JP4113877B2 - 無限追従型の偏波制御器及びこれを用いた偏波モード分散補償器並びに無限追従偏波制御方法 - Google Patents
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Description
S0 2=S1 2+S2 2+S3 2
が成立する。したがって、偏光状態を表すストークスパラメータS1,S2,S3は、強度S0を半径とする球面上の一点に位置することになり、偏光状態にのみ着目する場合には、単位強度(S0=1)の光について考えることにより、S1,S2,S3をそれぞれ直交座標系の3軸とする単位球面上の一点によって偏光状態を表すことができる(図18参照)。これが「ポアンカレ球」である。
この図18に示すポアンカレ球を地球儀に見立てると、赤道110上は直線偏光を表し、北極点NPは右回り円偏光、南極点SPは左回り円偏光を表していることになる。また、A点は水平直線偏光(TEモード)、B点は垂直直線偏光(TMモード)、C点は斜め45°方向の直線偏光をそれぞれ表し、赤道110上及び極点NP,SP以外は楕円偏光を表している。
つまり、偏波コントローラが入射光の偏光状態を任意の状態から任意の状態へ自由に変化させるためには、ポアンカレ球上の任意の点を他の任意の点へ自由に変化(変換)できることが必要である。
ここで、電気光学効果を用いた可変偏光素子(以下、単に「素子」ともいう)を用いて偏波コントローラを実現する方法としては、位相シフト量が一定に保たれ、自由に光学軸の方位(入射光の振動方向に対する角度)を回転できる波長板素子を複数段並べて構成したものが知られている。特に、1/4波長板、1/2波長板、1/4波長板の3種類のそれぞれ自由に光学軸を回転できる波長板を用いることにより、3段構成の無限追従性をもつ偏波コントローラを実現できることが知られている。
また、下記に公報番号を示す特許文献1には、(1)ポアンカレ球上の或る点をS1軸又はS2軸のまわりに制御電圧V1(又は制御電流I1)に応じた楕円率制御量δφ1の角度だけ変化(回転)させることのできる第1の楕円率変換素子と、(2)当該第1の楕円率変換素子からの光の偏光状態に対応したポアンカレ球上の点をS2軸のまわりに制御電圧V2(又は制御電流I2)に応じた位相制御量δφ2の角度だけ変化(回転)させることのできる位相シフタ素子と、(3)当該位相シフタ素子からの光の偏光状態に対応したポアンカレ球上の点をS1軸又はS3軸のまわりに制御電圧V3(又は制御電流I3)に応じた楕円率制御量δφ3の角度だけ変化(回転)させることのできる第2の楕円率変換素子とをそなえなる偏波制御器が開示されている。
この偏波制御器によれば、上記の楕円率制御量δφ1が「0〜π」、位相制御量δφ2が「−π〜π」、楕円率制御量δφ3が「−π〜0」の範囲に制限されるとしても、δφ1,δφ2,δφ3を適当に制御、即ち、制御電圧V1,V2,V3(又は制御電流I1,I2,I3)を適当に制御することによって、ポアンカレ球上の任意の点で表される偏光状態を他の任意の点で表される偏光状態へ連続的に変化(変換)させることが可能となる。
また、他に、光学軸を回転させて方位Θを「0〜π/2」まで自由に変化させることができ、同時に位相シフト量を「0〜λ」(λは入力光の波長を表す)まで自由に変化させることができる素子であれば、1段構成の偏波コントローラが実現できる。その原理は、例えば図19に示すポアンカレ球表示で考えることができる。即ち、ポアンカレ球表示では、光学軸の方位が0°の位相子として素子を機能させて位相シフト量(TE成分とTM成分との位相ずれ)を変化させると、S1軸を回転軸として、当該位相シフト量に応じてポアンカレ球100上の点Sを点S′へ変化(回転)させることができ(一点鎖線矢印101参照)、位相シフト量がλになるとき丁度1周させる(元の偏光状態に戻す)ことができることになる。なお、光学軸の方位が45°の位相子として素子を機能させて位相シフト量を変化させると、S2軸を回転軸として、当該位相シフト量に応じてポアンカレ球100上の点を変化(回転)させることができる。
一方、素子の光学軸を回転させて方位を変化させると、ポアンカレ球100上の上記回転軸(S1軸又はS2軸)が赤道に沿って〔つまり、ポアンカレ球の地軸(S3軸)を中心に〕回転してゆくことになる(一点鎖線矢印102参照)。したがって、ポアンカレ球の回転軸を中心に描かれる円103が入力偏光状態と出力偏光状態の2点を通るように素子の光学軸の方位を変化させ、当該2点間を変化させるだけの位相シフト量を与えれば、任意の偏光状態を任意の偏光状態へ変換することができることになる。
かかる偏波コントローラに無限追従性をもたせるためには、上述したように、素子の光学軸の回転と位相シフト量の変化できる範囲に限界があってはならないが、位相シフト量の変化は一般に電圧(又は電流)印加により変化させるため限界がある。そこで、これを克服するために、ポアンカレ球上の回転軸をπだけ回転させて、位相シフト量の変化を逆方向に切り替える必要がある。この切り替えを位相シフト量がλになったときに行なえば、偏光状態を変化させずにポアンカレ球上の回転軸を回転させることができるため、無限追従制御を実現できることになる。
このような1段構成の偏波コントローラは段数が少ないため、制御対象の電極数を減らすことができる。しかしながら、かかる偏波コントローラにおいて無限追従制御を実現する場合、従来技術では、ポアンカレ球上の回転軸の切り替えを行なうために位相シフト量がどんな場合でもλだけ必要である。このため、消費電力をさらに低減するためには、位相シフト量を少なくする必要がある。
なお、従来、低電圧駆動が可能な光偏波制御素子として、下記特許文献2により開示された技術がある。この特許文献2に記載の光偏波制御素子は、電気光学結晶基板における光導波路が設けられている表面に、基板よりも低誘電率の薄膜を形成し、この薄膜上および基板裏面に電極を設けることにより、低電圧駆動を可能にしている。また、下記特許文献3には、上述したような偏波コントローラを光受信機に適用して、受信光信号の波長分散を補償することが開示されている。
