JP4107785B2 - キースイッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はキースイッチ装置に関するものであり、特に、ノートブック型パソコンの薄型キーボードに用いるリンク式のキースイッチ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の此種キースイッチ装置を図6乃至図8に従って説明する。図6(a)に於いて、1は概念図で示したキースイッチ装置であり、該キースイッチ装置1は基板2とキートップ3間に2つのリンク部材4及び5がX字状に交差して構成される、所謂パンタグラフ式リンク方式で構成され、前記基板2と前記キートップ3間に介装されるラバースプリング(図示せず)と、前記リンク部材4及び5とにより前記キートップ3は支持されている。そして、図6(b)に示すように、前記リンク部材4及び5は夫々、略コ字形状を有し、嵌合部6及び7にて互いに嵌合し、回動自在となっており、一方のリンク部材4は上端両端部の回動部4a及び4bが前記キートップ3の下端部に設けられた軸受部3a及び3bに回動自在に軸支され、下端両端部の摺動部4c及び4dが前記基板2に設けられたスライドガイド2a及び2bに摺動自在に係合されている。又、他方のリンク部材5は上端両端部の摺動部5a及び5bが前記キートップ3の下端部に設けられたスライドガイド3c及び3dに摺動自在に係合され、下端両端部の回動部5c及び5dが前記基板2に設けられた軸受部2c及び2dに回動自在に軸支されている。尚、前記軸受部3a,3b,2c及び2dはすり割付軸受部となっている。
【0003】
而して、前記キートップ3を押下すると該キートップ3は前記のリンク部材4及び5のリンク作用により略水平状態で下方に押し下げられ、前記基板2上に設けられたスイッチ部材(図示せず)を押下し、該スイッチ部材を導通させる。
【0004】
図7(a)は前記キースイッチ装置1の動作方向を示す図であり、該キースイッチ装置1の前記キートップ3は前記基板2面に対して押し下げ角略90度方向に押し下げられる。
【0005】
図7(b)は前記キースイッチ装置1を水平面に対し傾斜角αに設置されたキーボード8に装着した状態を示し、該キーボード操作者の指9が前記キースイッチ装置1の前記キートップ3を押下すると、該キートップ3は水平面に対し前記押し下げ角略90度に前記傾斜角αを加えた角度で押し下げられるが、前記傾斜角αは実用上制限された角度となるため、前記キーボード操作者の指9の押し下げ方向と前記キートップ3の押し下げ方向とは前記キーボード8の上方に位置するほど大きく異なり操作感が悪い。
【0006】
図8は、一般に最も操作性の良いと言われるデスクトップ用カーブドキーボード10を示し、該カーブドキーボード10に於いて、配列されたキートップ3の上面は指9の動きに合わせて下方から上方にかけて上方に位置するほど傾斜角の大きいカーブ面となるように配列されている。
【0007】
このようなカーブドキーボード10の配置が望ましいが、このような配置構成がとれない場合は、例えば前記キースイッチ装置1の前記キートップ3の押し下げ方向を改良することによって前記カーブドキーボード10に近ずけることができれば前記キースイッチ装置1の操作感は向上することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のキースイッチ装置は基板とキートップ間に2つのリンク部材がX字状に交差して構成される、所謂パンタグラフ式リンク方式で構成され、ラバースプリングと前記2つのリンク部材によって前記キートップは支持されている。
【0009】
従って、前記2つのリンク部材は互いに交差して嵌合する嵌合部を有すると共に各リンク部材は夫々2つの回動部と2つの摺動部を有している。即ち、前記スイッチ装置は可動支持部を全部で10ケ所有することとなるが、該可動支持部は強度的に弱く、特に、前記リンク部材の互いの嵌合部は構造的に強度が弱く、前記キースイッチ装置の薄型化の阻害要因となっている。
【0010】
又、前記キースイッチ装置は前記キートップに設けられる摺動部分が射出成型の金型の製作を複雑にしており、金型の製作コストが高かった。
