを用いて、検出された携帯試着装置10に対して認識可能なIPアドレスを動的に割り当てることによって、当該携帯試着装置10をリテイルLAN20に接続可能にする。リテイルLAN20及び携帯試着装置10がともにIPV6(Internet Protocol Version 6)に対応している場合には、IPアドレスを動的に割り当てる必要なく、携帯試着装置10がリテイルLAN20に接続可能である。
また、ブティック内に陳列された各衣服には識別情報(ID)が割り当てられている。この衣服IDは、例えば、1次元バーコードや2次元バーコード、サイバーコード、RF−IDなどの形式を用いて表示されている(後述)。各衣服のIDは、ローカル・データベース・サーバ22上で管理される。
なお、図1中には単一のリテイルLAN20しか描いていないが、実際には、全国各地にリテイル・ショップが散在しており、多数のリテイルLANがコンピュータ・ネットワーク1上に存在するものと理解されたい。
また、図1中では、ローカル・データベース・サーバ22及び画像処理用サーバ23は、異なるコンピュータのように示されているが、単一のコンピュータが両者のサーバ機能を装備していてもよいことは言うまでもない。また、ゲートウェイ21は、セキュリティ上の配慮から、ローカル・データベース・サーバ22又は画像処理用サーバ23とは独立のコンピュータとして構成されることが望ましい。勿論、1台のコンピュータが2以上のサーバ機能を兼ね備えるようにしていてもよい。
各リテイルLAN20上の衣服画像データや衣服ID、並びに、電子試着サービスを利用する各ユーザの身体画像データやその他のユーザ情報などは、コンピュータ・ネットワーク1上で統括的に管理するデータ・センタによって運営されている。このようなデータ・センタは、データ・センタLAN30を敷設し、このLAN30上に、衣服に関する情報やユーザに関する情報を一元的に管理するリモート・データ・サーバ32を配設している。リモート・データ・サーバ32は、インターネット60経由で、画像処理サーバ23/53や携帯試着装置10などからアクセスすることができる。
各ユーザの身体画像データはプライバシ情報であり、また、衣服の画像データは、著作権又はその他のコンテンツ利用に関する権利が付随している。したがって、リモート・データ・サーバ32は、ユーザ情報や衣服情報を、プライバシ保護や著作権/コンテンツ利用権などの観点から、適正に管理している。
カフェなどの飲食店(又は、飲食店以外の店舗)において敷設された飲食店LAN40上には、テーブル型ディスプレイ42などの携帯試着装置10よりも大画面を備えた対話型グラフィック端末が設置されている。テーブル型ディスプレイ42は、例えば有機EL素子などを利用して構成される。複数のユーザは、テーブルに着いた状態で、テーブル型ディスプレイ42を介して電子試着サービスを利用することができる。
なお、図1中には単一の飲食店LAN20しか描いていないが、実際には、全国各地に飲食店やその他の店舗が散在しており、多数の飲食店LANがコンピュータ・ネットワーク1上に存在するものと理解されたい。
電子試着サービスのユーザの家庭内において敷設された家庭内LAN50上には、ローカル・データベース・サーバ52や、画像処理サーバ53、アクセスポイント24などが接続されている。
ローカル・データベース・サーバ52は、家庭内に存在する各ユーザの身体画像データやその他のユーザ情報や、衣服画像データや電子試着サービスの対象となるその他の商品の画像データなどを、各家庭単位でデータベース管理するサーバである。衣服画像データやその他の商品画像データは、リテイル・ショップや創作者が持つ著作権又はその他のコンテンツ利用権が付随しているので、家庭内のローカル・データベース・サーバ52上には、ユーザが適正に使用権を取得した衣服画像データや商品画像データのみが格納される。
画像処理サーバ53は、指定された衣服の画像データと家庭内ユーザの身体画像データを基に、当該ユーザが衣服を試着したときの試着画像をコンピュータ・グラフィックス処理により画像合成して、顧客に提供する電子試着サービスを実行するサーバである。画像処理サーバ53は、ユーザの複数のポーズでの試着画像を生成したり、試着画像の回転や拡大・縮小などの幾何学変換、さらには顧客が衣服を試着したまま動作するアニメーションの生成なども行なったりする。
アクセスポイント54は、IEEE 802.11a/bなどの無線LAN、あるいはBluetoothなどの近距離無線通信手段を装備し、例えば、家庭内ユーザが所持する携帯試着装置10を家庭内LAN50にワイヤレス接続するために使用される。例えば、アクセスポイント54は、常時ビーコンを発信して携帯試着装置10を検出する。そして、DHCPなどを用いて、検出された携帯試着装置10に対して認識可能なIPアドレスを動的に割り当てることによって、当該携帯試着装置10を家庭内LAN50に接続可能にする。家庭内LAN50及び携帯試着装置10がともにIPV6に対応している場合には、IPアドレスを動的に割り当てる必要なく、携帯試着装置10が家庭内LAN50に接続可能である。
なお、図1中には単一の家庭内LAN50しか描いていないが、実際には、全国各地に無数の家庭が散在しており、多数の家庭内LANがコンピュータ・ネットワーク1上に存在するものと理解されたい。
また、図1中では、ローカル・データベース・サーバ52及び画像処理用サーバ53は、異なるコンピュータのように示されているが、単一のコンピュータが両者のサーバ機能を装備していてもよいことは言うまでもない。また、ゲートウェイ51は、セキュリティ上の配慮から、ローカル・データベース・サーバ52又は画像処理用サーバ53とは独立のコンピュータとして構成されることが望ましいが、勿論、これらのコンピュータが2以上のサーバ機能を兼ね備えていてもよい。
携帯試着装置10は、例えばPDAやその他の小型情報処理端末の形態で構成され、試着合成画像を処理するための演算機能と、試着合成画像を表示するディスプレイを備えている。
また、携帯試着装置10は、より好ましくは、IEEE 802.11a/bなどの無線LAN、あるいはBluetoothなどの近距離無線通信手段を装備している。このような場合、携帯試着装置10は、リテイルLAN20上に設置されたアクセス・ポイント24を経由してリテイルLAN20に接続したり、あるいは、家庭内LAN50上に設置されたアクセス・ポイント54を経由して家庭内LAN50に接続し、さらにそれぞれのLAN20又は50上のゲートウェイ21又は51を介してインターネットに接続したりすることができる。あるいは、携帯試着装置10は、PDC(Personal Digital Cellular)などの携帯電話機能を備え、携帯電話網並びに公衆電話網(いずれも図示しない)を介してインターネット60に接続するようにしてもよい。
B.衣服ID
本実施形態では、試着画像を合成するために使用される衣服データを管理するために、ブティック内に陳列されている各衣服に対して識別情報(ID)が割り当てられている。各衣服のIDは、例えば、1次元バーコードや、2次元バーコード、サイバーコード、RF−IDなどの形式を用いて表示される(前述)。また、携帯試着装置10は、ブティックなどの店舗内に展示されている衣服に添付された識別情報(ID)を読み取るID読み取り機能を装備している。
ここで、1次元バーコードは、JANやITFコードなどのようなバーコードが直線上に配設されて構成される(図2を参照のこと)。
また、2次元バーコードは、水平と垂直方向、つまり2次元方向に情報を持つバーコードの表示方式のことである。ID読み取り手段としての2次元バーコード・スキャナは、2次元バーコードを面として認識して読み取る必要がある。
