JP4112737B2 - メッキ浴槽用スナウト観察装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メッキ浴槽のスナウト内の浴面に浮遊するスカムや鋼板のメッキ状態を観察する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷間圧延された薄鋼板は、スナウト内からメッキ浴槽に通板することにより、その表面に亜鉛メッキ、錫メッキ等のメッキを施したメッキ鋼板に加工されて用いられている。
このメッキ浴槽の浴面やスナウト内の浴面には、メッキ金属の酸化や異物の混入により生成したスカムが浮遊している。このスカムの一部がメッキ鋼板に付着するとメッキ外観疵、メッキ不良等を招く。
このメッキ不良やメッキ外観疵を防止するために、スナウト内にメタルポンプを設けてスカムを除去したり、窒素をスカーフして鋼板に接触するスカムを排除する等の処置がとられている。
また、通板中のスナウト内のスカムの状態は、メッキの種類、通板速度等の操業条件によって大きく変化し、通板中の板形状やスカムの浮遊している場所によって、前述のメタルポンプや窒素のスカーフが有効に作用しない場合が生じる。
従って、通板中の板形状やスカムの浮遊場所を観察しながら、メタルポンプの位置や窒素のスカーフの角度あるいはガス量等をその状態に応じて調整する必要がある。
しかし、一般に用いているメッキ浴槽のスナウト内の観察装置は、高温の雰囲気下にあり、メッキ金属のヒューム等によって視界が阻害され、メタルポンプの位置や窒素のスカーフの角度等を正確に調整することが困難であった。
この対策として、例えば実公平2−48420号公報に記載されているように、メッキ浴槽用スナウトの側壁に、スナウト内部を照射する光源用の筒体と観察カメラ用の筒体を別々に設け、それぞれの筒体の先端に不活性ガス導入筒と、この不活性ガス導入筒に供給する不活性ガスを遮断する弁を設けている。
そして、この不活性ガス導入筒により、スナウト内部の還元ガスが外部に漏洩するのを防止したり、弁を閉じることにより光源やカメラ等の補修を容易にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実公平2−48420号公報では、スナウトの側壁に光源と観察カメラ用の筒体を別々に設置しているので、筒体の取付け個数が多くなるほど筒体あるいは筒体の取付け部に隙間が生じ易くなり、この隙間から外気が侵入してスナウト内の雰囲気を汚染してメッキ鋼板の品質を阻害する。
更に、外気の侵入を防止するために、筒体にアルゴンガスや窒素ガス等を供給してシール性を高めた場合は、シールに用いるアルゴンや窒素の消費量が増加し作業コストが上昇したり、構造が複雑になって修理等の保全に時間を要し、生産ラインの停止を生じ、生産性が低下する等の欠点がある。
また、光源と観察カメラを一体の筒体に設けることも考えられるが、筒体の奥側(スナウト内部側)にスナウト内を透視するための透過体(耐熱ガラス等)が有り、この透過体から光源の反射光が生じて観察用のカメラの視界が阻害され、通板中の板形状やスカムの浮遊状態を正確に観察できない等、いずれにおいても問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、メッキ浴槽の浴面や通板の板形状を正確に監視し、外気の侵入の防止やシールに用いるガスの節減等が可能なメッキ浴槽用スナウト観察装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明のメッキ浴槽用スナウト観察装置は、メッキ浴槽用スナウトの内部を観察する装置であって、前記スナウトの側壁に、スナウト内部側にスナウト内部を透視する透過体を備えた観察室を設け、該観察室の内部を光遮断板により仕切って二個の空間部を形成し、該各空間部にそれぞれ、前記スナウト内部を照射する光源装置と、前記スナウト内部を撮像するカメラを配置している。これにより、透過体からの反射光がカメラに入るのを光遮断板によって確実に遮断でき、カメラの視界を阻害するのを防止して、通板中の板形状やスカムの浮遊状態を正確に観察できる。
更に、簡単な構造により、シールに用いるアルゴンや窒素の消費量を抑制し、作業コストの低減や修理等の保全を容易にすることができる。
【0006】
ここで、前記観察室は、筒状体にすることができる。
筒状にすることにより、簡単に加工して取付けができ、熱等に対する変形等を防止できる。
【0007】
更に、前記観察室は、前記観察室の外側を水冷ジャケット構造にすることができる。
これにより、観察室内の温度の上昇を抑え、観察用のカメラや光源装置の寿命を延長し、故障等を防止できる。
【0008】
また、前記観察室の内部には、不活性ガスを供給することができる。
