以下に、本発明の実施の形態に係わるジャーポット装置2に組み込まれる第1の実施の形態のポンプ装置1を、図1から図6に基づき説明する。
ジャーポット装置2は、図1に示すように、主に、筐体で形成された外枠体3と、外枠体3の内部に配置され、水や湯等の液体を溜めておくための貯水タンク4と、外枠体3の外部と貯水タンク4とを連通させる連通部5と、連通部5の配管の一部として組み込まれるポンプ装置1と、から主に構成される。このポンプ装置1を駆動することにより、貯水タンク4内の液体を連通部5を介して外枠体3の外部に汲み上げて吐出させるものとなっている。
外枠体3は、底部3aを有する略円筒形状で形成されたもので、内部に貯水タンク4を収納し、その貯水タンク4上に形成された開口部に蓋6を開閉自在に取り付けている。また、貯水タンク4の上端周縁には、外側に折れ曲がる形状の折曲部4aが形成されており、この折曲部4aが外枠体3の内側に形成された肩部7の段部7aに係合することによって、貯水タンク4が外枠体3の内側に支持されている。
外枠体3の前面上部中央部分には、外側に突出するように形成されたくちばし部8が設けられている。このくちばし部8の下側面には、貯水タンク4から送られてくる液体をカップ等に注ぐための注水口9がその下側面に設けられた水や湯等の出口のための開口に面して設けられている。また、外枠体3の外周面でくちばし部8の下側には、貯水タンク4内の液体の量の目安を知るための水位表示窓10が設けられている。
貯水タンク4は、底面4bを有する略カップ形状を有するもので形成されており、液体を入れておくためのものである。この貯水タンク4の外側には、液体を外部に汲み上げるための連通部5が配置され、この連通部5の配管の一部としてポンプ装置1が組み込まれている。また、貯水タンク4の底面4bには、図2に示すように、ポンプ装置1と連通する排出口4cが形成されている。そのため、貯水タンク4は、連通部5を介して外枠体3の外部と連通している。なお、排出口4cの縁には、ポンプ装置1と連結するための筒状部4dが、貯水タンク4の外側に延出するように形成されており、この筒状部4dとポンプ装置1の取水口41とをゴムチューブ11で連結するようになっている。なお、貯水タンク4の下側には、電熱装置(図示省略)が設けられており、この電熱装置を稼動させることによって、貯水タンク4内の液体が加熱されるようになっている。
連通部5は、貯水タンク4の外側に縦置きに配置された透明なガラス製の水位表示管13と、水位表示管13にゴムチューブ12によって連結されたポンプ装置1から構成されている。水位表示管13の一端側は、湾曲されてくちばし部8と肩部7との間に収まるように配置され、この先端部分は、貯水タンク4からポンプ装置1に導入された液体を外枠体3の外部に吐出させる注水口9に接続されている。そして、この注水口9が、くちばし部8に形成されたアンダーカバー14に設けられた吐出開口15に臨んでいる。
このように注水口9及びポンプ装置1に連結された水位表示管13は、水位表示窓10より内部の水位が視認できるようになっている。そして、この水位表示管13内の水位を見ることにより貯水タンク4内の液体の残量を推定できるものとなっている。なお、この水位表示管13とポンプ装置1の吐出口42とは、同軸上に配置されている。
ポンプ装置1は、図3に示すように、駆動源としてのモータ16を有する駆動部17と、モータ16によって回転駆動されるインペラ18と、インペラ18を収用すると共に、連通部5の一部として液体を通路させるための内部空間を有するケーシング19と、から構成されている。なお、このポンプ装置1は、上述したようにゴムチューブ11によって貯水タンクの筒状部4dに連結されると共に、ゴムチューブ12によって水位表示管13に連結されているが、ゴムチューブ11,12により貯水タンク4の外側のスペースで宙に浮くような状態で保持されている。そのため、モータ16やその他の部位から発する振動が貯水タンク4や外枠体3に伝達されにくく、筐体内で騒音が共鳴しないようになっている。本実施の形態では、ポンプ装置1を、このように保持したが、単に、貯水タンク4の底面4b近傍等にねじ止め等により固定してもよい。
駆動部17は、駆動源としてのモータ16と、このモータ16のモータ出力軸16aの先端部分に固定部材20aを介して固定された誘導マグネット20と、この誘導マグネット20を格納するマグネットケース21と、から構成されている。