2次元バーコードは、スタック式とマトリックス式に大別される(http://www.barcode.co.jp/barcode/2-toku-syu.html)。スタック式とは、1次元バーコードを縦に積み重ねて縦横で情報を表示したバーコードであり、1次元バーコードを縮小し、縦に複数段に積み重ねた構造である(図3を参照のこと)。シンボルは1次元バーコードと同様、細バーと太バー(または細スペースと太スペース)で表現され、読み取り方法は1次元と略同一である。また、マトリックス式とは、情報を白黒交互のます目(セル)で縦横モザイク状に表示したバーコードである(図4を参照のこと)。データ列を識別するために、各列にスタート記号、並びにストップ記号が付いており、どの列から読み取るかに関係なく、すべての列を読み取った段階でデータとして解読される。
サイバーコードは、2次元バーコードの一種であり、図5に示すように、サイバーコードの所在を表すための「ガイド・バー表示領域」と、2次元状のコード・パターンを表示する「コード・パターン表示領域」とで構成される。コード・パターン表示領域内は、n×mマトリックス(同図では7×7)に配列されたセルで構成され、各セルを白又は黒の2値表現することで識別情報を付与することができる。但し、コード・パターン表示領域の4隅のコーナー・セルは、識別情報としてではなく位置合わせ(registration)パターンとして、常に黒パターンとなっている。サイバーコードの認識手順は、撮像画像を2値化するステップと、2値画像中からガイド・バーの候補を発見するステップと、ガイド・バーの位置や方向に基づいてコーナー・セルを探索するステップと、ガイド・バー及びコーナー・セルを検出したことに応答して画像ビットマップ・パターンを復号化するステップとに大別される。さらに、エラービットの検査を行なうことで、撮像画像中に正しいサイバーコードが含まれていることを確認して、該コードの識別情報や位置情報を導出することができる。また、コーナー・セルの位置に基づいて、カメラやオブジェクトの傾きによって生じる歪みを算出して補償することができる。サイバーコードの詳細については、例えば、本出願人に既に譲渡されている特開2000−82108号公報(「2次元コ―ド認識処理方法、2次元コ―ド認識処理装置、および媒体」)にも開示されている。
RF−IDは、衣服側に取り付けられたRFタグと、RFタグからIDを読み取るRF−ID読み取り部との組み合わせによって利用される。図6には、RFタグからRF−IDを読み取る動作を説明するための機能ブロック図を示している。図示の例では、無線送受信のために電磁授受方式が採用されている。より好ましくは、ID情報を担持するRFタグは衣服側に添付され、RFタグからRF−IDを読み取る読み取り部は、携帯試着装置10側に装備される。
携帯試着装置10側のRF−ID読み取り部では、発振器により発振された特定周波数(図示の例では135kHz)の電波を増幅して、RF送受信アンテナを介して外部出力する。他方、携帯試着装置10をかざした結果として、RFタグは、RF送受信アンテナに近接するので、電波を受信することができる。そして、RFタグ内のコイル・アンテナは、受信電波と共振することによって、共振エネルギが貯えられる。変調器は、蓄積された共振エネルギを変換して得た電気エネルギによって駆動して、受信電波を変調処理(例えばAM変調)て、衣服に割り当てられたIDに相当する変調周波数を生成して、コイル・アンテナを介して出力する。RF送受信アンテナはRFタグからの変調周波数を持つ電波を受信して、デコーダはこの変調周波数に割り当てられた識別情報(RF−ID)をデコードする。
本発明を実現する上で、衣服IDを表現する形式は特に限定されず、1次元バーコード、2次元バーコード、サイバーコード、RF−IDのいずれの方式で衣服IDを示してもよい。あるいは、上記以外の方式を採用してもよい。
ちなみに、アパレル業界では、1993年以降、繊維業界近代化策としてQR(クイック・レスポンス)推進のため、1次元バーコードであって総合標準バーコードの1つであるJANコードによるソース・マーキングを行なってきていた。現在は、QRコード、PDFといった2次元バーコードを使ったシステムへの移行期にある。
C.電子試着サービス
本実施形態に係るコンピュータ・ネットワーク1上では、ユーザが所持する携帯試着装置10や飲食店内のテーブル型ディスプレイ42などとリテイル・ショップ内の画像処理用サーバ23とを連携させることにより、どこからでも電子試着サービスが利用可能となり、ユーザが特定の衣服を試着したように合成された試着画像を、場所を選ばずに閲覧することができる。
例えば、カフェのテーブルには有機ELディスプレイが配置され、ブティックで試着しきれなかった情報を、カフェで寛ぎながら、PDAよりも大画面で友人と語らいながら鑑賞することができる。このような会話が弾んでいくうちに、「これいいな」という服を買いに再びブティックに戻ることも可能である。あるいは、PDAやテーブル型ディスプレイ42を介してインターネット60に接続して、オンライン・ショッピングを享受することもできる。この際、元の衣服データを提供したリテイル・ショップの店番号が必ず反映されるようにしておけば、リテイル・ショップ側に対して電子試着サービスを活用したショッピング形式に参画することへのインセンティブを与えることができる。
本実施形態に係るコンピュータ・ネットワーク1上で提供される電子試着サービスは、以下の特徴を備えている。
(1)現場志向:
店頭で気に入った衣服から、その場で衣服のIDを取得することによって、関連する衣服データにアクセスすることができる。
(2)即時性:
例えば店内のネットワークにアクセスすることによって、データベースから衣服データを取得することができる。3次元の衣服画像を合成して、瞬時に試着画像を表示することができる
(3)リアリズム:
小画面であっても、顧客がある程度試着イメージをつかめる程度の試着画像を表示することができる。
(4)プライバシ保護:
顧客の身体画像などの個人データを、メモリ・スティックなどのデータ・アクセス保護機能のついた取外し可能なメディア(後述)に記録して保護する。
(5)体験の再現性:
顧客は、アクセスした衣服データを一定期間保存して、後で再度試着画像を確認することができる。
(6)娯楽性:
試着画像などのイメージをいろいろと変形することができる。例えば、Yシャツを選ぶと、それに合ったネクタイやスーツをともに組み合わせて表示する機能や、色や柄を顧客自身でデザインする機能などを提供して、顧客の楽しみを増大させる。
(7)リアルタイム性:
試着画像のリアルタイム中継に対応することができる。
(8)インタラクティビティ:
顧客主導で試着画像の表示形態を制御することができる。
(9)スーパーリアリティ:
現実では体験することのできない映像や音響を、あたかも現実であるかのようにみせる。
以下では、ユーザが衣服を試着した試着画像を合成し表示する電子試着サービスの全体的な流れについて説明する。
ユーザは、携帯試着装置10を所持して、衣服を陳列するブティックを訪ねる。携帯試着装置10は、ブティック内に展示されている衣服に添付されたID25の情報を読み取ると、リテイル内LAN20上に接続されたローカル・データベース・サーバ22にアクセスし、当該ID25を照合して、これに対応する衣服の画像データを読み出すことができる。ここで言う衣服の画像データは、静止画像に限定されるものでなく、アニメーションのような動画像も含むものである。さらに画像データは、2次元画像及び3次元画像データのいずれでもあってもよい。
対応する衣服の画像データがリテイルLAN20上のローカル・データベース・サーバ22に格納されていない場合には、ゲートウェイ・サーバ21を経由して、データ・センタLAN30に接続されたリモート・データベース・サーバ32にアクセスすることによって、当該ID25に対応する衣服の画像データをローカル・データベース・サーバ22にダウンロードするようにしてもよい。ここで、著作権やその他のコンテンツ利用に関する権利保護など転送データの安全上の配慮から、ゲートウェイ21とゲートウェイ31の間は、VPN(Virtual Private Network)を形成するようにされることが望ましい。
