JP4113566B1 - 繊維強化樹脂パネルとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊維強化樹脂製パネル1は、熱硬化性樹脂5が含浸された繊維シート4によって波形状に形成された繊維強化樹脂層2aの両面に発泡樹脂層3が接合され、この発泡樹脂層3の外面3aに熱硬化性樹脂5が含浸された繊維シート4からなる繊維強化樹脂層2bが接合されるとともに、発泡樹脂層3が繊維強化樹脂層2aに接する波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分に浸透して硬化した熱硬化性樹脂5によって繊維強化樹脂層2a,2bが互いに接合された構造となっている。
【選択図】図1
Description
特許文献1に開示された発明は、ポリスチレンフォームなどの発泡樹脂からなる板状の芯材層と、この芯材層の少なくとも一方の面に接着される繊維層とを備えるものである。
このような構造によれば、接着剤となる樹脂が含浸された繊維シートからなる繊維層が芯材への水分の浸透を阻むとともに、芯材の曲げ強度を高めるという作用を有する。また、発泡樹脂からなる芯材は総重量を軽くする効果がある。これにより、建築材の軽量化及び高強度化を図ることができる。
特許文献2に開示された発明は、発泡ポリウレタン樹脂等の発泡樹脂と多数のガラス長繊維とを素材とする成形体をガラス長繊維の方向が異なるように複数積層し、その積層体の外面にFRP(繊維強化樹脂)を被覆したことを特徴としている。
このような構造によれば、方向が異なるように設置された多数のガラス長繊維やFRPが積層体の曲げ剛性を高めるように作用する。これにより、必要な強度を確保しつつ、積層体の軽量化を図ることが可能となる。
特許文献3に開示された発明は、骨材となる繊維シートに熱可塑性樹脂を含浸させた一方向繊維補強熱可塑性樹脂板の積層体と、発泡樹脂体とが接着剤を用いることなく、それぞれの樹脂が相互に溶融、混和、固化して形成される層によって接合されたことを特徴としている。
このような構造によれば、加熱溶融された熱可塑性樹脂の流動が繊維によって制限され、積層体の形状が保持される。また、溶融状態の熱可塑性樹脂積層体から供給される熱によって発泡樹脂体の表層が溶融し、熱可塑性樹脂積層体と発泡樹脂体が互いに溶着する。さらに、繊維シートに含浸させる樹脂として熱可塑性樹脂を使用しているため、熱硬化性樹脂を使用する場合に必要な反応、養生の時間が不要となる。これにより、機械的結合部材や接着剤等を使用せずに、熱可塑性樹脂積層体と発泡樹脂体とを短時間で互いに強固に接合することが可能となる。
このような構造の繊維強化樹脂パネルでは、発泡樹脂層は全体の総重量を軽減するという作用を有する。さらに、第二の繊維強化樹脂層は、引っ張りや曲げに対する発泡樹脂層の剛性を高めるとともに、発泡樹脂層の内部への水分等の浸透を阻止するという作用を有する。加えて、第一の繊維強化樹脂層は波板状をなしていることから、引っ張りや曲げに対してのみならず、せん断や圧縮に対しても発泡樹脂層の剛性を高めるという作用を有する。また、表面張力が小さい樹脂が発泡樹脂層の内部に浸透するという作用を有する。そして、それぞれの繊維強化樹脂層から発泡樹脂層に浸透して互いに混ざり合い硬化した樹脂は、第一の繊維強化樹脂層、第二の繊維強化樹脂層及び発泡樹脂層を互いに接合する接着剤として作用する。
このような構造の繊維強化樹脂パネルにおいては、第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層からそれぞれ滲み出した樹脂が貫通孔に流れ込んで容易に混合するという作用を有する。すなわち、各繊維強化樹脂層に含有される樹脂が、上記接着剤となる。これに対して、各繊維強化樹脂層に含有される樹脂とは別個の接着剤を用いることによれば、第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層から樹脂が滲み出さない場合でも、この接着剤によって各繊維強化樹脂層が互いに接合されるという作用を有する。
