JP4110692B2 - 回転ファン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転して送風する回転ファンに関し、特に、車両用交流発電機の回転軸と一体回転して発熱部分を空冷する回転ファンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回転ファンにおいて、特定回転数領域でのファン騒音を低減する従来技術としては特開平7−194058号公報に示されるものがある。
【0003】
この従来技術は、車両用交流発電機のポールコアと一体的に回転する円板状の回転板と、回転板に垂直かつ円環状に固定された複数の支柱ピンと、支柱ピンに遠心力を打ち消す方向に付勢して回動自在にはめ込まれるねじりコイルバネ及びファンブレードと、回転板が低回転の時にファンブレードを係止する低回転ストッパと、回転板が高回転の時にファンブレードを係止する高回転ストッパとを備える回転ファンであって、特定回転数領域でファンブレードを支柱ピン周りに回動させて、ファンブレードの吐出角度を調整し、冷却風量の必要以上の増加を抑制するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の回転ファンでは、交流発電機の回転数の急変時においてはファンブレードが急激に回動し、ストッパ部と当たるので、打音を発生させるという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、ファンブレードの可変機構を備えた回転ファンにおいて、交流発電機の回転数の急変時にファンブレードがストッパ部に当たって発生する打音を低減できる回転ファンを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために請求項1ないし請求項3に記載の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ストッパ手段は、ストッパ部を有し、このストッパ部及びファンブレードの少なくとも一方に、両者の当接時の衝撃を緩和する緩和手段を設けたので、ファンブレードがストッパ部に当たる時の衝撃を緩和手段が吸収して打音が大幅に低減される。
【0008】
また、緩和手段は、衝撃吸収部材を含み、ストッパ部及びファンブレードの少なくとも一方の当接面に衝撃吸収部材を設けたので、ファンブレードがストッパ部に当たる時の衝撃を衝撃吸収部材が吸収して打音が大幅に低減される。
【0009】
加えて、ストッパ部又はファンブレードの一方又は両方に衝撃吸収部材の抜け防止としてを設けたので、長期の使用においても繰り返しの衝撃によって衝撃吸収部材が抜け落ちることはない。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は本発明の一実施形態に関するものであり、図1は本発明の回転ファン9をポールコア7の後端側に組み付けた車両用交流発電機1の中心軸方向に沿う部分断面図である。図2は本発明の回転ファン9が低速回転している時、もしくは停止している時の回転ファン9の平面図である。図3は図2中III −III に沿うIII −III 断面図であり、本発明の回転ファン9を構成する回転板6に圧入嵌合された高回転ストッパ3に衝撃吸収部材8をかぶせたものである。
【0011】
図1においてポールコア7の後端側(図1中左側が前端側である。)に本発明の回転ファン9が組み付けられている。図1中20はファンが固定されている固定ブレードである。なお、この第1実施形態では本発明の回転ファン9はポールコア7の後端側のみに組み付けられているが、ポールコア7の前端側にもスペース的に装着可能なら、前端側にも組み付けてよい。
【0012】
図2によれば、回転板6は、金属製板を略円形状にプレス切断等することにより形成したもので、その中央部には図1に示すような車両用交流発電機の回転軸30に嵌めるための大径口40が形成されている。この回転板6は回転軸30により貫通支持されたポールコア7と一体的に回転する。回転板6の周縁部には各ファンブレード2が支柱としての支柱ピン4を介して回動自在に取り付けられている。各支柱ピン4は回転板6の平面に対し垂直かつ同一円周状に均等配置されている。
【0013】
ファンブレード2は、図2に示すように合成樹脂でケース状に形成されている。
【0014】
ファンブレード2の吐出角度を可変するブレード角調整手段の構造と機能について述べる。基本的な構造は付勢手段としてのねじりコイルバネ5と、低回転ストッパ10と高回転ストッパ3とで構成されている。なお、付勢手段はねじりコイルバネ以外のバネを用いてもよい。
【0015】
