JPH10205455A - バルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法 - Google Patents

バルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法

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JPH10205455A
JPH10205455A JP1142897A JP1142897A JPH10205455A JP H10205455 A JPH10205455 A JP H10205455A JP 1142897 A JP1142897 A JP 1142897A JP 1142897 A JP1142897 A JP 1142897A JP H10205455 A JPH10205455 A JP H10205455A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを
用いた流体移送方法に関し、変形容易な弾性体に定形性
を付与して、定量について高い精密度をもち、信頼性が
高く且つ応用範囲が広い流体移送を行うことを目的とす
る。 【解決手段】 移送すべき液体又は気体等の流体と内面
で接触し、一部又は全体が弾性体で形成された流体通路
と、前記流体通路のうち弾性体で形成された部分に外側
から負圧を及ぼすことによって該部分に定形的な変形を
引き起こすとともに加圧を及ぼすことが可能な変形手段
と、前記流体通路の開閉を行う開閉手段とを有するよう
に構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原動機からのエネ
ルギーを気体又は液体の流れに変換する液体用又は液体
及び圧縮性流体用容積形ポンプに係り、特に、医療、化
学、薬品、生化学等の分野で、微小量の移送が必要な定
量性の高い処理又は作業を行う場合に適用することがで
きる応用範囲の広いバルーン・ポンプ及びバルーン・ポ
ンプを用いた流体移送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】第一の従来例として、図11に示すよう
な、回転式液体用容積形ポンプがあった。該回転式ポン
プは501は、一端が吸入路502に、他端が流出路5
03と連結され、円周状に曲げられた弾性体チューブ5
04と、該弾性体チューブ504に沿って弾性体チュー
ブ504を潰しながら進んで液体を吸入路502から流
出路503に運搬する回転押圧体505とを有するもの
である。
【0003】第二の従来例として、図12に示すよう
な、往復式ポンプ511があった。該ポンプ511はピ
ストン515aを内蔵するシリンダ515と、該シリン
ダ515と連通する円筒管512と、吸入路513及び
流出路514と該円筒管512との連結部分に設けられ
た吸入弁516a及び流出弁516bとを有するもので
ある。前記シリンダ515内を前記ピストン515aが
往復運動することによって、液体を吸入路513から流
出路514へ移送する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、第一の従来
例に係るポンプでは、前記回転押圧体によるチューブの
押圧があると、チューブが潰され、回転押圧体の回転移
動に伴ってチューブの潰れた箇所も移動し、該チューブ
に押されるようにしてチューブ内にある流体が連続的に
移送される。該ポンプでは回転押圧体の押圧が除去され
るとチューブが原状に復帰することになる。しかし、回
転押圧体の押圧が除去されても、チューブは直ちに原状
に復帰するものではなく、ある程度の時間を要する。特
に肉薄のチューブであると、必ずしも原状に復帰せずに
不規則不定形な形状を保つおそれもある。
【0005】また、該ポンプでは、液体の連続的移送に
は適しているが、液体を瞬間的に移送する場合には、定
量性を十分に確保することができず、医療等の分野で微
量の液体を、定量について高い精度で移送する場合に
は、十分な信頼性を得ることができないおそれがあると
いう問題点を有していた。
【0006】また、第二の従来例に係るポンプでは、シ
リンダ515とピストン515aを用いるために、弾性
体を用いる場合に比較して定量性が十分確保されるよう
に見える。しかし、シリンダ515とピストン515a
との間には小さな隙間があり、この隙間から液体が漏れ
たり、その隙間やシリンダ515内に液体が残留して、
やはり高度の定量性を確保することができないおそれが
ある。また、残留した液体によって、クロスコンタミネ
ーションが生ずるおそれがあるという問題点をも有して
いた。さらに、第一の従来例及び第二の従来例に係るポ
ンプでは、連続的に液体を移送するものであって、液量
が十分に大きい場合の移送量の制御は比較的精度良く行
うことができるが、微小な移送量の制御を精度良く行う
ことができないおそれがあるという問題点を有してい
た。
【0007】そこで、本発明は、以上の技術的課題を解
決するためになされたものであり、第一には、従来なか
ったバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用いた流
体移送方法を提供することを目的としてなされたもので
ある。第二には、定量に関する高度の精密性をもった信
頼性の高いバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用
いた流体移送方法を提供することを目的としてなされた
ものである。
【0008】第三には、流体を残留なく移送することに
よって、高度の定量性をもち、且つクロスコンタミネー
ションなく流体を移送することができるバルーン・ポン
プ及びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供す
ることを目的としてなされたものである。第四には、非
連続的(1ショット毎)及び連続的に流体を移送するこ
とができ、定量のために扱いやすいバルーン・ポンプ及
びバルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供するこ
とを目的としてなされたものである。
【0009】第五には、微小量の流体をも確実に高い定
量の下で移送することができるバルーン・ポンプ及びバ
ルーン・ポンプを用いた流体移送方法を提供することを
目的としてなされたものである。第六には、医療の分野
等の種々の分野において、応用性の広い、汎用性の高
い、マルチ制御可能なバルーン・ポンプ及びバルーン・
ポンプを用いた流体移送方法を提供することを目的とし
てなされたものである。第七には、簡単な構成で、安価
で経済的なバルーン・ポンプ及びバルーン・ポンプを用
いた流体移送方法を提供することを目的としてなされた
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の技術的課題を解決
するため、第一の発明は、移送すべき液体又は気体等の
流体と内面で接触し、一部又は全体が弾性体で形成され
た流体通路と、前記流体通路のうち弾性体で形成された
部分に外側から負圧を及ぼすことによって該部分に定形
的な変形を引き起こすとともに加圧を及ぼすことが可能
な変形手段と、前記流体通路の開閉を行う開閉手段とを
有するものである。
【0011】ここで、本発明は1本の流体通路について
変形及び開閉するだけでなく、複数本の流体通路を並列
的に並べて変形及び開閉する場合も含む。さらに、複数
の弾性管を直列に並べて、各流体通路に変形及び開閉を
施す場合も含む。「一部又は全体が弾性体で形成された
流体通路」であるから、必ずしも、流体通路は弾性体の
みで形成されなくてもよく、非可撓性で形成された流体
通路の一部に弾性管が設けられている場合や、さらに非
可撓性の管の一部に形成された開口部にのみ弾性体で形
成された膜が張られたような場合であっても良い。「定
形的な変形」とは、少なくとも、意図した一定の形状に
変形することをいう。
【0012】「開閉手段」は、流体通路に設けた一方向
弁であっても良いし、外部から流体通路の弾性管に加圧
しまたは加圧を除去することによって開閉を行うもので
あっても良い。一般に、外側から弾性体を加圧した後、
加圧を除去しても、弾性体は変形が容易であるため、正
確に加圧前の原形に復帰しにくい。そこで、本発明では
変形容易な弾性体に負圧を加えることによって、弾性体
に定形性を付与し、常に一定の原形に復帰させるように
して、流体の残留なしに高度の定量性を確保するように
したものである。
【0013】第二の発明は、第一の発明において、前記
変形手段は、前記流体通路の一部又は全体を形成する弾
性管を押圧する押圧手段と、前記押圧手段による前記弾
性管の押圧箇所を含む領域に常時負圧を及ぼすことによ
って、押圧時を除き該弾性管を定形的に保持する定形的
保持手段とを有するものである。ここで、「押圧手段」
は、例えば、1回のみ押圧を加えても良いし、連続的又
は周期的に押圧を加えるようにしても良い。
【0014】第三の発明は、第一の発明又は第二の発明
において、前記変形手段は、前記弾性管を押圧するた
め、可動の押圧部をもつ押圧手段と、前記弾性管が一部
又は全体に形成された前記流体通路が貫通するととも
に、該流体通路の外面との間で囲まれた密閉空間を、収
容した該弾性管内圧力よりも十分低圧に維持する容器、
及び、該容器内に設けられ、非変形状態の該弾性管の原
体積よりも大きい容積で通気性をもって該弾性管を包囲
するとともに、前記押圧部が該弾性管を押圧可能に設け
られた定形性のある包囲壁を有し、該包囲壁に該弾性管
の外面を剥離可能に密着させて押圧時を除き該弾性管を
定形的に保持する定形的保持手段とを有するものであ
る。
【0015】ここで、「押圧部が弾性管を押圧可能に設
けられた」とは、押圧部は、前記包囲壁によって、弾性
管に対する押圧を妨害されないように設けられているこ
とをいい、例えば、押圧部が包囲壁内部に設けられ、包
囲壁に穿設した小孔を通して設けた棒によって押圧部を
押圧させるような場合や、包囲壁に穿設した開口部を通
して、押圧部を包囲壁内に進入可能に設けても良い。
「剥離可能」としたのは、弾性管を変形する際に、弾性
管を包囲壁に密着させたままだと、弾性管に大きな変形
を加えることが難しく、また、弾性管に局所的に大きな
変形力が加わり弾性管を劣化させ又は破壊しやすいから
である。また、弾性管を含む流体通路は容器内に必ずし
も1本のみ配置する場合に限られず、複数貫通させて配
列するようにしても良い。この場合には、各流体通路毎
に包囲壁、押圧手段や開閉手段等が設けられることにな
る。
【0016】第四の発明は、第三の発明において、前記
定形的保持手段は、前記包囲壁に開口部を設けるととも
