JP4109365B2 - 金属ストリップの冷却方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高張力鋼板製の金属ストリップを連続焼鈍設備において形状不良を発生させることなく効率よく冷却することができる金属ストリップの冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、例えば、自動車の軽量化および高強度化等に対応して高張力鋼板の需要が増加している。この高張力鋼板とは、常温における引張強度が590MPa 以上の高強度の鋼板をいい、組成中に例えばC、Si、Mn、P、S等の1種または2種以上を所定量添加して生産される高強度な鋼板である。
しかし、この高張力鋼板を連続焼鈍により製造する場合には所定の引張強度を確保するために、冷間圧延された鋼板を700〜800℃に加熱して再結晶させた後、約250℃程度まで急冷処理を施す必要があり、この時、遷移沸騰現象を起こして均一な冷却ができず形状不良を発生させるという問題点があった。
【0003】
一方、前記遷移沸騰領域における形状不良の発生を防止することを目的として、例えば、特開昭63−227726号公報に示されるように、低水量密度・大流量ガスにより冷却処理する金属ストリップの冷却方法も提案されている。しかしながら、この方法によるときは水量密度が小さいために抜熱量が小さく冷却長さを大きくとる必要があり装置が大型化するとともに、生産効率が悪く製造コストも高くなるという問題点や、更には焼き入れ型の高張力鋼板を製造することができないという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、高張力鋼板製の金属ストリップを連続焼鈍設備において冷却する際に形状不良が発生するのを防止することができ、また、冷却長さも短く効率的かつ低コストで冷却処理を行うことができる金属ストリップの冷却方法提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の金属ストリップの冷却方法は、縦型の冷却設備を備えた熱処理炉において再結晶するよう加熱された冷間圧延高張力鋼板製の金属ストリップの降温過程において、金属ストリップが700℃からクエンチ点(350℃)の温度領域ではミスト冷却の水量密度を150l/m2・min 以上に制御するとともに、毎秒100℃以上の冷却速度で急冷処理した後、クエンチ点(350℃)から200℃の温度領域では冷却の水量密度を30〜150l/m2・min に制御して、遷移沸騰させることなく膜沸騰のままでミスト冷却するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
本発明でいう高張力鋼板とは、常温における引張強度が590MPa 以上の高強度の鋼板をいい、組成中に例えば重量%でC:0.05〜0.2%、Si:0.005〜2.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.001〜0.1%、S:0.001〜0.01%、N:0.0005〜0.01%、Al:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜0.05%の範囲で各成分の1種または2種以上を所定量添加して生産される高強度な鋼板である。
【0007】
このような高張力鋼板を連続焼鈍設備により製造するには、所定の引張強度を確保するために冷間圧延された鋼板を700〜800℃に加熱して再結晶させた後、毎秒100℃以上の冷却速度で300℃以下に急冷処理して低温変態相の体積率を高める必要がある。しかしながら、毎秒100℃以上の冷却速度で300℃以下まで一気に急冷処理した場合、最初は膜沸騰の状態で冷却が進行するが、クエンチ点(約350℃)を境界にして、以後の一定期間は遷移沸騰の状態で冷却が進行することとなり、この時の不均一な冷却より形状不良が発生する。
【0008】
そこで本発明では、熱処理炉において加熱された高張力鋼板製の金属ストリップを300℃以下の温度まで冷却するに際し、水量密度を制御して遷移沸騰させることなく膜沸騰のままでミスト冷却するようにした。
即ち、本発明者らは種々研究した結果、前記クエンチ点は水量密度を制御することにより任意に制御できることを見出し、本発明を完成するに至ったものであり、水量密度を調整しつつ冷却処理することで遷移沸騰域に入らず、膜沸騰域のみで冷却処理を行うようにして、常に均一な冷却パターンにより形状不良を発生させることなく高張力鋼板製の金属ストリップを冷却するのである。