モータ16は、DCモータで構成されており、インペラ18を所定の方向に回転させるように一方向回転のみなされるように制御される。モータ出力軸16aは、マグネットケース21に形成された挿通孔21aを挿通してマグネットケース21内に突出しており、挿通孔21a内に設けられた軸受け21bに回転自在に支承されている。このモータ16は、リード線16bを介して駆動制御回路(図示省略)に接続されており、マイコンの動作命令に従い駆動されるようになっている。
なお、マグネットケース21は、ケーシング19の隔壁22部分に開口部分を当接した状態でケーシング19にネジ止め固定される。これによって、マグネットケース21は、その内部空間がケーシング19の内部空間と隔離された状態でケーシング19に固定される。このマグネットケース21内に配置される誘導マグネット20は、ドーナツ形で90°毎の4極の面着磁がなされており、亜鉛メッキ鋼板製の固定部材20aを介してモータ出力軸16aに固定されている。この誘導マグネット20は、この実施の形態では、乾式軸方向異方性フェライト磁石を使用しているが、希土類マグネット等他のマグネットとしても良い。
ケーシング19は、図4及び図5に示すように、ポンプ装置1がジャーポット装置2に組み込まれた際に、上側に配置される上ケース19aと、この上ケース19aの開口を塞ぐように下側に配置される閉塞用部材となる下ケース19bと、を超音波溶着により固着し密閉することにより内部空間を画成するものとなっている。そして、このケーシング19の内部空間には、インペラ18を回転自在に収用するインペラ室23と、このインペラ室23内に液体を導入するための取水口41を備えた液体導入部31と、インペラ室23内に導入した液体を吐出するための吐出口42を備えた液体導出部32と、が設けられている。
インペラ室23は、上述のマグネットケース21と隔壁22によって仕切られている。この隔壁22のインペラ室23側には、インペラ18を回転自在に支承する固定軸26を圧入固定するための孔27が設けられている。なお、この孔27を囲む孔形成部22a,22bは、図6(A)に示すように、その厚さが均肉化されている。すなわち、孔27は、隔壁22に形成された凸部となる孔形成部22aの中心部分に、その周囲の筒状の部分の厚さ及び隔壁22の孔形成部22bの厚さが均一となるように形成され、孔27の底部27aは、隔壁22のインペラ室23側の面から0.25mmの高さとなる位置まで突出して形成されている。そのため、固定軸26を孔27内に挿入した際、固定軸26の挿入した部位の周囲に隔壁22の平面部分が含まれず、孔27を形成する際に、その平面部分によって孔27に変形(成型時のひけ等)が生じないようになり、孔27が正確に形成される。
なお、孔27は、図6(B)に示すような構成としても良い。すなわち、孔27を、その深さが隔壁22の平面部分内に0.5mm進入するまで形成し、固定軸26を孔27の最深部から0.75mm離れた位置、すなわち隔壁22のインペラ室23側の面から0.25mmの高さとなる位置まで挿入する。この構成によれば、孔27自体は、隔壁22の平面部分に進入するまで形成されているが、孔27のうちの固定軸26の挿入部位に関しては、上述した図6(A)と同様、隔壁22の平面部の影響が出ないものとなり、固定軸26の挿入部分の均肉化がなされ、孔27は精度良く形成されることとなる。
このようにインペラ室23内に形成された孔27内に挿入固定された固定軸26には、インペラ18が回転自在に支承されている。インペラ18は、PPS等の樹脂磁性材で形成されており、軸部18a及び複数枚の羽根を固定した羽根部18bとから構成されている。軸部18aには、固定軸26に遊嵌される嵌合孔29が設けられており、この嵌合孔29内に固定軸26を挿入することによりインペラ18が固定軸26に遊嵌される。また、軸部18aの先端部分には、スラスト受け用突起18cが設けられている。
また、羽根部18bの隔壁22を隔てて誘導マグネット20に対向している側には、円環状の従動マグネット30が固定されている。この構成により、インペラ18は、モータ16のモータ出力軸16aが誘導マグネット20と一体的に回転すると、誘導マグネット20に磁気的に引き寄せられながら従動回転する。なお、このとき、インペラ18は、インペラ室19内に進入してくる液体の流れ等の影響を受けて隔壁22から離れる方向(図3において矢示X方向)に移動する場合も生じるが、その際は軸部18aの先端に設けられたスラスト用突起18cが、ケーシング19の内側に形成されたスラスト受け部19cに当接する。これによって、インペラ18は、固定軸26から抜けないようになっている。なお、このように構成されたインペラ18は、貯水タンク4の底面4bより下部に配置される。そのため、貯水タンク4内に液体が少しでも残っている状態のときは、インペラ18は、必ず液体に浸かった状態となっている。