に、該開口部には、該開口部を覆いつつ包囲壁で囲まれ
た内部に進入することによって弾性管を押圧する押圧部
が嵌挿されているものである。これによって、簡単な構
造で、弾性管の定形性を保持しながら押圧部によって押
圧することができる。
【0017】第五の発明は、第一の発明又は第二の発明
において、前記変形手段は、前記弾性管が一部又は全体
に形成された前記流体通路が貫通するとともに、該流体
通路の外面との間で囲まれた密閉空間を、収容された該
弾性管内の圧力よりも十分低圧に維持する容器、及び、
該容器内に設けられ、非変形状態の該弾性管の原体積よ
りも大きい容積で該弾性管を通気性をもって包囲する定
形的変形可能な包囲壁を有し、該包囲壁に該弾性管の外
面を剥離可能に密着させて押圧時を除き該弾性管を定形
的に保持する定形的保持手段と、前記包囲壁の壁面を動
かして前記弾性管を押圧する押圧手段とを有するもので
ある。「定形的変形可能」とは、少なくとも、変形した
結果として一定の意図した形状を保つことをいう。第三
の発明と第五の発明との相違は、押圧手段が直接弾性管
を押圧するのか、押圧手段が包囲壁を介して押圧するか
の相違である。
【0018】第六の発明は、第一の発明乃至第五の発明
のいずれかにおいて、前記開閉手段は、前記変形手段と
連動し、前記弾性管を外部から押圧して閉塞し、及び、
該弾性管を外部から押圧を除去し又は負圧により開放す
るものであり、これによって流体を該弾性管の内面との
み接触させて移送するものである。本発明によれば、弾
性管に対する変形及び開閉を全て外側から制御すること
ができる。従って、流体は、弾性管にのみ接するので、
流れがスムーズであるとともに、弾性管のみを変えるこ
とによって、種々の流体に対する移送が可能である。ま
た、医療の分野等においてクロスコンタミネーションを
防止することが容易である。
【0019】第七の発明は、第三の発明乃至第六の発明
のいずれかにおいて、前記変形手段の前記容器に、前記
流体通路が貫通する貫通孔に該流体通路を固定する固定
部を設けたものである。したがって、容器内の弾性管を
含む流体通路部分はその端部で容器壁に固定されてい
る。そのためには、例えば、前記容器壁の前記貫通孔に
対向する前記弾性管の内部には硬質のパイプを設けれ
ば、弾性管を容器にしっかりと固定することができ他管
との接続を確実に行うことができる。
【0020】第八の発明は、第七の発明において、前記
固定部として、流体を移送するための移送管を、容器内
を通る流体通路部分と容器壁近傍で連結する継手を設け
たものである。これによって、容器に必要に応じて、必
要な長さ、径、分岐路、機能をもつ移送管を自由に連結
することによって、種々の処理を行うことができる。
【0021】第九の発明は、第八の発明において、前記
継手は、前記容器壁外側に固定して設けられ前記貫通孔
に連通するニップル又は受口と、ニップル又は受口の周
縁をニップル又は受口よりもやや大きな径で囲むととも
に、外側面が螺刻された円筒状のフランジと、該フラン
ジと螺合するとともに、中央に移送管を通す孔が設けら
れ、移送管の端部又はその近傍に固着された鍔を容器壁
に密着させて移送管をニップル又は受口と連結する蓋部
とを有するものである。これによって、簡単な構成で、
気密性の高い容器を製造することができる。したがっ
て、安価に製造することができる。また、弾性管の取り
外しも容易である。
【0022】第十の発明は、第一の発明乃至第九の発明
のいずれかにおいて、前記変形手段は、回転運動を往復
運動に変換するカム機構、ボールねじ機構、又はクラン
ク機構等の変換機構を有するものである。尚、その他に
モータ等の駆動機構が必要なことはいうまでもない。ま
た、これらの変換機構を用いずに、直接モータ等によっ
て押圧を行うようにしても良い。これによって、簡単な
構成によってポンプ駆動を行うことができる。
【0023】第十一の発明は、第六の発明又は第十の発
明のいずれかにおいて、前記開閉手段は、前記変形手段
と連動するカム機構、ボールねじ機構等の前記変換機構
又は電磁制御手段によって駆動されるものである。ここ
で、「電磁制御手段」とは、電磁気力を用いて、開閉駆
動を行うものであって、例えば、電磁石によって弾性管
を外部から直接押圧することによって開閉したり、又は
電磁弁であっても良い。
【0024】第十二の発明は、第三の発明乃至第十一の
発明のいずれかにおいて、前記容器は、その容器壁に通
気孔が設けられ、該通気孔と接続された真空ポンプを有
するものである。これによって、容器の密閉空間内を弾
性管内の気圧に対して十分に低圧に維持することができ
る。また、真空ポンプを逆回転させることによって、容
器内を加圧し、前記弾性管を加圧により潰して、弾性管
内に残留した流体を全部吐出させることができる。
【0025】第十三の発明は、第五の発明乃至第十二の
発明のいずれにおいて、前記変形手段の前記包囲壁の一
部壁面を可動にし、前記押圧手段によって該包囲壁を定
形的に、前記弾性管に向かって突出させるものである。
ここで、「一部壁面」の部分に、押圧手段による押圧に
よって突出し、押圧を除去することによって元に戻るよ
うな金属製の隔膜、ダイヤフラム(diaphragm)を設けた
構造であっても良い。
【0026】第十四の発明は、第三の発明乃至第十三の
発明のいずれかにおいて、前記包囲壁は、合成樹脂、金
属又はセラミックス等で製造された多孔質材、網状体又
は1又は2以上の通孔を設けた通気性部材で形成された
ものである。第十五の発明は、第一の発明乃至第十四の
発明のいずれかにおいて、前記弾性管又は弾性体は、化
学的に安定な性質をもつ素材によって形成されたもので
ある。化学的に安定な性質をもつ素材として、例えば、
テフロン系のゴム、シリコン系のゴム、バイトン等があ
る。
【0027】第十六の発明は、第三の発明乃至第十五の
発明のいずれかにおいて、前記弾性管の前記容器貫通部
分の中央近傍の内外径は、両端近傍の内外径よりも大き
く形成されたものである。これによって、弾性管の径の
大きさに比較して移送量の大きい、また、移送力の大き
なポンプを提供することができる。
【0028】第十七の発明は、第一の発明乃至第十六の
発明のいずれかにおいて、前記弾性管は、吸入口から吐
出口まで、一体的に形成されたものである。これによっ
て、ポンプをも一体化された継ぎ目なしの1本の弾性管
からなる流体移送装置を提供することができる。したが
って、弾性管の途中での流体の残留や漏れのない、信頼
性のあるバルーン・ポンプを提供することができる。
【0029】第十八の発明は、第三の発明乃至第十七の
発明のいずれかにおいて、前記容器内で且つ前記弾性管
の外側の気圧は、該弾性管が膨張して、その外面が前記
包囲壁に密着する程度に、該弾性管内部の圧力より十分
低く設定されたものである。これによって、必要最小限
の圧力で包囲壁に密着させることができる。
【0030】第十九の発明は、第一の発明乃至第十八の
発明のいずれかにおいて、前記変形手段による変形に伴
う容積変化量は、前記弾性管に貯溜された流体の吐出又
は移送量に略等しいものである。これによって、弾性管
内に吸引された流体を全て残留なく吐出することができ
る。
【0031】第二十の発明は、第一の発明乃至第十九の
発明のいずれかにおいて、前記変形手段の押圧量を含む
加圧量又は負圧量は可変であって、流体の移送量、流体
の移送速度、流体の種類、流体の物性、気圧若しくは温
度等の環境状況、又は弾性管の形状、物性等に応じて、
自動的に又は操作者によって設定可能なものである。こ
れによって、種々の条件に応じて柔軟性があり、汎用性
のあるバルーン・ポンプを提供することができる。ま
た、各種のセンサを設けて、自動的に加圧量又は負圧量
を設定することによって、操作性を向上させることがで
きる。
【0032】第二十一の発明は、第一の発明乃至第二十
の発明のいずれかにおいて、前記弾性管が前記容器に着
脱自在に設けられたものである。これによって、使い捨
ての弾性管を使用することによって、クロスコンタミネ
ーションのない、信頼性のある扱いやすいバルーン・ポ
ンプを提供することができる。
【0033】第二十二の発明は、第一の発明乃至第二十
一の発明のいずれかにおいて、流体の種類、移送量、若
しくは流体の移送位置等の流体に関する物質データ、装
置のとるべき位置、圧力、移送速度、温度、押圧回数、
押圧速度等の装置に関する装置データ又は処理内容を表
す処理データ等を、検知又は入力することによって指定
する指定手段と、指定された物質データ、装置データ又
は処理データを解析する解析手段と、解析結果に基づい
て、バルーン・ポンプの各部分に実行を指示する実行指
示手段とを有するものである。
【0034】これによって、種々の処理を、種々の状況
に応じて、高精度に行うことができるので、汎用性の高
い、且つ自動的に処理が可能な扱いやすいバルーン・ポ
ンプを提供することができる。
【0035】第二十三の発明は、弾性管に外部から負圧
を及ぼして該弾性管を定形的に保持し、該弾性管への加
圧を除去すると同時に吸引口側の流路を開放し吐出口側
の流路を閉塞して該弾性管を定形的に保持した状態にし
て流体を吸引口から吸引し、該弾性管を外部から加圧す
ると同時に吸引口側の流路を閉塞し吐出口側の流路を開
放し流体を吐出口側に移送する過程を繰り返すことによ
って流体を移送するものである。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明に係るバルーン・ポンプに
おける以下の実施の形態では、液体を移送する場合につ
いて説明する。また、この実施の形態は特に指定のない
限り本発明を制限するものではない。第一の実施の形態
を図1及び図2に基づいて説明する。図1に示すよう
に、本実施の形態に係る流体移送系は、バルーン・ポン
プ11と、該バルーン・ポンプ11と後述する継手を介
して着脱自在に取り付けられた移送管22,23とを有
する。各移送管22,23の一方の端部に、吸引口24
と吐出口25とが設けられている。該吸引口24は、移
送しようとする液体が収容された液体容器26内に位置
させ、該吐出口25は移送された液体が収容される液体
容器27内に位置させる。該吐出口25として垂下ノズ
ルが用いられる。
【0037】図1に示すように、前記移送管22,23
及び弾性管12を含む前記吸引口24から前記吐出口2
5までの液体通路(流体通路に相当)は、真空容器13
に穿設された貫通孔17a,17bを通り該真空容器1
3を上下方向に貫通している。該真空容器13内には前
記弾性管12が収容されている。該弾性管12の両端
と、容器壁に設けられた貫通孔17a,17bとの間に
は、該弾性管12への液体の流入及び流出を制御するた
めの一方向弁(逆止弁)15a,15bが設けられてい