不活性ガスを供給することにより、メッキ金属のヒュームが侵入したり、透過体やカメラのレンズにヒュームが付着するのを防止できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明の一実施の形態に係るメッキ浴槽用スナウト観察装置が設けられたスナウトの概略図、図2は同メッキ浴槽用スナウト観察装置を直立させた状態の詳細図である。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るメッキ浴槽用スナウト観察装置13(以下観察装置13という)は、メッキ浴槽11に先端を浸漬して、他端を図示しない焼鈍炉の出口に接続したスナウト12の側壁12aに取付けられている。
更に、メッキ浴槽11には、スナウト12内のメッキ浴面14に浮遊する図示しないスカムを除去するメタルポンプ15を両側に設けており、このメタルポンプ15は、メッキ浴面14からスカムを吸引するサクション管16と、吸引するためのプロペラ17を回転させる電動機18と、スカムの吐出口19を備えている。
そして、鋼板20は、焼鈍炉から出て、スナウト12内の上部に設けたガイドロール21とメッキ浴槽11内に浸漬されたシンクロール22により支持されスナウト12内を通って、メッキ浴面14を通過する。このメッキ浴に進入し、シンクロール22でターンした後の鋼板20は、スナウト12の外に設けた図示しないワイピングノズルを通過してメッキ厚みを調整して後工程に搬送される。
【0010】
観察装置13は、スナウト12の側壁12aに取付けた観察室である鋼鉄製の筒状体23を有し、この筒状体23のスナウト内部側(奥側)には、耐熱ガラス等からなり内部を透視する透過体24を設けて放出される熱や金属ヒュームを遮断し、手前側には、キャップ25をボルト・ナット等の締結手段を用いて前記筒状体23に固定している。筒状体23の内部は、断熱ボード、金属板等の光遮断板26によって仕切られた二個の空間部27、28が形成されている。
この空間部27には、基台30に傾転装置29を介して載置したカメラの一例であるテレビカメラ31と、このテレビカメラ31に通電し、その画像を電送するケーブル32が前記キャップ25を貫通して配線されている。
更に、空間部28には、スナウト12内部のメッキ浴面14を照らすハロゲンランプや蛍光灯等の光源装置33と、光源装置33に通電するケーブル34を設けている。
また、筒状体23の外側は、鋼鉄製の仕切り板23aを設けて水冷ジャケット構造にしており、給水口35、36から給水された冷却水が図2中矢印の方向に循環して排水口37、38から系外に排出されるようにしている。
また、それぞれの空間部27及び空間部28には、内部を静圧以上に維持するため、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを吹き込むための気体吹き込み管39、40を取付けている。
【0011】
次に、前記観察装置13を用いたスナウト12内部の観察方法について説明する。
鋼板20は、焼鈍炉からスナウト12内の上部に設けたガイドロール21に案内されてスナウト12内を通過し、メッキ浴槽11内のメッキ浴に浸漬され、シンクロール22でターンし、所定のメッキが施され、ワイピングノズルでメッキ厚みを調整してから後工程に搬送される。
このスナウト12内のメッキ浴面14は、光源装置33により明るく照らされ、透過体24を透視して、テレビカメラ31を傾転装置29により傾転させてメッキ浴面14の全体を撮像し、その状況をケーブル32を介して図示しないモニター等に表示する。
更に、観察装置13は、一個の筒状体23を光遮断板26によって、空間部27と空間部28に分け、空間部27にテレビカメラ31を取付け、空間部28に光源装置33を設けているので、スナウト12内のメッキ浴面14を光源装置33により照らした際に、光が透過体24により乱反した反射光がテレビカメラ31に入るのを防止でき、鮮明な撮像が得られる。
この理由から、光遮断板26の先端と透過体24の隙間を10mm以下になるように光遮断板26の位置を設定するとより好ましい。
また、このような観察室がスナウト12の側壁12aに設けられた一個の筒状体23からなっているので、外気の侵入する部分を最小限にでき、シールの構造を簡単にできる。
【0012】
また、スナウト12内に侵入する外気を防止することにより、スナウト12内の雰囲気の阻害を防止して、メッキ金属の酸化や過剰のスカムの生成、メッキ汚れや不メッキ等の発生を抑制することができる。
更に、鋼鉄製の筒状体23の外側部に仕切り板23aを設けて、給水口35、36から給水された冷却水が図中矢印の方向に循環して排水口37、38から系外に排出する水冷ジヤケット構造が形成され、テレビカメラ31及び光源装置33の空間部27、28の雰囲気温度が上昇しないように筒状体23を冷却しており、テレビカメラ31及び光源装置33の寿命の延長と、故障の頻度の減少や修理等の保全時間が短縮できる。
なお、筒状体23の透過体24は、スナウト12内から放出される熱や金属ヒュームを遮断しているので、光源装置33の投射光がメッキ浴面14を十分に照らし、テレビカメラ31の視界を良くすることができる。
また、空間部27及び空間部28には、気体吹き込み管39、40からアルゴンガスや窒素ガス等の気体を吹き込んでおり、内部にスナウト12内から放出される金属ヒュームが侵入するのを防止し、光源装置33の投射光及びテレビカメラ31の視界を確保している。