本発明は、上述したような課題に鑑み創案されたもので、入力光の波長λ未満の位相シフト量で偏光の無限追従制御を実現できるようにすることを目的とする。
ここで、該制御手段は、上記の各偏光状態が該対称位置にあることが検出される毎に、上記のポアンカレ球の回転と位相シフト量の変化方向の反転とを繰り返し行なうように構成されていてもよい。
また、該偏光状態モニタ手段は、該ポアンカレ球の3軸方向の成分別に該入力光の受光量を測定する入力光測定器と、該ポアンカレ球の3軸方向の成分別に該出力光の受光量を測定する出力光測定器とをそなえ、該制御手段は、該入力光測定器で測定された受光量と該出力光測定器で測定された受光量とが該成分毎に一致もしくは略一致したことを検出することで上記の各偏光状態が該対称位置にあることを検出する対称位置検出部をそなえて構成するのが好ましい。
ここで、該入力光測定器は、該入力光を第1の入力光偏光板を介して受光する第1の入力光受光素子と、該入力光を該第1の入力光偏光板と光学軸の方位が45°異なる第2の入力光偏光板を介して受光する第2の入力光受光素子と、該入力光を光学軸の方位が0°又は90°の第1の1/4波長板及び当該第1の1/4波長板と光学軸の方位が45°又は135°異なる第3の入力光偏光板を介して受光する第3の入力光受光素子(49)とをそなえて構成されるのが好ましい。
一方、該出力光測定器は、該出力光を第1の出力偏光板を介して受光する第1の出力光受光素子と、該出力光を該第1の出力光偏光板と光学軸の方位が45°異なる第2の出力光偏光板を介して受光する第2の出力光受光素子と、該出力光を光学軸の方位が0°又は90°の第2の1/4波長板及び当該第2の1/4波長板と光学軸の方位が45°又は135°異なる第3の出力光偏光板を介して受光する第3の出力光受光素子とをそなえて構成されるのが好ましい。
なお、該入力光測定器が、上記の構成を有する場合、該出力光測定器は、該出力光を、光学軸の方位が該第1の1/4波長板と同じ又は90°異なる第2の1/4波長板と、当該第2の1/4波長板と該第1の1/4波長板の光学軸の方位が同じ場合は該第3の入力偏光板と光学軸の方位が90°異なり、90°異なる場合は該第3の入力偏光板と光学軸の方位が同じ第3の出力光偏光板とを介して受光する第3の出力光受光素子とをそなえて構成するのがより好ましい。
さらに、該制御手段は、該位相シフト量の変化方向をモニタする位相シフト監視部と、該位相シフト監視部において、少なくとも上記の各偏光状態が該対称位置になった直後の位相シフト量の変化が、その直前の変化と同じ方向であることが観測されると、上記のポアンカレ球の回転制御を行なう一方、逆方向であることが観測されると、当該回転制御を行なわない光学軸制御部とをそなえていてもよい。
また、該位相シフト監視部は、該可変偏光素子に印加する該位相シフト量を変化させる電圧値の変化を監視する電圧値監視部として構成されていてもよい。
次に、本発明の無限追従型の偏波制御器を用いた偏波モード分散補償器は、可変偏光素子の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器を用いて偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償器であって、下記のものをそなえたことを特徴としている。
(1)該可変偏光素子の入力光及び出力光の偏光状態をモニタする偏光状態モニタ手段
(2)該可変偏光素子の出力光について群遅延時間差を与える群遅延時間差発生器
(3)該群遅延時間差発生器の出力光の偏光度を測定する偏光度測定器
(4)該偏光度測定器で測定された偏光度が最大となるように該方位と該位相シフト量とを制御するとともに、該偏光状態モニタ手段でモニタした各偏光状態を表すポアンカレ球上の位置が該ポアンカレ球の赤道に対して対称もしくは略対称な位置にあるときに、該ポアンカレ球の地軸を回転軸として該ポアンカレ球をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転させる制御手段
また、本発明の無限追従型の偏波制御器を用いた偏波モード分散補償器は、可変偏光素子の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器を用いて偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償器であって、下記のものをそなえたことを特徴としている。
(1)該可変偏光素子の出力光について群遅延時間差を与える群遅延時間差発生器
(2)該群遅延時間差発生器の出力光の偏光度を測定する偏光度測定器と、
(3)該位相シフト量の微小量変化と該可変偏光素子の該方位の微小量回転とを繰り返しても、該偏光度測定器で測定される該偏光度が保たれるときに、該可変偏光素子の入力光及び出力光の各偏光状態を表すポアンカレ球上の位置が該ポアンカレ球の赤道に対して対称もしくは略対称な位置にあると判断して、該可変偏光素子の該方位を回転させることにより該ポアンカレ球の地軸を回転軸として該ポアンカレ球をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転する制御手段
さらに、本発明の無限追従偏波制御方法は、可変偏光素子の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器において、該可変偏光素子の入力光及び出力光の各偏光状態をモニタし、上記各偏光状態を表すポアンカレ球上の位置が該ポアンカレ球の赤道に対して対称もしくは略対称な位置(以下、対称位置という)にあるときに、該可変偏光素子の該方位を回転させることにより該ポアンカレ球の地軸を回転軸として該ポアンカレ球をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転することを特徴としている。