る。該一方向弁としては、種々のものがあり、例えば、
球体によって流体の逆流を防止するようなものであって
も良い。
【0038】前記弾性管12は、例えば、約0.1mm
〜0.5mm程度の肉薄のテフロン系、シリコン系のゴ
ム等の化学的に安定な素材で中空の略円筒状に形成され
ている。一般に、弾性管の肉厚をあまり薄くすると、押
圧制御を行う際に、局所的に変形しやくすくなり、摺動
による弾性管の劣化や振動が起こりやすく適当でない。
逆に肉厚を厚くすると、押圧制御を行う際に局所的な変
形がしにくいが、負圧等による定形的な変形を起こしに
くく、高度の定量性のある制御がしにくくなる。肉厚や
素材はこのような事情を勘案して定められる。該弾性管
12の両端の細径部分及び移送管22、23の径は例え
ば、数mm程度であり、該弾性管12の太径部分は、例
えば、前記細径の数倍程度(例えば、約5倍)の大きさ
をもつものを念頭においている。これによって、弾性管
12の1回の押圧による移送可能な液量を大きくしてい
る。該弾性管12の両端の細径部分には、非可撓性の合
成樹脂等で形成されたパイプが挿入され、弾性管12の
端部に剛性を与えている。
【0039】図1又は図2に示すように、該真空容器1
3内には、前記一方向弁15a,15b及び前記弾性管
12の他に、該弾性管12の外面を非変形状態の該弾性
管12の原体積より大きい容積で包囲するプラスチック
等の合成樹脂や金属等の非可撓性部材で形成された包囲
壁14が設けられている。ここで、非変形状態とは、弾
性管の内外の圧力差を“0”とした条件で取り得る状態
をいう。該包囲壁14は、例えば、前記弾性管12の肉
厚より十分小さい孔をもつ多孔性部材や一若しくは複数
の穴が設けられた部材で形成されているため通気性を有
する。
【0040】図1又は図2に示すように、該包囲壁14
の壁面には前記弾性管12押圧用の開口部14aが設け
られている。該開口部14aの周縁で包囲壁14の外側
方向には、該開口部14aを囲み弾性管12へ押圧部1
6を確実に導くための筒状壁14bが設けられている。
また、真空容器13の器壁13bには通気孔29が穿設
され、パイプ30を介して真空ポンプ31と接続されて
いる。尚、容器13内は、通気孔29から真空ポンプ3
1によって中の空気を排気して弾性管に負圧を及ぼす場
合、又は空気を注入して弾性管を加圧する場合を除き外
気と遮断されて密閉空間28を形成している。
【0041】前記真空容器13の器壁の前記貫通孔17
a,bには、前記移送管22,23との間を連結する継
手が設けられている。前記移送管22と連結する継手と
しては、該移送管22を挿入して連結する受口20と、
前記貫通孔17aの周縁に固着され、該貫通孔17aを
囲み外側面が螺刻された円筒状のフランジ18aと、移
送管22の先端近傍に固着された鍔22aを真空容器1
3の器壁に押し付けるとともに中央に移送管22の貫通
用孔が穿設されて前記フランジ18aに螺合する蓋体1
9aとを有するものである。
【0042】一方、前記移送管23と連結する継手とし
ては、移送管23に挿入されて連結するニップル21
と、前記貫通孔17bの周縁に固着され、該貫通孔17
bを囲み該側面が螺刻された円筒状のフランジ18b
と、移送管23の先端に固着された鍔23aを真空容器
13の器壁に押しつけるとともに中央に移送管23の貫
通用孔が穿設されて前記フランジ18bに螺合する蓋体
19bとを有するものである。尚、前記受口20及びニ
ップル21にはパッキンを設けるようにしても良い。ま
た、継手としては、移送管の抜け落ちを防止し、容器内
部の密閉性を保つことができれば、以上説明したものに
限られるのではなく市販の種々のものを利用することが
できる。
【0043】前記弾性管12を押圧する押圧手段は、ス
テッピング・モータ34(又はモータ)と、ステッピン
グ・モータ34の回転軸38の正逆回転を外周面がプー
リ等に形成されたボールねじ駆動部35に伝達するため
の歯車、タイミングベルトやチェーン等の伝達機構39
と、ボールねじ駆動部35に螺合し、該ボールねじ駆動
部35の正逆回転によって正逆両方向への往復運動を可
能とするボールねじ33と、該ボールねじ33を往復運
動可能に支持する支持部40,41と、前記ボールねじ
駆動部35を挟持して、その並進運動を規制する規制部
42と、該支持部40,41及び該規制部42を固定す
るためのシャフト36とを有する。
【0044】さらに、該押圧手段は、前記筒状壁14b
に摺動可能に嵌まり、前記開口部14aを通って包囲壁
14の内部に進入して弾性管12を押圧する、略升状の
押圧部16が設けられている。該押圧部16の側面の高
さは、押圧部の最大進入距離よりもやや長く形成する必
要がある。該押圧部16は、前記包囲壁14と同じ通気
性をもつ素材又はそれ以外の素材で形成しても良く、該
押圧部16には、該押圧部16に押圧力を与えるロッド
16aの一端が固定されている。ロッド16aの他端近
傍には、前記押圧部16を弾性管12から離れる方向に
付勢するばね44、及び、前記押圧部16の到達範囲を
調節して、押圧部16の包囲壁14内への進入の深さを
決定するための調節ねじ部48が設けられている。
【0045】図3に示すように、調節ねじ部48は、ロ
ッド16aの上端に設けられ前記ボールねじ33の下端
が当接するロッド頭部37と、ロッド頭部37の下方の
側周面の一定の長さに渡って螺刻された螺合部43と、
該螺合部43に螺合し、ばね44を係止するとともにロ
ッド16aの包囲壁14内への進入の深さを決定する調
節ナット47と、該調節ナット47を螺合部43に固定
するための小ねじ45とを有する。さらに、該ロッド1
6aの外側に、前記容器壁13b外部と該調節ナット4
7との間に挟まれて前記ばね44が嵌められ、該調節ナ
ット47を容器壁13bの外側へ離間する方向に付勢す
る。したがって、該調節ナット47が螺合するロッド1
6a及び該ロッド16aの上端にあるロッド頭部37も
同方向に付勢され、該ロッド頭部37は前記ボールねじ
33の下端を弾圧する。このような構成なので該ロッド
16aにボールねじ33の往復運動が伝達されて前記押
圧部16は往復駆動される。
【0046】前記ロッド16aが挿入される容器13の
器壁に穿設された孔には例えば2個のOリング32が嵌
められて容器13内の空間を密閉するとともに、ロッド
16aを摺動可能に保持している。
【0047】好ましくは、前記容器13は2つ容器壁部
分13a,13bに分割可能にするとともに、前記弾性
管12を脱着可能に設けることによって、使用者が弾性
管12を交換可能にしても良い。これによって、弾性管
12の洗浄を行うことなく、種々の液体について移送処
理を行うことができる。好ましくは、容器壁部分13a
は内部を監視することができるように透明壁をもつよう
にし、前記弾性管12の一部及び包囲壁14の一部をも
透明体又は半透明体で形成して内部の液体を観察可能と
なるようにしても良い。
【0048】続いて、本実施の形態に係るバルーン・ポ
ンプの動作について説明する。移送しようとする液体が
収容された液体容器26に移送管22の吸引口24を浸
し、移送目的位置にある液体容器27内に移送管23の
吐出口25を配置する。また、ステッピング・モータの
回転量の指示又は必要ならば前記調節ねじ部48を微調
節して1回の移送量を設定する。この移送量の調節は、
CPU、メモリ、D/A等を用いて、操作者の指示によ
って電気的に自動的に行うようにしても良い。真空ポン
プ31を駆動させることによって、パイプ30及び通気
孔29を介して前記容器13内の密閉空間28内にある
空気を除去することによって、真空容器13内部を略真
空状態にして、前記弾性管12に負圧を及ぼす。尚、真
空容器13内の気圧は、前記弾性管12内の圧力よりも
十分に低圧であれば良く、必ずしも真空でなくても良
い。
【0049】すると、包囲壁14は通気性をもつ部材で
形成されているので、包囲壁14内部にある空気も包囲
壁14の孔を通して排気され、前記弾性管12は、弾性
管12内の内部圧力によって膨張し、包囲壁14及び押
圧部16に剥離可能に密着し、弾性管12の形状は包囲
壁14及び押圧部16の内面形状に従って変形されるの
で一定の形状を保つ、即ち、定形的に保持される。同時
に前記容器13内に設けられた吸引口24側の一方向弁
15aが開放され、吸引口24から該弾性管12内に液
体が吸引される。
【0050】次に、前記モータ34を駆動させ、該モー
タ34の回転軸38の回転を回転伝達系39によってボ
ールねじ駆動部35に伝えてボールねじ駆動部35を回
転運動させる。すると、該ボールねじ駆動部35の並進
運動は規制されているので、ボールねじ駆動部35の回
転によって、それに螺合する前記ボールねじ33は並進
駆動される。この並進運動によって該ボールねじ33は
その下端が弾性的に当接している前記ロッド頭部37を
介して前記ロッド16aを押し、前記押圧部16を前記
筒状壁14bに沿って摺動させ前記包囲壁14に設けら
れた前記開口部14aを覆いつつ該包囲壁14の内部に
進入する。これによって、該弾性管12に保持された液
体のうち指示された容量分押圧される。
【0051】その押圧の際、吸引口24側の一方向弁1
5aが閉塞し、吐出口25側の一方向弁15bは開放さ
れ、前記弾性管12内に吸引された液体の内前記容量分
が前記移送管23を通って前記吐出口25から吐出され
る。尚、押圧の際、容器13内の密閉空間28内が略真
空状態に減圧されている。そのため、該弾性管12は通
気性のある包囲壁14に剥離可能に密着して定形性を維
持しつつ下降するので定量性が高い。
【0052】次に、ステッピングモータ34の回転軸3
8を逆回転させると、前記ボールねじ33は押圧時と逆
に弾性管12から離間する方向に並進移動する。する
と、ばね44によって付勢されているロッド16aは、
ばね44の弾性力によって弾性管12から離間する方向
に移動し、前記押圧部16が弾性管と接触する押圧面
は、包囲壁14の位置迄戻る。その際、一方向弁15a
が開放され、一方向弁15bは閉塞されて、新たな液体
が移送管22を通って、弾性管12内に流入する。
【0053】以上の過程を繰り返すことによって、液体
容器26に貯溜された液体を吸引口24から吸引して、
液体容器27に移送することができる。尚、弾性管12
内は、吸引口側から吸引した液体を上方向から、吸引口
側の下方向へ移送するようにしているので、弾性管12
内の液体は、液体容器26内にある液体がなくなって吸
引口24が開放されると、吐出口側の一方向弁15bを
通って、重力及び大気圧の作用によって残留無く移送す
ることができる。
【0054】さらに、前記真空ポンプ31を逆に回して
前記容器13内の密閉空間28に空気を逆流させて弾性
管12を加圧して、弾性管12の容積を0にするまで潰
して絞るようにすれば、より完全に残留なしに液体を移
