JP4110783B2 - 騒音制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人為的に発生させた制御音を騒音に干渉させることにより、所定の受聴エリア内での騒音を低減する騒音制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、デジタル信号処理技術を用いてスピーカから制御音を発生させ、この制御音を騒音に干渉させることにより、予め設定された受聴エリア内での騒音を低減する騒音制御装置が知られている。
【0003】
ここで、図5は、一般的な騒音制御装置の構成を表すブロック図である。
図示の如く、騒音制御装置は、騒音源の騒音を検出する騒音源マイクロフォン101と、騒音に干渉させる制御音を発生させるスピーカ102と、受聴エリアに設置され、スピーカ102からの制御音と騒音との合成音を検出する受聴エリアマイクロフォン103と、騒音源マイクロフォン101からの騒音信号、及び受聴エリアマイクロフォン103からの誤差信号を、それぞれサンプリングしてデジタル値に変換するA/D変換器104,105と、A/D変換器104からの騒音データに基づいて、A/D変換器105からの誤差データが最小となるようにスピーカ102に制御音を発生させるための制御データを生成する適応制御器110と、適応制御器110が生成した制御データを、アナログ信号である制御信号に変換するD/A変換器106とを備えている。
【0004】
そして、適応制御器110は、A/D変換器104にて検出された騒音データに−1を乗算して符号変換する演算器111と、演算器111の出力から制御データを生成するフィルタ112と、誤差信号に基づいてフィルタの係数を更新する係数更新器113とからなる。
【0005】
なお、フィルタ112は、FIR(Finite Inpulse Response )フィルタとして構成されたものであり、具体的には、演算器111からの符号反転データとフィルタの特性(伝達関数)を決める係数との畳み込み演算を実行するものである。また、係数更新器113は、例えば、公知のLMS(Least Mean Square :最小自乗平均法)アルゴリズムを用いて、フィルタ係数を更新するようにされており、フィルタ112及び係数更新器113は、いわゆる適応フィルタとして構成されている。
【0006】
このように構成された騒音制御装置では、受聴エリア内で騒音と逆位相となるような制御音がスピーカ102から発生し、この制御音と騒音とが干渉して打ち消し合うことにより、受聴エリアでの騒音を低減させることができる。
ところで、このような騒音制御装置を、自動車に設置し、エンジン音やエアコンの噴流音などを低減させることが考えられている。この場合、受聴エリアは、運転者等、乗員の耳の周辺に位置するように設定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、騒音制御装置により、消音効果(例えば、騒音を−10dB以下に低減)が得られる範囲(以下「消音エリア」という)は、制御ポイント(ここでは受聴エリアマイクロフォンの設置位置)を中心とした狭い範囲に限られる。具体的には、消音すべき騒音の周波数成分が500Hzの場合、消音エリアの半径は約5cmであり、これは騒音の周波数成分が高いほど小さくなる。
【0008】
このため、乗員が動いたり、乗員が交替すると、乗員の耳が消音エリアから外れてしまい、その効果を十分に発揮させることができないという問題があった。これに対して、制御ポイントを増やし、制御ポイントのそれぞれについて同様の制御を行うことにより、消音エリアを拡張することが考えられる。しかし、この場合、上述の装置を制御ポイントの数だけ並列に設けることになるため、装置が大型化するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するために、簡易な構成で、消音効果の得られる範囲を拡大することが可能な騒音制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための発明である請求項1記載の騒音制御装置では、騒音源の近傍に設置された騒音検出手段が騒音を検出し、信号処理手段が、騒音検出手段での検出信号である騒音信号に、制御ポイント毎に設定される伝達関数を作用させることで制御信号を生成する。そして、この制御信号に基づいて、制御音発生手段が、予め指定された受聴エリアに向けて制御音を発生させ、この制御音を騒音に干渉させることにより、受聴エリア内での騒音を低減する。なお、信号処理手段は、受聴エリア内に設定された複数の制御ポイントのそれぞれにて、騒音と逆位相となる制御音を制御音発生手段に発生させるような制御信号を生成する。
【0011】
