JP4110016B2 - 偏肉の中空部を有する金属製拡張成形品の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,偏肉の中空部を有する金属製拡張成形品の成形方法に関する。
【0002】
【関連技術】
前記中空部において,その最大肉厚を素材である金属パイプの肉厚よりも大にする技術は知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−85870号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の成形対象である偏肉の中空部を有する金属製拡張成形品は,円形断面の金属パイプの中間領域に拡張成形加工を施して得られたものであって,拡張成形加工による中空部と,その中空部に連設され,且つ前記金属パイプの両端領域よりなる一対の円筒部とを有し,両円筒部の軸線を含む1つの仮想平面で前記中空部を第1半体部分と第2半体部分とに二分割したとき,第1半体部分の肉厚よりも第2半体部分の肉厚が大である,といった構造を有する。ただし,中空部の最大肉厚は,前記公知技術とは異なり,金属パイプの肉厚よりも小である。この拡張成形品は,例えば,押圧変形されてフレーム部材として用いられ,その際,肉厚の部分はフレーム部材の補強部として機能する。
【0005】
このような構造を有する拡張成形品を簡単な手段によって成形することができれば生産コスト上有利であるが,現状ではこのような成形方法は知られていなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記のような拡張成形品を容易に得ることができる前記成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
前記目的を達成するため,請求項1に記載された発明によれば,円形断面の金属パイプの中間領域に拡張成形加工を施して得られたものであって,拡張成形加工による中空部と,その中空部に連設され,且つ前記金属パイプの両端領域よりなる一対の円筒部とを有し,両円筒部の軸線を含む1つの仮想平面で前記中空部を第1半体部分と第2半体部分とに二分割した状態において,前記第1半体部分の肉厚よりも前記第2半体部分の肉厚が大である金属製拡張成形品を成形する成形方法において,第1型の第1半体部分成形凹部と,第2型の第2半体部分成形凹部とによって中空部成形用キャビティを形成すると共に,そのキャビティに連なる第1,第2型の合せ面間に前記金属パイプよりも大径の一対の孔部を形成する成形型と,前記金属パイプの内部に嵌合可能な小径部および前記金属パイプの外径よりも大径の大径部を互いに同軸且つ一体に形成してなり,その大径部の,小径部側の環状端面で前記金属パイプをその軸方向両側からそれぞれ押圧し得る一対の押圧部材とを用意すると共に,その各押圧部材の前記大径部の前記環状端面を,該押圧部材の軸線と直交する平面に対し傾斜するように形成しておき,前記金属パイプを,前記中間領域が前記キャビティ内に,また前記両端領域が前記一対の孔部にそれぞれ配置されるように前記成形型にセットすると共に,前記一対の押圧部材を,前記小径部が該金属パイプ内に嵌合され且つ前記大径部の前記環状端面の先端部がパイプ両端の環状端面の,前記第2型から最も離れた部分にそれぞれ当接するように配置し,しかる後に,次の二工程,即ち,前記一対の押圧部材により前記金属パイプをその軸方向両側より同一軸線上に沿って押圧することにより,前記金属パイプの前記中間領域を前記第2半体部分成形凹部側に撓ませて,前記第1および第2半体部分成形凹部の両最深部位を結ぶ線分における,前記第2半体部分成形凹部の前記最深部位および前記中間領域間の距離Aと,前記第1半体部分成形凹部の前記最深部位および前記中間領域間の距離Bとの間にA<Bの関係を成立させる工程と,前記金属パイプ内に流体圧を作用させることにより前記中間領域を拡張して前記中空部成形用キャビティ内面に押圧する工程とを用いる,偏肉の中空部を有する金属製拡張成形品の成形方法が提供される。