次に、ユーザ個人の体型データに基づき作成された、又は撮影済み全身画像データに基づいて作成された個人画像データ、及び、ID25に対応して検索された衣服の画像データを、画像処理用サーバ23に取り込む。そして、画像合成を行った結果を、携帯試着装置10上のディスプレイ、あるいはブティック内に設置された表示装置(PCモニタ、TV受像機、あるいは鏡型ディスプレイなどのモニタ・ディスプレイ)26に表示するようにされている。
試着画像の合成に用いられる個人の体型データ又は撮影済み全身画像データは、携帯試着装置10、リテイルLAN20上のローカル・データベース・サーバ22、データ・センタLAN30上のリモート・データベース・サーバ32、あるいは家庭内LAN50上のローカル・データベース・サーバ52のいずれかに格納されている。
個人の体型データや撮影済み全身画像データは、個人情報であり、無断で漏洩されると、ユーザのプライバシが侵害されるおそれがある。したがって、プライバシ保護の観点から、個人の体型データや撮影済み全身画像データは、暗号化してから格納しておくことが望ましい。また、これらの体型データや撮影済み全身画像データが家庭内LAN50上のローカル・データベース・サーバ52に格納されている場合には、携帯試着装置10とゲートウェイ51の間でVPNを形成して、ローカル・データベース・サーバ52から携帯試着装置10に対して当該データを一旦ダウンロードした上で、当該ダウンロードされた個人データを改めて携帯試着装置10から画像処理用サーバ23に送信するようにすることが望ましい。
さらに別の実施形態においては、個人データのプライバシ保護をさらに強固にする目的で、以下のように構成される。携帯試着装置10は、ブティック内に展示されている衣服に添付されたID25の情報を読み取った後、リテイルLAN20上に接続されたローカル・データベース・サーバ22にアクセスし、当該ID25に対応する衣服の画像データを読み出す。この読み出した衣服画像データは、携帯試着装置10に送信される。個人データは、プライバシが確保された携帯試着装置10又は家庭内ローカル・データベース・サーバ52のいずれかに格納されたままで、外部には供給されない。
より望ましくは、携帯試着装置10に装着して読み出すことが可能な半導体メモリあるいは固体記録媒体内に個人データを格納することによって、外部から個人データにアクセスする機会をできる限り少なくするようにする。さらに、プライバシの安全性を高めるためには、当該個人データに対してアクセス可能なユーザ、プロセス、タスク、あるいはアプリケーションなどを制限するようにすることが望ましい。
携帯試着装置10のユーザは、必要に応じて、合成した試着画像データや、これに対応する衣服データを、携帯試着装置10によって読み書き可能な記憶領域に記憶したまま保持することが許容されている。
ここで、衣服データは、著作権法上の1次著作物に相当し、また、当該衣服データとユーザの個人データ(体型データや撮影済み全身画像データ)とが合成された試着画像データは2次著作物に相当する。したがって、当該携帯試着装置10は、これらの著作物を保持又は利用する権利を管理する手段を備えていることが望ましい。
後に著作物管理の一例を詳述するが、著作物保護機構の付いた着脱可能記録媒体上にのみ、著作権に係る著作物を記録できるようにしておき、設定された著作物に関して与えられた利用条件に従って著作物の利用ができるように構成すればよい。着脱可能記録媒体の一例は、ソニー株式会社のMG−R対応メモリスティックのような半導体メモリである。図7には、MG−R対応メモリスティックの内部構造を示している。メモリスティックは、記録媒体としてフラッシュ・メモリを使用するカートリッジ式の装置である。携帯試着装置10本体側でメモリスティックに書き込みたいデータがある場合には、まず、システム・バス経由で、メモリ・スロットの送信コントローラに転送される。そして、送信コントローラは、メモリスティック側の受信コントローラに対して、書き込みデータをシリアル転送する。受信コントローラは、書き込みデータを受信処理した後、フラッシュ・メモリ内の所定アドレスに書き込むようになっている。
著作物に係るデータを記憶した上でそのデータの利用に関する条件が設定されていない場合には、試着画像を楽しむ携帯試着装置10上に著作物が残らないような配信方式を適用すればよい。例えば、携帯試着装置10又は家庭内ローカル・データベース・サーバ52から画像処理用サーバ23に個人データを送信した上で、ID25に対応する衣服データとの画像合成を行ない、MPEG(Moving Picture Experts Group)2又はMPEG4あるいはMPEG7などの画像圧縮方式を利用してデータ圧縮をかけた後に、これを携帯試着装置10に対してストリーム配信し、携帯試着装置10上のMPEGプレイヤを利用して視聴することも可能である。ストリーム配信によれば、MPEGプレイヤで再生した後はデータが残らないので、その後に著作物が無断で使用される心配がない。
また、別の実施形態として、ユーザが著作物の利用に関する特定の条件を満たさない場合には、読み込んだデータを再利用可能にしない手段を備えた著作権保護機能付きソフトウェアを携帯試着装置10上にインストールしておくようにすればよい。すなわち、この著作権保護機能付きソフトウェアの作用によって、衣服データをブティック内のローカル・データベース・サーバ22などから携帯試着装置10に送信し、これと個人画像データ(体型データや撮影済み全身画像データ)を携帯試着装置10において合成することによって、合成試着画像を再利用不能な状態でユーザに視聴させることも可能である。
MG−R対応メモリスティックのような著作物保護機能付き着脱可能記録媒体上に衣服データ又は合成試着画像データを記録した場合には、飲食店内に設置された記録媒体読み取り装置及びディスプレイ42(例えば、テーブル型ディスプレイ、壁面ディスプレイ、電子ペーパーなど)を利用して、合成試着画像を見ることができる。ここで、記録媒体読み取り装置及びディスプレイ42(少なくともCPU(Central Processing Unit)、グラフィック用サーバ並びに記憶装置を内蔵する)は、カフェ・テーブルの形状に一体化して構成されていることが望ましい。
さらに、必要があれば、テーブル型ディスプレイ42を操作するユーザは、飲食店LAN40を介して、当該衣服データの管理権限を持つブティック内のシステム、あるいは、インターネット60上の関連インフォメーション・プロバイダ(図示しない)を介して、関連データの検索あるいはネット販売システム(図示しない)への接続などを行うことが可能である。また、飲食店LAN40及びインターネット60を介してユーザ自身の家庭内LAN50にアクセスできることは言うまでもない。
D.携帯試着装置の構成
図8には、本実施形態に係るコンピュータ・ネットワーク1に適用可能な携帯試着装置10の内部ハードウェア構成の一例を図解している。同図に示す携帯試着装置10は、周辺ディスプレイ・プロセッサ内蔵ラスター・ディスプレイ・システム・アーキテクチャとして構成される。
システム10のメイン・コントローラであるCPU81は、オペレーティング・システム(OS)の制御下で、各種のアプリケーションを実行するようになっている。例えば、本実施形態に係る電子試着サービスにおけるクライアント処理用のアプリケーションが、CPU81により実行されている。
図示の通り、CPU81は、システム・バス89によって他の機器類(後述)と相互接続されている。システム・バス89上の各機器にはそれぞれ固有のメモリ・アドレス又はI/Oアドレスが付与されており、CPU81はこれらアドレスによってシステム・バス98上の各機器へのアクセスが可能となっている。
システム・メモリ82は、CPU81上で実行するプログラム(アプリケーションプログラム、グラフィックス・パッケージ、及び、オペレーティング・システム)をロードしたり、その実行上の作業データを保持したりするために使用される。ここで、システム・メモリ82は、ROM(Read Only Memory)、RAM、あるいはこれらの組み合わせによって構成される。