この時、誤差検出手段が、前記制御ポイントの一つを検出ポイントとして、その検出ポイントにて、制御音発生手段が発生させた制御音と騒音との合成音を検出し、その検出信号である誤差信号に基づき、係数生成手段が、その誤差信号が最小となるように、検出ポイントと同一地点の制御ポイントに対応した伝達関数の特性を決める係数データを繰り返し生成する。
すると、推定手段が、係数生成手段が生成した検出ポイントについての係数データに基づいて、受聴エリア周辺の環境が、予め想定された前記受聴エリア周辺の典型的な環境いずれに対応するかを推定し、推定結果として、前記典型的な環境に対して付与された識別情報を出力する
そして、係数更新手段が、推定手段が出力する識別情報に対応した複数の制御ポイントについての係数データを係数テーブルから抽出し、その抽出された係数データにて、制御ポイント毎の伝達関数の特性を決める係数データを更新する。
なお、係数テーブルは、識別情報にて特定される環境にある時に選択されるべき係数データを、識別情報に対応させてなるものであり、係数テーブル記憶手段に記憶される。
また、推定手段は、係数照合手段が、係数生成手段にて生成された検出ポイントについての係数データと、参照テーブルに記憶された参照係数データとを照合し、近似度が最も高い参照係数データに対応する識別情報を、当該推定手段での推定結果として出力する。但し、参照テーブルは、識別情報と、その識別情報で特定される環境にある時に係数生成手段にて生成されるべき検出ポイントについての係数データである参照係数データとを対応させたものを用いる必要がある。
また、係数生成手段は、例えばLMSアルゴリズム等、公知の手法を用いてフィルタの係数データを求めるものであり、いわゆる適応フィルタの構成要素として使用されるものを用いることができる。
【0012】
このように、本発明の騒音制御装置によれば、騒音と制御音とが逆位相となる制御ポイントが複数設定されているため、消音効果が得られる範囲を拡張することができる。従って、例えば、当該騒音制御装置を、自動車に適用し、搭乗者の耳の当たりに受聴エリアを設定した時には、搭乗者が多少動いたとしても、搭乗者の耳が受聴エリアから外れてしまうことがない。
【0013】
また、本発明の騒音制御装置おいては、受聴エリア周辺の環境が変化して制御音発生手段から受聴エリア(各制御ポイント)までの音の伝わり方(伝達特性)が変化した時に、その変化を、検出ポイントでの誤差信号から推定し、制御信号を生成する際に用いる伝達関数の特性ひいては制御音を、環境の変化に応じたものに変化させている。
【0014】
即ち、受聴エリアの周辺の環境によって、音の伝わり方が変化し、その結果、検出ポイントにて検出される合成音(誤差信号)が変化するため、この誤差信号に基づいて受聴エリア周辺の環境、つまり各制御ポイントまでの伝達特性を推定することが可能となるのである。
【0015】
このように、本発明の騒音制御装置によれば、制御ポイント毎に異なる伝達関数の係数データの更新を、検出ポイントでの誤差信号に基づいて一括して行っているため、係数データの更新を制御ポイント毎に誤差信号を検出して個別に行う従来装置と比較して、装置構成を大幅に簡略化することができる。
【0016】
なお、信号処理手段は、例えば請求項2記載のように、伝達関数の特性を任意に設定可能に構成されたフィルタを、制御ポイントのそれぞれに対応して設けてなるフィルタ群が、演算手段にて符号変換された騒音信号を入力として制御ポイント毎の制御信号を生成し、そのフィルタ群を構成する各フィルタの出力を多重化手段が、時分割多重するように構成してもよい。
【0017】
また、信号処理手段は、例えば請求項3記載のように、伝達関数の特性を任意に設定可能な単一のフィルタが、演算手段にて符号変換された騒音信号を入力として制御信号を生成し、その際に、係数切替手段が、フィルタの伝達関数を、各制御ポイントに対応したものに時分割で順次切り替えることで、フィルタが、時分割多重された制御信号を生成するように構成してもよい。
【0018】
なお、信号処理手段における制御信号の多重化は、請求項2,3のいずれの場合にしても、対応する制御ポイントの位置の分布が常に均等にばらついたものとなるような順番で行うことが望ましい。これは、このような多重化を行った場合、制御ポイントの配列順に規則正しく多重化したものと実際に聴き比べてみると、消音エリアがより拡大するように感じられるからである。
【0020】
お、当該騒音制御装置が車両に搭載されるものである場合、請求項4記載のように、受聴エリア周辺の典型的な環境は、車室内の温度、搭乗人員数、搭乗位置、受聴エリアにおける人員の挙動等のうち、少なくともいずれか一つに基づいて分類されていることが望ましい。但し、他にも、車室内における音声の伝わり方に大きな影響を与えるパラメータがあれば、それを用いればよい。