なお、インペラ18が回転すると、貯水タンク4側の液体がインペラ室23内に導入される。そして、インペラ室23内に導入された液体が、インペラ18に攪拌されてインペラ室23内で回転する。そして、この回転に伴って発生する遠心力により、インペラ18の外周方向に向かう。
インペラ室23には、液体導入部31が連通している。すなわち、液体導入部31とインペラ室23との境目の部分は、開口33が形成されており、この開口33により液体導入部31とインペラ室23とが連通している。この液体導入部31は、ポンプ装置1をジャーポット装置2に組み込んだ際、貯水タンク4とインペラ18の配置されたインペラ室23との間に配置され、貯水タンク4の液体をインペラ室23内に導入するためのものとなっている。
この液体導入部31の貯水タンク4側の端部には、貯水タンク4の底面に形成された筒状部4dにゴムチューブ11を介して接続される取水口41が形成されている。この取水口41は、貯水タンク4の底面に対して開口するように、図2において上側に向かって開口している。
そして、液体導入部31は、取水口41から開口33までの間で略直角に湾曲するように形成されている。なお、液体導入部31の取水口41から見て湾曲した部位以降、すなわち湾曲部位より開口33までの位置は、インペラ18の回転軌跡より下部となる堆積部34となっている。この堆積部34は、ポンプ装置1を含む連通部5の配管上、最下位部となっている。そのため、連通部5内を通過する液体に含有されるカルシウム等の物質は、この堆積部34に堆積することとなる。その結果、カルシウム等の物質がポンプ装置1に堆積するとしても、インペラ14の回転には影響が無く、従ってモータ12の駆動停止等の不具合が発生する可能性が極めて低いものとなる。また、この堆積部34が存在する通路部の断面形状は、偏平の四角形状となっていると共に、取水口41の断面積の大きさと略同一となっている。
一方、インペラ室23には、液体導出部32も連通している。すなわち、この液体導出部32は、インペラ室23の側面に連続的に配置されていると共に、液体導出部32とインペラ室23との境目の部分には開口35が形成されている。この構成のため、インペラ室23は、開口35により液体導出部32と連通した閉塞しない空間となっている。この液体導出部32は、ポンプ装置1をジャーポット装置2に組み込んだ際、注水口9に連通する水位表示管13と、インペラ18の配置されたインペラ室23との間に配置され、インペラ室23内に導入された液体を注水口9側へ導出するためのものとなっている。なお、下ケース19bを取り外したとき、液体導入部31とインペラ室23と液体導出部32とが1つの空間を構成するようになる。
この液体導出部32の水位表示管13側の端部には、水位表示管13の端面にゴムチューブ12を介して接続される吐出口42が形成されている。この吐出口42は、水位表示管13に向かって開口するように、図2において上側に向かって開口している。
なお、上述したように構成された液体導入部31の取水口41の中心軸線L1と、液体導出部32の吐出口42の中心軸線L2とは、それぞれインペラ18の回転軸となる軸部18aの中心軸線L3と平行となっている。そして、液体導入部31、液体導出部32及びインペラ室23は、図5に示すように並列配置となっており、取水口41と吐出口42とは、インペラ18の軸部18aを中心として交角αが90°となるように配置されている。なお、この取水口41及び吐出口42の配置は、特に、90°開いた位置に限定されるものではなく、交角αを20°から160°の範囲で種々設定することにより貯水タンク4の外側のスペースを有効に利用可能なものとなる。
なお、上述のインペラ18の回転方向は、インペラ室23内で液体が取水口41と吐出口42との交角α側ではなく、残りの広い方を通過するように、図5において矢示A方向に設定されている。これによって、インペラ室23内に導入された液体が、インペラ室23からスムーズに液体導出部32側へ移動するようになる。
次に、上述したように構成された第1の実施の形態のポンプ装置1を組込んだジャーポット装置2の動作について説明する。
まず、湯沸かしの準備動作として、蓋6を開けて貯水タンク4に水を投入する。すると、貯水タンク4内に投入した水の一部は、排出口4cからポンプ装置1内へ進出する。このとき、水は、貯水タンク4内へ投入した水の容量に応じた位置で止まる。連通部5の水位表示管13の水面の位置は、水位表示窓10から見ることが可能で、これにより貯水タンク4内の内容量の推定が可能となる。すなわち、この状態では、ポンプ装置1内へは完全に水が浸入し、水位表示管13の途中部分まで水が入っていることとなる。
