JP4111106B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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本発明は、燃料噴射装置に関する。
流体噴射装置としては、例えば燃料を直接、内燃機関の筒内すなわち燃焼室に噴射する燃料噴射弁が知られている。この種の燃料噴射弁から供給された燃料は、燃焼室において空気と混合され、燃焼室内に可燃混合気を形成する。燃焼室内の可燃混合気はピストン運動により圧縮された後、点火装置により着火燃焼し、内燃機関の動力として利用されている。燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射・噴霧特性の一つとして、噴霧ペネトレーション(噴霧先端到達距離)および噴射率があり、噴霧ペネトレーションおよび噴射率は内燃機関の運転状態により最適な状態がある。
その実現手段として、特許文献1は、噴霧形状を2段階に切換える技術を開示している。特許文献1の開示による従来技術によると、ノズルニードルのリフト量の切換えにより噴霧形状を2段階に切換えることで、運転状態による噴射率の最適な状態への考慮がなされている。そのノズルニードルのリフト量を2段階に切換える手段として、従来の噴射用ソレノイドとは別のストッパ用ソレノイドを有している。別のソレノイドを作動させることによりノズルニードルのリフト量を制限するストッパの軸方向位置を制御する。詳しくは、噴射用ソレノイドはノズルニードルと一体となったアーマチャを駆動する。一方、ストッパ用ソレノイドは、アーマチャのリフトが増加する側つまりニードルリフト量を増加させる側に、ストッパを駆動する。なお、ストッパには、リフトが小さくなる側にストッパを付勢する第2のスプリングが、リフトが小さくなる側にアーマチャを付勢する第1のスプリングとは別に、設けられている。
特開2001−153003号公報
しかしながら、上記従来技術では、噴射用ソレノイドを作動させて内燃機関の各気筒へ燃料噴射を繰り返している期間中に、ニードルリフトを小さくさせたい場合に、ストッパ用ソレノイドを通電状態から非通電に切換えても、消磁が促進されず、ストッパ軸方向移動の応答性もしくは閉弁応答性が低下するおそれがある。
また、上記従来技術では、噴射用ソレノイドとは別にもう一つのソレノイドを設ける必要となるため、システムの複雑化を招き、コストアップは避けられないという問題がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、噴射率等の噴射・噴霧特性を切換える機能を有するもので、切換え応答性の向上が図れることを目的とする。
また、別の目的は、噴射率等の噴射・噴霧特性を切換えもしくは変化させる機能を有するための構成を簡素化することが可能な燃料噴射装置を提供することにある。
さらに、別の目的は、噴射率等の噴射・噴霧特性を切換えもしくは変化させる機能を有するための構成の簡素化が図れるとともに、燃料噴射装置を駆動する消費電力量の低減が可能な燃料噴射装置を提供することにある。
本発明の請求項1、2、および5によると、噴孔の上流側に弁座を有するノズルボディと、ノズルボディに軸方向移動可能に収容され、弁座に当接、離間する当接部を有するノズルニードルと、ノズルニードルに協働する可動コアと、可動コアに軸方向に対峙し、磁性体からなるコアと、駆動コイルとを備え、コアあるいは可動コアの極性を逆転させ、単位時間当りの噴射量を増減させるようにコアあるいは可動コアを変位可能としたことを特徴とする。
これにより、可動コアに軸方向に対峙するコアあるいは可動コアにおける磁化される極性つまり磁極を逆転させ、単位時間当りの噴射量を増減させるようにコアあるいは可動コアを変位させることが可能である。例えば駆動コイルへの通電方向を切換えることで、コアあるいは可動コアの極性を逆転させられる。駆動コイルの巻回方向に従って流れる電流は軸方向の一方方向に作用する磁界を発生する。コアあるいは可動コアの極性を逆転させるように通電方向を切換えると、コアおよび可動コアに加わる磁界の方向つまり磁力の方向は反転する。磁力の反転に従い例えばコアの軸方向変位が可能である。したがって、コアを変位させ、コアに軸方向に対峙する可動コアの変位量つまり可動コアに協働するノズルニードルのリフト量を変化させることが可能である。その結果、単位時間当りの噴射量つまり噴射率等の噴射・噴霧特性を変化させる機能を持たせることが可能である。
さらに、従来のようにソレノイドつまり駆動コイルを例えば二つ設けてストッパ用駆動コイルを非通電、通電することでノズルニードルのリフト量を切換えるのではなく、駆動コイルの通電方向を切換えることでノズルニードルのリフト量を切換えることが可能である。したがって、非通電状態つまり消磁がなされてリフト量が切換えられる従来構成に比べて、リフト量切換えの応答性の向上が図れる。
本発明の請求項1によると、コアの極性を逆転させたときに、コアを反可動コア側に吸引可能な磁化部材を備えていることが好ましい。これにより、コアおよび可動コアのうち少なくともいずれか一方の極性が逆転、例えばコアの磁極が逆転すると、コアには、磁極の逆転前に比べて、バイアスした磁力が作用つまり定常磁力を加えた磁力が作用、あるいは定常磁力に反発する磁力のいずれかが作用する。バイアスした磁力が作用する場合には、コアは定常磁力の発生源側の軸方向に吸引され、定常磁力に反発する磁力が作用する場合には、コアは反発生源側の軸方向へ押し戻される。その結果、コアの変位動作により可動コアの変位量、つまりノズルニードルのリフト量を変化させることが容易となる。さらに、単位時間当りの噴射量つまり噴射率等の噴射・噴霧特性を変化させる機能を、従来に比べて構成を簡素化させて提供することが可能である。
なお、定常磁力の発生源は、例えば所定の磁力が発生するように磁化された磁化部材であれば、いずれの部材であってもよい。
本発明の請求項1によると、磁化部材は、コアの反可動側に配置された永久磁石である。これにより、磁化部材としては、コアの反可動側に配置された永久磁石で安価に設けることができる。
さらに、永久磁石は常に所定の磁力を発生させられるため、従来技術のソレノイドのように磁力発生のための電流供給が不要となる。したがって、噴射率等の噴射・噴霧特性を変化させる機能を有する燃料噴射装置を駆動するための消費電力量の低減が図れる。
本発明の請求項1によると、コアと永久磁石との間には、磁性体が配設されていることを特徴とする。
これによると、コアの極性を逆転させたときに、コアを反可動コア側に吸引可能な磁化部材として、常時磁力を発生する永久磁石を用いる場合には、コアと永久磁石との間に磁性体を設けることが好ましい。例えば駆動コイルへの通電により可動コアおよびコアに発生する磁界(磁力の方向)を永久磁石の磁界と逆方向にするとき、駆動コイルの磁束の流れは、その磁束の流れに対して磁気抵抗となる永久磁石自身に直接作用せず、永久磁石トコアとの間に設けられた磁性体に作用するため、駆動コイルの磁束の流れは、永久磁石の磁束により妨げられることを防止される。したがって、駆動コイルに発生する電磁力を効率的に利用することができる。
本発明の請求項2によると、コアあるいは可動コアの極性を逆転させ、コアあるいは可動コアを周方向に変位可能としたことを特徴とする。これにより、コアあるいは可動コアの周方向の変位に同期してノズルニードルのリフト量を変化させる構成を有する燃料噴射装置に好適である。例えば可動コアの周方向の変位に同期して、ノズルニードルのリフト量を低リフトに制限する状態を解除する構成とすることで、ノズルニードルのリフト量を低リフトおよび高リフトに切換えることが可能である。
本発明の請求項3によると、コアおよび可動コアのいずれか一方には空隙部または非磁性体部が配置され、空隙部または非磁性体部に軸方向に対峙する他方の位置には、第1の永久磁石と、第1の永久磁石に対して磁極を反転する第2の永久磁石とが周方向に所定の角度離間して配置されている。
これにより、コアおよび可動コアのいずれか一方、例えばコアの磁極を逆転させたとき、軸方向に対峙する可動コアのコア側の磁極はコアの磁極と異なって、可動コアはコアに吸引される。このとき、第1の永久磁石と第2の永久磁石のいずれかは、軸方向に対峙したコアあるいは可動コアの磁極と同じとなるため、反発し合うことで回転力が発生する。例えば、コアに空隙を形成し、可動コアに第1の永久磁石および第2の永久磁石を設け、コアに対峙する可動コアの端面側の第1の永久磁石および第2の永久磁石の磁極がそれぞれS極、N極を配置される場合において、駆動コイルへの通電による電磁力によって、コアの可動コア側端が例えばN極に磁化されると、コアは磁化されたことで得た磁力によって可動コアを吸引する。このとき、可動コアのコア側はS極に磁化されようとする。可動コアにある第2の永久磁石とコアとは互いにN極同士の関係となるため、互いに反発し合って離れようとする力が働く。その結果、例えば可動コアに回転力を与える。