ここで、該対称位置にあることが検出される毎に、上記のポアンカレ球の回転と位相シフト量の変化方向の反転とを繰り返し行なうこともできる。
また、本発明の無限追従偏波制御方法は、可変偏光素子の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器において、該可変偏光素子の出力光の偏光度を偏光度測定器により測定し、該偏光度測定器で測定された偏光度が最大となるように、該可変偏光素子の出力光について群遅延時間差を与える群遅延時間差発生器を制御するとともに、該可変偏光素子の入力光及び出力光の各偏光状態を表すポアンカレ球上の位置が該ポアンカレ球の赤道に対して対称もしくは略対称な位置にあるときに、該可変偏光素子の該方位を回転させることにより該ポアンカレ球上の地軸を回転軸として該ポアンカレ球をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転させることを特徴としている。
さらに、本発明の無限追従偏波制御方法は、可変偏光素子の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器を用いて偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償器において、該可変偏光素子の出力光の偏光度を偏光度測定器により測定し、該位相シフト量の微小量変化と該可変偏光素子の該方位の微小量回転とを繰り返しても、該偏光度測定器で測定される該偏光度が保たれるときに、該可変偏光素子の入力光及び出力光の各偏光状態を表すポアンカレ球上の位置が該ポアンカレ球の赤道に対して対称もしくは略対称な位置にあると判断して、該可変偏光素子の該方位を回転させることにより該ポアンカレ球上の地軸を回転軸として該ポアンカレ球をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転させることを特徴としている。
図2A〜図7Aは本発明の原理を説明すべくポアンカレ球上の位相シフト量に応じた偏光状態の変化の軌跡を示す図である。
図2B〜図7Bは本発明の原理を説明すべくポアンカレ球上の位相シフトに関する回転軸の赤道に沿った回転を示す図である。
図8は本発明の一実施形態としての偏波コントローラの構成を示すブロック図である。
図9は図8に示すLN基板の構成を示す模式的斜視図である。
図10は図8に示す入力側の偏光状態測定器(3PD測定器)の構成を示すブロック図である。
図11は図8に示す出力側の偏光状態測定器(3PD測定器)の構成を示すブロック図である。
図12〜図15はいずれも図8に示す制御回路による制御の変形例を説明すべくポアンカレ球の上の偏光状態の変化の軌跡を示す図である。
図16は本発明の一実施形態としての偏波モード分散補償器の構成を示すブロック図である。
図17は本発明の一実施形態としての偏波モード分散補償器の他の構成を示すブロック図である。
図18はポアンカレ球を説明するための図である。
図19は従来の偏波コントローラの動作をポアンカレ球表示により説明するための図である。
まず、本願発明の原理について説明する。
1段構成の偏波コントローラにおいて、位相シフト量が変化する方向を切り替える(反転する)ことは無限追従制御を実現するために重要であるが、位相シフト量がλ(入力光の波長)以外のポイントで、ポアンカレ球上の回転軸をπだけ回転させると、出力偏光状態が変化してしまう。そこで、従来は、前述したように、位相シフト量がλになったときに、素子の光学軸の方位(入射光の振動方向に対する角度)を変化させることによりポアンカレ球上の位相シフトに関する回転軸(S1軸又はS2軸)をπだけ回転〔つまり、ポアンカレ球の地軸(S3軸)を回転軸としてポアンカレ球をπだけ回転〕させている。
しかし、出力偏光状態を変化させることなくポアンカレ球上の回転軸(S1軸又はS2軸)を回転させることができるポイントが位相シフト量=λ以外にも存在する。即ち、図1に示すように、入力偏光状態(点S)と出力偏光状態(点S′)との関係が、ポアンカレ球100の赤道110に関して対称な位置関係にあるとき、換言すれば、ポアンカレ球100のS3軸の上方からポアンカレ球100を見た場合に、上記2つの偏光状態を表すポアンカレ球上の点S,S′が重なるときである。なお、この図1においても、図18と同様に、ポアンカレ球100の北極点NPは右回り円偏光、南極点SPは左回り円偏光、A点は水平直線偏光(TEモード)、B点は垂直直線偏光(TMモード)、C点は斜め45°方向の直線偏光を表している。また、赤道110上及び極点NP,SP以外は楕円偏光を表している。
入力偏光状態と出力偏光状態がこのような関係にあるとき、ポアンカレ球100上で各偏光状態を表す2点S,S′は、赤道110上の任意の点から等しい距離にあるため、赤道110上のどの点を中心にしても、2点S,S′を通る円を描くことができる。
例えば図2A及び図2Bに示すように、赤道110上の点D,点Eを結ぶ直線DEを回転軸と考えると、点D(又は点E)を中心に2点S,S′を通る円120を描くことができる。したがって、点Sで表される入力偏光状態を点S′で表される出力偏光状態へ円120(円弧SS′)に沿って変化(変換)させることができる。なお、図2Aは図1に示すポアンカレ球を点S,S′がS3軸と重なるよう側面から見たときの図、図2Bは同じポアンカレ球をS3軸の上方から見たときの図である。
同様に、図3A及び図3B,図4A及び図4B,図5A及び図5B,図6A及び図6B,図7A及び図7Bの関係も、図2A及び図2Bの関係と同じであり、これらの図にそれぞれ示すように、赤道110上のどの点D(又はE)を中心にしても、2点S,S′を通る円120を描くことができ、点Sで表される入力偏光状態を点S′で表される出力偏光状態へ円120(円弧SS′)に沿って変化(変換)させることができる。