【0008】
また,請求項2に記載された発明によれば,円形断面の金属パイプの中間領域に拡張成形加工を施して得られたものであって,拡張成形加工による中空部と,その中空部に連設され,且つ前記金属パイプの両端領域よりなる一対の円筒部とを有し,両円筒部の軸線を含む1つの仮想平面で前記中空部を第1半体部分と第2半体部分とに二分割した状態において,前記第1半体部分の肉厚よりも前記第2半体部分の肉厚が大である金属製拡張成形品を成形する成形方法において,第1型の第1半体部分成形凹部と,第2型の第2半体部分成形凹部とによって中空部成形用キャビティを形成すると共に,そのキャビティに連なる第1,第2型の合せ面間に前記金属パイプよりも大径の一対の孔部を形成する成形型と,前記金属パイプの内部に嵌合可能な小径部および前記金属パイプの外径よりも大径の大径部を互いに同軸且つ一体に形成してなり,その大径部の,小径部側の環状端面で前記金属パイプをその軸方向両側からそれぞれ押圧し得る一対の押圧部材とを用意すると共に,前記金属パイプを,該パイプの軸線と直交する平面に対しパイプ両端の環状端面が互いに反対側に傾斜するように形成しておき,前記金属パイプを,前記中間領域が前記キャビティ内に,また前記両端領域が前記一対の孔部にそれぞれ配置されるように,且つパイプ両端の前記環状端面の,前記第2型から最も離れた部分が最外端部となるように前記成形型にセットすると共に,前記一対の押圧部材を,前記小径部が該金属パイプ内に嵌合され且つ前記大径部の前記環状端面がパイプ両端の前記環状端面の前記最外端部にそれぞれ当接するように配置し,しかる後に,次の二工程,即ち,前記一対の押圧部材により前記金属パイプをその軸方向両側より同一軸線上に沿って押圧することにより,前記金属パイプの前記中間領域を前記第2半体部分成形凹部側に撓ませて,前記第1および第2半体部分成形凹部の両最深部位を結ぶ線分における,前記第2半体部分成形凹部の前記最深部位および前記中間領域間の距離Aと,前記第1半体部分成形凹部の前記最深部位および前記中間領域間の距離Bとの間にA<Bの関係を成立させる工程と,前記金属パイプ内に流体圧を 作用させることにより前記中間領域を拡張して前記中空部成形用キャビティ内面に押圧する工程とを用いる,偏肉の中空部を有する金属製拡張成形品の成形方法が提供される。
【0009】
前記のように両距離A,Bの関係をA<Bに設定して中間領域を拡張すると,その中間領域における第2半体部分成形凹部内で拡張する部分の拡管量が,第1半体部分成形凹部内で拡張する部分の拡管量よりも小となるため,第1半体部分の肉厚よりも第2半体部分の肉厚が大となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本欄で用いる各図面は,説明上誇張されて描かれている。
【0011】
図1〜図3において,拡張成形品1は,円形断面の金属パイプとしてのAl合金パイプの中間領域に拡張成形加工を施して得られたものであって,拡張成形加工による中空部としての球殻状部2と,その球殻状部2に連設され,且つAl合金パイプの両端領域よりなる一対の円筒部3とを有する。両円筒部3の軸線を含む1つの仮想平面P1 で球殻状部2を第1半体部分21 と第2半体部分22 とに二分割した状態において,第2半体部分22 の肉厚は第1半体部分21 の肉厚よりも大である。この場合,球殻状部2全体の肉厚分布は,仮想平面P1 に含まれる,球殻状部2の球状外表面の中心Oを通り,且つ仮想平面P1 に交差する外径Dと,第2半体部分22 との交点位置が最大肉厚部位aとなり,一方,前記外径Dと第1半体部分21 との交点位置が最小肉厚部位bとなり,その最大肉厚部位aから最小肉厚部位bに向って肉厚は漸減する,といったものとなる。ただし,最大肉厚はAl合金パイプ,つまり両円筒部3の肉厚よりも小である。
【0012】
このような拡張成形品1は次のような方法で成形される。
【0013】