したがって、コアあるいは可動コアの極性を逆転させ、コアあるいは可動コアを周方向に変位させることが可能である。
さらに、第1の永久磁石と第2の永久磁石のいずれかに空隙部あるいは非磁性体が軸方向に対峙する回転位置になると、回転力の解除が可能となる。例えばコアにコアには磁極を有しない空隙部があるため、第2の永久磁石を有する可動コアは、空隙部と第2の永久磁石とが軸方向に対峙する周方向の位置まで回転して停止する。これにより、周方向の変位を可能とするとともに、周方向の所定の位置へ誘導することが可能である。
本発明の請求項4によると、コアおよび可動コアは、外周側に駆動コイルが配置された略円筒部材の内周に収容され、可動コアまたはノズルニードルには、内周に設けられた係止穴に対して周方向の所定位置では係止穴との係止を解除する係止部を有する。これにより、コアあるいは可動コアの周方向への変位動作と組合せることで、ノズルニードルのリフト量を変化させることが可能である。
本発明の請求項5によると、コアと可動コアとの間には、回転可能で回転に従い軸方向に変位可能なストッパを備え、ストッパには、コアあるいは可動コアの極性を逆転させたときに、コアあるいは可動コアに対して周方向に回転可能な反発部材を有していることが好ましい。これにより、コアあるいは可動コアの極性を逆転させたとき、ストッパに設けられた反発部材によって、ストッパを、コアあるいは可動コアに対して周方向に回転することが可能である。
本発明の請求項6によると、コアおよび可動コアのいずれか一方には空隙部または非磁性体部が配置され、反発部材は、空隙部または非磁性体部に軸方向に対峙する、第1の永久磁石と、第1の永久磁石に対して磁極を反転し、周方向に所定の角度離間して配置された第2の永久磁石とを備えている。これにより、コアおよび可動コアのいずれか一方、例えばコアの磁極を逆転させたとき、軸方向に対峙するストッパのコア側の磁極はコアの磁極と異なる磁極に磁化されようとする。このとき、第1の永久磁石と第2の永久磁石のいずれかは、軸方向に対峙するコアあるいは可動コアの磁極と同じとなるため、反発し合うので、ストッパに回転力を与えることが可能である。
さらに、第1の永久磁石と第2の永久磁石のいずれかに空隙部あるいは非磁性体が軸方向に対峙する回転位置になると、回転力の解除が可能となる。これにより、ストッパは、回転動作における所定の回転角に従い所定の軸方向変位が可能である
本発明の請求項7によると、噴孔の上流側に弁座を有するノズルボディと、ノズルボディに軸方向移動可能に収容され、弁座に当接、離間する当接部を有するノズルニードルと、ノズルニードルに協働する可動コアと、可動コアに軸方向に対峙し、磁性体からなるコアと、駆動コイルとコアおよび可動コアを内周側に収容し、外周側に駆動コイルが配置された略円筒部材と、略円筒部材の壁部内に設けられ、内周側の燃料の流れから分岐した燃料が弁座側へ流れる分岐燃料流路と、コアと可動コアとの間に設けられ、分岐燃料流路の閉塞、開口が可能な流路遮断部を有する回転可能なストッパとを備え、ストッパには、コアあるいは可動コアの極性を逆転させたときに、コアあるいは可動コアに対して周方向に回転可能な反発部材を有している。
これにより、コアあるいは可動コアの極性を逆転させたときに、ストッパに設けられた反発部材によって、ストッパを、コアあるいは可動コアに対して周方向に回転動作させることが可能である。その結果、ストッパの回転動作により流路遮断部を介して分岐燃料流路を閉塞、開口することが可能である。
さらに、ストッパの回転動作によって分岐燃料流路の開口、閉塞を切換えられることで、略円筒部材の内周側を流れる燃料の主流に対して、例えば弁座の直前へ分岐燃料流路を流れる燃料の分流を供給、供給停止することができる。主流の燃料に分流の燃料が供給される場合には、分流の燃料による主流の燃料への衝突により噴孔から噴射される燃料噴霧にスワール等を発生させることが可能である。また、主流の燃料噴射の噴射方向を、分流の燃料による衝突で、主流の燃料噴射の噴射方向を変化させることも可能である。
したがって、コアあるいは可動コアの極性を逆転させることで、ストッパの回転動作により流路遮断部を介して分岐燃料流路の閉塞、開口を切換えるため、スワール等による噴霧形状を変化させること、つまり噴射・噴霧特性を変化させることが可能となる。
本発明の請求項8によると、コアおよび可動コアのいずれか一方には空隙部または非磁性体部が配置され、反発部材は、空隙部または非磁性体部に軸方向に対峙する、第1の永久磁石と、第1の永久磁石に対して磁極を反転し、周方向に所定の角度離間して配置された第2の永久磁石とを備えている。これにより、コアおよび可動コアのいずれか一方、例えばコアの磁極を逆転させたとき、軸方向に対峙するストッパのコア側の磁極はコアの磁極と異なる磁極に磁化されようとする。このとき、第1の永久磁石と第2の永久磁石のいずれかは、軸方向に対峙するコアあるいは可動コアの磁極と同じとなるため、反発し合うので、ストッパに回転力を与えることが可能である。
さらに、第1の永久磁石と第2の永久磁石のいずれかに空隙部あるいは非磁性体が軸方向に対峙する回転位置になると、回転力の解除が可能となる。これにより、ストッパは回転動作により流路遮断部を介して分岐燃料流路の閉塞、開口を切換えることができる。
本発明の請求項9によると、駆動コイルへの通電方向を切換える切換手段を備えている。これにより、駆動コイルへの通電方向を切換えることで、コアあるいは可動コアの極性を逆転することができる。
以下、本発明の燃料噴射装置を、具体化した実施形態を図面に従って説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図2は、本実施形態に係わる電気的構成を示す模式的回路図である。図3は、図2中の電磁コイルへの通電方向を切換える切換手段の切換動作を表す図である。図4、図5、および図6は、図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、それぞれ、駆動コイルの非通電状態を示す部分的断面図、駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す部分的断面図、駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す部分的断面図である。
燃料噴射装置1は、内燃機関(エンジン)、特にガソリンエンジンに用いられる。燃料噴射装置1は、エンジンの燃焼室(図示せず)に燃料噴射する燃料噴射弁2と、燃料噴射弁2の噴射動作等を制御する制御手段(以下、ECUと呼ぶ)100とを含んで構成されている。燃料噴射弁2は、エンジンの各気筒の燃焼室に取付けられて、図示しない燃料ポンプにより加圧された燃料を供給される。燃料噴射弁2から噴射された燃料は、吸入空気とともに、エンジンの燃焼室へ供給される。燃料噴射弁2は、略円筒形状であり、一端から燃料を受け、他端から燃料を噴射する。
まず、燃料噴射弁2について以下図1に従って説明する。燃料噴射弁2は、図1に示すように、燃料噴射を断続する弁部2aと、弁部を駆動する電磁駆動部2bとを有する。燃料噴射弁2の燃料入口には、フィルタ11が取付けられており、異物が除去される。なお、弁部2aは、噴射燃料を流通、遮断することで、燃料噴射を断続する。電磁駆動部2bは、弁部2aの流通動作、遮断動作を切換える。
電磁駆動部2bは、図1に示すように、コイル31、略円筒部材としての金属内筒部材14、可動体としての可動コア(以下、アーマチャと呼ぶ)25、アーマチャ25に軸方向に対峙するコア23、および磁化部材22を有する。燃料噴射弁2は、電磁駆動部2bに通電されると弁部2aが開弁し、電磁駆動部2bへの通電が遮断されると弁部2aが閉弁する。コイル31は、樹脂製のスプール(図示せず)の外周に所定方向に巻回されている。コイル31の端部は2つのターミナル(図示せず)として引き出されている。ターミナルは、外部電源等からの電流をコイル31へ供給する。スプールは、金属内筒部材14の外周に装着されている。
なお、ここで、コイル31、スプール、ターミナルは、駆動コイルを構成している。