したがって、出力偏光状態を変化させずにポアンカレ球上の回転軸をπだけ回転させることができる。換言すれば、入力偏光状態(点S)と出力偏光状態(点S′)との関係が、ポアンカレ球100の赤道110に関して対称な位置関係にあるときに、ポアンカレ球上の回転軸をπだけ回転させれば、出力偏光状態を変化させずに位相シフト量を変化させる方向を切り替えることが可能となり、位相シフト量を0〜λまで変化させずに無限追従制御を実現できることになる。
〔B〕本発明の一実施形態としての偏波コントローラの説明
以下、このような無限追従制御を実現する偏波コントローラについて説明する。図8は本発明の一実施形態としての無限追従型の偏波コントローラ(偏波制御器)の構成を示すブロック図で、この図8に示す偏波コントローラは、表面に電極11,12,13を有するLN基板1と、ビームスプリッタ(BS)2,3と、偏光状態測定器4,5と、制御回路6とをそなえて構成されている。
ここで、LN基板(可変偏光素子)1は、例えば図9に模式的に示すように、x−cutされた(結晶軸のx軸に平行にカットされた)ニオブ酸リチウム〔LN(LiNbO3)〕結晶(複屈折材料)からなる基板にz軸方向へ入力光を伝搬(z伝搬)する導波路10が設けられた構造を有しており、制御回路6から電極(ホット電極)11,13に下記の式(1)及び式(2)で表される電圧V1,V2がそれぞれ印加されるようになっている。なお、電極12はグランド電極である。
V1=(V0/a)sinΘ+V0〜λcosΘ+VT/2 …(1)
V2=(V0/a)sinΘ−V0〜λcosΘ−VT/2 …(2)
ただし、これらの式(1)及び式(2)において、V0は完全にTE−TM変換させる電圧を示しており、aは位相シフト量に依存する変数である。また、V0〜λは0〜λまでの位相シフトを引き起こすための電圧を表し、VTは導波路10に残存する複屈折を補償するための固定バイアス電圧を表す。ΘはLN結晶1(以下、単に「素子1」と表記する)の光学軸の方位を示している。
上記のような電圧V1,V2を印加することにより、素子1の位相シフト量と素子1の方位を変化させて、導波路10を伝搬する入力光の偏光状態を変化させることが可能となり、1段構成の偏波コントローラが実現される。
入力側のビームスプリッタ2は、入力光の一部を入力モニタ光として偏光状態測定器4へ分岐するもので、残りの入力光は素子1の導波路10へ導入されるようになっている。出力側のビームスプリッタ3は、素子1の出力光の一部を出力モニタ光として偏光状態測定器5へ分岐するものである。
入力側の偏光状態測定器(入力光測定器)4は、上記ビームスプリッタ2から入力される入力モニタ光の偏光状態(入力偏光状態)を測定(モニタ)するものであり、出力側の偏光状態測定器(出力光測定器)5は、上記ビームスプリッタ3から入力される出力モニタ光の偏光状態(出力偏光状態)を測定するものである。つまり、これらの測定器4,5は、素子1の入力光及び出力光の偏光状態をモニタする偏光状態モニタ手段として機能する。
そして、制御回路6は、上記の各偏光状態測定器4,5で測定される入力光偏光状態及び出力偏光状態のポアンカレ球100上での位置がポアンカレ球100の赤道110に対して対称(略対称な状態を含む)な位置(以下、対称位置という)にあるときに、素子1の光学軸の方位Θを変化させることによりポアンカレ球上の回転軸をπだけ回転させるとともに、位相シフト量V0〜λの変化方向を反転させる電圧(V1,V2)制御を行なうものである。
ここで、上記の対称位置は、S3軸の上方からポアンカレ球を見た場合に、2つの状態を表すポアンカレ球上の点が重なるときであるから、入力光についてのストークスパラメータS1,S2,S3の絶対値と、出力光についてのストークスパラメータS1,S2,S3の絶対値とが一致する状態である。
したがって、入力側の偏光状態測定器(以下、入力偏光状態測定器ともいう)4において、入力光についてのストークスパラメータS1,S2,S3を求め、出力側の偏光状態測定器(以下、出力偏光状態測定器ともいう)5において、出力光についてのストークスパラメータS1,S2,S3を求めて、制御回路6において、各パラメータS1,S2,S3の値を比較すれば、上記対称位置を見つけることができる。しかし、ストークスパラメータS1,S2,S3を求めることのできる測定器(ストークスアナライザ等)は一般に高価である。
そこで、本実施形態では、例えば図10及び図11に示すように、偏光状態測定器4,5を、それぞれ、入力光/出力光をそれぞれ3つのフォトダイオード(PD;受光素子)43,46,49/53,56,59で受光して、ポアンカレ球100の3軸(S1軸,S2軸,S3軸)方向の成分別に受光量を測定できるように構成し、制御回路6では、その受光量の関係から上記対称位置を見つけるようにする。なお、このように3つのPDを用いて偏光状態を測定する測定器4,5を3PD測定器4,5と表記することがある。
より詳細には、入力偏光状態測定器4は、図10に示すように、上記PD43,46,49(以下、「入力PD」と表記することがある)に加えて、ビームスプリッタ41,44,偏光板42,45,48(第1,第2,第3の入力光偏光板)及び1/4波長板48(第1の1/4波長板)をそなえて構成され、入力光の一部をビームスプリッタ41で分岐し、その分岐光を光学軸の方位が0°の偏光板42を介してPD43(第1の入力光受光素子)で受光するとともに、同じ入力光の一部をビームスプリッタ44で分岐し、その分岐光を光学軸の方位が45°の偏光板を介してPD46(第2の入力光受光素子)で受光し、且つ、ビームスプリッタ41,44を通過する入力光を光学軸の方位が0°の1/4波長板47及び光学軸の方位が45°の偏光板48を介してPD49(第3の入力光受光素子)で受光する構成とする。なお、一般に、光学軸の方位が0°(90°)の1/4波長板は、右回り円偏光を斜め45°直線偏光に、左回り円偏光を斜め135°直線偏光にそれぞれ変換する機能を有する。