送することができる。尚、以上の例では、前記弾性管
は、円筒状のものを用いたが、該場合に限られることな
く、角筒状、その他の形状のものであっても良い。
【0055】続いて、第二の実施の形態に係るバルーン
・ポンプについて図4に基づいて説明する。本実施の形
態に係るバルーン・ポンプ51は、弾性管を含む液体通
路を1本だけ用いた第一の実施の形態に係るバルーン・
ポンプと異なり、1つの真空容器53を用いて、弾性管
を含む液体通路を複数並列に配したものである。
【0056】本実施の形態に係るバルーン・ポンプ51
では、図4に示すように、複数の液体通路が貫通し、内
部に複数(この例では7個)の弾性管(図示せず)が配
列された真空容器53を有し、各弾性管と継手19b1
〜19b7 を介して接続された移送管221 〜227
231 〜237 を有するものである。
【0057】前記容器53内の複数の弾性管には、各々
押圧手段としてロッド16a1 〜16a7 が設けられ、
ロッド16a1 〜16a7 の他端には、ロッドの到達範
囲を調節して、押圧部(図示せず)の包囲壁(図示せ
ず)内への進入の深さを調節可能とする調節ねじ部48
1 〜487 が設けられている。さらに、調節ねじ部48
1 〜487 の下方のロッド16a1 〜16a7 外周には
ばねが嵌められ押圧部を弾性管の外方向に付勢してい
る。
【0058】さらに、該バルーン・ポンプ51には、前
記調節ねじ部481 〜487 の上方に沿ってレールが設
けられた支持棚60が前記容器53に固定されて設けら
れている。該支持棚60には、前記調節ねじ部481
487 に沿って移動可能な移動体56が前記レール上に
載置されている。該移動体56は、ステッピング・モー
タ54によって伝達機構55を介して回転駆動されるス
ライド駆動軸59によって並進移動する。該スライド駆
動軸59は螺刻され、該スライド駆動軸59に移動体5
6が螺合するものである。該移動体56には電磁石57
が設けられ、該電磁石57には、磁場の発生除去に応じ
て進出後退する押圧棒58が設けられ、別個に設けたス
イッチやキーボード又はマウス等により指示された前記
調節ねじ部481 〜487 の直上に移動体56を移動さ
せ各ロッド頭部を押圧して、指定された容器から容器に
液体を移動させる。
【0059】これによって、1つの電磁石等の駆動部を
移動させることによって複数の弾性管を駆動させるよう
にしているので、装置がコンパクトで且つ安価に作成す
ることができる。
【0060】尚、以上の例では、1つの移動部を移動さ
せることによって、複数の弾性管を押圧駆動するように
したが、移動体を設けずに、各弾性管毎に駆動部を設け
て押圧駆動するようにしても良い。または、移動部を複
数設けて押圧駆動するようにしても良い。また、駆動部
は、必ずしも電磁石を用いて押圧するものに限られず、
前述したボールねじや、カム機構等の機構によって駆動
するものであっても良い。
【0061】以上の例では、複数の弾性管を並列に配し
たが、直列に配して順次駆動したり、縦横マトリクス状
に配置したり、3次元マトリクス状に配置するようにし
ても良い。本実施の形態では、1つの容器内に複数の弾
性管を収容して、処理を行うことができるので、装置構
成を簡単化するとともに、装置をコンパクトにして省空
間を達成でき、また、安価に製造することができる。
【0062】続いて、第三の実施の形態に係るバルーン
・ポンプを図5に基づいて説明する。尚、前述した図面
に示された符号と同一の符号のものは同一のものを表す
ので説明を省略する。本実施の形態では、バルーン・ポ
ンプの開閉手段と押圧手段との動作を1つのステッピン
グ・モータ34によって連動させるようにしたものであ
る。
【0063】本実施の形態に係るバルーン・ポンプで用
いるボールねじ85の一端は、ステッピング・モータ3
4の回転軸38の回転をタイミングベルト等の回転伝達
系39を介して回転駆動されるプーリ83aが同心に設
けられ他端は軸受84で支えられている。該ボールねじ
85の中間には、3種類のピッチ及び螺子向きをもつボ
ールの無限循環の転走路が設けられている。
【0064】第1種部分85aには、回転運動が規制さ
れ並進運動のみが許されるナット部77が螺合してい
る。ナット部77には、弾性管72の吸引口側の流路の
開閉を行うため該流路を潰して閉じる大きさ又は形状を
もつロッド16bが連結するロッド頭部37bに当接し
て押圧する押圧棒86が取り付けられている。第2種部
分85bには、第1種部分85aと同一向きでより大き
いピッチをもつ転走路が軸方向に沿って所定の長さに渡
り設けられている。該ピッチは前記ボールねじ85の往
復運動の運動幅が前記第1種部分85aに比較して大き
くなるように設定されている。これは流路の開閉よりも
押圧部16の押圧距離が長いからである。
【0065】該第2種部分85bには、回転運動が規制
され並進運動のみが許されるナット部78が螺合してい
る。ナット部78には、弾性管72を押圧するロッド1
6aが連結するロッド頭部37aに当接して押圧する押
圧棒87が取り付けられている。第3種部分85cに
は、第1種部分85aと同一のピッチで逆向きの転走路
が軸方向に沿って前記第1種部分と同じ長さに渡り設け
られている。該第3種部分85cには、回転運動が規制
され並進運動のみが許されるナット部79が螺合してい
る。ナット部79には、弾性管72の吐出口側の流路の
開閉を行うため該流路を潰して閉じることのできる大き
さ又は形状をもつロッド16cが連結するロッド頭部3
7cに当接して押圧する押圧棒88が取り付けられてい
る。ロッド16b及びロッド16cは、閉塞時におい
て、ロッド16b及びロッド16cが嵌合する溝75
b,75cが設けられ、閉塞を完全なものとしている。
【0066】各第1、2、3種部分のピッチや、前記
「所定の長さ」は、動作距離の他、ステッピング・モー
タの能力やばね44a,44b,44cのばね定数、並
進運動体やボールねじの重量等に依存して定められる。
前記押圧棒86、87、88は、シャフト76に固定さ
れた支持部材80、81、82によって回転運動を規制
しつつ並進運動可能に摺動自在に支持している。尚、前
記ボールねじ85の第1種部分85a,第2種部分85
b,第3種部分85cは1つのボールねじ85に一体に
形成しても良いが、別体に形成されたボールねじを接合
して1本のボールねじに組み合わせても良い。
【0067】続いて、本実施の形態に係る動作について
説明する。最初に、真空容器73内の空気を抜き、真空
容器73内を負圧にして前記包囲壁74に弾性管72を
密着させる。その後、ステッピング・モータ34を駆動
し、その回転軸38の回転を回転伝達系39を介して例
えばプーリ83に伝達する。ボールねじ85は回転運動
のみを可能とするように軸受84等によって拘束されて
いる。
【0068】すると、第1種部分85aに螺合するナッ
ト部77は図面右方向に並進移動し、第2種部分85b
に螺合するナット部78は図面右方向に並進移動し、第
3種部分85cに螺合するナット部79は、前記ナット
部77と同一距離分を図面左方向に並進移動する。した
がって、押圧部16を弾性管72に押圧させる際に、吸
引口側の流路が閉塞し、吐出口側の流路が開放されるの
で、弾性管72内の液体は吐出口側の流路を通って弾性
管72から流出されることになる。
【0069】一方、ステッピング・モータ34の回転を
前述の回転方向と逆方向に回転駆動すると、前記ボール
ねじ85を含む機構は、前述した場合とすべて逆方向に
動作することになる。即ち、ナット部77及びナット部
78は図面左方向に移動し、ナット部79は図面右方向
に移動する。すると、ロッド16a,16bは設けられ
たバネの弾性力によって、非押圧状態に復帰し、弾性管
72から押圧力が除去された状態で、吸引口側の流路が
開放され、吐出口側の流路が閉塞されて、吸引口側から
液体が弾性管72内に流入することになる。
【0070】本実施の形態によれば、共通のステッピン
グ・モータを用いて、開閉手段と押圧手段とを駆動させ
ているので、構造を簡単化することができるとともに、
動作が連動しているので、制御に信頼性がある。
【0071】また、本実施の形態の変形例として、開閉
手段に係る部分、即ち、第1種部分及び第3種部分と、
押圧手段に係る部分、即ち第2種部分を分離して、別個
のボールねじ及び別個のモータを用いて、同一周期で異
なる時間位相差を設けて駆動するようにすれば、より精
度の高い制御を行うことができる。
【0072】続いて、第四の実施の形態に係るバルーン
・ポンプを図6に基づいて説明する。尚、前述の図面と
同一符号のものは同一のものを表すので説明を省略す
る。図6に示すように、本実施の形態に係る流体移送系
は、第一の実施の形態に係るバルーン・ポンプ11と異
なり、移送すべき液体と内面で接触する肉薄のテフロン
系のゴム等で鍋状に形成された弾性管92を含む液体通
路を有する。該弾性管92を含む液体通路は容器93に
穿設された貫通孔17a,17bを通り該容器93を上
下方向に貫通する。
【0073】該容器93内には、前記弾性管92の外面
を前記非変形状態の前記鍋状の弾性管92の原体積より
大きい容積で包囲する包囲壁94を有する。前記包囲壁
94は、前記弾性管92の肉厚より十分小さい孔をもつ
多孔性部材等で形成され通気性を有する。該包囲壁94
は、例えば、プラスチック等の合成樹脂、金属等の非可
撓性部材で形成される。
【0074】包囲壁94の鍋蓋にあたる壁面には、弾性
管92の押圧用の開口部94aが設けられている。該開
口部94aの周縁で包囲壁94の外側には、該開口部9
4aを囲み弾性管92へ押圧部96を導くための筒状壁
94bが設けられている。本実施の形態では、該押圧部
96が弾性管92に接触する押圧面は前記包囲壁94の
鍋底の球面に略密接する形状に形成され、押圧部96が
カム99に押されて図面上、最左端に押された場合にそ
の間の隙間をなるべく小さくするようにしている。これ
によって、弾性管92は押圧部96と包囲壁94の底に
挟まれて、残留する液体の容量を小さくすることができ
るので、最終的にバルーン・ポンプ内に残留する液体を
排除しやすい。
【0075】前記容器93内には、前記弾性管92を外
側から押圧するために用いるカム99が前記押圧部96
の押圧棒96aの一端(他端は押圧部96に固定されて
いる)に近接して設けられ、容器93の外に設けられた
モータ95によって回転軸97を介して回転駆動され
る。該回転軸97の他端は容器壁に設けられた軸受98
に支持されている。カム99は、前記押圧棒96aに押
圧力を加える領域と、非押圧状態にある領域とを有する
ようにカム99の径を形成する。
【0076】前記真空容器93には、押圧棒96aを往
復運動可能に支持する孔、及び、カムの回転軸97が貫
