JP4109325B2 - 車両用キー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用キー装置に関し、特に、キー側信号授受手段との間で電波信号の授受を行うようにシリンダ錠にシリンダ錠側信号授受手段を構成するコイルを設けた車両用キー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複製キーの使用を防止するための盗難防止装置が種々提案されており、キーとシリンダ錠との間で電気的なコード信号の授受を行うことでそのキーの機械的及び電気的な正否判別を行い、正規のキーであると判断されたら、例えばエンジンを始動可能にするように構成したものが一般に用いられている。これまで、キーに組み込んだ発信器を作動させるための電源を要するものが主流であったが、近年、キーとシリンダ錠との双方にそれぞれコイルを設け、シリンダ錠にキーを差し込んで両コイルを互いに近接させた際に発生する電磁誘導作用を利用することにより、キーの内蔵電池を不要としたものも知られるようになってきた(特公平4−15141号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記形式のキー装置にあっては、例えばキー側またはキーシリンダ側のコイルや信号処理回路などの故障により、電気的なコード信号の授受を行うことができなくなった場合、それらが修理されるまで当該車両を始動、走行させることができず、不便であった。また、例えば車室内に別途コード入力用のテンキーパッドなどを設置し、上記回路等の故障時にこのテンキーパッドから暗証番号(コード)を入力して電気的なコード信号の照合に代えることも考えられるが、部品点数が増加し、組み付け作業が煩雑化するばかりでなく、スイッチ等の増加により、車室内の装置構成が複雑になり、使用者の負担が増加する心配があった。
一方、近年、車両のドアの施錠/解錠を外部送信器からの遠隔操作にて行うキーレスエントリーシステムが普及している。
【0004】
本発明は、上記したような従来技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その主な目的は、キーとシリンダ錠との間で電気的なコード信号の授受を行うことでそのキーの機械的及び電気的な正否判別を行い、正規のキーであると判断されたら、例えばエンジンを始動可能にする車両用キー装置に於て、電気的なコード信号の授受を行うことができなくなった場合でも、その機能を損なうことなく、しかも部品点数や組付け工数の増加や構造が複雑化を伴うことなく電気的なコード信号の照合を行うことを可能にすることにある。本発明者は、近年、車両のドアの施錠/解錠を外部送信器からの遠隔操作にて行うキーレスエントリーシステムが普及していることに着目した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による車両用キー装置は、キー側信号授受手段(トランスポンダ4)と、該キー側信号授受手段との間で電波信号の授受を行うべくシリンダ錠(キーシリンダ5)に設けられたシリンダ錠側信号授受手段(コントローラユニット7の送受信回路7a)と、前記両信号授受手段間での信号授受により、前記シリンダ錠に差し込まれたキーの機械的な正否判断とは別に当該キーの電気的な正否判断を行う第1の照合手段(コントローラ7の制御回路7b)とを有する車両用キー装置であって、当該車両がそのドアの施錠/解錠を外部送信器からの遠隔操作にて行うキーレスエントリーシステムを備え、前記キーレスエントリーシステムは、当該キーレスエントリーシステムの送信器(11)から送信される電気的信号の正否照合を行う第2の照合手段(コントローラ13の制御回路13a)を有し、前記キーが機械的に正規のキーであると判断され、かつ前記第1の照合手段によって電気的な正否判断が行われなかったときには、前記キーレスエントリーシステムの前記第2の照合手段によって前記電気的信号の正否判断を行う。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に基づく好適な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0007】