【0022】
また、請求項5記載のように、係数更新手段は、検出ポイントと同一地点の制御ポイントについては、伝達関数の特性を決める係数データを、係数生成手段が生成する係数データにて更新するように構成することが望ましい。
【0023】
この場合、検出ポイントと同一地点の制御ポイントでは、実際の誤差信号に基づいて制御信号の生成が行われることになるため、制御ポイントでの消音効果を最大限に引き出すことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、デジタル信号処理技術を用いてスピーカから制御音を発生させ、この制御音を騒音に干渉させることにより、予め設定された受聴エリアでの騒音を低減する能動騒音制御(ANC:Active Noise Control)を実現する第1実施形態の騒音制御装置の構成を表すブロック図である。
【0025】
ここでは、本実施形態の騒音制御装置を自動車に適用し、エンジン音やエアコンの噴流音などを低減させるため、受聴エリアを、乗員(運転者など)の耳の周辺に位置するように設定する場合について説明する。
図示の如く、本実施形態の騒音制御装置は、騒音源の騒音を検出する騒音検出手段としての騒音源マイクロフォン1と、騒音に干渉させる制御音を発生させる制御音発生手段としてのスピーカ2と、受聴エリアの中心に設置され、スピーカ2からの制御音と騒音との合成音を検出する誤差検出手段としての受聴エリアマイクロフォン3と、騒音源マイクロフォン1からの騒音信号をサンプリングしてデジタル値(「騒音データ」という)に変換するA/D変換器4と、受聴エリアマイクロフォン3からの誤差信号をサンプリングしてデジタル値(「誤差データ」という)に変換するA/D変換器5と、A/D変換器4からの騒音データに基づいて、受聴エリア内での騒音レベルを低減させるための制御音をスピーカ2に発生させるための制御データを生成する適応制御器6と、適応制御器6が生成した制御データを、アナログ信号である制御信号に変換するD/A変換器7とを備えている。
【0026】
なお、受聴エリア内には、複数(本実施形態では9個)の制御ポイントP1〜P9が設定されており、その中心に位置する制御ポイントP1に、受聴エリアマイクロフォン3が設置されている。つまり、この制御ポイントP1が検出ポイントに相当する。また、制御ポイントP1〜P9は、図中で斜め方向に隣接する制御ポイント間(例えばP1−P2間,P1−P8間など)の距離が、低減すべき騒音について消音効果が得られる範囲(消音エリア)の直径以下となるように設定されている。
【0027】
このうち、適応制御器6は、図2に示すように、A/D変換器4からの騒音データに−1を乗算して符号変換する演算手段としての演算器11と、受聴エリア内に設定された各制御ポイントP1〜P9に対応して設けられたフィルタF1〜F9からなり、それぞれが演算器11からの符号反転データから制御データを生成するフィルタ群12と、フィルタ群12を構成する各フィルタF1〜F9が生成する制御データを、D/A変換器7に順番に出力する多重化手段としての時分割多重化器13とからなる信号処理手段としての信号処理部10を備えている。
【0028】
なお、フィルタFi(i=1〜9)は、いずれも後述する係数データにより規定される伝達特性(伝達関数)を有しており、それぞれ制御ポイントPiについての制御信号を生成するようにされている。また、時分割多重化器13は、各フィルタF1〜F9の出力を、対応する制御ポイントの位置の分布が常に均等にばらついたものとなるような順番(例えば、F1→F8→F3→F6→F9→F4→F7→F2→F5やF1→F9→F5→F2→F6→F3→F7→F4→F8など)で多重化するものとする。
【0029】
また、適応制御器6は、A/D変換器5からの誤差データに基づいて、受聴エリア周辺の環境を推定し、その推定された環境に対して付与された識別番号を出力する推定手段としての環境推定部20と、環境推定部20が出力する識別番号に従って、フィルタ群12に供給する係数データを更新する係数更新部30とを備えている。
【0030】
このうち、環境推定部20は、A/D変換器5からの誤差データに基づき、この誤差データを最小にするフィルタF1についての係数データを繰り返し生成する係数生成手段としての係数更新器21と、予め想定される典型的な環境のそれぞれについて付与した識別情報に、その識別番号で特定される環境にある時に、係数更新器21が生成すべき係数データを対応づけてなる参照テーブルを記憶する参照テーブル記憶手段としてのメモリ22と、参照テーブルの係数データ(以下「参照係数データ」という)と係数更新器21にて生成された係数データ(以下「生成係数データ」という)とを照合することにより、生成係数データに最も近似した参照係数データに対応する識別情報を推定結果として出力する係数照合手段としての係数照合器23とからなる。