【0009】
このように、膜沸騰域のみで冷却処理を行うよう水量密度を調整する具体的な条件としては、ミスト冷却の水量密度を、金属ストリップが700〜350℃の温度領域では150l/m2・min 以上、350〜200℃の温度領域では30〜150l/m2・min としてミスト冷却する。
ここで、金属ストリップが700〜350℃の温度領域でミスト冷却の水量密度を150l/m2・min 以上とするのは、100℃/s以上の冷却速度として低温変態相の体積率を高め所定の引張強度を有する高張力鋼板を得るためである。但し、縦型のミスト冷却装置では水量密度が大きくなると冷却水が下方へ落下して下部の冷却に悪影響を与えるので、垂れ水防止対策を施しておくことが好ましく、例えば冷却水を約30度上方に向けてスプレーすることで制御できる。しかしながら、垂れ水防止対策の限界から水量密度は500l/m2・min 以下に抑えておくことが好ましい。
【0010】
一方、金属ストリップが350〜200℃の温度領域でミスト冷却の水量密度を30〜150l/m2・min とするのは、水量密度を小さくして冷却処理することで遷移沸騰域を回避し膜沸騰域のみで均一かつ安定した冷却処理を行うためである。水量密度が150l/m2・min より大きい場合は遷移沸騰域を回避することが難しくなり、30l/m2・min 未満では設備的に大型化して実用性に乏しくなるからである。
なお、前記具体的な水量密度の範囲については、図1に示されるように、水量密度(50,100,150,180,200,250,300,350l/m2・min の場合)と板温(250,300,450,650 ℃の場合)の関係を示すグラフから実験的に求めることができた。このグラフにおいて、○印は板材の形状不良が発生しなかった場合、×印は板材の形状不良が発生した場合を示すものである。
また、以上のような冷却処理は縦型の冷却装置で行えば簡単で均一に効率よく冷却処理を行うことができ、また、設備の小型化もはかることができるので好ましい。
【0011】
【実施例】
厚み1.2mm、幅1200mmの金属ストリップ(添加物の成分については表1の右欄を参照)を、図2に示されるようなスプレー式冷却装置において、入側温度を680℃、ラインスピード100m/min で冷却処理して高張力鋼板を製造した。この結果、表1に示すとおり、金属ストリップが700〜350℃の高温域では150l/m2・min 以上、350〜200℃の中温域では30〜150l/m2・min として遷移沸騰域を回避し膜沸騰域のみで冷却処理を行った場合には、板温の温度ばらつきが40℃以下、形状不良値も13mm以下で目視上良好であり、かつ引張強度も590MPa以上で高品質な高張力鋼板を得ることができた。
一方、比較例1〜4に示したように、本発明の冷却条件を満たさない範囲で冷却処理を行った場合は、形状不良が発生し、あるいは満足な引張強度を得ることができず、本願発明の優れた効果が確認できた。
【0012】
【表1】
【0013】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明は高張力鋼板製の金属ストリップを連続焼鈍設備において冷却する際に形状不良が発生するのを防止することができ、また、冷却長さも短く効率的かつ低コストで冷却処理を行うことができるものである。
よって、本発明は従来の問題点を一掃した金属ストリップの冷却方法として、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水量密度と板温との関係を示すグラフである。
【図2】冷却装置の一例を示す概略正面図である。
Claims (1)
- 縦型の冷却設備を備えた熱処理炉において再結晶するよう加熱された冷間圧延高張力鋼板製の金属ストリップの降温過程において、金属ストリップが700℃からクエンチ点(350℃)の温度領域ではミスト冷却の水量密度を150l/m2・min 以上に制御するとともに、毎秒100℃以上の冷却速度で急冷処理した後、クエンチ点(350℃)から200℃の温度領域では冷却の水量密度を30〜150l/m2・min に制御して、遷移沸騰させることなく膜沸騰のままでミスト冷却するようにしたことを特徴とする金属ストリップの冷却方法。
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