JP4110522B2 - 無線通信装置及び通信制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は無線通信システムに関し、例えば無線LAN(Local Area Network)システムに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers )802.11bやIEEE802.11aに代表される無線LANシステムが広く利用されている。IEEE802.11系の無線LANシステムにおいては、そのアクセス方式としてCSMA/CA(Carrier Sence Multiple Access/Collision Avoidance )方式を用いた自律分散系システムが採用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
かかるCSMA/CA方式を用いた無線LANシステムでは、基地局は端末局から送信されたデータを正常に受信すると当該データに対するACK(Acknowledgement :送達確認)を送信元の端末局に返信する。送信待ちデータを有する端末局はそれぞれACKの受信後にキャリアセンスを実行し、当該キャリアセンスに成功した基地局がデータ送信を行うようになされている。
【0004】
すなわち図7に示すように、送信待ちデータを有する第1及び第2の端末局はACKパケットAP1の受信後、システムで規定されたDIFS(Distribute Inter-Frame Space)期間だけ待機した後、それぞれ乱数に基づくランダムバックオフ時間の間キャリアセンスを行う。
【0005】
ここでは第1の端末局のランダムバックオフ時間t1が第2の端末局のランダムバックオフ時間t2よりも短かいことから、第1の端末局はキャリアセンスによって回線が空いていると判断し、データ送信の許可を求めるRTS(RequestTo Send :送信要求)パケットRP1を基地局に送信する。基地局はRTSパケットRP1を受信すると、DIFS期間よりも短いSIFS(Short Inter-Frame Space )期間だけ待機した後、当該RTSパケットRP1に対するCTS(Clear To Send :送信許可)パケットCP1を第1の端末局に返信する。
【0006】
CTSパケットCP1を受信した第1の端末局は、SIFS期間だけ待機した後データパケットDP1を基地局に送信する。基地局はデータパケットDP1を正常に受信すると、SIFS期間だけ待機した後ACKパケットAP2を第1の端末局に返信する。受信したデータパケットに誤りがあった場合は、基地局はACKパケットの代わりにNAK(Negative Acknowledgement:非送達確認)を返信してデータパケットの再送信を要求する。
【0007】
ここでRTSパケット及びCTSパケットにはそれぞれACKパケットの送信終了までの予想時間を示すNAV(Network Allocation Vector )が記入されており、当該NAVによって、RTSパケットRP1の先頭からACKパケットAP2の末尾までの間を送信禁止区間として他の端末局に通知することができる。かかる機能は無線LANシステム内に隠れ端末が存在し、かつ送信データが長い場合に有効に働く。
【0008】
ACKパケットAP2の送信が完了して送信禁止区間が終了すると、送信待ちデータを有する端末局は再びキャリアセンスを行う。このとき送信待ちデータを有する端末局は第2の端末局だけであるため、当該第2の端末局はDIFS期間の後、ランダムバックオフ時間t3内でキャリアセンスを行って回線が空いていると判断し、データパケットDP2を基地局に送信する。
【0009】
このようにCSMA/CA方式を用いた無線LANシステムにおいては、DIFS及びSIFSの2種のIFS(Inter-Frame Space :フレーム間隔)を設定し、RTS〜CTS〜データ〜ACKの一連の送受信手順のうち、手順最初のRTSパケット送信時は期間の長いDIFSを用い、それ以降の手順内のパケットには期間の短いSIFSを用いてパケット間隔を管理することにより、手順内のパケットに対して優先権を与える(他のパケットよりも先に送信できる)優先制御を行うようになされている。
【0010】
【非特許文献1】
「Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) Specifications」 ANSI/IEEE Std 802.11,1999 Edition)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の無線LANシステムにおいては、複数の無線局(基地局及び端末局)間の通信を前提した自律分散系のシステムとなっている。しかし、実際に家庭内等で無線LANシステムを運用する場合は無線局同士が1対1で通信を行うことがほとんどであり、この場合、上述したCSMA/CA方式のランダムバックオフ時間や優先制御のためのSIFS及びDIFS期間が無駄な時間となり、システム全体のスループットが低下するという問題があった。
【0012】
また、上述した無線LANシステムにおいてAV(Audio/Visual)ストリーミングデータの無線伝送を行う場合にも、基本的には無線局同士が1対1で通信を行うことがほとんどであり、この場合も、ランダムバックオフ期間やSIFS及びDIFS期間は無駄な時間となり、システム全体のスループットの低下を招いている。このため、5GHz帯を利用する最大伝送速度54MbpsのIEEE802.11aを用いた無線LANシステムにおいても実効スループットは20Mbps程度に低下し、例えば24Mbps程度の伝送速度を必要とするHD(High Definition )伝送は実用上困難であるという問題があった。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、通信環境に応じた最適な通信方式で、高い伝送効率でデータ通信を行い得る無線通信装置及び通信制御方法を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、CSMA/CA方式を用いて無線通信を行う無線通信装置において、複数の無線通信装置間で無線通信を行う場合に適した通常通信モードと、他の無線通信装置との間で1対1通信を行う場合に適した高速通信モードのいずれかの通信方式を用いて通信を行う無線通信手段と、無線通信手段を制御して通常通信モード又は高速通信モードの一方を選択する通信制御手段とを設け、高速通信モードにおいて、複数の無線通信装置相互の送信衝突を回避するための送信待機時間であるランダムバックオフ期間を設けることなく送信を行うようにしたことにより、他の無線通信装置との間で1対1通信を行う場合に不要な待機時間を無くして伝送効率を向上することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0020】
(1)無線LANシステムの全体構成
図1において、1は全体として本発明による無線LANシステムを示し、基地局2と、第1〜第3の端末局3(3A〜3C)とで構成される。基地局2及び各端末局3A〜3Cは、例えば5GHz帯で相互にCSMA/CA方式による無線通信を行う。
【0021】
基地局2は各端末局3の動作状況を常に把握しており、動作中の端末局3の通信形態(複数局間での通信又は1対1通信)に応じて、基地局2及び端末局3の通信モード(後述)を切替制御するようになされている。
【0022】
実際上、第1の端末局3AはPCカード型の無線LANカードであり、ノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、これをノートパソコンと呼ぶ)4のPCカードスロットに挿着されている。また第2の端末局3B及び第3の端末局3Cは、それぞれディスプレイ装置5及びBS(Broadcasting Satelite )チューナ6に内蔵された内蔵型無線LANモジュールである。一方、基地局2は無線LANのアクセスポイントであり、インターネットやイントラネット等の外部ネットワーク7に接続されている。
【0023】
これにより無線LANシステム1においては、ノートパソコン4は主として、第1の端末局3A及び基地局2を介して外部ネットワーク7に接続された各種情報処理装置との間でデータ通信を行う。またBSチューナ6は、BSアンテナ8を介して受信した衛星放送をデコードしてAVストリーミングデータを生成し、これを第3の端末局3C及び第2の端末局3Bを介してディスプレイ装置5に伝送して表示する。
【0024】
(2)基地局及び端末局の構成
次に、基地局2及び端末局3の構成を、それぞれ図2及び図3を用いて説明する。
【0025】
図2に示すように基地局2においては、基地局通信制御部11に対してネットワークインターフェース部12、MAC(Media Access Control)制御部13及びOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex :直交周波数分割多重)モデム部14が接続されている。通信制御手段としての基地局通信制御部11は基地局通信制御部プログラムに従い、基地局2の各部を統括的に制御する。