具体的には、ファンブレード2内に支柱ピン4及びねじりコイルバネ5が収納され、かつ支柱ピン4にねじりコイルバネ5とファンブレード2がはめこまれている。その際、ねじりコイルバネ5の一端がストッパ10の壁面に当接し、他端はファンブレード2の内壁面に当接している。
【0016】
低回転ストッパ10は、ファンブレード2の遠心力による回転方向と反対側に配設されており、ファンブレード2と当接することによりファンブレード2の最小角度が決定されている。また、ねじりコイルバネ5は、ファンブレード2の回転数Nが第1の回転数N1 (例えば毎分4000回転)を超えたときに、その付勢力がファンブレード2の重心に加わる遠心力よりも小さくなるように設定されている。
【0017】
また高回転ストッパ3は、ファンブレード2の回転数が第2の回転数N2 (例えば毎分7000回転)に達したときにファンブレード2と当接し、ファンブレード2を最大角度に規制するように設定されている。
【0018】
従って、低中速回転域では冷却性能を重視し、かつ高速回転域(例えば毎分4000回転以上)では回転ファンによる騒音を減少させることを重視した設定である。
【0019】
また、高回転ストッパ3の外周面は衝撃吸収部材8として弾性部材で覆われている。
【0020】
これはファンブレード2と高回転ストッパ3とは交流発電機の回転数の急増時において、ファンブレード2が遠心力により急回動して高回転ストッパ3に当たり、そのままでは打音を発生させるからである。その打音を低減するために衝撃の緩和手段として設けてある。
【0021】
図3に示す高回転ストッパ3では、弾性部材(衝撃吸収部材8)としてゴム製のチューブをかぶせて打音を低減させている。衝撃吸収部材であるゴムの衝撃吸収能力は非常に高いので、打音がほとんどなくなる。
【0022】
次に、本装置の動作について説明する。
【0023】
図示しないエンジンを駆動させ、エンジン回転に連動して交流発電機の回転軸30を回転させると、ポールコア7及び回転板6が回転する。この回転板6の回転によってファンブレード2が空気を発電機内に導入し、励磁コイルや固定子コイルを冷却する。この時、交流発電機の回転数が増大し、ファンブレード2の回転数が増していくと、ファンブレード2の重心に加わる遠心力がねじりコイルバネ5の付勢力に抗して、ファンブレード2を支柱ピン4の回りで低回転ストッパ10と反対方向に回転させようとする。しかし、第1の回転数N1 を超えなければ、ねじりコイルバネ5の付勢力による支柱ピン4回りの回転モーメントはファンブレード2の重心に加わる遠心力による支柱ピン4回りの回転モーメントよりも大きい。この結果、ファンブレード2の回転数が第1の回転数N1 に至るまでは、ねじりコイルバネ5の付勢力によって、ファンブレード2の回転方向の反対側が低回転ストッパ10に当接し、ファンブレード2は最小角度を維持する。つまり、回転板6の回転数に応じて風量、騒音レベルとも増大するが、回転数が低いため騒音レベルは小さい。
【0024】
そして、回転板6の回転数が第1の回転数N1 を超え第2の回転数N2 に至るまで回転数を増大させていくと、ねじりコイルバネ5の付勢力による回転モーメントがファンブレード2の重心に加わる遠心力による回転モーメントよりも小さくなり、ファンブレード2の角度が遠心力の大きさに対応して開いていく。この際、角度が大きくなる結果、回転数がN1 〜N2 の間では風量が略一定に保たれるので、騒音レベルは略一定に抑えられる。
【0025】
そして、回転板6の回転数が第2の回転数N2 に達すると、ファンブレード2が高回転ストッパ3に当接し、ファンブレード2の角度が最大角度に規制される。
【0026】
とりわけ、エンジン回転の急上昇動作による発電機回転数の急増時には、急激な遠心力の増大によりファンブレード2が急回動して高回転ストッパ3に勢いよく当たることになるが、高回転ストッパ3とファンブレード2との間に衝撃吸収部材8(この場合ゴム製チューブ)をかませることにより衝撃力が緩和され、両者2、3の打音を抑えることができる。
【0027】
この結果、冷却性能と打音を含む騒音低減の両立を図ることができる。
【0028】
図4ないし図6は本発明の他の実施形態に関し、図3と同じ位置の断面を示す断面図である。
【0029】
図4の例では、一実施形態におけるゴム製のチューブでできた衝撃吸収部材8が抜け落ちないように高回転ストッパ3の頂部に凸部31を設けたものである。
【0030】
図5の例では衝撃吸収部材8としてゴム製Oリングを用いたものである。この実施形態によれば、ゴム製Oリングは入手し易く、また、装着も簡単であるという長所がある。
【0031】