これにより、入力PD43には、TE成分(S1軸成分)が受光され、入力PD46には、斜め45°直線偏光成分(S2軸成分)が受光され、入力PD49には、1/4波長板47で斜め45°直線偏光成分に変換されて方位が45°の偏光板48を通過する円偏光成分(S3軸成分)が受光され、それぞれの受光量に応じた電圧信号が制御回路6へ出力されることになる。したがって、各PD43,46,49の受光量は、S0〜S3で表すことができて、下記のようになる。
入力PD43=(S0±S1)/2 …(3)
入力PD46=(S0±S2)/2 …(4)
入力PD49=(S0±S3)/2 …(5)
一方、出力偏光状態測定器5は、図11に示すように、上記PD(以下、出力PDと表記することがある)53,56,59に加えて、ビームスプリッタ51,54,偏光板52,55,58(第1,第2,第3の出力光偏光板)及び1/4波長板58をそなえて構成され、出力光の一部をビームスプリッタ51で分岐し、その分岐光を光学軸の方位が0°の偏光板52を介してPD53(第1の出力光受光素子)で受光するとともに、同じ出力光の一部をビームスプリッタ54で分岐し、その分岐光を光学軸の方位が45°の偏光板55を介してPD56(第2の出力光受光素子)で受光し、且つ、ビームスプリッタ51,54を通過する入力光を光学軸の方位が0°の1/4波長板57及び光学軸の方位が135°の偏光板58を介してPD59(第3の出力光受光素子)で受光する構成とする。
これにより、出力偏光状態測定器5においても、出力PD53には、TE成分(S1軸成分)が受光され、出力PD56には、斜め45°直線偏光成分(S2軸成分)が受光されるが、出力PD59には、方位が1/4波長板47と同じ1/4波長板57で斜め45°直線偏光成分に変換されて方位が偏光板48と90°異なる135°の偏光板58を通過する円偏光成分(S3軸成分:ただし、入力PD49とは逆符号の成分)が受光され、それぞれの受光量に応じた電圧信号が制御回路6へ出力されることになる。したがって、各PD53,56,59の受光量も、S0〜S3で表すことができて、下記のようになる。
入力PD53=(S0±S1)/2 …(6)
入力PD56=(S0±S2)/2 …(7)
以上の式(3)〜式(8)から分かるように、入力PD43と出力PD53が複号同順、入力PD46と出力PD56が複号同順、入力PD49と出力PD59が複号逆順の対応関係にある。入力偏光状態と出力偏光状態の関係が、ポアンカレ球100の赤道110に関して対称(図1参照)であるとき、これら2つの偏光状態間のストークスパラメータの関係は、S1とS2がそれぞれ大きさ符号とも等しく、S3は大きさが同じで符号が反対となるので、制御回路6は、入力PD43と出力PD53、入力PD46と出力PD56、入力PD49と出力PD59の値が互いに等しいときに、ポアンカレ球100上の回転軸をπだけ回転させる切り替え制御を行なえばよいことになる。
つまり、制御回路6は、入力偏光状態測定器4で測定された受光量と出力偏光状態測定器5で測定された受光量とがポアンカレ球100の3軸成分毎に一致(もしくは略一致)したことを検出することで入力偏光状態及び出力偏光状態がポアンカレ球100の赤道110に対して対称位置にあることを検出する対称位置検出部61(図8参照)としての機能をそなえていることになる。
そして、本例では、1/4波長板47,57の方位を各測定器4,5で互いに同じにするとともに、偏光板48,58の方位を各測定器4,5で互いに90°異なるように配置することで、PD49,59では、上記のS3軸成分に関する復号逆順関係が考慮された上で円偏光成分が受光されるので、制御回路6では、単純にそれぞれの大きさ比較をするだけで対称位置を見つけることができる。
なお、3つのPD43,46,49又は53,56,59への光の分岐比は関係なく、各PD43,46,49又は53,56,59の組に同じ大きさの光が入っていればよい。また、上記の偏光板42(52),偏光板45(55),1/4波長板47(57),偏光板49(59)の組み合わせ(光学軸の方位の組み合わせ)と等価な組み合わせを下記の表1及び表2に示す。下記表1及び表2における1番目の組み合わせが図10及び図11に示した組み合わせである。いずれの組み合わせを適用しても、上記と同様にストークスパラメータを求めることなくPDの受光量の関係から上記対称位置を見つけることが可能である。
つまり、出力偏光状態測定器5において、1/4波長板57は、その光学軸の方位が入力偏光状態測定器4における1/4波長板47と同じ又は90°異なるように配置され、偏光板58は、この1/4波長板57と入力偏光状態測定器4における1/4波長板47の光学軸の方位が同じ場合は入力偏光状態測定器4における偏光板48と光学軸の方位が90°異なるように配置され、90°異なる場合は当該偏光板48と光学軸の方位が同じになるように配置されるのである。
このような配置関係をとることで、入力PD49及び出力PD59では、いずれの場合も、上記のS3軸成分に関する復号逆順関係が考慮された上で円偏光成分が受光されるので、制御回路6においては、上述のごとく単純な大きさ比較で済む。ただし、制御回路6において、上記復号逆順関係をソフトウェア処理等によって変換する場合は、各測定器4,5における偏光板42,52,偏光板45,55),1/4波長板47,57,偏光板49,59の組み合わせ(光学軸の方位の組み合わせ)は上記の表1及び表2には限られず、各測定器4,5でそれぞれ独立してポアンカレ球100の3軸成分検出を行なえばよいことになる。
以上のような構成により、本実施形態の偏波コントローラでは、出力光を出力偏光状態測定器5によって出力光の偏光状態をモニタし、制御回路6が、所望の偏光状態となるように光学軸の方位と位相シフト量を制御して追従制御を行なう。一方で、制御回路6は、各測定器4及び5での測定結果に基づいて、入力光と出力光の偏光状態がポアンカレ球100上で赤道110に対して対称位置にあるかをチェックする。なお、この場合、入力光と出力光の偏光状態の双方を観測しているため、素子1にドリフトがあっても問題はない。
