JP4109332B2 - バルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法 - Google Patents

バルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原動機からのエネルギーを気体又は液体の流れに変換する液体用又は液体及び圧縮性流体用容積形ポンプに係り、特に、医療、化学、薬品、生化学等の分野で、微小量の移送が必要な定量性の高い処理又は作業を行う場合に適用することができる応用範囲の広いバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
第一の従来例として、図11に示すような、回転式液体用容積形ポンプがあった。該回転式ポンプは501は、一端が吸入路502に、他端が流出路503と連結され、円周状に曲げられた弾性体チューブ504と、該弾性体チューブ504に沿って弾性体チューブ504を潰しながら進んで液体を吸入路502から流出路503に運搬する回転押圧体505とを有するものである。
【0003】
第二の従来例として、図12に示すような、往復式ポンプ511があった。該ポンプ511はピストン515aを内蔵するシリンダ515と、該シリンダ515と連通する円筒管512と、吸入路513及び流出路514と該円筒管512との連結部分に設けられた吸入弁516a及び流出弁516bとを有するものである。前記シリンダ515内を前記ピストン515aが往復運動することによって、液体を吸入路513から流出路514へ移送する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、第一の従来例に係るポンプでは、前記回転押圧体によるチューブの押圧があると、チューブが潰され、回転押圧体の回転移動に伴ってチューブの潰れた箇所も移動し、該チューブに押されるようにしてチューブ内にある流体が連続的に移送される。該ポンプでは回転押圧体の押圧が除去されるとチューブが原状に復帰することになる。しかし、回転押圧体の押圧が除去されても、チューブは直ちに原状に復帰するものではなく、ある程度の時間を要する。特に肉薄のチューブであると、必ずしも原状に復帰せずに不規則不定形な形状を保つおそれもある。
【0005】
また、該ポンプでは、液体の連続的移送には適しているが、液体を瞬間的に移送する場合には、定量性を十分に確保することができず、医療等の分野で微量の液体を、定量について高い精度で移送する場合には、十分な信頼性を得ることができないおそれがあるという問題点を有していた。
【0006】
また、第二の従来例に係るポンプでは、シリンダ515とピストン515aを用いるために、弾性体を用いる場合に比較して定量性が十分確保されるように見える。しかし、シリンダ515とピストン515aとの間には小さな隙間があり、この隙間から液体が漏れたり、その隙間やシリンダ515内に液体が残留して、やはり高度の定量性を確保することができないおそれがある。また、残留した液体によって、クロスコンタミネーションが生ずるおそれがあるという問題点をも有していた。
さらに、第一の従来例及び第二の従来例に係るポンプでは、連続的に液体を移送するものであって、液量が十分に大きい場合の移送量の制御は比較的精度良く行うことができるが、微小な移送量の制御を精度良く行うことができないおそれがあるという問題点を有していた。
【0007】
そこで、本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであり、第一には、従来なかったバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供することを目的としてなされたものである。
第二には、定量に関する高度の精密性をもった信頼性の高いバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
第三には、流体を残留なく移送することによって、高度の定量性をもち、且つクロスコンタミネーションなく流体を移送することができるバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供することを目的としてなされたものである。
第四には、非連続的(1ショット毎)及び連続的に流体を移送することができ、定量のために扱いやすいバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
第五には、微小量の流体をも確実に高い定量の下で移送することができるバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供することを目的としてなされたものである。
第六には、医療の分野等の種々の分野において、応用性の広い、汎用性の高い、マルチ制御可能なバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供することを目的としてなされたものである。
第七には、簡単な構成で、安価で経済的なバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的課題を解決するため、第一の発明は、移送すべき液体又は気体等の流体と内面で接触し、一部又は全体が弾性体で形成された流体通路と、前記流体通路のうち弾性体で形成された部分に外側から負圧を及ぼすことによって該部分に定形的な変形を引き起こすとともに加圧を及ぼすことが可能な変形手段と、前記流体通路の開閉を行う開閉手段とを有するものである。
【0011】
ここで、本発明は1本の流体通路について変形及び開閉するだけでなく、複数本の流体通路を並列的に並べて変形及び開閉する場合も含む。さらに、複数の弾性管を直列に並べて、各流体通路に変形及び開閉を施す場合も含む。
「一部又は全体が弾性体で形成された流体通路」であるから、必ずしも、流体通路は弾性体のみで形成されなくてもよく、非可撓性で形成された流体通路の一部に弾性管が設けられている場合や、さらに非可撓性の管の一部に形成された開口部にのみ弾性体で形成された膜が張られたような場合であっても良い。
「定形的な変形」とは、少なくとも、意図した一定の形状に変形することをいう。
【0012】
「開閉手段」は、流体通路に設けた一方向弁であっても良いし、外部から流体通路の弾性管に加圧しまたは加圧を除去することによって開閉を行うものであっても良い。
一般に、外側から弾性体を加圧した後、加圧を除去しても、弾性体は変形が容易であるため、正確に加圧前の原形に復帰しにくい。そこで、本発明では変形容易な弾性体に負圧を加えることによって、弾性体に定形性を付与し、常に一定の原形に復帰させるようにして、流体の残留なしに高度の定量性を確保するようにしたものである。
【0013】
第二の発明は、第一の発明において、前記変形手段は、前記流体通路の一部又は全体を形成する弾性管を押圧する押圧手段と、前記押圧手段による前記弾性管の押圧箇所を含む領域に常時負圧を及ぼすことによって、押圧時を除き該弾性管を定形的に保持する定形的保持手段とを有するものである。
ここで、「押圧手段」は、例えば、1回のみ押圧を加えても良いし、連続的又は周期的に押圧を加えるようにしても良い。
【0014】
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明において、前記変形手段は、前記弾性管を押圧するため、可動の押圧部をもつ押圧手段と、前記弾性管が一部又は全体に形成された前記流体通路が貫通するとともに、該流体通路の外面との間で囲まれた密閉空間を、収容した該弾性管内圧力よりも十分低圧に維持する容器、及び、該容器内に設けられ、非変形状態の該弾性管の原体積よりも大きい容積で通気性をもって該弾性管を包囲するとともに、前記押圧部が該弾性管を押圧可能に設けられた定形性のある包囲壁を有し、該包囲壁に該弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧時を除き該弾性管を定形的に保持する定形的保持手段とを有するものである。
【0015】
ここで、「押圧部が弾性管を押圧可能に設けられた」とは、押圧部は、前記包囲壁によって、弾性管に対する押圧を妨害されないように設けられていることをいい、例えば、押圧部が包囲壁内部に設けられ、包囲壁に穿設した小孔を通して設けた棒によって押圧部を押圧させるような場合や、包囲壁に穿設した開口部を通して、押圧部を包囲壁内に進入可能に設けても良い。
「剥離可能」としたのは、弾性管を変形する際に、弾性管を包囲壁に密着させたままだと、弾性管に大きな変形を加えることが難しく、また、弾性管に局所的に大きな変形力が加わり弾性管を劣化させ又は破壊しやすいからである。
また、弾性管を含む流体通路は容器内に必ずしも1本のみ配置する場合に限られず、複数貫通させて配列するようにしても良い。この場合には、各流体通路毎に包囲壁、押圧手段や開閉手段等が設けられることになる。
【0016】
第四の発明は、第三の発明において、前記定形的保持手段は、前記包囲壁に開口部を設けるとともに、該開口部には、該開口部を覆いつつ包囲壁で囲まれた内部に進入することによって弾性管を押圧する押圧部が嵌挿されているものである。
これによって、簡単な構造で、弾性管の定形性を保持しながら押圧部によって押圧することができる。
【0017】
第五の発明は、第一の発明又は第二の発明において、前記変形手段は、前記弾性管が一部又は全体に形成された前記流体通路が貫通するとともに、該流体通路の外面との間で囲まれた密閉空間を、収容された該弾性管内の圧力よりも十分低圧に維持する容器、及び、該容器内に設けられ、非変形状態の該弾性管の原体積よりも大きい容積で該弾性管を通気性をもって包囲する定形的変形可能な包囲壁を有し、該包囲壁に該弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧時を除き該弾性管を定形的に保持する定形的保持手段と、前記包囲壁の壁面を動かして前記弾性管を押圧する押圧手段とを有するものである。
「定形的変形可能」とは、少なくとも、変形した結果として一定の意図した形状を保つことをいう。
第三の発明と第五の発明との相違は、押圧手段が直接弾性管を押圧するのか、押圧手段が包囲壁を介して押圧するかの相違である。