金属内筒部材14の外周には、樹脂モールド13が配置され、ターミナルを収容するコネクタ部(図示せず)が設けられている。金属内筒部材14は、磁性材料からなるパイプ材で形成されている。金属内筒部材14の内周には、アーマチャ収容孔14eが設けられており、アーマチャ25が収容されている。なお、金属内筒部材14は、図1の上端側から燃料が導かれ、弁部2bへ燃料を供給する。アーマチャ収容孔14eは、この燃料の流れ経路(以下、燃料流れ経路と呼ぶ)の一部を構成している。金属内筒部材14は、コイル31に通電した際に起きる磁束が流れる磁気回路の一つを形成する。なお、金属内筒部材14の外側には、図示しない磁性部材が設けてもよい。磁性部材は横断面が略C字状の板であって、コイル31の外周の一部を覆っている。磁性部材の外周の一部(図示せず)および内周には、樹脂モールド13が形成される。
アーマチャ25は、磁性ステンレス等の強磁性材料からなる段付きの略筒状体である。アーマチャ25は、弁部材としてのノズルニードル26に固定されている。アーマチャ25は、金属内筒部材14の内周を軸方向に移動可能であって、ノズルニードル26と協働する。
コア23は、磁性ステンレス等の強磁性材料からなる略円筒体である。図1に示すように、コア23は、金属内筒部材14の内周を軸方向に移動可能である。コア23の外周、およびコアを収容する金属内筒部材14の内周には、図1に示すように、コア23の軸方向移動幅を規制する段差部が設けられている。これら段差部は、コア23の軸方向移動を規制する係止手段を構成している。なお、金属内筒部材14の内周側の段差部は、アーマチャ収容孔14eより大きい内径の内周14fに固定された係止部材15、16で形成されている。係止部材15、16はコア23の軸方向移動を制限することが可能であれば、形状は略C字状、あるいは略リング状等のいずれであってもよい。
磁化部材(以下、永久磁石と呼ぶ)22は、フェライト磁石、稀土類磁石、あるいはアルニコ磁石等の磁化された磁性体である。図1に示すように、永久磁石22は、略円筒体に形成されている。この永久磁石22は、コア23の反アーマチャ側に、コア23に軸方向に対峙して配置され、金属内筒部材14の内周14fに固定されている。
永久磁石22の磁極としては、図1に示すコア23側の端面をS極、反コア23側の端面をN極とする磁極配置に限らず、コア23側の端面をN極、反コア23側の端面をS極とする磁極配置であってもよい。なお、コア23側の端面をS極、反コア23側の端面をN極とする磁極配置の前者に代えて、コア23側の端面をN極、反コア23側の端面をS極とする磁極配置の後者する場合には、永久磁石22による磁力と駆動コイルによる電磁力の関係が前者と同じになるように、後者におけるECU100による駆動コイルへの通電方向を反転させる。
なお、以下本実施形態で説明する永久磁石22の磁極配置は、コア23側の端面をS極、反コア23側の端面をN極とする。
コア23の内周に形成された段差部23sとアーマチャ25のスプリング座25sとの間には、圧縮スプリング24が配置されている。この圧縮スプリング24は、アーマチャ25を弁ボディ29に向けて付勢する。なお、段差部23sは、コア23の内周に固定され、軸方向位置が調整可能なアジャスティングパイプ21であることが好ましい。例えばアジャスティングパイプ21の圧入量により圧縮スプリング24の付勢力を調整可能である。
なお、ここで、金属内筒部材14、アーマチャ25、およびコア23は、磁気回路を構成している。
さらになお、永久磁石22の内周と、アジャスティングパイプ21の内周と、コア23の内周のうち、アジャスティングパイプ21が固定された内周を除く内周部と、アーマチャ25のスプリング座25sを含む内部空間25eから連絡孔25fを介して連絡するアーマチャ収容孔14eとは、燃料流れ経路を構成している。
金属内筒部材14の下端側には、図1に示すように、ノズルボディ29が固定されている。なお、金属内筒部材14とノズルボディ29の固定方法としては、例えばレーザ溶接等によって外側から全周に溶接される。
弁部2aは、ノズルボディ(以下、弁ボディと呼ぶ)29と、ノズルニードル26とを有する。弁ボディ29の内側には、ノズルニードル26の当接部26aが当接、離間する弁座29aが形成されている。弁ボディ29の内周には、上記燃料流れ経路内の燃料が導かれている。
ノズルニードル26は、弁ボディ29に軸方向移動可能に収容されている。ノズルニードル26は、電磁駆動部2bの駆動動作によって軸方向に移動する。なお以下、ノズルニードル26における軸方向に移動することを、リフトするという。弁座29aは、ノズルニードル26と協働して、弁部2aとしての開弁、閉弁を実行する。なお、弁座29aの下流側には、噴孔28が設けられている。なお、弁座29aの形状としては、当接部26aと弁座29aが当接、離間することで、噴孔28から噴射される燃料噴射の流通、遮断を行なうことが可能な形状であれば、円錐斜面であっても、円筒孔の端面側の円形稜線部であってもいずれでもよい。
噴孔28は、要求される燃料の噴霧の形状、方向、数などに応じて、その大きさ、噴孔軸線の方向、噴孔配列等が決定されている。また、噴孔28の開口面積は、ノズルニードル26が所定のリフト量以上のとき、開弁時の流量を規定する。したがって、燃料噴射弁2の燃料噴射量は、噴孔の開口面積と、開弁期間とによって計量される。なお、ノズルニードル26(詳しくは当接部26a)と弁ボディ29(詳しくは弁座29a)によるリフト量−開口面積の関係において、リフト量が増加しても開口面積が増加しない所定のリフト量(以下、開口面積上限側リフト量と呼ぶ)がある。
ECU100は、図示しないリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入力ポート、出力ポートを相互に双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成されている。このECU100は、バッテリ等の電源を用いて、燃料噴射弁2のターミナルへの通電開始および通電停止を行なうことで、燃料噴射弁2への通電期間を制御する。エンジンの回転速度、吸気管圧力(または吸入空気量)、冷却水温等のエンジンの運転状態を検出する図示しない各種センサの信号を読み込み、エンジン用の各種プログラム(図示せず)に従って、燃料噴射弁2の電磁駆動部2bの動作を制御する(図1参照)。
本実施形態の燃料噴射装置における電気的構成を、図2および図3に従って説明する。ECU100は、エンジンの運転状態を検出する各種センサの信号に基づいて、燃料噴射弁2(詳しくは駆動コイル)の二つのターミナルに所定の方向の電流を供給する。ECU100は、図2に示すように、制御部100aと、通電方向切換え回路100bとを有する。なお、制御部100aは上記説明のマイクロコンピュータであるので説明を省略する。
通電方向切換え回路100bは、燃料噴射弁2の駆動コイル(詳しくはコイル31)を中心とし、四つのスイッチング素子(以下、トランジスタと呼ぶ)TR1、TR2、TR3、TR4によりHブリッジ回路を組んだ構成となっている。所定方向に巻回されたコイル31の一端側は、直列接続された、バッテリ電源電圧Vb側の第1のトランジスタTR1と、接地側の第2のトランジスタTR1との中間点に接続されている。また、コイル31の他端側は、直列接続された、バッテリ電源電圧Vb側の第3のトランジスタTR3と、接地側の第4のトランジスタTR4との中間点に接続されている。この通電方向切換え回路100bでは、図3に示すように、第1のトランジスタTR1のベース端子と第4のトランジスタTR4のベース端子に対する通電のみをONにすることにより、コイル31へ流れる電流の方向が所定方向となる。また、第2のトランジスタTR2のベース端子と第3のトランジスタTR3のベース端子に対する通電のみをONにすることにより、コイル31へ流れる電流の方向が、所定方向とは逆転し、反所定方向となる。なお、以下の本実施形態の説明では、所定電流方向を正方向、反所定電流方向を逆方向と呼ぶ。
なお、ここで、ECU100は、システムを制御する手段の一つとして、
燃料噴射弁2の駆動コイルへの通電方向を切換える切換手段を有する。この切換え手段は、通電方向を切換えることで、コイル31に流れる電流方向を正方向から逆方向へ、あるいは逆方向から正方向へ切換えられる。
上述の構成を有する燃料噴射装置1の動作、特に燃料噴射弁2の作動について以下図4から図6に従って説明する。図4から図6はECU100から駆動コイル(詳しくはコイル31)へ供給されるバッテリ電源の電流の方向を、電池の向きで模式的に表す。まず、駆動コイルへの非通電状態(図4参照)、駆動コイルへの通電方向が正方向状態(図5参照)、駆動コイルへの通電方向が逆方向状態(図6参照)についてそれぞれ説明する。