【0026】
無線通信手段としての送受信部15は、端末局3から送信されたOFDM信号をアンテナ16を介して受信し、受信OFDM変調信号としてOFDMモデム部14に供給する。無線通信手段としてのOFDMモデム部14は受信OFDM変調信号を復調し、受信データとしてMAC制御部13に供給する。
【0027】
無線通信手段としてのMAC制御部13は受信データの無線フレームを分解し、ネットワークインターフェース部12を介して外部ネットワーク7に供給するとともに、当該外部ネットワーク7からネットワークインターフェース部12を介して供給された端末局3あての送信データを、無線フレームに構成してOFDMモデム部14に供給する。OFDMモデム部14は送信データを変調してOFDM変調信号を生成し、送受信部15及びアンテナ16を介して送信する。またMAC制御部13は、ビーコンの制御、データ及び制御パケットのMAC制御、並びにCSMA/CAの制御を行う。
【0028】
さらに基地局2においては、上述した端末局3の通信形態に応じて、従来のIEEE802.11規格のCSMA/CA方式を用いる通常通信モードと、後述する高速通信モード及び高速片方向通信モードの3種類の通信モードのいずれかを選択して通信し得るようになされている。かかる通信モードの切替は、通信モード切替器17を切り替えることにより、基地局通信制御部11がMAC制御部13の動作モードを変更することにより行われる。また基地局2は、制御パケットを介して各端末局3の通信モードをそれぞれ制御する。
【0029】
一方、図3に示すように端末局3においては、端末局通信制御部21に対してホストインターフェース部22、MAC制御部23及びOFDMモデム部24が接続されている。通信制御手段としての端末局通信制御部21は端末局通信制御部プログラムに従い、端末局3の各部を統括的に制御する
【0030】
無線通信手段としての送受信部25は、基地局2又は他の端末局3から送信されたOFDM信号をアンテナ26を介して受信し、受信OFDM変調信号としてOFDMモデム部24に供給する。OFDMモデム部24は受信OFDM変調信号を復調し、受信データとしてMAC制御部23に供給する。
【0031】
無線通信手段としてのMAC制御部23は受信データの無線フレームを分解し、ホストインターフェース部22を介してホスト機器(ノートパソコン4、ディスプレイ装置5又はBSチューナ6)に供給するとともに、当該ホスト機器からホストインターフェース部22を介して供給された送信データを無線フレームに構成してOFDMモデム部24に供給する。無線通信手段としてのOFDMモデム部24は送信データを変調してOFDM変調信号を生成し、送受信部25及びアンテナ26を介して送信する。またMAC制御部23は、ビーコンの制御、データ及び制御パケットのMAC制御、並びにCSMA/CAの制御を行う。
【0032】
さらに端末局3においては、上述した基地局2と同様に、通信モード切替器27の切り替えに応じて基地局通信制御部21がMAC制御部23の動作モードを変更することにより、通常通信モード、高速通信モード及び高速片方向通信モードの3種類の通信モードのいずれかを選択して通信し得るようになされている。かかる通信モードの切替えは、基地局2から送信される制御パケットに応じて行なわれる。
【0033】
(3)無線LANシステムの通信モード
次に、上述した3種類の通信モードを詳細に説明する。
【0034】
(3−1)通常通信モード
上述したように通常通信モードは、基地局及び複数の端末局が存在している場合に適する、従来のIEEE802.11規格のCSMA/CA方式を用いた通信を行う通信モードであり、図7に示すように、DIFS及びSIFSの2種のIFSを用いてキャリアセンスを行うことにより、無線局間の衝突を適切に回避するようになされている。
【0035】
(3−2)高速通信モード
高速通信モードは、無線局同士が1対1で通信を行う場合(基地局2対端末局3、又は端末局3同士)、すなわち他局との共存を無視して通信を行う場合に適切な通信モードである。当該高速通信モードを適用した基地局2と第1の端末局3A間の送受信タイミングを、図4(A)を用いて詳述する。
【0036】