ディスプレイ・プロセッサ83は、スキャン変換やラスター処理などのグラフィックス機能を、CPU81とは独立して実行する専用プロセッサである。
ディスプレイ・プロセッサ・メモリ84は、ディスプレイ・プロセッサ83上においてスキャン変換やラスター処理を実行するためのプログラム・コードやその作業データを保持するために使用される。
フレーム・バッファ85は、ディスプレイ・プロセッサ83上でのスキャン変換とラスター処理によって作成された表示可能な画像データをフレーム毎に一時的に保持するための、システム・メモリ82とは独立した画像リフレッシュ用のメモリである。
ビデオ・コントローラ86は、モニタ・ディスプレイ87上での表示駆動を制御して、フレーム・バッファ85上に一時保持されている画像データをモニタ・ディスプレイ87に表示する。モニタ・ディスプレイ87は、例えば、液晶表示ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
周辺装置インターフェース88は、各種の周辺装置をシステム・バス89上に接続するためのインターフェース装置である。ここで言う周辺装置には、キーボード88Aやマウス88Bあるいはそれ以外の形態のユーザ入力装置や、アクセス・ポイント24/54との間で無線データの交換を行うための無線通信装置88C、ハード・ディスク・ドライブ88Dなどの外部記憶装置類、メモリスティックなどの可搬型半導体メモリ・デバイスを着脱可能に装着するメモリ・スロット88Eなどが含まれる。
また、図9には、本実施形態に係るコンピュータ・ネットワーク1に適用可能な携帯試着装置10の内部ハードウェア構成についての他の例を図解している。同図に示す携帯試着装置10は、ラスター・ディスプレイ・システム・アーキテクチャとして構成される。
システム10のメイン・コントローラであるCPU91は、OSの制御下で、各種のアプリケーションを実行するようになっている。例えば、本実施形態に係る電子試着サービスにおけるクライアント処理用のアプリケーションがCPU91により実行されている。
図示の通り、CPU91は、システム・バス98によって他の機器類(後述)と相互接続されている。システム・バス98上の各機器にはそれぞれ固有のメモリ・アドレス又はI/Oアドレスが付与されており、CPU91はこれらアドレスによってシステム・バス98上の各機器へのアクセスが可能となっている。
システム・メモリ92は、CPU91上で実行するプログラム(アプリケーションプログラム、グラフィックス・パッケージ、及び、オペレーティング・システム)をロードしたり、その実行上の作業データを保持したりするために使用される。ここで、システム・メモリ92は、ROM、RAM、あるいはこれらの組み合わせによって構成される。
ディスプレイ・プロセッサ94は、スキャン変換やラスター処理などのグラフィックス機能を、CPU91とは独立して実行する専用プロセッサである。
ビデオ・コントローラ95は、モニタ・ディスプレイ96上での表示駆動を制御して、フレーム・バッファ93上に一時保持されている画像データをモニタ・ディスプレイ96に表示する。モニタ・ディスプレイ96は、例えば、LCDやCRTディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
図9に示す構成例では、シングル・アドレス・スペース方式を採用することにより、スキャン変換とラスター処理によって作成された画像データを保持するためのフレーム・バッファ93を、システム・メモリ92の一部としている。このため、CPU91、ビデオ・コントローラ95、並びにディスプレイ・プロセッサ94のすべてがシステム・メモリ92にアクセスすることができる。
また、図9に示す構成例においては、ビデオ・コントローラ95は、デュアルポートになっているので、システム・バス98を拘束せずにフレーム・バッファ93にアクセスすることができる。システム・バス98を拘束しないようにする別の可能な方法としては、例えば、命令又はデータ・キャッシュ・メモリを持つようにCPU91を構成することである。また、ディスプレイ・プロセッサ94は、アルゴリズムやストレージ処理用の専用メモリをその内蔵するように構成してもよい。
周辺装置インターフェース97は、各種の周辺装置をシステム・バス89上に接続するためのインターフェース装置である。ここで言う周辺装置には、キーボード97Aやマウス97Bあるいはそれ以外の形態のユーザ入力装置や、アクセス・ポイント24/54との間で無線データの交換を行なうための無線通信装置97C、ハード・ディスク・ドライブ97Dなどの外部記憶装置類、メモリ・スティックなどの可搬型半導体メモリ・デバイスを着脱可能に装着するメモリ・スロット97Eなどが含まれる。
また、図10には、本実施形態に係るコンピュータ・ネットワーク1に適用可能な携帯試着装置10の内部ハードウェア構成についてのさらに他の例を図解している。同図に示す携帯試着装置10は、ベクター(ランダムスキャン)・ディスプレイ・システム・アーキテクチャとして構成される。
システム10のメイン・コントローラであるCPU101は、OSの制御下で、各種のアプリケーションを実行するようになっている。例えば、本実施形態に係る電子試着サービスにおけるクライアント処理用のアプリケーションがCPU101により実行される。
図示の通り、CPU101は、システム・バス106によって他の機器類(後述)と相互接続されている。システム・バス106上の各機器にはそれぞれ固有のメモリ・アドレス又はI/Oアドレスが付与されており、CPU101はこれらアドレスによってシステム・バス106上の各機器にアクセスすることが可能となっている。
システム・メモリ102は、CPU101上で実行するプログラム(アプリケーションプログラム、グラフィックス・パッケージ、及び、オペレーティング・システム)をロードしたり、その実行上の作業データを保持したりするために使用される。ここで、システム・メモリ102は、ROM、RAM、あるいはこれらの組み合わせによって構成される。
ディスプレイ・プロセッサ103は、スキャン変換やラスター処理などのグラフィックス機能を、CPU101とは独立して実行する専用プロセッサである。
図10に示す例では、ディスプレイ・プロセッサ103は、「ディスプレイ処理部(DPU:Display Processing Unit)」又は「グラフィックス・コントローラ」などと呼ばれる。ディスプレイ・プロセッサ103は、命令セットと命令アドレスレジスタとを備え、通常のコンピュータと同様に、命令読み出し(デコード)、実行サイクルといった典型的な処理を行う。この種のディスプレイ・プロセッサ103は、ピクスマップ(Pixmap)を持たないので、フリッカのないディスプレイ出力を生成できるようにするために、毎秒30〜60回、プログラムを実行することが望ましい。ディスプレイ・プロセッサ103で実行されるプログラムは、通常、CPU101とディスプレイ・プロセッサ103で共有されるシステム・メモリ102中に置かれている。ディスプレイ・プロセッサ103は、専用メモリを内蔵してプログラムを格納するように構成してもよい。
なお、ディスプレイ・プロセッサは、一般的に、レンダリング計算を高速化するために、幾何サブシステム・ブロックとラスター処理ブロックとに分け、パイプライン処理ができるように構成されている。
図11には、携帯試着装置10の周辺装置インターフェース88、97、あるいは105に接続される周辺機器を示している。本発明を好適に実現するために最低限度必要とされる周辺装置は、無線通信部110、ID検出部111、並びに、着脱可能記憶媒体接続部112である。但し、図8〜図10を参照しながら既に説明したように、携帯試着装置10は、例えばユーザ入力装置や外部記憶装置などを周辺装置として装備していてもよい。
無線通信部110は、例えば、IEEE 802.11a/b、ブルートゥース(Bluetooth)通信、あるいはUWB(Ultra Wide Band)といったFCC(Federal Communication Commission:米国連邦通信委員会)によって定められた無線規格に従った無線通信方式に準拠するハードウェア構成を備えている。