【0011】
更に、前記キートップは該キートップの下端部の4点をリンク部材によって支持されるが、前記4点のうち2点を摺動部で支持されているため、前記キートップ面が傾斜してガタツキやすく、従って、該キートップ面が水平度を保持できない欠陥があった。
【0012】
更に又、前記キートップは基板面に対し略90度で押し下げられるので操作者の指の押し下げ方向と大きく異なるため操作感が悪かった。そこで、キースイッチ装置の強度を高め薄型化を図ると共に製造コストを安価にし、且つ、該キースイッチ装置の操作感を良好にするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、基板上にラバースプリングを介してキートップを昇降自在に装着し、該キートップを押下してスイッチ操作を行うキースイッチ装置であって、前記基板と前記キートップ間に互いに接触することなく直交して回動する小リンク部材と大リンク部材とを設け、該小リンク部材の下端部を前記基板に設けたスライドガイドに回動可能且つ摺動自在に設けると共に、上端部を前記キートップの下端部に設けられた軸受部に軸支し、且つ、前記大リンク部材の下端部及び上端部を夫々前記基板及び前記キートップの下端部に設けられた軸受部に軸支し、前記ラバースプリング、前記小リンク部材及び前記大リンク部材により前記キートップを昇降自在に支持したキースイッチ装置に於いて、上記小リンク部材は上部中央部が前記ラバースプリングに干渉しない形状に形成されて、上記大リンク部材に囲まれて配置されてなり、且つ、該大リンクの回動方向はキースイッチ操作者の指の押し下げ方向と一致するように配置され、薄型キーボードの用に供されてなるキースイッチ装置を提供するものである。
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図5に従って詳述する。図1(a)及び(b)に於いて、11は概念図で示したキースイッチ装置であり、該キースイッチ装置11は基板12と、該基板12の上方に設けられたキートップ13との間に互いに接触することなく直交して回動する小リンク部材14と大リンク部材15とが設けられる。そして、該小リンク部材14の下端両端部に設けられた摺動部14a及び14bが前記基板12に設けられたスライドガイド12a及び12bに夫々摺動自在に係合され、且つ、上端両端部に設けられた回動部14c及び14dが前記キートップ13の下端部に設けられた円弧状の軸受部13a及び13bに夫々回動可能に軸着される。一方、前記大リンク部材15の下端両端部に設けられた回動部15a及び15bが前記基板12に設けられた円弧状の軸受部12c及び12dに夫々回転可能に軸着され、且つ、上端両端部に設けられた回動部15c及び15dが前記キートップ13の下端部に設けられた円弧状の軸受部13c及び13dに夫々回動可能に軸着される。
【0015】
図2は前記キースイッチ装置11のキートップ13を取り除いた状態を示す平面図であり、該キースイッチ装置11の中央部に略ドーム状のラバースプリング16が介装され、該ラバースプリング16は前記基板上に載設され、該ラバースプリング16に載置された前記キートップ13を上方向に付勢している。又、前記小リンク部材14は前記ラバースプリング16に干渉しないように上部中央部が該ラバースプリング16の形状に合わせて円弧状に切欠されている。尚、図中20は前記ラバースプリング16を前記基板12上に固定するための固定部材である。
【0016】
図3(a)は前記キースイッチ装置11の一部切欠正面図であり、前記キートップ13が押下される前の状態を示すものであり、前記ラバースプリング16が前記キートップ13を上方に付勢し、それに伴って前記小リンク部材14及び前記大リンク部材15も前記基板12と所定角度をなして、立ち上がった状態となっている。
【0017】