【0018】
第六の発明は、第一の発明乃至第五の発明のいずれかにおいて、前記開閉手段は、前記変形手段と連動し、前記弾性管を外部から押圧して閉塞し、及び、該弾性管を外部から押圧を除去し又は負圧により開放するものであり、これによって流体を該弾性管の内面とのみ接触させて移送するものである。
本発明によれば、弾性管に対する変形及び開閉を全て外側から制御することができる。従って、流体は、弾性管にのみ接するので、流れがスムーズであるとともに、弾性管のみを変えることによって、種々の流体に対する移送が可能である。また、医療の分野等においてクロスコンタミネーションを防止することが容易である。
【0019】
第七の発明は、第三の発明乃至第六の発明のいずれかにおいて、前記変形手段の前記容器に、前記流体通路が貫通する貫通孔に該流体通路を固定する固定部を設けたものである。
したがって、容器内の弾性管を含む流体通路部分はその端部で容器壁に固定されている。そのためには、例えば、前記容器壁の前記貫通孔に対向する前記弾性管の内部には硬質のパイプを設ければ、弾性管を容器にしっかりと固定することができ他管との接続を確実に行うことができる。
【0020】
第八の発明は、第七の発明において、前記固定部として、流体を移送するための移送管を、容器内を通る流体通路部分と容器壁近傍で連結する継手を設けたものである。
これによって、容器に必要に応じて、必要な長さ、径、分岐路、機能をもつ移送管を自由に連結することによって、種々の処理を行うことができる。
【0021】
第九の発明は、第八の発明において、前記継手は、前記容器壁外側に固定して設けられ前記貫通孔に連通するニップル又は受口と、ニップル又は受口の周縁をニップル又は受口よりもやや大きな径で囲むとともに、外側面が螺刻された円筒状のフランジと、該フランジと螺合するとともに、中央に移送管を通す孔が設けられ、移送管の端部又はその近傍に固着された鍔を容器壁に密着させて移送管をニップル又は受口と連結する蓋部とを有するものである。
これによって、簡単な構成で、気密性の高い容器を製造することができる。したがって、安価に製造することができる。また、弾性管の取り外しも容易である。
【0022】
第十の発明は、第一の発明乃至第九の発明のいずれかにおいて、前記変形手段は、回転運動を往復運動に変換するカム機構、ボールねじ機構、又はクランク機構等の変換機構を有するものである。
尚、その他にモータ等の駆動機構が必要なことはいうまでもない。また、これらの変換機構を用いずに、直接モータ等によって押圧を行うようにしても良い。
これによって、簡単な構成によってポンプ駆動を行うことができる。
【0023】
第十一の発明は、第六の発明又は第十の発明のいずれかにおいて、前記開閉手段は、前記変形手段と連動するカム機構、ボールねじ機構等の前記変換機構又は電磁制御手段によって駆動されるものである。
ここで、「電磁制御手段」とは、電磁気力を用いて、開閉駆動を行うものであって、例えば、電磁石によって弾性管を外部から直接押圧することによって開閉したり、又は電磁弁であっても良い。
【0024】
第十二の発明は、第三の発明乃至第十一の発明のいずれかにおいて、前記容器は、その容器壁に通気孔が設けられ、該通気孔と接続された真空ポンプを有するものである。
これによって、容器の密閉空間内を弾性管内の気圧に対して十分に低圧に維持することができる。
また、真空ポンプを逆回転させることによって、容器内を加圧し、前記弾性管を加圧により潰して、弾性管内に残留した流体を全部吐出させることができる。
【0025】
第十三の発明は、第五の発明乃至第十二の発明のいずれにおいて、前記変形手段の前記包囲壁の一部壁面を可動にし、前記押圧手段によって該包囲壁を定形的に、前記弾性管に向かって突出させるものである。
ここで、「一部壁面」の部分に、押圧手段による押圧によって突出し、押圧を除去することによって元に戻るような金属製の隔膜、ダイヤフラム(diaphragm) を設けた構造であっても良い。
【0026】
第十四の発明は、第三の発明乃至第十三の発明のいずれかにおいて、前記包囲壁は、合成樹脂、金属又はセラミックス等で製造された多孔質材、網状体又は1又は2以上の通孔を設けた通気性部材で形成されたものである。
第十五の発明は、第一の発明乃至第十四の発明のいずれかにおいて、前記弾性管又は弾性体は、化学的に安定な性質をもつ素材によって形成されたものである。化学的に安定な性質をもつ素材として、例えば、テフロン(登録商標)系のゴム、シリコン系のゴム、バイトン等がある
【0027】
第十六の発明は、第三の発明乃至第十五の発明のいずれかにおいて、前記弾性管の前記容器貫通部分の中央近傍の内外径は、両端近傍の内外径よりも大きく形成されたものである。
これによって、弾性管の径の大きさに比較して移送量の大きい、また、移送力の大きなポンプを提供することができる。
【0028】
第十七の発明は、第一の発明乃至第十六の発明のいずれかにおいて、前記弾性管は、吸入口から吐出口まで、一体的に形成されたものである。
これによって、ポンプをも一体化された継ぎ目なしの1本の弾性管からなる流体移送装置を提供することができる。したがって、弾性管の途中での流体の残留や漏れのない、信頼性のあるバルーン・ポンプを提供することができる。
【0029】
第十八の発明は、第三の発明乃至第十七の発明のいずれかにおいて、前記容器内で且つ前記弾性管の外側の気圧は、該弾性管が膨張して、その外面が前記包囲壁に密着する程度に、該弾性管内部の圧力より十分低く設定されたものである。
これによって、必要最小限の圧力で包囲壁に密着させることができる。
【0030】
第十九の発明は、第一の発明乃至第十八の発明のいずれかにおいて、前記変形手段による変形に伴う容積変化量は、前記弾性管に貯溜された流体の吐出又は移送量に略等しいものである。
これによって、弾性管内に吸引された流体を全て残留なく吐出することができる。
【0031】
第二十の発明は、第一の発明乃至第十九の発明のいずれかにおいて、前記変形手段の押圧量を含む加圧量又は負圧量は可変であって、流体の移送量、流体の移送速度、流体の種類、流体の物性、気圧若しくは温度等の環境状況、又は弾性管の形状、物性等に応じて、自動的に又は操作者によって設定可能なものである。
これによって、種々の条件に応じて柔軟性があり、汎用性のあるバルーン・ポンプを提供することができる。また、各種のセンサを設けて、自動的に加圧量又は負圧量を設定することによって、操作性を向上させることができる。
【0032】
第二十一の発明は、第一の発明乃至第二十の発明のいずれかにおいて、前記弾性管が前記容器に着脱自在に設けられたものである。
これによって、使い捨ての弾性管を使用することによって、クロスコンタミネーションのない、信頼性のある扱いやすいバルーン・ポンプを提供することができる。
【0033】
第二十二の発明は、第一の発明乃至第二十一の発明のいずれかにおいて、流体の種類、移送量、若しくは流体の移送位置等の流体に関する物質データ、装置のとるべき位置、圧力、移送速度、温度、押圧回数、押圧速度等の装置に関する装置データ又は処理内容を表す処理データ等を、検知又は入力することによって指定する指定手段と、指定された物質データ、装置データ又は処理データを解析する解析手段と、解析結果に基づいて、バルーン・ポンプの各部分に実行を指示する実行指示手段とを有するものである。
【0034】
これによって、種々の処理を、種々の状況に応じて、高精度に行うことができるので、汎用性の高い、且つ自動的に処理が可能な扱いやすいバルーン・ポンプを提供することができる。
【0035】
第二十三の発明は、弾性管に外部から負圧を及ぼして該弾性管を定形的に保持し、該弾性管への加圧を除去すると同時に吸引口側の流路を開放し吐出口側の流路を閉塞して該弾性管を定形的に保持した状態にして流体を吸引口から吸引し、該弾性管を外部から加圧すると同時に吸引口側の流路を閉塞し吐出口側の流路を開放し流体を吐出口側に移送する過程を繰り返すことによって流体を移送するものである。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明に係るバルーン・ポンプにおける以下の実施の形態では、液体を移送する場合について説明する。また、この実施の形態は特に指定のない限り本発明を制限するものではない。
第一の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る流体移送系は、バルーン・ポンプ11と、該バルーン・ポンプ11と後述する継手を介して着脱自在に取り付けられた移送管22,23とを有する。各移送管22,23の一方の端部に、吸引口24と吐出口25とが設けられている。該吸引口24は、移送しようとする液体が収容された液体容器26内に位置させ、該吐出口25は移送された液体が収容される液体容器27内に位置させる。該吐出口25として垂下ノズルが用いられる。
【0037】
図1に示すように、前記移送管22,23及び弾性管12を含む前記吸引口24から前記吐出口25までの液体通路(流体通路に相当)は、真空容器13に穿設された貫通孔17a,17bを通り該真空容器13を上下方向に貫通している。該真空容器13内には前記弾性管12が収容されている。該弾性管12の両端と、容器壁に設けられた貫通孔17a,17bとの間には、該弾性管12への液体の流入及び流出を制御するための一方向弁(逆止弁)15a,15bが設けられている。該一方向弁としては、種々のものがあり、例えば、球体によって流体の逆流を防止するようなものであっても良い。
【0038】
前記弾性管12は、例えば、約0.1mm〜0.5mm程度の肉薄のテフロン系、シリコン系のゴム等の化学的に安定な素材で中空の略円筒状に形成されている。一般に、弾性管の肉厚をあまり薄くすると、押圧制御を行う際に、局所的に変形しやくすくなり、摺動による弾性管の劣化や振動が起こりやすく適当でない。逆に肉厚を厚くすると、押圧制御を行う際に局所的な変形がしにくいが、負圧等による定形的な変形を起こしにくく、高度の定量性のある制御がしにくくなる。肉厚や素材はこのような事情を勘案して定められる。該弾性管12の両端の細径部分及び移送管22、23の径は例えば、数mm程度であり、該弾性管12の太径部分は、例えば、前記細径の数倍程度(例えば、約5倍)の大きさをもつものを念頭においている。これによって、弾性管12の1回の押圧による移送可能な液量を大きくしている。該弾性管12の両端の細径部分には、非可撓性の合成樹脂等で形成されたパイプが挿入され、弾性管12の端部に剛性を与えている。