まず基地局2は、外部ネットワーク7から供給される第1の端末局3A宛のデータを、データパケットDP10として送信する。第1の端末局3AはデータパケットDP10を受信すると、ランダムバックオフ期間を設けることなくSIFS期間内でキャリアセンスを行い、回線が空いていると判断すると、ACKパケットAP10を基地局2に返信する。続いて第1の端末局3Aは、ACKパケットAP10の送信後、ランダムバックオフ期間を設けることなくDIFS期間内でキャリアセンスを行い、回線が空いていると判断するとデータパケットDP11を基地局2に送信する。
【0037】
基地局2はデータパケットDP11を受信すると、ランダムバックオフ期間を設けることなくSIFS期間内でキャリアセンスを行う。この場合基地局2は、キャリアセンス期間中に他の通信機器からの妨害波を受信したため送信を中止し、当該妨害波の終了後に再度SIFS期間内でキャリアセンスを行い、回線が空いていると判断するとACKパケットAP11を第1の端末局3Aに返信する。
【0038】
このように高速通信モードにおいては、ランダムバックオフ期間を省いてキャリアセンスを行うとともに、RTS/CTSパケットの送受を省略することにより、1対1通信に不要な待機時間及びパケットを無くしてシステム全体のスループットを向上することができる。
【0039】
(3−3)高速片方向通信モード
高速片方向通信モードは、無線局同士が1対1で且つ一方から他方へのみデータが送信される場合、すなわち他局との共存を無視することができ、送信側と受信側が固定された片方向通信を行う場合に適切な通信モードである。当該高速片方向通信モードを適用した第2の端末局3Bと第3の端末局3C間の送受信タイミングを、図5を用いて詳述する。この場合、第3の端末局3CはBSチューナ6でデコードされたAVストリーミングデータを第2の端末局3Bに片方向伝送する。
【0040】
すなわち第3の端末局3Cは、第2の端末局3Bに向けてデータパケットDP30を送信する。このとき第2の端末局3Bは、受信したデータパケットDP30に対するACK又はNAKパケットを返信することなく、次のデータパケットを待ち受ける。
【0041】
そして、第3の端末局3CはデータパケットDP30の送信後、ランダムバックオフ期間を設けることなく所定のΔT(≦SIFS)期間内でキャリアセンスを行い、回線が空いていると判断すると次のデータパケットDP31を送信する。
【0042】
続いて第3の端末局3Cは、ランダムバックオフ期間を設けることなくΔT期間内でキャリアセンスを行う。この場合基地局2は、キャリアセンス期間中に他の通信機器からの妨害波を受信したため送信を中止し、当該妨害波の終了後に再度ΔT期間内でキャリアセンスを行い、回線が空いていると判断すると次のデータパケットDP32を送信する。
【0043】
このように高速片方向通信モードにおいては、ランダムバックオフ期間を省いてキャリアセンスを行うとともにACK/NAKパケットによる再送制御を省略することにより、データパケットを連続して送信することができ、システム全体のスループットを一段と向上することができる。
【0044】
しかし、上述したように高速片方向通信モードにおいては、再送制御を省略したためデータパケットに伝送誤りが発生することが考えられる。この場合、データパケットに誤り訂正符号を付加してパケットの誤り耐性を強化すればよい。
【0045】
図6は、誤り訂正符号を付加したデータパケットのフレームフォーマットを示し、プリアンブルによる物理層の同期を取るためのPHYヘッダ部501、MACアドレス等が記入されたMACヘッダ部502、データ部503、誤りチェック用のCRC504及び誤り訂正符号(P5)505からなる可変長パケットである。
【0046】
MACヘッダ部502は、自局MACアドレス506、相手局MACアドレス507、当該データパケットのデータ長508及びMACヘッダ部の誤り訂正符号(P0)509で構成される。またデータ部503は、ペイロードを所定長で分割したデータ511〜514と、各データ511〜514に対する誤り訂正符号(P1〜P4)515〜518で構成される。誤り訂正符号としては、リードソロモン符号等を用いることができる。かかる誤り訂正符号の符号化及び復号化は、図2及び図3に示すMAC制御部13及び23で実行される。
【0047】
このように高速片方向通信モードにおいてデータパケットに誤り訂正符号を付加することにより、再送制御を省略してもデータパケットを確実に連続して送信することができ、システム全体のスループットを更に一段と向上することができる。
【0048】
(4)動作及び効果
以上の構成において、基地局2及び端末局3は、基地局2及び複数の端末局3で通信を行う場合には通常モードを選択し、CSMA/CA方式による通信を行って無線局間の衝突を効率的に回避する。