そして、観測した2つの偏光状態がポアンカレ球100の赤道110に対して対称位置にあれば、出力偏光状態測定器5によって出力光の偏光状態をモニタしながら、当該偏光状態が変わらないように位相シフト量を調節しつつ、ポアンカレ球100上の回転軸をπだけ回転させる切り替え制御を行なう。
これにより、図2A,図2B〜図7A,図7Bにより前述したように、1段構成の偏波コントローラにおいて、入出力偏光状態が上記対称位置にある関係を保持しながら、即ち、出力偏光状態を変化させることなく位相シフト電圧V0〜λの変化方向を切り替えることができ、λ未満の位相シフト量で無限追従制御を実現することが可能となる。したがって、全体としてコンパクトな構成で、従来よりも無限追従制御に必要な可変電圧範囲を節約することができ、消費電力を低減することができる。
また、入力光及び出力光の偏光状態を3PD測定器4,5により測定するので、高価な測定器を用いてストークスパラメータを求める必要がなく、構成が簡単となり、偏波コントローラの低コスト化を図ることができる。もっとも、既存の測定器を適用しても、位相シフト量がλ未満での無限追従制御を実現することは可能である。
〔B1〕変形例の説明
なお、上述のごとくポアンカレ球100上の回転軸をπだけ回転させる切り替え制御は、上記の対称位置(切り替えポイント)を見つけたときにすぐに行なうと、その直後に位相シフト量の変化が逆方向になり、位相シフト量の変化の範囲がλを超えてしまうことがある。
そこで、制御回路6において、追従制御中に、上記切り替えポイントを見つけた後の位相シフト量の微小変化を観測し、図12及び図14に示すように、位相シフト量の変化の方向が微小変化後もそれまでと同じ方向であれば、切り替え制御を行ない、逆に、図13及び図15に示すように、位相シフト量の変化の方向が微小変化後に逆方向となっていれば、当該切り替え制御は行なわないようにする。
具体的には、制御回路6において、位相シフト量を変化させている電圧(位相シフト電圧)V0〜λを監視(モニタ)しておき、上記切り替えポイントを見つけたときに、その直前と直後の偏光状態を加えた3つの状態での位相シフト電圧V0〜 λに基づいて位相シフト電圧V0〜λの変化する方向が逆転するか否かをチェックし、逆転していれば、ポアンカレ球100上の回転軸をπだけ回転させる切り替え制御を行ない、逆転していなければ、位相シフト電圧V0〜λの変化する方向が逆方向になった場合には、当該切り替え制御を行なわないようにする。
つまり、この場合の制御回路6は、位相シフト量の変化方向を素子1に印加する電圧V0〜λを監視することでモニタする位相シフト監視部(電圧値監視部)62(図8参照)としての機能と、この位相シフト監視部62において、少なくとも上記の各偏光状態が対称位置になった直後の位相シフト量の変化が、その直前の変化と同じ方向であることが観測されると、上記のポアンカレ球100の回転制御を行なう一方、逆方向であることが観測されると、当該回転制御を行なわない光学軸制御部63としての機能とをそなえていることになる。
このような制御回路6の機能により、上記切り替えポイントでの切り替え制御を行なった直後に位相シフト量の変化が逆方向になり、位相シフト量の変化の範囲がλを超えてしまうことを防止することが可能となる。また、切り替え制御を実行するか否かを位相シフト電圧V0〜λをモニタすることで判断することができるので、かかる制御を容易に実現することができる。
〔C〕本発明の一実施形態としての偏波モード分散(PMD:Polarization−Mode Dispersion)補償器の説明
図16は本発明の一実施形態としてのPMD補償器の構成を示すブロック図で、この図16に示すPMD補償器は、上述した1段構成の無限追従型の偏波コントローラ〔素子1,BS2,3,偏光状態測定器4,5及び制御回路6〕を用いて構成され、他に、DGD(Differential Group Delay)発生器7,ビームスプリッタ(BS)8,偏光度(DOP)測定器9及び制御回路10をそなえて構成されている。
ここで、DGD発生器7は、上記偏波コントローラのBS3の出力光を入力光として受光し、当該入力光に制御回路10の制御の下に群遅延時間差を与えるものであり、BS8は、このDGD発生器7から出射される光を2分岐して一方をDOP測定器9へ出力し、他方をPMD補償後の出力光として出力するものである。
そして、制御回路10は、上記DOP測定器9で測定されたDOPが最大(=1)となるようにDGD発生器7にて偏波コントローラの出力光に与える群遅延時間差を制御するものである。
なお、この場合、偏波コントローラの制御回路6も、DOP測定器9の測定結果に基づいてDOPが最大となるように、素子1の方位と位相シフト量を制御するとともに、前記切り替えポイントでの切り替え制御を行なうことになる。この際、項目〔B1〕で述べた制御を行なうようにしてもよい。また、制御回路6と制御回路10とは共用化してもよい。さらに、偏光状態測定器4,5には、図10及び図11により前述した3PD測定器を適用してもよいし、既存の測定器を適用することもできる。
このような構成により、本実施形態のPMD補償器では、PMD補償のための偏波コントローラにおける無限追従制御をλ未満の位相シフト量で実現することができ、既存の偏波コントローラを用いる場合に比して、PMD補償器の消費電力を全体として低減することが可能となる。
なお、DOP測定器9を用いる場合は、無限追従制御における上記切り替えポイントを、偏光状態測定器4,5を用いずに見つけることも可能である。即ち、PMD補償器を例えば図17に示す構成とする。
そして、DOP測定器9で測定されるDOPが最大となるように制御回路6及び10による制御を行なった後、偏波コントローラ(素子1)の位相シフト量を微小量減少させるとともに、素子1の方位を微小量変化させてポアンカレ球100上の回転軸を微小回転させてみて、DOPが保たれれば、さらに、位相シフト量を微小量減少させ、ポアンカレ球100上の回転軸も微小量回転させる。これを何度か繰り返し行なうことができれば、この状態が入出力偏光状態の関係(対称位置関係)を維持しながらポアンカレ球100上の回転軸をπだけ回転させることのできる切り替えポイントになる。