【0039】
図1又は図2に示すように、該真空容器13内には、前記一方向弁15a,15b及び前記弾性管12の他に、該弾性管12の外面を非変形状態の該弾性管12の原体積より大きい容積で包囲するプラスチック等の合成樹脂や金属等の非可撓性部材で形成された包囲壁14が設けられている。ここで、非変形状態とは、弾性管の内外の圧力差を“0”とした条件で取り得る状態をいう。該包囲壁14は、例えば、前記弾性管12の肉厚より十分小さい孔をもつ多孔性部材や一若しくは複数の穴が設けられた部材で形成されているため通気性を有する。
【0040】
図1又は図2に示すように、該包囲壁14の壁面には前記弾性管12押圧用の開口部14aが設けられている。該開口部14aの周縁で包囲壁14の外側方向には、該開口部14aを囲み弾性管12へ押圧部16を確実に導くための筒状壁14bが設けられている。また、真空容器13の器壁13bには通気孔29が穿設され、パイプ30を介して真空ポンプ31と接続されている。尚、容器13内は、通気孔29から真空ポンプ31によって中の空気を排気して弾性管に負圧を及ぼす場合、又は空気を注入して弾性管を加圧する場合を除き外気と遮断されて密閉空間28を形成している。
【0041】
前記真空容器13の器壁の前記貫通孔17a,bには、前記移送管22,23との間を連結する継手が設けられている。前記移送管22と連結する継手としては、該移送管22を挿入して連結する受口20と、前記貫通孔17aの周縁に固着され、該貫通孔17aを囲み外側面が螺刻された円筒状のフランジ18aと、移送管22の先端近傍に固着された鍔22aを真空容器13の器壁に押し付けるとともに中央に移送管22の貫通用孔が穿設されて前記フランジ18aに螺合する蓋体19aとを有するものである。
【0042】
一方、前記移送管23と連結する継手としては、移送管23に挿入されて連結するニップル21と、前記貫通孔17bの周縁に固着され、該貫通孔17bを囲み該側面が螺刻された円筒状のフランジ18bと、移送管23の先端に固着された鍔23aを真空容器13の器壁に押しつけるとともに中央に移送管23の貫通用孔が穿設されて前記フランジ18bに螺合する蓋体19bとを有するものである。尚、前記受口20及びニップル21にはパッキンを設けるようにしても良い。また、継手としては、移送管の抜け落ちを防止し、容器内部の密閉性を保つことができれば、以上説明したものに限られるのではなく市販の種々のものを利用することができる。
【0043】
前記弾性管12を押圧する押圧手段は、ステッピング・モータ34(又はモータ)と、ステッピング・モータ34の回転軸38の正逆回転を外周面がプーリ等に形成されたボールねじ駆動部35に伝達するための歯車、タイミングベルトやチェーン等の伝達機構39と、ボールねじ駆動部35に螺合し、該ボールねじ駆動部35の正逆回転によって正逆両方向への往復運動を可能とするボールねじ33と、該ボールねじ33を往復運動可能に支持する支持部40,41と、前記ボールねじ駆動部35を挟持して、その並進運動を規制する規制部42と、該支持部40,41及び該規制部42を固定するためのシャフト36とを有する。
【0044】
さらに、該押圧手段は、前記筒状壁14bに摺動可能に嵌まり、前記開口部14aを通って包囲壁14の内部に進入して弾性管12を押圧する、略升状の押圧部16が設けられている。該押圧部16の側面の高さは、押圧部の最大進入距離よりもやや長く形成する必要がある。該押圧部16は、前記包囲壁14と同じ通気性をもつ素材又はそれ以外の素材で形成しても良く、該押圧部16には、該押圧部16に押圧力を与えるロッド16aの一端が固定されている。ロッド16aの他端近傍には、前記押圧部16を弾性管12から離れる方向に付勢するばね44、及び、前記押圧部16の到達範囲を調節して、押圧部16の包囲壁14内への進入の深さを決定するための調節ねじ部48が設けられている。
【0045】
図3に示すように、調節ねじ部48は、ロッド16aの上端に設けられ前記ボールねじ33の下端が当接するロッド頭部37と、ロッド頭部37の下方の側周面の一定の長さに渡って螺刻された螺合部43と、該螺合部43に螺合し、ばね44を係止するとともにロッド16aの包囲壁14内への進入の深さを決定する調節ナット47と、該調節ナット47を螺合部43に固定するための小ねじ45とを有する。さらに、該ロッド16aの外側に、前記容器壁13b外部と該調節ナット47との間に挟まれて前記ばね44が嵌められ、該調節ナット47を容器壁13bの外側へ離間する方向に付勢する。したがって、該調節ナット47が螺合するロッド16a及び該ロッド16aの上端にあるロッド頭部37も同方向に付勢され、該ロッド頭部37は前記ボールねじ33の下端を弾圧する。このような構成なので該ロッド16aにボールねじ33の往復運動が伝達されて前記押圧部16は往復駆動される。
【0046】
前記ロッド16aが挿入される容器13の器壁に穿設された孔には例えば2個のOリング32が嵌められて容器13内の空間を密閉するとともに、ロッド16aを摺動可能に保持している。
【0047】
好ましくは、前記容器13は2つ容器壁部分13a,13bに分割可能にするとともに、前記弾性管12を脱着可能に設けることによって、使用者が弾性管12を交換可能にしても良い。これによって、弾性管12の洗浄を行うことなく、種々の液体について移送処理を行うことができる。
好ましくは、容器壁部分13aは内部を監視することができるように透明壁をもつようにし、前記弾性管12の一部及び包囲壁14の一部をも透明体又は半透明体で形成して内部の液体を観察可能となるようにしても良い。
【0048】
続いて、本実施の形態に係るバルーン・ポンプの動作について説明する。
移送しようとする液体が収容された液体容器26に移送管22の吸引口24を浸し、移送目的位置にある液体容器27内に移送管23の吐出口25を配置する。また、ステッピング・モータの回転量の指示又は必要ならば前記調節ねじ部48を微調節して1回の移送量を設定する。この移送量の調節は、CPU、メモリ、D/A等を用いて、操作者の指示によって電気的に自動的に行うようにしても良い。
真空ポンプ31を駆動させることによって、パイプ30及び通気孔29を介して前記容器13内の密閉空間28内にある空気を除去することによって、真空容器13内部を略真空状態にして、前記弾性管12に負圧を及ぼす。尚、真空容器13内の気圧は、前記弾性管12内の圧力よりも十分に低圧であれば良く、必ずしも真空でなくても良い。
【0049】
すると、包囲壁14は通気性をもつ部材で形成されているので、包囲壁14内部にある空気も包囲壁14の孔を通して排気され、前記弾性管12は、弾性管12内の内部圧力によって膨張し、包囲壁14及び押圧部16に剥離可能に密着し、弾性管12の形状は包囲壁14及び押圧部16の内面形状に従って変形されるので一定の形状を保つ、即ち、定形的に保持される。同時に前記容器13内に設けられた吸引口24側の一方向弁15aが開放され、吸引口24から該弾性管12内に液体が吸引される。
【0050】
次に、前記モータ34を駆動させ、該モータ34の回転軸38の回転を回転伝達系39によってボールねじ駆動部35に伝えてボールねじ駆動部35を回転運動させる。すると、該ボールねじ駆動部35の並進運動は規制されているので、ボールねじ駆動部35の回転によって、それに螺合する前記ボールねじ33は並進駆動される。この並進運動によって該ボールねじ33はその下端が弾性的に当接している前記ロッド頭部37を介して前記ロッド16aを押し、前記押圧部16を前記筒状壁14bに沿って摺動させ前記包囲壁14に設けられた前記開口部14aを覆いつつ該包囲壁14の内部に進入する。これによって、該弾性管12に保持された液体のうち指示された容量分押圧される。
【0051】
その押圧の際、吸引口24側の一方向弁15aが閉塞し、吐出口25側の一方向弁15bは開放され、前記弾性管12内に吸引された液体の内前記容量分が前記移送管23を通って前記吐出口25から吐出される。尚、押圧の際、容器13内の密閉空間28内が略真空状態に減圧されている。そのため、該弾性管12は通気性のある包囲壁14に剥離可能に密着して定形性を維持しつつ下降するので定量性が高い。
【0052】
次に、ステッピングモータ34の回転軸38を逆回転させると、前記ボールねじ33は押圧時と逆に弾性管12から離間する方向に並進移動する。すると、ばね44によって付勢されているロッド16aは、ばね44の弾性力によって弾性管12から離間する方向に移動し、前記押圧部16が弾性管と接触する押圧面は、包囲壁14の位置迄戻る。その際、一方向弁15aが開放され、一方向弁15bは閉塞されて、新たな液体が移送管22を通って、弾性管12内に流入する。
【0053】
以上の過程を繰り返すことによって、液体容器26に貯溜された液体を吸引口24から吸引して、液体容器27に移送することができる。尚、弾性管12内は、吸引口側から吸引した液体を上方向から、吸引口側の下方向へ移送するようにしているので、弾性管12内の液体は、液体容器26内にある液体がなくなって吸引口24が開放されると、吐出口側の一方向弁15bを通って、重力及び大気圧の作用によって残留無く移送することができる。
【0054】
さらに、前記真空ポンプ31を逆に回して前記容器13内の密閉空間28に空気を逆流させて弾性管12を加圧して、弾性管12の容積を0にするまで潰して絞るようにすれば、より完全に残留なしに液体を移送することができる。
尚、以上の例では、前記弾性管は、円筒状のものを用いたが、該場合に限られることなく、角筒状、その他の形状のものであっても良い。
【0055】
続いて、第二の実施の形態に係るバルーン・ポンプについて図4に基づいて説明する。
本実施の形態に係るバルーン・ポンプ51は、弾性管を含む液体通路を1本だけ用いた第一の実施の形態に係るバルーン・ポンプと異なり、1つの真空容器53を用いて、弾性管を含む液体通路を複数並列に配したものである。
【0056】