図4,5において,鋼製成形型4は,上側の第1型51 と下側の第2型52 とよりなり,第1型51 の合せ面6に開口する第1半体部分成形凹部7と,第2型52 の合せ面8に開口する第2半体部分成形凹部9とによって,中空部成形用キャビティとしての球殻状部成形用キャビティ10が形成される。また第1,第2型51 ,52 の合せ面6,8にはそれぞれ両筒部3に対応する2つの溝11が在り,相対向する両溝11により両円筒部3を囲む孔部12が形成される。拡張成形品1を成形するための素材であるAl合金パイプ13の外周面と各孔部12内周面との間には所定のクリアランスcが存するようになっている。
【0014】
<参考例−1>
図6(a)に示すように,Al合金パイプ13として,その各環状端面14を含む両仮想平面に対してAl合金パイプ13の軸線L1 が直交するものを用意する。また一対の押圧部材15として,Al合金パイプ13の内径よりも小径で,その内部に遊挿される小径部16と,Al合金パイプ13の外径よりも大径で,且つ小径部16と同軸の大径部17とよりなるものを用意する。
【0015】
Al合金パイプ13の,両円筒部3に対応する両端領域eを第2型52 の両溝11内に配置して,第1型51 を第2型52 に合せて閉じる。これによりAl合金パイプ13の両端領域eの主要部が両孔部12内に位置し,一部は両孔部12から外部に突出する。それら突出部分の内部に両押圧部材15の小径部16をそれぞれ遊挿して各押圧部材15の軸線L2 とAl合金パイプ13の軸線L1 とを1つの鉛直面内に位置させると共に各押圧部材15を,前記内,外径差を利用してその大径部17外端側が小径部16外端側よりも上方に位置するように傾斜させ,小径部16外端をAl合金パイプ13内周面に,また大径部17の,小径部16側に存する環状端面18の一部をAl合金パイプ13の環状端面14の一部にそれぞれ当接させる。これによりAl合金パイプ13の軸線L1 に対する各押圧部材15の軸線L2 の傾斜角αは1度≦α≦2度に設定される。
【0016】
図6(b)に示すように,前記傾斜角αを維持した状態において,両押圧部材15によりAl合金パイプ13を押圧すると,そのAl合金パイプ13の,球殻状部2に対応する中間領域19が第2半体部分成形凹部9側に撓む。これにより,第1および第2半体部分成形凹部7,9の両最深部位f,gを結ぶ線分Lにおける,第2半体部分成形凹部9の最深部位gおよび中間領域19間の距離Aと,第1半体部分成形凹部7の最深部位fおよび中間領域19間の距離Bとの間にA<Bの関係が成立する。
【0017】
図6(c)に示すように,一方の押圧部材15の流通孔20を介しAl合金パイプ13内に流体圧を作用させることにより中間領域19を拡張して球殻状部成形用キャビティ10内面に押圧する。
【0018】
前記のように両距離A,Bの関係をA<Bに設定して中間領域19を拡張すると,その中間領域19における第2半体部分成形凹部9内で拡張する部分の拡管量が,第1半体部分成形凹部7内で拡張する部分の拡管量よりも小となるため,第1半体部分21 の肉厚よりも第2半体部分22 の肉厚が大となり,球殻状部2全体において前記のような肉厚分布が得られる。
【0019】
具体例として,外径60mm,長さ700mm,肉厚2.0mmの5000系Al合金よりなるAl合金パイプ13を用い,傾斜角α=1度,距離A=10mm,距離B=20mm,流体圧(ガス圧)1MPaの条件下で外径90mmの球殻状部2を拡張成形したところ,第2半体部分22 の最大肉厚部位aにおける肉厚が1.9mmであり,一方,第1半体部分21 の最小肉厚部位bにおける肉厚が1.6mmであって,両部位a,bには0.3mmの肉厚差が生じていた。なお,拡張成形のための流体圧は液圧でもよい。
【0020】
<実施例−1>