図1は、本発明が適用された車両用キー装置の構成を示すブロック図である。このキー装置のキー1は、把持部2と、キーシャンク3とを有し、把持部2内にはキー側信号授受手段としてのトランスポンダ4が埋設されている。また、車両側に設けられたキーシリンダ5のキー孔の入口端側を外囲するように、シリンダ錠側信号授受手段の一部をなすコイル6が巻装され、コントロールユニット7に接続されている。このコントロールユニット7は図示されないエンジンを選択的に始動、制御し得るエンジン制御ユニット8に接続されている。また、エンジン制御ユニット8は、後記するキーレスエントリーシステムの車両側受信器に接続されたコントロールユニット13にも接続されている。
【0008】
キー1側に設けられたトランスポンダ4は、アンテナ4aと、このアンテナ4aに電気的に接続された送受信回路4bと、送受信回路4bに接続されたICチップ4cとからなり、両端を丸めた形状で閉じられたガラス管の内部に受容されている(図示せず)。
【0009】
コントロールユニット7内には、キーシリンダ側コイル6と電気的に接続された送受信回路7aと、この送受信回路7aに接続された制御回路7bと、制御回路7bに接続されたメモリ回路7cとが設けられている。また、制御回路7bには、キーシリンダ5に連動する「ON」位置を検出するためのスイッチSWが接続されている。
【0010】
一方、当該車両にはドア、トランクなどの施錠/解錠を外部送信器11からの遠隔操作にて行うキーレスエントリーシステムが構築されている。その受信器12及びアンテナ12aが車両側に設けられている。この受信器12は図示されないドアロック制御装置に接続されると共に上記コントロールユニット7と同様なコントロールユニット13に接続されている。このコントロールユニット13には制御回路13a及びメモリ回路13bが設けられ、制御回路13aは上記検出スイッチSWに接続されている。また、制御回路13aはコントロールユニット7にも接続され、該コントロールユニット7からエンジン制御ユニット8への信号を検出し得るようになっている。
【0011】
このように構成されたキー装置にあっては、キーシリンダ5のキー孔5aにキーシャンク4を差し込み、かつ回転して「ON」位置にすると、スイッチSWが閉じたことが制御回路7bにより検出され、コントロールユニット7が駆動状態になり、送受信回路7aを介してキーシリンダ側コイル6から電波が発信される。この電波をトランスポンダ4内のアンテナ4aが受信すると、電磁誘導作用によってアンテナ4aに起電力が生じる。この電力を直流に変換して送受信回路4b及びICチップ4cに供給し、両回路4b・4cを駆動する。すると、ICチップ4c内に予め記憶されている固有コードに応じた電波信号が、アンテナ4aから発信される。
【0012】
アンテナ4aから発信された固有コード信号がキーシリンダ側コイル6に受信されたら送受信回路7aを介して制御回路7bに入力される。制御回路7bは、メモリ回路7cに予め記憶されているコードと、受信した信号のコードとを比較照合する。そして両者が一致したらコントロールユニット7からエンジン制御ユニット8に許可信号を出力し、エンジンの作動を可能にする。尚、エンジン制御ユニット8は、図示されないスタータ回路や燃料回路やイグニッション回路などをオン状態にする機能を備えている。また、上記コードが不一致の場合には、エンジンの作動を行わないようにする。上記エンジン作動可能状態は、キー1を抜くまで有効であれば良いが、キー1を抜いてから一定時間保持させたり、或いは降車してドアをロックするまで保持するようにしても良い。このようにすれば、キー1を抜いた後に再始動する場合などにコードの比較照合処理を再度行う必要がなくなるので、省電力化に有効である。
【0013】
一方、例えばキー1側送受信回路4b、ICチップ4c、アンテナ4aまたはキーシリンダ5側コイル6、コントロールユニット7のいずれかが故障して上記固有コードの照合ができない場合、即ちキーシリンダ5に差し込まれたキー1が「ON」位置に回転してスイッチSWが閉じたことが検出されたものの、その後コントロールユニット7からエンジン制御ユニット8に許可信号が出力されなかったときには、コントロールユニット13が駆動状態になる。この状態で、例えば図2(a)に示すように、キー1が「ON」位置にあるときに送信器11から施錠/解錠用のコード信号を1回送信し、受信器でこれを受信した後、キー1を「ACC」または「OFF」位置まで戻し、再度「ON」位置に回して施錠/解錠用のコード信号の送受信を行う。この動作を複数回(本例では3回)行うことにより、この受信された信号は制御回路13aに入力される。制御回路13aは、メモリ回路13bに予め記憶されているコードと、入力されたコードとを比較照合する。そして両者が一致したらコントロールユニット13からエンジン制御ユニット8に許可信号を出力し、エンジンの作動を可能にする。