(1)図4に示す駆動コイルへの非通電状態では、永久磁石22に対峙するコア23は、永久磁石22による磁力により磁化され、永久磁石22のコア23側端面に吸引される。このとき、永久磁石22のコア23側端面の磁極のS極に対して、磁化されたコア23におけるアーマチャ25側端面、および反アーマチャ25側端面すなわち永久磁石22側端面の磁極はそれぞれS極、N極となる。一方、駆動コイルすなわちコイル31は非通電状態にあるため、コイル31には電磁力は生じず、ノズルニードル26が、圧縮スプリング24によって、弁座29aに向けて押される。その結果、燃料噴射弁2は閉弁し、燃料噴射されることはない。
(2)図5に示す駆動コイルへの通電方向が正方向状態では、コイル31に通電され、コイル31には電磁力が生じる。さらに、駆動コイルへの通電方向が正方向であるため、図5に示すように、永久磁石22に常に生じる磁界の方向とコイル31に生じる磁界の方向が同じとなる。このとき、永久磁石22による磁力(以下、定常磁力と呼ぶ)に加えてコイル31の電磁力をバイアスされた磁力がコア23に作用する。その結果、バイアスされた磁力によって磁化されたコア23はアーマチャ25を引きつけ、アーマチャ25に協働するノズルニードル26が弁座29aから離間する。このとき、コア23は永久磁石22に吸着され、係止部材16によって規制されているため、ノズルニードル26のリフト量Hは高リフト状態にある(H=HD2)。なお、図5および図6に示す矢印方向は磁界の方向つまり磁力線を表す。なお、図5において、コイル31の電磁力による磁力線と永久磁石22の磁力による磁力線とを便宜的に別々に表したが、これら磁力線の磁力はバイアスされるため、コイル31と永久磁石22の磁力線は一つの大きな磁力線となる。
(3)図6に示す駆動コイルへの通電方向が逆方向状態では、駆動コイルへの通電方向が逆方向であるため、図6に示すように、永久磁石22に常に生じる磁界の方向とコイル31に生じる磁界の方向が逆方向となる。このとき、永久磁石22による定常磁力に対して反発するコイル31の電磁力がコア23に作用する。コア23がコイル31の電磁力によって磁化されると、コア23の永久磁石22側端面の磁極がS極となって、図5におけるコア23の永久磁石22側端面の磁極のN極とは逆となり、コア23の磁極の極性は逆転する。永久磁石22のコア23側端面の磁極のS極と反発する。その結果、コア23は、ノズルニードル26側の係止部材15へ移動し、係止部材15によって規制される。一方、コイル31によって磁化されたコア23はアーマチャ25を引きつけ、アーマチャ25に協働するノズルニードル26が弁座29aから離間する。このとき、コア23は永久磁石22の磁力の反発力によって弁座29側に押出され、係止部材15によって規制されているため、ノズルニードル26のリフト量Hは低リフト状態にある(H=HD1であって、HD1<HD2)。
なお、駆動コイルへの通電方向を正方向状態あるいは逆方向状態に設定する際、コイル31に巻回方向に従って流れる電流は軸方向の一方方向に作用する磁界を発生する。正方向状態から逆方向状態に駆動コイルへの通電方向を切換えると、コアに加わる磁界の方向つまり磁力の方向は反転する。この磁力の反転によってもコア23を軸方向に変位するように作用することは可能である。なお、上述のように永久磁石22をコア23の反アーマチャ25側に配置することが好ましい。永久磁石22とコイル31の磁力をバイアスした磁力、あるいは永久磁石22に反発するコイル31の磁力を、コア23に作用させることができるので、コア23を軸方向に変位させることが容易である。
なお、上記リフト量H=HD2(HD2>HD1)は、上述の開口面積上限側リフト量より小さいか僅かに大きい程度に設定することが好ましい。係止部材15、16によって規制されるコア23の軸方向位置に応じて、開口面積を可変にすることが可能である。
次に燃料噴射装置1の全体動作を説明する。ECU100は各種センサの信号からエンジンの運転状態を判断する。そして、判断したエンジンの運転状態に基いて、燃料噴射弁2の燃料噴射時におけるノズルニードル26のリフト量Hが高リフト状態(H=HD2)にあるとECU100が判断した場合には、ECU100は通電方向切変え回路100bの第1および第4のトランジスタTR1、TR4をオン動作させ、駆動コイルへの通電方向を正方向にする。その結果、燃料噴射時におけるノズルニードル26のリフト量HをH=HD2に制御する。一方、ノズルニードル26のリフト量Hが低リフト状態(H=HD1)にあるとECU100が判断した場合には、ECU100は通電方向切変え回路100bの第2および第3のトランジスタTR2、TR3をオン動作させ、駆動コイルへの通電方向を逆方向にする。その結果、燃料噴射時におけるノズルニードル26のリフト量HをH=HD1に制御する。
この様に、ECU100によって駆動コイルへの通電方向が切換えられ、コア23の極性が逆転する。コア23の極性が逆転すると、永久磁石22の定常磁力とコイル31の電磁力がバイアスした磁力、あるいは永久磁石22の定常磁力に反発するコイル31の電磁力のいずれかがコア23に作用する。コア23にバイアスした磁力が作用する場合には、永久磁石22側に吸引され、係止部材16による軸方向位置に規制される。一方、永久磁石22に反発するコイル31の電磁力がコア23に作用する場合には、コア23は反永久磁石22側つまり弁座29a側に押出され、係止部材15による軸方向位置に規制される。その結果、コア23の変位動作によりアーマチャ25の変位量つまりノズルニードル26のリフト量Hを、HD2からHD1へ、あるいはHD1からHD2へ変化させることができる。なお、リフト量を変化させることで、例えば開口面積が変わるため、単位時間当りの噴射量を変化させることが可能である。
高リフト状態(図5参照)および低リフト状態(図6参照)のいずれも、コイル31へ通電し、コイル31に電磁力を発生する。この電磁力によってアーマチャ25を引きつけ、ノズルニードル26の当接部26aを弁座29aから離間させる。その結果、燃料噴射弁2は開弁し、燃料が噴孔28を通して噴射される。コイル31への通電が停止されると、コイル31に生じていた電磁力は消失する。ノズルニードル26が圧縮スプリング24により弁座29aに向けて押され、燃料噴射弁2は閉弁し、燃料噴射が遮断される。
その結果、コイル31への通電期間を調節することで燃料噴射弁2から噴射される噴射量が調整される。さらに、コイル31への通電期間が同一であっても、ノズルニードル26のリフト量Hを、H=HD1あるいはH=HD2のいずれかに設定することによって噴射量を変化させることができる。
以上説明した本実施形態によれば、従来のようにソレノイドつまり駆動コイル(詳しくはコイル31)を二つも設けてそれぞれに電磁力を発生するように駆動制御することなく、コア23における磁化された極性つまり磁極を逆転させ、単位時間当りの噴射量を増減させるようにコア23を変位させることが可能である。
したがって、単位時間当りの噴射量つまり噴射率等の噴射・噴霧特性を変化させる機能を、従来技術に比べて構成を簡素化させて提供することが可能である。
なお、コア23の極性を逆転するために、駆動コイルへの通電方向を切換える切換手段を、例えば制御手段としてのECU100に持たせる必要はあるが、通電方向切換え回路100bを構成する四つのトランジスタTR1〜TR4が増える程度である。従来の二つの駆動コイルを有する構成に比べて、駆動コイルをそれぞれ駆動制御する制御回路の個数、駆動コイルの個数が低減できるとともに、安価な燃料噴射装置1を提供することができる。
また、磁化部材22として、永久磁石を用いるので、常に所定の磁力を発生させられるため、従来技術のソレノイドのように磁力発生するための電力供給が不要である。したがって、噴射率等の噴射・噴霧特性を変化させる機能を有する燃料噴射装置1を駆動するための消費電力量の低減が図れる。
さらに、以上説明した本実施形態によれば、高リフト状態(図5参照)および低リフト状態(図6参照)のいずれも、コイル31へ通電し、コイル31に電磁力を発生するので、従来のようにソレノイドつまり駆動コイルを例えば二つ設けてストッパ用駆動コイルを非通電、通電することでノズルニードルのリフト量を切換えることはない。したがって、非通電状態つまり消磁がなされてリフト量が切換えられる従来構成に比べて、リフト量切換えの応答性の向上が図れる。