【0031】
また、係数更新部30は、識別情報と、その識別情報にて特定される環境にある時に選択されるべきフィルタF2〜F9についての係数データとを対応させてなる係数テーブルを記憶する係数テーブル記憶手段としてのメモリ31と、メモリ31に記憶された係数テーブルに基づいて、係数照合器23が出力する識別情報に対応した係数データの抽出を行う係数更新手段としての係数抽出器32とからなる。
【0032】
なお、フィルタF1〜F9は、いずれもFIR(Finite Inpulse Response )フィルタとして構成されたものであり、具体的には、係数更新器21が生成する係数データ或いは係数抽出器32が抽出する係数データと、演算器11からの符号反転データとの畳み込み演算を実行するものである。
【0033】
また、係数更新器21は、例えば、公知のLMS(Least Mean Square :最小自乗平均法)アルゴリズムを用いて、フィルタF1の係数データを生成するようにされており、フィルタF1と共にいわゆる適応フィルタを構成するものである。
【0034】
なお、参照テーブル及び係数テーブルに設定された係数データは、次のようにして設定される。即ち、図3に示すように、騒音源をN、騒音源から制御ポイントPi(i=1〜9)に到る音響伝達経路の伝達関数をHni、スピーカ2が発生する制御音をV、スピーカ2から制御ポイントPiに到る音響伝達経路の伝達関数をHviとすると、これらが(1)式の関係にある時に、制御ポイントPiでの制御音Vと騒音Nとは打ち消し合うことになる。この(1)式から、制御音Vは(2)式で表すことができる。
【0035】
V・Hvi+N・Hni=0 (1)
V=−N・Hni/Hvi (2)
そして、演算器11の出力が−Nとなることから、フィルタFiの特性がHni/Hviとなるように係数データを設定すればよいのである。
【0036】
但し、伝達関数Hvi,Hniは、受聴エリア付近の環境に応じて変化するため、予め想定される典型的な環境のそれぞれについて音響効果を実測する等して、係数データを設定する。また、典型的な環境としては、例えば、車室内の温度、乗員数、乗員の搭乗位置、受聴エリアにいる乗員の座高,姿勢,挙動等が考えられ、これらの組み合わせのそれぞれについて識別番号を付与し、係数データを設定する。
【0037】
このように構成された本実施形態の騒音制御装置では、スピーカ2に発生させた制御音と騒音との合成音を、受聴エリアマイクロフォン3が検出し、その検出信号をA/D変換してなる誤差データに基づいて、係数更新器21がフィルタF1についての係数データを生成する。そして、係数照合器23が、その生成された係数データと参照テーブルとを照合することにより、受聴エリア周辺の環境を推定し、その推定された環境に対応する識別番号を出力する。すると、係数抽出器32が、出力された識別番号に従って、フィルタF2〜F9についての係数データを係数テーブルから抽出する。そして、これら係数更新器21及び係数抽出器32にて生成,抽出された係数データ、即ち、受聴エリア周辺の環境を反映した係数データにより、フィルタF1〜F9の係数データが随時更新される。
【0038】
これと同時に、騒音源マイクロフォン1が騒音を検出し、フィルタF1〜F9が、その検出信号をA/D変換してなる騒音データから各制御ポイントP1〜P9に対応した制御データを生成する。そして、これら制御データを時分割多重したものをD/A変換してなる制御信号に基づいて、スピーカ2は各制御ポイントP1〜P9にて騒音と逆位相となる制御音を発生させる。
【0039】
なお、フィルタFiにて生成された制御データに基づく制御音を発生させている時には、制御ポイントPiを中心とした消音エリアが生成される。つまり、本実施形態の騒音制御装置では、時分割で全てのフィルタF1〜F9にて生成された制御データに基づく制御音を発生させているため、全ての制御ポイントP1〜P9に消音エリアが生成され、これらを合成した範囲で消音効果が得られることになる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の騒音制御装置によれば、各制御ポイントP1〜P9を中心として生成される消音エリアを合成した範囲にて消音効果が得られるため、制御ポイントを適宜設定することにより、必要な大きさの受聴エリアを確保することができる。このため、受聴エリアの設定場所に搭乗する乗員が交替したり、その乗員が姿勢を変える等して、乗員の耳の位置が多少移動したとしても、その耳の位置が受聴エリアから外れてしまうことを防止できる。
【0041】
