JP4109392B2 - ブラインドの回転機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラインドの回転機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なブラインドの回転機構には次のようなものがある。
【0003】
すなわち、回転機構は、ラダーテープの上端を固定可能な切り起こしが形成された金属製のカバーと、軸方向全長に渡ってシャフトが挿通される孔部が形成されると共に、金属製カバーが被着されるドラム本体と、の2部品から構成されたドラムを有している。そして、ドラム本体の断面非円形となった孔部の一端から、この断面非円形形状に適合する断面非円形形状を有するシャフトを挿通させることにより、シャフトの回転をドラムに伝達できるようにしている。また、シャフトは、その一端に抜け止め用のカシメ部が形成されており、その他端にはゴム等のシャフト押えが設けられており、このカシメ部及びシャフト押えによって、ヘッドボックス内でのシャフトの軸方向の移動が規制されている。
【0004】
しかしながら、上記従来の回転機構では、ドラムが2部品から構成されるため部品点数が多くなると共に、ドラムの孔部にシャフトを挿通しなければならないため、幅寸法が大きな製品を組み立てる場合、シャフトの軸方向の長さが長く、ドラムをシャフトに挿通する作業の際に作業者の横移動が多くなり作業性が悪いという問題がある。
【0005】
これに対して、シャフトの上方からドラムを嵌着可能なものとして実用新案登録第2565902号公報に示されるものがある。これに示されるものは合成樹脂製のドラム本体にシャフトが嵌まる角状の溝を割りスリーブ状に形成すると共に、ドラム本体にラダーテープの上端を連結可能な連結用コードをあらかじめ固定しておくものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実用新案登録第2565902号公報に示されるものでは、ドラムをシャフトの上方から嵌めることができるため組立の作業性は向上するが、ドラムがシャフトの軸方向への移動を拘束するような構造を有していないため、ヘッドボックス内でのシャフトの位置決めは、依然としてシャフト端部のカシメ部あるいはシャフト押えによって行わなければならないという課題がある。そのため、シャフト押えのような専用部品が必要となり、また、シャフト押えをシャフトにはめ込む作業やシャフトの一端をカシメる作業が必要であり作業工程数が多くなり製造コストが高くなるという課題がある。また、シャフトは、カシメ部またはシャフト押えによって完全に軸方向の移動が拘束されている訳ではなく、軸方向にいくらかの遊びがあるため、製品輸送途中等の衝撃で、シャフトが軸方向に移動し、カシメ部がドラムや他の部品に衝突して破損させる恐れがあるという課題がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためのもので、部品点数及び作業工程数を削減し製造コストを低減することができると共に、シャフトの軸方向の移動を簡単に規制することができるブラインドの回転機構を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、ヘッドボックス内で回転可能に配設されるシャフトと、ヘッドボックス内に設けられ前記シャフトが相対回転不能に嵌合されるドラムと、多数のスラットを整列状態に支持すると共に上端がドラムに固定される梯子状のラダーテープと、を有するブラインドの回転機構において、
前記ドラムの両端は、ヘッドボックスに固定されたドラム受けによって回転自在に支持されており、
前記ドラムの周面にはシャフトに嵌合される溝部が軸方向全長に渡って形成され、該溝部は、シャフトの幅よりも狭く形成された弾性変形可能な挟付部と、該挟付部と軸方向に並び該挟付部よりもシャフトへの挟み付け力が弱く形成された弾性変形可能な弱挟付部と、を有しており、前記溝部内に前記ドラムの周面側から前記シャフトを押し込み可能であり、挟付部でシャフトを挟み付けてシャフトの軸方向及び周方向の相対移動を拘束することを特徴とする。
【0009】
ドラムの周面に軸方向全長に渡って形成された溝部に、シャフトを嵌合することで、シャフトとドラムの組み立てを行うことができる。また、ドラムの挟付部によりシャフトの軸方向の移動を拘束することができるため、シャフトの軸方向の移動を規制するためのシャフト端部のカシメ部やシャフト押えが不要になり、作業工程数や部品点数が減り、コストの低減につながる。
【0010】