さらになお、以上説明した本実施形態において、駆動コイル31の通電方向を切換えることで、ノズルニードル26のリフト量を高リフト状態(図5参照)、低リフト状態(図6参照)に設定することが可能なこと、そのリフト量を高リフト、低リフトに切換えることで単位時間当りの噴射量を増減させられることを説明した。さらに、単位時間当りの噴射量つまり単位時間当りの燃料流量を増減することで、燃料噴射弁2から噴射される燃料の運動エネルギを増、減するができるので、燃焼室において空気と混合するため形成される噴霧の到達距離を変化(詳しくは増、減)させることが可能である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態を、図7から図9に従って説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。図7は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図8および図9は、図7の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、それぞれ、駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す部分断面図、駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す部分断面図である。
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した永久磁石22の配置位置を、燃料噴射弁2の内部に代えて、図7に示すように、燃料噴射弁2の外部側に配置する。なお、図8および図9に示す矢印方向は磁界の方向つまり磁力線を表す。図8において、コイル31の電磁力による磁力線と永久磁石22の磁力による磁力線とを便宜的に別々に表したが、これら磁力線の磁力はバイアスされるため、コイル31と永久磁石22の磁力線は一つの大きな磁力線となる。この様な構成にしても、永久磁石22に生じる磁力が、コイル23の変位動作に影響を及ぼすものであれば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。コイル23の変位動作に影響を及ぼす永久磁石22の磁力とは、ECU100によって駆動コイルへの通電方向が逆方向に切換えられたとき(図9参照)、駆動コイルの電磁力によって磁化されたコア23に反発し、コア23を弁座29a側に向けて押し出し、コア23を係止部材15へ到達させることが可能な磁力以上の大きさであればよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態で説明したコア23と永久磁石22との間に、図10に示すように、磁性体19を設ける。図10は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図11、図12、および図13は、本実施形態の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、それぞれ、駆動コイルの非通電状態を示す部分的断面図、駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す部分的断面図、駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す部分的断面図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態で説明した永久磁石22の磁極配置に対して、図11に示すように、コア23側の端面をN極、反コア23側の端面をS極に逆配置している。この永久磁石22の磁極の逆配置に伴い、コイル31の巻回方向を逆転させている。この様に構成することで、ECU100(詳しくは通電方向切換え回路100b)の切換えによる駆動コイル(詳しくはコイル31)への通電方向(電流)特性(図3参照)をそれぞれ反転させる必要はなくなる。
磁性体19は、磁性材料よりなり、外部磁界を取り去れば磁力を失う軟磁性材料が好ましい。なお、比較的磁化され易く、残留磁気が比較的少ない磁性材料であれば、硬磁性材料あるいは強磁性材料等であってもよい。なお、以下、本実施形態で説明する磁性体19は、軟磁性材料とする。
図10に示すように、磁性体19は、コア23の永久磁石22側方向(図10では軸方向上方)への移動量を規制する機能を有する。なお、磁性体19は、コア23側端面が、コア23にほぼ全面で当接する略平面形状に限らず、コア23の磁性体19側の端面の一部に当接するように略円環状の段差(図示せず)を有する段付平面のものであってもよい。磁性体19のコア23側端面を、コア23の磁性体19側の端面の一部に当接するように構成することで、コア23が磁性体19に磁力によって一旦は連結しても、コア23の磁性を逆転させたとき、磁性体19からコア23を連結を解除して離脱させ易くすることが可能である。
さらになお、本実施形態では、コア23を弁ボディ29に向けて付勢する付勢手段(以下、スプリング)42を有するように構成することが好ましい。具体的には、スプリング42は、図10に示すように、燃料噴射弁の燃料通路内に固定されたブッシュ41と、コア23の間に挟み込まれており、コア23を係止部材15に向けて所定の付勢力で付勢する。
上述の構成を有する燃料噴射装置1における燃料噴射弁2の作動について以下図11から図13に従って説明する。
(1)図11に示す駆動コイル(詳しくはコイル31)の非通電状態では、永久磁石22の磁束の流れは、磁性体19を通って閉回路を形成する。永久磁石22の磁力は、磁性体19を通じてコア23に及ばないため、コア23を永久磁石22に吸引する吸引力は生じない。一方、駆動コイルは非通電状態にあるため、コイル31には電磁力は生じず、ノズルニードル26は、圧縮スプリング24によって弁座29aへ押付けられる。その結果、燃料噴射弁1は閉弁し、燃料噴射されることはない。
なお、スプリング42の付勢力によってコア23が係止部材15に向けて付勢される場合には、この付勢力によって係止部材15つまりリフト量Hが低リフト状態に設定される。
(2)図12に示す駆動コイルへの通電方向が正方向状態では、コイル31に通電され、コイル31には電磁力が発生する。このとき、コイル31の巻回方向が第1の実施形態とは逆方向に巻回されているため、永久磁石22に常に生じる磁界の方向とコイルに生じる磁界の方向が逆方向となる。具体的には、コア23の永久磁石23側端面の磁極がN極となって、永久磁石22のコア23側端面の磁極のN極と反発する関係となる。
このとき、コア23には、永久磁石22による定常磁力に対して反発するコイル31の電磁力が作用する。このコイル31の電磁力すなわち磁束の流れは、図12に示すように、永久磁石22自体に直接作用せず、磁性体19に作用する。その結果、コイル31の磁束の流れは、その磁束の流れに対して磁気抵抗となる永久磁石22の磁束の流れに妨げられない。そのため、第1の実施形態の燃料噴射弁に比べて、コイル31に発生する電磁力を約半分程度にしても、同等以上の動作力を得ることが可能である。
その結果、コア23は、ノズルニードル26側の係止部材15へ移動し、係止部材15によって規制される。一方、コイル31によって磁化されたコア23はアーマチャ25を引きつけ、ノズルニードル26を弁座29aから離間させる。このとき、係止部材15によってノズルニードル26のリフト量の最大リフト量が規制されているため、噴射が開始された燃料噴射弁におけるノズルニードル26のリフト量Hは低リフト状態(H=HD1)に制限される。
なお、ここで、永久磁石22で作る磁気回路とコイル31で作る磁気回路は、永久磁石22とコア23との間に挟まれた磁性体19を通じて、それぞれ閉回路を形成する。
(3)図13に示す駆動コイルへの通電方向が逆方向状態では、駆動コイルへの通電方向を正方向から逆方向に切換えられるため、コイル31に発生する電磁力による磁界の方向は、永久磁石22に常に生じる磁界の方向と同じとなる。このとき、コア23には、永久磁石22による定常磁力に加えてコイル31の電磁力をバイアスされた磁力が作用する。その結果、コア23は磁性体19側に引きつけられ、磁性体19に規制されるため、ノズルニードル26のリフト量は高リフト状態(H=HD2)となる。一方、コイル31と永久磁石22によって磁化されたコア23はアーマチャ25を引きつけ、ノズルニードル26を弁座29aから離間させる。噴射が開始された燃料噴射弁におけるノズルニードル26のリフト量Hは高リフト状態(H=HD2)に制限される。
以上説明した本実施形態によれば、コア23と永久磁石との間に磁性体19を設けるので、コイル31の電磁力によりコア23(詳しくはコア23およびアーマチャ25)に生じる磁界の方向が永久磁石23の磁界の方向と逆方向となる駆動コイルへの通電方向が逆方向状態において、駆動コイルの磁束の流れは、その磁束の流れに対して磁気抵抗となる永久磁石22自身に直接作用せず、磁性体19に作用する。そのため、駆動コイルの磁束の流れは、永久磁石22の磁束により妨げられることを防止される。したがって、駆動コイルに発生する電磁力を効率的に利用することができる。