このような状態で電熱装置(図示省略)によって貯水タンク4内の水を加熱する。湯を吐出させるときは、蓋6を閉めて吐出ボタン(図示省略)を操作することにより、ポンプ装置1のモータ16を駆動させる。すると、誘導マグネット20を固定したモータ出力軸16aが、所定の方向に回転する。
このように誘導マグネット20が所定の方向に回転すると、羽根部18bに従動マグネット26が固着されたインペラ18が、インペラ室19内において図5の矢示A方向に回転する。すると、インペラ室23内の液体にインペラ18の回転方向と同一方向の流れが形成される。なお、この液体の流れには、遠心力が働くため、液体はインペラ18の外周方向へ追いやられる。その結果、インペラ室23の側面に連続的に形成され、開口35によって連通している液体導出部32側へ、液体が送られる。これによって、液体は液体導出部32の吐出口42より水位表示管13側へ吐出される。
一方、インペラ室23内の液体が吐出口42から吐出されることに伴い、インペラ室23内には負圧が発生する。そのため、貯水タンク4内の液体は、液体導入部31よりインペラ室23内に取り込まれる。
このような動作を繰り返すことにより、貯水タンク4からインペラ室23内に導入された液体は、液体導出部32の吐出口42から水位表示管13を経由して注水口9側へ送られる。これによって、注水口9より液体が外枠体3の外部へ吐出される。
なお、上述の第1の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述したポンプ装置1は、取水口41と吐出口42とをインペラ18を中心として交角αが90°となる位置に、それぞれ配置されたが、取水口41と吐出口42との配置はこれに限定されるものではない。以下、これらの配置を異ならせると共に、上述の第1の実施の形態と液体導入部の構成を異ならせた第2の実施の形態について、図7から図9を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係わるジャーポット装置2に組み込まれる第2の実施の形態のポンプ装置51は、図7に示すように、駆動源としてのモータ52を有する駆動部53と、モータ52によって回転駆動されるインペラ54と、インペラ54を収用すると共に、連通部の一部として液体を通過させるための内部空間を有するケーシング55と、から構成されている。
駆動部53は、駆動源としてのモータ52と、このモータ52のモータ出力軸52aの先端部分に固定部材56aを介して固定された誘導マグネット56と、この誘導マグネット56を格納するマグネットケース57と、から構成されている。
モータ52は、DCモータで構成されており、インペラ54を所定の方向に回転させるように一方向回転のみなされるように制御される。モータ出力軸52aは、マグネットケース57に形成された挿通孔57aを挿通してマグネットケース57内に突出しており、挿通孔57a内に設けられた軸受け57bに回転自在に支承されている。このモータ52は、リード線52bを介して駆動制御回路(図示省略)に接続されており、マイコンの動作命令に従い駆動されるようになっている。
なお、マグネットケース57は、ケーシング55の上ケース55aと一体的に形成された一体成型部57cと、この一体成型部57cに超音波溶着により固着される壁部57dとから構成されている。このマグネットケース57は、一体成型部57c内にモータ出力軸52aを挿入した後、このモータ出力軸52aの先端部分に誘導マグネット56を固着した固定部材56aをカシメ固定し、さらに一体成型部57cとモータケースとをネジ止め固定した後に上述の超音波溶着により壁部57dを固着することにより形成される。
なお、マグネットケース57は、ケーシング55の上ケース55aに形成された隔壁55cによって、その内部空間がケーシング55の内部空間となるインペラ室58等と隔離されている。このマグネットケース57内に配置される誘導マグネット56は、ドーナツ形で90°毎の4極の面着磁がなされており、亜鉛メッキ鋼板製の固定部材56aを介してモータ出力軸52aに固定されている。
ケーシング55は、ポンプ装置51が上述の第1の実施の形態のジャーポット装置2等に組み込まれた際に、上側に配置される上ケース55aと、この上ケース55aの開口を塞ぐように下側に配置される閉塞用部材となる下ケース55bとを、超音波溶着により固着し密閉することにより内部空間を画成するものとなっている。そして、このケーシング55の内部空間には、インペラ54を回転自在に収用するインペラ室58と、このインペラ室58内に液体を導入するための取水口59を備えた液体導入部61と、インペラ室58内に導入した液体を吐出するための吐出口60を備えた液体導出部62と、が設けられている。