通する孔が設けられて、押圧棒96aの動きを規制する
支持部96cが固定して設けられている。押圧棒96a
の前記一端の近傍に押圧部96を弾性管92から離れる
方向に付勢するばね96bが嵌められ、該ばね96bが
押圧棒96aの一端にある接触部96dと前記支持部9
6aとの間に挟まれて設けられている。尚、前記押圧部
96aに前述したようにねじを設けることによって、押
圧部96の進入距離、従って、押圧部96によって吸引
吐出される液量を調節するようにさせることができる。
【0077】続いて、本実施の形態に係るバルーン・ポ
ンプの動作について説明する。移送しようとする液体が
収容された液体容器26に移送管22の吸引口24を浸
し、移送目的位置にある液体容器27に移送管23の吐
出口25を配置する。真空ポンプ31を駆動させること
によって、パイプ30及び通気孔29を介して前記容器
93内の密閉空間28内にある空気を除去することによ
って、容器93内部を略真空状態にして、前記弾性管9
2に負圧を及ぼす。
【0078】すると、包囲壁94は通気性をもつ部材で
形成されているので、包囲壁94内部にある空気も包囲
壁94の微小孔を通して排気され、前記弾性管92は、
弾性管92内の内部圧力によって膨張し、包囲壁94に
剥離可能に密着し、弾性管92の形状は包囲壁94の内
面形状に従って変形され、その状態が一定の形状を保
つ、即ち、定形的に保持される。すると、同時に前記弾
性管92に設けられた一方向弁15a,15bのうち、
吸引口24側の一方向弁15aが開放され、吸引口24
から弾性管92内に液体が吸引される。
【0079】次に、前記モータ95を駆動させ、前記カ
ム99を回転駆動させる。カム99の回転によって、前
記押圧部96は押圧棒96aを介してカム99によって
押圧され、前記弾性管92方向に突出し該弾性管92を
押圧する。これによって、吸引口24側の一方向弁15
aが閉塞し、吐出口25側の一方向弁15bが開放さ
れ、弾性管92内に吸引された液体は吐出口25に向か
って移送される。
【0080】前記カム99が回転して押圧が除去される
と、前記押圧部96は前記ばね96bによって原状に復
帰するとともに、常時負圧が及ぼされている前記弾性管
92も膨張するように付勢されているので、押圧部96
の戻りに従って原状に復帰する。以上の過程を繰り返す
ことによって、予め定めた量の液体を液体容器26から
液体容器27に移送することができる。尚、以上の例で
は、1本の弾性管を用いた場合について説明したが、こ
の例に限られず、弾性管を並列又は直列に配して同時に
又は順次駆動するようにしても良い。
【0081】続いて、第五の実施の形態に係るバルーン
・ポンプ101について図7に基づいて説明する。尚、
前述した図面に示された符号と同一の符号のものは同一
のものを表すので説明を省略する。本実施の形態では真
空容器103内の液体通路が一体に形成されたものであ
り、一方向弁の機能は、真空容器103内にある前記弾
性管102の両端近傍の細径部分を、弾性管102を押
圧するためのカム109cに連動したカム109a,1
09bによって外側から通路を押圧することによって行
わせるものである。
【0082】本実施の形態では、カム109a,109
b,109cは回転軸106を共有し、容器103の外
側に設けられたモータ(図示せず)によって回転駆動さ
れる。軸106の他端は容器103に設けられた軸受9
8に支持されている。カム109a、109bは、弾性
管102の流路の開閉用のためにばねで原状に復帰する
ように付勢された各々吐出口側と吸引口側に設けられた
栓105a、105bを押圧するものである。カム10
9cはカム109a,109bの中間位置に設けられ、
包囲壁104に設けられたダイアフラム(・スプリン
グ)105cを押して、ダイアフラム105cを凹ませ
て弾性管102を押圧するものであり、力を加えない状
態ではダイアフラム105cは膨らんだ状態に復帰す
る。液体を移送する場合には、吸引側のカム109aの
流路開放時にはカム109cは非押圧状態になり、吐出
側のカム109bは流路を閉塞する必要がある。また、
吸引側のカム109aの流路閉塞時には、カム109c
は押圧状態となり、吐出側のカム109bは流路開放状
態となる。
【0083】図7(c)は、各カム109a,109
b,109cに向かい合う包囲壁104を示す図であ
る。尚、図中符号107aは受口、107bはニップル
であるが、これらを設けずに、弾性管及び移送管を含め
た液体通路を一体に形成しても良い。この場合には、移
送管の部分は真空容器103内の弾性管の部分よりも変
形しにくいように肉厚に形成される。本実施の形態に係
るバルーン・ポンプでは、弾性管102への加圧、開閉
がすべて弾性管102の外部から加えることによって行
うことができるので、ポンプに使用する弾性管の製造が
容易であり、従って安価に提供することができる。さら
に吸引口からバルーン・ポンプを通り吐出口までを1本
の弾性管で製造することができるので、容易に、安価
に、且つ液漏れない信頼性のある液体の移送を行うこと
ができる。
【0084】第六の実施の形態に係るバルーン・ポンプ
の制御系111を図8に示す。同図に示すように、本実
施の形態に係るバルーン・ポンプ制御系111は、メモ
リ113に格納されたプログラムに基づいて種々の論理
的処理を行うCPU112と、種々のデータを格納する
メモリ113と、キーボード、マウス、タッチボード若
しくはスイッチの押下若しくは操作、CDROM若しく
はフロッピーの装着、又はマークシートの読み込み等に
よる種々のデータの入力又は指示等の種々の操作を行う
操作部114とを有する。
【0085】また、本制御系111は、操作内容や、種
々の指示内容、状況を表示する表示部115と、種々の
データや指示の送信又は受信を行う通信部116と、デ
ジタル・アナログ変換器118a〜120a,124b
と、アナログ・デジタル変換器121a〜124aと、
負圧が及ぼされる密閉空間を内部にもつ容器内に配置し
た複数の弾性管(図示せず)に押圧を加えるために、例
えば、1個設けられたボールねじによって駆動部が設け
られた移動体を移動させるためのスライド駆動部118
とを有する。
【0086】さらに、本制御系111は、前記ボールね
じを回転駆動するためのステッピング・モータ119
(尚、1回の押圧による移送容量が定まっている場合に
は通常の直流モータ等でも良い)と、前記容器内を負圧
にするための真空ポンプ120と、指示された移送液量
を精密に調節等のために、液体、容器又は弾性管内の温
度を計測する温度センサ121と、容器内の気圧又は大
気圧を計測する圧力センサ122と、例えば、前記液体
容器内の液面を検出する液面センサ123と、前記バル
ーン・ポンプを含む液体移送装置の吸引口、吐出口若し
くは容器又は両者を輸送する輸送手段124とを有す
る。輸送手段124として、例えば、前後方向に移動可
能なステージ上に設けられた左右方向及び上下方向に移
動可能な装置によって実現することができる。
【0087】続いて、本実施の形態に係る制御系111
の動作について説明する。操作者は、前記操作部114
から、バルーン・ポンプによって移送しようとする液体
が収容されている液体容器、移送目的位置にある液体容
器を指定する。各液体容器位置は予めメモリ113内に
その容器識別番号とともに記憶させておき容器識別番号
を指定するようにしても良い。また、操作者は移送しよ
うとする液体の種類、液量を指定する。本制御系111
では、液体の種類に応じて、予め、その液体の物性、例
えば粘性や、比重、揮発性の有無等の物質データが前記
メモリ113に記憶されているので、前記操作部114
から、そのつど入力させる必要はない。
【0088】また、どの装置を用いるかとか、移送速度
等の装置に関する装置データ、さらには、処理の流れに
関するデータとか、定量性に関しどの程度の許容範囲の
要求か、単なる1か所から1か所への移送か、1か所か
ら複数箇所への移送か、複数箇所から1か所への移送
か、これらの組み合わせか、又は測定処理等の他の処理
との組み合わせか等の処理内容を表す処理データを指定
する。すると、前記CPU112は、入力された処理デ
ータ及びメモリ113に格納されているプログラム・デ
ータや他のデータに基づいて、複数のバルーン・ポンプ
のうちのどれを使用するか、またはどういう順序で使用
するのか、その時のステッピング・モータの回転量、押
圧量、許される精度範囲、液容量速度を解析する。
【0089】この解析は、例えば、効率性を考えて、な
るべく処理全体が最短時間で終了するようにバルーン・
ポンプの使用順番等を設定する。複数の液体の移送を行
う場合には、1つの液体の移送が終了すると、洗浄液を
何回か移送して洗浄した後に、次の液体の移送を行うよ
うに設定する。また、複数のバルーン・ポンプには、定
量の高精度のものから低精度であるが効率の良いもの等
を用意して、要求に応じて選択して用いるようにしても
良い。
【0090】また、本制御系では、操作者が操作部11
4から、装置データを入力して、加圧量や負圧量を定め
るだけでなく、圧力センサ122や温度センサ121に
応じて設定することもできる。前記CPU112の解析
手段の解析結果に基づいて、実行指示手段は実行指示を
各部分に対して行う。まず、複数のバルーン・ポンプの
中から、要求精度にあい且つ不使用状態にあるバルーン
・ポンプに、スライド駆動部118を用いて、ボールね
じ等の駆動部を配置するように移動を指示する。
【0091】次に、輸送手段124に対し、該バルーン
・ポンプに接続された移送管の先端についている吸引口
を指定された移送対象の液体が収容されている液体容器
内に移動させ、移送目的位置にある液体容器内に吐出口
を移動する指示を行う。その際、該輸送手段124は、
吸引口に設けられた液面センサ123によって液面を検
知し、吸引口を液面の下に位置させるように制御され
る。
【0092】尚、バルーン・ポンプに接続されている前
記移送管の長さは、全容器間の最長の間隔を結ぶことが
できる長さが用意されているものとする。さらに、前記
CPU112は、指示された液体の種類、1回の吸引・
吐出による液体の移送量、移送すべき全液量、又は、前
記温度センサ121によって検知された液体等の温度、
圧力センサ122によって検知された圧力に応じて、前
記モータの回転量の指示、及び真空ポンプ120への圧
力の大きさを指示又は設定する。
【0093】以上の準備が完了すると、処理を開始させ
る。その際、前記液面センサ123によって、吸引口は
常に液面の下に潜るように位置制御がされる。CPU1
12は、前記ステッピング・モータ119の駆動状況
や、移送目的位置に設けた液量計によって常に移送され
る液量を監視し、目的の移送量を達成した場合には、駆