図7(a)に示すように,Al合金パイプ13として,その各環状端面14を含む両仮想平面に対してAl合金パイプ13の軸線L1 が直交するものを用意する。また一対の押圧部材15として,Al合金パイプ13の内径よりも小径で,その内部に嵌合される小径部16と,Al合金パイプ13の外径よりも大径で,且つ小径部16と同軸の大径部17とよりなり,その大径部17の,小径部16側の環状端面18を含む仮想平面P2 が,押圧部材15の軸線L2 における大径部17側の線分hに対して傾斜角β(β>90°)を持つように傾斜しているものを用意する。この場合,傾斜角βは91度≦β≦92度に設定される。
【0021】
Al合金パイプ13の,両円筒部3に対応する両端領域eを第2型52 の両溝11内に配置して,第1型51 を第2型52 に合せて閉じる。これによりAl合金パイプ13の両端領域eの主要部が両孔部12内に位置し,一部は両孔部12から外部に突出する。それら突出部分の内部に両押圧部材15の小径部16をそれぞれ嵌合し,また各大径部15の最も長い母線を持つ外周部iを真上に向けると共に最も短い母線を持つ外周部jを真下に向け,即ち,各押圧部材15を各大径部17の環状端面18の先端部がパイプ13両端の環状端面14の,第2型5 2 から最も離れた部分にそれぞれ当接するように配置しておく。
【0022】
図7(b)に示すように,各押圧部材15の姿勢を前記のように維持した状態において,両押圧部材15によりAl合金パイプ13をその軸線方向両側より同一軸線L 1 上に沿って押圧すると,そのAl合金パイプ13の,球殻状部2に対応する中間領域19が第2半体部分成形凹部9側に撓む。これにより,参考例−1同様に,第1および第2半体部分成形凹部7,9の両最深部f,gを結ぶ線分Lにおける,第2半体部分成形凹部9の最深部位gおよび中間領域19間の距離Aと,第1半体部分成形凹部7の最深部位fおよび中間領域19間の距離Bとの間にA<Bの関係が成立する。
【0023】
図7(c)に示すように,一方の押圧部材15の流通孔20を介しAl合金パイプ13内に流体圧を作用させることにより中間領域19を拡張して球殻状部成形用キャビティ10内面に押圧する。
【0024】
<実施例−2>
図8(a)に示すように,Al合金パイプ13として,その軸線L1 を含む仮想縦断面が等脚台形をなすように各環状端面14を含む両仮想平面P3 がAl合金パイプ13の軸線L1 に対して傾斜角γ(γ>90°)を持つように傾斜しているものを用意する。この場合,傾斜角γは91度≦γ≦92度に設定される。また一対の押圧部材15として,Al合金パイプ13の内径よりも小径で,その内部に嵌合される小径部16と,Al合金パイプ13の外径よりも大径で,且つ小径部16と同軸の大径部17とよりなるものを用意する。
【0025】
Al合金パイプ13を,両円筒部3に対応する両端領域eを第2型52 の両溝11内に入れ,且つ最も長い母線を持つ外周部kを真上に向けると共に最も短い母線を持つ外周部mを真下に向けて,即ち,パイプ13両端の環状端面14の,第2型5 2 から最も離れた部分が最外端部となるように第2型52 に配置し,次いで第1型51 を第2型52 に合せて閉じる。これによりAl合金パイプ13の両端領域eの主要部が両孔部12内に位置し,一部は両孔部12から外部に突出する。それら突出部分の内部に両押圧部材15の小径部16をそれぞれ嵌合して各押圧部材15における大径部17の,小径部16側に存する環状端面18の一部をAl合金パイプ13の環状端面14の最も突き出た部分(前記最外端部)に当接させる。
【0026】
図8(b)に示すように,Al合金パイプ13の姿勢を前記のように維持した状態において,両押圧部材15によりAl合金パイプ13をその軸線方向両側より同一軸線L 1 上に沿って押圧すると,そのAl合金パイプ13において,球殻状部2に対応する中間領域19の一部が第2半体部分成形凹部9側に撓む。これにより,第1および第2半体部分成形凹部7,9の両最深部位f,gを結ぶ線分Lにおける,第2半体部分成形凹部9の最深部位gおよび中間領域19間の距離Aと,第1半体部分成形凹部7の最深部位fおよび中間領域19間の距離Bの間にA<Bの関係が成立する。
【0027】