本実施の形態に係るバルーン・ポンプ51では、図4に示すように、複数の液体通路が貫通し、内部に複数(この例では7個)の弾性管(図示せず)が配列された真空容器53を有し、各弾性管と継手19b1 〜19b7 を介して接続された移送管221 〜227 、231 〜237 を有するものである。
【0057】
前記容器53内の複数の弾性管には、各々押圧手段としてロッド16a1 〜16a7 が設けられ、ロッド16a1 〜16a7 の他端には、ロッドの到達範囲を調節して、押圧部(図示せず)の包囲壁(図示せず)内への進入の深さを調節可能とする調節ねじ部481 〜487 が設けられている。さらに、調節ねじ部481 〜487 の下方のロッド16a1 〜16a7 外周にはばねが嵌められ押圧部を弾性管の外方向に付勢している。
【0058】
さらに、該バルーン・ポンプ51には、前記調節ねじ部481 〜487 の上方に沿ってレールが設けられた支持棚60が前記容器53に固定されて設けられている。該支持棚60には、前記調節ねじ部481 〜487 に沿って移動可能な移動体56が前記レール上に載置されている。該移動体56は、ステッピング・モータ54によって伝達機構55を介して回転駆動されるスライド駆動軸59によって並進移動する。該スライド駆動軸59は螺刻され、該スライド駆動軸59に移動体56が螺合するものである。該移動体56には電磁石57が設けられ、該電磁石57には、磁場の発生除去に応じて進出後退する押圧棒58が設けられ、別個に設けたスイッチやキーボード又はマウス等により指示された前記調節ねじ部481 〜487 の直上に移動体56を移動させ各ロッド頭部を押圧して、指定された容器から容器に液体を移動させる。
【0059】
これによって、1つの電磁石等の駆動部を移動させることによって複数の弾性管を駆動させるようにしているので、装置がコンパクトで且つ安価に作成することができる。
【0060】
尚、以上の例では、1つの移動部を移動させることによって、複数の弾性管を押圧駆動するようにしたが、移動体を設けずに、各弾性管毎に駆動部を設けて押圧駆動するようにしても良い。または、移動部を複数設けて押圧駆動するようにしても良い。
また、駆動部は、必ずしも電磁石を用いて押圧するものに限られず、前述したボールねじや、カム機構等の機構によって駆動するものであっても良い。
【0061】
以上の例では、複数の弾性管を並列に配したが、直列に配して順次駆動したり、縦横マトリクス状に配置したり、3次元マトリクス状に配置するようにしても良い。
本実施の形態では、1つの容器内に複数の弾性管を収容して、処理を行うことができるので、装置構成を簡単化するとともに、装置をコンパクトにして省空間を達成でき、また、安価に製造することができる。
【0062】
続いて、第三の実施の形態に係るバルーン・ポンプを図5に基づいて説明する。尚、前述した図面に示された符号と同一の符号のものは同一のものを表すので説明を省略する。本実施の形態では、バルーン・ポンプの開閉手段と押圧手段との動作を1つのステッピング・モータ34によって連動させるようにしたものである。
【0063】
本実施の形態に係るバルーン・ポンプで用いるボールねじ85の一端は、ステッピング・モータ34の回転軸38の回転をタイミングベルト等の回転伝達系39を介して回転駆動されるプーリ83aが同心に設けられ他端は軸受84で支えられている。該ボールねじ85の中間には、3種類のピッチ及び螺子向きをもつボールの無限循環の転走路が設けられている。
【0064】
第1種部分85aには、回転運動が規制され並進運動のみが許されるナット部77が螺合している。ナット部77には、弾性管72の吸引口側の流路の開閉を行うため該流路を潰して閉じる大きさ又は形状をもつロッド16bが連結するロッド頭部37bに当接して押圧する押圧棒86が取り付けられている。第2種部分85bには、第1種部分85aと同一向きでより大きいピッチをもつ転走路が軸方向に沿って所定の長さに渡り設けられている。該ピッチは前記ボールねじ85の往復運動の運動幅が前記第1種部分85aに比較して大きくなるように設定されている。これは流路の開閉よりも押圧部16の押圧距離が長いからである。
【0065】
該第2種部分85bには、回転運動が規制され並進運動のみが許されるナット部78が螺合している。ナット部78には、弾性管72を押圧するロッド16aが連結するロッド頭部37aに当接して押圧する押圧棒87が取り付けられている。第3種部分85cには、第1種部分85aと同一のピッチで逆向きの転走路が軸方向に沿って前記第1種部分と同じ長さに渡り設けられている。該第3種部分85cには、回転運動が規制され並進運動のみが許されるナット部79が螺合している。ナット部79には、弾性管72の吐出口側の流路の開閉を行うため該流路を潰して閉じることのできる大きさ又は形状をもつロッド16cが連結するロッド頭部37cに当接して押圧する押圧棒88が取り付けられている。ロッド16b及びロッド16cは、閉塞時において、ロッド16b及びロッド16cが嵌合する溝75b,75cが設けられ、閉塞を完全なものとしている。
【0066】
各第1、2、3種部分のピッチや、前記「所定の長さ」は、動作距離の他、ステッピング・モータの能力やばね44a,44b,44cのばね定数、並進運動体やボールねじの重量等に依存して定められる。前記押圧棒86、87、88は、シャフト76に固定された支持部材80、81、82によって回転運動を規制しつつ並進運動可能に摺動自在に支持している。尚、前記ボールねじ85の第1種部分85a,第2種部分85b,第3種部分85cは1つのボールねじ85に一体に形成しても良いが、別体に形成されたボールねじを接合して1本のボールねじに組み合わせても良い。
【0067】
続いて、本実施の形態に係る動作について説明する。
最初に、真空容器73内の空気を抜き、真空容器73内を負圧にして前記包囲壁74に弾性管72を密着させる。その後、ステッピング・モータ34を駆動し、その回転軸38の回転を回転伝達系39を介して例えばプーリ83に伝達する。ボールねじ85は回転運動のみを可能とするように軸受84等によって拘束されている。
【0068】
すると、第1種部分85aに螺合するナット部77は図面右方向に並進移動し、第2種部分85bに螺合するナット部78は図面右方向に並進移動し、第3種部分85cに螺合するナット部79は、前記ナット部77と同一距離分を図面左方向に並進移動する。したがって、押圧部16を弾性管72に押圧させる際に、吸引口側の流路が閉塞し、吐出口側の流路が開放されるので、弾性管72内の液体は吐出口側の流路を通って弾性管72から流出されることになる。
【0069】
一方、ステッピング・モータ34の回転を前述の回転方向と逆方向に回転駆動すると、前記ボールねじ85を含む機構は、前述した場合とすべて逆方向に動作することになる。即ち、ナット部77及びナット部78は図面左方向に移動し、ナット部79は図面右方向に移動する。すると、ロッド16a,16bは設けられたバネの弾性力によって、非押圧状態に復帰し、弾性管72から押圧力が除去された状態で、吸引口側の流路が開放され、吐出口側の流路が閉塞されて、吸引口側から液体が弾性管72内に流入することになる。
【0070】
本実施の形態によれば、共通のステッピング・モータを用いて、開閉手段と押圧手段とを駆動させているので、構造を簡単化することができるとともに、動作が連動しているので、制御に信頼性がある。
【0071】
また、本実施の形態の変形例として、開閉手段に係る部分、即ち、第1種部分及び第3種部分と、押圧手段に係る部分、即ち第2種部分を分離して、別個のボールねじ及び別個のモータを用いて、同一周期で異なる時間位相差を設けて駆動するようにすれば、より精度の高い制御を行うことができる。
【0072】
続いて、第四の実施の形態に係るバルーン・ポンプを図6に基づいて説明する。尚、前述の図面と同一符号のものは同一のものを表すので説明を省略する。 図6に示すように、本実施の形態に係る流体移送系は、第一の実施の形態に係るバルーン・ポンプ11と異なり、移送すべき液体と内面で接触する肉薄のテフロン系のゴム等で鍋状に形成された弾性管92を含む液体通路を有する。該弾性管92を含む液体通路は容器93に穿設された貫通孔17a,17bを通り該容器93を上下方向に貫通する。
【0073】
該容器93内には、前記弾性管92の外面を前記非変形状態の前記鍋状の弾性管92の原体積より大きい容積で包囲する包囲壁94を有する。前記包囲壁94は、前記弾性管92の肉厚より十分小さい孔をもつ多孔性部材等で形成され通気性を有する。該包囲壁94は、例えば、プラスチック等の合成樹脂、金属等の非可撓性部材で形成される。
【0074】
包囲壁94の鍋蓋にあたる壁面には、弾性管92の押圧用の開口部94aが設けられている。該開口部94aの周縁で包囲壁94の外側には、該開口部94aを囲み弾性管92へ押圧部96を導くための筒状壁94bが設けられている。本実施の形態では、該押圧部96が弾性管92に接触する押圧面は前記包囲壁94の鍋底の球面に略密接する形状に形成され、押圧部96がカム99に押されて図面上、最左端に押された場合にその間の隙間をなるべく小さくするようにしている。これによって、弾性管92は押圧部96と包囲壁94の底に挟まれて、残留する液体の容量を小さくすることができるので、最終的にバルーン・ポンプ内に残留する液体を排除しやすい。
【0075】
前記容器93内には、前記弾性管92を外側から押圧するために用いるカム99が前記押圧部96の押圧棒96aの一端(他端は押圧部96に固定されている)に近接して設けられ、容器93の外に設けられたモータ95によって回転軸97を介して回転駆動される。該回転軸97の他端は容器壁に設けられた軸受98に支持されている。カム99は、前記押圧棒96aに押圧力を加える領域と、非押圧状態にある領域とを有するようにカム99の径を形成する。
【0076】
前記真空容器93には、押圧棒96aを往復運動可能に支持する孔、及び、カムの回転軸97が貫通する孔が設けられて、押圧棒96aの動きを規制する支持部96cが固定して設けられている。押圧棒96aの前記一端の近傍に押圧部96を弾性管92から離れる方向に付勢するばね96bが嵌められ、該ばね96bが押圧棒96aの一端にある接触部96dと前記支持部96aとの間に挟まれて設けられている。尚、前記押圧部96aに前述したようにねじを設けることによって、押圧部96の進入距離、従って、押圧部96によって吸引吐出される液量を調節するようにさせることができる。