インペラ室58は、上述のマグネットケース57と隔壁55cによって仕切られている。この隔壁55cのインペラ室58側には、インペラ54を回転自在に支承する固定軸63を圧入固定するための孔64が設けられている。なお、この孔64は、上述した第1の実施の形態の孔27(図6(A),(B)参照)のように、固定軸63の挿入部分を均肉化するようにしてもよいし、また、そのような構成としなくても良い。
この孔64内に挿入固定された固定軸63には、インペラ54が回転自在に支承されている。インペラ54は、PPS等の樹脂磁性材で形成されており、軸部54a及び複数枚の羽根を固定した羽根部54bとから構成されている。軸部54aには、固定軸63に遊嵌される嵌合孔65が設けられており、この嵌合孔65内に固定軸63を挿入することによりインペラ54が固定軸63に遊嵌される。また、軸部54aの先端部分には、スラスト受け部54cが形成されている。
また、羽根部54bの隔壁55cを隔てて誘導マグネット56に対向している側には、円環状の従動マグネット66が固定されている。この構成により、インペラ54は、モータ52のモータ出力軸52aが誘導マグネット56と一体的に回転すると、誘導マグネット56に磁気的に引き寄せられながら従動回転する。なお、このとき、インペラ54は、インペラ室58内に進入してくる液体の流れ等の影響を受けて隔壁55cから離れる方向(図7において矢示X’方向)に移動する場合も生じるが、その際は軸部54aの先端に設けられたスラスト受け部54cが、ケーシング55の内側に形成されたスラスト受け部55dに当接する。これによって、インペラ54は、固定軸63から抜けないようになっている。
なお、インペラ54が回転すると、貯水タンク4側の液体がインペラ室58内に導入される。そして、インペラ室58内に導入された液体が、インペラ54に攪拌されてインペラ室58内で回転する。そして、この回転に伴って発生する遠心力により、インペラ54の外周方向に向かう。
インペラ室58には、液体導入部61が連通している。すなわち、液体導入部61とインペラ室58との境目の部分は、開口67が形成されており、この開口67により液体導入部61とインペラ室58とが連通している。この液体導入部61は、ポンプ装置51をジャーポット装置等に組み込んだ際、液体源となる貯水タンク等とインペラ54の配置されたインペラ室58との間に配置され、貯水タンク等の液体をインペラ室58内に導入するためのものとなっている。
この液体導入部61の貯水タンク側の端部には取水口59が形成されている。この取水口59は、貯水タンクの底面に対して開口するように、図7において上側に向かって開口している。
そして、液体導入部61は、取水口59から開口67までの間で略直角に湾曲するように形成されている。なお、液体導入部61の取水口59から見て湾曲した部位以降、すなわち湾曲部位より開口67までの位置は、インペラ54の回転軌跡より下部となる堆積部68となっている。この堆積部68は、ポンプ装置51を含む連通部の配管上、最下位部となっている。そのため、連通部内を通過する液体に含有されるカルシウム等の物質は、この堆積部68に堆積することとなる。その結果、カルシウム等の物質がポンプ装置51に堆積するとしても、インペラ54の回転には影響が無く、従ってモータ52の駆動停止等の不具合が発生する可能性が極めて低いものとなる。
なお、液体導入部61の最下位部となる堆積部68の位置する通路部の断面形状は、図9に示すように、偏平の四角形状となっている。そして、この堆積部68は、その断面積が液体導入部61の入り口となる断面円形の取水口59の断面積と同等となっている。この構成は、断面円形で形成された取水口59と、断面偏平四角状で形成された堆積部68との断面積を同等とすることにより、通過する液圧を一定に保ち、安定的な勢いで液体を通過させることにより吐出量を確保するのと、堆積部68を偏平の四角状とすることにより高さ方向のスペースを省スペースとすることを目的とするものとなっている。
一方、インペラ室58には、液体導出部62も連通している。すなわち、この液体導出部62は、インペラ室58の側面に連続的に配置されていると共に、液体導出部62とインペラ室58との境目の部分には開口69が形成されている。この構成のため、インペラ室58は、開口69により液体導出部62と連通した閉塞しない空間となっている。この液体導出部62は、ポンプ装置51をジャーポット装置等に組み込んだ際、注水口とインペラ54の配置されたインペラ室58との間に配置され、インペラ室58内に導入された液体を注水口側へ導出するためのものとなっている。