ID検出部111は、1次元バーコード(図2を参照のこと)又は2次元バーコード(図3並びに図4を参照のこと)、サイバーコード(図5を参照のこと)、RF−IDなどの形式で表現された衣服IDを読み取るためのバーコード・リーダ、画像認識装置、RF−ID読み取り装置などのハードウェア構成を備えている。あるいは動画的に時系列的に2次元又は3次元バーコードを変化させるようなバーコード・リーダなどのハードウェアを備えていてもよい。
着脱可能記憶媒体接続部112は、フラッシュ・メモリ(例えば、ソニー株式会社が開発・製造するメモリスティック(図7を参照のこと)や、SanDisk、松下、及び東芝が開発したSDメモリカードなど)のような着脱可能記憶媒体113を着脱自在に装着するとともに、メモリに対して読み書きアクセスすることができるハードウェアを備えている。
また、着脱可能記憶媒体接続部112は、著作権保護機能を装備した着脱可能記憶媒体113(例えば、ソニー株式会社のMG(Magic Gate)メモリ・スティック(図7を参照のこと)や、SDメモリカードなど)に対応して、暗号部、暗号解読部を含む場合もある。例えば、SDメモリカードの場合、音楽配信システムで要求されるセキュリティ・レベルであるSDMI(Secure Digital Music Initiative)準拠であり、著作権保護機構には、IBM、Intel、松下、東芝の4社(4CエンティティLLC)が提唱するCPRM(Content Protection for RecordableMedia)を採用している。この場合、着脱可能記憶媒体接続部112は、CPRM暗号部(図示しない)を含むことになる。
MGメモリスティックも、SDMIの規格に準拠した著作権保護機能を持っている。携帯試着装置10をMGメモリスティック113に対応させる場合には、MGメモリスティック接続部112は、著作権保護対応であることの認証と暗号化を行なうための専用ハードウェア回路を備えるとともに、通常、システム・メモリ82、92又は102は個別の「キー」(機器ID1)を持っている。この機器IDは、上記MGメモリスティック接続部112内の専用ハードウェア回路中の専用メモリに記憶されていてもよい。また、MGメモリスティック113内部のメモリにも、メモリスティックのキー(機器ID2)が格納されている。CPU81、91又は101が、MGメモリスティック113にアクセス(データを読み書き)する際には、上記認証用ハードウェアが、システム・メモリ82、92又は102から機器ID1を読み出し、さらに、MGメモリスティック113から機器ID2を読み出すことによって、携帯試着装置10とMGメモリスティック113がお互いに違法な接続ではないことを認証する。つまり、この場合には、着脱可能記憶媒体接続部112は、認証と暗号化を行なう専用ハードウェア回路を含んでおり、着脱可能記憶媒体113を着脱可能記憶媒体接続部112に装着した際に認証を行なうように構成されている。
なお、図11に明記されている3つのハードウェア・ブロックのそれぞれに対応するデバイス・ドライバ並びにサービス用ソフトウェアなどのプログラムは、通常、システム・メモリ82、92又は102に格納されている。CPU81、91又は101は、これらのプログラムを利用することによって、それぞれのハードウェア・ブロックを利用したサービスを行なうように構成されていることは言うまでもない。
また、図8〜図10、並びに図11は、本発明において本質的なハードウェア構成要素のみを記載しているに過ぎない。すなわち、システムを完全に動作させるためには、コンピュータ・ハードウェアに関する通常の知識を持つ者が想到し得るような各種の回路コンポーネントを補う必要があるということは言うまでもない。
また、図8〜図10は、携帯試着装置10のみならず画像処理用サーバ23又は53、あるいは、テーブル型ディスプレイ42にも適用可能である。また、画像処理用サーバ23又は53の場合には、周辺装置インターフェースに接続される装置の1つとして大容量(数GB以上の)ハード・ディスク・ドライブ(HDD)を備えるのが一般的である。
E.携帯試着装置上での処理
次に、図12には、ブティックなど試着対象物(衣服の他、めがね、かつら、アクセサリーなど、身体に装着できるもの)の画像データと身体画像データとの画像合成処理に係る携帯試着装置10上での動作をフローチャートの形式で示している。該動作は、実際には、CPU81、91、又は101が所定のサービス・アプリケーションを実行するという形式で実現される。以下、図12に示すフローチャートを参照しながら、衣服画像データと身体画像データとの画像合成処理に係る携帯試着装置10上でのオペレーションに関して詳細を説明する。
まず、携帯試着装置10は、ステップS10において、試着対象となる衣服のIDが読み込まれたかどうかのチェックを行う。
本実施形態では、携帯試着装置10にはID読み取り手段が装備されている(図11を参照のこと)。例えば、IDがバーコードであれば、ID読み取り手段は、バーコード・リーダであり、RF−IDのようなアクティブ・メディアによってIDが発信されているのであれば、RF−IDリーダとなる(図6を参照のこと)。また、バーコードは、1次元バーコード(図2を参照のこと)又は2次元バーコード(図3又は図4を参照のこと)、サイバーコード(図5を参照のこと)、あるいは動画的に時系列的に1次元又は2次元バーコードを変化させるようなものであってもよい。
次いで、携帯試着装置10は、ステップS11において、当該IDで示される商品に関する画像データ(2次元データ又は3次元データ)が、ユーザの個人端末の記憶手段に記憶して2次的に利用することを許容されているかどうか、すなわち当該画像データを著作物とみなした場合に、著作物利用権があるかどうかをチェックする。
このような著作物利用権チェックは、例えば、著作権保護機構の付いた半導体メモリに対して行なわれ、当該半導体メモリにおいて、当該ID商品に関する著作物データを書き込み、読み出しができるための権利情報が記録されているかどうかを検査するような形式で行なうことができる。
ステップS11において、携帯試着装置10が著作物利用権を保有していると判断された場合には、ステップS12に進み、当該IDに対応する画像データあるいは、当該画像データを利用して合成された合成画像データを、携帯試着装置10にダウンロードして、著作物保護機構付きの記憶手段(例えばフラッシュメモリ)に保存して利用するための処理を行う。
ステップS12では、まず、プライバシ保護モードかどうかのチェックが行なわれる。
ここで言う「プライバシ保護モード」とは、個人データを、他のコンピュータが読み取りできるようにしてもよいかどうかを設定するものである。すなわち、プライバシ保護モードである場合には、他のコンピュータが読み取ることを禁止し、一方、プライバシ保護モードでない場合には、他のコンピュータが読み取ることを許可する。
ステップS12において、プライバシ保護モードであると判断された場合には、ステップS15に進み、試着画像を合成する画像合成処理を携帯試着装置10において行なうための処理手続を行なう。一方、プライバシ保護モードでないと判断された場合には、ステップS13に進んで、携帯試着装置10以外のコンピュータ(例えば、画像処理用サーバ23のような画像処理機能が強化された高価な外部装置)において試着画像を合成する画像合成処理を行なうための処理手続を行なう。
ここでは、まずプライバシ保護モードでないと判断された場合について説明する。この場合、個人データが、画像合成処理を行なう外部コンピュータによって読み取られることを許可しており、処理はステップS13に進む。より具体的には、個人の身体データ、あるいは撮像済み個人身体映像データなどを、例えば、画像処理用サーバ23に転送した上で、画像処理用サーバ23において、当該身体データに基づき生成された身体画像データあるいは当該撮像済み個人身体映像データと、ステップS10で検出されたIDに対応する衣服画像データを合成するようにされている。