図6の例では、高回転ストッパ3の中間部に溝32を設け、そこにゴム製のOリングでできた衝撃吸収部材8を設けたものである。この例では、衝撃吸収部材8の抜け防止を図ると共に、この部材8を確実に一定の位置に保持することができ、良好な衝撃吸収特性が得られるという長所がある。
【0032】
図7及び図8は本発明のその他の実施形態に関するものであり、図7は本発明の回転ファン9が低速回転している時、もしくは停止している時の回転ファン9の平面図である。図8は図7中VIII−VIIIに沿うVIII−VIII断面図であり、本発明の回転ファン9を構成するファンブレード2に緩和手段として衝撃吸収部材12を被覆したものである。
【0033】
図7及び図8に示す回転ファン9は一実施形態の回転ファン9と略共通であるので、同一部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0034】
ファンブレード2の側面に衝撃吸収部材12としてゴムを一定の厚さに焼き付けるか、又はP.P.S.等の樹脂を一定の厚さに成形している。この場合にもこれまでの実施形態と同様に良好な衝撃吸収特性を得られる。しかも低回転ストッパ10との衝突時にも騒音低減効果が得られる。
【0035】
図9ないし図11は本発明の他の実施形態に関するもので、図8と同じ位置の断面を示す断面図である。
【0036】
図9の例では、衝撃吸収部材12をゴム製のチューブで形成したため、衝撃吸収部材12が抜け落ちないようにファンブレード2の頂部に凸部21を設けたものである。
【0037】
図10の例では、衝撃吸収部材12を入手が容易で装着も簡単なゴム製のOリングを用いたものである。
【0038】
図11の例では、ファンブレード2の中間部に溝22を設け、そこにゴム製のOリングでできた衝撃吸収部材12を設けたものである。この例では、衝撃吸収部材12の抜け防止を図ると共に、この部材12を確実に一定の位置に保持することができ、良好な衝撃吸収特性が得られるという長所がある。
【0039】
なお、実施形態として衝撃吸収部材8を高回転ストッパ3またはファンブレード2のどちらか一方に設けた例を示したが、衝撃吸収部材8は高回転ストッパ3とファンブレード2の両方に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両用交流発電機1の部分断面図である。
【図2】回転ファン9の平面図である。
【図3】図2中高回転ストッパ3のIII −III 断面図である。
【図4】高回転ストッパ3の他の実施形態を示す断面図である。
【図5】高回転ストッパ3の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】高回転ストッパ3の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態である回転ファン9の平面図である。
【図8】図7に示すファンブレード2のVIII−VIII断面図である。
【図9】ファンブレード2の他の実施形態を示す断面図である。
【図10】ファンブレード2の他の実施形態を示す断面図である。
【図11】ファンブレード2の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 ファンブレード
3 高回転ストッパ(ストッパ手段)
4 支柱ピン(支柱)
5 ねじりコイルバネ(付勢手段)
6 回転板
7 ポールコア
8、12 衝撃吸収部材(緩和手段)
9 回転ファン
10 低回転ストッパ(ストッパ手段)
21、31 凸部
22、32 溝

Claims (1)

  1. 回転駆動される回転板と、
    この回転板に立設して設けられる支柱を介して遠心力により回動可能に設けられたファンブレードと、
    このファンブレード内に収納されて前記ファンブレードに加わる遠心力に対して逆方向に前記ファンブレードを付勢する付勢手段と、
    前記ファンブレードの回動を規制するストッパ手段とを備えた回転ファンにおいて、
    前記ストッパ手段は、前記回転板に立設され、前記ファンブレードと当接するストッパ部を有し、
    前記ストッパ部及び前記ファンブレードの少なくとも一方の当接面には、両者の当接時の衝撃を緩和する衝撃吸収部材からなる緩和手段が設けられ、
    前記ストッパ部の外周面及び前記ストッパ部と当接する前記ファンブレードの側面の少なくとも一方には、溝が設けられており、
    前記衝撃吸収部材は、前記溝に保持され、断面の直径が前記溝の深さよりも大きいゴム製Oリングからなっていることを特徴とする回転ファン。
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