この状態で操作者が前記キートップ13を押下すると該キートップ13は前記ラバースプリング16を押し下げて変形させると共に、前記小リンク部材14及び前記大リンク部材15を下方に押し下げる。このとき、該小リンク部材14の下端両端部に設けられた回動部14a及び14bは前記基板12に設けられた前記スライドガイド12a及び12b内を摺動し、上端両端部の回動部14c及び14dは前記キートップ13の下端部に設けられた前記円弧状の軸受部13a及び13b内で回転する。一方、前記大リンク部材15の下端両端部に設けられた回動部15a及び15bは前記基板12に設けられた前記円弧状の軸受部12c及び12d内で回転し、上端両端部に設けられた回動部15c及び15dは前記キートップ13の下端部に設けられた前記円弧状の軸受部13c及び13d内で回転する。
【0018】
従って、前記キートップ13は前記小リンク部材14と前記大リンク部材15のリンク作用により、前記基板12に略平行に押し下げられ、所定位置まで押し下げられると、前記ラバースプリング16は前記基板12上に設けられたスイッチ部材17を押下して導通させる。更に前記キートップ13が最下点まで押し下げられると図3(b)に示す如く、前記キートップ13が前記基板12に当接して該キートップ13の押し下げ動作は停止する。尚、前記図3(a),(b)で示される前記キートップ13の押し下げ方向は、前記基板12面に対して略直角である。
【0019】
図4(a)は前記キースイッチ装置11の一部切欠側面図を示し、該キースイッチ装置11のキートップ13が最下点まで押下されると図4(b)に示す如く押し下げられて停止するが、該キートップ13は前記大リンク部材15の回転に伴って図に於いて右方向に移動して停止することになる。この状態を図5(a)によって説明すると、前記キートップ13は前記基板12面に対し矢印で示す如く90度を越える角度で押し下げられる。一実験値によると、この角度は99度を示した。図5(b)は前記キースイッチ装置11をキーボード18に取り付けた例を示し、指19の押下操作によって前記キートップ13は水平面に対し、前記押し下げ角度(例えば99度)に前記キーボード18の水平面に対する傾斜角を加えた角度方向に押し下げられることになる。
【0020】
この角度は、前述した操作性の良いデスクトップ用カーブドキーボード(図8に於いて10)の角度に近づくこととなり操作性を高めることになる。
【0021】
又、図4(a)に示す如く、前記キースイッチ装置11は摺動部14a及び14bと回動部14c及び14dと15a及び15bと15c及び15d等の可動支持部が8ケ所であり、従来のキースイッチ装置(図6に於いて1)の可動支持部10ケ所よりも少ないため、強度を高めることができる。又、従来例の嵌合部(図6に於いて6及び7)がないため強度を更に高めることになる。これは、前記キースイッチ装置11の薄型化を可能にする。
【0022】
更に、前記キートップ13の下端部にはスライドガイドがなく、円弧状に形成された軸受部13a,13b,13c及び13dのみが設けられているので、前記キートップ13の成型が簡素であり、前記キースイッチ装置11の組み立ても容易である
【0023】
尚、この発明は、この発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、この発明が該改変せられたものに及ぶことは当然である。
【0024】
【発明の効果】
本発明は上記一実施の形態に詳述したように、基板上にラバースプリングを介してキートップを昇降自在に装着し、該キートップを押下してスイッチ操作を行うキースイッチ装置であって、前記基板と前記キートップ間に互いに接触することなく直交して回動する小リンク部材と大リンク部材とを設け、該小リンク部材の下端部を前記基板に設けたスライドガイドに回動可能且つ摺動自在に設けると共に、上端部を前記キートップの下端部に設けられた軸受部に軸支し、且つ、前記大リンク部材の下端部及び上端部を夫々前記基板及び前記キートップの下端部に設けられた軸受部に軸支し、前記ラバースプリング、前記小リンク部材及び前記大リンク部材により前記キートップを昇降自在に支持したキースイッチ装置において、上記小リンク部材は上部中央部が前記ラバースプリングに干渉しないように形成されて、上記大リンク部材に囲まれて配置されてなり、且つ、該大リンク部材の回動方向はキースイッチ操作者の指の押し下げ方向と一致するように配置されて成るから、前記ラバースプリング、前記小リンク部材及び前記大リンク部材により前記キートップを昇降自在に支持することができると共に、前記小リンク部材は前記ラバースプリングに干渉することがなく円滑に回動することができる。