そこで、ステップS13では、携帯試着装置10は、画像処理用サーバ23に対して、画像合成処理を依頼する。ここの処理については、画像処理用サーバ23における処理として、後で図17を参照しながら説明する。
次いで、ステップS14において、画像処理用サーバ23からダウンロードされる合成画像を受信するまでの間、待ち状態に入る。ステップS14において合成画像を受信した場合には、ステップS18に進み、受信した合成試着画像を、携帯試着装置10が備えるモニタ・ディスプレイ(液晶ディスプレイ、電子ペーパー、有機ELモニタなど)に表示して、一連の合成試着が画像表示処理を終える。ここで、合成された試着画像は、2次元画像であっても、3次元画像であっても、あるいはアニメーション形式であってもよい。
再びステップS12に注目して、プライバシ保護モードであると判断されて、ステップS15に進んだ場合について説明する。このような場合、個人データを、外部コンピュータに読み取らせることはできない。そこで、携帯試着装置10は、身体画像データのような個人データを外部に出すことなく、ユーザの試着画像を合成する画像合成処理を、画像処理サーバ23ではなく携帯試着装置10内部において行なうことにする。
試着画像合成を行なうためには、ステップS10で検出されたIDに対応する衣服画像データをダウンロードする必要がある。このために、携帯試着装置10は、ステップS15において、ローカル・データベース・サーバ22に対して所望の衣服から検出された衣服IDを送信して、当該IDに対応する衣服画像データを携帯試着装置10に対して送信するよう依頼する。あるいは、家庭内LAN50上のローカル・データベース・サーバ52に蓄積されている衣服画像データを利用することもできる。
次いで、ステップS16では、衣服画像データを受信するための待ち状態に入る。衣服画像データを受信した場合には、ステップS17に進んで、別途定義された試着画像合成処理を行なうことになる。この試着画像合成処理については、後に図16を参照しながら詳解する。家庭内LAN20上で受信された衣服画像データは、正当な使用権を得ている場合には、ローカル・データベース・サーバ52にも保存しておき、後日、改めて電子試着するときに再度利用するようにしてもよい。
最後に、試着画像合成処理が終了した場合には、先程と同様に、ステップS18に進んで、ユーザが衣服を試着したように合成された試着画像を表示する。ここで、合成された試着画像は、2次元画像であっても、3次元画像であっても、あるいはアニメーション形式であってもよい。
さて、ステップS11において、著作物利用権がないと判断された場合には、判断ブロックS11の分岐Noから(1)に進み、図13に示すフローチャートに従って処理手続が行なわれる。
まずステップS20において「著作物利用権獲得処理」が行なわれる。本発明を実現する上で、この著作物利用権獲得処理の形態は特に限定されない。例えば、電子商取引などを利用して、ネットワーク経由で、ユーザが所持する携帯試着装置10とブティックとの間で著作物の利用権を取得するための課金手続が行なわれる。
続いて、ステップS21において、ユーザすなわちその携帯試着装置10が著作物利用権を獲得できたか否かを判別する。著作物利用権を獲得することができたと判断された場合には、分岐Yesから(2)に進み、図12に示したフローチャートのステップS12に復帰する。
他方、ステップS21において、著作物利用権が獲得されなかったと判断された場合には、ステップS22に進む。ステップS22以下では、ユーザが指定した衣服のIDに対応する画像データを、携帯試着装置10において2次利用できるような形でダウンロードすることはできないので、合成された画像データをストリーム配信によって見ることができるような処理を行なうことになる。
まず、ステップS22において、図12に示したステップS12の場合と同様に、プライバシ保護モードのチェックを行う。
続くステップS23の処理では、図12に示したステップS13の場合と同様に、画像処理用サーバ23に対して、画像処理を依頼する。この際、「著作物利用権がない」ことを、画像処理用サーバ23に通知することにより、画像処理用サーバ23は、画像合成終了後、ストリーム配信によって合成試着画像を送信するようにする。あるいは、受信側では再利用できない転送方式で合成試着画像を送信する。ここでの処理は、後で図17を参照しながら説明する。
最後に、ステップS24において、携帯試着装置10は、ストリーム配信に対応したソフトウェア・プログラムを利用によって、受信した合成試着画像をリアル表示して、一連の合成試着画像表示作業を終了する。ここで、合成された試着画像は、2次元画像であっても、3次元画像であっても、あるいはアニメーション形式であってもよい。
続いて、携帯試着装置10が、当該試着装置に装着して読み書き可能な着脱可能記憶媒体(半導体メモリー、光ディスクなど)に書き込まれた衣服画像データを利用できる場合において合成画像を表示するための処理手順について説明を行なう。この場合、ユーザの身体画像データなどの個人データも、携帯試着装置10側の記憶手段が保持していることを想定している。したがって、携帯試着装置10は、当該携帯試着装置10以外のコンピュータ(例えば、画像合成サーバ23など)に依存することなく、単独ですべての試着画像の合成処理を行なうことができる。
図14には、読み書き可能な着脱可能記憶媒体に下記込まれた衣服画像データを利用して合成画像を表示するための処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順は、例えば、携帯試着装置10のCPU81/91/101が所定のサービス・アプリケーションを実行するという形式で実現される。以下、図示のフローチャートを参照しながら説明する。
携帯試着装置10は、ステップS30において、試着対象としている衣服のIDが読み込まれたかどうかのチェックを行なう。携帯試着装置10には試着対象物のID読み取り手段が装備されている(前述)。例えば、IDがバーコードであれば、ID読み取り手段はバーコード・リーダである。また、RF−IDのようにアクティブ・メディアによってIDが発信されているのであれば、RF−IDリーダとなる(図6を参照のこと)。また、バーコードは、1次元バーコード(図2を参照のこと)、又は2次元バーコード(図3並びに図4を参照のこと)、あるいは動画的に時系列的に2次元バーコード又は3次元バーコードを変化させるようなものであってもよい。
次いで、携帯試着装置10は、ステップS31において、当該IDで示される商品に関する画像データ(2次元データ又は3次元データ)が、個人端末の記憶手段に記憶して2次的に利用することを許容されているかどうか、すなわち当該画像データを著作物とみなした場合に、著作物利用権があるかどうかをチェックする。
この著作物利用権チェックは、例えば、MG−R対応メモリスティックのような著作権保護機構の付いた半導体メモリに対して行なわれる。すなわち、当該半導体メモリにおいて、当該ID商品に関する著作物データを書き込み、読み出しができるための権利情報が記録されているかどうかを検査するような形式で行なわれる。この場合、例えばIDが、図2〜図4に示したような形式になっていれば、著作物利用権チェックは、図15のフローチャートに示すような手続(後述)に従って段階的な検査が行なわれる。
ステップS31において、著作物利用権があると判断された場合には、ステップS32に進み、携帯試着装置10に装着された着脱可能記録媒体中のデータベースに対して、当該IDに対応する画像データの検索を行なう。
ステップS33において、検出されたIDに対応する衣服画像データが検索されたと判断した場合には、ステップS34に進む。一方、当該衣服画像データが検索できなかった場合には、ここで本処理ルーチン全体を終了する。もちろん、ここで、図12に示したステップS11に進み、処理を続けるようにソフトウェア・プログラムによってシステムを構成してもよい。