発泡樹脂層の波形面の凹部と外面に挟まれる部分は、肉厚が0.5mmより薄い場合、破損し易いが、上記構造の繊維強化樹脂パネルにおいては、発泡樹脂層の波形面の凹部と外面に挟まれる部分の肉厚が0.5mm以上であることから、破損し難い。また、発泡樹脂層の波形面の凹部と外面に挟まれる部分の肉厚が厚過ぎると、第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層からそれぞれ滲み出した樹脂が発泡樹脂層に浸透した後、上記部分において混ざり合うまでに要する時間が長くなる。さらに、このとき第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層から十分な量の樹脂が滲み出して混ざり合うようにするためには、多量の樹脂が必要となる。そして、第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層に接合される発泡樹脂層は、深さが略1mm以内である表層部において最も剛性が高く、その深さが深くなるにつれて剛性は低下する。従って、第一の繊維強化樹脂層又は第二の繊維強化樹脂層からの深さが1mmを超える箇所では、発泡樹脂層の内部に浸透した樹脂が硬化した状態にあっても高い剛性を確保することは難しい。これに対し、上記構造の繊維強化樹脂パネルにおいては、発泡樹脂層の波形面の凹部と外面に挟まれる部分の肉厚が2mm以下であることから、第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層からそれぞれ滲み出した樹脂をこの部分で十分に混ざり合わせるのに要する時間や樹脂の量が節約される。さらに、発泡樹脂層の波形面の凹部と外面に挟まれる部分は、硬化した樹脂によって高い剛性が確保される。これにより、第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層は互いに強固に接合されことになる。
このような繊維強化樹脂パネルの製造方法によれば、請求項1における波板状の第一の繊維強化樹脂層と、その両面にそれぞれ接合される一対の発泡樹脂層と、発泡樹脂層の外面に接合される第二の繊維強化樹脂層が、高価な設備や材料を用いることなく、簡単な工程で形成される。
このような繊維強化樹脂パネルの製造方法によれば、第一の平板材の波形面に布設した第一の繊維シートと、第一の平板材及び第二の平板材の外面に布設した第二の繊維シートに樹脂を含浸させた後、第一の平板材又は第二の平板材の波形面の凹部と第一の平板材又は第二の平板材の外面に挟まれる部分において第一の繊維シートに含浸させた樹脂と第二の繊維シートに含浸させた樹脂を混合硬化させる手順としていることから、この部分における樹脂の混合に対して時間的余裕を設け易い。なお、上記製造方法においては、第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層を形成する順番は特に限定されない。すなわち、本請求項に記載の繊維強化樹脂パネルの製造方法には、第一の繊維強化樹脂層を形成した後に、第二の繊維強化樹脂層を形成する場合のみならず、第一の繊維強化樹脂層を形成する前に、第二の繊維強化樹脂層のうちの少なくとも一部を形成する場合も含まれる。
このような製造方法によれば、貫通孔内に流し込まれて硬化した接着剤によって第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層が互いに接合された請求項2記載の繊維強化樹脂パネルが容易に製造される。
このような繊維強化樹脂パネルの製造方法によれば、第一の平板材又は第二の平板材において、波形面の谷部と外面に挟まれる部分の肉厚を0.5mm以上としているため、破損し難い。従って、波形面の加工作業が容易となる。また、上記部分の肉厚を2mm以下としているため、第一の繊維シート及び第二の繊維シートからそれぞれ滲み出して第一の平板材又は第二の平板材に浸透した樹脂が上記部分において混ざり合うのに要する時間が短縮されるとともに、樹脂の必要量が節約される。そして、樹脂の硬化により上記部分の剛性が高くなる。これにより、第一の繊維強化樹脂層及び第二の繊維強化樹脂層は互いに強固に接合される。