【0049】
また基地局2及び端末局3は、基地局2又は端末局3が1対1で通信を行う場合には、高速通信モードを選択してランダムバックオフ期間やRTS/CTSパケットの送受を省略し、更に1対1の片方向通信を行う場合には、高速片方向通信モードを選択して再送制御をも省略することにより、1対1通信に不要な待機時間及びパケットを省いてシステム全体のスループットを向上することができる。
【0050】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、高速通信モードでは通常モードにおけるランダムバックオフ期間及びRTS/CTSパケットの送受を省略するようにしたが、本発明はこれに限らず、図4(B)に示すように、さらにパケット間のSIFS期間及びDIFS期間を一律にΔT(≦SIFS)期間に短縮するようにしてもよく、この場合一段とスループットを向上することができる。
【0051】
また上述の実施の形態においては、高速片方向通信モードではランダムバックオフ期間、RTS/CTSパケットの送受及びACK/NAKパケットによる再送制御を省略するようにしたが、本発明はこれに限らず、受信側で誤りを検出した場合にはNAKパケットを返信して再送を要求するようにしてもよい。
【0052】
すなわち図5(B)に示すように、第3の端末局3Cは、第2の端末局3Bに向けてn番目のデータパケットDP40を送信する。このとき第2の端末局3Bは、当該n番目のデータパケットDP40の受信に失敗して誤りを検出したとする。
【0053】
第2の端末局3Bは、データパケットDP40の誤り検出に応じてNAKパケットを送信して再送を要求する。ここでは、データパケットの複号化及び誤り検出にある程度の処理時間を要することを考慮して、次のデータパケットの受信後にNAKパケットを送信するようにしている。これにより、送信側のパケット送信間隔(ΔT)を小さくすることができる。
【0054】
すなわち、第3の端末局3Cはn番目のデータパケットDP40の送信後、ランダムバックオフ期間を設けることなくΔT期間でキャリアセンスを行い、回線が空いていると判断するとn+1番目のデータパケットDP41を送信する。第2の端末局3Bは当該n+1番目のデータパケットDP41を受信すると、受信に失敗したn番目のデータパケットDP40に対するNAKパケットNP40を第3の端末局3Cに返信する。
【0055】
第3の端末局3Cはn+1番目のデータパケットDP41の送信後、ΔT期間内でキャリアセンスを行う。このときは、当該ΔT期間内にNAKパケットNP40を受信したため次のデータパケットの送信を中止し、当該NAKパケットNP40に応じて、一つ前のn番目のデータパケットDP40及びn+1番目のデータパケットDP41をΔT期間を隔てて再送する。さらに第3の端末局3CはΔT期間内でキャリアセンスの後、次のn+2番目のデータパケットDP42を送信する。
【0056】
以上の構成によれば、NAKパケットによる再送要求を上述した高速片方向通信モードに付加したことにより、データを確実に伝送することができるとともに送信間隔を短縮できる。ここで、AVストリーミングデータ等の伝送においてはデータの伝送遅延が問題になるため、再送制御のリトライ回数は1〜2回程度の少ない回数に設定することが望ましい。
【0057】
また上述の実施の形態においては、基地局2が、端末局3の通信形態に応じて基地局2及び端末局3の通信モードを切替制御するようにしたが、本発明はこれに限らず、端末局3が主体的に自己の通信モードを切替制御したり、ユーザが主動で基地局2及び端末局3の通信モードを切替るようにしてもよい。
【0058】
さらに上述の実施の形態においては、基地局2の基地局通信制御部11及び端末局3の端末局通信制御部21が、それぞれROMに記憶されている基地局送受信制御プログラム及び端末局送受信制御プログラムに従って送受信処理を実行するようにしたが、本発明はこれに限らず、上述したプログラムが格納されているプログラム格納媒体を基地局2及び端末局3にインストールすることにより、上述の送受信処理を実行するようにしてもよい。
【0059】