【0077】
続いて、本実施の形態に係るバルーン・ポンプの動作について説明する。
移送しようとする液体が収容された液体容器26に移送管22の吸引口24を浸し、移送目的位置にある液体容器27に移送管23の吐出口25を配置する。
真空ポンプ31を駆動させることによって、パイプ30及び通気孔29を介して前記容器93内の密閉空間28内にある空気を除去することによって、容器93内部を略真空状態にして、前記弾性管92に負圧を及ぼす。
【0078】
すると、包囲壁94は通気性をもつ部材で形成されているので、包囲壁94内部にある空気も包囲壁94の微小孔を通して排気され、前記弾性管92は、弾性管92内の内部圧力によって膨張し、包囲壁94に剥離可能に密着し、弾性管92の形状は包囲壁94の内面形状に従って変形され、その状態が一定の形状を保つ、即ち、定形的に保持される。すると、同時に前記弾性管92に設けられた一方向弁15a,15bのうち、吸引口24側の一方向弁15aが開放され、吸引口24から弾性管92内に液体が吸引される。
【0079】
次に、前記モータ95を駆動させ、前記カム99を回転駆動させる。カム99の回転によって、前記押圧部96は押圧棒96aを介してカム99によって押圧され、前記弾性管92方向に突出し該弾性管92を押圧する。これによって、吸引口24側の一方向弁15aが閉塞し、吐出口25側の一方向弁15bが開放され、弾性管92内に吸引された液体は吐出口25に向かって移送される。
【0080】
前記カム99が回転して押圧が除去されると、前記押圧部96は前記ばね96bによって原状に復帰するとともに、常時負圧が及ぼされている前記弾性管92も膨張するように付勢されているので、押圧部96の戻りに従って原状に復帰する。
以上の過程を繰り返すことによって、予め定めた量の液体を液体容器26から液体容器27に移送することができる。
尚、以上の例では、1本の弾性管を用いた場合について説明したが、この例に限られず、弾性管を並列又は直列に配して同時に又は順次駆動するようにしても良い。
【0081】
続いて、第五の実施の形態に係るバルーン・ポンプ101について図7に基づいて説明する。尚、前述した図面に示された符号と同一の符号のものは同一のものを表すので説明を省略する。
本実施の形態では真空容器103内の液体通路が一体に形成されたものであり、一方向弁の機能は、真空容器103内にある前記弾性管102の両端近傍の細径部分を、弾性管102を押圧するためのカム109cに連動したカム109a,109bによって外側から通路を押圧することによって行わせるものである。
【0082】
本実施の形態では、カム109a,109b,109cは回転軸106を共有し、容器103の外側に設けられたモータ(図示せず)によって回転駆動される。軸106の他端は容器103に設けられた軸受98に支持されている。カム109a、109bは、弾性管102の流路の開閉用のためにばねで原状に復帰するように付勢された各々吐出口側と吸引口側に設けられた栓105a、105bを押圧するものである。カム109cはカム109a,109bの中間位置に設けられ、包囲壁104に設けられたダイアフラム(・スプリング)105cを押して、ダイアフラム105cを凹ませて弾性管102を押圧するものであり、力を加えない状態ではダイアフラム105cは膨らんだ状態に復帰する。液体を移送する場合には、吸引側のカム109aの流路開放時にはカム109cは非押圧状態になり、吐出側のカム109bは流路を閉塞する必要がある。また、吸引側のカム109aの流路閉塞時には、カム109cは押圧状態となり、吐出側のカム109bは流路開放状態となる。
【0083】
図7(c)は、各カム109a,109b,109cに向かい合う包囲壁104を示す図である。
尚、図中符号107aは受口、107bはニップルであるが、これらを設けずに、弾性管及び移送管を含めた液体通路を一体に形成しても良い。この場合には、移送管の部分は真空容器103内の弾性管の部分よりも変形しにくいように肉厚に形成される。
本実施の形態に係るバルーン・ポンプでは、弾性管102への加圧、開閉がすべて弾性管102の外部から加えることによって行うことができるので、ポンプに使用する弾性管の製造が容易であり、従って安価に提供することができる。
さらに吸引口からバルーン・ポンプを通り吐出口までを1本の弾性管で製造することができるので、容易に、安価に、且つ液漏れない信頼性のある液体の移送を行うことができる。
【0084】
第六の実施の形態に係るバルーン・ポンプの制御系111を図8に示す。
同図に示すように、本実施の形態に係るバルーン・ポンプ制御系111は、メモリ113に格納されたプログラムに基づいて種々の論理的処理を行うCPU112と、種々のデータを格納するメモリ113と、キーボード、マウス、タッチボード若しくはスイッチの押下若しくは操作、CDROM若しくはフロッピーの装着、又はマークシートの読み込み等による種々のデータの入力又は指示等の種々の操作を行う操作部114とを有する。
【0085】
また、本制御系111は、操作内容や、種々の指示内容、状況を表示する表示部115と、種々のデータや指示の送信又は受信を行う通信部116と、デジタル・アナログ変換器118a〜120a,124bと、アナログ・デジタル変換器121a〜124aと、負圧が及ぼされる密閉空間を内部にもつ容器内に配置した複数の弾性管(図示せず)に押圧を加えるために、例えば、1個設けられたボールねじによって駆動部が設けられた移動体を移動させるためのスライド駆動部118とを有する。
【0086】
さらに、本制御系111は、前記ボールねじを回転駆動するためのステッピング・モータ119(尚、1回の押圧による移送容量が定まっている場合には通常の直流モータ等でも良い)と、前記容器内を負圧にするための真空ポンプ120と、指示された移送液量を精密に調節等のために、液体、容器又は弾性管内の温度を計測する温度センサ121と、容器内の気圧又は大気圧を計測する圧力センサ122と、例えば、前記液体容器内の液面を検出する液面センサ123と、前記バルーン・ポンプを含む液体移送装置の吸引口、吐出口若しくは容器又は両者を輸送する輸送手段124とを有する。輸送手段124として、例えば、前後方向に移動可能なステージ上に設けられた左右方向及び上下方向に移動可能な装置によって実現することができる。
【0087】
続いて、本実施の形態に係る制御系111の動作について説明する。
操作者は、前記操作部114から、バルーン・ポンプによって移送しようとする液体が収容されている液体容器、移送目的位置にある液体容器を指定する。各液体容器位置は予めメモリ113内にその容器識別番号とともに記憶させておき容器識別番号を指定するようにしても良い。また、操作者は移送しようとする液体の種類、液量を指定する。本制御系111では、液体の種類に応じて、予め、その液体の物性、例えば粘性や、比重、揮発性の有無等の物質データが前記メモリ113に記憶されているので、前記操作部114から、そのつど入力させる必要はない。
【0088】
また、どの装置を用いるかとか、移送速度等の装置に関する装置データ、さらには、処理の流れに関するデータとか、定量性に関しどの程度の許容範囲の要求か、単なる1か所から1か所への移送か、1か所から複数箇所への移送か、複数箇所から1か所への移送か、これらの組み合わせか、又は測定処理等の他の処理との組み合わせか等の処理内容を表す処理データを指定する。
すると、前記CPU112は、入力された処理データ及びメモリ113に格納されているプログラム・データや他のデータに基づいて、複数のバルーン・ポンプのうちのどれを使用するか、またはどういう順序で使用するのか、その時のステッピング・モータの回転量、押圧量、許される精度範囲、液容量速度を解析する。
【0089】
この解析は、例えば、効率性を考えて、なるべく処理全体が最短時間で終了するようにバルーン・ポンプの使用順番等を設定する。複数の液体の移送を行う場合には、1つの液体の移送が終了すると、洗浄液を何回か移送して洗浄した後に、次の液体の移送を行うように設定する。また、複数のバルーン・ポンプには、定量の高精度のものから低精度であるが効率の良いもの等を用意して、要求に応じて選択して用いるようにしても良い。
【0090】
また、本制御系では、操作者が操作部114から、装置データを入力して、加圧量や負圧量を定めるだけでなく、圧力センサ122や温度センサ121に応じて設定することもできる。
前記CPU112の解析手段の解析結果に基づいて、実行指示手段は実行指示を各部分に対して行う。まず、複数のバルーン・ポンプの中から、要求精度にあい且つ不使用状態にあるバルーン・ポンプに、スライド駆動部118を用いて、ボールねじ等の駆動部を配置するように移動を指示する。
【0091】
次に、輸送手段124に対し、該バルーン・ポンプに接続された移送管の先端についている吸引口を指定された移送対象の液体が収容されている液体容器内に移動させ、移送目的位置にある液体容器内に吐出口を移動する指示を行う。その際、該輸送手段124は、吸引口に設けられた液面センサ123によって液面を検知し、吸引口を液面の下に位置させるように制御される。
【0092】
尚、バルーン・ポンプに接続されている前記移送管の長さは、全容器間の最長の間隔を結ぶことができる長さが用意されているものとする。さらに、前記CPU112は、指示された液体の種類、1回の吸引・吐出による液体の移送量、移送すべき全液量、又は、前記温度センサ121によって検知された液体等の温度、圧力センサ122によって検知された圧力に応じて、前記モータの回転量の指示、及び真空ポンプ120への圧力の大きさを指示又は設定する。
【0093】
以上の準備が完了すると、処理を開始させる。その際、前記液面センサ123によって、吸引口は常に液面の下に潜るように位置制御がされる。CPU112は、前記ステッピング・モータ119の駆動状況や、移送目的位置に設けた液量計によって常に移送される液量を監視し、目的の移送量を達成した場合には、駆動を停止させる。または、液体容器から液体容器への全液体の移送の場合には、バルーン・ポンプ内の残留液体を絞り出すために例えば、前記真空ポンプ120の逆駆動を指示して弾性管を加圧させるようにしても良い。