動を停止させる。または、液体容器から液体容器への全
液体の移送の場合には、バルーン・ポンプ内の残留液体
を絞り出すために例えば、前記真空ポンプ120の逆駆
動を指示して弾性管を加圧させるようにしても良い。
【0094】続いて、第七の実施の形態について説明す
る。図9に示すように、本実施の形態に係るバルーン・
ポンプ131は、押圧手段として、皿状の押圧部136
をもち、ボールねじ等(図示せず)により駆動される押
圧棒133によって押圧される。該実施の形態では、弾
性管132を囲む包囲壁134の底部の形状は、前記皿
状の押圧部136の押圧面の曲面に適合する形状に形成
され、該包囲壁134の上部は、該押圧部136の押圧
棒133及び板状部材135a,bが嵌入可能な開口部
が設けられている。非押圧状態にある該押圧部136の
上側で包囲壁134の開口部周縁に設けた軸支部138
a,138bで軸支された板状部材135a,135b
が載置されている。該軸支部138a,bにはトーショ
ン・スプリング(ねじりばね)が設けられ、前記板状部
材135a,bを、該軸支部138a,bを中心として
図面の下方向に弾性的に付勢されている。
【0095】次に、本実施の形態に係るバルーン・ポン
プ131の動作を説明する。非押圧状態では、前記板状
部材135a,bの端部が、押圧部136の上平面に接
触載置されている。押圧部136が弾性管132の押圧
を開始すると、押圧部136が弾性管方向に下降し、下
方向に付勢されている板状部材135a,bもその一端
が押圧部136の下降に伴って下降する方向に前記軸支
部138a,bを中心として回転する。この板状部材1
35a,bの存在によって、押圧された弾性管132が
押圧部136の裏側にまで膨張することによって進入す
ることによる不規則な変形や、押圧部136の摺動によ
る無理な力が弾性管132にかかることを防止すること
になる。尚、板状部材等の形状、個数、取付け位置等
は、本実施の形態に限られることはなく、板状部材を4
枚取り付けて、前記押圧部の上面を完全に覆うようにす
れば、より効果は高いことになる。
【0096】さらに、第八の実施の形態に係るバルーン
・ポンプ151について説明する。図10(a)に示す
ように、本実施の形態に係るバルーン・ポンプ151
は、第一の実施の形態と同様にボールねじ165で押圧
部16を駆動するものであるが、第一の実施の形態と異
なり、一方向弁として電気信号により電磁石を駆動して
開閉を行う電磁弁155a,bを用いている。本実施の
形態に係るボールねじ165には、軸心を同一にしてボ
ールねじ165に回動可能に支持された環状部材162
を有し、該環状部材162の外側面には、導電性の金属
針163が突出している。該金属針163の回動による
移動範囲内には、該金属針163と同時接触可能な各々
2個の端子164a,bが設けられたスイッチ161
a,bが固定して設けられている。該金属針163が接
触することによって前記端子間が電気的に接続し、電磁
弁155a又は電磁弁155bを駆動して閉成すること
になる。
【0097】ここで、前記環状部材162は、図10
(b)に示すように前記ボールねじ165に、所定の動
摩擦係数及び静摩擦係数をもって嵌合している。ここ
で、「所定の」とは、ボールねじが回転駆動されると、
ボールねじの回転に伴って環状部材がボールねじと一体
となって回転するが、環状部材の回転を阻止する外力が
加わると環状部材は停止するが、それによってボールね
じの回転続行が妨害されない場合をいう。これは、一般
に静摩擦係数が動摩擦係数よりも大きいので実現可能な
条件である。
【0098】次に、本実施の形態に係るバルーン・ポン
プ151の動作について説明する。非押圧状態にある押
圧部16に対し、モータ34を駆動させ前記ボールねじ
165を回転させる。すると、該ボールねじ165に螺
合する螺合部78が移動して、押圧部16がロッド16
aを介して押圧方向に移動する。該押圧部16の移動と
ともに、該ボールねじ165に回動可能に軸支された環
状部材162がボールねじ165との間の摩擦係数によ
り、ボールねじ165と一体に回転を開始する。所定角
度回転すると、該環状部材162の外側面に突出した前
記金属針163が、該金属針163の回転による通過範
囲内に設置されたスイッチ161bに接触するととも
に、金属針163及び環状部材162の回転は阻害され
て停止する。環状部材162の回転が停止しても、該環
状部材162が所定の摩擦係数をもって軸支されている
ボールねじ165の回転は何ら阻害されることなく(動
摩擦係数は静摩擦係数よりも小さい)回転し続けること
になる。
【0099】金属針163のスイッチ161bへの接触
によって、スイッチ161bに設けられた両端子164
bが、金属針163を介して電気的に導通して前記電磁
弁155bを閉成させることになる。一方、吐出口側の
電磁弁155aには、金属針163が接触していないの
で開成状態になっている。これによって、弾性管72内
に吸引された液体が吸引側に戻ることなく吐出口側に移
動することになる。
【0100】その後、前記モータ34を逆回転駆動させ
て、ボールねじ165を逆回転させる。すると、該ボー
ルねじ165に螺合する前記螺合部78を逆移動させ、
押圧部16をロッド16aを介して押圧除去方向に移動
させる。該押圧部16の逆移動とともに、該ボールねじ
165に回転可能に軸支された環状部材162がボール
ねじ165との間の摩擦係数により、該環状部材162
の該側面に突出した金属針163が接触したスイッチ1
61bから離間してボールねじ165と一体に逆回転を
開始する。しかし、所定角度回転すると前記金属針16
2の通過範囲内で前記スイッチ161bとは別の位置
に、例えば、図10(c)に示すように、軸心を含む平
面に対し面対称位置に設置されたスイッチ161aに接
触するとともに環状部材162の回転が阻害される。
【0101】環状部材162の回転が阻害されても、前
述の場合と同様に、ボールねじ165は回転し続けるこ
とになる。金属針163のスイッチ161aへの接触に
よって、スイッチ161aに設けられた両端子164a
が、金属針163を介して電気的に導通して前記電磁弁
155aを閉成するとともに、金属針163と非接触状
態となったスイッチ161bは、両端子164b間が非
接続状態となって、電磁弁155bを開成状態とする。
これによって液体を吸引側から弾性管72内に吸入する
ことになる。
【0102】以上の動作を繰り返すことにより、吸引口
側から吸入した液体を吐出口側に移動することになる。
尚、本実施の形態では、弾性管に電磁弁を接続しさらに
移送管を接続するようにして弾性管、電磁弁及び移送管
を別体に設けたが、1本の弾性管を用いて、電磁弁の位
置に弾性管の外側から、電磁力により弾性管を押圧する
押圧部材によって弾性管の開閉を行うようにしても良
い。この場合には、接続による継ぎ目がないので、液体
の移送がよりスムーズに確実に行うことができる。以上
説明したように、本実施の形態では、電磁力によって、
ポンプの開閉を行うようにしているので、液体の移送
量、移送タイミングを精密に制御することができるので
より信頼性が高い。
【0103】以上の各実施の形態に係るバルーン・ポン
プの説明では、押圧手段は、ボールねじによる駆動又は
カム機構による駆動のみを述べてきたが、このような場
合に限られることなく、例えば、モータの回転軸と回転
可能に連結された、クランク機構を用いて回転運動を往
復運動に変換して、前記弾性管に押圧力を加えるように
しても良い。その際、プランジャによって押圧しても良
いし、ダイヤフラムを用いて撓みによって押圧しても良
い。
【0104】以上説明した各実施の形態において、バル
ーン・ポンプの弾性管と、吸引口又は吐出口と接続され
た移送管とを一体に形成したものを用いた場合には、さ
らに、管の接続がないので、液漏れや、外部物質の混入
を効果的に防止することができるとともに、構造を簡素
化して安価に作成することができる。
【0105】また、押圧手段のみならず、開閉手段によ
る開閉についても、弾性管の外部から押圧力を加えるこ
とによって行うようにすれば、一方向弁を不必要とし、
構造を簡素化することができて安価に作成することがで
きる。さらに、前記容器開閉自在に設け、前記弾性管を
該容器及び前記包囲壁に対して着脱自在に設けることに
よって、弾性管のみを入れ換えることによって、洗浄な
しに種々の処理を行うことができるようにすることがで
きる。即ち、使い捨ての弾性管を用いるようにしても良
い。
【0106】特に、吸引から吐出までを一体の弾性管で
形成することによって、扱いやすい、バルーン・ポンプ
を提供することができる。さらに、バルーン・ポンプと
分注器とを組み合わせることによって種々の処理を液の
運搬を行うことなく、液を移送することができる。
【0107】これらの実施の形態は、本発明をより良く
理解させるために具体的に説明したものであって、別態
様を制限するものではない。したがって、発明の主旨を
変更しない範囲で変更可能である。例えば、以上の説明
では、流体として液体について説明したが、気体につい
ても適用可能である。また、弾性管を円筒状に形成した
が、該例に限られることなく、種々の形状に形成するこ
とができる。また、押圧手段も前述した機構に限られる
ものではない。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように、第一の発明又は第
二十三の発明は、前記流体通路の弾性体の部分の外側か
ら負圧を及ぼして該弾性体に定形的な変形を引き起こす
とともに加圧するものである。したがって、変形容易な
弾性体に定形性を付与し、常に一定の原形に復帰させる
ようにして、流体の移送の定量について高い精密度を確
保することができ、且つ信頼性の高い流体の移送処理を
することができる。
【0109】さらに、弾性管を用いることによって、流
体を覆っているので、流体に接触する部分に接合や隙間
がなく、微小な流体の残留を防止することができ、クロ
スコンタミネーションを防止することができる。また、
負圧によって弾性体を原状に復帰させるようにしている
ので、応答性が良く、しかも不連続的又は連続的に流体
の移送をすることができる。また、応用範囲が広い。
【0110】第二の発明は、第一の発明において、前記
弾性管の押圧箇所を含む領域に常時負圧を及ぼすことに
よって、押圧時を除き該弾性管を定形的に保持するよう
にしたものである。したがって、第一の発明で奏する効
果の他に、弾性管の定形性を確実に保つことができる。
また、弾性管を用いるので安価に且つ容易に製造するこ
とができる。
【0111】第三の発明は、第一の発明又は第二の発明
において、通気性があり且つ定形性のある包囲壁を有