次いで、ステップS34では、試着画像合成処理を行なうことになる。この試着画像合成処理は、図16にフローチャートの形式で示した処理手続に従って処理されるが、この点については後述に譲る。
最後に、試着画像合成処理が終了した場合には、ステップS35に進んで、合成された試着画像を携帯試着装置10のモニタ・ディスプレイ上に表示する。ここで、合成された試着画像は、2次元画像であっても、3次元画像であっても、あるいはアニメーション形式であってもよい。
F.著作物利用権チェック処理
続いて、著作物利用権のチェック処理についての説明を行う。携帯試着装置10によって読み取られたIDが、例えば、図2に示したようなJAN形式(国コード、商品メーカ・コード、商品アイテム・コード、チェックディジット)の1次元バーコードになっているとする。
ここで、JANコードは、13桁の数値で表現され、以下のように定義されている。すなわち、
(1)国コード2桁:日本は「49」及び「45」。
(2)商品メーカ・コード5桁:JANコードの表示(ソース・マーキング)を行う企業の番号で、全国の商工会議所、商工会を通じて流通コード・センターに申請し、付番される。
(3)商品アイテム・コード5桁:商品の価格、容量、サイズ、包装形態などの違いにより、メーカが設定し管理するコード。アパレルの場合も、色、サイズ毎に設定される。1メーカ・コードにつき10万アイテムまで設定できる。
(4)チェックディジット1桁:読み誤りを防止するためのコードであり、その計算式はJIS規格で定められている。
図15には、携帯試着装置10が衣服データに関する著作物利用権を保持しているか否かをチェックするための処理手続をフローチャートの形式で示している。この処理手続は、例えば、携帯試着装置10のCPU81/91/101が所定のサービス・アプリケーションを実行するという形式で実現される。以下、同図に示すフローチャートを参照しながら、著作物利用権のチェック処理について説明する。
まず、ステップS41では、携帯試着装置10の機器IDの読み出しを行う。機器IDは、例えば、システム・メモリ82/92/102内に恒久的に格納されている。
次いで、ステップS42では、携帯試着装置10のユーザIDの読み出しを行なう。ユーザIDは、例えば、システム・メモリ82/92/102内に記録されている。あるいは、ユーザが非接触ICカードを備えているような場合には、ICカード・リーダ(図示しない)経由でユーザIDを読み出すことができる。
そして、ステップS43では、先行する各ステップにおいて取得された機器IDとユーザIDを組み合わせて、所定の個人認証鍵生成プログラムによって個人認証鍵を生成する。
さらにステップS44では、着脱可能記憶媒体接続部112に挿入されている着脱可能記録媒体から著作物利用権情報を読み出す。
次いで、ステップS45では、ステップS43で生成された個人認証鍵、ステップS10又はS30で所望の衣服から取得された衣服ID、並びに、ステップS44で読み出された著作物利用権情報のそれぞれを、著作権チェック・プログラムに渡す。
この著作権チェック・プログラムは、当該衣服IDに対応する画像データに関する著作物利用権のチェックを行なう。より具体的には、例えば衣服IDが上記JANコードで表現されている場合において、衣服IDから最低限度商品メーカ・コードを読み出し、このメーカ・コードで表現されるメーカが、当該個人認証鍵で表現される試着者すなわちユーザに対して、当該衣服IDに対応する衣服画像データの利用(著作物の1次利用、及び/又は、2次利用)を許可しているかどうかを、上記著作物利用権情報を参照して判断する。
G.試着画像合成処理(オフライン)
ユーザが希望する衣服を試着した試着画像を合成する処理は、コンピュータ・ネットワーク1で、ブティック内の画像処理サーバ23とユーザの携帯試着装置10との協働的作業によって行うこともできるが、ユーザの身体画像データのような個人データを外部コンピュータで使用することを許可しないプライバシ保護モード下では、携帯試着装置10又は家庭内画像処理用サーバ53上で、ブティック内の画像処理サーバ23とはオフラインされた状態で、試着画像の合成処理が行なわれる。
図16には、携帯試着装置10又は家庭内画像処理用サーバ53上で、ブティック内の画像処理サーバ23とはオフラインされた状態で、試着画像を合成するための処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順は、例えば、CPU81/91/101が所定のサービス・アプリケーションを実行するという形態で実現される。以下、このフローチャートを参照しながら、オフライン状態での試着画像合成処理について説明する。
まず、ステップS70において、携帯試着装置10の着脱可能記憶媒体接続部112に挿入されている着脱可能記憶媒体から、衣服の試着者すなわちユーザ個人の身体画像データを読み込む。
次いで、ステップS71において、既に携帯試着装置10の記憶領域(ハード・ディスク、メモリスティック、RAM、あるいは着脱可能記憶媒体のいずれか)に読み込まれている衣服画像データを、上記身体画像データに添付されている身体プロファイル・データ(身長、BWH、足の長さ、肩幅等、試着に必要なサイズデータ)及び画像における身体の向きなどの情報に基づいて、サイズ変更及び向きの調整などを行なう。
最後に、ステップS72において、身体画像データに対して、衣服画像データを合成して、試着イメージを構成する。
H.試着画像合成処理(オンライン)
ユーザが希望する衣服を試着した試着画像を合成する処理を、コンピュータ・ネットワーク1で、ブティック内の画像処理サーバ23とユーザの携帯試着装置10との協働的作業によって行なうことができることは既に述べた。例えば、ユーザの身体画像データなどの個人データがプライバシ保護モード外に置かれている場合には、この種の個人データを、画像処理機能が強化された外部コンピュータに渡すことができるので、オンライン処理が可能となる。ここでは、ブティック内の画像処理サーバ23によるオンラインの試着画像の合成処理について説明する。
図17には、ブティック内の画像処理サーバ23によるオフラインの試着画像合成処理の手順をフローチャートの形式で示している。以下、このフローチャートを参照しながら、オフライン状態で行なわれる試着画像合成処理について説明する。
まず、図12に示したステップS13、又は図13に示したステップS23において、携帯試着装置10が、ブティック内の画像処理用サーバ23に対して、画像合成処理を依頼する。この際に、著作物利用権の有無情報に加え、個人身体画像データ送信を行なう。
そして、ステップS80では、画像処理サーバ23は、既に画像処理サーバ23上の記憶領域(ハード・ディスク、メモリディスク、RAM、あるいは着脱可能記憶媒体(CD、DVD、テープなど)のいずれか)に読み込まれている衣服画像データを、上記携帯試着装置10から提供された身体画像データに添付されている身体プロファイル・データ(身長、BWH、足の長さ、肩幅等、試着に必要なサイズデータ)及び画像における身体の向きなどの情報に基づいて、サイズ変更及び向きの調整などを行なう。勿論、ステップS80において、インタラクティブに、携帯試着装置10に依頼することにより、身体画像データ、身体プロファイル・データを取得するようにしてもよい。
次いで、ステップS81では、身体画像データに対して衣服画像データを合成することによって、ユーザが所望の衣服を試着した様子を表した試着イメージを構成する。
この後、画像処理サーバ23上では、ステップS82において携帯試着装置10から提供された情報に基づいて、著作物利用権の有無のチェックを行う。同様に、携帯試着装置10では、ステップS83において、著作物利用権の有無のチェックを行なう。勿論、画像処理サーバ23は、携帯試着装置10に対する著作物利用権の有無の問い合わせをステップS82で行なってもよい。