【0094】
続いて、第七の実施の形態について説明する。
図9に示すように、本実施の形態に係るバルーン・ポンプ131は、押圧手段として、皿状の押圧部136をもち、ボールねじ等(図示せず)により駆動される押圧棒133によって押圧される。該実施の形態では、弾性管132を囲む包囲壁134の底部の形状は、前記皿状の押圧部136の押圧面の曲面に適合する形状に形成され、該包囲壁134の上部は、該押圧部136の押圧棒133及び板状部材135a,bが嵌入可能な開口部が設けられている。非押圧状態にある該押圧部136の上側で包囲壁134の開口部周縁に設けた軸支部138a,138bで軸支された板状部材135a,135bが載置されている。該軸支部138a,bにはトーション・スプリング(ねじりばね)が設けられ、前記板状部材135a,bを、該軸支部138a,bを中心として図面の下方向に弾性的に付勢されている。
【0095】
次に、本実施の形態に係るバルーン・ポンプ131の動作を説明する。
非押圧状態では、前記板状部材135a,bの端部が、押圧部136の上平面に接触載置されている。押圧部136が弾性管132の押圧を開始すると、押圧部136が弾性管方向に下降し、下方向に付勢されている板状部材135a,bもその一端が押圧部136の下降に伴って下降する方向に前記軸支部138a,bを中心として回転する。
この板状部材135a,bの存在によって、押圧された弾性管132が押圧部136の裏側にまで膨張することによって進入することによる不規則な変形や、押圧部136の摺動による無理な力が弾性管132にかかることを防止することになる。
尚、板状部材等の形状、個数、取付け位置等は、本実施の形態に限られることはなく、板状部材を4枚取り付けて、前記押圧部の上面を完全に覆うようにすれば、より効果は高いことになる。
【0096】
さらに、第八の実施の形態に係るバルーン・ポンプ151について説明する。
図10(a)に示すように、本実施の形態に係るバルーン・ポンプ151は、第一の実施の形態と同様にボールねじ165で押圧部16を駆動するものであるが、第一の実施の形態と異なり、一方向弁として電気信号により電磁石を駆動して開閉を行う電磁弁155a,bを用いている。本実施の形態に係るボールねじ165には、軸心を同一にしてボールねじ165に回動可能に支持された環状部材162を有し、該環状部材162の外側面には、導電性の金属針163が突出している。該金属針163の回動による移動範囲内には、該金属針163と同時接触可能な各々2個の端子164a,bが設けられたスイッチ161a,bが固定して設けられている。該金属針163が接触することによって前記端子間が電気的に接続し、電磁弁155a又は電磁弁155bを駆動して閉成することになる。
【0097】
ここで、前記環状部材162は、図10(b)に示すように前記ボールねじ165に、所定の動摩擦係数及び静摩擦係数をもって嵌合している。ここで、「所定の」とは、ボールねじが回転駆動されると、ボールねじの回転に伴って環状部材がボールねじと一体となって回転するが、環状部材の回転を阻止する外力が加わると環状部材は停止するが、それによってボールねじの回転続行が妨害されない場合をいう。これは、一般に静摩擦係数が動摩擦係数よりも大きいので実現可能な条件である。
【0098】
次に、本実施の形態に係るバルーン・ポンプ151の動作について説明する。
非押圧状態にある押圧部16に対し、モータ34を駆動させ前記ボールねじ165を回転させる。すると、該ボールねじ165に螺合する螺合部78が移動して、押圧部16がロッド16aを介して押圧方向に移動する。該押圧部16の移動とともに、該ボールねじ165に回動可能に軸支された環状部材162がボールねじ165との間の摩擦係数により、ボールねじ165と一体に回転を開始する。所定角度回転すると、該環状部材162の外側面に突出した前記金属針163が、該金属針163の回転による通過範囲内に設置されたスイッチ161bに接触するとともに、金属針163及び環状部材162の回転は阻害されて停止する。環状部材162の回転が停止しても、該環状部材162が所定の摩擦係数をもって軸支されているボールねじ165の回転は何ら阻害されることなく(動摩擦係数は静摩擦係数よりも小さい)回転し続けることになる。
【0099】
金属針163のスイッチ161bへの接触によって、スイッチ161bに設けられた両端子164bが、金属針163を介して電気的に導通して前記電磁弁155bを閉成させることになる。一方、吐出口側の電磁弁155aには、金属針163が接触していないので開成状態になっている。これによって、弾性管72内に吸引された液体が吸引側に戻ることなく吐出口側に移動することになる。
【0100】
その後、前記モータ34を逆回転駆動させて、ボールねじ165を逆回転させる。すると、該ボールねじ165に螺合する前記螺合部78を逆移動させ、押圧部16をロッド16aを介して押圧除去方向に移動させる。該押圧部16の逆移動とともに、該ボールねじ165に回転可能に軸支された環状部材162がボールねじ165との間の摩擦係数により、該環状部材162の該側面に突出した金属針163が接触したスイッチ161bから離間してボールねじ165と一体に逆回転を開始する。しかし、所定角度回転すると前記金属針162の通過範囲内で前記スイッチ161bとは別の位置に、例えば、図10(c)に示すように、軸心を含む平面に対し面対称位置に設置されたスイッチ161aに接触するとともに環状部材162の回転が阻害される。
【0101】
環状部材162の回転が阻害されても、前述の場合と同様に、ボールねじ165は回転し続けることになる。金属針163のスイッチ161aへの接触によって、スイッチ161aに設けられた両端子164aが、金属針163を介して電気的に導通して前記電磁弁155aを閉成するとともに、金属針163と非接触状態となったスイッチ161bは、両端子164b間が非接続状態となって、電磁弁155bを開成状態とする。これによって液体を吸引側から弾性管72内に吸入することになる。
【0102】
以上の動作を繰り返すことにより、吸引口側から吸入した液体を吐出口側に移動することになる。
尚、本実施の形態では、弾性管に電磁弁を接続しさらに移送管を接続するようにして弾性管、電磁弁及び移送管を別体に設けたが、1本の弾性管を用いて、電磁弁の位置に弾性管の外側から、電磁力により弾性管を押圧する押圧部材によって弾性管の開閉を行うようにしても良い。この場合には、接続による継ぎ目がないので、液体の移送がよりスムーズに確実に行うことができる。
以上説明したように、本実施の形態では、電磁力によって、ポンプの開閉を行うようにしているので、液体の移送量、移送タイミングを精密に制御することができるのでより信頼性が高い。
【0103】
以上の各実施の形態に係るバルーン・ポンプの説明では、押圧手段は、ボールねじによる駆動又はカム機構による駆動のみを述べてきたが、このような場合に限られることなく、例えば、モータの回転軸と回転可能に連結された、クランク機構を用いて回転運動を往復運動に変換して、前記弾性管に押圧力を加えるようにしても良い。その際、プランジャによって押圧しても良いし、ダイヤフラムを用いて撓みによって押圧しても良い。
【0104】
以上説明した各実施の形態において、バルーン・ポンプの弾性管と、吸引口又は吐出口と接続された移送管とを一体に形成したものを用いた場合には、さらに、管の接続がないので、液漏れや、外部物質の混入を効果的に防止することができるとともに、構造を簡素化して安価に作成することができる。
【0105】
また、押圧手段のみならず、開閉手段による開閉についても、弾性管の外部から押圧力を加えることによって行うようにすれば、一方向弁を不必要とし、構造を簡素化することができて安価に作成することができる。
さらに、前記容器開閉自在に設け、前記弾性管を該容器及び前記包囲壁に対して着脱自在に設けることによって、弾性管のみを入れ換えることによって、洗浄なしに種々の処理を行うことができるようにすることができる。即ち、使い捨ての弾性管を用いるようにしても良い。
【0106】
特に、吸引から吐出までを一体の弾性管で形成することによって、扱いやすい、バルーン・ポンプを提供することができる。
さらに、バルーン・ポンプと分注器とを組み合わせることによって種々の処理を液の運搬を行うことなく、液を移送することができる。
【0107】
これらの実施の形態は、本発明をより良く理解させるために具体的に説明したものであって、別態様を制限するものではない。したがって、発明の主旨を変更しない範囲で変更可能である。例えば、以上の説明では、流体として液体について説明したが、気体についても適用可能である。また、弾性管を円筒状に形成したが、該例に限られることなく、種々の形状に形成することができる。また、押圧手段も前述した機構に限られるものではない。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、第一の発明又は第二十三の発明は、前記流体通路の弾性体の部分の外側から負圧を及ぼして該弾性体に定形的な変形を引き起こすとともに加圧するものである。
したがって、変形容易な弾性体に定形性を付与し、常に一定の原形に復帰させるようにして、流体の移送の定量について高い精密度を確保することができ、且つ信頼性の高い流体の移送処理をすることができる。
【0109】
さらに、弾性管を用いることによって、流体を覆っているので、流体に接触する部分に接合や隙間がなく、微小な流体の残留を防止することができ、クロスコンタミネーションを防止することができる。また、負圧によって弾性体を原状に復帰させるようにしているので、応答性が良く、しかも不連続的又は連続的に流体の移送をすることができる。また、応用範囲が広い。
【0110】
第二の発明は、第一の発明において、前記弾性管の押圧箇所を含む領域に常時負圧を及ぼすことによって、押圧時を除き該弾性管を定形的に保持するようにしたものである。
したがって、第一の発明で奏する効果の他に、弾性管の定形性を確実に保つことができる。また、弾性管を用いるので安価に且つ容易に製造することができる。
【0111】