つまり、制御回路6は、位相シフト量の微小量変化と素子1の方位の微小量回転とを繰り返しても、DOP測定器9で測定されるDOPが保たれる(悪化しない)ときに、素子1の入力光及び出力光の各偏光状態を表すポアンカレ球100上の位置が赤道110に対して対称位置にあると判断して、上記の切り替え制御を行なうのである。
このような制御を行なうことで、上記切り替えポイントを、偏光状態測定器4,5を用いずに見つけて、当該切り替えポイントで素子1の方位を変化させてポアンカレ球100上の回転軸をπだけ回転させる切り替え制御を行なうことができる。したがって、この場合は、λ未満の位相シフト量で無限追従制御を実現して消費電力を低減しつつ、PMD補償器の小型化,低コスト化を図ることが可能となる。
Claims (14)
- 可変偏光素子(1)の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子(1)に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器であって、
該可変偏光素子(1)の入力光及び出力光の偏光状態をモニタする偏光状態モニタ手段(4,5)と、
該偏光状態モニタ手段(4,5)でモニタした各偏光状態を表すポアンカレ球(100)上の位置が該ポアンカレ球(100)の赤道(110)に対して対称もしくは略対称な位置(以下、対称位置という)にあるときに、該光学軸の方位を変化させることにより該ポアンカレ球(100)の地軸(S3軸)を回転軸として該ポアンカレ球(100)をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転させる制御手段(6)とをそなえたことを特徴とする、無限追従型の偏波制御器。 - 該制御手段(6)が、上記の各偏光状態が該対称位置にあることが検出される毎に、上記のポアンカレ球(100)の回転と位相シフト量の変化方向の反転とを繰り返し行なうように構成されたことを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の無限追従型の偏波制御器。
- 該偏光状態モニタ手段(4,5)が、
該ポアンカレ球(100)の3軸(S1軸,S2軸,S3軸)方向の成分別に該入力光の受光量を測定する入力光測定器(4)と、
該ポアンカレ球(100)の3軸(S1軸,S2軸,S3軸)方向の成分別に該出力光の受光量を測定する出力光測定器(5)とをそなえ、
該制御手段(6)が、
該入力光測定器(4)で測定された受光量と該出力光測定器(5)で測定された受光量とが該成分毎に一致もしくは略一致したことを検出することで上記の各偏光状態が該対称位置にあることを検出する対称位置検出部(61)をそなえたことを特徴とする、請求の範囲第1項又は第2項に記載の無限追従型の偏波制御器。 - 該入力光測定器(4)が、
該入力光を第1の入力光偏光板(42)を介して受光する第1の入力光受光素子(43)と、
該入力光を該第1の入力光偏光板(42)と光学軸の方位が45°異なる第2の入力光偏光板(45)を介して受光する第2の入力光受光素子(46)と、
該入力光を光学軸の方位が0°又は90°の第1の1/4波長板(47)及び当該第1の1/4波長板(47)と光学軸の方位が45°又は135°異なる第3の入力光偏光板(48)を介して受光する第3の入力光受光素子(49)とをそなえて構成されたことを特徴とする、請求の範囲第3項に記載の無限追従型の偏波制御器。 - 該出力光測定器(5)が、
該出力光を第1の出力偏光板(52)を介して受光する第1の出力光受光素子(53)と、
該出力光を該第1の出力光偏光板(52)と光学軸の方位が45°異なる第2の出力光偏光板(55)を介して受光する第2の出力光受光素子(56)と、
該出力光を光学軸の方位が0°又は90°の第2の1/4波長板(57)及び当該第2の1/4波長板(57)と光学軸の方位が45°又は135°異なる第3の出力光偏光板(58)を介して受光する第3の出力光受光素子(59)とをそなえて構成されたととを特徴とする、請求の範囲第3項又は第4項に記載の無限追従型の偏波制御器。 - 該出力光測定器(5)が、
該出力光を第1の出力偏光板(52)を介して受光する第1の出力光受光素子(53)と、
該出力光を該第1の出力光偏光板(52)と光学軸の方位が45°異なる第2の出力光偏光板(55)を介して受光する第2の出力光受光素子(56)と、
該出力光を、光学軸の方位が該第1の1/4波長板(47)と同じ又は90°異なる第2の1/4波長板(57)と、当該第2の1/4波長板(57)と該第1の1/4波長板(47)の光学軸の方位が同じ場合は該第3の入力偏光板(48)と光学軸の方位が90°異なり、90°異なる場合は該第3の入力偏光板(48)と光学軸の方位が同じ第3の出力光偏光板(58)とを介して受光する第3の出力光受光素子(59)とをそなえて構成されたことを特徴とする、請求の範囲第4項に記載の無限追従型の偏波制御器。 - 該制御手段(6)が、
該位相シフト量の変化方向をモニタする位相シフト監視部(62)と、
該位相シフト監視部(62)において、少なくとも上記の各偏光状態が該対称位置になった直後の位相シフト量の変化が、その直前の変化と同じ方向であることが観測されると、上記のポアンカレ球(100)の回転制御を行なう一方、逆方向であることが観測されると、当該回転制御を行なわない光学軸制御部(63)とをそなえたことを特徴とする、請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の無限追従型の偏波制御器。 - 該位相シフト監視部(62)が、該可変偏光素子(1)に印加する該位相シフト量を変化させる電圧値の変化を監視する電圧値監視部として構成されたことを特徴とする、請求の範囲第7項に記載の無限追従型の偏波制御器。