ドラムの溝部の挟付部よりも挟み付け力が弱くなった弱挟付部を利用して、ドラムとシャフトとの組み付けを行う際にまず、ドラムをシャフトに対して傾けて弱挟付部のみをシャフトにはめ込むことにより、はめ込んだ後も、ドラムとシャフトとの間の軸方向の位置の微調整を行うことができる。そして、ドラムとシャフトの位置決めを行った後、ドラムの挟付部をシャフトにはめ込むことにより、確実にシャフトがドラムに挟み付けられる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記ドラムに、溝部を挟んだ両側にドラムの一端面からドラム軸方向中間部分まで溝部と略平行に伸びる一対のスリットが形成され、該一対のスリットが両側に形成される溝部が、前記弱挟付部となることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のうち請求項3記載の発明は、請求項2記載の前記各スリットのドラム軸方向中間部分側の端部に、溝部に連通し且つラダーテープの上端の膨大部が挿入可能な開口部が形成されることを特徴とする。
【0013】
ラダーテープをドラムの一端面からスリットを通して挿入してその膨大部を開口部に収納することにより、膨大部を開口部の壁面とシャフトとの間で確実に狭持することができる。これにより、膨大部がドラムから飛び出すことがなくなり、膨大部の飛び出しによるドラムの回転不良を防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図3は本発明に係るブラインドの回転機構の実施形態を表す図である。
【0015】
回転機構10は、ヘッドボックス20(図3)内で回転可能に配設されるシャフト12と、ヘッドボックス20内に設けられシャフト12が相対回転不能に嵌合されるドラム14と、ヘッドボックス20に固定され、ドラム14を回転可能に支持するドラム受け16と、を有しており、ドラム14には、図示しない多数のスラットを整列状態に支持する梯子状のラダーテープ18の上端が固定される。
【0016】
ドラム14の周面にはシャフト12が嵌合される溝部14aが軸方向全長に渡って形成されている。また、ドラム14の両端面からは、軸方向に突出する略円筒状の突出部14eが形成されており、前記溝部14aは、突出部14eにも渡って延びている。一方、ドラム受け16には、ドラム受け16の両端に形成される軸支部16bに、略円形の孔部16aと、孔部16aから上方へと抜けるスリット16cとが形成されている。上記突出部14eは、スリット16cを変形させながら通り抜け、孔部16aに嵌め合わされることによりドラム受け16に回転可能に支持される。
【0017】
また、ドラム14には、溝部14aを挟んだ両側にドラム14の一端面からドラム14軸方向中間部分まで溝部14aと略平行に伸びる一対のスリット14cが形成され、さらに、各スリット14cのドラム14軸方向中間部分側端部には、溝部14aに連通する開口部14dが形成される。開口部14dには、ラダーテープ18の上端に取り付けられるファスナクリップ等から構成される膨大部18aが挿入可能となっている一方で、スリット14cは、ラダーテープ18の膨大部18aではなく膨大部18aよりも細いラダーテープ18の上端一般部のみが挿通可能となっている。
【0018】
溝部14aの両側にスリット14cが形成されていない部分は、比較的硬くなっており、シャフト12の幅よりも狭く形成され、シャフト12を強く挟み付ける挟付部14bとなっている。この挟付部14bにシャフト12をはめ込む際には、挟付部14bは、シャフト12を受け入れることができるように弾性変形すると共に、嵌合後はシャフト12を挟み付けてシャフト12の軸方向及び周方向の移動を拘束するようになっている。一方、溝部14aのスリット14cが両側に形成されている部分は、スリット14cが変形することができるため、溝部14aの溝幅が簡単に弾性変形することができる弱挟付部14fとなっており、該弱挟付部14fは、シャフト12と一体回転できる程度の弱い挟み付け力をシャフト12へ与えるものとなっている。
【0019】
次に、ドラム14、シャフト12及びラダーテープ18の組付け方法について説明する。
【0020】