この液体導出部62の注水口側の端部には、吐出口60が形成されている。この吐出口60は、筐体の上部側に向かって開口している。
なお、上述したように構成された液体導入部61の取水口59の中心軸線M1と、液体導出部62の吐出口60の中心軸線M2とは、それぞれインペラ54の回転軸となる軸部54aの中心軸線M3と平行となっている。そして、液体導入部61、液体導出部62及びインペラ室58は、図8に示すように並列配置となっており、取水口59と吐出口60とは、インペラ54の軸部54aを中心として交角αが40°となるように配置されている。なお、この取水口59及び吐出口60の配置は、上述した第1の実施の形態と同様、特に、40°開いた位置に限定されるものではなく、交角を20°から160°の範囲で種々設定することにより貯水タンク4の外側のスペースを有効に利用可能なものとなる。
なお、上述のインペラ54の回転方向は、インペラ室58内で液体が取水口59と吐出口60との交角α側ではなく、残りの広い方を通過するように、図8において矢示A’方向に設定されている。これによって、インペラ室58内に導入された液体が、インペラ室58からスムーズに液体導出部62側へ移動するようになる。なお、上述した第2の実施の形態のポンプ装置51も、モータ52を駆動することにより、上述の第1の実施の形態のポンプ装置1と同様の動作を行うこととなる。
なお、上述の第1及び第2の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の各例であるが、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した各実施の形態のポンプ装置は、それぞれ取水口と吐出口とをインペラを中心として交角αが20°から160°の範囲となる位置に配置している。また、この構成とするために、各ポンプ装置は、液体導入部、液体導出部及びインペラ室を並列配置としている。しかしながら本発明は、必ずしも「並列配置」とする必要はない。以下、「並列配置」とならない構成の第3の実施の形態について、図10から図12を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係わるジャーポット装置2に組み込まれる第3の実施の形態のポンプ装置71は、図10に示すように、駆動源としてのモータ72を有する駆動部73と、モータ72によって回転駆動されるインペラ74と、インペラ74を収用すると共に、連通部の一部として液体を通過させるための内部空間を有するケーシング75と、から構成されている。
駆動部73は、駆動源としてのモータ72と、このモータ72のモータ出力軸72aの先端部分に固定部材76aを介して固定された誘導マグネット76と、この誘導マグネット76を格納するマグネットケース77と、から構成されている。
モータ72は、双方向回転可能なDCモータで構成されている。モータ出力軸72aは、マグネットケース77に形成された挿通孔77aを挿通してマグネットケース77内に突出しており、挿通孔77a内に設けられた軸受け77bに回転自在に支承されている。このモータ72は、リード線72bを介して駆動制御回路(図示省略)に接続されており、マイコンの動作命令に従い駆動されるようになっている。
なお、マグネットケース77は、ケーシング75と一体的に形成された一体成型部77cと、この一体成型部77cに超音波溶着により固着される壁部77dとから構成されている。このマグネットケース77は、一体成型部77c内にモータ出力軸72aを挿入した後、このモータ出力軸72aの先端部分に誘導マグネット76を固着した固定部材76aをカシメ固定し、さらに一体成型部77cとモータケースとをネジ止め固定した後に上述の超音波溶着により壁部77dを固着することにより形成される。
なお、マグネットケース77は、ケーシング75に形成された隔壁75cによって、その内部空間がケーシング75の内部空間となるインペラ室78等と隔離されている。このマグネットケース77内に配置される誘導マグネット76は、ドーナツ形の45°毎で8極の面着磁がなされており、亜鉛メッキ鋼板製の固定部材76aを介してモータ出力軸72aに固定されている。
ケーシング75は、一端側(図10において下端部分)が開口となっており、この開口にポンプ装置71と貯水タンク等の液体源とを連通する連通パイプ79(図12参照)を接続することにより密閉され、内部空間を画成するものとなっている。なお、上述の開口は、ケーシング75の一端側を全開としたものとなっている。すなわち、この開口の上部には、インペラ室78及び、後述する液体導入部82ならびに液体導出部84が、それぞれ配置されている。