図8(c)に示すように,一方の押圧部材15の流通孔20を介しAl合金パイプ13内に流体圧を作用させることにより中間領域19を拡張して球殻状部成形用キャビティ10内面に押圧する。
【0028】
<参考例−2>
図9〜11において,拡張成形品1は,円形断面の金属パイプとしてのAl合金パイプの中間領域に拡張成形加工を施して得られたものであって,拡張成形加工による中空部としての立方体状箱形部2と,その箱形部2に連設され,且つAl合金パイプの両端領域よりなる一対の円筒部3とを有する。両円筒部3の軸線を含む1つの仮想平面P1 で箱形部2を第1半体部分21 と第2半体部分22 とに二分割した状態において,第2半体部分22 の肉厚は第1半体部分21 の肉厚よりも大である。第2半体部分22 において各稜に対応する部位の肉厚は,それらの部位の伸びが大であることから他の部位に比べて小となる。
【0029】
このような拡張成形品1は次のような方法で成形される。
【0030】
図12,13において,鋼製成形型4は,上側の第1型51 と下側の第2型52 とよりなり,第1型51 の合せ面6に開口する第1半体部分成形凹部7と,第2型52 の合せ面8に開口する第2半体部分成形凹部9とによって,中空部成形用キャビティとしての箱形部成形用キャビティ10が形成される。また第1,第2型51 ,52 の合せ面6,8にはそれぞれ両筒部3に対応する2つの溝11が在り,相対向する両溝11により両円筒部3を囲む孔部12が形成される。拡張成形品1を成形するための素材であるAl合金パイプ13の外周面と各孔部12内周面との間には所定のクリアランスcが存するようになっている。
【0031】
図14(a)に示すように,Al合金パイプ13として,その各環状端面14を含む両仮想平面に対してAl合金パイプ13の軸線L1 が直交するものを用意する。また一対の押圧部材15として,Al合金パイプ13の内径よりも小径で,その内部に遊挿される小径部16と,Al合金パイプ13の外径よりも大径で,且つ小径部16と同軸の大径部17とよりなるものを用意する。
【0032】
Al合金パイプ13の,両円筒部3に対応する両端領域eを第2型52 の両溝11内に配置して,第1型51 を第2型52 に合せて閉じる。これによりAl合金パイプ13の両端領域eの主要部が両孔部12内に位置し,一部は両孔部12から外部に突出する。それら突出部分の内部に両押圧部材15の小径部16をそれぞれ遊挿して各押圧部材15の軸線L2 とAl合金パイプ13の軸線L1 とを1つの鉛直面内に位置させると共に各押圧部材15を,前記内,外径差を利用してその大径部17外端側が小径部16外端側よりも上方に位置するように傾斜させ,小径部16外端をAl合金パイプ13内周面に,また大径部17の,小径部16側に存する環状端面18の一部をAl合金パイプ13の環状端面14の一部にそれぞれ当接させる。これによりAl合金パイプ13の軸線L1 に対する各押圧部材15の軸線L2 の傾斜角αは1度≦α≦2度に設定される。
【0033】
図14(b)に示すように,前記傾斜角αを維持した状態において,両押圧部材15によりAl合金パイプ13を押圧すると,そのAl合金パイプ13の,箱形部2に対応する中間領域19が第2半体部分成形凹部9側に撓む。これにより,第1および第2半体部分成形凹部7,9の両最深部位f,gを結ぶ線分Lにおける,第2半体部分成形凹部9の最深部位gおよび中間領域19間の距離Aと,第1半体部分成形凹部7の最深部位fおよび中間領域19間の距離Bとの間にA<Bの関係が成立する。
【0034】
図14(c)に示すように,一方の押圧部材15の流通孔20を介しAl合金パイプ13内に流体圧を作用させることにより中間領域19を拡張して箱形部成形用キャビティ10内面に押圧する。
【0035】