例えば永久磁石22で作る磁気回路とコイル31で作る磁気回路が磁性体19を配置することなく直接対向してこれらの磁束が相殺し合う現象の発生を防止できる。アーマチャ25をコア23側へ移動させる必要な動作力を得るために、コイル31へ通電する電流を増加する等電磁力を増加させる必要はない。そのため、駆動コイルの高電流化、あるいは電磁駆動部の大型化が避けられ、小型化することが可能となる。
なお、本実施形態では、ほぼ同等以上の必要な動作力を得るのに、コイル31に発生する電磁力を略半減させて対応可能とした。
なお、以上説明した本実施形態において、コア23を係止部材15に向けて付勢するスプリング41を設けることで、駆動コイルの非通電状態および通電方向が正方向状態において、反アーマチャ25側の磁性体19に規制されるのではなく、アーマチャ25側の係止部材15に規制されるため、アーマチャ25とコア23のエアギャップを小さくするができる。したがって、駆動コイルの非通電状態および通電方向が正方向状態となってノズルニードル26のリフト量Hが低リフト状態にあるとき、コア23によってアーマチャ25を吸引する吸引力の向上が図れる。
さらに、コア23を係止部材15に規制する作用力として、コイル31に発生する電磁力に加えて、スプリング42による付勢力を、コア23に作用させられるので、低リフト状態での燃料噴射時に生じるおそれがあるノズルニードル26のいわゆるバウンズ現象を防止することが可能である。例えばバウンズ現象を防止できるため、低リフト状態の噴射時でのノズルニードル26のオーバーシュートの防止または抑制、あるいは微小噴射量を制御することを容易に行なえる。
さらになお、以上説明した本実施形態によれば、磁性体19を追加しても、磁性体19は第1の実施形態で説明した係止部材16と同じ機能を有するので、係止部材16を廃止することができる。したがって、部品点数を増加させることなく、燃料噴射弁2の機能の向上が図れる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、図14および図16に示すように、アーマチャ125に反発部材としての二つの永久磁石122a、122bを設けるとともに、コア123に、これら永久磁石122a、122bに軸方向に対峙可能な位置に空隙部または非磁性体部123k(本実施例の図16(a)では、空隙部)を設ける。図14は、実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図15は、図14の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、図15(a)は駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す模式図、図15(b)は駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す模式図である。図16は、図14中のコアおよび可動コアに係わる動作を説明する説明図あって、図16(a)はコアおよび可動コア周りを示す軸方向断面図、図16(b)および図16(g)はそれぞれコアの径方向断面図、略円筒部材の内周の径方向断面図、図16(c)および図16(d)はそれぞれ可動コア、ノズルニードルにおける通電方向の正方向状態を示す径方向断面図、図16(e)および図16(f)はそれぞれ可動コア、ノズルニードルにおける通電方向の逆方向状態を示す径方向断面図である。なお、図16において、図16(b)は図16(a)のA−Aからみた断面図、図16(c)および図16(e)は図16(a)のB−Bからみた断面図、図16(d)および図16(d)は図16(a)のC−Cからみた断面図、図16(g)は図16(a)中のC−Cからみた断面図である。
第1の永久磁石122aと第2の永久磁石122bとは、図16(c)および図16(e)に示すように、周方向に所定の角度θ離間して配置されている。また、第1の永久磁石122aと第2の永久磁石122bとは、図15(a)および図15(b)に示すように、磁極が反転している。図16(c)に示すアーマチャ125にように、アーマチャ125のコア123側端面において、第1の永久磁石122aの磁極がN極、第2の永久磁石122bの磁極がS極に配置される。
さらに、ノズルニードル126には、金属内筒部材114のアーマチャ収容孔114e内に設けられた係止め穴114k(図16(g)参照)に対して、周方向の所定位置では係止め穴114kとの軸方向の係止を解除可能な係止部126kを有する。本実施例では、係止穴114kは略矩形形状(図16(g)参照)、係止部126kは、係止穴114kの略矩形形状に対応して、図16(d)に示すように略水平に配置したとき、挿通可能な略矩形形状を有する。なお、係止穴114kはアーマチャ収容孔114e内に一体的に形成されていても、アーマチャ収容孔114eに固定されたリフト制限用係止部材17に形成されていてもよい。
コア123は、金属内筒部材114に固定されている。
ここで、空隙部123kを有するコア123と、二つの上記関係の永久磁石122a、122bを有するアーマチャ125の作動について、以下図15(a)および図15(b)に従って説明する。図15(a)に示す駆動コイルへの通電方向が正方向状態では、コイル31が通電されると、コイル31に生じた電磁力によってコア123が磁化され、コア123のアーマチャ125側端面の磁極がS極となる。このとき、アーマチャ125のコア123側端面は、磁化されたコア123の磁力によって磁極をN極化されようとする。アーマチャ125の第2の永久磁石122bとコア123とは互いにS極同士の関係となるため、互いに反発し合って離れようとする力が働く。その結果、図15(a)の右方向にアーマチャ125が回転する。そしてアーマチャ125が回転して第2の永久磁石122bが空隙部123kの軸方向に対峙する位置まで回転して停止する。これにより、係止穴114kと係止部126kとの配置関係は図16(c)および図16(d)の関係となり、係止部126kは係止穴114kに挿通可能となって、係止穴114kと係止部126kの軸方向の係止が解除される。その結果、ノズルニードル126の燃料噴射時のリフト量HはH=HD2となる。一方、図15(b)に示す駆動コイルへの通電方向が逆方向状態では、コア123のアーマチャ125側端面の磁極がN極となる。このとき、アーマチャ125のコア123側端面は、磁化されたコア123の磁力によって磁極をS極化されようとする。アーマチャ125の第1の永久磁石122aとコア123とは互いにN極同士の関係となるため、互いに反発し合って離れようとする力が働く。その結果、図15(b)の左方向にアーマチャ125が回転する。そしてアーマチャ125が回転して第1の永久磁石122aが空隙部123kの軸方向に対峙する位置まで回転して停止する。これにより、係止穴114kと係止部126kとの配置関係は図16(e)および図16(f)の関係となり、係止部126kは係止穴114kに挿通不可能となって、係止穴114kと係止部126kが軸方向の係止される。その結果、図14に示すように、ノズルニードル126の燃料噴射時のリフト量HはH=HD1となる。
以上説明した本実施形態によれば、コア123には空隙部123kを設け、アーマチャ125には、空隙部123kに軸方向に対峙する位置に、第1の永久磁石122aと、第1の永久磁石122aに対して磁極を反転する第2の永久磁石122bとを周方向に所定の角度θ離間して配置するので、コア123の磁極を逆転させ、アーマチャ125を周方向に変位させることが可能である。さらに、空隙部(非磁性体部)123kが、第1の永久磁石122aおよび第2の永久磁石122bに軸方向に対峙可能に配置されているので、コア123の磁化した磁極の極性が逆転したとときに、コア123と第1の永久磁石122aの反発、あるいはコア123と第2の永久磁石122bの反発のいずれかによる回転力に従って回転し、周方向の所定位置へ誘導することが可能である。
以上説明した本実施形態において、コア123に空隙部123k、アーマチャ125に二つの上記関係の永久磁石122a、122bとして説明したが、コア123およびアーマチャ125のいずれか一方に空隙部(または非磁性体部)を設け、空隙部(または非磁性体部)に軸方向に対峙する他方の位置には、第1の永久磁石と、第1の永久磁石に対して磁極を反転する第2の永久磁石とが周方向に所定の角度離間して配置されていれば、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