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明において、通気性があり且つ定形性のある包囲壁を有し、包囲壁に弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧時を除き弾性管を定形的に保持するものである。
したがって、第一の発明又は第二の発明で奏する効果の他に、不定形な変形を容易に起こす弾性管を包囲壁に剥離可能に密着させ、その形状を容易に且つ確実に保持されるので、高い定形性が得られ且つ簡単な構造で安価に製造することができるので、高精度の定量性を得ることができる。
また、通気性のある包囲壁を用いているので、弾性管の原状復帰が早く、応答性が良く、従って、不連続的又は連続的に流体の移送を行うことができる。
複数の流体通路を前記容器内に集積して設けることによってマルチ制御が可能であり、構造を簡略化、コンパクトに製造することができて省空間に寄与する。
【0112】
第四の発明は、第三の発明において、前記定形的保持手段は、前記包囲壁に開口部に押圧部が嵌挿され包囲壁で囲まれた内部に進入することによって弾性管を押圧するものである。
これによって、第三の発明で奏する効果の他に、簡単な構造で定形性を保ちつつ弾性管を押圧することができるので、安価且つ簡単に製造することができるとともに、より高精度の定量の制御をすることができる。
【0113】
第五の発明は、第一の発明又は第二の発明において、定形的変形可能な包囲壁を有し、該包囲壁に該弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧時を除き該弾性管を定形的に保持し、前記包囲壁の壁面を動かして前記弾性管を押圧するものである。
したがって、第三の発明で奏する効果の他に、包囲壁自体を動かすので、弾性管を密着させたまま押圧することができるので、応答性が高く且つ、定形性がより高い。
【0114】
第六の発明は、第一の発明乃至第五の発明のいずれかにおいて、前記開閉手段は、前記変形手段と連動し、前記弾性管を外部から押圧して閉塞し、及び、該弾性管を外部から押圧を除去し又は負圧により開放するものである。
本発明によれば、前述した発明で奏する効果の他に、弾性管に対する変形及び開閉を全て外側から制御することができるとともに、構造が単純で製造が容易である。また、接合や隙間がないので、流体は、弾性管にのみ接するようにすることができるので、漏れがなく流れがスムーズであるとともに、弾性管を交換することによって、種々の流体に対する移送が可能であり汎用性が高い。また、クロスコンタミネーションを防止することが容易である。
【0115】
第七の発明は、第三の発明乃至第六の発明のいずれかにおいて、前記変形手段の前記容器に、前記流体通路が貫通する貫通孔に該流体通路を固定する固定部を設けたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他、本発明では容器内の弾性管を含む流体通路部分はその端部で容器壁に固定されるので、弾性管を容器にしっかりと固定して、弾性管の容積変化の影響を他部分に及ぼすことがない。
【0116】
第八の発明は、第七の発明において、容器に、流体を移送するための移送管を、容器内を通る流体通路部分と容器壁近傍で連結する継手を設けたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、種々の移送管を容器内の流体通路と着脱可能に連結して、種々の処理を行うことができるので汎用性が高い。
【0117】
第九の発明は、第八の発明において、前記継手は、前記容器壁外側に固定して設けられ前記貫通孔に設けられたニップル又は受口と、該ニップル又は受口の周縁をニップル又は受口よりもやや大きな径で囲むとともに外側面が螺刻された円筒上のフランジと、該フランジと螺合するとともに、中央に移送管を通す孔が設けられ、移送管の端部又はその近傍に固着された鍔に当接して該鍔を容器壁に密着させる蓋部を有するものである。
これによって、簡単な構成で、確実な流体通路の連結を行うことができ、且つ、気密性の高い容器を安価に得ることができるとともに、移送管の取付け取り外しが容易であり扱い易い。
【0118】
第十の発明は、第一の発明乃至第九の発明のいずれかにおいて、前記変形手段は、回転運動を往復運動に変換するカム機構、ボールねじ機構又はクランク機構等の変換機構を有するものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、簡単な機構で、安価に製造できかつ信頼性良く流体の移送を行うことができる。
【0119】
第十一の発明は、第六の発明又は第十の発明において、前記開閉手段は、前記変形手段と連動するカム機構、ボールねじ機構等の前記変換機構又は電磁制御手段によって駆動されるものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、弾性管を外部から押圧することによって開閉を行うので、内部に弾性管等と別体の弁を接合して用いる必要がなく構造を簡単化し、安価に製造することができ、且つ弾性管の交換が容易である。また、接合や隙間が生じないので、液体の残量がなく、定量性に対し精度が高く、また、コンタミネーションを有効に防止することができる。
さらに電磁制御手段を用いることによって、開閉動作を確実且つ的確に行うことができるので信頼性のある制御を行うことができる。
【0120】
第十二の発明は、第三の発明乃至第十一の発明のいずれかにおいて、前記容器は、その容器壁に通気孔が設けられ、該通気孔と接続された真空ポンプを有するものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、容器の密閉空間内を弾性管内の気圧に対して十分に低圧に維持することができる。
また、真空ポンプを逆駆動することによって、容器内の圧力を高め、前記弾性管を加圧して、弾性管内の流体の残留を除去することができる。
【0121】
第十三の発明は、第五の発明乃至第十二の発明のいずれにおいて、前記変形手段の前記包囲壁の一部壁面を可動にし、前記押圧手段によって該包囲壁を定形的に、前記弾性管に向かって突出させるものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、押圧時においても定形性を保つことができるので、定形性が高く、定量に関して精度が高い。
【0122】
第十四の発明は、第三の発明乃至第十三の発明のいずれかにおいて、前記包囲壁は、合成樹脂、金属又はセラミックス等の多孔質材、網状体又は1又は2以上の通孔を設けた通気性部材で形成されたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、通気性とともに包囲壁に剛性を持たせることができるので、弾性管を定形的に確実に保持することができる。
【0123】
第十五の発明は、第一の発明乃至第十四の発明のいずれかにおいて、前記弾性管又は弾性体は、化学的に安定な性質をもつ素材で形成されたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、移送する流体との間で反応が生じて流体に不純物が混入したり、流体の移送によって弾性管又は弾性体が破壊されたりせず、信頼性の高い、且つ寿命の長いポンプを提供することができる。
【0124】
第十六の発明は、第三の発明乃至第十五の発明のいずれかにおいて、前記弾性管の前記容器貫通部分の中央近傍の内外径は、その両端近傍の内外径よりも大きく形成されたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、弾性管の径の大きさに比較して移送量の大きい、高性能で高効率のポンプを提供することができる。
【0125】
第十七の発明は、第一の発明乃至第十六の発明のいずれかにおいて、前記弾性管は、吸入口から吐出口まで、一体的に形成されたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、ポンプをも一体化された継ぎ目なしの1本の弾性管からなる流体移送装置を提供することができる。したがって、弾性管の途中での流体の残留や漏れのない、信頼性のあるバルーン・ポンプを提供することができる。
さらに、弾性管の交換のみで、洗浄の必要なしに、種々の移送処理を行うことができる。
【0126】
第十八の発明は、第三の発明乃至第十七の発明のいずれかにおいて、前記容器内で且つ前記弾性管の外側の気圧は、該弾性管が膨張して、その外面が前記包囲壁に密着する程度に、該弾性管内部の圧力より十分低く設定されたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、必要最小限の圧力で包囲壁に密着させることができる。
【0127】
第十九の発明は、第一の発明乃至第十八の発明のいずれかにおいて、前記変形手段による変形に伴う容積変化量は、前記弾性管に貯溜された流体の吐出又は移送量に略等しいものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、流体の移送量を精密にコントロールすることができる。
【0128】
第二十の発明は、第一の発明又は第十九の発明において、前記変形手段の押圧量を含む加圧量又は負圧量は可変であって、流体の移送量、流体の移送速度、流体の種類、流体の物性、気圧若しくは温度等の環境状況、又は弾性管の形状、物性等に応じて、自動的に又は操作者によって設定可能なものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、種々の条件に応じて柔軟性があり、汎用性のあるバルーン・ポンプを提供することができる。また、各種のセンサを設けて、自動的に加圧量又は負圧量を設定することによって、操作性を向上させることができる。
【0129】
第二十一の発明は、第一の発明乃至第二十の発明のいずれかにおいて、前記弾性管が前記容器に着脱自在に設けられたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、使い捨ての弾性管を使用することによって、クロスコンタミネーションのない、信頼性のある扱いやすいバルーン・ポンプを提供することができる。
【0130】