前記のように両距離A,Bの関係をA<Bに設定して中間領域19を拡張すると,その中間領域19における第2半体部分成形凹部9内で拡張する部分の拡管量が,第1半体部分成形凹部7内で拡張する部分の拡管量よりも小となるため,第1半体部分21 の肉厚よりも第2半体部分22 の肉厚が大となる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように請求項1,2に記載された発明によれば,前記のような手段を採用することによって,偏肉の中空部を有する金属製拡張成形品を容易に得ることが可能な成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 偏肉の球殻状部を有する拡張成形品の斜視図である。
【図2】 図1の2−2線断面図である。
【図3】 図2の3−3線断面図である。
【図4】 成形型の側面図で,図5の4矢視図に相当する。
【図5】 図4の5−5線断面図である。
【図6】 参考例−1の成形工程説明図である。
【図7】 実施例−1の成形工程説明図である。
【図8】 実施例−2の成形工程説明図である。
【図9】 参考例−2における偏肉の箱形部を有する拡張成形品の正面図である。
【図10】 図9の10矢視図である。
【図11】 図9の11−11線断面図である。
【図12】 参考例−2における成形型の側面図で,図13の12矢視図に相当する。
【図13】 図12の13−13線断面図である。
【図14】 参考例−2の成形工程説明図である。
【符号の説明】
1………拡張成形品
2………球殻状部,箱形部(中空部)
21 ……第1半体部分
22 ……第2半体部分
3………円筒部
4………成形型
51 ……第1型
52 ……第2型
6………合せ面
7………第1半体部分成形凹部
8………合せ面
9………第2半体部分成形凹部
10……球殻状部成形用キャビティ,箱形部成形用キャビティ(中空部成形用キャビティ)
12……孔部
13……Al合金パイプ(金属パイプ)
14……(金属パイプの)環状端面
15……押圧部材
16……小径部
17……大径部
18……(押圧部材の)環状端面
19……中間領域
e………端領域
f………最深部位
g………最深部位
L………線分
L 1 ……(金属パイプの)軸線
L 2 ……(押圧部材の)軸線
P1 ……仮想平面
Claims (2)
- 円形断面の金属パイプ(13)の中間領域(19)に拡張成形加工を施して得られたものであって,拡張成形加工による中空部(2)と,その中空部(2)に連設され,且つ前記金属パイプ(13)の両端領域(e)よりなる一対の円筒部(3)とを有し,両円筒部(3)の軸線を含む1つの仮想平面(P1 )で前記中空部(2)を第1半体部分(21 )と第2半体部分(22 )とに二分割した状態において,前記第1半体部分(21 )の肉厚よりも前記第2半体部分(22 )の肉厚が大である金属製拡張成形品(1)を成形する成形方法において,
第1型(51 )の第1半体部分成形凹部(7)と,第2型(52 )の第2半体部分成形凹部(9)とによって中空部成形用キャビティ(10)を形成すると共に,そのキャビティ(10)に連なる第1,第2型(5 1 ,5 2 )の合せ面間に前記金属パイプ(13)よりも大径の一対の孔部(12)を形成する成形型(4)と,前記金属パイプ(13)の内部に嵌合可能な小径部(16)および前記金属パイプ(13)の外径よりも大径の大径部(17)を互いに同軸且つ一体に形成してなり,その大径部(17)の,小径部(16)側の環状端面(18)で前記金属パイプ(13)をその軸方向両側からそれぞれ押圧し得る一対の押圧部材(15)とを用意すると共に,その各押圧部材(15)の前記大径部(17)の前記環状端面(18)を,該押圧部材(15)の軸線(L 2 )と直交する平面に対し傾斜するように形成しておき,
前記金属パイプ(13)を,前記中間領域(19)が前記キャビティ(10)内に,また前記両端領域(e)が前記一対の孔部(12)にそれぞれ配置されるように前記成形型(4)にセットすると共に,前記一対の押圧部材(15)を,前記小径部(16)が該金属パイプ(13)内に嵌合され且つ前記大径部(17)の前記環状端面(18)の先端部がパイプ(13)両端の環状端面(14)の,前記第2型(5 2 )から最も離れた部分にそれぞれ当接するように配置し,