し、包囲壁に弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧
時を除き弾性管を定形的に保持するものである。したが
って、第一の発明又は第二の発明で奏する効果の他に、
不定形な変形を容易に起こす弾性管を包囲壁に剥離可能
に密着させ、その形状を容易に且つ確実に保持されるの
で、高い定形性が得られ且つ簡単な構造で安価に製造す
ることができるので、高精度の定量性を得ることができ
る。また、通気性のある包囲壁を用いているので、弾性
管の原状復帰が早く、応答性が良く、従って、不連続的
又は連続的に流体の移送を行うことができる。複数の流
体通路を前記容器内に集積して設けることによってマル
チ制御が可能であり、構造を簡略化、コンパクトに製造
することができて省空間に寄与する。
【0112】第四の発明は、第三の発明において、前記
定形的保持手段は、前記包囲壁に開口部に押圧部が嵌挿
され包囲壁で囲まれた内部に進入することによって弾性
管を押圧するものである。これによって、第三の発明で
奏する効果の他に、簡単な構造で定形性を保ちつつ弾性
管を押圧することができるので、安価且つ簡単に製造す
ることができるとともに、より高精度の定量の制御をす
ることができる。
【0113】第五の発明は、第一の発明又は第二の発明
において、定形的変形可能な包囲壁を有し、該包囲壁に
該弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧時を除き該
弾性管を定形的に保持し、前記包囲壁の壁面を動かして
前記弾性管を押圧するものである。したがって、第三の
発明で奏する効果の他に、包囲壁自体を動かすので、弾
性管を密着させたまま押圧することができるので、応答
性が高く且つ、定形性がより高い。
【0114】第六の発明は、第一の発明乃至第五の発明
のいずれかにおいて、前記開閉手段は、前記変形手段と
連動し、前記弾性管を外部から押圧して閉塞し、及び、
該弾性管を外部から押圧を除去し又は負圧により開放す
るものである。本発明によれば、前述した発明で奏する
効果の他に、弾性管に対する変形及び開閉を全て外側か
ら制御することができるとともに、構造が単純で製造が
容易である。また、接合や隙間がないので、流体は、弾
性管にのみ接するようにすることができるので、漏れが
なく流れがスムーズであるとともに、弾性管を交換する
ことによって、種々の流体に対する移送が可能であり汎
用性が高い。また、クロスコンタミネーションを防止す
ることが容易である。
【0115】第七の発明は、第三の発明乃至第六の発明
のいずれかにおいて、前記変形手段の前記容器に、前記
流体通路が貫通する貫通孔に該流体通路を固定する固定
部を設けたものである。これによって、前述した発明で
奏する効果の他、本発明では容器内の弾性管を含む流体
通路部分はその端部で容器壁に固定されるので、弾性管
を容器にしっかりと固定して、弾性管の容積変化の影響
を他部分に及ぼすことがない。
【0116】第八の発明は、第七の発明において、容器
に、流体を移送するための移送管を、容器内を通る流体
通路部分と容器壁近傍で連結する継手を設けたものであ
る。これによって、前述した発明で奏する効果の他に、
種々の移送管を容器内の流体通路と着脱可能に連結し
て、種々の処理を行うことができるので汎用性が高い。
【0117】第九の発明は、第八の発明において、前記
継手は、前記容器壁外側に固定して設けられ前記貫通孔
に設けられたニップル又は受口と、該ニップル又は受口
の周縁をニップル又は受口よりもやや大きな径で囲むと
ともに外側面が螺刻された円筒上のフランジと、該フラ
ンジと螺合するとともに、中央に移送管を通す孔が設け
られ、移送管の端部又はその近傍に固着された鍔に当接
して該鍔を容器壁に密着させる蓋部を有するものであ
る。これによって、簡単な構成で、確実な流体通路の連
結を行うことができ、且つ、気密性の高い容器を安価に
得ることができるとともに、移送管の取付け取り外しが
容易であり扱い易い。
【0118】第十の発明は、第一の発明乃至第九の発明
のいずれかにおいて、前記変形手段は、回転運動を往復
運動に変換するカム機構、ボールねじ機構又はクランク
機構等の変換機構を有するものである。これによって、
前述した発明で奏する効果の他に、簡単な機構で、安価
に製造できかつ信頼性良く流体の移送を行うことができ
る。
【0119】第十一の発明は、第六の発明又は第十の発
明において、前記開閉手段は、前記変形手段と連動する
カム機構、ボールねじ機構等の前記変換機構又は電磁制
御手段によって駆動されるものである。これによって、
前述した発明で奏する効果の他に、弾性管を外部から押
圧することによって開閉を行うので、内部に弾性管等と
別体の弁を接合して用いる必要がなく構造を簡単化し、
安価に製造することができ、且つ弾性管の交換が容易で
ある。また、接合や隙間が生じないので、液体の残量が
なく、定量性に対し精度が高く、また、コンタミネーシ
ョンを有効に防止することができる。さらに電磁制御手
段を用いることによって、開閉動作を確実且つ的確に行
うことができるので信頼性のある制御を行うことができ
る。
【0120】第十二の発明は、第三の発明乃至第十一の
発明のいずれかにおいて、前記容器は、その容器壁に通
気孔が設けられ、該通気孔と接続された真空ポンプを有
するものである。これによって、前述した発明で奏する
効果の他に、容器の密閉空間内を弾性管内の気圧に対し
て十分に低圧に維持することができる。また、真空ポン
プを逆駆動することによって、容器内の圧力を高め、前
記弾性管を加圧して、弾性管内の流体の残留を除去する
ことができる。
【0121】第十三の発明は、第五の発明乃至第十二の
発明のいずれにおいて、前記変形手段の前記包囲壁の一
部壁面を可動にし、前記押圧手段によって該包囲壁を定
形的に、前記弾性管に向かって突出させるものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、押圧
時においても定形性を保つことができるので、定形性が
高く、定量に関して精度が高い。
【0122】第十四の発明は、第三の発明乃至第十三の
発明のいずれかにおいて、前記包囲壁は、合成樹脂、金
属又はセラミックス等の多孔質材、網状体又は1又は2
以上の通孔を設けた通気性部材で形成されたものであ
る。これによって、前述した発明で奏する効果の他に、
通気性とともに包囲壁に剛性を持たせることができるの
で、弾性管を定形的に確実に保持することができる。
【0123】第十五の発明は、第一の発明乃至第十四の
発明のいずれかにおいて、前記弾性管又は弾性体は、化
学的に安定な性質をもつ素材で形成されたものである。
これによって、前述した発明で奏する効果の他に、移送
する流体との間で反応が生じて流体に不純物が混入した
り、流体の移送によって弾性管又は弾性体が破壊された
りせず、信頼性の高い、且つ寿命の長いポンプを提供す
ることができる。
【0124】第十六の発明は、第三の発明乃至第十五の
発明のいずれかにおいて、前記弾性管の前記容器貫通部
分の中央近傍の内外径は、その両端近傍の内外径よりも
大きく形成されたものである。これによって、前述した
発明で奏する効果の他に、弾性管の径の大きさに比較し
て移送量の大きい、高性能で高効率のポンプを提供する
ことができる。
【0125】第十七の発明は、第一の発明乃至第十六の
発明のいずれかにおいて、前記弾性管は、吸入口から吐
出口まで、一体的に形成されたものである。これによっ
て、前述した発明で奏する効果の他に、ポンプをも一体
化された継ぎ目なしの1本の弾性管からなる流体移送装
置を提供することができる。したがって、弾性管の途中
での流体の残留や漏れのない、信頼性のあるバルーン・
ポンプを提供することができる。さらに、弾性管の交換
のみで、洗浄の必要なしに、種々の移送処理を行うこと
ができる。
【0126】第十八の発明は、第三の発明乃至第十七の
発明のいずれかにおいて、前記容器内で且つ前記弾性管
の外側の気圧は、該弾性管が膨張して、その外面が前記
包囲壁に密着する程度に、該弾性管内部の圧力より十分
低く設定されたものである。これによって、前述した発
明で奏する効果の他に、必要最小限の圧力で包囲壁に密
着させることができる。
【0127】第十九の発明は、第一の発明乃至第十八の
発明のいずれかにおいて、前記変形手段による変形に伴
う容積変化量は、前記弾性管に貯溜された流体の吐出又
は移送量に略等しいものである。これによって、前述し
た発明で奏する効果の他に、流体の移送量を精密にコン
トロールすることができる。
【0128】第二十の発明は、第一の発明又は第十九の
発明において、前記変形手段の押圧量を含む加圧量又は
負圧量は可変であって、流体の移送量、流体の移送速
度、流体の種類、流体の物性、気圧若しくは温度等の環
境状況、又は弾性管の形状、物性等に応じて、自動的に
又は操作者によって設定可能なものである。これによっ
て、前述した発明で奏する効果の他に、種々の条件に応
じて柔軟性があり、汎用性のあるバルーン・ポンプを提
供することができる。また、各種のセンサを設けて、自
動的に加圧量又は負圧量を設定することによって、操作
性を向上させることができる。
【0129】第二十一の発明は、第一の発明乃至第二十
の発明のいずれかにおいて、前記弾性管が前記容器に着
脱自在に設けられたものである。これによって、前述し
た発明で奏する効果の他に、使い捨ての弾性管を使用す
ることによって、クロスコンタミネーションのない、信
頼性のある扱いやすいバルーン・ポンプを提供すること
ができる。
【0130】第二十二の発明では、指定手段と、解析手
段と、実行指示手段とを有する。したがって、前述した
発明で奏する効果の他に、種々の条件の下で、流体の移
送を高い精度で行うことができるとともに、自動的に広
範囲の種々の指示又は設定を容易に行うことができるの
で汎用性及び柔軟性に富み扱いやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態に係る全体概略図
【図2】第一の実施の形態に係るバルーン・ポンプの斜
視図
【図3】第一の実施の形態に係るロッドの端部近傍を示
す図
【図4】第二の実施の形態に係るバルーン・ポンプの斜
視図
【図5】第三の実施の形態に係るバルーン・ポンプを示
す図
【図6】第四の実施の形態に係る全体概略図
【図7】第五の実施の形態に係る図
【図8】第六の実施の形態に係るブロック図
【図9】第七の実施の形態に係る図
【図10】第八の実施の形態に係る図
【図11】第一の従来例に係るポンプを示す図
【図12】第二の従来例に係るポンプを示す図
【符号の説明】
11,51,71,91,101,131,151…バ