この場合、上述したプログラムを基地局2及び端末局3にインストールするためのプログラム格納媒体としては、例えばCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory )やDVD(Digital Versatile Disk)等のパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的又は永続的に格納される半導体メモリや磁気ディスク等で実現しても良い。また、これらプログラム格納媒体にプログラムを格納する手段としては、ローカルエリアネットワークやインターネット、ディジタル衛星放送等の有線及び無線通信媒体を用いても良い。
【0060】
上述のように本発明によれば、無線通信装置は複数の無線通信装置間で通信を行う場合には通常通信モードを選択し、他の無線通信装置との間で1対1の通信を行う場合には、ランダムバックオフ期間を設けることなく送信を行う高速通信モードを選択するようにしたことにより、不要な待機時間を省いて伝送効率を向上することができ、かくして複数の無線通信装置間で通信を行う場合においても、1対1通信を行う場合においても、通信環境に応じた高い伝送効率で通信を行い得る無線通信装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無線LANシステムの全体構成を示す略線図である。
【図2】基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】端末局の構成を示すブロック図である。
【図4】高速通信モードの送受信タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】高速片方向通信モードの送受信タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】データパケットのフレームフォーマットを示す略線図である。
【図7】従来の無線LANシステムにおける送受信タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1……無線LANシステム、2……基地局、3A〜3C……端末局、4……ノートパソコン、5……ディスプレイ装置、6……BSチューナ、7……外部ネットワーク、8……BSアンテナ、11……基地局通信制御部、12……ネットワークインターフェース部、13、23……MAC制御部、14、24……OFDMモデム部、15、25……送受信部、16、26……アンテナ、17、27……切替部、21……端末局通信制御部、22……ホストインターフェース部。
Claims (4)
- CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance )方式を用いて無線通信を行う無線通信装置において、
複数の上記無線通信装置間で無線通信を行う場合に適した通常通信モードと、他の上記無線通信装置との間で1対1通信を行う場合に適した高速通信モードのいずれかの通信方式を用いて通信を行う無線通信手段と、
上記無線通信手段を制御し、上記通常通信モード又は高速通信モードの一方を選択する通信制御手段と
を具え、
上記無線通信手段は、
上記高速通信モードにおいて、複数の上記無線通信装置相互の送信衝突を回避するための送信待機時間であるランダムバックオフ期間を設けることなく送信を行う
ことを特徴とする無線通信装置。 - 上記無線通信手段は、
上記高速通信モードにおいて、上記ランダムバックオフ期間を設けることなく送信を行うとともに、通信相手の上記無線通信装置に対してデータの送信許可を求めるRTS(Request To Send )及び当該RTSに対するCTS(Clear To Send )の送受を省略する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。 - CSMA/CA方式を用いて無線通信を行う無線通信装置の通信制御方法において、
複数の上記無線通信装置間で無線通信を行う場合に適した通常通信モードと、他の上記無線通信装置との間で1対1通信を行う場合に適した高速通信モードのいずれかの通信方式を選択して通信を行い、
上記高速通信モードは、複数の上記無線通信装置相互の送信衝突を回避するための送信待機時間であるランダムバックオフ期間を設けることなく送信を行う
ことを特徴とする通信制御方法。 - 上記高速通信モードは、上記ランダムバックオフ期間を設けることなく送信を行うとともに、通信相手の上記無線通信装置に対してデータの送信許可を求めるRTS及び当該RTSに対するCTSの送受を省略する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信制御方法。
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