以上説明した本実施形態によれば、コア123の磁極を逆転させ、アーマチャ125を周方向に変位させることが可能であるので、アーマチャ125の周方向の変位に同期してノズルニードル126のリフト量Hを変化させる構成を有する燃料噴射装置に好適である。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、第4の実施形態で説明した第1および第2の永久磁石をアーマチャ125に配置する構成に代えて、図17に示すように、ストッパ18に設ける。図17は、本実施形態の燃料噴射装置を示す部分的断面図であって、図17(a)は軸方向断面図、図17(b)は図17(a)中のコアの径方向断面図、図17(c)は図17(a)中のストッパの径方向断面図である。なお、図17において、図17(b)は図17(a)のD−Dからみた断面図、図17(c)は図17(a)のE−Eからみた断面図である。
図17(a)に示すように、ストッパ18は、コア123とアーマチャ25との間に配置され、回転可能で回転に従い軸方向に変位可能である。このストッパ18としては、図17(a)に示すように、コア123の外周側と金属内筒部材214のアーマチャ収容孔214eとが螺合可能なねじ等で形成されている。このストッパ18は、ノズルニードル26のリフトを規制し、ストッパ18の軸方向の変位に応じてリフト量Hを制限する。
ストッパ18には、コア123に配置された空隙部123kに軸方向に対峙可能な第1の永久磁石222aと、第1の永久磁石222aに対して磁極を反転する第2の永久磁石222bとが周方向に所定の角度離間して配置されている。
この様な構成にしても、第4の実施形態と同様に、コア123の磁極を逆転させ、ストッパ18を周方向に変位させることが可能である。さらに、空隙部(非磁性体部)123kが、第1の永久磁石222aおよび第2の永久磁石222bに軸方向に対峙可能に配置されているので、コア123の磁化した磁極の極性が逆転したとときに、コア123と第1の永久磁石222aの反発力、あるいはコア123と第2の永久磁石222bの反発力のいずれかを利用した回転力に従って、周方向の所定角度だけストッパ18を回転させて停止することが可能である。その結果、ストッパ18は、回転動作における所定回転角に従い所定の軸方向変位が可能である。したがって、コア123の磁極を逆転させ、ストッパ18の軸方向の変位に応じて、アーマチャ25の軸方向の変位量つまりノズルニードル26のリフト量Hを、HD2からHD1へ、あるいはHD1からHD2へ変化させることができる。
なお、上記二つの永久磁石222a、222bに限らず、コア123の磁化された磁極の極性を逆転させ、コア123に対してストッパ18を周方向に回転可能な反発部材であればいずれの部材であってもよい。
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、第5の実施形態で説明したストッパ18に、図18に示すように、燃料流路を閉塞、開口可能な流路遮断部18fを設ける。なお、この場合、ストッパ18は、回転のみ可能とし、ねじ等の螺合部が必要な回転に従い軸方向変位可能な機能はない。図18は、本実施形態の燃料噴射装置を示す部分的断面図であって、図18(a)は軸方向断面図、図18(b)は図18(a)中のコアの径方向断面図、図18(c)は図18(a)中のストッパの径方向断面図である。なお、図18において、図18(b)は図18(a)のF−Fからみた断面図、図18(c)は図18(a)のG−Gからみた断面図である。
金属内筒部材314の壁部には、図18(a)に示すように、金属内筒部材314の壁部の内周側を流れて弁座29へ延出する燃料流れ経路から分岐して、燃料が別経路で弁座29a側へ流れる分岐燃料流路314fを備えている。分岐燃料流路314fの開口端は、弁座29aの略近傍の上流側に設けられている。ストッパ18は、図16(c)に示すように所定の回転角の範囲で回動することで、分岐燃料流路314fを閉塞、開口を行なう。なお、金属内筒部材314の壁部はアーマチャ収容孔314eを形成する。
この様な構成においても、第5の実施形態と同様に、コア123の磁極を逆転させ、ストッパ18を周方向に変位させることが可能である。その結果、ストッパ18の回転動作により流路遮断部18fを介して分岐燃料流路314fを閉塞、開口することが可能である。
さらに、ストッパ18の回転動作によって分岐燃料流路314fの開口、閉塞を切換えられることで、燃料流れ経路を流れる燃料の主流に対して、弁座29aの直前へ分岐燃料流路414fを流れる燃料の分流を供給、供給停止することができる。主流の燃料に分流の燃料が供給される場合には、分流の燃料による主流の燃料への衝突により噴孔28から噴射される燃料噴霧にスワール等を発生させることが可能である。また、主流の燃料噴射の噴射方向を、分流の燃料による衝突で、主流の燃料噴射の噴射方向を変化させることも可能である。
したがって、コア123の極性を逆転させることで、ストッパ18の回転動作により流路遮断部18fを介して分岐燃料流路314fの閉塞、開口を切換えるため、スワール等による噴霧形状を変化させること、つまり噴射・噴霧特性を変化させることが可能となる。
以上説明した実施形態において、コア23、123が駆動コイルの通電により生じた電磁力によって磁化される場合、磁化されたコア23、123の磁力によって、アーマチャ25、125もコア23、123と同じ極性で磁化され、吸引される。したがって、コアあるいはアーマチャの極性を逆転させ、コアあるいはアーマチャを変位させることが可能である。コアあるいはアーマチャを変位動作させて単位時間当りの噴射量を増減させることが可能である。単位時間当りの噴射量つまり噴射率等の噴射・噴霧特性を変化させることが可能である。また、コアあるいはアーマチャの極性を逆転させ、燃料噴射弁2内を流れる燃料流れ経路のうち一部の分岐燃料流路等の経路を閉塞、開口することで、スワール等による噴霧形状を変化させること、つまり噴射・噴霧特性を変化させることが可能となる。
(第7の実施形態)
以上説明した第1の実施形態から第6の実施形態では、ECU100によって通電方向が切換えられる駆動コイル(詳しくはコイル31)と、永久磁石22、122a、122b、222a、222bとを有する燃料噴射弁2で説明した。これら永久磁石は、強磁性材が磁化され常時磁力を発生するものに限らず、磁力を発生するものであればいずれでもよい。
第7の実施形態では、図19に示すように、ECU100によって通電方向が切換えられるコイル31と、ECU100によって通電可能な第2の駆動コイル(詳しくはコイル51)とを備える。図19は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。
第2の駆動コイルは、コイル51、スプール、およびターミナルとで構成されている。コイル51はコイル31と同様に通電、通電停止により、電磁力を発生、消失する。コイル51がECU100によって通電され電磁力を発生したときの磁極は、第2の実施形態における図8、図9に示す永久磁石22の磁極と同じになる。
この様に構成しても、ECU100によってコイル31の通電方向が切換えられることでノズルニードル26のリフト量が切換えられる。従来構成のように駆動コイルを二つ有するが、ストッパ用駆動コイルを非通電、通電することでノズルニードルのリフト量を切換えることはない。したがって、非通電状態つまり消磁がなされてリフト量が切換えられる従来構成に比べて、リフト量切換えの応答性の向上が図れる。
さらに、従来構成ではノズルニードルのリフト量が小さくなる側に付勢するスプリングが二つ必要であったが、リフトが小さくなる側にアーマチャ25を付勢する圧縮スプリング24だけでよい。したがって、単位時間当りの噴射量つまり噴射率等の噴射・噴霧特性を切換えもしくは変化させる機能を、従来に比べて構成を簡素化させて提供することが可能である。