図1(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る繊維強化樹脂パネルの外観斜視図及び断面図であり、図2(a)乃至(c)は本実施例の繊維強化樹脂パネルを構成する発泡樹脂層の波形面の凹部近傍における熱硬化性樹脂の状態を説明するための模式図である。また、図3(a)及び(b)は本実施例の繊維強化樹脂パネルの変形例を示す断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施例の繊維強化樹脂パネル1は、熱硬化性樹脂5が含浸されたガラスクロスからなる繊維シート4によって波板状の繊維強化樹脂層2aが形成され、その両面にそれぞれ接合される発泡スチロールによって発泡樹脂層3が形成されるとともに、この発泡樹脂層3の外面3aに布設されるガラスクロスからなる繊維シート4に熱硬化性樹脂5が含浸されて繊維強化樹脂層2bが形成されている。そして、図2(a)に示すように、矢印A,Bの向きに繊維強化樹脂層2a,2bから滲み出して発泡樹脂層3が繊維強化樹脂層2aに接する波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分に滲み込んだ熱硬化性樹脂5が、図2(b)及び(c)に示すように混ざり合って硬化した状態となっている。なお、繊維強化樹脂パネル1の厚さは5mm以上であり、発泡樹脂層3の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分の肉厚は0.5〜2mmである。
従って、上記構造の繊維強化樹脂パネル1においては、繊維強化樹脂層2a,2bを構成する熱硬化性樹脂5が発泡樹脂層3に浸透し、図2(c)に示すように、発泡樹脂層3の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分において混ざり合うことになる。なお、熱硬化性樹脂5は硬化することで繊維強化樹脂層2a,2bを発泡樹脂層3に接合する接着剤として作用する。そして、発泡樹脂層3の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分に存在する前述の熱硬化性樹脂5は硬化することにより、繊維強化樹脂層2a,2bを互いに強固に接合するという作用を有する。つまり、熱硬化性樹脂5が含浸された発泡樹脂層3を、熱硬化性樹脂5が含浸された繊維強化樹脂層2a,2bによって挟みながら、熱硬化性樹脂5を硬化させることで、繊維強化樹脂層2a,2bを強固に接合するのである。
これにより、繊維強化樹脂層2a,2bが発泡樹脂層3に接合されただけの場合に比べて、繊維強化樹脂パネル1の剛性は格段に高められる。また、発泡樹脂層3は全体の総重量を軽減するという作用を有する。
さらに、発泡樹脂層3の外面3aに接合される繊維強化樹脂層2bは、引っ張りや曲げに対する発泡樹脂層3の剛性を高めるとともに、前述のポリスチレンビーズの隙間を埋めることで発泡樹脂層3の内部への水分等の浸透を阻止するという作用を有する。加えて、繊維強化樹脂層2aは波板状をなしていることから、引っ張りや曲げに対してのみならず、せん断や圧縮に対しても発泡樹脂層3の剛性を高めるという作用を有する。そして、繊維強化樹脂層2a,2bを構成する熱硬化性樹脂5は、硬化時の架橋反応が不可逆であるため、高温で軟化する熱可塑性樹脂を使用する場合に比べて繊維強化樹脂パネル1の耐熱性が高いという作用を有する。
そして、繊維強化樹脂層2a,2bに接合される発泡樹脂層3は、深さが略1mm以内である表層部において最も剛性が高く、その深さが深くなるにつれて剛性は低下する。すなわち、繊維強化樹脂層2a,2bからの深さが1mmを超える箇所では、発泡樹脂層3の内部で熱硬化性樹脂が硬化していても、深さが略1mm以内の表層部と同程度の剛性を確保することは難しい。
これに対し、本実施例の繊維強化樹脂パネル1においては、発泡樹脂層3の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分は、肉厚が2mm以下であるため、繊維強化樹脂層2a,2bからそれぞれ滲み出した熱硬化性樹脂5が十分に混ざり合うのに要する時間や熱硬化性樹脂5の量が節約されるとともに、熱硬化性樹脂5の硬化によって高い剛性が確保されるという作用を有する。これにより、繊維強化樹脂層2a,2bは互いに強固に接合されることになる。
さらに、繊維強化樹脂層2a,2bを構成する繊維シート4はガラスクロスに限らず、例えば、ガラス不織布や炭化珪素繊維あるいは炭素繊維等の有機繊維やステンレス等の金属繊維であっても良い。