そして、開口部分のやや内側(図10においてやや上部)には、この開口部分の一部を塞ぐ閉塞用部材81が設置されている。この閉塞用部材81は、ケーシング75のインペラ室78と液体導出部84との連絡部分を利用してこの部分にねじ止め等により固定されている。この閉塞用部材81によって、開口部分と液体導出部84とを挿通する部分の全部、及び液体導入部82とインペラ室78とを挿通する部分の一部がふさがれるようになっている。なお、開口部分の一部は、液体をインペラ室78内に導入するための取水口80となっている。
この閉塞用部材81には、インペラ74の回転中心となる軸部74aの一端に当接し、インペラ74を隔壁75c側に付勢する付勢部材81aが形成されている。そのため、インペラ74は、この付勢部材81aによって、常時隔壁75c側、すなわち誘導マグネット76側に付勢され、誘導マグネット76側で安定的に回転するようになっている。
ケーシング75の内部空間には、インペラ74を回転自在に収用するインペラ室78と、このインペラ室78内に液体を導入するための取水口80を備えた液体導入部82と、インペラ室78内に導入した液体を吐出するための吐出口83を備えた液体導出部84と、が設けられている。
インペラ室78は、上述のマグネットケース77と隔壁75cによって仕切られている。この隔壁75cのインペラ室78側には、インペラ74を回転自在に支承する固定軸85を圧入固定するための孔86が設けられている。なお、この孔86は、上述した第1の実施の形態の孔27(図6(A),(B)参照)のように、固定軸85の挿入部分を均肉化するようにしてもよいし、また、そのような構成としなくても良い。
この孔86内に挿入固定された固定軸85には、インペラ74が回転自在に支承されている。インペラ74は、PPS等の樹脂磁性材で形成されており、軸部74a及び複数枚の羽根を固定した羽根部74bとから構成されている。軸部74aには、固定軸85に遊嵌される嵌合孔87が設けられており、この嵌合孔87内に固定軸85を挿入することによりインペラ74が固定軸85に遊嵌される。また、軸部74aの先端部分には、スラスト受け部74cが形成されている。
また、羽根部74bの隔壁75cを隔てて誘導マグネット76に対向している側には、円環状の従動マグネット88が固定されている。この構成により、インペラ74は、モータ72のモータ出力軸72aが誘導マグネット76と一体的に回転すると、誘導マグネット76に磁気的に引き寄せられながら従動回転する。なお、このとき、インペラ74は、インペラ室78内に進入してくる液体の流れ等の影響を受けて隔壁75cから離れる方向(図10において矢示X”方向)に移動しようとする場合もあるが、上述したように付勢部材81aによって隔壁75c側に付勢されているので、隔壁75c側で安定的に回転する。
なお、インペラ74が回転すると、貯水タンク4側の液体がインペラ室78内に導入される。そして、インペラ室78内に導入された液体が、インペラ74に攪拌されてインペラ室78内で回転する。そして、この回転に伴って発生する遠心力により、インペラ74の外周方向に向かう。
インペラ室78には、液体導入部82が連通している。液体導入部82とインペラ室78との境目の部分は、開口となっており、この開口の一部を上述した閉塞用部材81が覆うようになっている。この液体導入部82は、ポンプ装置71をジャーポット装置等に組み込んだ際、液体源となる貯水タンク等とインペラ74の配置されたインペラ室78との間に配置され、貯水タンク等の液体をインペラ室78内に導入するためのものとなっている。
この液体導入部82の貯水タンク側の端部、すなわちケーシング75の下端にはこのケーシング75の開口を利用した取水口80が形成されている。この取水口80には、図12に示すように、貯水タンクの底面に一端を接続されたU字型の連通パイプ79の他端が接続され、これによってポンプ装置71は液体源と連結されている。
なお、この第3の実施の形態では、ポンプ装置71をジャーポット等に組み込む際、インペラ74より下部となる堆積部を連通パイプ79としており、連通部内を通過する液体に含有されるカルシウム等の物質は、この連通パイプ79内に堆積することとなる。その結果、カルシウム等の物質がポンプ装置71内に堆積せず、その結果インペラ74の回転には影響が無い。従って、モータ72の駆動停止等の不具合が発生する可能性が極めて低いものとなる。