ここで、ユーザすなわち携帯試着装置10に著作物利用権があると判断された場合には、ステップS84に進んで、試着画像データを送信する。そして、ステップS85において、携帯試着装置10が、この試着画像データをダウンロードして受信することになる。
一方、画像処理サーバ23は、ステップS82において、携帯試着装置10側には衣服画像データに関する著作物利用権がないと判断された場合には、ステップS86に進んで、ストリーム配信用のソフトウェア・プログラムを利用して、携帯試着装置10に対してストリーム配信を開始する。ストリーム配信処理には、合成試着画像のエンコーディング、並びに、このエンコード・データの送信処理が含まれる。
また、携帯試着装置10側では、ステップS83において、自分自身には衣服画像データに関する著作物利用権がないと判断された場合には、ステップS87に進んで、ストリーム受信のためのソフトウェア・プログラムを起動して、ストリーム配信されるデータを受信待ち状態となる。そして、画像処理用サーバ23から受信するストリーム配信データを、受信及びデコーディング処理する。
ストリーム配信は、ユーザがファイルをダウンロードし終えてからこれを再生するのではなく、ダウンロードしながら再生するという配信コンテンツのリアル再生技術である。現在、ストリーミング技術を実装した著名なコンテンツ配信システムとして、例えば“RealSystem G2”や“Windows(登録商標) Media Technologies”などが挙げられる。ストリーム配信によれば、MPEGプレイヤで再生した後はデータが残らないので、衣服データなどの著作物がその後に無断で使用されるという心配がブティックなどの著作権者側にはなくなる。
上記では説明しなかったが、画像処理サーバ23側では、ステップS84及びステップS86において、携帯試着装置10がステップS85又はS86において受信準備が整うまでは、送信待ち状態になることは言うまでもない。
I.合成試着画像の表示処理
ユーザすなわち携帯試着装置10側に衣服画像データに対する著作物利用権がある場合には、合成試着画像を画像処理サーバ23からダウンロードしたり、あるいはオフライン状態の携帯試着装置10上で試着画像を合成したりすることができる。この場合、合成された試着画像データは、携帯試着装置10のシステム・メモリ82(92又は102)又は着脱可能記憶媒体113、あるいは家庭内LAN50上のローカル・データベース・サーバ52に記憶されて、再利用に供される。
携帯試着装置10のユーザは、任意の時間、場所において、当該合成試着画像データを閲覧ソフトウェア・プログラム(「ブラウザ」とも呼ばれる)を利用して閲覧することができる。ここで、試着画像データは、望ましくはグラフィック・オブジェクトとして構成されており、グラフィック処理によって、さまざまにイメージに変換することが可能なように構成されている。
閲覧ソフトウェア・プログラムは、グラフィックス・オペレーションを備えることが望ましい。ここで言うグラフィックス・オペレーションには、実写背景との画像合成機能、グラフィック・オブジェクトの姿勢や向きを変換させるための機能、試着画像データに対し照明効果を施すことにより見え方を変化させるための機能、ホログラフィックな効果によりホログラフィック・ディスプレイとの組み合わせにより3次元表示効果を高める機能、幾つかの動作ポーズを生成することによりこれらをつなげてアニメーション効果を出す機能などが含まれる。
グラフィックス・オペレーションの詳細に関しては、例えば「コンピュータグラフィックス理論と実践」(Computer Graphics:Principles and Practice(Second Edition in C):James D.Foley,Andries van Dam,Steven K.Feiner,John F.Hughes,Addison−Wesley,1996)などを参考にされたい。
これらのグラフィックス・オペレーション機能を用いることによって、携帯試着装置10のユーザは、合成された試着画像データをベースにして、合成試着画像を変化させることができる。自分が衣服を試着した際のさまざまなポーズ、さまざまなアングル、さまざまな背景画像との合成や状況(例えば、昼間、夜間、屋内、屋外、好天、曇天など)設定、衣装データのテクスチャ(模様)の変更、あるいはアニメーション効果によって座ったポーズから立ったポーズの過程を生成するなどの効果を施して、自分が衣服を試着したときのイメージを仮想空間上で楽しむことができる。
別の実施形態としては、テーブル型ディスプレイ42において、閲覧ソフトウェア・プログラムを利用して、合成試着画像を閲覧することができる。テーブル型ディスプレイ42は、例えば、図8〜図10に示したシステム構成において、周辺装置の1つとして着脱可能記憶媒体接続部112又は無線通信部110あるいはこの両方を装備しているものと理解されたい。
るならば、携帯試着装置10から着脱可能記憶媒体113を取り外して、当該テーブル型ディスプレイ42の着脱可能記憶媒体接続部112に接続し直すことによって、当該テーブル型ディスプレイ42上で、上記で説明したと同様に合成試着画像を変化させて閲覧することができる。
また、テーブル型ディスプレイ42が、携帯試着装置10の無線通信部と同じ規格(例えば、IEEE 802.11a/b、又はBluetooth)で通信可能な無線通信部110を装備している場合においては、無線通信によって、試着画像データを、テーブル型ディスプレイ42のメモリに転送した上で、閲覧ソフトウェア・プログラムを利用して、合成試着画像を閲覧することができる。
さらに、別の実施形態としては、携帯試着装置10から家庭内LAN50のアクセスポイント54を通じて家庭内LAN50に接続されている画像処理サーバ53に試着画像データを転送した上で、この画像処理サーバ53の機能を利用して、閲覧ソフトウェア・プログラムによって合成試着画像を閲覧することができる。または、家庭内LAN50に接続されているコンピュータが、携帯試着装置10に接続された着脱可能記憶媒体113を接続できるように構成されているのであれば、当該着脱可能記憶媒体113を当該コンピュータに接続することによって、試着画像データを転送した上で、家庭内LAN50に接続されている画像処理用サーバ53の機能を利用して、閲覧ソフトウェア・プログラムによって合成試着画像を閲覧することができる。なお、ここで言う家庭内のコンピュータは、画像処理サーバ53と同一であっても、また家庭内LAN50に接続されている別のコンピュータであっても構わない。
以上説明してきた本発明の実施形態においては、画像データという表現は、静止画像のみでなくアニメーションのような動画像も含むものである。さらに、ここで言う画像データは、2次元画像データ及び3次元画像データのいずれでもあってもよい。
また、本発明に係る電子試着サービスは、その全体又は一部をソフトウェア・プログラムによって実現することができる。また、ソフトウェア・プログラムによって実現できる機能はすべて半導体あるいは周辺回路などのハードウェアによって実現することも可能である。言い換えれば、処理変更の柔軟性よりも処理の高速化が望まれる場合には、ソフトウェア・プログラムによって実現できる機能をハードウェア化することが望ましい。
なお、着脱可能記憶媒体に関しては、フロッピー(登録商標)・ディスク、スーパー・ディスク(大容量型フロッピー(登録商標)・ディスク、光ディスク(CD−RW、DVD−RAMなど)、磁気記録媒体(MOなど)、あるいは半導体メモリ(フラッシュ・メモリ、MRAM(Magnetic RAM)、FeRAM(Ferroelectricity RAM)など)のいずれであってもよい。
また、図8〜図10において、RAMであるものは、DRAM(Dynamic RAM)SDRAM(Synchronous DRAM)、RDRAM(Rambus DRAM)、IRAM(Intelligent RAM)、MRAM、あるいはFRAMなどのうちのいずれかで置き換えることが可能である。