第二十二の発明では、指定手段と、解析手段と、実行指示手段とを有する。
したがって、前述した発明で奏する効果の他に、種々の条件の下で、流体の移送を高い精度で行うことができるとともに、自動的に広範囲の種々の指示又は設定を容易に行うことができるので汎用性及び柔軟性に富み扱いやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態に係る全体概略図
【図2】第一の実施の形態に係るバルーン・ポンプの斜視図
【図3】第一の実施の形態に係るロッドの端部近傍を示す図
【図4】第二の実施の形態に係るバルーン・ポンプの斜視図
【図5】第三の実施の形態に係るバルーン・ポンプを示す図
【図6】第四の実施の形態に係る全体概略図
【図7】第五の実施の形態に係る図
【図8】第六の実施の形態に係るブロック図
【図9】第七の実施の形態に係る図
【図10】第八の実施の形態に係る図
【図11】第一の従来例に係るポンプを示す図
【図12】第二の従来例に係るポンプを示す図
【符号の説明】
11,51,71,91,101,131,151…バルーン・ポンプ
12,72,92,132…弾性管
13,73,93…真空容器(容器)
14,74,94…包囲壁
15a,15b…一方向弁
16…押圧部
16a,16b,16c…ロッド
17a,17b…貫通孔
20…受口
21…ニップル
22,23…移送管
24,25…吸引口、吐出口
26,27…容器
28…密閉空間
29…通気孔
31…真空ポンプ
33,85…ボールねじ
35…ボールねじ駆動部
36…シャフト
39…回転伝達系
40,41…支持部
48…調節ねじ部
56…移動体
57…電磁石
77,78,79…ナット部
85a,b,c…第1、2、3種部分

Claims (22)

  1. 移送すべき液体又は気体等の流体と内面で接触し、一部又は全体が弾性体で形成された流体通路と、
    前記流体通路のうち弾性体で形成された部分に外側から負圧を及ぼすことによって該部分に定形的な変形を引き起こすとともに加圧を及ぼすことが可能な変形手段と、
    前記流体通路の開閉を行う開閉手段とを有するとともに、
    前記変形手段は、
    前記流体通路の一部又は全体を形成する弾性管を押圧する押圧手段と、
    前記押圧手段による前記弾性管の押圧箇所を含む領域に常時負圧を及ぼすことによって、押圧時を除き該弾性管の弾性体部分を定形的に保持する定形的保持手段とを有することを特徴とするバルーン・ポンプ。
  2. 前記変形手段は、
    前記弾性管を押圧するため、可動の押圧部をもつ押圧手段と、
    前記弾性管が一部又は全体に形成された前記流体通路が貫通するとともに、該流体通路の外面との間で囲まれた密閉空間を、収容した該弾性管内圧力よりも十分低圧に維持する容器、及び、該容器内に設けられ、非変形状態の該弾性管の原体積よりも大きい容積で通気性をもって該弾性管を包囲するとともに、前記押圧部が該弾性管に押圧可能に設けられた定形性のある包囲壁を有し、該包囲壁に該弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧時を除き該弾性管を定形的に保持する定形的保持手段と、を有することを特徴とする請求項1記載のバルーン・ポンプ。
  3. 前記定形的保持手段は、
    前記包囲壁に開口部を設けるとともに、
    該開口部には、該開口部を覆いつつ包囲壁で囲まれた内部に進入することによって弾性管を押圧する押圧部が嵌挿されていることを特徴とする請求項2記載のバルーン・ポンプ。
  4. 前記変形手段は、
    前記弾性管が一部又は全体に形成された前記流体通路が貫通するとともに、該流体通路の外面との間で囲まれた密閉空間を、収容された該弾性管内の圧力よりも十分低圧に維持する容器、及び、該容器内に設けられ、非変形状態の該弾性管の原体積よりも大きい容積で該弾性管を通気性をもって包囲する定形的変形可能な包囲壁を有し、該包囲壁に該弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧時を除き該弾性管を定形的に保持する定形的保持手段と、
    前記包囲壁の壁面を動かして前記弾性管を押圧する押圧手段と、
    を有することを特徴とする請求項1記載のバルーン・ポンプ。
  5. 前記開閉手段は、前記変形手段と連動し、前記弾性管の外部から押圧して該弾性管の流路を閉塞し、及び、該弾性管の外部への押圧を除去し又は負圧により該弾性管の流路を開放することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  6. 前記変形手段の前記容器に、
    前記流体通路が貫通する貫通孔に該流体通路を固定する固定部を設けたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  7. 前記固定部として、
    流体を移送するための移送管を、容器内を通る流体通路部分と容器壁近傍で連結する継手を設けたことを特徴とする請求項6に記載のバルーン・ポンプ。
  8. 前記継手は、
    前記容器壁外側に固定して設けられ前記貫通孔に連通するニップル又は受口と、
    ニップル又は受口の周縁をニップル又は受口よりもやや大きな径で囲むとともに、外側面が螺刻された円筒状のフランジと、
    該フランジと螺合するとともに、中央に移送管を通す孔が設けられ、移送管の端部又はその近傍に固着された鍔を容器壁に密着させて移送管をニップル又は受口と連結する蓋部とを有することを特徴とする請求項7に記載のバルーン・ポンプ。
  9. 前記変形手段は、回転運動を往復運動に変換するカム機構、ボールねじ機構、又はクランク機構等の変換機構を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  10. 前記開閉手段は、前記変形手段と連動するカム機構、ボールねじ機構等の前記変換機構又は電磁制御手段によって駆動されることを特徴とする請求項5又は9のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  11. 前記容器は、
    その容器壁に通気孔が設けられ、該通気孔と接続された真空ポンプを有することを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  12. 前記変形手段の前記包囲壁の一部壁面を可動にし、前記押圧手段によって該包囲壁を定形的に、前記弾性管に向かって突出させることを特徴とする請求項4乃至11のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  13. 前記包囲壁は、合成樹脂、金属又はセラミックス等で製造された多孔質材、網状体又は1若しくは2以上の通孔を設けた通気性部材で形成されたことを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  14. 前記弾性管又は弾性体は、化学的に安定な性質をもつ素材で形成されたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載されたバルーン・ポンプ。
  15. 前記弾性管の前記容器貫通部分の中央近傍の内外径は、両端近傍の内外径よりも大きく形成されたことを特徴とする請求項2乃至14のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  16. 前記弾性管は、吸入口から吐出口まで、一体的に形成されたことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  17. 前記容器内で且つ前記弾性管の外側の気圧は、該弾性管が膨張して、その外面が前記包囲壁に密着する程度に、該弾性管内部の圧力より十分低く設定されたことを特徴とする請求項2乃至16のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  18. 前記変形手段の変形に伴う容積変化量は、前記弾性管に貯溜された流体の吐出又は移送量に略等しいことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  19. 前記変形手段の押圧量を含む加圧量又は負圧量は可変であって、流体の移送量、流体の移送速度、流体の種類、流体の物性、気圧若しくは温度等の環境状況、又は弾性管の形状、物性等に応じて、自動的に又は操作者によって設定可能であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  20. 前記弾性管が前記容器に着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  21. 流体の種類、移送量、若しくは流体の移送位置等の流体に関する物質データ、装置のとるべき位置、圧力、移送速度、温度、押圧回数、押圧速度等の装置に関する装置データ又は処理内容を表す処理データ等を、検知又は入力することによって指定する指定手段と、指定された物質データ、装置データ又は処理データを解析する解析手段と、解析結果に基づいて、バルーン・ポンプの各部分に実行を指示する実行指示手段とを有することを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載されたバルーン・ポンプ。
  22. 流路の一部又は全体を形成する弾性管に外部から負圧を及ぼして該弾性管を定形的に保持し、該弾性管への加圧を除去すると同時に吸引口側の流路を開放し吐出口側の流路を閉塞して該弾性管を定形的に保持された状態にして流体を吸引口から吸引し、該弾性管を外部から加圧すると同時に吸引口側の流路を閉塞し吐出口側の流路を開放し流体を吐出口側に移送する過程を繰り返すことによって流体を移送する方法において、
    前記加圧は、前記弾性管の押圧箇所を押圧することによって行い、前記負圧は、該弾性管の前記押圧箇所を含む領域に常時及ぼされて押圧時を除き該弾性管の弾性体部分を定形的に保持することを特徴とするバルーン・ポンプを用いた流体移送方法。
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