【0014】
ここで、本例ではキー1を「ON」位置にし、施錠/解錠用のコード信号を送受信した後、キー1を「ACC」または「OFF」位置まで戻す動作を連続して複数回行うことにより、この信号が制御回路13aに入力され、コード照合されるようにしたが、例えば図2(b)に示すように、キー1が「ON」位置にあるときに施錠/解錠用のコード信号を予め設定された回数(図2(b)では最初は1回、2度目は3回、3度目は2回)だけ送受信し、キー1を「ACC」または「OFF」位置まで戻す動作を複数回(図2(b)では全部で3度)連続して行うことにより、この信号をコード照合するようにし、即ちキー1の「ON」位置での送受信回数の組み合わせ(本例では「132」)をも識別条件としても良い。
【0015】
また、キーシリンダ5に差し込まれたキー1が「ON」位置に回転してスイッチSWが閉じたことが検出され、その後コントロールユニット7からエンジン制御ユニット8に許可信号を出力されなかったときにのみ送信器11からの施錠/解錠用のコード信号をエンジン始動用の電気的キー照合に用いる設定とすることにより、通常動作時に送信器11からの施錠/解錠用のコード信号を受信しても上記許可信号がエンジン制御ユニット8に出力されることはない。
【0016】
【発明の効果】
このように本発明によれば、キー側信号授受手段とシリンダ錠側信号授受手段との間での信号授受によりシリンダ錠に差し込まれたキーの機械的な正否判断とは別に電気的な正否判断を行う車両用キー装置に於て、キー側信号授受手段とシリンダ錠側信号授受手段との間で信号授受ができなくなった場合にキーレスエントリーシステムに於ける送信器/受信器間の信号授受により電気的コードの照合を可能とすることで、キー装置本来の機能を損なうことなく、しかも部品点数や組付け工数の増加や構造の複雑化を伴うことなく、信号送受信系に故障が発生した場合などの対応が可能となる。特にシリンダ錠に差し込まれたキーが機械的に正規のキーであると判断され、かつキー側信号授受手段とシリンダ錠側信号授受手段との間での信号授受によるキーの電気的な正否判断が行われなかったときのみ上記キーレスエントリーシステムに於ける送信器/受信器間の信号授受をもって電気的コードの照合とすることで、通常使用時のキーレスエントリーシステムに於ける信号授受を誤って電気的コードの照合としてしまう心配もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用キー装置の構成を示すブロック図。
【図2】(a)及び(b)は本発明が適用された車両用キー装置の作動要領の要部を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1 キー
2 把持部
3 キーシャンク
4 トランスポンダ
4a アンテナ
4b 送受信回路
4c ICチップ
5 キーシリンダ
6 キー側コイル
7 コントロールユニット
7a 送受信回路
7b 制御回路
7c メモリ回路
8 エンジン制御ユニット
11 キーレスエントリーシステムの送信器
12 キーレスエントリーシステムの受信器
12a アンテナ
13 コントロールユニット
13a 制御回路
13b メモリ回路
SW キー位置検出スイッチ
Claims (1)
- キー側信号授受手段と、該キー側信号授受手段との間で電波信号の授受を行うべくシリンダ錠に設けられたシリンダ錠側信号授受手段と、前記両信号授受手段間での信号授受により、前記シリンダ錠に差し込まれたキーの機械的な正否判断とは別に当該キーの電気的な正否判断を行う第1の照合手段とを有する車両用キー装置であって、
当該車両がそのドアの施錠/解錠を外部送信器からの遠隔操作にて行うキーレスエントリーシステムを備え、
前記キーレスエントリーシステムは、当該キーレスエントリーシステムの送信器から送信される電気的信号の正否照合を行う第2の照合手段を有し、
前記キーが機械的に正規のキーであると判断され、かつ前記第1の照合手段によって電気的な正否判断が行われなかったときには前記キーレスエントリーシステムの前記第2の照合手段によって前記電気的信号の正否判断を行うことを特徴とする車両用キー装置。
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- 1995-07-25 JP JP20922995A patent/JP4109325B2/ja not_active Expired - Fee Related
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