加えて、発泡スチロールに代えてポリプロピレンやポリウレタンなどからなる発泡樹脂によって発泡樹脂層3を形成することもできる。また、繊維強化樹脂層2a,2bを構成する熱硬化性樹脂5もエポキシ樹脂に限定されるものではなく、適宜変更可能である。すなわち、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等を使用することもできる。
また、発泡樹脂層3の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分において厚さ方向に貫通孔を設けた構造とすることもできる。この場合、繊維強化樹脂層2a,2bから滲み出た熱硬化性樹脂5が貫通孔に流れ込んで容易に混合する。そして、貫通孔の内部で硬化した熱硬化性樹脂5は繊維強化樹脂層2a,2bを互いに接合する接着剤として作用する。これに対し、繊維強化樹脂層2a,2bからの熱硬化性樹脂5の滲み出しが少ないか、又は全く滲み出しが無い場合には、予め準備しておいた接着剤を上記貫通孔に流し込んで硬化させることにより、繊維強化樹脂層2a,2bを接合することができる。なお、このとき使用する接着剤は、熱硬化性樹脂5と同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。このように発泡樹脂層3に上記貫通孔を設けることによれば、繊維強化樹脂層2a,2bからの熱硬化性樹脂5の滲み出しの有無によらず、繊維強化樹脂層2a,2bを確実に接合することができる。
さらに、繊維強化樹脂層2a,2bは、繊維シート4に熱硬化性樹脂5の代わりに熱可塑性樹脂を含浸させた構造であっても良い。なお、使用可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリサルフォンなどが挙げられる。
図4は本実施例の繊維強化樹脂パネルの製造手順を示す工程図であり、図5(a)乃至(e)及び図6(a)乃至(c)は図4の各工程における繊維強化樹脂パネルの縦断面を示す模式図である。なお、図1に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
まず、図4のステップS1において、一対の発泡スチロール製の平板材7の片面をそれぞれ波形に加工し、凹部6と外面3aに挟まれる部分の肉厚が0.5〜2mmとなるように波形面3bを形成する(図5(a))。
次に、図4のステップS2では、波形面3bが形成された平板材7の波形面3bに対して熱硬化性樹脂5としてエポキシ樹脂を刷毛等の塗装治具を用いて塗布する(図5(b))。このようにしてエポキシ樹脂が塗布された平板材7の波形面3bに、図4のステップS3で、繊維シート4としてガラスクロスを布設する(図5(c))。そして、図4のステップS4では、このガラスクロスの表面に刷毛等の塗装治具を用いて再びエポキシ樹脂を塗布し、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させた状態の繊維強化樹脂層2aを形成する(図5(d))。
さらに、波形面3bに繊維強化樹脂層2aが形成された平板材7に対し、図4のステップS5において、別の平板材7を波形面3bの凹凸が繊維強化樹脂層2aの凹凸に略符合するように密着させる(図5(e))。このようにして、繊維強化樹脂層2aの両面に配置された平板材7,7によって発泡樹脂層3,3が形成される。
次に、図4のステップS6において、熱硬化性樹脂5としてエポキシ樹脂を刷毛等の塗装治具を用いて平板材7,7の外面3aに塗布する(図6(a))。このようにしてエポキシ樹脂が塗布された平板材7,7の外面3aに、図4のステップS7で、繊維シート4としてガラスクロスを布設する(図6(b))。そして、図4のステップS8では、このガラスクロスの表面にローラを用いて加圧しながらエポキシ樹脂を塗布し、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させた状態の繊維強化樹脂層2bを形成する(図6(c))。なお、ローラの加圧により、繊維強化樹脂層2a,2bを構成するガラスクロス内の空気は外部に放出される。