しかも、本実施形態の騒音制御装置によれば、受聴エリア周辺の環境が変化して、スピーカ2から受聴エリア(各制御ポイントP1〜P9)までの音の伝わり方が変化すると、その変化を、検出ポイント(制御ポイントP1)での合成音(誤差データ)に基づいて推定し、その推定結果に基づいて他の制御ポイントP2〜P9についての制御データを生成するフィルタF2〜F9の係数データを、一括して更新するようにされている。従って、各制御ポイントP1〜P9毎に合成音(誤差データ)を検出して、それぞれ個別に係数データの更新を行う従来装置と比較して、装置構成を大幅に簡略化することができる。
【0042】
また、本実施形態では、各フィルタF1〜F9の出力を時分割多重する際に、対応する制御ポイントの位置の分布が常に均等にばらついたものとなるような順番で行うようにされている。このため、制御ポイントの配列順に規則正しく多重化したものと比較して、消音エリアがより拡大した感覚を得ることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、常に全ての制御ポイントP1〜P9にて消音エリアを生成しているが、消音エリアを生成する制御ポイントの数を、周囲の環境(環境推定部20での推定結果)に応じて変化させるように構成してもよい。
また、本実施形態では、受聴エリア内に9個の制御ポイントP1〜P9を格子点状に設定したが、制御ポイントの数は、8個以下或いは10個以上であったり、制御ポイントの配置は、例えば同心円状であってもよく、これらは、受聴エリアの形状や大きさに応じて、受聴エリアを消音エリアにて効率良く(最小限の数にて)覆い尽くすことができるように設定すればよい。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
【0044】
図4は、本実施形態の騒音制御装置の構成を表すブロック図である。なお、第1実施形態とは、信号処理部の構成が異なるだけであるため、同一の構成については、同一符号を付して説明を省略し、構成の相違する部分を中心に説明する。図4に示すように、本実施形態の騒音制御装置において、信号処理部10aは、騒音データに−1を乗算して符号変換する演算器31と、演算器31からの符号反転データから制御データを生成するフィルタ12aと、係数更新器21及び係数抽出器32から供給される9個の制御ポイントP1〜P9についての係数データを、フィルタ12aに順番に供給することにより、フィルタ12aに制御ポイント毎の制御データを時分割で生成させる更新制御手段としての係数制御器14とを備えている。
【0045】
なお、フィルタ12aは、第1実施形態と同様に、FIRフィルタとして構成されたものであり、係数制御器14から供給される係数データと、演算器11からの符号反転データとの畳み込み演算を実行するものである。
また、係数制御器14は、フィルタ12aへの係数データの供給を、その係数データに対応する制御ポイントの位置の分布が常に均等にばらついたものとなるような順番で行うようにされている。
【0046】
このように構成された本実施形態の騒音制御装置では、各制御ポイントP1〜P9を中心として生成される消音エリアを合成した範囲にて消音効果が得られ、また、受聴エリア周辺の環境の変化を推定し、その推定結果に基づいて他の制御ポイントP2〜P9についての制御データを生成するフィルタF2〜F9の係数データを、一括して更新するようにされているため、第1実施形態の場合と全く同様の効果を得ることができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、適応制御器6からの制御データを、D/A変換器7にてアナログの制御信号に変換してスピーカ2に供給するようにされているが、適応制御器6では、制御データに応じたPWM信号を生成し、このPWM信号をアナログ信号に変換してスピーカ2に供給するように構成してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、制御ポイントP1についての係数データを、係数更新器21が生成した係数データにて更新しているが、制御ポイントP1についての係数データも、他の制御ポイントP2〜P9についての係数データと同様に、係数抽出器32にて係数テーブルから抽出した係数データにより更新するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の騒音制御装置の構成、及び制御ポイントや検出ポイントの配置を表す説明図である。
【図2】 信号処理部の構成を表すブロック図である。
【図3】 制御ポイントの配置及び係数データの設定方法を表す説明図である。
【図4】 第2実施形態の騒音制御装置の構成を表すブロック図である。