本発明の第1の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 第1の実施形態に係わる電気的構成を示す模式的回路図である。 図2中の電磁コイルへの通電方向を切換える切換手段の切換動作を表す図である。 図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルの非通電状態を示す部分的断面図である。 図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す部分的断面図である。 図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す部分的断面図である。 第2の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 図7の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す部分断面図である。 図7の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す部分断面図である。 第3の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 図10の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルの非通電状態を示す部分的断面図である。 図10の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す部分的断面図である。 図10の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す部分的断面図である。 第4の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 図14の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、図15(a)は駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す模式図、図15(b)は駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す模式図である。 図14中のコアおよび可動コアに係わる動作を説明する説明図あって、図16(a)はコアおよび可動コア周りを示す軸方向断面図、図16(b)および図16(g)はそれぞれコアの径方向断面図、略円筒部材の内周の径方向断面図、図16(c)および図16(d)はそれぞれ可動コア、ノズルニードルにおける通電方向の正方向状態を示す径方向断面図、図16(e)および図16(f)はそれぞれ可動コア、ノズルニードルにおける通電方向の逆方向状態を示す径方向断面図である。 第5の実施形態の燃料噴射装置を示す部分的断面図であって、図17(a)は軸方向断面図、図17(b)は図17(a)中のコアの径方向断面図、図17(c)は図17(a)中のストッパの径方向断面図である。 第6の実施形態の燃料噴射装置を示す部分的断面図であって、図18(a)は軸方向断面図、図18(b)は図18(a)中のコアの径方向断面図、図18(c)は図18(a)中のストッパの径方向断面図である。 第7の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。
符号の説明
1 燃料噴射装置
2 燃料噴射弁
2a 弁部
2b 電磁駆動部
14 金属内筒部材(略円筒部材)
15、16 係止部材
22 永久磁石(磁化部材)
23 コア
25 アーマチュア(可動コア)
25e アーマチュア収容孔
26 ノズルニードル
26a 当接部
28 噴孔
29 弁ボディ
29a 弁座
31 コイル(駆動コイルの一部)
100 ECU(制御手段)
100a 制御部
100b 通電方向切換え回路
TR1、TR2、TR3、TR4 トランジスタ(スイッチング素子)

Claims (9)

  1. 噴孔の上流側に弁座を有するノズルボディと、前記ノズルボディに軸方向移動可能に収容され、前記弁座に当接、離間する当接部を有するノズルニードルと、ノズルニードルに協働する可動コアと、前記可動コアに軸方向に対峙し、磁性体からなるコアと、駆動コイルとを備え、
    前記コアあるいは前記可動コアの極性を逆転させ、単位時間当りの噴射量を増減させるように前記コアあるいは前記可動コアを変位可能とする燃料噴射装置において、
    前記コアの極性を逆転させたときに、前記コアを反可動コア側に吸引可能な磁化部材を備え、
    前記磁化部材が前記コアの反可動側に配置された永久磁石であり、
    前記コアと前記永久磁石との間には、磁性体が配設されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 噴孔の上流側に弁座を有するノズルボディと、前記ノズルボディに軸方向移動可能に収容され、前記弁座に当接、離間する当接部を有するノズルニードルと、ノズルニードルに協働する可動コアと、前記可動コアに軸方向に対峙し、磁性体からなるコアと、駆動コイルとを備え、
    前記コアあるいは前記可動コアの極性を逆転させ、単位時間当りの噴射量を増減させるように前記コアあるいは前記可動コアを変位可能とする燃料噴射装置において、
    前記コアあるいは前記可動コアの極性を逆転させ、前記コアあるいは前記可動コアを周方向に変位可能としたことを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 前記コアおよび前記可動コアのいずれか一方には空隙部または非磁性体部が配置され、
    前記空隙部または前記非磁性体部に軸方向に対峙する他方の位置には、第1の永久磁石と、前記第1の永久磁石に対して磁極を反転する第2の永久磁石とが周方向に所定の角度離間して配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記コアおよび前記可動コアは、外周側に前記駆動コイルが配置された略円筒部材の内周に収容され、
    前記可動コアまたは前記ノズルニードルには、前記内周に設けられた係止穴に対して周方向の所定位置では前記係止穴との係止を解除する係止部を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の燃料噴射装置。
  5. 噴孔の上流側に弁座を有するノズルボディと、前記ノズルボディに軸方向移動可能に収容され、前記弁座に当接、離間する当接部を有するノズルニードルと、ノズルニードルに協働する可動コアと、前記可動コアに軸方向に対峙し、磁性体からなるコアと、駆動コイルとを備え、
    前記コアあるいは前記可動コアの極性を逆転させ、単位時間当りの噴射量を増減させるように前記コアあるいは前記可動コアを変位可能とする燃料噴射装置において、
    前記コアと前記可動コアとの間には、回転可能で回転に従い軸方向に変位可能なストッパを備え、
    前記ストッパには、前記コアあるいは前記可動コアの極性を逆転させたときに、前記コアあるいは前記可動コアに対して周方向に回転可能な反発部材を有していることを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 前記コアおよび前記可動コアのいずれか一方には空隙部または非磁性体部が配置され、
    前記反発部材は、前記空隙部または前記非磁性体部に軸方向に対峙する、第1の永久磁石と、前記第1の永久磁石に対して磁極を反転し、周方向に所定の角度離間して配置された第2の永久磁石とを備えていることを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射装置。
  7. 噴孔の上流側に弁座を有するノズルボディと、前記ノズルボディに軸方向移動可能に収容され、前記弁座に当接、離間する当接部を有するノズルニードルと、ノズルニードルに協働する可動コアと、前記可動コアに軸方向に対峙し、磁性体からなるコアと、駆動コイルと、前記コアおよび前記可動コアを内周側に収容し、外周側に前記駆動コイルが配置された略円筒部材と、前記略円筒部材の壁部内に設けられ、前記内周側の燃料の流れから分岐した燃料が前記弁座側へ流れる分岐燃料流路と、前記コアと前記可動コアとの間に設けられ、前記分岐燃料流路の閉塞、開口が可能な流路遮断部を有する回転可能なストッパとを備え、
    前記ストッパには、前記コアあるいは前記可動コアの極性を逆転させたときに、前記コアあるいは前記可動コアに対して周方向に回転可能な反発部材を有していることを特徴とする燃料噴射装置。
  8. 前記コアおよび前記可動コアのいずれか一方には空隙部または非磁性体部が配置され、
    前記反発部材は、前記空隙部または前記非磁性体部に軸方向に対峙する、第1の永久磁石と、前記第1の永久磁石に対して磁極を反転し、周方向に所定の角度離間して配置された第2の永久磁石とを備えていることを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射装置。
  9. 前記駆動コイルへの通電方向を切換える切換手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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