そして、メッキ浴面14には、メッキ金属の酸化物や鋼板20に追随したスカムが浮遊しており、鋼板20に付着してメッキ不良やメッキの外観性が損なわれる場合がある。
そこで、スカムの浮遊量や場所、通板する鋼板20の形状をテレビカメラ31により撮像し、スカムの異常が発生した場合は、テレビカメラ31により、その位置を確認し、サクション管16を移動してメタルポンプ15のプロペラ17を回転させてスカムを吸引し、吐出口19からスナウト12の外に排出する。
更に、鋼板20の形状等に異常がある場合は、通板の速度やテンション等を調整して適正な形状に修正してメッキが行われる。
このようにして、メッキが施された鋼板20は、後工程に搬送され、コイルに巻かれて製品として出荷される。
【0013】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、筒状体23の形状は、円筒形が好ましいが、正方形や長方形等の矩形のものでも良く、更に、筒状体23の冷却は、水冷ジャケット構造による方法の他に、空気や窒素等の気体を供給して空冷方式を用いても良い。
また、耐熱ガラス等の透過体24からの乱反射光を抑えることができるフィルムや塗装膜等を透過体24の内側の表面に形成するか、あるいは光遮断体26の先端を透過体24に設けた溝に埋め込んで配設することもできる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1〜4記載のメッキ浴槽用スナウト観察装置は、メッキ浴槽用スナウトの内部を観察する装置であって、スナウトの側壁に、スナウト内部側にスナウト内部を透視する透過体を備えた観察室を設け、観察室の内部を光遮断板により仕切って二個の空間部を形成し、各空間部にそれぞれ、スナウト内部を照射する光源装置と、スナウト内部を撮像するカメラを別々に配置しているので、透過体からの反射光がカメラに入るのを確実に遮断し、板形状やスカムの浮遊状態を正確に観察し、メッキ鋼板に発生するメッキ不良やメッキ汚れ等の防止と、シールに用いるガスの節減や故障、修理等の保全を容易にし、作業コストの節減や生産ラインの停止等の短縮が可能になる。
【0015】
特に、請求項2記載のメッキ浴槽用スナウト観察装置は、観察室を筒状体にしているので、簡単に加工して取付けられ、熱等に対する変形等を防止し、寿命やシール性を向上できる。
【0016】
請求項3記載のメッキ浴槽用スナウト観察装置は、観察室の外側を水冷ジャケット構造にしているので、観察室内の温度の上昇を抑え、観察用のカメラや光源装置の寿命を延長したり、故障等を防止できる。
【0017】
請求項4記載のメッキ浴槽用スナウト観察装置は、観察室の内部に不活性ガスを供給するので、メッキ金属のヒュームが侵入したり、透過体やカメラレンズへ付着するのを防止し、スナウト内の視界が確保され、状況に応じてメタルポンプの移動や通板条件等を正確に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るメッキ浴槽用スナウト観察装置が設けられたスナウトの概略図である。
【図2】同メッキ浴槽用スナウト観察装置を直立させた状態の詳細図である。
【符号の説明】
11:メッキ浴槽、12:スナウト、12a:側壁、13:観察装置、14:メッキ浴面、15:メタルポンプ、16:サクション管、17:プロペラ、18:電動機、19:吐出口、20:鋼板、21:ガイドロール、22:シンクロール、23:筒状体、23a:仕切り板、24:透過体、25:キャップ、26:光遮断板、27:空間部、28:空間部、29:傾転装置、30:基台、31:テレビカメラ、32:ケーブル、33:光源装置、34:ケーブル、35:給水口、36:給水口、37:排水口、38:排水口、39:気体吹き込み管、40:気体吹き込み管

Claims (4)

  1. メッキ浴槽用スナウトの内部を観察する装置であって、前記スナウトの側壁に、スナウト内部側にスナウト内部を透視する透過体を備えた観察室を設け、該観察室の内部を光遮断板により仕切って二個の空間部を形成し、該各空間部にそれぞれ、前記スナウト内部を照射する光源装置と、前記スナウト内部を撮像するカメラを配置したことを特徴とするメッキ浴槽用スナウト観察装置。
  2. 請求項1記載のメッキ浴槽用スナウト観察装置において、前記観察室が筒状体であることを特徴とするメッキ浴槽用スナウト観察装置。
  3. 請求項1又は2記載のメッキ浴槽用スナウト観察装置において、前記観察室の外側を水冷ジャケット構造にしていることを特徴とするメッキ浴槽用スナウト観察装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のメッキ浴槽用スナウト観察装置において、前記観察室の内部に不活性ガスを供給していることを特徴とするメッキ浴槽用スナウト観察装置。
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