まず、ラダーテープ18の上端をドラム14のスリット14cから挿入して、膨大部18aを開口部14dに収納した状態にしておく。次に、ヘッドボックス20内にセットしたドラム受け16の軸支部16bのスリット16cから孔部16aに、シャフト12を載置させる。次に、ドラム14をシャフト12に対してやや斜めにして、弱挟付部14fをゆるく押し込む。弱挟付部14fは比較的弱くシャフト12を挟み付けるため、ドラム14はこの状態でシャフト12に対して移動することができる。従って、ドラム14の取り付け位置が適当でない場合には、弱挟付部14fに挟み付け且つドラム14に対して斜めになった状態で、シャフト12を軸方向に移動させることによって、微調整を行うことができる。こうして微調整をして位置決めを行った後、挟付部14bをシャフト12に強く押し込むことにより、ドラム14の突出部14eがドラム受け16の軸支部16bのスリット16cから孔部16aにはまるとともに、挟付部14bが弾性変形してシャフト12にはめ込まれ、ドラムがシャフト及びドラム受けに組み付けられる。この時、ラダーテープ18の上端の膨大部18aは、ドラム14の開口部14dの壁面とシャフト12との間で挟持される。シャフト12は、ドラム14及びドラム受け16を介してヘッドボックス20内で軸方向に移動不能となり、従って、シャフト12に別途、カシメ部やシャフト押えが不要となる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし3記載の発明によれば、シャフトをドラムの溝部に嵌合することで、シャフトとドラムの組み付けを行うことができると共に、ドラムの溝部の挟付部によりシャフトの移動を拘束することができるため、シャフトの位置決めを行うためのシャフト端部のカシメ部やシャフト押えが不要になり、作業工程数や部品の削減になり、製造コストの低減を行うことができる。
【0022】
また、ドラムの溝部の挟付部よりも挟み付け力が弱くなった弱挟付部を利用して、ドラムとシャフトとの組み付けを行う際にまず、弱挟付部のみをシャフトにはめ込むことにより、はめ込んだ後も、ドラムとシャフトとの間の軸方向の位置の微調整を行うことができる。そして、ドラムとシャフトの位置決めを行った後、ドラムの挟付部をシャフトにはめ込むことにより、確実にシャフトをドラムに挟み付けることができる。
【0023】
また、請求項3記載の発明によれば、ラダーテープをドラムの一端面からスリットを通して挿入してその膨大部を開口部に収納することにより、膨大部が開口部の壁面とシャフトとの間で狭持されるため、膨大部がドラムから飛び出すことがなくなり、膨大部の飛び出しによるドラムの回転不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した回転機構の分解斜視図である。
【図2】上半分は回転機構の縦断面図、下半分は回転機構の平面図である。
【図3】図2の3−3断面図である。
【符号の説明】
12 シャフト
14 ドラム
14a 溝部
14b 挟付部
14c スリット
14d 開口部
14f 弱挟付部
18 ラダーテープ
18a 膨大部
20 ヘッドボックス
Claims (3)
- ヘッドボックス(20)内で回転可能に配設されるシャフト(12)と、ヘッドボックス(20)内に設けられ前記シャフト(12)が相対回転不能に嵌合されるドラム(14)と、多数のスラットを整列状態に支持すると共に上端がドラム(14)に固定される梯子状のラダーテープ(18)と、を有するブラインドの回転機構において、
前記ドラム(14)の両端は、ヘッドボックス(20)に固定されたドラム受け(16)によって回転自在に支持されており、
前記ドラム(14)の周面にはシャフト(12)に嵌合される溝部(14a)が軸方向全長に渡って形成され、該溝部(14a)は、シャフト(12)の幅よりも狭く形成された弾性変形可能な挟付部(14b)と、該挟付部(14b)と軸方向に並び該挟付部(14b)よりもシャフト(12)への挟み付け力が弱く形成された弾性変形可能な弱挟付部(14f)と、を有しており、前記溝部(14a)内に前記ドラム(14)の周面側から前記シャフト(12)を押し込み可能であり、挟付部(14b)でシャフト(12)を挟み付けてシャフト(12)の軸方向及び周方向の相対移動を拘束することを特徴とするブラインドの回転機構。 - 前記ドラム(14)には、溝部(14a)を挟んだ両側にドラム(14)の一端面からドラム(14)軸方向中間部分まで溝部(14a)と略平行に伸びる一対のスリット(14c)が形成され、該一対のスリット(14c)が両側に形成される溝部(14a)は、前記弱挟付部(14f)となることを特徴とする請求項1記載のブラインドの回転機構。
- 前記各スリット(14c)のドラム(14)軸方向中間部分側の端部に、溝部(14a)に連通し且つラダーテープ(18)の上端の膨大部(18a)が挿入可能な開口部(14d)が形成されることを特徴とする請求項2記載のブラインドの回転機構。
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