【0025】
従って、前記キースイッチ装置は従来例に比較して可動支持部を少なくすることがてき、特に、構造的に強度の弱い従来例のリンク部材どうしの嵌合部をなくすことができるので強度を高めることが可能となり、前記キースイッチ装置の薄型化を図ることができる。
【0026】
又、前記キートップにスライドガイド部分がないため、キートップ面のガタツキがなく水平度が良好に保持されると共に、前記キートップの成型に於いて金型の製作が容易でありコストダウンに寄与する。
【0027】
更に、上記大リンクの回動方向はキースイッチ操作者の指の押し下げ方向と一致するように配置され、薄型キーボードの用に供されてなるから、前記キートップは基板面に対して90度を越える角度で押し下げられるので従来例に比較して、薄型キーボードでありながら操作感が良好となる。
【0028】
斯くして、本発明は、キースイッチ装置の強度を高め薄型化を図ると共に、製造コストを安価にし、且つ、キースイッチ装置の操作感を良好にする等、正に著大なる効果を奏する発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態を示し、キースイッチ装置の概念を示す正面図。
(b)本発明の一実施の形態を示し、小リンク部材と大リンク部材の概念を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施の形態を示し、キートップを外した状態を示すキースイッチ装置の平面図。
【図3】(a)本発明の一実施の形態を示し、キースイッチ装置の一部切欠正面図。
(b)本発明の一実施の形態を示し、キートップが押下された状態を示すキースイッチ装置の一部切欠正面図。
【図4】(a)本発明の一実施の形態を示し、キースイッチ装置の一部切欠側面図。
(b)本発明の一実施の形態を示し、キートップが押下された状態を示すキースイッチ装置の一部切欠側面図。
【図5】(a)本発明の一実施の形態を示し、キートップの押し下げ方向を示す概念図。
(b)本発明の一実施の形態を示し、キーボードに装着されたキートップの押し下げ方向を示す概念図。
【図6】(a)従来例を示し、キースイッチ装置の概念を示す正面図。
(b)従来例を示し、リンク部材の概念を示す斜視図。
【図7】(a)従来例を示し、キートップの押し下げ方向を示す概念図。
(b)従来例を示し、キーボードに装着されたキートップの押し下げ方向を示す概念図。
【図8】操作性が良いと言われるデスクトップ用カーブドキーボードを示す概念図。
【符号の説明】
11 キースイッチ
12 基板
12a,12b スライドガイド
12c,12d 軸受部
13 キートップ
13a,13b 軸受部
13c,13d 軸受部
14 小リンク部材
15 大リンク部材
16 ラバースプリング
17 スイッチ部材
18 キーボード
20 ラバースプリング固定部材
Claims (1)
- 基板上にラバースプリングを介してキートップを昇降自在に装着し、該キートップを押下してスイッチ操作を行うキースイッチ装置であって、前記基板と前記キートップ間に互いに接触することなく直交して回動する小リンク部材と大リンク部材とを設け、該小リンク部材の下端部を前記基板に設けたスライドガイドに回動可能且つ摺動自在に設けると共に、上端部を前記キートップの下端部に設けられた軸受部に軸支し、且つ、前記大リンク部材の下端部及び上端部を夫々前記基板及び前記キートップの下端部に設けられた軸受部に軸支し、前記ラバースプリング、前記小リンク部材及び前記大リンク部材により前記キートップを昇降自在に支持したキースイッチ装置に於いて、
上記小リンク部材は上部中央部が前記ラバースプリングに干渉しない形状に形成されて、上記大リンク部材に囲まれて配置されてなり、且つ、該大リンクの回動方向はキースイッチ操作者の指の押し下げ方向と一致するように配置され、薄型キーボードの用に供されてなることを特徴とするキースイッチ装置。
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