しかる後に,次の二工程,即ち,
前記一対の押圧部材(15)により前記金属パイプ(13)をその軸方向両側より同一軸線(L 1 )上に沿って押圧することにより,前記金属パイプ(13)の前記中間領域(19)を前記第2半体部分成形凹部(9)側に撓ませて,前記第1および第2半体部分成形凹部(7,9)の両最深部位(f,g)を結ぶ線分(L)における,前記第2半体部分成形凹部(9)の前記最深部位(g)および前記中間領域(19)間の距離Aと,前記第1半体部分成形凹部(7)の前記最深部位(f)および前記中間領域(19)間の距離Bとの間にA<Bの関係を成立させる工程と,
前記金属パイプ(13)内に流体圧を作用させることにより前記中間領域(19)を拡張して前記中空部成形用キャビティ(10)内面に押圧する工程とを用いることを特徴とする,偏肉の中空部を有する金属製拡張成形品の成形方法。 - 円形断面の金属パイプ(13)の中間領域(19)に拡張成形加工を施して得られたものであって,拡張成形加工による中空部(2)と,その中空部(2)に連設され,且つ前記金属パイプ(13)の両端領域(e)よりなる一対の円筒部(3)とを有し,両円筒部(3)の軸線を含む1つの仮想平面(P 1 )で前記中空部(2)を第1半体部分(2 1 )と第2半体部分(2 2 )とに二分割した状態において,前記第1半体部分(2 1 )の肉厚よりも前記第2半体部分(2 2 )の肉厚が大である金属製拡張成形品(1)を成形する成形方法において,
第1型(5 1 )の第1半体部分成形凹部(7)と,第2型(5 2 )の第2半体部分成形凹部(9)とによって中空部成形用キャビティ(10)を形成すると共に,そのキャビティ(10)に連なる第1,第2型(5 1 ,5 2 )の合せ面間に前記金属パイプ(13)よりも大径の一対の孔部(12)を形成する成形型(4)と,前記金属パイプ(13)の内部に嵌合可能な小径部(16)および前記金属パイプ(13)の外径よりも大径の大径部(17)を互いに同軸且つ一体に形成してなり,その大径部(17)の,小径部(16) 側の環状端面(18)で前記金属パイプ(13)をその軸方向両側からそれぞれ押圧し得る一対の押圧部材(15)とを用意すると共に,前記金属パイプ(13)を,該パイプ(13)の軸線(L 1 )と直交する平面に対しパイプ(13)両端の環状端面(14)が互いに反対側に傾斜するように形成しておき,
前記金属パイプ(13)を,前記中間領域(19)が前記キャビティ(10)内に,また前記両端領域(e)が前記一対の孔部(12)にそれぞれ配置されるように,且つパイプ(13)両端の前記環状端面(14)の,前記第2型(5 2 )から最も離れた部分が最外端部となるように前記成形型(4)にセットすると共に,前記一対の押圧部材(15)を,前記小径部(16)が該金属パイプ(13)内に嵌合され且つ前記大径部(17)の前記環状端面(18)がパイプ(13)両端の前記環状端面(14)の前記最外端部にそれぞれ当接するように配置し,
しかる後に,次の二工程,即ち,
前記一対の押圧部材(15)により前記金属パイプ(13)をその軸方向両側より同一軸線(L 1 )上に沿って押圧することにより,前記金属パイプ(13)の前記中間領域(19)を前記第2半体部分成形凹部(9)側に撓ませて,前記第1および第2半体部分成形凹部(7,9)の両最深部位(f,g)を結ぶ線分(L)における,前記第2半体部分成形凹部(9)の前記最深部位(g)および前記中間領域(19)間の距離Aと,前記第1半体部分成形凹部(7)の前記最深部位(f)および前記中間領域(19)間の距離Bとの間にA<Bの関係を成立させる工程と,
前記金属パイプ(13)内に流体圧を作用させることにより前記中間領域(19)を拡張して前記中空部成形用キャビティ(10)内面に押圧する工程とを用いることを特徴とする,偏肉の中空部を有する金属製拡張成形品の成形方法。
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