【図5】 従来装置の構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
1…騒音源マイクロフォン、2…スピーカ、3…受聴エリアマイクロフォン、4,5…A/D変換器、6…適応制御器、7…D/A変換器、10,10a…信号処理部、11…演算器、12…フィルタ群、F1〜F9,12a…フィルタ、13…時分割多重化器、14…係数制御器、20…環境推定部、21…係数更新器、22,31…メモリ、23…係数照合器、30…係数更新部、31…演算器、32…係数抽出器、N…騒音、V…制御音、P1〜P9…制御ポイント。

Claims (5)

  1. 予め指定された受聴エリアに向けて制御音を発生させる制御音発生手段と、
    騒音源の近傍に設置され騒音を検出する騒音検出手段と、
    前記受聴エリア内に設定された複数の制御ポイントのそれぞれにて、前記騒音と逆位相となる制御音を前記制御音発生手段に発生させるための制御信号を、前記騒音検出手段での検出信号である騒音信号に、前記制御ポイント毎に設定される伝達関数を作用させることで生成する信号処理手段と、
    前記制御ポイントの一つを検出ポイントとして、該検出ポイントにて、前記制御音発生手段が発生させた制御音と前記騒音との合成音を検出する誤差検出手段と、
    該誤差検出手段での検出信号である誤差信号に基づき、該誤差信号が最小となるように、前記検出ポイントと同一地点の前記制御ポイントに対応した前記伝達関数の特性を決める係数データを繰り返し生成する係数生成手段と、
    該係数生成手段が生成した前記検出ポイントについての係数データに基づいて、前記受聴エリア周辺の環境が、予め想定された前記受聴エリア周辺の典型的な環境いずれに対応するかを推定し、推定結果として、前記典型的な環境に対して付与された識別情報を出力する推定手段と、
    前記識別情報にて特定される環境にある時に選択されるべき前記複数の制御ポイントについての係数データを、前記識別情報に対応させてなる係数テーブルを記憶する係数テーブル記憶手段と、
    前記推定手段が出力する識別情報に対応した係数データを前記係数テーブルから抽出し、その抽出された係数データにて、前記制御ポイント毎の前記伝達関数の特性を決める係数データを更新する係数更新手段と、
    を備え、
    前記推定手段は、
    前記識別情報に、該識別情報で特定される環境にある時に前記係数生成手段にて生成されるべき前記検出ポイントについての係数データである参照係数データを対応させてなる参照テーブルを記憶する参照テーブル記憶手段と、
    前記係数生成手段が生成する前記検出ポイントについての係数データと前記参照テーブルの参照係数データとを照合し、近似度が最も高い参照係数データに対応する識別情報を、当該推定手段での推定結果として出力する係数照合手段と、
    からなり、
    前記騒音に前記制御音を干渉させることで前記受聴エリア内での騒音を低減することを特徴とする騒音制御装置。
  2. 前記信号処理手段は、
    前記騒音信号の符号を変換する演算手段と、
    伝達関数の特性を任意に設定可能に構成されたフィルタを、前記制御ポイントのそれぞれに対応して設けてなり、前記演算手段からの符号変換された騒音信号を入力として前記制御ポイント毎の制御信号を生成するフィルタ群と、
    該フィルタ群を構成する各フィルタの出力を時分割多重する多重化手段と、
    からなることを特徴とする請求項1記載の騒音制御装置。
  3. 前記信号処理手段は、
    前記騒音信号の符号を変換する演算手段と、
    伝達関数の特性を任意に設定可能に構成され、前記演算手段からの符号変換された騒音信号を入力とし制御信号を生成するフィルタと、
    該フィルタの伝達関数を、前記制御ポイントに対応させて時分割で順次切り替える係数切替手段と、
    からなることを特徴とする請求項1記載の騒音制御装置。
  4. 当該騒音制御装置は、車両に搭載され、
    前記受聴エリア周辺の典型的な環境は、車室内の温度、搭乗人員数、搭乗位置、受聴エリアにおける人員の挙動のうち、少なくともいずれか一つに基づいて分類されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記載の騒音制御装置。
  5. 前記係数更新手段は、前記検出ポイントと同一地点の制御ポイントについては、前記伝達関数の特性を決める係数データを、前記係数生成手段が生成する係数データにて更新することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか記載の騒音制御装置。
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