最後に、この状態のまま、25℃の温度条件で30分放置して繊維強化樹脂層2a,2bのエポキシ樹脂を硬化させる(図4のステップS9)。なお、エポキシ樹脂を硬化させるには、硬化剤及び促進剤が必要である。そして、表1に示すように、エポキシ樹脂の硬化に要する時間は、硬化剤と促進剤の添加量及び周囲の温度によって変化する。すなわち、エポキシ樹脂の硬化時間は、硬化剤と促進剤の添加量を増やすと短くなり、硬化剤と促進剤の添加量を減らすと長くなる。また、エポキシ樹脂の硬化時間は、周囲の温度が高い場合には短くなり、周囲の温度が低い場合には長くなる。本実施例では、硬化剤と促進剤の添加量をそれぞれ0.5%及び1.0%としているが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。ただし、エポキシ樹脂の硬化時間が短すぎる場合には、繊維強化樹脂層2a,2bからそれぞれ滲み出して平板材7の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分に浸透したエポキシ樹脂の混合が完了する前に、硬化してしまい、繊維強化樹脂層2a,2bの接合が不十分となるおそれがある。従って、この部分においてエポキシ樹脂が混合するのに要する時間よりもエポキシ樹脂の硬化時間が長くなるように、硬化剤と促進剤の添加量は温度条件も考慮しながら決定することが必要である。
また、平板材7の波形面3bにエポキシ樹脂を塗布した後、平板材7の外面3bにローラを用いて加圧しながらエポキシ樹脂を塗布することにより、繊維強化樹脂層2a,2bのガラスクロスに残留する空気が1回の工程で効率よく放出される。
さらに、ローラの加圧により、繊維強化樹脂層2a,2bからのエポキシ樹脂の滲み出しと平板材7への浸透が促進される。なお、波形面3bから平板材7の内部に浸透して硬化したエポキシ樹脂は、繊維強化樹脂層2bを介して平板材7,7を互いに接合する接着剤として作用する。特に、平板材7の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分に浸透して硬化したエポキシ樹脂は繊維強化樹脂層2a,2bを互いに接合するという作用を有する。
また、外面3aから平板材7の内部に浸透して硬化したエポキシ樹脂は、繊維強化樹脂層2bを平板材7,7に接合するという作用を有する。加えて、本実施例の製造方法によれば、平板材7の外面3a及び波形面3bに対するエポキシ樹脂の塗布が完了して、繊維強化樹脂層2a,2bから滲み出したエポキシ樹脂が平板材7の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分に浸透した後にエポキシ樹脂を硬化させる手順としているため、上記部分においてエポキシ樹脂を十分に混合させる時間的余裕を設け易い。
また、平板材7の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分は、肉厚を0.5mm以上としているため、破損し難い。従って、波形面3bを加工する際の作業性が良い。
さらに、平板材7の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分の肉厚を2mm以下としているため、繊維強化樹脂層2a,2bからそれぞれ滲み出して平板材7に浸透したエポキシ樹脂が上記部分において混ざり合うのに要する時間が短縮されるとともに、エポキシ樹脂の必要量が節約される。加えて、エポキシ樹脂の硬化により上記部分の剛性が高くなる。これにより、繊維強化樹脂層2a,2bは互いに強固に接合される。
さらに、図4のステップS2又はステップS6でエポキシ樹脂を塗布する前に一対の平板材7,7の少なくともいずれか一方の波形面3bの凹部6と外面3aに挟まれる部分において厚さ方向に貫通孔を穿設する工程を加えても良い。この場合、繊維強化樹脂層2a,2bから滲み出たエポキシ樹脂が貫通孔に流れ込んで混合し、最終的に硬化して繊維強化樹脂層2a,2bを接合する接着剤として機能する。なお、繊維強化樹脂層2a,2bからのエポキシ樹脂の滲み出しが少ないか、又は全く滲み出しが無い場合には、別個に準備しておいた接着剤を上記貫通孔に流し込む工程が必要となる。いずれにしても、このような製造方法によれば、繊維強化樹脂層2a,2bを互いに確実に接合することが可能である。