- 可変偏光素子(1)の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子(1)に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器を用いて偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償器であって、
該可変偏光素子(1)の入力光及び出力光の偏光状態をモニタする偏光状態モニタ手段(4,5)と、
該可変偏光素子(1)の出力光について群遅延時間差を与える群遅延時間差発生器(7)と、
該群遅延時間差発生器(7)の出力光の偏光度を測定する偏光度測定器(9)と、
該偏光度測定器(9)で測定された偏光度が最大となるように該方位と該位相シフト量とを制御するとともに、該偏光状態モニタ手段(4,5)でモニタした各偏光状態を表すポアンカレ球(100)上の位置が該ポアンカレ球(100)の赤道(110)に対して対称もしくは略対称な位置にあるときに、該ポアンカレ球(100)の地軸(S3軸)を回転軸として該ポアンカレ球(100)をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転させる制御手段(6)とをそなえたことを特徴とする、無限追従型の偏波制御器を用いた偏波モード分散補償器。 - 可変偏光素子(1)の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子(1)に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器を用いて偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償器であって、
該可変偏光素子(1)の出力光について群遅延時間差を与える群遅延時間差発生器(7)と、
該群遅延時間差発生器(7)の出力光の偏光度を測定する偏光度測定器(9)と、
該位相シフト量の微小量変化と該可変偏光素子(1)の該方位の微小量回転とを繰り返しても、該偏光度測定器(9)で測定される該偏光度が保たれるときに、該可変偏光素子(1)の入力光及び出力光の各偏光状態を表すポアンカレ球(100)上の位置が該ポアンカレ球(100)の赤道に対して対称もしくは略対称な位置にあると判断して、該可変偏光素子(1)の該方位を回転させることにより該ポアンカレ球(100)の地軸(S3軸)を回転軸として該ポアンカレ球(100)をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転する制御手段(6)とをそなえたことを特徴とする、無限追従型の偏波制御器を用いた偏波モード分散補償器。 - 可変偏光素子(1)の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子(1)に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器において、
該可変偏光素子(1)の入力光及び出力光の各偏光状態をモニタし、
上記各偏光状態を表すポアンカレ球(100)上の位置が該ポアンカレ球(100)の赤道に対して対称もしくは略対称な位置(以下、対称位置という)にあるときに、該可変偏光素子(1)の該方位を回転させることにより該ポアンカレ球(100)の地軸を回転軸(S3軸)として該ポアンカレ球(100)をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転することを特徴とする、無限追従偏波制御方法。 - 該対称位置にあることが検出される毎に、上記のポアンカレ球(100)の回転と位相シフト量の変化方向の反転とを繰り返し行なうことを特徴とする、請求の範囲第11項に記載の無限追従偏波制御方法。
- 可変偏光素子(1)の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子(1)に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器において、
該可変偏光素子(1)の出力光の偏光度を偏光度測定器(9)により測定し、
該偏光度測定器(9)で測定された偏光度が最大となるように、該可変偏光素子(1)の出力光について群遅延時間差を与える群遅延時間差発生器(7)を制御するとともに、該可変偏光素子(1)の入力光及び出力光の各偏光状態を表すポアンカレ球(100)上の位置が該ポアンカレ球(100)の赤道(110)に対して対称もしくは略対称な位置にあるときに、該可変偏光素子(1)の該方位を回転させることにより該ポアンカレ球(100)上の地軸(S3軸)を回転軸として該ポアンカレ球(100)をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転させることを特徴とする、無限追従偏波制御方法。 - 可変偏光素子(1)の光学軸の方位と位相シフト量を変化させることにより該可変偏光素子(1)に入力された光の偏光状態を制御する偏波制御器を用いて偏波モード分散を補償する偏波モード分散補償器において、
該可変偏光素子(1)の出力光の偏光度を偏光度測定器(9)により測定し、
該位相シフト量の微小量変化と該可変偏光素子の該方位の微小量回転とを繰り返しても、該偏光度測定器(9)で測定される該偏光度が保たれるときに、該可変偏光素子(1)の入力光及び出力光の各偏光状態を表すポアンカレ球(100)上の位置が該ポアンカレ球(100)の赤道に対して対称もしくは略対称な位置にあると判断して、該可変偏光素子(1)の該方位を回転させることにより該ポアンカレ球(100)上の地軸(S3軸)を回転軸として該ポアンカレ球(100)をπだけ回転させるとともに、該位相シフト量の変化方向を反転させることを特徴とする、無限追従偏波制御方法。
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