ルーン・ポンプ 12,72,92,132…弾性管 13,73,93…真空容器(容器) 14,74,94…包囲壁 15a,15b…一方向弁 16…押圧部 16a,16b,16c…ロッド 17a,17b…貫通孔 20…受口 21…ニップル 22,23…移送管 24,25…吸引口、吐出口 26,27…容器 28…密閉空間 29…通気孔 31…真空ポンプ 33,85…ボールねじ 35…ボールねじ駆動部 36…シャフト 39…回転伝達系 40,41…支持部 48…調節ねじ部 56…移動体 57…電磁石 77,78,79…ナット部 85a,b,c…第1、2、3種部分

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移送すべき液体又は気体等の流体と内面
    で接触し、一部又は全体が弾性体で形成された流体通路
    と、 前記流体通路のうち弾性体で形成された部分に外側から
    負圧を及ぼすことによって該部分に定形的な変形を引き
    起こすとともに加圧を及ぼすことが可能な変形手段と、 前記流体通路の開閉を行う開閉手段とを有することを特
    徴とするバルーン・ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記変形手段は、 前記流体通路の一部又は全体を形成する弾性管を押圧す
    る押圧手段と、 前記押圧手段による前記弾性管の押圧箇所を含む領域に
    常時負圧を及ぼすことによって、押圧時を除き該弾性管
    の弾性体部分を定形的に保持する定形的保持手段とを有
    することを特徴とする請求項1記載のバルーン・ポン
    プ。
  3. 【請求項3】 前記変形手段は、前記弾性管を押圧する
    ため、可動の押圧部をもつ押圧手段と、 前記弾性管が一部又は全体に形成された前記流体通路が
    貫通するとともに、該流体通路の外面との間で囲まれた
    密閉空間を、収容した該弾性管内圧力よりも十分低圧に
    維持する容器、及び、該容器内に設けられ、非変形状態
    の該弾性管の原体積よりも大きい容積で通気性をもって
    該弾性管を包囲するとともに、前記押圧部が該弾性管に
    押圧可能に設けられた定形性のある包囲壁を有し、該包
    囲壁に該弾性管の外面を剥離可能に密着させて押圧時を
    除き該弾性管を定形的に保持する定形的保持手段と、を
    有することを特徴とする請求項1又は2記載のバルーン
    ・ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記定形的保持手段は、 前記包囲壁に開口部を設けるとともに、 該開口部には、該開口部を覆いつつ包囲壁で囲まれた内
    部に進入することによって弾性管を押圧する押圧部が嵌
    挿されていることを特徴とする請求項3記載のバルーン
    ・ポンプ。
  5. 【請求項5】 前記変形手段は、 前記弾性管が一部又は全体に形成された前記流体通路が
    貫通するとともに、該流体通路の外面との間で囲まれた
    密閉空間を、収容された該弾性管内の圧力よりも十分低
    圧に維持する容器、及び、該容器内に設けられ、非変形
    状態の該弾性管の原体積よりも大きい容積で該弾性管を
    通気性をもって包囲する定形的変形可能な包囲壁を有
    し、該包囲壁に該弾性管の外面を剥離可能に密着させて
    押圧時を除き該弾性管を定形的に保持する定形的保持手
    段と、 前記包囲壁の壁面を動かして前記弾性管を押圧する押圧
    手段と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載
    のバルーン・ポンプ。
  6. 【請求項6】 前記開閉手段は、前記変形手段と連動
    し、前記弾性管の外部から押圧して該弾性管の流路を閉
    塞し、及び、該弾性管の外部への押圧を除去し又は負圧
    により該弾性管の流路を開放することを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  7. 【請求項7】 前記変形手段の前記容器に、 前記流体通路が貫通する貫通孔に該流体通路を固定する
    固定部を設けたことを特徴とする請求項3乃至6のいず
    れかに記載のバルーン・ポンプ。
  8. 【請求項8】 前記固定部として、 流体を移送するための移送管を、容器内を通る流体通路
    部分と容器壁近傍で連結する継手を設けたことを特徴と
    する請求項7に記載のバルーン・ポンプ。
  9. 【請求項9】 前記継手は、 前記容器壁外側に固定して設けられ前記貫通孔に連通す
    るニップル又は受口と、 ニップル又は受口の周縁をニップル又は受口よりもやや
    大きな径で囲むとともに、外側面が螺刻された円筒状の
    フランジと、 該フランジと螺合するとともに、中央に移送管を通す孔
    が設けられ、移送管の端部又はその近傍に固着された鍔
    を容器壁に密着させて移送管をニップル又は受口と連結
    する蓋部とを有することを特徴とする請求項8に記載の
    バルーン・ポンプ。
  10. 【請求項10】 前記変形手段は、回転運動を往復運動
    に変換するカム機構、ボールねじ機構、又はクランク機
    構等の変換機構を有することを特徴とする請求項1乃至
    9のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  11. 【請求項11】 前記開閉手段は、前記変形手段と連動
    するカム機構、ボールねじ機構等の前記変換機構又は電
    磁制御手段によって駆動されることを特徴とする請求項
    6又は10のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  12. 【請求項12】 前記容器は、その容器壁に通気孔が設
    けられ、該通気孔と接続された真空ポンプを有すること
    を特徴とする請求項3乃至11のいずれかに記載のバル
    ーン・ポンプ。
  13. 【請求項13】 前記変形手段の前記包囲壁の一部壁面
    を可動にし、前記押圧手段によって該包囲壁を定形的
    に、前記弾性管に向かって突出させることを特徴とする
    請求項5乃至12のいずれかに記載のバルーン・ポン
    プ。
  14. 【請求項14】 前記包囲壁は、合成樹脂、金属又はセ
    ラミックス等で製造された多孔質材、網状体又は1若し
    くは2以上の通孔を設けた通気性部材で形成されたこと
    を特徴とする請求項3乃至13のいずれかに記載のバル
    ーン・ポンプ。
  15. 【請求項15】 前記弾性管又は弾性体は、化学的に安
    定な性質をもつ素材で形成されたことを特徴とする請求
    項1乃至14のいずれかに記載されたバルーン・ポン
    プ。
  16. 【請求項16】 前記弾性管の前記容器貫通部分の中央
    近傍の内外径は、両端近傍の内外径よりも大きく形成さ
    れたことを特徴とする請求項3乃至15のいずれかに記
    載のバルーン・ポンプ。
  17. 【請求項17】 前記弾性管は、吸入口から吐出口ま
    で、一体的に形成されたことを特徴とする請求項1乃至
    16のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  18. 【請求項18】 前記容器内で且つ前記弾性管の外側の
    気圧は、該弾性管が膨張して、その外面が前記包囲壁に
    密着する程度に、該弾性管内部の圧力より十分低く設定
    されたことを特徴とする請求項3乃至17のいずれかに
    記載のバルーン・ポンプ。
  19. 【請求項19】 前記変形手段の変形に伴う容積変化量
    は、前記弾性管に貯溜された流体の吐出又は移送量に略
    等しいことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに
    記載のバルーン・ポンプ。
  20. 【請求項20】 前記変形手段の押圧量を含む加圧量又
    は負圧量は可変であって、流体の移送量、流体の移送速
    度、流体の種類、流体の物性、気圧若しくは温度等の環
    境状況、又は弾性管の形状、物性等に応じて、自動的に
    又は操作者によって設定可能であることを特徴とする請
    求項1乃至19のいずれかに記載のバルーン・ポンプ。
  21. 【請求項21】 前記弾性管が前記容器に着脱自在に設
    けられていることを特徴とする請求項1乃至20のいず
    れかに記載のバルーン・ポンプ。
  22. 【請求項22】 流体の種類、移送量、若しくは流体の
    移送位置等の流体に関する物質データ、装置のとるべき
    位置、圧力、移送速度、温度、押圧回数、押圧速度等の
    装置に関する装置データ又は処理内容を表す処理データ
    等を、検知又は入力することによって指定する指定手段
    と、指定された物質データ、装置データ又は処理データ
    を解析する解析手段と、解析結果に基づいて、バルーン
    ・ポンプの各部分に実行を指示する実行指示手段とを有
    することを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれ
    かに記載されたバルーン・ポンプ。
  23. 【請求項23】 弾性管に外部から負圧を及ぼして該弾
    性管を定形的に保持し、該弾性管への加圧を除去すると
    同時に吸引口側の流路を開放し吐出口側の流路を閉塞し
    て該弾性管を定形的に保持された状態にして流体を吸引
    口から吸引し、該弾性管を外部から加圧すると同時に吸
    引口側の流路を閉塞し吐出口側の流路を開放し流体を吐
    出口側に移送する過程を繰り返すことによって流体を移
    送することを特徴とするバルーン・ポンプを用いた流体
    移送方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010189211A (ja) * 2009-02-17 2010-09-02 Seiko Instruments Inc 水素発生装置及び燃料電池システム
JP2011161845A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Konica Minolta Ij Technologies Inc ワイプユニット及び該ワイプユニットを備えたインクジェットプリンタ
CN108252887A (zh) * 2018-02-25 2018-07-06 平果新古贤泵业有限公司 一种摆囊泵

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