また、本実施例の繊維強化樹脂パネルの製造方法においては、ガラクスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて繊維強化樹脂層2a,2bを形成しているが、必ずしも、この方法に限定されるものではなく、適宜変更可能である。すなわち、エポキシ樹脂の代わりに、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等をガラスクロスに含浸させても良い。また、熱硬化性樹脂の代わりに、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリサルフォン等の熱可塑性樹脂を用いても良い。
Claims (7)
- 波板状の第一の繊維強化樹脂層と、この第一の繊維強化樹脂層の両面にそれぞれ接合される一対の発泡樹脂層と、この発泡樹脂層の外面に接合される第二の繊維強化樹脂層とを備え、前記第一の繊維強化樹脂層及び前記第二の繊維強化樹脂層は、樹脂が含浸された繊維シートからなり、前記第一の繊維強化樹脂層及び前記第二の繊維強化樹脂層からそれぞれ滲み出て前記発泡樹脂層に浸透した前記樹脂は、前記発泡樹脂層が前記第一の繊維強化樹脂層に接する波形面の凹部と前記外面に挟まれる部分において混合硬化していることを特徴とする繊維強化樹脂パネル。
- 波板状の第一の繊維強化樹脂層と、この第一の繊維強化樹脂層の両面にそれぞれ接合される一対の発泡樹脂層と、この発泡樹脂層の外面に接合される第二の繊維強化樹脂層とを備え、前記第一の繊維強化樹脂層及び前記第二の繊維強化樹脂層は、前記発泡樹脂層が前記第一の繊維強化樹脂層に接する波形面の凹部と前記外面に挟まれる部分において互いに接合され、前記発泡樹脂層は前記波形面の前記凹部と前記外面に挟まれる部分において厚さ方向に穿設された貫通孔と、この貫通孔内に流し込まれて硬化した接着剤とを備えることを特徴とする繊維強化樹脂パネル。
- 前記波形面の前記凹部と前記外面に挟まれる部分の肉厚が0.5〜2mmであることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂パネル。
- 発泡樹脂からなる第一の平板材及び第二の平板材に波形面をそれぞれ形成する工程と、樹脂を含有する波板状の第一の繊維強化樹脂層を前記第一の平板材の前記波形面に形成する工程と、この第一の強化樹脂層を介して前記第一の平板材の前記波形面の凹凸に前記第二の平板材の前記波形面が略符合するように設置する工程と、前記第一の平板材又は前記第二の平板材の外面に前記樹脂を含有する第二の繊維強化樹脂層を形成する工程と、前記第一の平板材及び前記第二の平板材に前記第一の繊維強化樹脂層及び前記第二の繊維強化樹脂層をそれぞれ接合するとともに、前記第一の繊維強化樹脂層と前記第二の繊維強化樹脂層とを互いに接合する工程とを備えることを特徴とする繊維強化樹脂パネルの製造方法。
- 前記第一の繊維強化樹脂層は前記第一の平板材の前記波形面に第一の繊維シートを布設し樹脂を含浸させることにより形成され、前記第二の繊維強化樹脂層は前記第一の平板材又は前記第二の平板材の外面に第二の繊維シートを布設し前記樹脂を含浸させることにより形成され、前記第一の繊維強化樹脂層及び前記第二の繊維樹脂層は前記樹脂を硬化させることにより前記第一の平板材及び前記第二の平板材に接合され、前記第一の平板材又は前記第二の平板材が前記波形面の凹部と前記第一の平板材又は前記第二の平板材の外面に挟まれる部分において前記第一の繊維シート及び前記第二の繊維シートにそれぞれ含浸させた前記樹脂を混合硬化させる工程とを備えることを特徴とする請求項4記載の繊維強化樹脂パネルの製造方法。
- 前記第一の平板材の前記波形面に前記第一の繊維強化樹脂層を形成する前に前記第一の平板材又は前記第二の平板材に対し、前記波形面の前記凹部と前記外面に挟まれる部分において厚さ方向に貫通孔を穿設する工程と、前記貫通孔に接着剤を流し込む工程と、前記第一の繊維強化樹脂層及び前記第二の繊維強化樹脂層を形成した後に前記接着剤を硬化させて前記第一の繊維強化樹脂層と前記第二の繊維強化樹脂層とを互いに接合する工程とを備えることを特徴とする請求項4記載の繊維強化樹脂パネルの製造方法。
- 前記第一の平板材又は前記第二の平板材において、前記波形面の前記凹部と前記外面に挟まれる部分の肉厚を0.5〜2mmとすることを特徴とする請求項5記載の繊維強化樹脂パネルの製造方法。
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