一方、インペラ室78には、液体導出部84も連通している。すなわち、この液体導出部84は、インペラ室78の側面に連続的に配置されていると共に、液体導出部84とインペラ室78との境目の部分には開口89が形成されている。この構成のため、インペラ室78は、開口89により液体導出部84と連通した閉塞しない空間となっている。この液体導出部84は、ポンプ装置71をジャーポット装置等に組み込んだ際、注水口とインペラ74の配置されたインペラ室78との間に配置され、インペラ室78内に導入された液体を注水口側へ導出するためのものとなっている。
この液体導出部84の注水口側の端部には、吐出口83が形成されている。この吐出口83は、筐体の上部側に向かって開口している。
なお、上述したように構成された液体導入部82の取水口80の中心軸線N1と、液体導出部84の吐出口83の中心軸線N2とは、それぞれインペラ74の回転軸となる軸部74aの中心軸線N3と平行となっている。そして、液体導出部84とインペラ室78とは、図11に示すように並列配置となっていると共に、液体導入部82とインペラ室78とは上下方向に重なるように配置されている。
第3の実施の形態のポンプ装置71は、上述したように構成されているが、このポンプ装置71も、モータ72を駆動することにより、上述の第1及び第2の実施の形態のポンプ装置1,51と同様の動作を行うこととなる。
また、第3の実施の形態のポンプ装置71を第1の実施の形態で説明したジャーポット装置2に組み込む場合、図13に示すように、モータ72が水位表示管13と貯水タンク4との間のスペースを利用して配置されることとなる。なお、第1の実施の形態のポンプ装置1の場合は、取水口41と吐出口42とがインペラ18を中心として交角αが90°となるように配置されている関係上、インペラ18と同軸上に配置されるモータ16は、交角αの中心点の位置にくるように配置される。また、第2の実施の形態のポンプ装置51の場合は、取水口59と吐出口60とがインペラ54を中心として交角αが40°となるように配置されている関係上、インペラ54と同軸上に配置されるモータ52は、交角αの中心点の位置にくるように配置される。
なお、上述の各実施の形態のポンプ装置は、それぞれ本発明の好適な実施の形態の例であるが、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した各ポンプ装置1,51,71は、それぞれジャーポット装置2に組込んだものとして構成したが、他の液体吐出装置、例えば給湯器、浄水機等に採用するようにしても良い。
また、上述した第1の実施の形態では、筐体内で騒音が共鳴するのを防止するため、ポンプ装置1と貯水タンク4とゴムチューブ11で接続すると共に、ポンプ装置1と水位表示管13とをゴムチューブ12で接続し、両ゴムチューブ11,12でポンプ装置1を貯水タンク4の外側のスペースで宙に浮くような状態で保持したが、他の方法によって騒音の共鳴を防止するようにしてもよい。また、第2及び第3の実施の形態においても、このような保持方法もしくは他の方法を用いて、騒音が共鳴しないように、ポンプ装置を貯水タンクの外側で保持するようにしてもよい。
具体的には、ポンプ装置と上述の連通パイプとを、モータの駆動により発生する振動を吸収する弾性部材で形成されたジョイント部材で連結したり、導入管自体を振動を吸収する弾性部材で形成してもよい。一方、ポンプ装置と水位表示管とを、モータの駆動により発生する振動を吸収する弾性部材で形成されたジョイント部材で連結してもよいし、吐出管自体を振動を吸収する弾性部材で形成してもよい。
またさらに、ポンプ装置の外周面の所定の部位に、モータの駆動により発生する振動を吸収する弾性部材を装填し、振動が筐体本体及び前記貯水タンクに伝達するのを防止する構造としてもよい。このように構成すると、万が一、ポンプ装置が筐体本体もしくは貯水タンクに接触してしまったとしても、振動が筐体本体もしくは貯水タンクに伝達されにくく、筐体内部で共鳴しにくいものとなる。
一方、筐体本体及び貯水タンクのいずれか一方もしくは双方の所定の部位に、モータの駆動により発生する振動を吸収する弾性部材を装填することにより、振動が筐体本体及び貯水タンクに伝達するのを防止する構造としてもよい。このように構成しても、万が一、ポンプ装置が筐体本体もしくは貯水タンクに接触した場合、振動が筐体本体もしくは貯水タンクに伝達されにくく、筐体内部で共鳴しにくいものとなる。
なお、各実施の形態において水位表示管となっている液体の導出管(ポンプ装置内の液体を吐出させる方向に導く管)は、特に水位表示管としての機能を持っていなくても良く、透明でない部材で形成されていてもよい。
なお、上述した各実施の形態は、それぞれインペラの回転によって液体に流れを形成し、その際の遠心力を利用して液体を吐出口方向へ移動させる、いわゆる遠心ポンプを採用したが、発明によっては遠心ポンプ以外のポンプを用いるものに適用してもよい。